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[74] ロストレイルの車窓から~白昼夢~

ジューン(cbhx5705) 2014-02-13(木) 21:23
13号がワールズエンドステーションから帰還して6年後。
同居していた双子の妖精たちの世界がやっと見つかった。
2人をワールズエンドステーションで見送った帰り道、ロストレイルの窓からぼんやりとディラックの空を眺めていた。

再帰属の兆候は1年程度で消えてしまう。
私の再帰属の兆候も、残念ながら消えてしまった。
もう1度カンダータに縁を結ぶには、一体どうしたらよいものか。

私はモノだ。
主人を得て誠心誠意お仕えしたいという欲求がある。
セブンズゲートでは、私はセブンズゲートが自己所有する非常用備品だった。
平時にはナニーとしてコロニーの子供たちの養育を担当し、有事にはコロニーの非常電源及び補修機材としてコロニーに滞在する人類を守るのが私の使命だった。
モノとして所有され、人類を守る使命に従うことは誇らしかった。
それなのに。
同じようにカンダータ西戎軍第弐連隊の備品になりたいと願い出た私は、連隊長のグスタフ様から拒絶された。
私はあの時戦った皆様にお仕えしたいだけなのに。
このままでは新たな縁も結べそうにない。
「ムラタナご夫妻に、ご相談した方が良いのでしょうか…」
小さな子どもが何人も居るご夫妻の家でなら、私にもナニーとしての職があるだろう。
でも私は、カンダータを守る方々にお仕えしたいのだ。
人間のように私がため息をついた瞬間。
視界が急に砂嵐のように乱れた。

ノイズの中、いくつもの場面がシャボン玉のように浮かんでは消える。

再帰属を果たした私はその77年後に機能停止し、その直前に自分を分解してこの技術をカンダータに役立ててほしいと願い出ていた。

100年後、私はカンダータ製のアンドロイドとして大量生産され、カンダータ人類に仕えていた。

104年後、ギベオンでも同型機の生産が開始され、昼夜を問わない実験要員として研究者の活動を補い始めていた。

そして192年後、第3のイグシストがターミナルに襲来する。
それは嘗ての私が見知った人物を醜悪に模したような姿をしていた。
ロストナンバーでない私はトレインウォーに参加できず、戦闘に向かう方々を見送ることしか出来なかった。
イグシストウォーと呼ばれたそれはターミナルが半壊するほどの大戦争となり、第3のイグシストと共に世界樹も倒れ、チャイ=ブレの活動が活発化することになった。

壱番世界や他の世界群を守るため、ロストナンバーの活動も活発化する…。

集められる竜刻
界牌
飛躍的に拡大していくギベオンの研究施設群
呼応するようにカンダータの技術レベルも上がっていく。

そしてチャイ=ブレがターミナルから引き剥がされ、ゆっくりとワールズエンドステーションへの移動を開始する。

それなのにイグシストの危機はなくならない。
イグジストもロストナンバーも生まれ続け、新たな世界の危機が芽吹き続ける。

とっくにカンダータも零世界も壱番世界もない。
世界としての終焉を迎えている。
世界内の一要因でしかない私は、もっとずっと前に消えてなくなっている。

(いつまで…どこまで続くのですか!?何故こんなことに!?)
どんどんスピードを上げて流れ続ける景色に、思わず悲鳴のような思考を浮かべた時。

(機械が見る白昼夢に興味があったって言ったら納得する?)
酷く面白がっているような声が響いた。

私はさっきと同じ姿勢のまま、ディラックの海を眺めていた。
ロストレイルはターミナルを目指して走り続けている。

獲物を見つけた蛇のような、悪意の滴る笑い声が響く。
(イグシストになって、必ず戻る…そうクゥに伝えておいて。大きくなって、世界を喰い尽くしに必ず戻るって。あはははははははは)
耳障りな笑い声と共に、白い鳩の幻影が浮かんで消えた。
[75] 妄言入り追記

ジューン(cbhx5705) 2014-02-13(木) 21:40
リーリス様からイグシストウォーのお誘いをいただきましたので、お知らせを兼ねて。
「250年にチャイ=ブレ戦争なら、その前の198年辺りが良いかな?首を獲りに来てくれるPCさんが居ると良いな♪」
とのことでした。
私の再帰属(帰還後6年)から192年後で、帰還暦なら198年後のつもりで書いてあります。

一度ロストナンバーになったPCは以後2度とロストナンバーになれないそうなので、複製体の私も本来ならトレインウォーに参加できません。
お祭り企画?ということで、エピシナの年表には198年後、複製体がイグシストウォー参加と書こうかと考えています。

ジューンプロトタイプは帰還暦85年まで、複製体は複数が帰還暦250年+αまで活動予定です。
リーリス様だけでなく、他のPC様ともお話しする機会があればうれしいです。

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