★ 【未明の夢】Melodious Red ★
クリエイター高槻ひかる(wsnu6359)
管理番号156-3820 オファー日2008-07-09(水) 21:14
オファーPC Sora(czws2150) ムービースター 女 17歳 現代の歌姫
ゲストPC1 ドクターD(czdu7674) ムービースター 男 35歳 精神科医兼心理分析官
ゲストPC2 来栖 香介(cvrz6094) ムービーファン 男 21歳 音楽家
<ノベル>

 熟れすぎた夕日が、街を己の色に染めあげていく。
 ソレは赤。
 滴り落ちそうな赤。
 生まれることが罪としか思えない、絶望の赤。
「ねえ、楽にしてあげるわ。あなたに安息と終わりをあげる」
 彼女はふわりと儚げに微笑んで見せる、けれどその瞳は凍えるほどに冷たく硬い。
「殺してあげるわ、できるだけキレイなカタチで」
 こぼれていく言葉は、まるで繊細な音楽のように澄んでいる。
 あらゆるものに疲れ切ってしまった少年は、どこか諦観と期待の入り混じる視線で彼女を見つめた。
 虚ろな瞳に力はなく、その口元にはほんのわずかな安堵の笑みが浮かんでいた。
「うん、頼むよ」
 死なせて欲しいと、彼は言った。
 殺してあげると、彼女は言った。
 銀幕市を一望できる高台で、日が沈み街の明かりが灯っていくのを眺めながら、彼はさらにポツリと呟いた。
「もう、終わりたいんだ……」
 夢が踊る銀幕市のこの高台で、太陽が与える鮮赤の色を受けながら、彼女はスルリと自身の髪を飾るリボンをほどいた。
 純白のリボンは彼女の手によって、少年の首もとにそっと巻きつけられた。
「……この悪夢を、終わらせてあげる」
 途方もないこの絶望から、あなたを逃がしてあげる。

 少女の歌うような囁きは、そのまま『追悼』の歌に変わった――




 白い壁を飾る穏やかな色の壁紙。
 クリーム色の柔らかなカーテンがサラサラと風に揺らぐ。
 Soraの日常、Soraの生活、Soraの世界は、この狭く白い匣の中にすべて収められていた。
 銀幕市立中央病院第四内科棟、その一番西側に位置する狭くも広くもない個室が、いま現在のSoraの住居だ。
 何もなく、何でもある、安心と不安が混在する不可思議で不自由な場所。
 映画の中でも、映画の外でも、Soraは同じように病魔に囚われ、白い匣の中の住人のままだ。
 退屈であることすらも、もう感じない。
 ただ、窓辺に佇み、空を見上げ、嘆く代わりに歌を歌う。
 ひたすらに歌う。
 自身の内からあふれ出す旋律に言葉を与えて。
 けれど、それをけして楽しんではいないのだ。
 苦しげに眉がよる。
 自分には『自由』がない。
 籠の中の鳥は籠の外に出てしまっては生きていけないのだから、だからSoraはソレを仕方のないことだと思うようにしてはいるが。
 心の揺らぎを抱えて、曲を変える。
 誰かを想って、何かを描いて、もしかすると自分の感情はすべて『旋律』に乗せなければ形を成せないのかもしれない。
 いつか悲鳴すらも歌になってしまうだろうか。
 いつか途方もない憎しみや哀しみすらも旋律へと変えられていくのだろうか。
 そして。
 そしてもしその瞬間がきたら、自分は自分だけの『音』を奏でることができるのか。
 不意に、巡る思考までも旋律に滲ませるSoraのその歌を遮るように、遠慮がちなノックが響いた。
 歌は途切れる。
 どうぞ、と声を掛ければ、木目柄の扉が開かれた。
「失礼しますね、Soraさん。調子はいかがですか?」
「あら、先生、いらっしゃい。めずらしいわ、先生がここに来るなんて」
 窓枠に手を掛けたまま、肩ごしに視線をなげる。
 ノックとともにやってきたのは、銀の髪の精神科医だ。
 ドクターD。
 自分と同じムービースター。
 でも自分よりずっと『自由』にも『不自由』にも見えるムービースター。
 時折入院患者のメンタルヘルスケアとして色々な病棟に駆り出されているムービースター。
 いまはたまにこうして自分の様子を見にきては、ちょっとした話し相手になってくれるムービースターだ。
 社交辞令にも似た医師と患者の会話を終えてから、ふと、Soraは思いつく。
「ねえ、先生、まるで関係のない質問をひとつ、いいかしら?」
「ええ、わたしで答えられることでしたら」
「きっと先生になら答えられると思うわ、そうね、たぶん、だけど」
 体ごとドクターに向き直り、窓に背を預けながら、Soraはゆるやかな、けれどどこか挑むような笑みを口元に浮かべる。
「ねえ、先生、【絶望】って、なんだと思います?」
 絶望。
 ソレはたやすく口にできる単語でありながら、ひどく残酷な概念だ。
 精神科医はかすかに首を傾げ、それから笑みを浮かべたまま、そっと言葉を返してきた。
「――曰く、【死に至る病】なのだそうですよ。心を殺し、魂を殺しながら、肉体的死には直結しない病、ですね」
 例えばソレは、不治の病である以上に自身を苦しめるものだろう。
「本当の意味で【絶望】を目の当たりにされた方は、おそらくその事実に驚き、打ちのめされるのかもしれません」
「自分が〈病気〉だと知らされた時の衝撃に似ているかしらね?」
 そうなのだ。治りようのない、ただ死に向かうだけの病だと知らされた時の衝撃に、そしてその余命がまるで不透明であるという事実への恐怖に、これはとてもよく似ている気がした。
「先生は絶望したかしら?」
「かつて“わたし”たちはこの銀幕市に絶望しましたが……そうですね、“今のわたし”はまだその〈病〉には罹っていないようです」
 春の陽射しのような眼差しで、ドクターDはSoraを眺める。
「あなたはそのような病にかかった方をご存知なのですか?」
「さあ、どうかしら? でも、この街にならいくらでも〈感染者〉がいるんじゃないかとは思うわ」
 Soraは、そっと自分の手に視線を落とす。
 彼の声や表情からは、自分が望むものは何ひとつ読み取ることができなかった。
 ため息が落ちる。
 そもそも、自分は何を求めてこの精神科医に問いかけたのだろうとすら思えた。
 視界に入るのは、透き通るほどに白く、陽に焼けることを知らない病的な色を持つ自分の手だけ。
 だが、そこにまたしてもふと浮かぶものがあった。
「ねえ、もうひとついいかしら、先生」
「ええ、なんでしょう?」
 イタズラを仕掛ける子供のように、口元を隠してクスクスと笑みをこぼしながら、ドクターを上目遣いで見上げる。
「先生にとって、〈人を殺す〉ってどういうことですか?」
 思いがけない問いかけのはずだ。
 彼にしてみれば、もしかすると予想の範囲内の問いかけかもしれない。
 ドクターDはSoraの言葉を受け、わずかな思案を見せてから、ゆっくりと答えを返してきた。
「わたしにとって〈人を殺す〉というのは、〈シュレディンガーの猫〉と同じものでしょう」
「……いろんな意味に取れすぎて、結局全然意味が分からないわ、先生」
 それでもSoraは満足した。
 ドクターが部屋を出て行くのを眺め、その背が扉の向こうに消えると、再び、窓の向こう側へと視線を投げる。
「ああ、そうだわ。そろそろまた外泊をさせてもらおうかしら。『家』に帰らせてってお願いしないと」
 これはひとりごと。
 そして、とても素敵な思いつき。



 真夜中の町を歩く来栖香介は、漆黒の装いに夜気をまといながら、軽やかな身のこなしで閉鎖された遊園地のゲートを飛び越えた。
 廃墟巡りは趣味のひとつ。
 何か面白いことが起こればいいと期待しながら、まるで猫のようにふらりと気まぐれに至る所へ踏み込んでいく。
 けれどこの遊園地を訪れる場合にだけは、ほんのわずかな引っかき傷のような感傷を抱くのだ。
 目を閉じれば、『あの日』の喧騒が聞こえてくるような気がした。
 聖女の名を持つ金の髪の幼い少女、そして居場所を得られなかった子供たちとの、目まぐるしいパレードの夜――
 この遊園地で『完璧なキメラ』を作ろうとしたあの日からもう一年が経っている。
 それでもいまなお鮮やかに、思い出すことができる自分。
 何故自分がここに来たのか、何故自分が今日ここを選んだのか、まるで理由は分からない。
 ただ、予感はしていた。
 その予感だけで、ここに再びやってきたと言ってもいい。
 そして、その予感は外れない。
 香介は口ずさむ。
 ソレはごくごく自然な、呼吸することにも等しい行為だった。
 あの日、あの時、あの子供たちの世界に触れて溢れ出た〈思い〉が、旋律となって、真夜中の廃園に流れていく。
 メロディは風に乗る。
 香介の内側から外の世界へ、見果てぬ夢の残骸が眠る場所に流れていく。
「ん?」
 ぴちゃん。
 何かが足元で跳ねた。
 そして、遠くかすかに聞こえる、ソレは硬質な、なにかが地面に当たる音。ひどく聞き覚えのある、ソレは〈フィルム〉が支えを失って地面に転がり落ちる音。
 誰かが、戻ってしまったのか。
 でも、どこで、誰が?
 好奇心、ではないと思う。
 けれど香介は鋭敏にして優秀な聴覚でもって、その音の発生源を目指していた。
 誰もいないお化け屋敷、走る車のないゴーカートのサーキット、鏡の割れたミラーハウス、そんな壊れた者たちの前を通り過ぎ。
 気づけば。
 電気の通わない、打ち捨てられた遊具のどれひとつ取っても輝きを持たない、圧倒的な静寂をまとうメリーゴーラウンドの前に立っていた。
 これは、再会。
 記憶の中にある聖女の名を持った幼い〈少女〉ではない、けれど別の記憶に残っている〈少女〉、自分が音楽を提供した『映画』の歌姫との、二度目の邂逅。
「Sora……」
 落ちているはずのフィルムはどこにもなく、代わりに、折れそうなほど華奢な体を白のワンピースで包んだ儚げな少女が自分を迎える。
「あら、こんばんは。こんなところで会うなんて奇遇ね」
 彼女は一瞬だけ驚いたように目を見張り、それから口の端をつりあげるように、ふ、と微笑んだ。
「それとも必然かしら?」
「さあな、単なる偶然でも俺は全然かまわねぇけど」
 肩をすくめ、どこか面倒くさそうに、けれどほんの少しの好奇心とともに彼女を見やる。
「何してんだ、あんた」
「散歩かしらね? 入院ばかりしていると飽きるのよ。だから外泊届けを出して自由を楽しんでいるところ」
「へえ……」
 嘘か本当かなんて、そんなことはどうでもよかった。
「まあ、いいか。気を付けろ、って言っても意味ないだろうけど」
「そうね」
 短く短く、彼女は答える。
 彼女を取り巻くかすかな緊張感、張りつめた何かに気づかないふりをして、目的を達した香介は踵を返す。
 その背を追いかける、少女の澄んだ声。
「ああ、そうだわ、あなたにも質問を預けておこうかしら」
「なんだ?」
「ねえ、【絶望】ってなに?」
「……絶望?」
 何の冗談かと思った。
 絶望――、【絶望】などという単語を質問の形でこの自分に差し出されるとは思っていなかった。
 訝しげに、香介はSoraを見やる。
「まだ答えはいらないわ」
 くすりとSoraは笑みをこぼして、香介の次の言葉も待たずに身を翻した。
「それじゃ、さよなら」
 夜の世界に、白い鳥が、あるいは白い蝶が、ひらりふわりと舞って消えていく。
 後には何もない。
 自分以外の何ひとつ、そしてあの日から時の止まった遊園地の遊具以外の何者も、ここには残されなかった。
「じゃあ、誰が死んだんだ?」
 改めてこぼれた呟きは、純粋な疑問。
 プレミアフィルムが転がる音は、誰かの死を意味しているはずなのに、そこに【死】の痕跡はなかった。
 考えられる理由は、あまり多くない。
 香介は、この銀幕市が見る『夢』すべてを肯定すると決めている。
 だから、銀幕市が与えるどんな事象も受け入れるつもりでいた。
 ただ、ほんの少しだけ好奇心を刺激されたから、ほんの少しだけ関わってみたいと思ったのかもしれない。
 ソレがやがてどこに行きつくのかまでは、考えるつもりもなかった。



 この街は夢を見ている。
 その夢は時に、人の心をたやすく押し潰し、人の命をあっけなく奪い去る。
 いっそ何も知らなければ、幸せになれたかもしれない。
 けれど知ってしまったら、それは耐え難い苦痛に変わる。



 日の暮れた後の銀幕広場は、噴水の水すらも夜の中に沈みこみ、時折キラキラと外灯の光を反射する。
 別に待ち合わせしたわけではない。
 しかし、Soraはわざわざ外出届を出し、まるで何かの引きつけられる様に三度目の邂逅を果たした香介とこうして並び歩いている。
 交わすのは他愛のない会話だ。
 戯言と言ってもいいような、そんなとても意味などないかのような問答を繰り返しながら。
「そういえば、ねえ、例えば……、そう例えばよ? 探偵として一番厄介だと思うのはどんな事件だと思う?」
 上目遣いで彼の表情、そして彼の唇を、Soraは横目でみやる。
 唐突な質問に香介は一瞬きょとんとした表情を浮かべ、それからやや面白そうに、ほんの少し投げやりに答える。
「そうだな……あえてひとつを挙げるとすれば、ソレは事件にならない事件、じゃねえか?」
「事件にならない事件?」
「たとえば、はじめからそこにないものを盗んだり、たとえば初めから死んでるヤツを殺したり、例えば、そう、死体のない殺人なんかも厄介だろ」
 起きていない事件は、解決のしようがないじゃねえかと彼は言う。
 何気ないふうに羅列されていく状況はどれも、Soraの心の琴線に触れた。
 とても魅力的な響きが自分の中に生まれる。
「そういえば、死体があるから犯人たちは困るのよね、その処理に」
「死体が見つからなきゃ、完全犯罪は楽に達成できるかもな」
「人の死って、死体がなくちゃ認識すらしてもらえないものってことね」
 くすりと、Soraは笑みをこぼす。
 こぼしながらも、揺らぐ自分を自覚する。
 人は死ぬと何になるのだろう。
 入院中にふと興味を引かれて手に取った推理小説はどれも、そこから先の話をしていない。
 あるのはせいぜい、そこに発生し残された『死体』の取り扱い方法くらいだ。
 解体するか、埋めるか、捨てるか、そこに残しておくか。
 ミステリーの世界における『死』は、その瞬間だけを切り取られて、演出のように差し出されているだけだから。
 そこではいつでも死体は装飾品であり、演出されるものであり、舞台装置のひとつであり続ける。
 だが、死体が残らなければ、そういった役割すらも受けられない。
 この街では、そうした『役割を与えられない者たち』があふれているのだ。
 その事実に強い眩暈を覚えながら、それでもあえてそれら全てを押し隠すように、Soraは香介に戯言をまじえて笑いかける。
「死体の処理に困らないなら、シリアルキラーもずいぶん楽ができるわね」
 そうして、ふ、と、Soraは手を伸ばす。天に向けて、見えない星を掴むように。
「そう、案外簡単なのよね。誰かが誰かを殺すことも、それを処分することも、すべてとても簡単なんだわ」
 もうSoraは香介を見ない。
 見ているのは、そこにはいない相手。
 どれほど手を伸ばしても、星はつかめない。月には届かない。それが現実、それが事実、それが動かしようのないルール。
 だから。
「ねえ? ミステリにおいて、発覚しない犯罪に〈意味〉はあると思う?」
 どれほど伸ばしても星にも月にも届かないのなら、あとはもう、この胸を掻き掴むだけだ。
 両手を胸の前で組み、〈彼〉を思う。
 あの日あの時手に掛けた心を寄せたあの少年と同じ顔をした〈彼〉の絶望を思いながら、締め付けられるような痛みを堪えて口にする。
「意味のないことをする意味がある?」
「……意味のないことも、やってみりゃ面白いんじゃねえの?」
 香介がこぼしたその答えに、また少しだけ、心が揺れた。
「あなた、時々変な人ね……ね、くるたん?」
「その名前で呼ぶな、どこで覚えてきやがったんだ、まったく!」
 確信犯的に告げてみた嫌がらせの言葉を、香介は聞き流せずにムキになって抗議する。
 他愛のない会話だ。
 ひどく他愛のない、けれどどうしようもなく暗い影が心の底に落ちる会話。
 胸の奥に突き刺さった棘がずっと疼いている。
 Soraは口元に笑みを乗せて、そしてそのまま、夜にとけるように香介の傍を離れ、別れた。



 誰かに自慢したいわけではなかった。
 自己顕示欲、ではなかったと思う。
 ただ、これはどこまでも純粋な救済活動。
 たとえ嘘だと言われても。
 嘘ではないと、言い切れなくても。
 毒を含んで、事切れる少年。
 心臓を突かれて、息絶える少女。
 頚動脈を引き裂かれ、絶命した青年。
 絶望は、死に至る病。
 けれど自分では、なかなか肉体的死を迎えることのできない病。
 だから、手を差し伸べる。
 殺してあげる。
 終わらせてあげる。
 誰にも知られずに、誰にも悟られずに、そっとそっと存在を埋葬してあげる。



 来栖香介は〈曲〉を作る。
 望まれたなら望まれたように、一片の不満も入り込めないほどに〈完璧な曲〉をクライアントに提供する。
 けれど誰も、香介が『音楽』に抱く思い、その中でもとりわけ覚える『恐怖』にはまるで気づかないのだ。
 香介は夜に向かう街を歩きながら、様々なことに思いを巡らせる。
 最近、行方不明者が増えているという。
 それが意味することを考える。
 時折出会う、Soraという少女と交わした言葉ごと、思い出す。
 誰かが何かをしているのかもしれない、誰も何もしなくとも人はたやすくこの街で消えることができるけれど。
 事件らしい事件の報告もなく、誰が騒ぐわけでもなく、対策課が動くまでには至っていないとも聞いた。
 香介はどこでだれが何をしようと、実のところ、あまり興味はない。
 好奇心ならあるかもしれない。
 けれど、たとえば『行方不明』が誰かの犯す罪だとしても、それを断じようなどとは、かけらも思わない。
 そこに興味はないのだ。
 そして今日も、散歩に出かける。
 長い散歩だ。
 いつもよりほんの少し早い時間から、埠頭でも廃園でも公園でもなく、この街を一望できる高台を目指して。
 理由は簡単だ。
 先程からずっと歌が聞こえるのだ。
 それに引きつけられている。
 あるいは、それに誘われている。
 見上げれば、滴るような色彩を放つ夕日が、世界を燃えるような赤に染めあげていた。
 まばゆいばかりの、罪の色。
 そして。
 香介はその光の中に目撃するのだ。

 長い髪の少女が、華奢な少年を抱き寄せ、その首に、頚動脈にナイフを突き立てるのを。
 そしてそのナイフを、刹那のためらいも見せずに抜き去るのを。

 ――カラン。

 彼女の足元に、鮮赤が飛び、流れ、落ち、広がり、ひとつのプレミアフィルムが転がり落ちるのを。
「大丈夫、残したりしないわ、大丈夫……」
 彼女はフィルムを拾いあげると、胸に抱き、鮮赤に染まったワンピースを揺らめかせながら天使のように歌った。
 それは鎮魂歌。
 あるいは、葬送曲。
「すべて夢。なら、ねえ、醒めてしまえばソレはもう消えて無くなるだけよね」
 こぼれた呟きは、誰に向けたものなのか。
 香介は、目を細め、感心したような、納得したような、そんな微妙な表情と声音で呟く。
「ああ、なるほど……あんただったのか」
 彼女は、第一楽章を丁寧に歌い上げてから、ようやく口をつぐんだ。
 そうして驚く素振りも見せず、彼女は――Soraは、赤をまとって、雑木林を背にして佇む香介を見つめる。
 自分がここにきたことを、気付いていないはずがなかった。
「そいつは?」
「彼? うん、彼はね、〈感染者〉よ。だから殺してあげたの」
 意味ありげに、けれど悪びれもせず、彼女は告白する。
「だって、絶望を想うなんて、絶望に寄り添い続けるだなんて、永遠に治らない病を抱えたままいき続けるなんて、可哀そうだもの」
「そいつ以外にも?」
「そうね、殺したわ。何人も何人も終わらせてあげた。そうすることは簡単なの、とても簡単。だってムービースターは死体が残らないんだもの」
 そういえば、事件にならない事件が一番厄介だと、そう告げたのは香介だ。
「あたしを告発でもする?」
「いや、そんなつもりもねぇし。べつに、どうということもねぇと思うけど」
 香介は『夢』を肯定する。
 あの日、あの時、あの幼い子供たちが見た夢を、やろうとしていたことを肯定したように、香介はSoraの存在も許容する。
 異質な自分を異質でないとしてくれる、この異常な世界が気にいっていた。
 だから、彼女が何をしていようと、咎めるつもりはカケラもない。
 だが、彼女はこの言葉の意味を、それに続いた沈黙を、好意的には受け取らなかったらしい。
 自分を挑むように見上げる視線には、強い光が宿っている。突き刺さるような、突き放すような、矛盾した感情で閃く瞳。
「なら、どうしてここに?」
「歌が聞こえたから……あんたの歌、すぐ分かるからな」
「……わかる?」
「ああ」
 Soraの声が、その音が、わずかに硬直する。
 だが、ソレは一瞬だ。
 彼女はパチリと両手を打ち鳴らし、にっこりと場の流れを変えるように笑った。
「そうだわ、この間の質問の答え、用意してくれた?」
「質問……?」
 手を、胸を、腕を、赤く染めた彼女は、赤い世界で問いかける。
「あなたにとって、【絶望】ってなに?」
「……考えたくもねぇけど」
「考える必要もないかしら?」
 Soraの声が踏む音階が、怒りとも哀しみと持つかない情感を混ぜこんでいく。
 香介にはその変化を聞きとることができる、けれどその変化の理由が見えない。
「ああ、そうか、そうよね? あなたにとっては取るに足らない、本当にくだらない執着にしか映らないのよね?」
 ただひとつ分かるのは、彼女の嘲りは、彼女自身に向けたものだということ。
「ねえ、知らないでしょう? わからないわよね? あなたになんか分からない」
 感情の振り幅が次第に大きくなるのを肌で感じる。
「ねえ、わからないでしょう? 焦がれて、求めて、願って、祈って、命を削って向きあったものすべてが、魂をかけた全てが、他人によって与えられたものでしかないなんて」
 メゾ・ピアノからフォルテ。
「……ねえ、知らないでしょう? 命を削って、魂を掛けて、全身全霊で音楽に身を捧げた全てが、虚構でしかないなんて――」
 メゾ・フォルテ。
「ねえ、分からないでしょ? あした目が醒めないかもしれない、いま目を閉じたらもう永遠に朝が来ないかもしれない、だからいまこの瞬間に何かを残したいと願って歌う、その願いすらも〈誰か〉に与えられた〈ニセモノ〉だと気づかされる怖さなんて」
 強く強く強く――胸を掻き毟りたくなるほどの強い思いが、音となって香介に向かってくる。
「ニセモノなの、存在そのものがマガイモノなの、才能なんてどこにもない。この絶望が分かる? ねえ、分かるかしら、分かるわけないわよね、分かるだなんて言ってほしくもないわ!」
 責めているのだ。
 彼の前に立つ、それだけで気力がすべて使い果たされてしまいそうになりながら。
「あなたはオリジナル、ホンモノの天才、“そういう『設定』”なんかじゃない、ホンモノなんだもの……っ!」
 Sora――命を燃やし、歌を紡ぐ、〈天才〉と呼ばれた歌姫。
 聞くモノの心を振るわせ、揺さぶり、時に死すらもたやすく受け入れさせる驚異的な音を生むモノ。
 けれどその曲は、その旋律は、すべて、そう、すべて――
「いまもあたしが紡ぐ音はすべて、あなたを越えられない――っ」
 言葉が弾ける、フォルテッシモ。
 激情。
 感情の迸り。
 赤い光の中で、色白の彼女はさらなる鮮赤に染まる。
 そして、ふ……、と、彼女の感情の波が凪いだ。
 降りてくる、空白のような沈黙。
 しんとした、ブランク。
 Soraは、そっと静かに呟く。
「ねえ、夢は夢でしかないのに……どうして、自分の意思で目覚めることがこんなにも難しいのかしら?」
 彼女の瞳は、暗い昏い闇の底を覗いているかのような濃い影を映す。
「この街は夢を見ているわ。でも、あたしは夢を見る側じゃない。夢から作り出されただけの存在、あなたの影、あなたの落した小さな小さな影でしかない存在なのよ、命を削っても、魂を掛けても、あたしは死体すら残せない、何も残すことのできない、人間だとすら思われないの」
 赤い色が彼女の前で踊る。
 ソレは夕日の残滓なのか。
 それとも、彼女が手に掛けた少年の最期の血潮がみせる幻影なのか。
「こんなにも残酷な現実をどうして背負わなくちゃいけないのか、どうしてこんなにも残酷な病を科されなくてはいけないのか、考えて考えて考え続けたの」
 ゆらりと、揺れる。
「ねえ、こんなにも軽い存在に耐えられるわけ、ないでしょ?」
 香介は笑っている彼女を正面から捉える。
 視線が、感情が、体が、心が、揺れて、彼女は音もなく自分の瞳の前までやってくる。
「あたしを殺して、でなければ……あたしがあなたを殺すわ」
 高潔にして潔癖な、毅然とした少女の視線。
「生きながら死んでいる、死にながら生きている、この〈世界〉を終わらせてしまいたいの」
 香介には彼女が眩しい。
 まぶしすぎて、ほんの少し目が痛い。
 特別思い入れがあったわけではない。あの映画も、あの映画に提供した曲も、あの映画の女優も、香介の中では『己の仕事をした対象』という位置づけでしかない。
 しかし、その認識が変わる。
 じわりと、けれど確かに、変化する。
 彼女が笑っているのか、泣いているのか、本当はよく分からない。
 ただ、分かることもある。
 彼女は、生きている。
 人としての時間を生き、人らしい感情で、人らしく、ゆるやかに壊れながらも音楽に臨んでいるのだと、なぜかそう感じた。
 香介は、ひたすらに純然たる思いだけで音楽と向きあえる彼女に、不可解な感情、あるいは感傷、もしくは羨望めいたものを抱くのだ。
 同時に、どうしようもないくらいに『音』に絡めとられている自分、音楽から離れられない自分、自我を失って音に溺れる自分を厭いながら。
「ねえ、教えて? 神様はどこにいるのかしら」
『ねぇ、香介、……神様ってどこにいるのかしらね?』
 Soraの呟きが、キメラを見つめていた金の髪の少女の呟きに重なる。
 同じ音階、同じ感情、同じ音色、ソレは絶望が奏でる絶望者たちの旋律。
 心の琴線が、振れた。
 なぜなのかは、やはりわからない。
 わからないけれど、いま、この瞬間、彼女の『思い』を手にしておきたいと願う自分に驚く。
 知らず、そっと胸に手を押し当てていた。
 香介の胸ポケットの中には、虹色に光を反射する真珠がひとつ、小さな黒い袋にはいって収まっている。
『――香介』
 あの日、あの時、異形のパレードを願った幼い少女の声が耳の奥に蘇る。
 目の前にいるSoraとは似ているはずがない、なのに彼女が抱いていた空気を香介はSoraに見た気がした。

 ――コレ、アナタにあげる
 ――一度だけ誰かを、あるいは何かを、永遠にそこへ閉じ込めることが出来るのよ

 ようやく香介は、目の前に立つ〈少女〉へと掛けるべき言葉を見つけた。
 決める。
 これはもう、決定事項だ。
 おそらくは、そう、Soraとパレードが行われるはずだったあの〈廃園〉で出会った瞬間からの。
 だから目を逸らさずに、香介はSoraに問い掛ける。
「どうやって、死にたい?」
 悲壮感も使命感も昂揚感もなく、ただ静かに、どこか優しさすら滲ませて、問い掛ける。
 Soraは微笑んだ。
 初めて、だったかもしれない。
 透明な、ガラス細工の陽に繊細で脆く、ソレでいて人を引きつける、圧倒的な造形美を絶望で彩った美しい笑み。
「できるだけ、キレイな死に方がいいわ。できるだけ印象的に、できるだけ、そう、聴覚と網膜に焼きつくような、旋律的な死に方がいい」
「わかった」
 了承は、短く。
 けれど、そこに続ける台詞があった。
「ただ、あんたの希望を聞く代わりに、こっちもひとつほしいもんがあんだけど」
「なに?」
「アンタのその〈思い〉だけ、俺にくれ」
「……」
 Soraは一瞬、驚いたように目を見張り。
 それから。
 透明な笑みを小さく小さくこぼした。
「何でも持っているくせに、変なモノを欲しがるのね」
 香介はそれには答えずに、手を伸ばす。
 彼女から、彼女のナイフを受け取って、一瞬触れた肌で体温を交換しながら。
 彼女は、歌う。
 その歌声に、香介もまたかすかな旋律を重ねる。
 二人の天才が奏でる天上の音楽にとりまかれながら、太陽が地上に落とす残照としのび寄る黄昏のもとで、取り出された虹色の真珠が淡い光を放つ。
 鼓動にも似たその光を受けながら、香介はSoraのために、Soraは香介のために〈葬送曲〉を紡いでいく。

 これは初めから仕組まれていた運命。
 これは初めから決められていた筋書き。

 そして、フィルムがもうひとつ。
 だが、来栖香介が自らの手元に残すのは、焼けるような鮮烈な赤に染まった小さな真珠だけ。
 それ以外の一切を彼は欲さず、望まず、故にフィルムをあらゆる【罪】とともにそこへ埋葬し、ひとり、夜の世界へ歩き出す。





「先生、どうかしら?」
 読み終えた書物をそっと閉じた精神科医へと、向かいに腰掛けたSoraは頬杖をつきながら目を細めた。
「そうですね……とても興味深い内容だとは思います。絶望、というのがひとつのキーワードのようですしね」
 対する彼もまた、穏やかに微笑みながら目を細める。
 銀幕市立中央病院の吹き抜けのラウンジはまるで、ガラスケースの中のカフェだった。
 今日も天上から注ぐ太陽の光をめいっぱい取り込んで、明るく清浄な世界を構築している。
 ふわりと鼻先をくすぐる心地良い紅茶の香りには、アップルのフレーバーがよく似合った。
「あたし、先生が実は探偵だって噂、いろんな人から聞いたのよ?」
 だから教えてほしいと、そう続けて、
「どうして〈彼女〉はシリアルキラーになったのかしら? しかも、まるで完全犯罪をたくらむみたいに」
 薄氷色のワンピースをまとうSoraは、どこか愉しげに問いを重ねる。
 ドクターDがたったいま読み終えたのは、今朝、病院のベッドで目覚めたSoraの枕元にそっと置かれていた〈Soraの物語〉だ。
 血のように鮮やかな赤の色彩をもつ一冊の本。
 けして厚くはないけれど、充分な存在感を持ったその表紙には、金色の飾り文字で〈Melodious Red〉というタイトルが綴られている。
 変化のない日常の中の、思いがけない非日常。
 Soraはソレを読み、そしてドクターDとの面会を主治医に希望した。
 だから、午前診療を終えた精神科医は、こうしていまこのラウンジで自分と向き合い、紅茶とアップルパイを供に、『事件』の真相を探っているのだ。
 唇をなぞり、深海色の瞳を持つ医師は、わずかに首を傾げて微笑んだ。
「彼女の本質はそこではないと、わたしは思いますが」
「そうかしら?」
「ええ、その解釈では、本来の目的と手段が行き違い、思考が間違った方向にずれてしまいますから」
 そう告げる彼の視線は、まっすぐにSoraをとらえていた。
 すべてを見透かすような深海色の静かな視線をブラウンの瞳に見つめられながら、なぜか不思議と安心感を覚えてしまう。
 心地よい音楽に耳を傾けるように、Soraは精神科医の解釈を聞く。
「続けて、先生」
 強烈に過ぎる夏の陽射しすらも柔らかなモノへと変えるこのラウンジで、ドクターDはゆるやかに事件をといていく。
「この物語の〈彼女〉は、確かにシリアルキラーとなりました。キッカケはおそらく、映画の中で出会った少年と同じ役者が演じた相手の絶望を聞いて、その願いを聞きいれたことだとは分かります」
「そうね、きっと冒頭のあれが最初の事件」
 彼女の物語は、高台で始まり、高台で終わるのだ。
「ですが、〈彼女〉は殺すことに愉悦を感じているわけではないのでしょう。毒殺、刺殺、絞殺と手段を選ばずに相手を殺しながら、彼女はレクイエムを奏でている。自分を壊しながら、突き進んでいる」
「壊しながら……」
「そうしていながら、〈彼〉と出会い、言葉を交わす。〈彼〉を糾弾しながらも、求めていたのは〈消えることない永遠〉だったと思うのです。存在の軽さ、存在の曖昧さ、それ自体に苦しめられた者たちを、存在あるものに変えたいと願いながら」
 そこで一度言葉を切り、彼は告げる。
「推理小説においては、〈死〉は等しく意味あるものです。現実ではあり得ないほど、ひとつの死が重い。〈物語(せかい)〉を動かす重さを持っているのですから」
「……でも、フィルムを残さなかったわ」
「フィルムを持ち去り、殺害の証拠を消したのは……おそらくは、罪の発覚を恐れるのではなく、彼らの絶望を他の誰かに勝手に解釈されることを怖れたがため」
 なにひとつ分からない人間に、勝手に解釈されることを厭うというのは、理解できる気がした。
「それでもその事実を、その罪を、〈彼〉にだけは語っているでしょう? 語られることで、これは物語となる、物語となれば、消えることなく存在し続けられるのですから」
 だから、この物語の中に生きる〈Sora〉は、自ら犯人となったのか。
 絶望という名の病に罹患した同胞たちを救済しながら、自分もまた誰かの手により救済されることを望みながら。
 存在。
 存在するということを、考える。
「ねえ、先生、だとしたら、ひとつ教えてもらいたいことがあるんだけどいいかしら?」
「……はい、なんでしょうか?」
「“存在する”って、なんなのかしら?」
 根源的な問い。
 ムービースターならではの、夢の産物たる存在ならではの、それは不安にも似た問い。
 三度この銀幕市に実体化し、そしてこの街の呪いに好かれているとすら言われた精神科医は、一度瞳を閉じ、それからゆっくりと深海色の瞳をSoraに向け、微笑んだ。
「ある医者が言っていたのですが、すべてはそこにあるだけで平等なのだそうですよ?」
「え」
「……ああ、それからもうひとつ。この〈本〉におけるSoraさんは、重要な点を見逃していますね」
 思わず戸惑いの声をあげたのに、ドクターが続ける言葉はこちらへの問いの解答ではなかった。
「映画に用いられた〈曲〉は確かに来栖さんのものでしょう。それが感性として組み込まれている以上、メロディライン、印象、選び生み出される旋律は共鳴するほどに近しいものとなってしまうかもしれませんが、しかし」
 瞳がさらなる深みを帯びる。
「歌詞は、Soraさんの中から生まれた、Soraさんの言葉ではないのですか?」
「あ」
「来栖香介さんの介在はそこにはありません」
 思いがけない指摘だった。
 予想外と言ってもいい。
 Soraは半ば呆然としながら、ドクターの穏やかな声を聞いていた。
「あなたの言葉によってあなたの音楽は生まれ、あなたの言葉によって誰かの心が揺さぶられる。あなたの言葉こそがあなたの音になる。あなたの言葉が誰かの中に残り、繋がり、受け継がれていく」
 ソレはとても美しい連鎖。
 うっとりするような、永久機関。
「音楽とはそういうものだと、そしてあなたの歌はあなたのものであると同時にあらゆる人の中に残って行くものだと、わたしは認識しているのですが」
 違いますか、と彼はいう。
「……先生……」
「はい、なんでしょう?」
「こういうときは、この気持ちは、どんな音楽になるかしら?」
 あふれだす、その光を抱いて、Soraは夢を見るように、それでいてはっきりとした意思をもって、既に自分の中で答えの出ている問いを口にした。
 ドクターは答えない。
 けれど、受け取るべき答えは受け取った。
 光射す庭で。
 白い光あふれるガラスの世界で。
 少女と精神科医は、互いに笑みを浮かべあう。
 存在するということ。
 自分という認識。
 死という軽さ。
 そのすべてを抱きしめて、いつかすべて旋律に変えようと、Soraは決める。
 そう思いながら、そう誓いながら、穏やかな午後のひと時を、付き合いの良い精神科医とともにミステリーについて語りながら過ごすのだ。

 そして、〈赤い本〉は少女の傍らでただひたすらに沈黙する。



And that's all……?

クリエイターコメントこの度はプラノベ企画【未明の夢】へのご参加、誠に有難うございました。
しかも、ドクターまでご指名いただき、さらには〈虹色の真珠〉のネタまで振っていただいて光栄です!
お任せいただいたのをいいことに、いろいろと捏造してしまいました。
ミステリーというよりはむしろ、鏡面存在ともいうべきふたりの音楽家たちの戯れを交えた心理物語となっておりますが、いかがでしたでしょうか?
少しでも楽しんでいただければ幸いです。

それではまた、夢と現の教会で踊る銀幕市のいずこかでお会いすることができますように。
公開日時2008-08-06(水) 10:00
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