★ 【小さな神の手】夢の町に、さよなら ★
<オープニング>

「あなたは泣くのよ。泣いて泣いて反省するのよ、オネイロス様にあやまるのよ。ひどいことになった街を見て、苦しまなくちゃならないの」

 ともだちは言った。
 言葉通りに、リオネは泣いたし苦しんだ、と思う。
 それですべてが贖えたわけではないことは、彼女がまだ銀幕市に暮らしていることが何よりの証拠。

「おまえの魔法に踊らされ、傷つき、死んでいる者は山ほどいる。おまえが思っているよりもはるかに多いと思え」

 誰かがそう告げたように、彼女の罪は本当に重いものなのだろう。
 先日の、あの恐ろしく、哀しい出来事も、それゆえに起こってしまったことなのだ。まさしく悪夢のような一件だった。いまだ、市民たちのなかには、深い哀しみと、負った傷の痛みから逃れられないものがいる。

 だがそれでも、季節はうつろう――。

「今度は……ほんとうに、みんなのためになることをしたい。魔法をつかうのじゃなくて、このまちで、泣いているひとが笑ってくれるようなこと。リオネがやらなくちゃいけないこと。……また間違ってるかもしれないけど、今はそうしたいと思うの。ねえ、ミダス、どう思う?」
「神子の御意のままにされるがよろしかろう」
 生ける彫像の答は、思いのほかそっけないものだったが、止めはしなかった。
 ならばやはりそれは、為すべきことなのだと……リオネは考えたのである。
 銀幕市には、彼女がやってきて二度目の春が巡ってこようとしていた。


 ★ ★ ★


「えっ! 市外へ転居されるんですか!?」
 ある日リオネが市役所を訪れると、植村がすっとんきょうな声をあげている。
 何事かと様子を見てみれば、話をしているのは一人の老女だった。
 上品な古典柄の着物に春色のストールをさりげなく合わせ、灰色の髪をかんざしで綺麗に結わえている。
 御年八十も半ばを過ぎた今でも、背筋をしゃんと伸ばして歩く闊達な女性で、銀幕市に長く住む住人の一人だ。
「最近この町でも物騒な事件が多かったでしょう。息子夫婦がそれを心配していて……何か起こってからじゃ遅いからって」
 どうやら女性は、近日中に銀幕市外へ転居してしまうらしい。
 その原因が先の悲しい事件にあるのだということは、会話の流れからリオネにも察せられ、思わずうつむく。
「そうですか。寂しくなります……」
 馴染みの住人が離れていってしまうことほど、市役所の職員にとって悲しい話はない。
「おじいさんのお墓はここにあるし、本当はワガママ言ってでもこの町に残りたいんだけど……あたしももう歳だからねえ。いつ動けなくなるかわからない老人を引き取ってくれるなんて、声をかけてくれるうちが花でしょ」
「そんなことおっしゃらないで。まだまだお元気じゃないですか。ここを離れた後も、今度はぜひ息子さんたちと一緒に遊びに来てください」
 植村は励ますように返し、問われていた転居の手続きに必要な書類を渡す。
「後日この書類を提出してくだされば、手続きは大丈夫です。もし記入の仕方がわからなければ、いつでもお問い合わせください」
 老女はありがとうと言うと、そうそう、と手を打った。
「植村さん。あなた、どなたかお手伝いさんに心当たりはないかしら」
「ええと、お手伝いさん、ですか?」
 何のことかと問いかけると、引っ越しの準備のための人手を借りたいのだという。
「引っ越すにしても、あたし一人じゃ、家中の荷物を片付けるのは大仕事なのよねえ」
 老女の夫はすでに他界しており、銀幕市内の墓に眠っていた。
 彼女は今一人で暮らしており、市内には身内も居ない。
「息子さんは、手伝いにこられないのですか?」
「ええ、それが。仕事の都合が付かないらしくて……。引っ越しの手配はそっちでやってくれ、なんて言われたものだから……」
「そうですねえ……」
「お友達もおじいちゃん、おばあちゃんばっかりだから、荷造りなんて重労働は頼めなくて」
 自分にできることは何か。
 それを考え続けていたリオネは、初対面であることも忘れ勢いよく身を乗り出していた。
「リオネやる! それ、お手伝いする!」


 そんな経緯もあって、リオネはすぐに色々なひとへ声をかけ始めた。
「おばあちゃんがお引っ越しするから、お手伝いさんを探してるの!」
 出会ったひとを捕まえて、リオネは切々と語る。
「おばあちゃんのおうちの荷物を、お引っ越し用に片付けて欲しいの。家具とか、お皿とか、本とか、ぜ〜んぶ! お昼にはね、美味しいゴハンも用意してくれるって」
 たどたどしい言葉で一生懸命に協力者を募るのは、魔法を使わずとも、自分にできることがあるのなら手を尽くしたいと思うからだ。
 これまで銀幕市を愛し、そこで過ごしてきた市民なら尚のこと。
 同じこの街で、かけがえのない時を過ごしたひとを助けたい――そう願うからだ。
「それと……それとね。おばあちゃんに、何か贈り物、したいの」
 先の悲しい事件は、今もまだ市民の胸を痛め続けていることだろう。
 しかし老女が転居した先でも、この町について思い返すのは輝かしい記憶であって欲しい。
「だから、どうか皆の力をかしてください」
 リオネはひょこりと頭を下げ、心から協力を仰いだ。

種別名シナリオ 管理番号533
クリエイター西尾遊戯(wzyd7536)
クリエイターコメントご無沙汰しております、こんにちは。
万年冬眠ライターの西荻悠(にしおぎ・ゆう)と申します。


今回は昨今の物騒な事件を受けて市外へ転居することになった、
おばあさんの家の荷造りを手伝ってくださる方を募集します。
家は小さな一軒家で、
おばあさんの荷物と、亡くなったおじいさんの蔵書などがあります。

衣類や食器などの日常のコマゴマしたものはもちろん、
タンスやテーブルなど大きな家具もありますので、
腕力のある方にもお手伝いいただけると作業がはかどるかと思います。

もちろん荷造りだけでなく、お掃除などのお手伝いも大歓迎。
お昼ゴハン休憩を挟みつつ一日作業の予定となりますので、
古びた一軒家でまったり過ごしたいという方もぜひおいでください。


それともうひとつ……。
何か良い贈り物のアイデアがある方は、
【 おばあさんへの贈り物 】もお持ちいただけると嬉しいです。

銀幕市を離れた後でも記念になるようなものだと
おばあさんに喜ばれるかと思います。


とてもささやかなお話になりますが、
銀幕市を取り巻く情景の一つとして描ければと思っています。

みなさまのご参加をお待ちしております。

参加者
神龍 命(czrs6525) ムービーファン 女 17歳 見世物小屋・武術使い
ギリアム・フーパー(cywr8330) ムービーファン 男 36歳 俳優
取島 カラス(cvyd7512) ムービーファン 男 36歳 イラストレーター
エンリオウ・イーブンシェン(cuma6030) ムービースター 男 28歳 魔法騎士
ルシファ(cuhh9000) ムービースター 女 16歳 天使
姫神楽 言祝(cnrw9700) ムービースター 女 24歳 自動人形
<ノベル>

●青と灰のココロ

 その日は早朝から青空が広がっていた。
 降ったりやんだりを繰り返していた春雨の日々から解放され、やっと訪れた晴天だ。
 過ぎゆく風はわずかに湿り気を帯び、連日の雨の恵みに木々の青さも一段と増したように見える。
 日中は夏日になると告げる天気予報をよそに、リオネは外出の準備をしていた。
 玄関につま先をトントンと打ち付ける。
 これから、先日市役所で会った老女の引っ越しを手伝いに行くのだ。
 澄み渡る空とは裏腹に、胸の内には未だ友達の残した言葉が響いている。
「いってきます!」
 リオネは勢い良く扉を開けると、灰色の不安を振り払うように約束の場所へと向かった。


 老女の家はダウンタウンの南に位置し、『名画座』からも近い場所にある。
 銀幕市に古くから居を構える、荘厳な一軒家だ。
 手伝いに参加する面々は一度そばにある児童公園に集まり、そろって家を訪れる手はずになっている。
 公園まで来れば、目的の家は目と鼻の先だ。

 一番乗りで到着したリオネが公園から遠巻きに家を眺めていると、背後から軽快な足音が聞こえてきた。
 背中に垂らしたおさげを跳ねさせながら、神龍命が手を振り、駆けてくる。
 手に持ってきた少し大きめの包みは老女への贈り物だろうか。
「やあ! お引っ越しの手伝い、しにきたよ!」
 一人で待っているのはさすがに心細いと思っていたリオネは、命の姿にほっと息を吐き、微笑み返した。

「これは趣のある家並みだな」
 続いてやってきたギリアム・フーパーは、公園の周囲に並ぶ家々に見入っていた。
 親日家の彼にとって、日本家屋が立ち並ぶこの一角はまさに眼福と言えよう。
 佇む彼はいつもよりラフな格好をしていたが、そこは現役の映画俳優のこと。
 いかにも質の良さそうな生地のシャツといい、頭の先からつま先までがセンス良くコーディネートされている。

 次に現れたのは取島カラスだ。
「リオネちゃん、神龍君、ギリアムさん、おはよう」
 彼が身につけているショルダー型のデイバッグの中には、彼のバッキー『黒刃』の姿もある。
 揃っている面々に会釈すると、腕時計へと目線を移す。
 約束の時間までまだあることを確認し、残りの者達を待つため、空いていたベンチに腰掛けた。

「今日はお天気になって良かったねぇ」
 集合時間、少し前。
 のんびりと歩いてきたのは、エンリオウ・イーブンシェンだ。
 転居する老女とは以前からの知り合いで、この公園も何度か訪れているらしい。
「やっぱり、寂しくなるねぇ」
 公園から見える老女の家を感慨深げに仰ぐと、通り過ぎていく風に目を細める。

 最後に現れたのはルシファと姫神楽言祝の二人だった。
 薄野家へ遊びに行く途中だったルシファが、その道中に言祝の姿を見つけ、一緒にやってきたらしい。
 言祝から事情を聞いたルシファは、言祝と命以外の者には初めて会う。
 白い少女は興味津々といった様子で周囲を見回す。
 見目そのものといった無邪気さで挨拶をすると、宣誓するようにひょこりと手を挙げた。
「私も、お手伝いするよ!」
 傍らに立つ言祝は、濃紺のドレスをまとって粛々と会釈を交わす。
「皆さま、宜しくお願いいたします」
 ドレスの裾を柔らかくつまむと、膝を折って優雅に一礼した。

 リオネを含め、今日集まる予定の七名が揃った。
 カラスが腕時計を見やると、時刻は十時前をまわっている。
「約束の時間だね」
 その言葉に皆が公園を出ようとする中、リオネだけが最後まで公園の中に佇んでいた。
 カラスがその姿に気づき、振り返る。
 少女の元まで戻り、そばにしゃがみ込むと、うつむいていたリオネの髪をそっと撫でる。
「さあ、行こうか」
 弾けるように見上げる瞳に、優しく微笑みかける。
 リオネはこくんと頷くと、先を行く背を追って眼前の家へと駆けた。



●尽きせぬオモイ

 家の入り口には、大人の腰ほどの高さの柵があった。
 柵は特に強固な施錠がされているわけではなく、誰もが簡単に開くことのできる形のものだ。
 だからといって勝手に中へ入るわけにもいかず、まずは表札の横にある呼び鈴を押してみる。
 しかし。
「ごめんくださーい! 誰かいませんかァ?」
 先ほどから命が何度も呼び鈴を鳴らしているのだが、なかなか反応が返ってこない。
 呼び鈴はインターホンとは違い、来客を通知する機能しか付いていないものだ。
 通話用のマイクなどは付いていないため、中から扉が開かれるのを待つしかない。
「おばあさん、居ないのかな?」
「外出している……ということはないよな」
 思わず不安になったギリアムが呟くが、今日の予定は事前に打ち合わせている。
 老齢とはいえ身なりも気性もしゃっきりとした女性のこと。
 彼女が外出しているとは考えにくい。
 しかし返事がないことには、七名は家の前で立ちつくすしかない。
「リオネちゃん、このお宅の電話番号って知ってるかな?」
 呼び鈴がだめなら電話をかけて不在かどうかを確認しようというカラスの提案だったが、リオネは電話番号までは聞いていなかった。
 叱責を受けた子どもの瞳でふるふると首を振るその横に、ふいにエンリオウが並んだ。
 少女の髪をぽんぽんと撫でると、ぽつりと口を開く。
「歳を取ると、耳が遠くなるんだよねぇ」
 勝手知ったる様子で門の施錠を外すと、お構いなしに足を踏み入れる。
 どうやら玄関の鍵はかかっていなかったらしい。
 エンリオウはさらに玄関の引き戸をガラガラと開けていく。
 不用心にもほどがあると驚く一同が慌てて追いかけると、彼は「おおい。遊びにきたよ〜」と声をかけながら、靴を脱いで上がっていってしまった。
「エンリさん、勝手に入っちゃって良いの?」
 ついに玄関の奥へ姿を消したエンリオウの背中を見送り、ルシファは不思議そうに問いかける。
 問われた言祝は肩をすくめた。
「……ルシファ様が薄野家に遊びに来られるのと、同じようなものなのかもしれません」
 老女と顔見知りだというエンリオウはともかく、他の面々はさすがにそれ以上先へは進めない。
 ひとまず入り口から中の様子をうかがっていると、遠くの方から女性の声が聞こえてきた。
「ま〜あ! あなた、エンリさんじゃないの!」
 察するに、この声の持ち主が今回の依頼主となるのだろう。
 どうやらエンリオウとの再会を喜んでいるらしい。
 いくつかの他愛ないやりとりが聞こえた後、すぐに着物を着た女性の姿が現れ、玄関先に膝をついて皆に頭をさげる。
「お出迎えが遅れてごめんなさい。皆さまようこそおいでくださいました。あたくしがこの家の主です」
 老女はリオネが市役所で見かけた時と変わらず、品の良い着物に身を包んでいた。
 髪こそ黒に灰が混ざりはじめているとはいえ、歳から見れば充分若々しい様子だ。
 精緻な細工のかんざしでまとめた髪は、まだまだ美しく艶めいている。
「遠慮はいらないよ! 困った時はお互い様、って言うじゃないか」
 深々と頭を下げる老女に、命が力強く答えた。
「心を銀幕市に置いていくあなたは、引っ越しても俺の大切な隣人だ。あなたの心を護るためなら、これくらい何でもない」
 命とギリアムの言葉に続いて、カラスとリオネが進み出る。
「初めまして、こんにちは。色々とお手伝いできればと思って来ました」
「こんにちは、おばあちゃん。お手伝いに来たよ」
 カラスが持っていたデイバッグの中から黒刃が顔を覗かせてまばたきをし、リオネはその影からおずおずと挨拶をする。
「私も、力仕事は無理だけど、できることを頑張ってお手伝いするよ!」
「わたくしも及ばずながら、ご助力いたします」
 ルシファの挨拶に続き、言祝が微笑む。
 そうして皆の挨拶が済んだところで、老女の背後からのっそりとエンリオウが現れた。
「やっぱり、庭に出ていて呼び鈴に気がついていなかったんだって」
 先に家の中を見て回っていたらしい。
 余計なことは言わなくて良いのよと叱咤しつつ、老女は皆を導く。
「外は暑かったでしょう。さあさ、どうぞ奥へお上がりくださいな。家の中を案内しましょうね」
 一同は誘われるまま、奥の間へと移動した。



 家の中は良く片付けられていた。
 引っ越しのために片付けたというよりも、普段から整理整頓がきちんとなされていたらしい。
 部屋数もあり、物もそこそこに置かれているのだが、必要最低限の品々だけが見目良く収められている。
「これなら、今日だけで充分作業ができそうだな」
 大きめの家具などをチェックしていたギリアムは、その荷物量に安堵する。
 彼が下積み時代に経験した幾多もの『密やかな引っ越し』を思えば、人手も時間も充分にある今回の作業は、そう難しいものではない。
「家具は邪魔にならないよう、必要最低限だけ持っていく予定なのよ」
 老女に続いて各部屋を回っていた際、ふと命が足を止めた。
「命ちゃん、どうしたの?」
 不思議に思ったルシファが聞くと、命は呟くように答える。
「廊下、ひんやりしてるね」
 スリッパが大きすぎて足に合わなかった命は、裸足のまま廊下を歩いていた。
 昔ながらの手による物なのだろう。
 均一に加工されたフローリング素材とは違い、床は天然の木材をそのまま磨いて使っている。
 ひたひたと足裏に吸い付く木肌が、冷たく心地良い。
「本当だ!」
 言われてルシファもスリッパを脱いで廊下に素足を付ける。
 それを見たリオネも、同じようにぺたぺたと足踏みをはじめた。
 先を歩いていた老女が立ち止まり、少女達の様子を見てころころと笑う。
「あたしも幼い頃は、廊下に寝そべって良く涼んだものよ。これからが良い季節なのよねえ……。さあ、ここが主人の書斎ね」
 言葉とともに開いた扉の先には膨大な量の書籍が並べられていた。
 書棚は窓さえも埋め尽くし、室内はうっそうとした闇に支配されている。
「これは……凄い蔵書量ですね」
 思わず見入ってしまったカラスの様子に、「ちょっとしたものでしょう」と老女が得意げに微笑む。
「主人は映画関係の本をいっぱい持っていたの。蔵書はそっくり古書店へ売るつもりだから、もし気に入ったものがあれば遠慮なく持っていって。映画のパンフレットも色々と残っているから、あなたたちの作品もあるかもしれないわねえ」
 そうしてひととおり家の案内が終わると、一階の居間へと戻る。
「お昼はここで、皆さんとお昼をいただきましょうね」
 畳敷きのそこには、大きな座卓が置かれている。
「昼食作りはわたくしにもお手伝いさせてください」
 淑女然とした言祝の申し出に「それじゃ、お願いしちゃおうかしら」と、老女が嬉しそうに微笑む。
 ひととおりの案内と説明が済めば、あとは作業にかかるだけだ。
「まずはお昼まで、皆で頑張りましょう」
 パンと景気の良い音をたてて手を合わせる老女の声に、一同はそれぞれ返事を返し、作業を開始した。



●眼に映る日々とキオク

 ひとまず誰が何を手に付けたものかと視線を交わし合っていると、生活サポート用自動人形の本領発揮とばかりに、言祝がそれぞれの能力に見合った役割を采配していく。
 彼女は各部屋を巡った時、全体の仕事量をある程度計算していたのだ。
「命様はエンリ様と一緒に日用品の片付けを。カラス様は壊れ物、食器類などの片付けをお願いいたします。ギリアム様は書斎を。ルシファ様、リオネ様のお二人は、屋内の清掃やゴミ集め、備品の補充など、皆さんのお手伝いをお願いいたします。大きい荷物は、午後に人手を集めてかかりましょう」
 ひとは的確な指示があれば動きやすいもの。
 指示内容に異論はなく、それぞれが言祝の指示に従い家中に散っていく。
「わたくしは昼食の食材と、備品の書い足しに行ってまいります」
「まあ、ひとりで大丈夫かしら。大荷物になったら大変よ」
 荷物持ちを手伝おうかという老女の申し出に、言祝は柔らかく笑みを返す。
「お気遣いありがとうございます。けれど、ご心配には及びません」
 そうして濃紺のドレスをひるがえし、外へと出かけていった。


 一階では命とエンリオウがさっそく荷造りにかかっている。
「よーし! じゃんじゃん片付けていくよ!」
 腕まくりをしてやる気満々の命を前に、エンリオウは「うん。でもちょっと待って」と制止する。
「手早く片付けていくのも良いけど、運んだ先で荷ほどきに困らないよう気を配るのも大事なんだよ」
 若々しい美形の青年。という外見からは想像もつかないが、エンリオウは中身はすっかりご老体なのである。
 それゆえ老齢のライフスタイルに通じていた。
 すぐに使うものをピックアップし、それをまとめてひと箱に詰めておく。
 ダンボールの箱には内容物を記載しておく。
 箱を埋めるごとに、きめ細やかな指示が飛ぶ。
「そっかァ! こうしておけば、おばあちゃんが引っ越しした先でも、欲しいものがすぐに使えるんだね」
 命は梱包材とともに、必需品と思しき品々をダンボールに詰めていく。
 エンリオウが埋まった箱の中身を確認し、うんうんと頷いた。
 そうして側面に内容物の概要を記載すると、ガムテープでしっかりと箱の口を閉じる。
「最初に大事なものを箱詰めしたら、あとは残ったものを順に詰めていくだけだよ」
「この調子で、一階の荷物はボクたちで綺麗に片付けちゃおう!」
 次のダンボール箱を手に、命はさっそく箱詰めするものを集め始めた。


 一方カラスは、キッチンの戸棚を前に一人黙々と食器の片付けをしていた。
 キッチンは居間に続く奥まった一部屋になっており、コンロと水場の真向かいに食器棚が置かれている。
 足元にダンボール箱を陣取ると、食器棚から慎重に荷物を運び出していく。
 硝子食器は一点、一点丁寧に新聞紙で包み、ダンボール箱の隙間に緩衝材を詰める。
 老女のひとり暮らしとあって、食器類はほとんど数がない。
 この調子なら、手早く作業を終えられそうだ。
「カラスさん!」
「しんぶん……足りてる?」
 ふいに、キッチンの入り口から二人の少女が顔を覗かせる。
 家中の掃除まわりついでに、各場所の面々の御用聞きをしているらしい。
「ルシファちゃん、リオネちゃん。二人ともありがとう。それじゃあ、もういくつか、新聞紙を持ってきてもらえるかな」
 カラスに頼まれ、ルシファが嬉しそうに顔を輝かせる。
「リオネちゃん、新聞紙だって!」
 仕事を任されたのが嬉しいのだろう。
 白い少女はリオネの手を引くと、笑いながら走っていく。
 去っていく少女達の背中を目に、ふうと息を吐く。
 食器はともかく、カラスの心配は別にあった。
 先ほど家を見回った時、玄関先や居間、和室に、いかにも年代物と思われる漆器を見かけていたのだ。
 言祝に『壊れ物』と指定されたからには、あれらの収納も自分の役目になるのだろう。
「食器もだけど、骨董品は気をつけて扱わないと……」
 それに、キッチンは昼食の準備のため、言祝が戻るまでに片付けておく必要がある。
 カレーを作ると言っていたから、人数分の皿とスプーン、コップ、そして鍋を残しておけば良いだろう。
 カラスは「よし」と気合いを入れ直すと、新聞紙を手に作業を再開した。


 書斎を任されたギリアムは、部屋を眺めてしばらく腕組みをしていた。
 この依頼を受けた時から、老女への贈り物として考えていたことがあるのだ。
 そこへ、皆の様子を見て回っていた老女が気づき、声を掛ける。
「どうしました。人手が足りないのであれば、お手伝いしますよ」
「それなんだが……この書斎、このままにはできないものかな」
 ギリアムは思い切って口を開いた。
 そうして兼ねてから考えていたとおり、老女が転居した後、この家を買い取り、邦画ロケ地として業界の人間に紹介したいと申し出る。
「本はもちろん、動かす必要のない家具はそのままにしておけば今日の手間もいくつか省ける。それに」
 一呼吸おき、続ける。
「たまたま見た映画の中に自分の家があったら、この家と一緒に、銀幕市のことも思い出してもらえるかと思ったんだ」
 金と人脈を使うことだから、あなたへの贈り物としてはあまり誇れるような申し出ではないが。と最後に付け加え、ギリアムは返答を待った。
 老女は少し逡巡した後、「そうねえ」とつぶやき、頷く。
「お金や権利の関わるお話になるから、ちょっと考えたいと思ったのだけれど……。あたしね、この家が本当に好きなの。大好きなのよ」
 呟きながらも、まぶしそうに部屋の様子を眺める。
 何十年とこの町で過ごしてきた老女には、一日では語り尽くせないだけの歴史を、この家と共に歩んできたのだ。
 眼に映してきた日々を辿るように、彼女はこの家を慈しんでいた。
「ひとって、一生に一度くらい、とんでもないわがままを言っても許される時があると思うの」
 我ながらちょっと剛胆だとは思うけれど、と続け、
「ここは遠慮するところじゃないって、あたしの勘が告げてるのよねえ。……だからお言葉に甘えて、この家、あなたにお願いしちゃっていいかしら」
 いたずらっぽく微笑む老女に、ギリアムは破顔する。
「あなたの希望とあれば、喜んで」


 カラスに新聞紙を届けた後、ルシファとリオネは雑巾を手に家中を掃除してまわっていた。
 元々片付いた家とはいえ、幼い子ども二人の手では結構な大仕事だ。
 そして道すがら使いを頼まれれば、競い合うように家中を走る。
「見て、リオネちゃん。あの時計、何か揺れてる!」
「ずっと動いてる!」
 古風な日本家屋とあって、目に付くものは何もかもが面白くて仕方がないらしい。
 通りがかった老女を捕まえると、時計を指さして尋ねる。
「あれは振り子時計っていうの。うちの中で、一番長生きな道具なのよ」
「長生きって、どれくらい?」
 リオネの問いかけに、老女は「そうねえ」と考え込む。
「あたしより年上だから、もう九十歳くらいかしら。この家に代々受け継がれてきたもので、大正時代からあるものなのよ。電池じゃないからゼンマイ……要するにネジね。動かすために、ネジを巻くのよ」
「ネジ!」
「巻きたい!」
 雑巾を放り出して目を輝かせる少女達に、老女は顔をほころばせる。
「巻くなら脚立を持ってこなくちゃねえ」
 そうして、ふいに鳴った鐘の音に少女達が歓声を上げる。
 その時だ。
「ただいま戻りました」
 玄関口から聞こえてきた声に、ルシファがいち早く反応する。
「姫ちゃん、おかえり!」
 迎えに出るルシファに続き、リオネが走る。
 最後に老女が、玄関先で言祝を出迎えた。
「お疲れさま。キッチンの片付けも済んだみたいだから、お昼の支度、しちゃいましょうね」
 ルシファが言祝の持っていた荷を少し受け持ち、キッチンへと走っていく。
 老女は玄関の戸を閉める前に、外の光に目を細める。
 太陽は天頂に昇り、昼も間近となっていた。



●忘れ得ぬジカン

 言祝が戻って来たのを機に、カラスは昼食作りの手伝いに回っていた。
 というのも、ギリアムによってこの家が買い取られることになった為、大部分の家具などはそのまま残すことになったのだ。
 荷物を減らす口実になると喜んだ老女は、飾られた骨董なども全て置いておくと告げた。
 書斎や家具類の片付けが必要なくなったため、皆の仕事量は格段に減った。
 とはいえ、梱包部隊が作業をする間は、言祝やルシファ、カラスやリオネがそろって昼食の仕込みをする。
 総勢八名のカレー鍋は、家事のエキスパートである言祝の心強い指示のおかげで出際良く進む。
 何か手伝おうかと告げる老女を笑顔でキッチンから連れ出すと、カラスはひょいと自分のデイバッグをさしだした。
「宜しければ、構ってくださると幸いです」
 呼んだ? とばかりに、『黒刃』がひょっこりと顔を出す。
 愛らしいバッキーを前に、さすがの老女もそれ以上は言い出せない。
 実のところ老女は、梱包部隊からもやんわりと手伝いを拒否されていた。
 「あたしの家のことなのに」と嘆きながらも、老女はバッキーと戯れることで、昼食までのひとときを楽しく過ごした。

 命とエンリオウ、そして後から加わったギリアムが手を尽くしたおかげで、昼食ができあがる頃には必要な作業のほとんどが片付いてしまった。
 「あと少し、あと少し」と頑張った分、正午をすっかり回ってしまったが、先ほどから出来上がったカレーの香りが皆の疲労を和らげていた。
「あとは、動かす必要のある家具を運べるようにして、最終的な掃除をしたら終わりでしょうか」
 言祝が炊きたての白米を皿に盛れば、
「これなら、夕方までに充分終わりそうだね」
 カラスが皿を受け取り、野菜たっぷりのカレーをよそう。
「じゃあ、午後は皆でゆっくり過ごそうよ!」
 準備の整ったお皿を命が預かり、居間の座卓まで運んでいく。
「ルシファおねえちゃん、座布団があるから気をつけてね」
 リオネは手に座布団を抱え、卓の周囲に敷き詰める。
「エンリさん、スプーンこっちにも!」
 ルシファはテーブルの上にコップを並べ、それぞれに水を注いでいた。
「ん。ちょっと待ってねぇ」
 エンリオウはそのコップに寄せて、カレースプーンを据えていく。
 食事の準備が整ったころ、家を買い取る手配の確認のため、電話を借りていたギリアムが戻って告げた。
「市役所にも事情を話しておいたし、手続きは問題なくいけそうだ」
 特にトラブルもなくうまく話がまとまったのだろう。
 その場にいる誰の目から見ても、彼の表情は喜びに満ちている。
 老女は無言で微笑んだ。
 もうこの家と共に日々を過ごすことはできない。
 けれど、かけがえのない時間と思い出を残して、この家はこれからも銀幕市に在り続けることができるのだ。
 この町を去るばかりと思っていた老女にとって、その申し出はどれだけ嬉しかったことだろう。
 やがて人数分の食事の用意ができあがると、言祝とカラスがキッチンから戻った。
 皆がそろって座布団の上に腰を据えたのを確認すると、言祝は満足げに頷く。
「さあ、いただきましょう」
 声に続き、それぞれの「いただきます」が重なる。
 去るひとも、残るひとも。
 ひとも、ムービースターも。
 同じ食卓を囲んで、談笑している。
 リオネはその様子をじっと見つめていた。
 ただこうして一緒に食事をしているだけ。
 けれどリオネには、それが嬉しくてたまらなかった。
「美味しいかい?」
 隣に座っていたカラスが、ふいにリオネの顔をのぞき込む。
 リオネはすぐには答えず、改めて皆の様子を見つめた。
 悲しい思い出よりも、楽しい想い出の方が良い。
 握りしめたカレースプーンには、自身の顔がさかさまに映りこんでいた。
 その顔もやはり、笑顔だ。
 リオネはご飯をすくうと、ぱくりと口に含み、噛みしめる。
 顔を上げると、こぼれんばかりに破顔した。
「うん。美味しい」
 その日食べたカレーは、これまでに食べたどのカレーよりも美味しく感じられた。


 大量に作ったカレーも、八人という人数を前にあっという間に空っぽになってしまった。
 残り物がないと片付けも早い。
 食事に使った食器などは、言祝を筆頭にルシファや命、リオネや老女が担当することになった。
 残った男性陣は持っていく必要のあるタンスなどを移動させるため、再び作業にかかる。
 タンスなどは大きい荷物だけに、動かした時に引き出しが開いたりしないよう、一点、一点丁寧に作業を進めていく。
 家具類の荷造りについては、かつての経験を活かし、ギリアムが手を尽くした。
 そうして全ての荷と、家具の準備が整い、各所の掃除が終了したのは、昼の三時を回っていた。



●夢の町に、さよなら

 梱包した荷は運び出すいよう、庭に面した縁側のそばに並べられている。
 これならば出立当日、業者がスムーズに作業できるだろう。
 大きく開けはなった窓から庭を眺め、作業を終えた面々は思い思いに午後のひとときを楽しんでいた。
「あのね、おばあちゃん」
 ふいに、命が老女のそばに立った。
「おばあちゃんに、贈り物があるんだ」
 「えっ」と驚く老女に、命は背に隠していたものを差し出した。
 手にしていたのは、赤茶色の分厚いアルバムだった。
 老女がおずおずと受け取り、その表紙をなぞる。
 命が促すように微笑み、老女はアルバムを開いた。
 アップタウンにミッドタウン。ダウンタウンもあれば、プロダクションタウン・スタジオタウン、果てはベイエリアの風景写真が並んでいる。
 銀幕市の名所はもとより、学校や住宅街、ちょっとした路地や公園まで、銀幕市のありとあらゆる情景がそこにはあった。
 中にはどこから撮ったのかと問いたくなるような、見晴らしの良い絶景写真もおさめられている。
 そして何よりも、なにげなく写された写真は、その町に住む人々の何気ない表情を間近にとらえていた。
「こんなにたくさん……大変だったでしょうに」
 老女の知る風景、知らない風景。
 通った道、出会った人々。
 ページをめくるごとに現れるのは、老女が暮らした銀幕市の情景だ。
「いつ撮ったのかって? ふっふーん、見世物小屋の皆に協力してもらったんだよ!」
 胸を張る命に、老女は「その皆にも、お礼を言っておいてね」と頭を下げる。
 命はその様子に頷き、優しく微笑んだ。
「これを見て、銀幕市を思い出してくれると嬉しいな」
 老女の隣からアルバムを覗き込んでいたルシファが、それなら私もと立ち上がる。
 手荷物の中から取り出したのはカメラだ。
「私からの贈り物は、今日集まった皆との写真だよ」
 皆揃って撮りたいからと、タイマーをかけて撮影することに決める。
 老女を中心にして皆で寄り集まり、「さーん、にーい、いーち!」のかけ声と共に笑い合う。
 シャッターが下りる寸前、黒刃がデイバッグから飛び出すハプニングもあった。
 ひとまず何枚か撮ったので、その中の一枚くらいは、ベストショットのものがあるだろう。
 それになにより、ハプニング写真ほど後々見返して面白いものはない。
 良いショットがあれば、ルシファは何枚でも焼き増しするつもりだ。
「現像できたら、おばあちゃんにあげるね。もちろん、皆にも!」
 ルシファは撮影を終えたカメラを手にすると、帰りにすぐ現像することに決めた。
 写真を撮り終えた後、カラスは黙々と描き進めていたイラストを老女に差し出した。
 それは、集まった面々と笑みを交わす老女自身の姿だ。
「あなたがまたこの町に戻ってきたいと思うのであれば、安心して住めるような町になるよう、尽力したいと思っています」
 魔法が解けるその日まで、スターもファンもエキストラも、心から笑顔でいられるように。
「きっとすぐ戻りたくなるわ。……だってこの町には、こんなに素敵なあなたたちが居るんですもの」
 胸に抱いたアルバムとイラストを抱え、老女は心から微笑んだ。


 やがて夕暮れ時を過ぎたころ。
 ふいに、それまで一行の様子を見守るばかりだったエンリオウが口を開いた。
「僕の贈り物が、この市を出ても手元に残るかどうか、わからないからねぇ」
 呟きと共に縁側へ進み出る。
 自分はムービースターだから。
 魔法によって生み出された存在がこの町を出られないように、その贈り物が、老女と共に別の町まで存在できるかはわからない。
 だから穏やかな思い出を持っていって欲しいと、エンリオウは縁側を見つめる。
 すいと手を動かすと、そこから明滅する光が浮かぶ。
 流れるようにすべる光は、エンリオウが魔法で描き出した蛍の情景だ。
 薄闇に浮かぶ光はやがて庭全体を埋め尽くし、あちこちで呼応するように光を放つ。
「わあ、これ何?」
 目を輝かせるルシファの問いに、言祝が静かに答える。
「これは、蛍、ですね」
「綺麗だねェ……!」
 命が光を追って天を見上げる。
 その視線の先を負うように、カラスが目を細めた。
「まるで夢をみてるみたいだ」
 ギリアムはその幻想的な光景に、呼吸さえ忘れて見入っていた。
 リオネは光に触れようと手を伸ばす。
 魔法で生み出されたとわかっていても、心に響く美しい情景。
 奇跡のような瞬間。
「ありがとう……。皆、本当にありがとうね」
 植村さんにお礼を言わなくちゃと、老女は泣きながら微笑む。
 そして涙声で、皆に向かって言った――。



 翌朝、引っ越し業者によって荷物が積み込まれたのを見届け、老女はタクシーに乗ってこの町を去っていった。

 ルシファが言祝とともに現像した写真を持って駆けつけ、エンリオウが知り合いの大家と連れだって訪れると、お茶っ葉の詰め合わせを渡してその姿を見送った。

 道すがら、カラスは通り過ぎる引っ越しトラックに気づき、後続のタクシーに向かって手を振った。

 命は見せ物小屋の皆と一緒に、見晴らしの良い場所からトラックとタクシーが銀幕市から離れていくのを最後まで眺めていた。

 リオネは市役所で、老女の家の手続きに関する、ギリアムと植村のやりとりを横から見守っていた。
 胸の内に響く言葉はまだ消えない。
 老女を手伝うことは間違っていなかっただろうか。
 これでもまだ、友達は苦しむべきだと言うのだろうか。


 悲しみの原因は未だ断たれていない。

 また悲しい情景を垣間見る日が来るのかもしれない。

 苦しいと泣く時が来るのかもしれない。


 夢の町にさよなら。

 寂しいけれど、悲しいけれど。
 これが今生の別れでは決してないから。

 だから、皆。



「約束よ。きっと、また会いましょう」



 いつか去る時が来ても。

 いくつもの別れがあるとしても。

 その胸に思い返すのは、どうか、輝かしい記憶でありますように――。




 了

クリエイターコメント ご参加誠にありがとうございます。
 お待たせいたしました。
 思い浮かんだ情景をひたすら詰め込ませていただきました。
 淡々とした内容ですが、少しでも想い出に残る一日となれば幸いです。

 ご意見、ご感想などありましたらぜひお聞かせください。
 それでは、またご縁がありましたら、どうぞ宜しくお願いします。
公開日時2008-05-28(水) 19:00
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