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<ノベル>
二ノ宮沙羅と深井美月は、職員に言われ、ロビーのソファーで待っていた。その間に、梢の救出に協力してくれる者を探してくれるらしい。
「どうしよう……もし、梢に何かあったら……」
不安を隠せず呟く沙羅を見て、美月は急に立ち上がると、冷ややかに言葉を放つ。
「沙羅。貴方のやることは、いつも中途半端で生ぬるいのよ」
「それってどういう……」
沙羅が疑問を投げかけるよりも早く、美月は唐突にひざを落とし、手を突くと、大声で叫ぶ。
「誰か! 友達を、助けてください!」
そして、そのまま地面に頭をこすりつけ、土下座した。
突然のことに、対策課のロビーはどよめく。
当の美月は、すっと立ち上がると、そのまま、何事もなかったかのようにソファーに腰を下ろし、長い脚を組んだ。
「これで、救援が来るわ」
「美月……あんたって変人だけど、基本的にはいい奴よね」
「あの……もし、あたしで良かったら手伝うわ」
少し涙ぐむ沙羅と、興味がなさそうに髪をいじる美月に、流鏑馬明日が声をかける。色々な事件が発生したと聞き、対策課に様子を見に来ていたのだ。
「本当ですか!? ありがとうございます!」
慌てて立ち上がり、お辞儀をした沙羅とは対照的に、美月は微動だにしない。その様子を見て、明日は思わず微笑む。
「ええ。土下座なんかされたから、ちょっと驚いたけど」
「何を言っているの?」
そこへ、間髪入れずに美月が口を挟む。
「私は何もしていないわ。貴方が勝手に来たんじゃない。目の錯覚でも起こしたんじゃないかしら?」
「え?」
「ごめんなさいっ! ちょっと、この子変わってるので……手伝ってくださるとのことで、ありがとうございます!」
思わず聞き返した明日に、沙羅は、手を振りながら慌てて言う。美月は、視線を二人の後方に飛ばすと、「来たわ」と呟いた。明日はつられてそちらを見、口元に笑みを浮かべる。
「あら。アナタともご一緒できるのね。シャノン」
「そのようだな。流鏑馬」
それを受け、シャノン・ヴォルムスも口角を上げた。
「貴方……闇の匂いがするわ」
唐突に、シャノンに向け、美月が指を突きつける。
「ちょっと美月! 失礼でしょ! ――ごめんなさい!」
その光景を見て、シャノンは堪えきれず、くつくつと笑う。
「いや。なかなかいい勘してるぜ、土下座のお嬢さま」
そう言ったシャノンを見て、美月は、不思議そうに目を瞬かせた。
■ ■ ■
「まぁ、連れ去られたというよりは、自分から餌になりに行ったって感じだな。阿呆としか言いようがない」
「私もそう思うわ。梢は愚かな女よ」
「梢には悪いけど、あたしもそう思う」
そこで、三人の視線が、自然と残った明日に向かう。
「ええ……ノーコメントで」
「それは、イエスと言っているのと同じよ」
彼女は、苦笑いを浮かべながら言葉を発するが、美月の言葉に、視線を逸らす。
空は澄み渡り、水平線が遠くに見える。滑る船を撫でていく風も心地良かった。
(『ダイノランド・アドベンチャー』に出てくるような生き物が、一杯いるのね……楽しみだわ)
「流鏑馬。不謹慎なこと考えてるわね」
いきなりかかった美月の言葉で、我に返ると、明日は、慌てて言葉を発する。
「な……ち、違うのよ。梢ちゃんを助けるために島に行くのであって、別に興味がある訳ではないの」
「ますます怪しいわ流鏑馬。何を考えていたかさっさと白状――できょへっ!」
明日ににじり寄って来た美月は、奇声を上げ、甲板に突っ伏す。沙羅が、後ろから蹴りを喰らわせたのだ。
「沙羅、何を――」
「流鏑馬『さん』でしょ、や・ぶ・さ・め・さ・ん。……さぁ、言ってみなさい」
「い……いいのよ沙羅ちゃん、別に」
目の据わっている沙羅に、明日は引きつった笑顔で言うが、沙羅は美月の襟元を締め上げ続ける。
「ご……ごめんなさい。やぶさめさま」
やがて、美月は首を一生懸命回し、涙目で謝罪した。
「お前ら、島に着いたら鬱陶しく騒ぐんじゃないぞ。ただでさえ足手まといなんだからな」
そこで、今まで無言で見ていたシャノンが、呆れたように口を開く。
「はい。すみません」
「ふっ。……はい」
沙羅が大人しく謝る一方で、美月は仁王立ちになり、何かを言おうとしたが、沙羅に睨まれ、座りなおして頷く。
「それから、俺たちから離れないように。――っと見えてきたな」
シャノンの言葉に一同が振り向くと、そこには、緑に包まれた島が、迫ってきていた。
「さてと。どこから探すかな」
鬱蒼と生い茂る木々の間を進みながら、シャノンが呟く。銀幕市では見たこともない木や植物が立ち並び、汗ばむような暑さだった。彼の後には、沙羅と美月が続き、二人を挟むように、後方を明日が進む。
「それに関しては、あたしに考えがあるの」
そう言った明日に皆が目を向けると、彼女は言葉を続ける。
「梢ちゃんは、もしかしたら、動力部に連れ去られているのかもしれないわ。怪獣たちにとって、動力部があるところはアジトみたいなものだと思うから。そして、同時に、一番触れて欲しくない場所のはずよ。だとしたら、怪獣は沢山いると思う。それならば、怪獣が多いルートを選んで、進んでいけばいいんじゃないかしら」
「成る程な。どちみち、動力部も探さなけりゃならんし、都合がいい」
「あの……」
そこで、沙羅が申し訳なさそうに口を挟む。
「なに?」
明日が視線を向けると、沙羅は少し考えてから言う。
「ダイノランドって、中の怪獣は外に出られないんですよね?」
「ええ、そうよ」
「じゃあ何で、あの怪獣は海岸まで来られて、梢は連れ去られたんでしょうか?」
そこで、明日は小さく頷いた。
「そういえば、まだそのことを聞いてなかったわね。沙羅ちゃんたちが見た怪獣って、そうね……プテラノドンみたいな姿をしてなかった?」
「あ、はい。そんな感じでした」
すると、再び明日は頷く。
「やっぱり。一応、対策課に行く前に、『ダイノランド・アドベンチャー』のDVDをチェックしてきたの。少ししかシーンはなかったけど、ダイノランドのキャンペーン用に作られた怪獣もいた。島のPRのためだから、その怪獣だけは、外に出ることが出来るの。……それに、キャンペーン用だから、人懐っこく作られているみたいだった。今回の島の暴走で、どうなったかまでは分からないけど、基本的には、梢ちゃんに危害を加えないはずよ」
「良かった……」
「変な花」
その時、美月が口を開いた。
「花?」
「ほら、木からぶら下がってる」
皆が美月の指した方に視線を遣ると、そこには、ハイビスカスのような赤い花が、つららのように木からぶら下がっていた。
「何だ。そんなの今はどうでも――」
沙羅が言葉を言い終わるよりも早く、銃声が響いた。
すると、耳障りな悲鳴を上げ、気味の悪い液体を撒き散らしながら、花が弾け飛ぶ。
明日も、許可を得て所持して来た拳銃を構え、花のひとつを吹き飛ばす。
すると、他の花は一斉に木から落ちると、触手のようなものを蠢かせ、密林の中を逃げていく。
「追うぞ。もしかしたら、仲間のところに行くかもしれん」
言うが早いか、駆け出したシャノンを、三人も追った。
かなりのスピードで逃げていく花たちを見失わないようにしながら、四人は木や、巨大な葉などを掻き分けながら走る。
そうやってしばらく進んだ後、シャノンは急に立ち止まると、後続の三人を抱きかかえるようにして、木陰に隠れた。
その先には、五メートルはあろうかという、巨大なカマキリのような怪獣が、先ほどの花を食べている姿がある。ぐしゃり、ぐしゃりと厭な音がした。
「うぇぇぇ……あたし、こんな気色悪い怪獣じゃなくて、もっと恐竜っぽいやつを期待してたのに」
「やっぱり、下心があったのね。流鏑馬……さん」
明日の呟きに、美月が反応するが、沙羅に小突かれ、語尾が小さくなる。
(こいつを突破しないと、進めない……か)
シャノンは、素早く周囲を観察するが、どこも緑の密度が濃い。下手に動けば、身動きがままならないところを襲撃される恐れもあるし、彼と明日だけならともかく、戦闘などはしたこともないであろう少女たちがいる。
「流鏑馬、俺が出る。こいつらを頼む」
明日の返事を待たずに、シャノンは木陰を飛び出し、そのまま跳躍した。怪獣の上を余裕で跳び越し、軽やかに地面に降りる。
すると、怪獣は壊れたヴァイオリンのような雄叫びをあげると、大きなカマを、シャノンに向かって振り下ろした。
「こっちだよ! デカブツ!」
シャノンは、不敵な笑みを浮かべながら、怪獣を挑発するように跳び、明日たちから引き離していく。
どうにかして倒すか、撒くか。
シャノンが考えを巡らせたその時、怪獣が開いた口から、触手のようなものが飛んで来た。
「――っ!」
シャノンは空中で身をよじったが、触手は、肩口を掠める。鋭い痛みが走った。
「なかなかご多芸なことで」
そう皮肉ったシャノンを、今度は放射線状に広がった触手が襲った。
逃げ場は、ない。
「シャノンさん、大丈夫かな……」
「大――伏せて!」
心配そうに呟く沙羅に、明日は大丈夫、と微笑みかけようとしたが、体が先に動いていた。
明日に引きずられるように伏せた沙羅の頭上を、何かが通り過ぎ、木に当たってべちゃり、と潰れる。それは、先ほどの花だった。知らぬ間に、数も増えている。
「沙羅ちゃん、美月ちゃん、走って!」
銃を放ち、ひとつの花を潰すと、明日は少女たちに告げた。
「でも、流鏑馬さんは……」
「あたしも後で行くから大丈夫。とにかく行きなさい!」
「はい!」
「分かったわ」
二人がこの場を離れたのを確認すると、明日も少しずつ移動を始める。すると、花の形をした怪獣が、一斉に襲い掛かってきた。
「パル、手伝って!」
明日は素早く視線を走らせると、足元を狙ってきた怪獣を踏みつけ、そのまま跳躍し、回し蹴りで横に向かって吹き飛ばす。それと同時に、上から襲いかかって来ていた怪獣を打ち落とした。弱った怪獣は、バッキーのパルが吸い込む。
すると、怖れをなしたのか、怪獣たちは、こちらを遠巻きにし始めた。明日は、怪獣に視線を向けたまま、少しずつ距離を取っていく。
その時、獣のような咆哮と地響きが、辺りにこだました。
そちらを見ると、巨大な足。そこから上にたどっていくと、キョロキョロと周囲を見回している頭があった。
「うわぁ。カッコいい! ――なんて言ってる場合じゃないわね」
花怪獣が、地響きとともにいなくなったのを横目で見ながら、明日は走る。
悲鳴が、迸る。
「詰めが甘いな。やっぱデカくても虫か」
シャノンの言葉とともに、カマキリのような怪獣は、どう、と倒れた。
触手が襲って来た時、シャノンは、それがこちらに届くよりも早く、二挺の拳銃で触手の根元を狙い、次々と弾丸を撃ち込んだ。触手は千切れ飛び、弾丸は、さらに奥まで進み、怪獣の急所を貫いたようだった。
その時、獣のような咆哮と地響きが、辺りにこだました。
そちらを見ると、巨大な足。そこから上にたどっていくと、キョロキョロと周囲を見回している頭があった。
「まずい。大物か」
「シャノンさーん! 流鏑馬さーん!」
シャノンが、急いでその場を離れようとした時、沙羅の声が聞こえた。
「今行く! お前らはそこから動くな!」
先ほどの声の位置を頼りに進む。
見上げると、『大物』はまだ首を巡らせていた。爬虫類の目も、くるくると動く。
そして、目の動きが止まった。
「お前ら! 横に跳べ!」
「二人とも! 横に跳んで!」
シャノンと明日の声が重なる。
それから来る、鋭い牙だらけの巨大な口。
悲鳴。
「無事か?」
「良かった! 早くこっち!」
ほぼ同時に沙羅たちのもとについたシャノンと明日は、二人の手を引く。ところが、美月は、動こうとしない。
「早くしろ。死にたいのか」
「う、う、動けないの」
「ったく、本当に足手まといだな、土下座姫は。ほら、乗れ」
シャノンがそういって背中を差し出すと、美月は大人しく乗る。
「流鏑馬、お前らはこのまま走れ! 俺が奴を引き付ける!」
「分かった! お願い!」
明日たちの背中を見送りながら、シャノンは怪獣を見上げた。巨体のためか、動きは鈍い。
「いいか、俺に必死でしがみつけ。絶対離すなよ」
そう言ってから、シャノンは跳ぶ。彼の跳躍力を持ってすれば、『大物』の頭を目指すことくらい造作はなかった。耳元で美月が物凄い悲鳴を上げているが、そんなことは知ったことではない。
彼は、そのまま拳銃を構え、放つ。
弾丸は、怪獣の目に吸い込まれていく。
苦痛に満ちた咆哮が、轟く。
怪獣は、地鳴りのような音を立てながら暴れ、逃げていった。
「あれが恐らく動力部だな」
「ええ」
シャノンがそう言うと、明日も頷く。
先ほど、シャノンが『大物』を撃退した時、怪獣が逃げて行った方向に、何かあるのではと感じ、そちらへと進んできた。そうしたら、彼の予想通り、急に開けた場所に来た。
そして、明日が提案したように、ここに近づくにつれ、怪獣の数も増え出した。中には無害なものもいたが、攻撃を仕掛けてくるものも多く、その度に何とか乗り切り、今は、高台に身を潜めている。切り立った崖の下には、洞窟の入り口のような大きな穴が開いていた。
「見えた。あれ、岩じゃないわよね?」
そう言うと、明日は、双眼鏡をシャノンに渡す。彼はそれを受け取ると、覗き込んだ。
岩肌から、何か光るものが飛び出しているのが見える。
「ああ、間違いない。機械の一部だ。……とりあえず、動力部は見つけたな。あとは……」
「伏せて」
明日の声で、皆は体勢を低くする。上を見ると、怪獣が、こちらへと飛んで来るところだった。
「待て。人が乗ってるぞ」
シャノンがそう言うと、皆は一斉に顔を上げる。確かに、鳥のような翼を持つ怪獣の背には、人影があった。
「梢だわ! 梢ぇー!」
沙羅が立ち上がり、両手を思い切り振る。明日とシャノンは急いで崖下を確認するが、そこにいる怪獣たちに気づかれた様子はなかった。
やがて、怪獣は地面に降り立ち、梢はその背中から降りると、満面の笑みで駆け寄ってくる。
「沙羅ちゃん、美月ちゃん!」
「梢……良かった……」
思わず、力が抜けてへたり込む沙羅の一方で、美月は無言で梢に近づくと、平手で頬を叩く。
パン、と乾いた音が、響いた。
「貴方、私たちが、どれだけ心配したと思ってるの? 貴方を探すのに協力してくれたこの人たちに、どれだけ迷惑かけたか分かってるの?」
美月の目から、涙が零れ落ちる。
「美月ちゃん……ごめんなさい。沙羅ちゃんも、お二人も、ごめんなさい」
「いいのよ、あたしは。怪獣に興味……じゃなかった、とにかく、来る用事があったし」
「俺も別に。動力部を探す目的があったしな」
しゅんとなった梢に、明日とシャノンが何でもないように答えると、梢は、また頭を下げた。
「ありがとうございます。……ところで、『動力部』って何ですか?」
梢の問いを受け、明日が説明すると、梢はあごに手を当て、言う。
「それじゃあ、動力部が、ハチのお家なのかな?」
「ハチ?」
シャノンが疑問の声を上げる。すると、梢は頷いた。
「はい。この子の名前です。聞いててくださいね。……ハチ、ご挨拶は?」
すると、ハチと呼ばれた怪獣が、奇妙な声で鳴き始める。
「……ね? 『ヘイ、ヘイ』って聞こえるでしょ?」
「聞こえるかも」
「ホントだ、聞こえる」
「まぁ、聞こえるかもな。……でも、何で『ヘイ、ヘイ』だと『ハチ』になるんだ?」
明日、沙羅に続き、シャノンが尋ねると、梢は心底意外そうな顔をして言う。
「え? だって、『ヘイ』っていったら『ハチ』ですよね? ……あれ? 美月ちゃんは?」
美月はというと、何故か離れた場所に背中を向けて立ち、肩を震わせていた。笑っているようだ。
「そうそう、ハチのお家の話。島のあちこちを飛んだあと、ハチに、『あなたのお家に連れてって』って言ったら、ここまで連れてこられたんです。……それで、その動力部を止めたら、またハチと遊べるんですよね?」
梢が、笑顔で言ったが、明日は小さく首を横に振った。
「……多分、それは出来ないわ」
「何でですか?」
梢の表情が曇る。
「映画では、キャンペーン用の怪獣は、他の怪獣とは違って、動力部の作動とともに動き始めているの。島のPR用に作られた怪獣だから、ダイノランドが停止している状態ではキャンペーンを行う意味がない。……だから、恐らく動きは止まる」
「そんな――!?」
「残念だけど、分かって。この島を止めないと、銀幕市が危険なの」
梢は、ショックを隠せない表情で振り向き、ハチに近づくと、体を撫でる。
「せっかく、ハチと友達になれたのに……でも、仕方がないよね。銀幕市のひと、みんなが困るんだもん。だけど、あの人、ムービーファンなんだ。バッキー可愛いなぁ。あたしにくれないかな。無理だよね……きっと……」
「?」
思わず梢に言葉をかけようとした明日は、沙羅に口を塞がれ、シャノンは美月に腕をとられ、梢から離れる。
「察するに、あれは独り言です。ほんっとーに申し訳ないのですが、聞き逃してやってください」
「梢は、哀れな女なのよ……思ったことが、つい口から紡がれる。でも、本人に自覚はないの」
明日とシャノンは、訳が分からないながらも、とりあえず頷いた。
「ハチ……お別れだね」
梢がそう言って頭を撫でると、ハチはヘイヘイと鳴く。
「行くぞ」
シャノンが声をかけると、梢は頷き、ハチから手を離した。
「少しの間だったけど、楽しかったよ。ありがとう。じゃあね」
そうして、梢は、先を行く皆に合流しようと歩き出した。
しかし。
「え――!?」
梢の体が宙に浮く。
ハチが、梢を足でつかみ、持ち上げたのだ。
皆が異変に気づいた時には、もう遅かった。
梢の姿は、動力部の入り口の中に消える。
「梢!」
「梢ぇー!」
美月と沙羅が、走り出そうとするが、シャノンと明日がそれを引き止める。
「駄目だ。一旦帰るぞ」
「でも、梢が――!」
「俺たちだけで行っても仕方がない。一旦動力部の報告に行く」
「今無理に行ってもどうにもならない。梢ちゃんを助けるためにも、一刻も早く、戻るのよ。急いで!」
沙羅と美月は、後ろ髪を引かれながらも、頷き、走り出す。
ぽっかりと開いた洞窟の入り口は、まるで得体の知れない怪獣の口のようで、何もかも、飲み込んでしまいそうに見えた。
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クリエイターコメント | 初めまして。鴇家楽士です。 この度は、ご参加いただき、ありがとうございました。 お待たせ致しました。ノベルをお届けします。 少しでも、楽しんでいただければ幸いです。 またご縁がありましたら、どうぞ、宜しくお願い致します。 ありがとうございました! |
公開日時 | 2007-06-12(火) 20:00 |
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