 |
|
 |
|
<ノベル>
あの日、多くの魔法少女(?)が生まれた。
そして、激闘の末消えた日。
光の中、己が消え行くのを嘆く魂が居た。
差し伸べられた手は黒かった。
だが、彼は振り払えなかった。
【チカラガホシイノナラクレテヤル】
下準備もそこそこで、チャリティーショーの日取りは決まり、いろいろと引き返せ
ない状況になっていた。
「俺のガタイとなりで魔法少女はヤバイだろっ!」
銀幕広場の一角に用意された特設ステージ。
その端にある控え室から、男の叫びがあがっていた。
「大丈夫だいじょーぶ。ほら、髭もそって、脛毛もそれば……うわー。刀冴さんてば足きれー」
メイクをやっていた浅間縁(アサマエニシ)は刀冴(トウゴ)の美脚をみて、はふぅと息をついた。
「35になって、美脚ほめられてもうれしくないわ!」
そんな刀冴の方をポンと叩き、るいーすが首をふる。
「おっさん、顔がそれっぽくみえないから大丈夫……体は……」
すっと、その後は目をそむけ、俯くるいーす。
「おい、何を、何を言いよどんだ!」
問い返すが答えるものはいない。
刀冴の(筋肉で)むちむちなバディはキュートな(サイズの微妙に合わない)裾や袖に白い繊細な刺繍のされたレースのあるワンピースで包まれていた。
「おと……じゃない、刀冴さん……あ、あのっ! ちょっと、刺激がつよいですけど。だ、だいじょうぶですよっ!」
あーるの一言が周囲の空気を固めた。
「あ、あーるくん。それ、ぜんっぜんフォローになってないから」
縁が硬く笑いながら、手を振った。
そんなとき、だった。
「おう、遅れて悪い」
「どもー飛び入りですんませーん」
銀二がのっそりとやってきて、その肩には関西弁を話すカラスが乗っていた。
「銀二さん。それは誰?」
「ああ、こいつは来るときに一緒になった……」
「透野九朗(スケヤクロウ)でおまっ!よろしゅーな」
ばさっと翼を広げてクロウは挨拶をする。
「すけあくろう……なんか、妙な名前……」
縁が唸るが、続いて入ってきたロイに思考はきられた。
「Hey! そろそろ時間だよー。着替えを済ましてステージに来てくれ! ゲストの準備もできたからさっ!」
「あー、私着替えるのを忘れてる! ほら、男どもは先にでてけーっ!」
「あっしは、カラスだからええやろ?」
透野はそういって部屋に残ろうとしたが、縁に蹴りだされるのであった。
「やぁ、みんなコニチワーー!」
「こんにちわー」
「よく、聞こえないぞ〜」
特設ステージではロイ監督が、教育番組のお兄さんのように挨拶をしていた。
ビニールシートを轢き、ロープで区画されただけのかりそめの客席には、子供から老人まで多くの人であふれかえっていた。
それだけ、ロイ監督の影響力があるのだろう。内容はともかくではあるが……。
「それじゃあ、今日のショーを楽しんでくれよっ!」
意気揚々と司会を舞台で広げているロイとは対象に舞台裏にいるメンバーは不安げな顔で覗いていた。
「おい、かなりいるぞ……」
「うわ〜、カフェで会ってる人もいるよぅ」
「え、あ……ぶっつけ本番なんです?」
「まぁ、アレだよな……」
動揺する一同にたいし、刀冴は重く告げた。
「もう、引き返せないよな。いろいろと……」
頷く一同。
今、心は一つになった。
ショーがはじまると、出てきたのはド派手なボンテージスーツに身を包んだ金髪の女性だった。
(何で私がこんなことを……監督のお願いと思って聞いたのが間違いだったわ)
ため息をつくレディM……いや、今は愛の秘密結社『ラブストロベリー』幹部・イチゴミルクなのだ。
「さぁ、この世界を愛で満たし、世界を巣食うわよ!」
半ば妬けになりながらも演じるレディM。
さすがはスパイ工作で鍛えた演技力だ。
誰も彼女とは気づいていない。
サマーを除いてだが。
(ゲストにレディって聞いてないわよっ! メイクがそんなに上手じゃないのにぃ〜)
袖からの熱い(?)視線を感じながらも、イチゴミルクは手下を呼びだした。
「今回の作戦はこの広場にいる子供達に愛をすりこむことから、はじめようと思いま
すカー」
ばさりと漆黒の翼を翻す、透野。
「その口調は質問しているみたいで紛らわしい!」
スパァンとどこからともなくハリセンを取り出し、イチゴミルクは突っ込んだ。
そのときだった。
「そんなことは俺達がさせないっ!」
「誰だ!」
彼女は周囲を見回すも、人影などはない。
「あそこですカー」
透野が翼でステージの上を指した。
デカデカと『マジカルヒーローショー』とデザインされた看板の部分。
櫓になっているそこに、我らのヒーロー達が立っていた。
「冥土の土産に教えてやろう! 本気狩る☆るいーす!」
ばばぁんと飛び出したのは、銀幕市ではおなじみの漆黒蝶マスクのにくい奴。
「銀幕市の夢と希望を守る正義のヒーロー、本気☆狩る仮面あーる!素敵に無敵に見参です!!」」
ふっきれたような顔ででてくる。
真紅の蝶マスクがなしえる業なのかもしれない。
「続いて、本気狩る☆剣舞?」
なし崩し的に参加させられた、刀冴が衣装もばっちりででてきた。
バラの髪飾りで結わえられたポニーテールがゆれ、足元の編み上げサンダルは女者を無理やりはいていた。
名前が疑問系なのは、最後の最後まで決まらなかったかららしい。
隣にいるあーるは剣舞の姿が見られなかった。
何かを忘れようとするかのように首をふる剣舞。
「えーっと、最後に紅一点。本気狩る☆サマーよ。よいこのみんな。隣のお兄さんたちの真似しちゃだめだぞ」
ぶいっとサインをしたのは、ピンクを貴重としたミニスカセーラー服。
前3人と比べるとかなり普通である。
客席からウォーという野太い歓声が沸きあがった。
「ええい、登場に時間をかけるんじゃないわよ。私なんて名乗りすらないんだからl!」
「メタ過ぎますカーイチゴミルク様」
「だから、紛らわしいって」
パコンと叩かれる透野。
「まぁ、いいわ。派遣戦闘員やっておしまいっ!」
びっと手を本気狩る戦士達へイチゴミルクが向けると、全身タイツの戦闘員(時給600円)が舞台袖からワラワラと現れる。
「そういえば、銀二さんいないけどいいのかな?」
「知らないわよ」
「と、とにかくやりましょう。早く着替えたいですし」
「右に同じ」
こそこそと5人は話しあったのち、飛び降りた。
「「「「「とぅー!」」」」」
シャーとワイヤーが伸び、5人はぶじ、ステージに降り立った。
このアクションに客席から歓声があがる。
「そんなこったしかけまで、私には……」
「いうだけ空しいので、やめませんカー?」
「だから……って、今の問題ないわね」
漫才をしている間にも戦闘員と本気狩る戦士達の(一方的な)死闘が繰り広げられていた。
ドカッ、バキッ!
「うぎゃぁぁあ、聞いてないよぉ〜」
ガスッガスッ
「まぁじかる、ひっとぉっ!」
ドゴォン、グシャ
「ああ、腕が変な方向にねじれてるよ」
など、映像にはできないような光景が繰り広げられていた。
「ちょっと、あんた達。手加減しなさいよ」
さすがの光景にちょっと退くイチゴミルク。
「つい、やりすぎちまった……」
「しかたありません、ここは最終兵器をだしますカー」
イチゴミルクの隣に控えた透野が翼を広げると、そこには漆黒の宝玉がにぎられていた。
ビカーッと黒い宝玉から黒い光があふれ出した。
「こ、これってっ!」
動揺するサマー。
「ロケーションエリアの発動だ。しかもこれは……」
「ぱんどら☆まじっくに似ています!」
真剣な面持ちで周囲を見る剣舞に、あーるも警戒して答える。
「おいおい。まじかよ……」
「どうした、るいーす……!」
狼狽するるいーすの目の前。
そこには透野とイチゴミルク。
そして、銀二……いや、本気狩る★ウルフがいた。
「銀二……じゃない、ウルフっ!」
剣舞が声をかけるが、動こうとしない。
「こやつは闇の力を欲した。わが同胞よ」
先ほどまでのカラスの姿から、透野はタキシードを着たジェントルにかわっていた。
「我が名はスケアクロウ。パンドラに眠りし欺瞞の使徒なり」
「冗談じゃねぇ、ぱんどら☆まじっくは終わったんだ!」
「終わりではない、はじまりなのだ。あの力によって目覚めたのはムービースターだけではない。ヴィランズもまた目覚めたのだ」
ステッキをまわし、微笑んだ。
「冗談じゃないわよ、そんなこと!」
イチゴミルクがスケアクロウに襲い掛かるが、スケアクロウの黒い波動に吹き飛ばされ、ステージであったはずの骨の壁に激突し、気絶する。
「レディ!じゃない、イチゴミルクっ!」
「女性に対して、手荒いまねは好まないので少し眠ってもらっただけ」
サマーにたいして、チッチッと指を振ってスケアクロウは否定した。
「さぁ、ウルフよ。新たな戦いのプレリュードをお前が始めるのだ!」
スケアクロウの声に従うかのようにウルフが本気狩る戦士達に襲い掛かって着た。
「本気狩る★破裏けぇぇぇんっ!」
両手で裏拳をかましながら、高速回転をしだすウルフ。
その姿は竜巻そのものだった。
「本気だ! 皆、散れっ!」
剣舞の声とともに散開し、ウルフの攻撃を剣舞が明緋星で受け止める。
ガキィンッと金属音がひびき、ブワァッと風が吹き出した。
火花が散り、それが避けたはずのサマーの髪の毛を焦がした。
「ふざけんじゃないわよ!髪は乙女の命なのよ!」
「そんな場合じゃないだろ! 縁は下がれ、ムービーファンじゃ戦えない!」
ウルフの拳を受け止めた剣舞の足が地面にめり込んだ。
「そんなこといったって、きゃあっ!」
サマーがうろたえているところに先ほどの戦闘員だったものがゾンビとなって襲い掛かってきた。
「『本気☆』で『狩る』ぜ!」
ギュィィンとパワーを溜めたるいーすが、先ほどとは比べ物にならない力で敵をなぎ倒した。
「俺も負けてられないな」
拳を受け止めていた剣舞もウルフを押し返し、斬りかかった。
「兄弟っ! あんたの求めていたのはこんな力だったのかっ!」
「俺や、るいーす、あーるが信じていたあんたはそんな漢じゃないはずだ!」
ステップバックで斬撃を交わしたウルフにさらに剣舞は詰め寄って斬りかかった。
ガシッと蹴りで受け止められ、はじかれた。
「無駄だ、その男の欲望のレベルは桁が違う。無意識下に封じるほどに!」
スケアクロウは自らの宝玉によって観客達を変化させた怪物軍団に囲まれながら台詞をはく。
「だけど、そこにだって希望はある。僕らが信じたウルフさんだからっ!」
剣舞からはじき出された明緋星を空中で受け取り、軍団を掻き分けてスケアクロウ
にあーるが斬りかかった。
「だから、無駄だという、ウルフっ!」
あーるとスケアクロウの間に瞬間的にウルフが割り込み、回し蹴りを放った。
あーるの胴にウルフの鉄骨のような足がめり込み、あーるの華奢なからだを吹き飛
ばす。
「あーるっ!」
吹き飛ばされたあーるは地面に激突する、はずだった。
「いったたた……私だってね、これくらいはできるんだから」
あーるを受け止めるというよりはぶつかって下敷きになっているという状態で、サ
マーはか細くいった。
「ありがとう」
「とにかく、あのウルフをどうにかしないとなんともならないぜ」
「何か手はないのか……」
そのときだった。
剣舞のつけていた薔薇の飾りが光った。
それに呼応するかのように、るいーすとアールのマスク、サマーの衣装についていたペンダントが光る。
暖かい光。
その光が周囲を照らしだすと、本気狩る戦士達の脳裏に言葉が浮かんだ。
「哀(あい)よ」
「憂飢(ゆうき)よ」
「努(ゆめ)よ」
「飢忘(きぼう)よ!」
それぞれがのべ、光るアクセサリーうぃかざすと、声をそろえて叫ぶ。
「本気狩る戦士に力をっ!」
光が一点に集中し、ウルフに注がれた。
ウルフは苦しみだす。
だが、光がウルフを卵のようにつつみこんだ。
そして、光り輝く褌を翻し、ウルフが世界に羽ばたく。
「哀と憂(あいとゆうき)、努と飢忘(ゆめときぼう)の名の下に、本気狩る☆キング、ハァァリィィィアァァァァップッ!」
バァンと光の卵がくだけちり、その破片が黒い宝玉で描かれた闇を一瞬で消し飛ばした。
「まさか、本気狩る☆キングが現れただと!?」
初めてうろたえるスケアクロウに対して、キングとなったウルフは宙を舞いあがり、流星のごとく蹴りこみだす。
「マジカル★ブレイジングスタァぁぁあっ!」
ドオォンとスケアクロウを貫き、ざざざざっと地面を削りながら着地するウルフ。
「本気とは一片も曇り無き心也
狩るとは餓えし者が生くる術也……成敗っ!」
言葉を言い終えるとともに、スケアクロウの体が爆破した。
ロケーションエリアの効果時間がきえ、ステージの光景に戻る。
「今回は失敗に終わったが、次こそは」
スケアクロウもぼろぼろなカラスの姿になって去ろうとしていた。
しかし、エンがそれをゆるさなかった。
ハムハムとくらいつき、スケアクロウを食べだした。
「哀れだけど、同情しないよ……」
「ふふふ、私を倒したことでいいきになるなよ。パンドラの力によって目覚めたものはまだいるのだ。人の欲望があるかぎり、われらは消えないのだ」
いやな台詞を残しつつ、スケアクロウはエンにすべて飲み込まれた。
「人の欲望は消えないだろう。だが、希望も消えない! 私とあーるがいるかぎり、銀幕市に悪は栄えさせないっ!」
びしっとポーズを決めるるいーすとあーる。
そのとき、倒れていた褌一丁の銀二が立ち上がり、一言いった。
「あー、わるい。俺また記憶がないんだが……何があった?」
ぼりぼりと頭をかく銀二に笑いが答え、幕がおりた。
チャリティーショウはぶじ終わった。
後日、ロイ監督に確認したことだがロケーションエリアでの戦闘のことは覚えていな
かった。
安心するとともに、危険なにおいが漂う。
銀幕市の平和を守れ、本気狩る戦士たちよ!
「なー、だから俺は何をしていたのか教えてくれよー」
「ごめん、パス」
「すまない、兄弟よ」
「ノーコメント」
「それだけは勘弁してください」
|
クリエイターコメント | お疲れ様でした。 参加ありがとうございます。
プレイングをうまく再現できずもうしわけないです。
あと、補足としてプレイング外にいろいろ書いていただいてますが、その辺を直接リプレイに反映することはできません(汗) 内容の参照ってことなので、そのつもりでお願いします。
さて、ギャグのようなシリアスのようなお話を提供させていただきました。
また深き謎を残しつつ、この風呂敷たためるのかちょっぴり不安です。
続編がまたでた時はよろしくお願いいたします。
それでは、またお会いできる日まで、ごきげんよう
|
公開日時 | 2007-01-26(金) 11:30 |
|
|
 |
|
 |