オープニング

 鎌倉の高級住宅街にある一軒の洋館。若干の古めかしさは感じさせるものの、よく手入れが行き届いているおかげで由緒ある佇まいを崩さずにいるこの洋館。
 この洋館にある主人の部屋は外の喧騒からは切り離され、静寂に包まれている。
 身体に障るからと窓こそ閉められているが、大きなガラスの窓からは柔らかい陽光が差し込み、白いレースのカーテンがそれを受け止めてから室内へ放っていた。
 若干の薬の匂いは気になるものの、主人の意向で飾られた花瓶の花の香りがささやかに部屋に漂っている。
 部屋の奥、壁際に置かれた天蓋付きのダブルベッドが主人の座所だ。年代物のベッドに施された細工はため息が出るほど精緻で、アンティークの市場に出したらどのくらいの値がつくかだろうか。
 室内には必要最低限の家具しか置かれてはいないがどれも上等で手入れが行き届いており、物を大切にする心優しさが伝わってきた。
「ユリアナさん……」
「はい……ここにおります。お目覚めですか」
 ベッドサイドに置いた猫足の椅子に腰をかけ、膝の上に洋書を広げていたユリアナ・エイジェルステットは、ベッドの中の老人からの声かけに静かに本から顔を上げた。
「……すまないが、この老人の昔話に……しばし付き合っていただけぬ、だろうか……」
 老人は90をとうに過ぎており、今では自身で起き上がれぬほどに弱っている。やや耳は遠くなっているがそれでも喋りはしっかりしており、記憶も最近のものなら保っている。しかし視力は衰え、ぼうっと靄のかかった状態でしかものを見て取れず、おおまかな輪郭がなんとなく分かる程度だとか。
 ユリアナは慣れた手つきで老人を起き上がらせ、腰の部分に大きなクッションを入れる。こうすることで少しは起き上がっているのが楽になるはずだ。
「どんなお話でしょう。楽しみです……」
 本を閉じてサイドテーブルに置き、ユリアナは老人の手を握った。ここで聞いていますよという証。
「あれは……わしがまだ13.4の頃……こんな豪華な家ではなく、潰れかけの商家で育っていた頃の事だ……」
 老人、左右田脩悟(そうだ・しゅうご)の家は商家であった。だが商才のない父が店を継いでから経営は傾く一方で。三男の脩悟は学校には通わせてもらえていたが、弁当は持たせてもらえないという状況だった。
 兄二人に、持参金と婚家の援助目当ての婚姻を父が血眼になって探しているのは街の人々にも知れており、街を歩くだけで脩悟もひそひそと陰口の的にされることが多々あった。いずれ脩悟も同じように嫁を取らされるだろうという予感はしていたが、傾きかけた商家に船頭が多くても船は山に登るだけだ。家業を継げないのであれば他に道を見つけるしかない――元々脩悟は家業を継ぐつもりは毛頭なかったので、勉学に励んだのである。
「いつか、事業を成功させて……実家を見返すのが、私を馬鹿にしたすべての者達を見返すのが夢だったよ……幼かったのだ」
「けれども、左右田様は事業に成功されましたよね。会社も大きく長く続いており、経営も安定していると聞いています。そして、こんなにも素敵なお屋敷にお住まいに」
「そういった意味では、夢は叶ったのだがね……」
 弱々しく笑みを浮かべた左右田は、握られていない方の掌をじっと見つめて。
「心残りがある……。死の存在を身近に感じる今、どうしても……どうしても気になることがあるのだ……」
「お聞きしても……?」
 ユリアナの静かな問いかけに、左右田はしばしの沈黙で自らの裡に思いを馳せた後、ゆっくりと口を開いた。

「生涯に唯一度だけ、人を愛したことがある」

 追憶と憧憬と愛情と後悔。様々なものが歳の数だけ入り混じったその告白に、ユリアナはすっと息を吸い込んだ。何か、深い事情が有りそうだと勘が告げている。
「13.4の頃だ……ふとしたきっかけで女学校に通っている娘さんと知り合ってな……いや、今ではそのきっかけすら思い出せないのだが」
 左右田氏の記憶はだいぶ寄る年波に侵食されていて、彼女について思い出せることは少ないのだという。
「海老茶袴の多かった中で、彼女の通う女学校は紫紺の袴を制服としていてな……彼女は長い髪の上部分を常盤色のリボンで留めておった……」
 美しい容貌と良家のお嬢様としてのプライドよりも優しさが強く出たその心根が街でも評判になっていたという。街の人からも慕われていた彼女と、左右田は見ているだけではなく知り合いとなったのだ。
「名を、花稜院常子(かりょういん・つねこ)さんと言ってな……艷めく長い黒髪に常盤色のリボンがとても映えていたのと彼女の名前から……『常盤小町』の愛称で呼ばれていた……」
 その愛称は皮肉ったものではなく、本当に愛されていたがゆえのものなのだろう。常盤小町といえば、当時の街の人は誰のことかすぐに分かったという。
「……我々は、会うごとに互いへの思いを強くした。だが……そもそも身分が違う、私のほうが年下で、しかも……潰れかけた商家の三男。結婚はおろか、交際すら許されることはなかったよ……」
 隠れて交際を続けていた二人だったがそれも花稜院家の者に知られ、手切れ金という名の大金を渡された左右田家の家族の介入もあり、二人は愛しあったまま引き離されてしまったのだ。
「そんなっ……」
「私は強く誓った……自ら事業を起こし、それを成功させて、常子さんを迎えに行くと。その為には手段は選ばなかった……。金持ちの娘を口説いて出資させ、騙しては別の娘に取り入る……そんな汚いことをして、会社を起こしたのだ。……先立った妻とも、政略結婚だったよ」
「……、……」
 左右田の言葉にユリアナは押し黙った。よく考えれば分かること、左右田が事業を立ち上げ、成功するまでの間に常子は――。
「私も気づいたさ。事業が成功するまで常子さんが――いや、花稜院の旦那様が待っていてくれるはずなどないとね。……常子さんは私と別れさせられた数カ月後、誰に知られることなくどこか遠くに嫁がされたと聞いている。……潰れかけの商家の子供と恋仲だったなんて変な噂が広がる前に、なんとか貰い手を決めたかったのだろう。その後の話は、何も聞こえて来なかった」
 自虐的に左右田は笑む。幼かったのだよ、そう口にしながら。
「惜しむらくは、私の消えてしまった記憶。常子さんの事は覚えているのに、彼女との思い出はひとつも思い出せぬのだ……あんなに焦がれ、愛していたというのに……」
 紗幕の向こうを見るように、左右田は遠い目をする。在りし日の思い出を探すような瞳。
 ユリアナは水差しから吸い飲みに水を注ぎ、その吸い飲みの吸い口を左右田の口へと近づける。喋りすぎて喉が渇いたのだろう、左右田はごくごくと美味そうに水を嚥下した。
「何かきっかけがあれば思い出せるかもしれないが……きっかけと言ってもなあ……」
 それは独り言のように、遠き日の自分に呟かれたようだった。


 *-*-*


「あの……すいません、お時間、ありますか……?」
 世界図書館のホールで、銀髪の女性がロストナンバーたちに声をかけている。ナンパではない。足元でセクタンがちょんちょんとロストナンバーの足をつついていた。
 ホールの隅にロストナンバー達を誘導したユリアナは、緊張した面持ちでどきどきしながら口を開いた。
「あの……図書館からの正式な依頼ではないのですけれど……」
 これで興味を無くした者は去っても仕方がない。だが出来れば力を貸して欲しくて。
「……ですから、正式な報酬は出なくて……私が出せるものとしたら、先日たくさん作ったエコバッグ位なのですけど……」
 差し出された写真には、可愛いものから男性が持ってもおかしくないようなスタイリッシュなエコバックまで、色々な種類のものが写っていた。
「力をおかしいただきたくてっ……話を聞いていただけますか?」
 緊張で潤んだ瞳で、彼女はロストナンバー達を見つめた。


「私、時間のある時は壱番世界でボランティアをしているのですけれど……」
 ぽつりぽつりと彼女は話し始める。
 ボランティア内容は主に自分で動けない老人の話し相手と簡単な介助。老人は傍目に見ても死期はそう遠くないと思われるほどで、本人もそれを悟っているという。医師の話によれば特別な病ではなく、寿命が尽きようとしているのではないかということ。
 ある日、老人が自らの過去を語った。しかし風化した記憶の中で、唯一愛した女性のことは覚えているという。身分の差やなんやかんやで引き離されてしまったが、彼女のことを忘れた日はなかったと。
 だが現在、年老いた老人の記憶には彼女のことは残っているものの、彼女と過ごした幸せだった日々の出来事は残っていない。何かきっかけがあれば思い出せそうだとはいうが、そうそうきっかけなど見つけられるものではない。だから老人も諦めているようだ。
「けれども……出来れば何とかして差し上げたくて。左右田様と常子様の事を知っている人がもしかしたらいるかも知れません。お二人が残した何かが見つかるかもしれません。でも、私一人では無理なのです。だからっ……」
 皆さんにご協力願いたくて――泣きそうな表情でユリアナは言葉を続ける。
「実際に思い出が見つかったとしても、直接こうでしたよとお伝えするのではなく、左右田様にお話を聞かせるようにして、他の人の話として伝えて欲しいのです」
 こんな話をききました――。
 知り合いのロマンティックな話をさせてください――。
 そういった感じで老人に話をきかせて、それをきっかけに彼女との思い出を思い出してもらおうということだ。
「一筋縄ではいかないと思います。もう何十年も前の話ですから……。ただ、左右田様は事業を起こして大成功して地元では有名になりました。常子様は旧家の花稜院家の出です。ですから、その線で人々の記憶に残っているか、語り次がれていたりするかもしれません」
 数十年前の記憶を探すなど雲をつかむような話だが、それでも何もしないよりは、ということだ。
「どうか、お願いします――」
 ユリアナは深く深く頭を下げた。銀糸がさらっとそれに倣って落ちる。
「後、もうひとつ。もしよろしければ――」
 頭を上げて、彼女は小首をかしげた。
「左右田様は目がはっきりとお見えにはならないので、シルエットだけでいいのです。矢絣に紫紺の袴、常盤色のリボンをつけて、常子様のふりをしていただけませんか?」
 在りし日の常子の幻を見せることで、なにか大切なことを思い出せるかもしれない、そういうことなのだろう。
 衣装は勿論のこと、ウィッグも用意されているらしい。
 老人は目が悪く、靄がかかったような視界で細かい部分は見えないらしいので、男性が演じても問題ないということだ。声は出さないからして。
 彼女がそこにいる、それが大切なことだから。

品目シナリオ 管理番号1817
クリエイター天音みゆ(weys1093)
クリエイターコメントはじめまして、またはこんにちは。
天音みゆ(あまね・ー)と申します。
さて、今回は司書からの正式な依頼ではありませんが、力を貸してくれる方を探しております。

しんみり心情系のお話ですので、苦手な方はご注意ください。
老人の境遇やかつての恋、そして現在の状態を何かに重ねて想ったり、自らのこれからを行くための糧にされたり、思いを存分にぶつけていただければと思います。


●左右田氏のかつての恋の相手、花稜院常子さんとの思い出を探すこと、が目的です。
 探し方、何を見けるかについてはおまかせです。
 見つけた思い出は「他者の話」として老人に話をきかせます。
 いくつでも結構ですが、数が多かった場合全部を話しきれない場合がありますのでご了承ください。
 皆様は基本的に追加のボランティアという設定で屋敷に出入りします。

思い出探しについてのプレイングは以下をご参考に。
■貴方の見つけた二人の思い出をお書きください。
 箇条書きでいくつもでも結構ですし、シチュエーションやセリフまで詳しく考えてくださっても構いません。
 余裕があればどこでどう調査した結果見つけたものか、お書き添えください。なければこちらで考えます。

または

■どこでどうやって調査して誰に話を聞くかお書きください。
 具体的な思い出が思い浮かばない! という方はこちらだけでも結構ですのでお書きください。
 思い出についてはこちらで考えます。

他にも何か情報を掴んだら、どうぞです。

ユリアナは何もなければ基本的に左右田氏の側についていますが、してほしいことがあればご指示ください。
ユリアになついて知りたい場合は、登録してありますのでステータスシートをご覧下さい。

■常子さんのシルエット演出について
 男性でも問題ありません。
 複数立候補者がいても問題ありません。
 シルエットの常子さんは喋らない予定です。
 袴が着たい! でもいいですよー。


普段は基本的にファーストネーム表記ですが、左右田氏については基本的にファミリーネーム表記で行きたいと思っています。

心情があるとキャラクターの把握がしやすいので、字数に余裕がありましたらぜひ沢山お書き添え下さい。

皆様に楽しんでいただければ、と思います。
それでは、よい時間を。

※プレイング日数は7日です。

参加者
川原 撫子(cuee7619)コンダクター 女 21歳 アルバイター兼冒険者見習い?
メルヒオール(cadf8794)ツーリスト 男 27歳 元・呪われ先生
シュマイト・ハーケズヤ(cute5512)ツーリスト 女 19歳 発明家

ノベル

●語り部

 夜になると街灯の光だけが頼りなく足元を照らす。風は潮風を遠くから運んできたのか、海の匂いがかすかに混ざっている。
「……メルヒオールだ」
 呼び鈴を鳴らして返ってきた声にメルヒオールが名を告げると、しばらくして重みのある洋館の扉が内側から開かれた。
「お帰りなさいませ。もう皆様お揃いですよ」
 彼を迎え入れたのはユリアナ・エイジェルステット。揺れる銀の髪が彼を招き入れ、そしてゆっくりと扉を締める。
 ガチャ……
 鍵を閉める音が聞こえた。
 先ほどの彼女の言葉通り、この洋館を待ち合わせ場所として打ち合わせておいた他の二人もすでに到着しているのだろう。自分は最後だったということだ。
「こちらへどうぞ」
 ユリアナの導きでメルヒオールが到着したのは1階の広間だった。ふかふかの絨毯の上のローテーブルを囲むようにして置かれているソファに、すでに二人は腰をかけて、何か話をしている。
「あ、メルヒオールさん来ましたねぇ~遅いですよぅ~」
「特に時間の指定はなかったはずだが」
 川原 撫子の言葉に確認のための返事をする。
 今夜は肌寒いからか、部屋の温度は暖かめに保たれていた。メルヒオールは片手で器用にローブを脱ぎ、ソファの背に引っ掛ける――するといつの間にか白い手が伸びてきて、ローブをコート掛けへと運んでいった。ユリアナだ。
「迷子にでもなったか?」
「なるか! 確かに初めての土地ではあったが」
 一応三人にはわかりやすい地図が配られていたからして。シュマイト・ハーケズヤのからかいにため息をついて、メルヒオールは一人がけ用のソファにどっと座り込んだ。
「皆様改めまして、お疲れ様でした」
 ワゴンを押したユリアナがゆっくりと微笑む。メルヒオールの前にカップを置いて、そして撫子とシュマイトのカップに紅茶を継ぎ足して。空いているソファに浅く腰を掛けた。
「左右田老人は?」
「もうお休みになられました。今は家政婦の佐藤様が側についておられます」
 メルヒオールの問い答えたユリアナは、自身のカップに少しだけミルクを注いだ。
 左右田家に長年住み込みで仕えているという佐藤という家政婦は、彼ら四人の夕食も準備してくれたらしく、後で温めていただきましょうとの言葉に撫子の顔が明るくなる。
「タッパー持ってくればよかったですぅ~」
「お願いすれば、残りを折り詰めにしていただけると思いますけれど」
 くすり、撫子のあまりの残念そうな言葉にユリアナが微笑んだ。
 情報収集に時間をかける間、四人は左右田家への滞在を赦されていた。
 友人が、お楽しみいただける話をお持ちいたします――そんな謳い文句を聞いて、左右田氏はその日を待ち望んでいるらしい。
「今回の企画の趣旨を佐藤様にお話したのですが、『旦那様には最高の誕生日プレゼントになるかもしれませんね』とおっしゃったのです。聞けば、3日後がお誕生日だとか……」
「それでは、左右田氏に話をするのは3日後で決定だな」
「そうですね~。それまではもう少し、情報を集めたいですぅ」
 シュマイトと撫子は手元のメモに目を移す。現時点でも走り書きのものも含めびっしりと文字が並んでいたが、まだ色々と調べたいことがあるのだろう。
「さすがに一日じゃ調べきれなかったから、猶予があると助かる」
 メルヒオールも記憶の中の情報をまさぐる。これを書き記して、話して聞かせられるような状態にしなくてはならない。不足があれば追加の調査も必要だ。
(授業の準備をしているようだ……)
 懐かしさに似た感覚を得て、思わず苦笑を漏らす。かつてもここまで熱心に準備をしていたかは謎だが。
「皆様、本当に有難うございます。皆様がエコバックなんかにつられて下さったのではないことは、重々承知です……」
 三人の熱心な様子に感極まったのか、頭を下げるユリアナの口を言葉で封じたのはシュマイト。
「まだ礼を言うのは早い。礼は、左右田氏が満足してからもらう」
「私はエコバック、欲しいですよ~。だって、近所のスーパーはエコバック持っていくと二円値引きしてくれるんです☆ 塵も積もれば、なんです☆」
 撫子は明るく笑んだ。だが真にエコバック目当てだったわけではあるまい。けれどもその明るさはユリアナの心を暖かくする。
「正直、色恋沙汰なんて得意でも何でもないが、『大切な相手を忘れてしまう』というのは……まぁ、引っ掛かるものがある」
 言いにくそうに言葉を紡いだメルヒオール。そう、彼は左右田氏の為だけに依頼を受けたわけではない。
「まさか、お喋り老人があんなにしつこいものとは思わなかったが……」
 どよーんと効果音と効果の影が現れたかのように、頭と肩を落としてメルヒオールはぐったりとした様子。聞けば話好きな老人に捕まってしまって、延々と話を聞かされただけではなく、全く違う話の話し相手にされてしまったのだとか。
「だからこんなに遅かったのか」
「メルヒオールさんはあまりご自分から喋りませんから、適当に相槌を打っていたんじゃないですか~? それだと相手は『聞いてくれる』と解釈して、いつまでも話し続けますよ」
 若干呆れた様子のシュマイトと撫子。どうやら二人は効率良く、情報を集めることができているらしい。途中で適当に相槌を打ったのが運の尽きだったのか――メルヒオールは己のものぐさ加減を少しだけ反省して。すぐに忘れるかもしれないが。
「そうだユリアナさん、お願いがあるんですが」
「はい?」
 撫子から差し出したルーズリーフの束を、ユリアナは受け取って眺めて。
「ごめんなさいぃ、私これをどう纏めてお話していいか分からなくてぇ……お話、ユリアナさんにしていただいちゃっても良いですかぁ? これ、今晩中に清書しておくので」
「え、あ……私で良いのですか?」
「はいぃ。私……せめて常子さんの真似をしますからぁ」
「それなら私も常子嬢の振りをしようと思っている。当時の日本女性の体格はわたしが一番近いと思うからな」
「お話ごとに常子様に扮する方を変えれば問題ありませんが、シュマイト様の語りの間はいかが致しましょうか?」
 シュマイトの申し出にユリアナが返すと、撫子もシュマイトも顎に軽く手を当てて考え込んだ。
 撫子の考えた話をユリアナが話している間は撫子が常子に扮する。
 では、シュマイトが扮するのはどのタイミングか?
 シュマイトが話している間はどうする?

「「「……、……」」」

「ん?」
 何故か複数の視線を感じる。ぐったりしていたメルヒオールが顔を上げると、女性陣三人から無言で見つめられていて、なんだか嫌な汗が背中を伝う。
「いや、まて」
 動く左手で止めるようにして。
「女性がこんなにいるのに俺がやる意味も道理もないだろうというか俺を候補にいれるなっ!!」
 一気に言い切って肩で息をする。
「ふっ……」
 誰かがこらえきれずに吹き出した。
「さすがにないな」
「ないですねぇ」
 シュマイトと撫子が笑いを隠さない中、ユリアナはこうした雰囲気に慣れていないのか困った顔をしていた。でも、楽しそうではある。
(女って……)
 メルヒオールはがくり、ともう一度肩を落とした。

 静かな住宅街に立つ洋館の周りでは、車の音は殆ど聞こえない。
 静かな夜の帳の中に立つ洋館に、何十年ぶりかの楽しい笑い声が響いた夜だった。


●序

「左右田様、先日お話しておりました、私の友人達を連れて参りました。皆様、沢山素敵な話をご存知ですの」
 ユリアナの先導で案内された部屋の扉を開けると、最初に鼻を突いたのは薬の匂いだった。それを追うようにして控えめな花の香が漂ってくる。病人の側に香の強い花は良くないというマナーがあるが、この花は左右田氏たっての希望で飾られているという。
「シュマイト・ハーケイズヤだ。発明家だ」
「研究者さん、なのだな……。その頭脳は宝だな」
「メルヒオール。教師をしている……非常勤だが」
「おお、先生か……。子供を育てる尊い仕事だな」
「川原撫子ですぅ。バイト掛け持ちしながら大学通ってます☆」
「ああ……自分で金を稼ぎながら学校に通うというのは並大抵のことではない、頑張ってくれな……」
 三人の自己紹介に左右田氏は見えにくくなった瞳をしっかり向けて、一人ひとりをきちんと捉えるようにしながら答えた。そして。
「私の名前は左右田修悟だよ……わざわざすまないね」
 作られた微笑みが弱々しくて、顔にかかった影から老人の残りの命数が感じ取れるようだった。
「それでは、まずわたしから話して聞かせよう」
 シュマイトがベッドサイドの椅子に腰を掛ける。他の三人は壁を背にして用意された椅子に腰を掛けて、彼女が口を開くのを待った。


●シュマイトの昔語り

「私の友人の話だが」
 シュマイトはゆっくりと、聞き取りやすいハキハキとした喋りで言葉を紡ぎだした。『友人の話』だと前置いているが、これは彼女が地元を回って足で調べてきた事実。何処まで左右田氏の記憶を揺さぶることができるだろうか。
「地元の神社で祭りがあったらしい。友人の家は貧しくて普段は派手に遊ぶことはできなかったが、祭りの時位はと貯めておいたわずかばかりの金を懐に入れて祭りに参加したという。その祭りには、地元の有力貴族の娘が賓客として招かれていた」
 シュマイトの落ち着いた声が室内に広がる。左右田氏は目を閉じるようにして、彼女の言葉に聞き入っている。
「だがな、娘も目の前の庶民達と同じように自由に祭りを見て回りたかったのだ。だから、祭りを抜けだした」

『あら、上手ね。こんなに捕ったのにどうするの? 大きな金魚鉢にでも入れるのかしら』
『え? あー……うちじゃ飼えねえから、全部返すんだよ』
『え……せっかく捕ったのに? 勿体無いわ。じゃあ私に一匹だけ頂戴? 今日の記念』
『二匹じゃなくていいのかよ……俺とあんたの記念だろう?』
『……一匹でいいの。閉ざされた狭い鉢で暮らすのは、私だけで十分』

「偶然出会った二人は人混みの中、手をつないで出店を回った。熱々の軽食を互いに吹いて冷ましたり、高価だった甘いものを二人で分けあったり。そして、皆で踊った。だが、楽しい時間ほど過ぎ去るのは早い。戻らなければならなくなった時、娘はもう一度会いたいという思いを隠さなかった」

『三日後の夕方、鳥居で待っているわ!』

「一方的に告げられた約束だったが、友人はそれを無視することができなかったという。これが、二人の出会いだ」
 ふう、と息をついてシュマイトは左右田の表情を伺った。皺を刻んだその口元が、笑みの形に緩んでいる。話を味わうかのようにたっぷり時間をかけて、彼は口を開いた。
「すごい偶然だな……私と常子さんが出会ったのも、祭だった……。彼女は私の捕った金魚を一匹、持って帰ったんだ」
 思い出したのだろう、金魚の件はシュマイトの話にはなかった部分だ。左右田氏は蘇った思い出に浸るように、遠くを眺めて口を閉じている。遠い遠い彼女を思っているのだろうか――その姿が自分と重なって、シュマイトは胸に当てた拳をきゅっと握りしめた。
(会う事のできない大切な人――思い出すたびに『会えない』と胸の焼かれる思いをする)
 だが、彼女は思い出すのをやめない。彼を思うのが、苦しい以上に幸せだからだ。きっと左右田氏も同じではなかろうか。だからこそ、思い出して欲しい。
(私の相手は無口でつまらないが……良きライバルだ)
 遠い遠い世界の、機械技師を思い浮かべて。胸が締め付けられるのと同時に、暖かく満たされるから。
 別離や孤独への恐れも分る。友人との間で現在進行中であるがゆえに。
「もう一つ、彼女の方に関する話がある。話しても良いだろうか」
「ああ……聞かせておくれ」
 今度は顔をシュマイトの方へと向けて、左右田氏は視線を固定した。シュマイトはそれを確認して口を開く。
「彼女は品行方正で教師からの評判も良かったのだが、ただ一度だけ校則違反をしたらしい。彼女の友人が見たらしいが、禁止されている装飾品の携帯――指輪を持ち込んだらしい」
「指輪……」
「何も宝石のついた豪華な指輪を級友に見せびらかしたかったわけではない。彼女の持ち物としては信じられないほどの安物だが、それはそれは大切にしていたという」
 白魚のような指を引き立てる指輪は、そっと絹のハンカチに包まれて、懐にしまわれたとか。
「誰かに貰ったのだろうと友人は思ったらしい。よっぽど嬉しかったのだろうね」
 語るシュマイトの顔にはやんわりとした笑顔が浮かんでいた。それは目の前の左右田氏が、己も自覚せぬうちに涙を流しているのに気がついたからだ――。


●メルヒオールの昔語り

「次は俺の番だな」
 ベッドサイドの椅子に座ったメルヒオールはそう言ったものの、何かを思うように左右田氏の顔を見つめる。顔に刻まれた年輪が彼の通過してきた年月を感じさせた。
(年を取れば記憶があやふやになるという……それは仕方のない事だろう。逆らい難いものだ。だが)
 左右田氏は常子嬢の事自体は覚えているのだが、二人で過ごした日々を忘れてしまっている。
 他人から忘れられてしまうとはどんな感じだろうか――ふと考えだしたのは今に始まったことではない。
(俺達ロストナンバーは消失したら、元いた世界の奴らからは忘れられてしまうらしいしな。『自分が誰かから忘れられてしまったら』と考えたことがないわけじゃない)
 そう、ロストナンバーは忘却と常に隣り合わせ。望む望まないに関わらず、それはついて回る。だからなんとなく、忘れられかけている常子嬢の境遇に自身の境遇を重ねたのか、自分でも判然とはしないが……左右田氏の為だけにここに来たのではないのは確か。
「俺の生徒の話なんだが」
 地道に歩いて得た情報を、ひとつひとつゆっくりと言葉に紡ぐ。
「好き合う二人には身分の差があり、付き合いが発覚したら確実に引き裂かれる運命だ。だから二人の逢瀬はこっそりと行われた」
 淡々と、だが確実に左右田氏の記憶の扉を叩くようにして。
「男の方は裕福ではなかったから、遠出することも金のかかる所へ連れて行くこともできない。だから、近場で人目につかないところを探す必要があった」
 話し好きの老人に延々と話を聞かされた感触からすれば、二人の交際を知る人は常子嬢があまりにも楽しそうに、嬉しそうに笑うものだから、見なかったことにしていたのだという。左右田家自体は評判が悪いが、皆常子嬢の笑顔を壊したくはなかったのだ。だが中には二人の付き合いをよく思わない者もいて、その者達が密告したのではないか、と老人は今でも思っているらしい。
「二人が逢瀬を重ねたのは、学校の裏山の桜の木の下だった。灯台下暗しというやつだ。たくさん咲く桜の中でも少し小ぶりで、桜以外の他の木々に紛れてしまいそうなその木は花見客からも見放されていて、誰も好んで近づこうとしなかったんだ。そこに二人は名を刻んだ」
 秘密の逢瀬にはもってこいの場所だ、メルヒオールが告げると、左右田氏の瞳が大きく見開かれた。

『私がここに来れる日は、朝のうちにこの桜の枝にリボンを結んでおきますから』
『朝学校を抜け出すのか? 大丈夫なのか?』
『大丈夫よ。早めに登校して、授業が始まるまでには戻るから』

「ああ……今日は彼女が待っている……会いに行かねば」
 左右田氏が見つめるのは、ベッドの足元側に立つ人影。震える手を伸ばすので、メルヒオールはその身体を支えて起き上がらせてやった。ユリアナが心得ていると言うように腰の部分に大きなクッションを入れる。
 そこに立つのは矢絣と袴、カツラとリボンをつけたシュマイト。後ろ姿を見せる彼女のリボンの常磐色が、左右田氏には見えたのだろう。
 常磐色のリボンは『今日逢いに行きます』のサイン。
 振り返ったシュマイトの指にはめられた指輪が窓からの光を受け、キラリ……その存在を主張した。
「ああ……大切にしてくれていたのだね。会えて嬉しい……」
 初めての恋は少女を大胆にし、少年のすり切れた心を癒したのだ――。


●間

 メルヒオールの語りの後、左右田氏は疲れて眠ってしまったので、彼が目覚めてから再開することにした。次は撫子の番であったが、彼女は語りをユリアナに任せるので自身は矢絣と袴を身に着けている。シュマイトの着付けをする時もそうだったが、今も一人でさくさくと着替えてしまったことから着付けの心得があったと知れる。
「学生協でぇ、卒業生向けの袴の着付けをするんですぅ☆ そこでもバイトしてたので☆」
 なるほど、人間何が何処で役に立つのかわかったものではない。色々と経験をしてきたことがここで役に立ったわけだ。
「常盤色って常緑樹の葉の色ですぅ☆ 海老茶式部が流行の時代に常盤小町ってかなり目立つと思うんですよぉ」
「ふむ、海老茶式部とやらが流行っていた時代だったのか」
 シュマイトを始め、壱番世界日本の歴史に詳しくない三人は日本出身のコンダクターならではの着眼点に感心を隠せない。確かにそれならば紫紺の袴を履いて常磐色のリボンをつけた常磐小町は目立ったかもしれない。
「大きな新聞社は大体明治中期には出来てますしぃ、年代的に大正末期のお話だと思うのでぇ、まず地元の新聞社をあたったんですよぉ☆ 最近は結構電子データ化されてますからぁ、常盤小町、花稜院常子、左右田脩悟で検索してみましたぁ」
 地元の新聞であれば地元の有名人を記事にすることは珍しくない。中には花稜院家の所在地を特定できそうなものもあって、撫子はその付近でデイケアに来ている人に話を聞いて回った。
「郷土史の勉強をしているっていうと、褒めてもらえました☆ 孫よりももっと若い人と話をするのが楽しいらしく、色々と話してくれましたよぅ」
 記憶の薄れてしまった人も、昔の記憶ばかり鮮明に覚えている人も、撫子の笑顔と明るさに心開かされて。こっちの話もこっちの話もと引っ張りだこになってしまった撫子。中にはもちろん目的の話とは関係ない話も混ざってて、そっちの方が多かったかもしけないけれど、笑顔を絶やさず嫌な顔ひとつせずに話を聞いたのである。
「沢山お菓子ももらってしまいました☆」
 ホクホク顔の撫子は、仕上げにきゅっと常磐色のリボンを結ぶ。
「さぁて、行きましょうっ」
 目覚めた左右田氏が、次の話を待っている。四人はゆっくりと、彼の待つ部屋の扉を開いた。


●撫子の昔語り

 撫子の代わりにベッドサイドに腰を掛けたのはユリアナだ。シュマイトとメルヒオールは壁際の椅子でそれをじっと見守っている。撫子は左右田氏の意識がユリアナに向いている間に、そっと窓際へと移動した。
「祖母が小さい頃にこの国でお世話になったお姉さんの事を調べていたんです。そうしたら、色々わかったんですよ」
 いつもながらの穏やかな声でユリアナは言葉を紡ぐ。
「子供が大好きで、公園でよくお菓子を配っていたのだそうです。小さな子供達を弟妹のように可愛がっていた姿は良家の子女特有の気位の高さを感じさせず、町の人々に愛されたとか」

『折角の自分の自由に使える金なのに、こんな事に使っちまっていいのか?』
『だって簪一本買うお金で子供達が笑顔になる位のお菓子を買えるのよ?』
『その気持ちはよくわからねぇけど……常子が嬉しいならいいや』

「女学校を卒業前する前に遠くの華族に嫁がされたらしいのですが、あの時代では珍しくありませんよね」
 ピクリ、その言葉に左右田氏の手が動いた。何かを掴むようにと浮かされた手は諦めたようにぽとりと掛け布団に落ち、ふいと頭ごとそらされた視線は、窓の前に立つ人物の姿を捉えた。
「つね、こ……?」
 左右田氏には撫子がきちんと人影に見えているのだろう。常磐色を先ほどシュマイトが常子嬢に扮した時に思い出していたからか、左右田氏の記憶が蘇る。
「お話をお聞きした方は、数年前に彼女がお孫さんと一緒にいるところ、偶然出会ったそうです」
 ゆっくり、ゆっくりと撫子は歩みをすすめる。窓の前から、左右田氏の側へと。逆光となって、メルヒオール達にもその表情は見て取れない。
「品の良さは以前と変わらず、素敵なままで。とても、幸せそうに見えたとのことです」
 ユリアナの言葉の最後は涙声が混ざっていたが、それでも彼女の言葉紡ぎは最後の一音までしっかりと発して。
 左右田氏はすでに自らに近寄る人影しか見えていなかったけれど、声は届いただろうか。
「常子……つ、ねこ……」
 老人の皺だらけの細い手を両手で握り、撫子は優しく微笑む。左右田氏の力は思いのほか強く、しっかりと撫子の手を握りしめた。
「迎えに行くのがずいぶん遅くなってしまってすまぬ……待ちかねて会いに来てくれたのか……」
 撫子が頷くのに合わせて、かつらの黒髪と常磐色のリボンが揺れる。それで肯定を感じ取れたのか、左右田氏はじっと撫子を見つめた。
「お前は今も変わらず綺麗なんじゃろうなぁ……私はこんなにじじいになってしまって。……お前を嫁に貰いたいがために、随分と遠回りをしてしまった」
 これはきっと、夢なんじゃろうなぁ……左右田氏が呟いたのを聞いて、シュマイトが立ち上がった。
「これが夢ならば、ここまで抱き続けた夢望みが叶ってもおかしく有るまい」
 シュマイトは額縁を左右田氏の膝の上に載せた。安定させるためにメルヒオールが反対側に回って額縁を支える。それは『祈念写真』という発明品であった。
「あなたが抱き続けた夢を、心に描いてこの額縁を見つめてくれ。騙されたと思って、一瞬だけでいい」
「こんな老人を騙しても君たちに益はあるまい」
 彼女の言葉に笑いながら視線を動かした左右田氏。

「――っ!」

 その一瞬、彼の心を通じて脳裏に映しだされたのは、紋付袴を着た自分と、文金高島田姿の常子。彼が、心から望み続けたもの。


「ああ……死ぬ前に仏様が、私を幸せにしてくれた……悔いはない」


 そう呟いた左右田氏は、今までで一番の満足気な笑顔を浮かべていた。


 *-*-*


 数日後、左右田氏は眠るように息を引き取ったという。その顔は、とてもとても安らかなものだったらしい。
 更に後日、常子嬢の遺言で左右田邸を訪れた孫たちは、左右田氏が亡くなったのが祖母と同じ日であったことに驚きを隠せなかったのだとか。


『今日、逢いに行きます』


 常磐色のリボンが玄関ポールに結ばれていた。





  【了】

クリエイターコメントこの度はご参加、ありがとうございました。
いかがだったでしょうか。
文字数の都合で深く触れられなかった部分もありますが……
皆様のお心遣いがとても優しく、また抱いているお気持ちも心に響き、プレイングを初めて読んだ時、涙しそうになりました。

今回は、NPCの過去を調べると同時に調べた内容(=過去)を作っていただく形でした。なので量が多すぎたり無理があるものでなければ、全て左右田氏と常子嬢の過去とさせていただくつもりでおりました。
結果、こうなりました。
『』で書かれている会話は、左右田氏の記憶のなかの会話です。

■シュマイト様
お祭りのエピソードは恐らく出会いの場面ではないかと推測し、トップバッターにさせて頂きました。
また、左右田氏の知らなかったであろう常子嬢のエピソード、しかも氏にとっては何よりも嬉しい情報です。
それが、氏の琴線に触れたようでした。
また、せめて真似だけでも、幻の結婚式をというお心遣いで、彼がずっと願い続けていた『常子との結婚』も果たすことができました。
彼の思いを大切にして下さり、ありがとうございました。
シュマイト様には黄色地と紫色の幾何学模様の布を合わせエコバックが用意されていますので、よろしければお持ち帰り下さい。

■メルヒオール様
他者に忘れられてしまう危険のあるロストナンバーとして、常子嬢に自分を重ねてみたりされたのでしょうか。
忘れてしまって思い出せない左右田氏の辛さも、何かと重なって見ていられなかったのかなと個人的に思いました。
常子が合図のリボンを結ぶのに苦労をせず、家の監視の目から逃れられる場所を考えた結果、灯台下暗しという意味も兼ねて学校の裏山ということになりました。
『今日、逢いに行きます』のフレーズが気に入ってしまい、最後にも使わせて頂きました。
何処かに二人がこっそり名を刻んだというのは、実は私が最初に考えていたエピソードと全く同じでしたっ。
いやいやながらも話しの長いおじいさんに付き合うメルヒオール様の姿が目に浮かんで、ほっこり。
メルヒオール様には黒字に白のラインの入ったスタイリッシュなエコバックが用意されていますので、よろしければお持ち帰り下さい。

■撫子様
調査についての目の付け所が流石だ、と思いました。
とても手順がしっかりしていましたので、きっともっと色々な記事が拾えたことと思います。
こっそり胸の中にしまっておいて下さい。
常子さんの真似をしての演出、とても良かったと思います。
シュマイトさんの『祈念写真』と共に、左右田氏の心を満たしたことでしょう。
また、常子嬢のその後を調べて下さり、ありがとうございます。
ここだけの話ですが、プレイングをもらうまでは常子嬢の最期は悲劇な感じの設定を用意してありました。
それが、良い方向に全部覆ってしまったのです(笑)
おかげで、悲劇の中の幸せではなく、悲劇を乗り越えた幸せとなることができました。
撫子様にはビタミンカラーのポップなエコバックが用意されていますので、よろしければお持ち帰り下さい。


このノベルは、お三方のプレイングが絡みあった結果です。
一部共存させられるか悩んだものもありましたが、お三方の誰一人のプレイングが欠けてもは、このエンディングにはならなかったと思います。
ご参加、ありがとうございました。
少しでも心に響くものがあれば、幸いです。
公開日時2012-04-24(火) 22:10

 

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