★ 【アズマ超物理研究所】銀幕戦隊バッキレンジャー(仮) ★
<オープニング>

 市役所の『対策課』
 そこにいたのは、いつもの植村でなく灰田汐だった。
「研究所のほうから依頼です。このDVDをご覧ください」
 対策課に設置してあるDVDが作動しだす。
 ディスプレイには研究所と、老体とは思えないようなギラギラした活力を感じる東 栄三郎が写っていた。
『アー、諸君。元気かね?』
『本日の依頼だが、ムービーファンを優先的に募集をしたい。バッキーの解析をしたくてな』
 その言葉にむっとするムービーファンは多かった。
 灰田汐はまぁまぁと手でなだめる。
『別に解剖しようというわけではない。バッキーの姿に着目して、バッキーの姿になってもらおうというわけだ』
 雰囲気を予想していたかのような台詞が栄三郎の口からでてきた。
 そしてカメラが動き、バッキーカラーの全身タイツが映った。
 誰もがそれに言葉を失う。
『これを装着したのち、いろいろと実験を行ってもらう。その相手としてムービースターが適任かとおもう』
『もちろん、実際のヴィランズとの戦いが一番だが、危険だからな』
『シナリオは特に考えてないが、実戦に近いほうがデータが取れるとおもう、協力をしてくれ』
 銅像のようになった対策課の面々を無視して、話を続ける栄三郎。
『ちなみにプロジェクト名は【銀幕戦隊バッキレンジャー】だ。いい名前があればこれも変えるがな』
 冷房の入っていない室内の気温が5度下がった感覚を一同は得た。
『なお、このディスクは5秒後に爆破する』
「え、それちょっと困りま……」
 ボムンという音と共に、対策課の備品であるDVDプレイヤーは煙を上げていた。

種別名シナリオ 管理番号259
クリエイター橘真斗(wzad3355)
クリエイターコメントそういうことで、戦隊ヒーローっぽいことをしてもらおうかと思います。
脚本も参加の方で考えてもらってもいいですし、ないならこちらで勝手に用意します。
ムービーファンは自分の持っているバッキーと同じカラーリングの全身タイツを着てもらいますからあしからず。

※ムービースターは悪役側になってもらいますが、あまり多いとこまりますのでその辺を考慮していただけると幸いです。

参加者
岸 昭仁(cyvr8126) ムービーファン 男 22歳 大学生
シュウ・アルガ(cnzs4879) ムービースター 男 17歳 冒険者・ウィザード
新倉 アオイ(crux5721) ムービーファン 女 16歳 学生
赤城 竜(ceuv3870) ムービーファン 男 50歳 スーツアクター
<ノベル>

〜騙されて研究所〜


「こ、コレを着れというのか……シュウ」
「マジコレ!? うっわ、ありえんないだけどー」
 岸昭仁と新倉アオイは目の前にずらっとならぶバッキーカラーの全身タイツを見て肩を落とす。
「種類は多いが、自分のバッキーと同じ色のバッキースーツを着てくれたまえ」
 二人の気分などまったく無視したしゃがれながらも力強い声が聞こえてきた。
 東栄三郎その人だった。
「岸、新倉、いいアルバイトだぞ〜。それを着ればあれだけもらえるんだぜ?」
 栄三郎の後ろからでてきたのは岸と新倉をはめた張本人のシュウ・アルガだった。
「くぅ……たしかに、あの額は捨てがたい、けどなぁ」
 シュウをにらんだあと、再び全身タイツ、否バッキースーツに目を戻す。
 何か、大切なものを失いそうな気がした。
「実験のために費用はいとわない。しかし、集まったのがこれだけなのは我輩の研究が理解されないのか……」
 嘆かわしいといいたけが栄三郎はつかつかとシュウを別の部屋へと案内していく。
「いや、おっちゃんは爺さんのセンスは好きだぞ。この手のものの得意中の得意だからな」
 悩んでいる昭仁とアオイを横にすでにバッキースーツに身を包んでいたのは赤城竜だった。
 50という年齢を感じさせないたくましいからだと、滑らかな尻のラインをしている。
「さぁ、若いもんもさっさと変身するんだ。悪役はまっちゃくれないぜ」
 ピュアスノーなバッキースーツの赤城に二人は肩を叩かれた。
 二人はあきらめたかのように自分のバッキーと同じ色のスーツをもって更衣室へとぼとぼ進んでいった。
「ご愁傷さま」
 にやにやとシュウは笑う。
 そこで栄三郎が止まり、別の箱を取り出した。
 中にはいっているのは、いかにも悪の大幹部といったデザインの服。
「君にはコレを着てもらう。ちょうどいい機会なので、バッキーのヴィランズに対する反応データもとりたいのでな」
 スーツの入った箱をシュウに突き出す栄三郎の目は真剣と書いて『マジ』だった。


〜正義のヒーローVS悪の魔王 世紀の大決戦会議〜


「ぎゃはははは! シュウ! その格好最高!」
「うっわ、悪の魔王ってかんじー? うける〜」
「懐かしいなぁ、おっちゃんの世代の悪役はそういうのが基本だったぜ」
 会議室で待機していたいた、3人がシュウをみた反応はさまざまだった。
「う、うるせぇ! データ取りようのセンサー類がついてるんだとよ」
 恥ずかしさを隠すかのように会議室の席に座った。
 栄三郎はバッキーをつれて、準備にむかっているためここにはいない。
 バッキーをつれていかれたことに不安はあるが、栄三郎の言葉を信じるしかなかった。
「まぁ、シュウがそんな格好してるんなら『はじめっからクライマックス』だな」
「5人いたけど、最後までのこったのがあたしたちとか? そういうシーンってラストっぽいじゃん?」
「戦隊モノとしてはあれかもしれないが、シナリオは面白いな!」
 アオイの意見に昭仁はそれだ!といわんばかりに指をならした。
「さすが、若いもんの考えはいいねぇ。おっちゃんはお前達に託すぞ」
「じゃあ、俺はやはりラスボス? 世界征服狙っていて、他のレンジャー達は四天王とかが塞いでいるとか余裕ぶっこいてるかんじ?」
「あはははー、それいー! 頭悪そうで超いい! あたし達がピンチになったら赤城のおじさんが乱入してきて、3人で倒したりとか?」
「第6の戦士ってところかぁ、おっちゃんは裏方とおもっていたがそういう美味しい役もいいな」
 ムービーファンの3人は自分の格好のことなど忘れて談義は盛り上がった。
 ある程度形ができるとシュウが締める。
「それじゃあ、その方向で……」
 そのとき、会議室のドアがこんこんと叩かれる。
「あいよ」
 ドアに近いシュウが会議室のドアを開ける。
「博士のほうが準備ができたそうだ、お前達を迎えに来いといってきた」
 ドアから顔を覗かせたのは狼の顔をし、レザージャケットをクールに着こなしている。
 背中には日本刀を背負った人狼がそこにいた。
「お前は……」
 その姿に4人は唖然となる。
「早くこい、博士が待っている……」
 人狼ブラッカは4人の反応など気にもせず廊下を先に進むのであった。


〜銀幕戦隊バキレンジャー 第一話『最初っから最終話だぜ!』〜

 ブラッカに案内されてきたのは特撮のセットそのままの部屋だった。
 『第八実験場』と名をうたれた部屋の天井のほうにはガラス窓の部屋が下に突き出している。
 栄三郎もそこに立っていた。
「ブラッカ、すまなかったな。部屋に戻ってよいぞ」
 マイクによって拡張された栄三郎の声が響き渡った。
「そういうことだ、じゃあな」
 ブラッカはきびすを返し、自らの任務の終了を悟る。
「おい、シェリーの方は元気しているのか?」
「ああ、問題なくすごしている……もし、問題があるとしたら暇なことくらいだな」
 シュウの問いかけにフフと笑いながら答えるとブラッカはそこから離れ、実験場の扉が閉められた。
「これから君達の考えたシナリオで模擬戦を行ってもらい、そのデータをこちらで計測する。それだけだ」
 栄三郎がマイクで4人に伝えた。
 上から見下ろされているのが多少気にかかが、バッキーたちもその部屋にいるため3人は安心できた。
「ちゃっちゃとすませますか」
 シュウの一声でそれぞれが配置につき、アイコンタクトで合図を送る。
「では、はじめてくれたまえ」
 栄三郎の合図で戦いは始まった。

「フハハハ! バキレンジャーも残り二人! 5人そろわない貴様らなど、魔王シューの敵ではないわ!」
 割とノリノリに演技をする魔王シュー(シュウ)。
「みんなのぎせいをむだにしないためにも、おれたちがやってやるぜー」
「そ、そうよー。三下っぽいこといってる魔王なんかにはやられないんだからー」
 棒読みで演技をする昭仁に、素のままのアオイ。
 その姿を見る赤城の顔は苦い。
(やはりいきなりじゃ、そうそうできるもんじゃない)
「フフフ、バキシトラス! 貴様の弱点も知り尽くしている! スキャンダルの梨奈ちゃんに振られただろう!」
 不敵な笑みを浮かべた魔王シューの口から出たのはメタ発言だった
「ば、なぜソレ知ってるんだよ!?」
「うそ、マジー? 利奈ちゃんモテモテだしねぇ、あるいみ撃墜女王?」
 赤面してあわてるバキシトラス(昭仁)をからかうようにいうバキボイルドエッグ(アオイ)。
「隙あり! バキレンジャー! 必殺、魔王シューファイアー!」
 遠慮なくムービースター能力である火炎魔法を放つ魔王シュー。
 危なく回避をするもセットが爆破し、はずれた火球の一つが実験場の壁に黒い煤をつけた。
「まじかよ……」
「ジョーダンきついんじゃない?」
 バキシトラスと、バキボイルドエッグは改めてムービースターがいかなるものであるかということを知った。
 味方であって心強いが、敵となれば脅威なのだと。
「ボイルド、あいつは魔法使いだから接近戦には弱いはずだ。それでいくぞ!」
「おっけーシトラス! たこ殴りにしてやるんだから!」
 シューの攻撃で目が覚めたかのように二人の動きが良くなる。
 赤城はその様子を懐かしむような瞳で見ていた。


〜バッキーに隠された秘密?〜

 戦闘シーンを窓から覗きつつ、バッキーにつけた吸盤から伸びたコードの先を栄三郎は見る。
 コードは奇妙な機械につながっていて、また昭仁、アオイ、竜、シュウにつけたスーツからのデータも別の機械が受信していた。
 よくわからない数値が上下し、また相方であるムービーファンからとられた数値も上下していた。
「ふむ、我輩の予想通りバッキーのカラーはムービーファン自身の『何か』が関係しているようだな」
 再び、模擬戦を繰り広げる実験場を見下ろした。
 シュウの攻撃を物陰に隠れたりして二人は戦っていた。
 栄三郎の予想以上に実戦さながらの光景だった。
「なかなか、やるではないか……」
 そのときだ、シュウがあえてはずそうした強力な魔法攻撃が唸りをあげて放たれた。
 しかし、アオイがこけて、直撃しそうになる。
「むむ! いかん!」
 栄三郎が思わず叫ぶが直撃したのは、赤城だった。
 しかも、ダメージはほとんどない。
 まるで、バッキーカラーのスーツが攻撃を吸収したかのように。
 ピピピピピピと赤城のスノーと、赤城自身の数値がシンクロし急激に高まったことを機械が示す。
「ふむ……これは、予想以上の収穫かもしれないな」
 栄三郎はつぶやくと、戦闘をそっちのけで今回のデータの統計を取り始めていた。
 
 
〜謎は深まるも、発見もあり〜

「おおう、スノー。元気だったか〜」
 がしっと抱きしめ我がバッキーに頬ずりをする赤城。
 スノーはいやいやともがきだす。
「しっかし、危なかったな。シュウも手加減上手いよな〜」
「ほんとほんと〜、ムービースターって役者だよね〜」
 4人とも着替え終わり、栄三郎からバッキーを返してもらっていた。
 休憩室でドリンクを飲み一休みをしている最中だ。
 和んでいるなか、一人だけ浮かない顔をしたシュウがいる。
(あの攻撃は割とマジだったんだが……どうして?)
 じーっと赤城を見るが、目だった外傷はない。
「諸君、今回は有意義な時間をすごさせてもらった。また、協力してもらいたい」
「OKOK、依頼料もこんなにもらえたし」
 満足そうに炭酸飲料を飲むアオイ。
「けどさ、あれで赤城のおじさんが昭仁の実の父親だったりとかだったりしたらあの後展開もりあがるよねー、あはっ! まじ、うける〜!」
 自分でいいながら、イロイロと想像しはしゃぎだすアオイ。
 そんな姿に昭仁とシュウは意味深な目を向ける。
 赤城は熱く暖かい瞳で見守っていた。
「ちょ、ちょちょちょ! 今のジョーダン! 冗談だからね! あたしはそーゆーんじゃないんだからっ!」
 3人の目線にアオイは顔を真っ赤にして両手を振って否定する。
「「ツンデレだな」」
 昭仁とシュウは同時に突っ込んでいた。

クリエイターコメントどうも、参加ありがとうございました。

初参加がこんなので、ごめんなさい。
ギャグよりもややシリアスな完成度になってしまったのは、なぜでしょう?

皆様お疲れ様でした。

それでは、また運命の交わるときまでごきげんよう。
公開日時2007-11-01(木) 17:50
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