★ 真円 ★
クリエイター犬井ハク(wrht8172)
管理番号102-8307 オファー日2009-06-12(金) 21:33
オファーPC スルト・レイゼン(cxxb2109) ムービースター 男 20歳 呪い子
ゲストPC1 刀冴(cscd9567) ムービースター 男 35歳 将軍、剣士
<ノベル>

 古民家で過ごす一時は、それがどんな時であっても、何か大きなものに包み込まれているかのような安堵感を与えてくれる。
「……なあ、刀冴(とうご)」
 初夏も間近な杵間山の中腹。
 緑に埋もれるようにして建つ古民家は、今日も、季節の彩りに映えている。
 やわらかくも鮮やかな緑を更に引き立たせるきらきらとした木漏れ日と、日光に輝く朝露の名残とを交互に見遣り、スルト・レイゼンは、庭木に水をやる古民家の主に声をかけた。
 否、それは水遣りというにはあまりにも美しい光景だった。
「ん、どした、スルト」
 鍛え上げられ、すらりとした刀冴の長身は、見るだけで彼が恐るべき手練れであることをスルトに教えるが、その周囲を、水の細かな粒が螺旋を描いて舞い飛んでいる様は、幻想的の一言に尽きる。
 差し込む日光を受けて、その一粒一粒が金剛石のようだ。
「いや……」
「ああ?」
「天人という種族の水遣りは、そういうものなのか、と思って」
「なるほど」
 かすかに笑った刀冴が、武人らしい隙のない足捌きでありながら舞のような、ゆったりとした優雅な動きで手を差し伸べると、水の螺旋が渦を巻き、庭の木々や花々、果ては雑草にまで降りかかる。
 さらさらという軽い音を立てて水の粒が緑を叩く。
 くすくすという、自分のものでも刀冴のものでもない笑い声が聞こえたような気がするのは、スルトの思い違いだっただろうか。
 刀冴の周囲をふわりと舞った水滴が、虹のきらめきを生み出しながら多様な緑たちを潤していく。
 刀冴の表情は闊達で、飄々と楽しげだ。
「俺はそもそも、純粋な天人でも、純粋な人間でもねぇが……まぁ、天人にせよ人間にせよ、こういう水遣りの仕方をするって聞いたことは、ねぇな」
「そうなのか」
「水の精霊がな、手伝いてぇって言うしな。なんかこいつら、すげぇ楽しそうだから、断るのも気の毒だし、まぁ、拒絶するようなことでもねぇだろ。……ああ、いや、違うな」
 小首を傾げた刀冴が、独白めいた言葉を口にする。
 スルトは、先ほどまで腰掛けていた縁側に、刀冴が出してくれた湯呑み茶碗を置いて立ち上がり、背の高い将軍の傍らに歩み寄った。
「何が違うんだ?」
 スルトが問うと、刀冴はせつなくなるくらい青い、真っ直ぐな双眸で彼を見下ろしていたが、ややあって、ふわり、と穏やかな笑みを浮かべた。
 そして、
「この街に来るまで、俺は、てめぇは人間だ、天人なんてもんは俺には関係ねぇ、って思ってた。天人の血の恩恵に預かっておきながら身勝手な話だがな。――でも、俺は人間にもなりきれねぇ半端者で、だから、俺に帰る場所はねぇんだろう、とも思ってた」
 木々の隙間から見える、銀幕市の街並へ、夏空のような青を向ける。
「――でもな。ここに来て、俺は俺だって事実以上に大事なことなんてねぇんだ、って気づけたからな」
「そう……か」
「多分、今の俺はもう、人間とは呼べねぇものになってる。こっちに来て色々やってきたからな、自分でも判るんだ……俺の中の、純血の天人の血が、俺を別の、人間でも天人でもねぇ何かに創り変えちまったんだ、って」
 刀冴の言葉は淡々として、表情にも口調にも揺らぎがない。
 しかし、自分が、自分の思うものではない何かに創り変わるとはどういう心持がするのだろう。それは、生まれてからずっと人間で、これからもずっと人間でいるだろうスルトには、判らない感覚なのだろうか。
「だが、俺は、それも悪くねぇって思ってる。ここで過ごした時間の全部が、俺をそう創ったんなら、それも悪くねぇ。……俺がそう思ってんのが判るから、精霊たちも、何かしてやろう、って思ってくれてるんだろうな」
 けれどスルトは、刀冴の言葉や笑みから、彼がそのすべてを受け入れているのだということを如実に理解出来たし、
「……そうだな、あんたがそう言うんなら、何も悪いことなんかないんだろう」
 刀冴の、そういう性質、在り方を、とても好もしく思っていた。
「俺も……そう思う。生きるってことは、真ん丸な円の、線の上を歩いてるようなものだ、って」
「はは、円……か。なんとなく、あんたの言いてぇこと、判る気がするぜ」
「ああ。一本の線が、カーブを描いていくだけで、いずれ端と端が出会い、円になる。線が出会う前に、色々なことがあるけど、それは、線の上を歩く奴らに、新しい、気持ちのいい風をもたらしてくれる。そういうものなんじゃないか、と思う」
 生きることは、得ることと喪うことの繰り返しだ。
 そして、出会いと別れの繰り返しでもある。
 それを知っているから、過酷な人生にあって、スルトは絶望しなかったし、この先にある何かを見てみたい、と思って前へ進むことが出来た。
 そのお陰で、今のスルトがいる。
「……あんたが」
 そんなスルトを見つめ、刀冴がぽつりと言ったので、スルトは首を傾げて彼を見上げた。
「ん? どうした、刀冴」
「いや、あんたが歩いてきた線がどんなもんだったのか、ちょっと興味があると思っただけだ。……あんたにその、揺らがない線を与えたのはなんだったんだろう、ってな」
「……ああ」
 スルトは苦笑した。
 あまり他者についてあれこれ詮索しない刀冴が珍しいことだとは思ったが、雪の日に彼の過去、彼の家族の思い出を聞いたことをスルトは覚えていて、刀冴になら話してもいい、彼となら思いを共有出来るだろう、とも漠然と感じていたので、
「あまり面白いものでもないと思うが」
 そう、断りを入れてから、ひとつ息を吸った。
 ――そして、記憶を、あの頃へと遡らせる。

 * * * * *

 生まれた時から、呪いの形代にと決められて、暗い暗い、光の射さない地下室のようなところに、ひとりきりで閉じ込められていた。
 物心ついた瞬間に、彼の目に入ったのは、冷たく重苦しい土の壁と天井だった。
 使い捨ての道具として生まれた――否、生み出された身だ、彼を人間として見るものはなく、彼を人間の子どもとして愛するものはなく、仮にも食わねば死ぬ身ゆえ最低限の養分は与えられ、世話もされたが、ふれあいなどなきに均しく、邪術師である両親が会いに来ることもなかった。
 それゆえに、感情は未発達で、呪いの形代として受け入れることを強いられた負の感情、一族の人々が使用した呪詛に付随するそれらを理解することはなかったのだ。
 そうして、十数年を、いずれ死んで捨てられる『道具』として過ごした。
 しかし、彼は死ななかった。
 呪いを扱い、他者を不幸にすることが生業であり営みであるがために、憎悪や怨嗟からは逃れられない一族が、莫大なエネルギーを伴うそれらの感情を肩代わりさせるために創り出したのが、彼だ。
 彼の前にも、何百人何千人もの形代が、怒りや憎しみが転じたエネルギーから一族を護り、死んでいった。
 けれど彼は、一万人以上の負の感情を喰らっても破綻することのない規格外であり、自分に向けられた呪いや憎悪、怨嗟の感情を喰らい、自分の力に変えることの出来る異端者だった。

(お前は危険だわ……始末しなければならない)

 その危険性に気づいたのは、実の母親だったのだ。
 あの時、『外』からの光を受けて輝くナイフを見た時の、どうとも言えない感覚を、彼は今でも鮮明に思い出すことが出来る。

(道具は、壊れて捨てられる運命なの。――逃れようなどとは思わないことよ)

 母は綺麗な人だった。
 彼女は、緩くウェーブのかかった黒髪と、灰色の目の、獣のような鋭さとしなやかさを持った女性で、誰かに母と教えられたわけではなかったが、彼の嗅覚のような何かが、ああこの人が自分を生んだのだと、直感めいた鋭さで告げていた。
 自分の世話をする小者以外の誰かがここを訪れたことはなく、母の訪問に、そのときの彼の心が、ほんの少し騒ぎ、華やいだことは事実だ。
 生まれてこの方、幸せや楽しさの何たるかを知らずに育ってきた彼だったが、心の中に小さく灯ったそれが、ごくごく当然のものであるのだということを、自然と理解してもいたのだった。
 しかし。

(死になさい、もうお前は用済みだわ)

 ナイフを振りかぶった母の、冷たい眼差しを、今でも覚えている。
 栄養状態が悪く、ずっと狭い地下室に閉じ込められている所為で身体も出来上がっていない彼が、どうしてそのナイフをかわせたのか、――否、何故そのナイフをかわさなくてはならないと思ったのか。
 それを恐らく、生存本能と言うのだろう。
 人間としての彼は、生きることと死ぬことの違いも判っていなかったのに、生きるという言葉の意味も判っていなかったのに、彼の生き物としての部分が、死にたくない生きなくてはならないと叫んだのだ。
 ナイフの鋭い一突きをかわして母を突き飛ばし、開いた扉から外へ逃げた。
 初めて見る外の世界に目が眩み、熱い空気に肺が焼かれる錯覚を覚えて脚が震えたが、背後に突き刺さる、母や一族のものたちの怒りの声に、追い立てられるように集落を飛び出した。
 もちろん、何の訓練も受けていない彼の脚では、逃げられる距離などたかが知れている。
 邪術師の一族に仕える護衛戦闘集団に追跡され、何度も殺されかけながらしばらく逃げて、ついに追い詰められた時、

(行きなさい……生きなさい)

 それを救ったのが、実の父親だった。
 一目見ただけで、彼には、自分を助けたこの男が父親だということが判った。

(どうして)

 彼に、両親や一族への憎しみはなかった。
 誰かを激しく憎めるほど、彼の精神は発達していなかったし、それだけの強い感情を、己を虐げ道具扱いした人々に抱けるほどのエネルギーを持ち得てもいなかった。
 ただ、不思議で仕方なかっただけだ。

(あのひとは、おれを、ころそうとしたのに。あなたは、おれとあったこともなかったのに、なぜ)

 父親に連れられて追跡者たちから隠れながら、彼は何度も問うた。
 父は、濡れて光る漆黒の双眸で彼をせつなげに見つめ、彼を何度も抱き締めた。

(すまない。許してくれと言って許されるものではないだろう……だが、私にも、ようやく判ったんだ。――愛のない女との間にお前をもうけた。だから道具として使い捨てられるお前に何の感情もないはずだった。だが……心の底から愛する女に出会って、子どもが生まれて、ようやく判った。私は、お前を助けなくてはならないのだと)

 そして父は、彼に、言ったのだ。

(私を憎んでくれ。罵り、罰してくれ。そして、お前は、いきなさい)

 ――追っ手が迫っていた。
 あの集団は執拗で、職務に忠実だ。
 誰かが食い止めなければ、追いつかれるだろう。
 そう、誰かが、身体を張って彼らとぶつからない限りは。
 父は、それをする気でいる。
 命を懸けて。

(いやだ)

 何故その言葉が出てきたのか、今でも判らない。
 判らないのに、目から熱い雫が滴った。
 頬を濡らすそれを何と言うのかも判らないのに、彼は父親の服の裾に縋り、泣きじゃくっていた。

(にくむのはこわい。いたい。くるしい。あなたをののしるのも、ばっするのもいやだ。――……あなたがいってしまうのは、いやだ)

 父親との別れに際して、ようやく芽生えた感情らしい感情、自意識らしい自意識だった。
 父は、彼のその言葉に驚き、目を瞠り、――そして穏やかに微笑んで、彼を抱き締めたのだ。

(ありがとう)

 最後に告げられたのは、静かな礼の言葉。
 父の唇が、こんな獰悪な場面には不釣合いなほど幸せそうな笑みを刻んだのを、彼は確かに見た。

(私は、お前の父親になれたことを、誇りに思おう)

 そして、父は、走り出して行き。
 彼はそこに取り残され。

(さあ……行くんだ。外の世界で、たくさんのことを学ぶんだ。そして、信じられるものと、愛するものを見つけ、――どうか、幸せになってくれ)

 耳をつんざく爆音と、追跡者たちの断末魔の声を意識の片隅に聞きながら、彼は、傷だらけの、ぼろぼろの身体に鞭打ち、足を引きずって、あの一族から逃げ切ったのだった。

(行きなさい。これが償いになるとは思わないが……いつでも、お前のことを見守っているよ)

 今でも、時折、夢に見る。
 父が、あの時浮かべていた、透き通った笑みを。
 自分があの時流した、涙の熱さを。

(生きるんだ……スルト)

 父が微笑みとともに名前を呼んだときの、魂が震えるような、あの感覚を。
 今でも、スルトは、忘れずにいる。
 父が、自分に向けてくれた、愛と覚悟と同等に。

 * * * * *

「……なかなかにハードだったんだな」
「ああ……まぁ、そういうことになるのかな? だが、刀冴だって、同じだろう」
「さあなぁ、俺には、それを計るよすががねぇから。――それで? 一族を逃げ出してから、どうなったんだ?」
「あの時の俺は、体力もないし傷だらけだったし、おまけに栄養不足で、ひとりで砂漠をうろうろしてよく死ななかったな、と自分でも呆れるような状況だったんだ。――……案の定というかなんというか、そのあと倒れてな」
「誰か助けてくれた、ってことか」
「ああ。運よく小さなキャラバンが通りかかって、そこに護衛としていた呪歌師の女性が俺を見つけてくれた。そのままキャラバンに拾われて、色々なことを教えてもらったんだ。俺は幸運だったよ」
 スルトを拾い、慈しんでくれた女性は、凄腕の呪歌師で、豪放磊落な愛情深い人だった。彼女は、スルトと同じような一族に生まれたが、どうしても一族のやりかた、在り方が許せず、馴染めずに飛び出して、以降、ずっと旅をしてきたのだという。
 そして偶然出会い、自分を必要としてくれたこの商隊を、唯一にして最後の居場所と決め込んだのだそうだ。
 キャラバンの信頼厚く、主人である若旦那にまで惚れ込まれていた彼女は、行く場所がないのならここにいていいよ、とスルトにも言ってくれた。
「母親のような、姉のような、人だったな。たくさんの大事なことを教えてくれた。俺が笑えるようになったのも彼女のお陰で、……実は、俺の初恋の人でもあるんだ」
「へェ……初恋か、なんか清々しいね。で、その彼女は?」
「俺が十八の時だったかな、キャラバンが賊に襲われて、それで」
「……そうか」
 彼女は身を挺して何よりも愛する人々を護り、おいて逝くことをスルトに詫びながらも、満足げに死んでいった。
 彼女の言葉に、表情に、仕草のひとつひとつに、後悔よりも充足を感じたから、彼女の死を悼み哀しみつつも、スルトは絶望しなかった。
「別れは辛いし、苦しい。だけど、あの人たちが、俺の中にたくさんのものを遺してくれたから、俺は諦めなかったし、もっと前に進まなきゃならないんだって思えた。――俺の線の上には、そんなふうに、いつだって、気持ちのいい風が吹いているんだよ」
 だからこそ、キャラバンに別れを告げ、たったひとりで砂漠を彷徨っていたスルトは、灼熱の砂の真っ只中で、運命の出会いを果たすことが出来たのだろう。
「親友にも、そのお陰で出会えた」
「親友か……どんな奴なんだ?」
 スルトの辿って来た道が、艱難辛苦に満ちてはいても、絶望や苦悩ばかりに彩られていないことが判るのだろう。そして、その道のありようを決めたのがスルト自身だということが判るのだろう。
 好もしげに目を細め、刀冴が問うのへ、スルトは少し笑った。
「砂漠の太陽みたいに苛烈で、容赦がなくて、そのくせ人が好くて、底抜けに明るい人だ。……そういえば、少し、あんたと似てるかもな、雰囲気が」
「は、そりゃ光栄だ……って言っときゃいいのかな、俺は」
「もちろん」
 彼と、彼の恋人である巫女とともに砂漠を彷徨い、旅をして、たくさんの出会いと別れを経験し、泣いたり笑ったり怒ったりを繰り返して、スルトは少し、真実に近づいた。
「あの日々がなければ、今の俺もなかった」
 ――生きる意味を掴み取ることは、難しい。
 特に、道具として生まれ、そのために死ぬはずだったスルトには。
 しかし、彼らと旅をして、気づいた。
 生きる意味なんて、なくてもいい。
 なければ作ればいい。
 それは多分、開き直りなのだろう。
 けれどそれで構わないと胸を張る自分が確かにいて、そんなスルトを信じ、愛してくれる人たちが、彼の周りにはたくさんいるし、線と線の出会う、かの真なる円の先に、彼らのもたらす清冽にして清廉なる風が吹いていることが判る。
「だから……俺は、幸せなんだろう」
 辛いこと、哀しいことがあっても、全部がそうではない。
 楽しかったことも嬉しかったことも確かにあった。
 否、スルトの命は、確かに喜びによってかたちづくられていた。
 今も、また。
「痛みや、苦しみや、涙を流した哀しい出来事も、幸せや喜びや、腹を抱えて笑ったことも、すべてまとめて『人』と言うんだろう」
 だからこそ、スルトは、それらすべてをひとくくりにして、愛しいと思うのだ。この、銀幕市での日々が愛しいのと同じくらい、自分が歩いてきたすべての足跡を愛しく思うのだ。
「そうか……そりゃ、悪くねぇな」
 スルトの言葉に、刀冴が快活な笑みを見せ、大きな手を伸ばしてスルトの頭をわしゃわしゃと掻き回した。
「うわ、ちょっ……呪布がずれる、じゃないか……!」
「ん? そうか、悪ぃ悪ぃ」
 悪いと言いつつ絶対にそんなことは思っていない表情と口調で刀冴が言い、スルトは苦笑する。
「まったく……あんたには敵わない」
「ん? 何のことだ?」
「……いいや、何でも」
「……? まぁいい、ずいぶん話し込んじまったから、そろそろ昼飯だな。もちろん食っていくだろ?」
「ああ、迷惑でないなら。刀冴の作る飯は、とても美味しいから」
「当然だ。腕によりをかけてやる、楽しみにしてろよ」
 闊達に笑い、また、呪布がずれるだろ、というスルトの呆れがこもった抗議を無視して彼の頭を掻き混ぜ、刀冴が厨へと消えていく。
 呪布を直しながらその背中を見送って、スルトは少し笑った。
 この場所での、幾つもの出会いもまた、真円に至る線の上でスルトが得たかけがえのないものだ。彼らが与えてくれたたくさんのものを、スルトは愛している。
 ――ここにも風が吹いている。
 それを、強く、思った。

クリエイターコメントオファー、ありがとうございました!

スルトさんの過去にまつわるお話を、いつもの場所で、ほのぼのと。そんなコンセプトで書かせていただきました。

何度も何度も苦しい辛い運命に行き逢いながらも、絶対に諦めず絶望しないスルトさんと、彼とは少し違った角度で自分を受け入れている刀冴さん、おふたりの共感と絆めいたものを、巧く描写できていれば幸いです。

銀幕市の魔法は終焉を迎えましたが、彼らがそれまでに積み重ねてきた温かい思いや絆に、常に光が当たればいい、と思います。

それでは、オファー、どうもありがとうございました。
また、ご縁がありましたら、是非。
公開日時2009-06-14(日) 21:00
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