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<ノベル>
水、水の音、塩辛い、舌やノドや目を刺すような塩辛い水の中で、あの子の手を掴むことができなかった。
あたしは被害者だったかもしれない。
でも、あたしは加害者になった。
あの子の母親の目、あの子の母親の言葉、あの子の母親がこの首に食い込ませた指の感触を、あたしは降り払えない。
あたしは……あの子を、大切な友達を、助けられなかった――
*
「最近物騒な事件が頻発しているから、気をつけて。いい子は暗くなる前に帰るのよ?」
にこやかに冗談めかして告げたホームルーム担任の言葉に、クラスの中はクスクスと小さな笑いでさざめいた。
「とくに女の子は、自分を大事にしてちょうだいね?」
どこか他人事のように、少女たちはさらにさざめき、囁きあい、くすぐったげに笑いあう。
交わされるウワサ話。
自分たちからは遠い世界での出来事を、興味本意に語り合う、小鳥のような少女たちは、明日を避けて、教室の外へと引いていく。声を掛けてくるものはいない。
少女たちの輪の中に、明日の居場所はなかった。
透明な壁、ガラスの壁、明日が自分で望んで作り上げてしまった距離に彼女たちはとても敏感だったから。
小学校の頃には仲のよかった子たちも、小さな小さなグループのあちこちに散在して、ちょっとだけ他人の顔をする。
淋しくないわけではない。哀しくないわけではない。ちょっとした時間にちょっとしたおしゃべりをして笑いたいという気持ちはちゃんとある。
けれどソレができない。
不器用な受け答えしかできない。
もう、どんなふうに笑っていたのかも、よく思い出せなかった。
「流鏑馬さん」
「あ、はい」
顔を上げると、先ほどまで他の生徒たちの質問に答えていた教師が立っていた。彼女はやわらかな笑みを浮かべて、明日を見つめる。
「気をつけてね? 昨日も図書室で遅くまで勉強していたんでしょう?」
「……はい」
「来年は高校受験だし、頑張るのも大切だけど、でも、ムリはしないでね」
「……はい、有難うございます」
誰とも口を気かない時間が長過ぎて、時折自分が透明な存在にでもなってしまったような気がするのに、彼女はちゃんと気に掛けてくれる。
彼女の視界には、自分がちゃんと入っている。
労わるように、励ますように、冷え性なのか少し冷たいキレイな白い手で明日の髪をなで、軽く肩を叩いて、担任は教室を出ていった。
そして、明日はまた貝のように口を閉ざして、黙々と帰り支度を行う。
淋しくなんかない。
哀しくなんかない。
今日も、きっと自分はヒトリで図書室で勉強をして、ひとりで暗い道をあるいて帰るだろう。
あの事件が気にならないといえば嘘になる。
「……犯人、捕まればいいけど……」
こぼれた呟きを拾いあげてくれる相手はいない。だからこれはひとりごと。ひとりごとだけれど、ちゃんと本心だった。
最近、この界隈を賑わせ脅かしている『猟奇事件』は、既に今月までで3件を数えていた。
犯人が誰かは分からない。
まだ、分からない。
わかっているのは、『少女』ばかりが死んでいること。
13歳から15歳の少女ばかりが、ノドを裂かれて、胸を刺されて、真っ赤に染まる壊れた人形のようになって、花を添えられて庭園に置き去りにされていることだけ。
ジャック・ザ・リッパーを騙るには、真冬の今ではあまりに時期ハズレだった。相手もソレをなぞるつもりはなかったのかもしれないけれど。
遅くならないうちに帰ろう。
そう決める。
けれど。
日常とはとても脆いものだ。
あっけなく、なんの予告もなく、ちょっとしたタイミングとちょっとした偶然で、あっさりと瓦解する。
それを誰よりもよく理解していたのは明日のはずだった。
なのに。
17時をすぎれば、いまの季節ならすっかりと日が暮れてしまう。どんなに通い慣れた道でも、太陽の下になければ恐ろしい場所に変わってしまうのだということを失念していた。
――あれは、なに?
外灯のほとんどない夜の道。帰宅を急ぎ、門限に間に合うようにと近道である公園のルートを選んだ明日の足が、ピタリと止まった。
あきらかに不穏な空気が、肌を刺してくる。
異常であることだけは充分に察していたのに、自分の目が捉えたモノを理解するのには、かなりの時間を要してしまった。
初めは、黒いカタマリだと思った。
次に、もしかして人が倒れているのだろうかと思った。
そして。
最後に。
ソレが、ノドを引き裂かれ、いやに刺激的な『赤』をあふれかえらせながら息絶えた少女だということに気付いてしまった。
トンッ……
心臓のリズムが崩れて。
とく、とくとくとくとくとくとくとく、とく、と……ッ
息をすることもままならないくらいに、激しく胸を内側から打ってくる。
「――っ」
全身を冷たい痺れが支配する。
悲鳴は上擦って掠れた音となった。
けれど、ソレでも、『相手』の気を引くには十分すぎるほどの音を立ててしまったのだ。
ぞろり。
ゆらり。
影が動いた。ゆっくりと、ソレは何か危険な肉食獣を思わせるような鋭い殺気を迸らせながら、こちらを振り向いて――チラリと何かが小さく閃いた。
反射的に背を向けて、頭で考えるより先に、全力で走っていた。
自分がどこを目指しているのか分からなかった。とにかく離れなくてはいけない、捕まってはいけない、アレに捕らわれてはいけないと、本能が打ち鳴らす警鐘に従って走り続けた。
走り続けることしか考えなかった。
だから、気づかなかった。
自分が、アレの前にあそこに『おとしもの』をしてしまったことに。アレがその『おとしもの』拾い上げ、口元を歪めて小さく笑い、獲物を追いかけるのをやめたことに。
気づかないまま、ひたすら逃げた。
どこをどう走ったのか。
それでも明日は、祖母が待つ自宅に辿り着くことができた。
あたたかな家、あたたかな部屋、安心できる安全な場所に帰ってこれたのに、息苦しさに喘ぎ、胸が潰れそうなほどの恐怖で泣くこともできなかった。
恐ろしく蒼い顔をしていたと思う。
すぐに部屋に閉じこもってしまった自分に、祖母が心配そうにあたたかな声を掛けてくれた。
どうしたんだい、何かあったのかい。
その問いかけに、ただ『なんでもない』と、首を横に振ることしかできなかった。風邪を引いたかもしれないと、慣れないウソをつく余裕もなかった。
暖かな部屋にいても、カタカタと全身が震えている。
ベッドの優しい毛布に埋もれてみても、爪先から染み透ってくる冷たい痺れが消えない。
まるで悪い病気にでもかかったみたいに、震えが止まらない。抱きしめても、なだめさすってみても、冷え切ったカラダは固く強張ったまま震え続ける。
それからの毎日は、いやに緊張感をはらんでいて、痛くて苦しくて恐ろしかった。
ネジの切れたぜんまい人形みたいに、うまく動けていないことを自覚していた。
祖母の目を気にしながらおそるおそるつけたテレビでは、ほしい言葉は何も聞こえてこなかった。
犯人が見つかったとも、目星がついたとも、まったく何も言わないで、ただ少女の死を伝え続けていた。
あの子は死んだ。
赤というよりも黒い、あのドロリとした〈海〉の中で死んでいたのに。
画面の向こうでカメラから顔を背け、声を振るわせて、あるいは怒りをむき出しにして嘆く家族の姿が辛くてたまらなかった。
どうして、犯人は捕まらないのだろう。
自分はあの時、何を見たのだろう。
学校では、担任の女教師が気遣わしげな、モノ言いたげな視線を送ってくる。
「ねえ、流鏑馬さん……あなた顔が真っ青よ。なにかあったの?」
「すみません。失礼します」
けれど怖くて、誰かに喋ることもできなくて、明日はひたすら誰かと言葉を交わすことを拒絶し続けた。
必要最低限の会話すら、怖くて怖くてしかたなかった。
あの日、あの時、自分が見たのは誰だったのだろう。
あの日、あの時、自分が会ったのは誰だったのだろう。
『例えば、そうですね……好奇心と言い換えてもいいかもしれません』
逡巡というよりは壊れた思考回路が延々と同じ問いを繰り返す中、ふいに、耳に飛びこんできた声が明日の足を止めた。
優しい声だった。穏やかで、静かな声。春の陽を思わせるような、やわらかな声音が諭すように言葉を紡ぐ。
『不安を拭うにも、恐怖に打ち勝つにも、そして美しいロジックを組み立てるのにも、まずは正確な情報が必要なのですよ』
ついで、盛大な音楽。雷に打たれたような、心臓を打ち抜くような、重みのある一撃。そして、銃声に似た、雨音。反射的に顔を上げ、振り返り、白衣の青年の後ろ姿が視界にひっかかったのをさらに追い求めて。
自分が、映画の予告を『聞いた』のだと知った。
街頭の液晶モニターが大映しにした映像からは既にタイトルも消えていて、音楽の余韻すら別の宣言に掻き消されていた。
でも、それでも、まるで天啓のように、運命のように、そこで紡がれた台詞だけは耳に残っている。
「不安を拭うにも、恐怖に打ち勝つにも、正確な情報が必要……」
唇を引き結び、ギュッときつく拳を握って、まっすぐに日暮れの街の先にあるものを見つめる。
行ってみようか。
逃げているから、目を瞑ってしまっているから、だから怖くて仕方がないなら、不安の正体を見極めればいい。
考えると、心臓が、リズムを崩しかける。
息が苦しい、胸が苦しい、まぶたの奥が妙に熱くて、こめかみの辺りがじんわりと締め付けられるような痛みがある。
それでも明日はひとり、カバンを抱いてあの場所を目指した。
怖くなかったわけじゃない。無謀なわけでもない、はずだ。ただ、確かめようと思った。せめてあの日以来近付くことの出来なくなった公園で何かを見極めたいと、そう思っただけだ。
学校から、続く道。
べったりとした赤い色に染まってしまった、日常の延長線にある場所へ。
明日はそこに立つ。
警察が張り巡らせていたらしい立入禁止のロープはもう跡形もない。ひとつ残さず証拠品は応酬されたはず。けれど、でも、明日は自分がなにかを探していることに気付いていた。
何を知りたいのか、何を探しているのか、薄ボンヤリとして曖昧だけれど、確かに何かを求めている自分に気づく。
それはとても不思議な感覚だった。なぞる、辿る、探り、触れて、思考する時間、明日はひととき、恐怖を忘れていた。
しかし。
「女の子は早くに帰りなさいって言ったのに……悪い子ねぇ」
「え、あ」
突然の声。聞き覚えはあっても、一瞬心像が跳ね上がった。振り返った先で、『彼女』は微笑んでいた。
「なんてね。本当はお話したくて追いかけてきたの。ねえ、これ、おとしものよ」
おもむろに差し出されたのは、蝶のレリーフをほどこされたしおり。小さく自分のイニシャルを入れていたお気にいりのしおり。『何か』でどす黒く汚れたしおりを、自分があの日落としたことを明日はようやく知った。
「……どうして……これ、どこで」
「どこだと思う?」
チラリと、『彼女』は笑った。赤い唇。きらりと光る小さなピアス。白い指先がそこをなぞる。白、赤、光、反射する、その影のカタチと彩り。
逆光で佇むそのシルエットを前に、メイヒの中で、あの夜の記憶がフラッシュバックを起こした。
どうして、気づかなかったのだろう。
どうして、思いいたらなかったのだろう。
「せん、せ……どうして……」
「あらあら、やっぱり見られていたのねぇ。いやだわ、一番悪い予想が当たってしまった見たいねぇ」
すぅっとカラダが冷えていくのを感じた。足元から背筋に這い登る冷感。彼女が悪びれもせず、笑っているから、その笑顔はあまりにもいつもどおりのものだったから。
「どこまで知っているのか、どこまで見ているのか、確かめたかったのに、流鏑馬さんったら逃げちゃうんだもの。とってもとっても困ってたわ」
頬に手を添えて、ほんの少しわざとらしく、演技がかった声で彼女は告げる。
「だけど、これではっきりしたわね」
「どうしてあんなことを……、殺された子たちには家族がいたわ、悲しんでくれる人がいた。なのに、どうして――っ」
涙が、知らずあふれてきた。
泣くつもりなどなかったのに、目の奥が急に熱くなって、止められなかった。
あの寒々しい教室の中で、あの息苦しい学校の中で、自分の存在を見つけてくれていた、あの優しい手をした人がどうしてと、思い出したら止まらなくなった。
「先生!」
「どうしてと言われても……あの子たちはねぇ、死にたいって言ってたのよ」
「え」
「言葉にしなくたって分かるの。わたしには分かる。ちゃんと、ちゃぁんと、ね、町を俯いて歩いてる子はみんな死にたがりだって、ちゃんと見抜いてる」
ふわりと微笑んで、彼女は空を降り仰いだ。街頭の明るさで星を追い出した薄明るい空を望みながら、愛を語るようにうっとりとささやく。
「あなたも、死にたいんでしょう?」
なにもかもを見透かす彼女の瞳が、明日を捉えた。
「ねえ、流鏑馬さん。あなただって望んでいるんでしょう? 先生、ちゃんと分かっているわ。生きていたってしかたない、息が詰まりそう、誰か助けて、そう思っていたでしょう?」
優しい笑みを浮かべて、彼女は諭すように語り掛けてくる。
やわらかな指先がもてあそぶのは、キレイなナイフだ。外灯の光を反射して、きらりと白く輝く。彼女のピアスと同じように、きらりきらりと瞬く。
「……先生、ちゃんと分かってる」
「ちがう」
チガウ。
「プールも見学してたわよね。夏の間もずっと長袖で、ね、どうしてなのか、ちゃんと理由は知ってるのよ。だって先生だもの」
チガウ、死ニタクナンテ、チガウ……チガウ、ハズ。
「何年前になるのかしらね。海でのあの事故。記事もちゃんと読んだのよ、ね? アナタを理解してあげたくて。死んだあの子に、もうしわけないって思ってるでしょう? 自分が死ねばよかったって思っているでしょう? 自分が生き残って哀しいでしょう? どうしていいのか分からないままここまで来てしまったでしょう?」
ふつり、ふつりと、心の一番弱い場所に彼女の言葉が刺し込まれていく。
「電車を見ていると、飛び込みたくならない? 階段を昇っていると、足を踏みはずしたくならない? 屋上に登ると、その柵を乗り越えたくならない? 車を見ると、そこに飛び出したくならない?」
いくつもいくつも刺し込まれた。
鋭い棘のように、長く伸ばした爪のように、明日の心の内側に刺さり、埋め込み、抉っていく。
あの日のように。
あの子の母親の指と同じように。
「ね、ちゃんと分かってるわ」
すぅっと伸ばされた腕。凍れる彼女の白い指先が、明日の髪をなでる、頬に触れる、肩に滑りおりてくる。頭の芯が痺れてくる。
「……ちがう、ちがう……、あたしは死にたいわけじゃない……」
「そう? 死んじゃいけないヒトなんてどこにもいないわよ? 大丈夫、先生これでもけっこう上達したんだから、痛いのなんて一瞬よ?」
いっぱい練習もしたしね。下準備もバッチリよ、と愉しげに胸を張ってさえしてみせる。教師のカオを覗かせながら、日常から明日を引き剥がす。
「痛いのが怖かっただけでしょう? 勇気がほんのちょっと足りなかっただけでしょう? 先生はね、そんな子たちの背中を押して、自由に、楽に、してあげたいの。女の子にはね、そういう特権があるべきだとも思ってるわ」
可愛い子はとくに、楽にしてあげたいの。楽になりたいでしょう、お手伝いしてあげる、キレイな瞬間を永遠にしてあげる、飾ったあげる、とてもステキに最期を演出してあげると彼女はナイフを明日の首筋に押し当てた。
「……そんな、そんなことで、そんな理由で……」
死にたくない。死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないはずなのに――、本当は、死ニタカッタ?
――メイちゃん……
「ちがう、死なない、死んでいい人なんかいない」
あの子に、もらったんだから。伸ばした手は届かなかったけれど、あの子はあの時、あの水の中で、もがきながら、自分を助けようとしてくれて――覚えている、思い出した、あの子は、岩で挫傷した明日を助けようとしてくれていた。
どうして忘れてしまっていたのだろう。
どうして。
「死なせていい理由なんかない、ちゃんと、生きて、まっすぐ前を向いて歩かなくちゃいけないんだから!」
だから。
「だから、あたしは先生のロジックを否定する!」
「駄目よ、そんな目をして、そんなこと言っちゃ。ね? いい子だから、わたしに、殺されなさいっ!」
振り上げられたナイフ。閃き。優雅で醜い軌跡が描かれて――それを振り払おうと身構えた瞬間、
「やめろ――っ」
太い男の声が、すべてを弾き飛ばした。視界が揺れる。振り回され、コンクリートの地面にしたたかに背を打ちつけた。眩暈がするような世界の中で、空を裂くような甲高い悲鳴をあげているのは誰なのだろうと、そんなどうでもいいことが気になって。痛い。
「大丈夫か」
あたたかく大きな手が、自分を抱き起こす。
「コワイ思いをさせたが、もう大丈夫だ、もう、きみは大丈夫。きみは生きているよ」
安堵の大きな溜息をついて、その人は、小刻みに震える明日の体を労わるように両肩に手を置く。温かい目が自分を見ていた。
「……だれ……」
「刑事だよ」
彼の肩ごしにパトカーの赤色灯の光がぐるぐる回っている。若い男の鋭い声が、金切り声と重なり合って応酬されている。取っ組み合うようなどたばたとした音すら聞こえてきて、でもソレがひどく遠い。
「詳しい話はあとでゆっくり、聞かせてもらうからね……大丈夫。大丈夫だ……もう、コワイことはないからな。おじさんがちゃんと責任を持つから」
精悍な顔つきをした壮年の刑事は、そういって不器用な笑みを浮かべた。
父親とは、もしかしたらこんな感じなのだろうか。
そう思いながら、明日はゆっくりと全身から力が抜けていくのを感じていた。
警察署に呼び出され、血相を変えて駆け込んできた祖母に抱きしめられ、普段見せる気丈さを台無しにして号泣するあたたかさで。
明日はポツリと呟いた。
「お、おばあ、ちゃん……ごめんなさい……ご、ごめん、なさい……」
一緒になって泣きながら、それでも言わなくちゃいけないと強く強く思ってしまったから。
「……あたしね、刑事になる」
今度はあたしが誰かを助ける番……誰かの命を守って、誰かの心を守って、そうしてあの子の分まで生きる。
もう、怖がらない。
もう、目を背けたりしない。
護り方を、教えてもらったから。
「だから、見てて」
固く唇を引き結んで、強く強く明日は決意する。願うのではなく誓う。あの子に。あの子がくれた命に、誓いを立てる。
これが、流鏑馬明日、最初の事件。
そして。
これから先で紡がれる、彼女のための長い長い物語の幕開け――
END
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クリエイターコメント | いつも大変お世話になっております! この度は、大切な明日さまの過去に触れるエピソードにご指名くださり、有難うございました! 心理描写をメインに、ざわざわとした恐怖感と壊れた論理、犯罪の動機に至るまで捏造をまじえながら、大変楽しく、そして明日さまの抱えるトラウマに切なくなりつつ、書かせて頂きました。 現在の明日さまに繋がる『はじまりの物語』、ご期待にそえるものとなっていれば幸いです。 なお、作中にちょっとした小ネタを挟みこんでいるのですが、笑って許していただけばと思います。
それではまた、罪とロジックが入り乱れる銀幕市のどこかでお会い出来ますように。 |
公開日時 | 2007-11-23(金) 22:10 |
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