★ 大激闘!! スマッシュヒロインズ ★
<オープニング>

「ふぅ、今日も無事終了っと〜」
 名画座の上映を終え、此花慎太郎が戸締りをしていると意外な人物がやってきた。
「HI! シンタロー!」
 がしぃっとハグをしてくる片言な日本語をしゃべる男。
「ぐはっ、ロイさん! な、なんなんすか〜っ!?」
 みしみしぃっと、骨のきしむ音をさせながら慎太郎は答えた。
「HAHAHA、ちょっとした企画をもってきたんだ。スポンサーがほしくってね!」
 ハグを開放するも、バシバシと肩を叩き続けるロイ。
「いや、いたいっすから……しかし、監督がスポンサー探しなんて珍しいっすね?」
「どうにも、ボクのセンスは受け入れてもらえなくて、映画を愛するキミなら判ってくれると思ってね!」
「それは喜んでいいんすか、だめなんすか?」
 がっくりと項垂れ、はぁとため息が漏れた。
「喜ぶべきだよ! ボクらはブラザーじゃないか!」
「はぁ……そうするっす」
 どっと仕事以外での疲れが蓄積するのを感じつつも、慎太郎は話を聞くことにした。
「で、内容はなんなんすか?」
「王道路線でね、戦って買ったものが結婚式を行うってものなんだ。相手役はボクが有名な俳優を呼び寄せてショートムービーにしようと」
「へー、ファンタジーっすか?」
「そんなところだね。その上映場所と編集場所としてここを借りたいのさ!」
「それはいいっすけど……」
「決まりだねっ! ありがとう! これ、企画書だから目を通してくれよ!」
「あのー、まだ正式にOKだしたわけじゃ……」
「これから忙しくなるね! ヒャァハッ!」
 手を伸ばし、止めようとするもロイのテンションは絶好調なのか名画座から風のように消えていた。
「まぁ、どんな内容なのか……」
 ぱらぱらと慎太郎は企画書をめくり……そして、絶句した。
 
 バトルをして勝ち上がったものに有名俳優とのジューンブライドショートムービーを撮影。
 
 参加資格:ヒロイン(ムービーファン、スター、本気☆狩るとわず)
 
 対戦方式:ガチンコからジャンケンまでランダム(ただし、ロケーションエリア禁止)
 
 募集締め切り:七月頭
 
 有名俳優:現在交渉中
 
「な、なんなんすかこの企画はぁぁぁぁっ!?」
 読み終えたあと、慎太郎の絶叫が真夜中の町に響いたのはいうまでもない。
 

種別名シナリオ 管理番号154
クリエイター橘真斗(wzad3355)
クリエイターコメントどうも、橘です。
妙なシナリオを出します。

有名俳優はNPCの方々になります。
一緒にやりたい人を書いてみてください。ある程度応じます。

参加者は対戦形式の希望を以下の様式でかいてください。
いつ:朝、昼、夜などの時間です。
どこで:場所です。広場でもジャーナルの中でも、カフェでも。銀幕市内で限定してもらいますが〜
だれと:対戦相手や、第三者となど
なにを:じゃんけん、アミダくじ、ガチンコ、チェスなどの手段。
どうする:負けるのが勝負、三本勝負など、主な勝利ルールを書いてください

集まり次第、さいころを振って対戦形式を決めます。
なお、少ない場合はGMのよういした平和的な手段を加味した上でさいころを振ります〜。

誘惑対決でも、夕暮れの浜辺でおいかけっこでもいろいろと書いてください。
混ぜるのでどうなるかわかりませんがw

ちょっと、実験じみたシナリオですがよければご参加を!
よろしくおねがいしま〜す。

参加者
太助(czyt9111) ムービースター 男 10歳 タヌキ少年
ゆき(chyc9476) ムービースター 女 8歳 座敷童子兼土地神
八之 銀二(cwuh7563) ムービースター 男 37歳 元・ヤクザ(極道)
タスク・トウェン(cxnm6058) ムービースター 男 24歳 パン屋の店番
リゲイル・ジブリール(crxf2442) ムービーファン 女 15歳 お嬢様
<ノベル>

大激闘! スマッシュヒロインズ

 
 光あれば闇がある。

 光であることが多ければ、同じだけ闇は膨れ上がる。

「何でここに居るんだ、何で俺が居るんだ……」

 男のうめき声に闇は答えない。

 だが、闇は確実に男の心をじわじわと蝕んでゆく。

 息が苦しい、頭が割れそうに痛い。
 
 何度も壁にぶつけるも、一つの言葉が男を救った。
 
「出番ですよー」

「はぁ〜い♪」


〜ヒロインは小学2年生〜

「何じゃおぬしこまっとるようじゃの?」
 此花慎太郎が名画座の前で準備をしていると、日本人形のような少女がきた。 
「あー、確かに年齢制限は募集要項に書いてはなかったっすが……」
「あんずるな、わしに任せるんじゃよ」
 慎太郎のつぶやきに対して、ゆきは胸をぽんと叩く。
 顔は目を伏せて自信ありげだった。
「どこからそんな自信が……わかったっす。じゃあ、受付のところまで一緒にいくっすよ」
 自分の腰ほどしかないゆきに屈んで目線をあわせ慎太郎は悩んだ末、参加を認めた。
 立ち上がり、ゆきの手を握ってつれていく。
 手をつないで歩く二人は親子か兄弟に見える。
(『ひろいん』というものがよくわからぬが、楽しいイベントになればよかろう)
 ゆきの思いとは裏腹に晴れた天気がやや曇ってきた。
 どうなるかは神のみぞ知る……。
 
〜集いし漢女(ヒロイン)たち〜

 ゆきがつられて試写会用のホールへいくとそこには猛者(もさ)が集まっていた。
 人数がすくないため受付のすんだ人から簡単な自己紹介中のようだ。
「よーし、源内にチョコもらったから完璧だぜ」
 乱暴な男言葉とは裏腹に、すらっとのびた手。
 ぷるんとゆれる胸。
 ひらひらとなびくミニスカート。
 絶対領域をキープしつつ、長く細い足。
 美少女狸ひまわりは今日も男の視線を釘付けにしていた。
「美少女狸ひまわりをよろしく〜」
「おぉぉー!」
 ステージに立ち手を振ると客席の一部がもりあがる。
 いつの間にか追っかけができているようだ。
「この調子でひまわりの名前を有名にしていくぜ!」
 それでいいのか、ひまわりもとい太助よ。
「アタシの名前は本気狩る・ウルフ!」
 次にでてきたのはベビーピンクに身を包んだ37歳水瓶座の漢女(おとめ)だった。
 インパクトのある服装に会場が固まった。
「もう、感動でかたまっちゃってアタシまいっちんぐっ!」
 両手で自分を抱きしめ、片足をひょいとあげ、腰をくねらした。
 ある意味、どんな凶器よりもすごいかもしれない。
「え、えー。次は……」
 そのとき、急に会場が暗くなる。
「ふふふ、私よっ!」
 ライトが声の聞こえた客席より上にある映写室の窓へ向かった。
 そこにいたのはピチピチしたセーラー服に身を包んだタスク。
 しかし、動きや口調に女性らしさが漂う。
「人呼んで、本気狩る☆まいね! とぅっ!」
 ジャンプをし、くるくると弧を描いて回る。
 すたっと、客席の通路に着地すると、シュパパパとかける。
 2mほどの段差のあるステージ上まで、一回のジャンプで飛び上がった。
 スカートがひらひらゆれるも中身は見せない。
 そして着地する。
「ファンタスティーック! ブラボー!」
 舞台裏に待機していたロイ監督が思わず声をあげる。
 それにたいし、まいねはグッと親指を立てて返した。
(審査員にドウジがきているからね、気合をいれてアピールしなきゃっね)
「え、えーっと最後に飛び入りのゆきさん」
 此花につれられてゆきがステージにあがる。
 日本人形のような子の登場に拍手が沸きあがる。
「ほぅー、これはまたすごいのぅ……ゆきじゃ、このたびはわしをよろしくたのむのぅ」
 ぺこりとお辞儀をし、しまる。
 ったかのように思えた。
「あー、ごめんね飛び入りで一人頼むよ」
 ロイがステージにでてきて、こほんと一息。
「一般参加以外で、僕が街で見かけた人に声をかけたよ。それではマーガレットきてくれ!」
 マイクを片手に大降りでロイが出てきたのとは反対側の袖へ合図をなげる。
 でてきたのはフリルな水着に身を包んだ褐色で、おかっぱ頭の男。
「ま、マギーさんっすか!?」
「はぁーい、本気☆狩るマーガレットよぉん♪ よろしくねぇ」
 投げキッスを会場にばら撒きながら、マギーは出てきた。
 ロイ監督に『綺麗になるなら、本気☆狩るだよ!』と街中でスカウトされてやってきた。
 その事情は二人だけしかしらない。
 どうしようもない。
「まったく、面白いことになりそうじゃのぅ」
 ゆきは袖口で口元を隠すとふふと笑うのだった。

〜戦いの火蓋〜

「また、強烈なのが集まったっすねぇ……」
 司会進行を交代した慎太郎の感じたことはそれだった。
 本気狩る(自称含む)3人もそうだが、美少女狸ひまわり(本名:太助)。
 小学生で座敷わらしのゆき。
 たぶん、ヒロインに最も近い少女、リゲイル。
 以上の6人(5人と一匹かもしれない)によって、イベントが行われる。
 つーっと流れる汗を手の甲でぬぐって一息。
 もはや、引き返せない。
「えー、ただいまより第一回『大乱闘! スマッシュヒロインズ』を開催したいとおもうっす」
 開催宣言にわーっと狭い会場に集まったギャラリーが声を上げた。
 急な舞台に鼓動が高鳴る。
 それでも慎太郎はぽつぽつとではあるが司会を続けた。
「今回は皆さんにかいてもらったアンケートを混ぜあわせて、公平にヒロインらしさをアピールしてもらうっす」
「なるほどね、あのアンケートにはそういう意図があったのね」
 リゲイル・ジブリールは出演者として並びつつ、すまし顔を続けていた。
「審査をするのはロイ・スパークランド監督、竹川導次親分、柊 敏史市長、平賀源内さん、常木 梨奈さんっす」
 ステージ上に出演者とは反対側に並べられた審査員席に各自がずらっと並んでいる。
 名前を呼ばれると手を振ったり、一礼したりと各々がリアクションをしていた。
(さすが、手馴れてるっすねぇ……)
 そして、ロイ監督の挨拶がはじまり、慎太郎は袖に下がった。
 パイプ椅子に座ると、全身の疲れを感じた。
(ここまでは何とかなったっす。これから……)
 ロイ監督の挨拶が済み、慎太郎が第一試合のくじ引きを行うときが来た。
「それでは、第一試合のくじ引きをはじめるっす」
 そこには5つの箱。それぞれに「いつ」「どこで」「だれと」「なにを」「どうする」
 と書かれていた。
 ここから一枚ずつとって勝負をするというのだ。
 対戦者とあったばあいは一対一の3組。全員とあった場合サバイバルといった具合である。
 慎太郎が汗ばむ手でくじをひいていく。
 『満月の夜』
 『カフェ・スキャンダルで』
 『対戦者と』
 『あっちむいてホイ』
 『笑ったら負け』
「……」
 会場の誰もが思った。過酷な戦いが始まったと……。
 
 
〜仁義なきオトメの意地〜

「じゃんけんぽいっ、あっちむいてほいっ!」
 急遽、スキャンダルの一角を貸しきることとなった。
 ちょうどその日は満月の夜。
 カフェの客がそのままギャラリーとなって試合(?)が行われた。
 
 ウルフ VS ゆき
 
「ふふ、あたしのとっておきを見なさい、あっち向いてほいっ!」
 ウルフの必殺技。
 右手で指をむけつつ左手で自分の鼻の穴に指を突っ込み、変な顔。
「あははは、そ、それは、反……則じゃ。ぷひゃひゃひゃ」
 ゆき、撃沈。
「確かに勝負にかってはおるけどなぁ」
「美しくないな。おれの作った『ろまんちっくチョコぐれぃと田吾作MAX』を食べればひまわりのようになれるというのに」
 ドウジ、源内ともさすがに退いている。
 何かチェックシートのメモを取る二人。
 審査はひそかに行われているのだ。

 そのほかの結果。
 マーガレット○VSひまわり●
「おかま言葉のあっち向いてホイは反則だぜ」
「んもぅ、可愛い子。なでなで〜」

 リゲイル●VSまいね○
「男の人なの?」
「体は男、心は女よっ!」


〜君は(大食い対決で)生き延びることができるか〜


第2試合
『夜』『名画亭で』『全員と』『大食い対決』『生き残った人が勝ち』

「えー、これは死ぬほど料理をだせということっすか」
「もっちのろんさ!」
 慎太郎の問いにスマイルとサムズアップで答えるロイ監督だった。
「こ、今月の出費がぁぁぁ……」
 涙を流しながら、メニューすべてをつくり出す慎太郎。
 さすがに可愛そうだったのか、利奈が応援に入った。
 
「大食い! ばっちこーい!」
 気合が人一倍入るのは美少女狸ひまわり。
 元気いっぱいに食べだす。
「ん〜、多少食べ方がきたないかもしれないが元気さがカバーしているね」
 と柊市長。
 こんな企画にここまで付き合ってくれるのは実にできた人だと誰もが思う。
「さすがに、このような量は食べれないわ……」
 上品にいくらが口をして、口元をぬぐってからリゲイルはリタイア。
「引き際がいいね。うん!」
 ロイ監督は好印象である。
 勝負はその後も続き、ひまわりと本気狩るズががんばるもひまわり相手にダウン。
 
 勝者 ひまわり(一人勝ち。リゲイルリタイア。他死屍累々)
 
 次の試合は翌日に回されることとなった。
 
 
〜君のためなら耐えれる〜


第三試合
『昼ごろ』『カフェで』『対戦者と』『お姫様抱っこ耐久戦』『潔く一本勝負』

「うわー、すごくヒロインらしい対戦方法ね」
「確かに一番まともだ。面白みもないがな」
 利奈と源内に口々にいう。
 
そして、どちらが王子役やお姫様かをジャンケンでペアを決める。

王子:ゆき お姫様:ウルフ
王子:ひまわり お姫様:リゲイル
王子:まいね お姫様:まーがれっと

「わしには無理じゃ……」
「あ〜ら、あたし見た目より軽いのよ〜そーれ」
 ポツリとつぶやくゆき。
 彼女に向かってウルフは輝くような笑顔で、抱きあげられようと、飛びついた。
 
 べちゃ
 
 ゆき・ウルフペア。0秒
 
「お姫様抱っこをするほうって不利なきがするぜ」
「あら、男装の麗人というものあるのだから絵になれば有利だと思うわよ?」
 ぼやくひまわりにたいして、リゲイルはお姫様抱っこでポーズを決めていた。
「まぁ、あっちにくらべれば……」
 と、ふたりの視線の先は残りのペア。
「まーがれっと感激〜」
「く、くぅ……おも……」
「レディに向かって重いなんていったら、けっとばしちゃうわよん♪」
 汗をたらしならが、長身でたくましいまーがれっとを支えるまいね。
 人生初めてのお姫様抱っこに感激し、思いつく限りのセクシーポーズをとる。
 動かれて、手日からがなくなってくるもお姫様抱っこへのこだわりが倒れることを拒む。
 まいねの口から荒い息がでる。
 汗もどんどん噴出してくる。
「まいねちゃん。よく見るといい男ねぇ、キスしてあ・げ・る」
 ぶちゅ〜。
「ぐは……ギブ」
 ドシャァ
 
 まいね・まーがれっとペア。 1時間。
 
 結果はひまわり・リゲイルぺアが1時間5分で勝利した。
 
「過酷な勝負だったな」
「私はやっぱりお姫様抱っこされるほうがいいな〜」
「そうかそうか、ならばおれが……」
 すっぱぁんっ!
「源内は仕事しろ仕事ー」
 利奈に対して、わきわきと手を動かし近寄る源内。
 すかさずひまわりのスリッパが唸る。
 両手をロープでぎゅぎゅっと縛りそれを利奈に握らせた。
「なかなかいい手際やな」
「アクション系ヒロインの素質あるよね!」
 導次、ロイがそれぞれチェックをした。
 
〜栄光は誰の手に〜

 その後、レッドのポーズ対決3本勝負や、にらめっこをしながらの早食い対決などを行った。
 それぞれが全力で戦い、汗と涙と笑いが巻き起こった。
 二日目の夕方。
 名画座に戻り、結果発表が行われる運びとなった。
 ロイ監督がマイクの前に立ち、コホンと咳払い。
 
「今日はみんなの戦いを見せてもらった。ヒロインに対する気持ちがよーく伝わってきたよ!」
「第一回 スマッシュヒロインズ優勝者は」
 ステージが暗転し、ダララララララとドラムロール音がなる。
 ライトが回転し、出演者たちを照らしていく。
 バンッ!
「美少女狸ひまわり」
「お、俺か! おー!」
 両手を振って喜ぶひまわり。
 拍手喝さいがおき、ロイ監督からトロフィーが受け渡された。
 ショートムービーは後日、この名画座で上映を行われるという。
 大激闘のイベントはこうして幕を閉じることとなった……。
 
〜宴のあと〜

 企画も終わり、スタッフたちが撤収していく。
 そんな中、控え室で燃え尽きている二人の男がいた。
一人はタスク・トゥウェイン。
「な、なんで俺こんな格好してるんだ……」
 もう一人は八之 銀二。
 ベビーピンクの衣装のままタバコに火をつけた。
 力なく椅子にぐったりしている。
「銀幕ジャーナルみたくねぇなぁ……」
 銀二が見なくても、人に見られてしまうことに気がつくのは今しばらくあとである。
 がんばれ、銀二。
 
 

クリエイターコメントギリギリですみません。

ノベル完成ですっ!

濃い皆さんの活躍を書ききれず、申し訳ありません。

第二回目はもう少し考えて募集とかしたいナーと思います。

あらたな本気狩る戦士が増えて(ふやして)しまいましたw

楽しんでいただければ幸いです。

それでは、またお会いする日までごきげんよう
公開日時2007-07-19(木) 19:20
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