――忘れられない。 コタロ・ムラタナは思う。 忘れられるわけがない。ブルーインブルーの、あの濃霧に満ちた島での出来事を。 これからもずっとずっと、忘れられないでいるだろう。(彼女に謝らなければ) ……。いや、違う。そうではない。 撫子は優しい。 謝ればきっと、彼女は笑って自分を許してくれるだろう。 ……それに甘えて、また、忘れるのか? 失う所だったのだ。それも、最悪の形で。 大切な人を殺し、友を裏切り、故郷から放逐されたあの日から、自分は何ひとつ変化していなかった。 強くなった心算だった。もうあの頃の自分ではない心算だった。 だが、何も変われてなどいなかった。 強くなりたいと思う。 撫子は友を支える為に前へ進んでいる。己に為せる事を為し続けている。 そんな彼女の隣に立つに相応しい強さを、彼女に報える強さを持ちたいと思う。 ふと気付く。 先日、おでん屋台で、友人の耳慣れぬ揶揄に動揺したけれど。 自分達はその揶揄を向けられるに然るべき関係であるのだと。 今更であると言えば今更だ。 ……けれど、自分から彼女にそれを意味する言葉を告げた事が、今までにどれだけあっただろうか? 目の前には撫子がいる。『うさぎ小屋』という、うさぎ型ツーリストの女将が経営する定食屋で、コタロと撫子は昼食を取っていた。 デートというわけではない、同居人としての、日常の食事だ。 この店には《月見のチェンバー》というロマンチックな施設が付属しているそうだが、彼らは行ったこともなく、話題にしたこともなかった。 * * ――もしも謝られたら、私は立つ瀬がない。 川原撫子は思う。 コタロさんはあの時、ちゃんと庇ってくれた。 あの後私は、コタロさんを気絶させ、治療を続行しなければならなかった。 それが出来なかったのは私の経験不足。私の甘えだ。 星界に行った時、もっと素直に甘えようと思った。 コタロさんに渡したくて、ふかふかの毛糸シュシュでマフラーを編んだ。 ……この前、おでん屋さんに遊びに行ったとき、ある会話が漏れ聞こえてきた。 思わず、顔が赤くなった。 同居人からもう少しだけ、ランクアップしたい。 謝りたい気持ちもある。いろんなスキルを身につけて、コタロさんに追いつきたい気持ちも。 そして、何よりも。 一緒にデートしたい。 * * 撫子は言う。朗らかに笑いながら。「3日ごとに往復してると、クリスマス近辺ギベオンに居そうなんですぅ☆」「クリスマス……、か」「だから今日はどこかに遊びに行って、夕食は外でごはんにしませんかぁ☆ コタロさんの行きたいところやりたいこと優先が良いですぅ☆」 コタロは答える。ほぼ反射的に。「…………壱番世界の……恋人同士の逢瀬は、普通、何をするんだ?」「……!?」 撫子ははっと息を呑む。 コタロは……、微笑む。 彼なりに、精一杯に。 少しは上手く、笑えていただろうか。=========!注意!企画シナリオは、便宜上、参加枠数が「999」になっていますが、実際には特定の参加予定者のために運営されています。この企画シナリオは下記のキャラクターが参加予定です。他の方のご参加はご遠慮下さい。万一、参加予定でない方のご参加があった場合は、参加がキャンセル(チケットは返却されます)になる場合があります。<参加予定者>川原 撫子(cuee7619)コタロ・ムラタナ(cxvf2951)=========
DETE-LEVEL1★手を繋ぐ コタロが渾身の男子力(WR註:女子力と対になるパワーとでも考えてくれたまい)を振り絞り、壱番世界の恋人同士はその逢瀬に於いて通常どのようなコミュニケーションを執り行なうのが適切であるのか的なことを聞いたところ。 「……。……………」 「撫子?」 「……。……………」 「あの……?」 「……。……☆……。………………☆☆…………!」 撫子は真っ赤になったまま黙りこみ、何やら百面相をしている。 (これは) まずい、のではないか。 何か、途轍もなく不味いことを言ってしまったのだろうかもしかしたら挙動不審も極まりなかったりあるいは超破廉恥な表現だったのではきっとそうだそうに違いない。 コタロの恋愛に於ける教科書は、ターミナルでの友人から借りた『少女漫画』である。 たしか友人は、こんにちの壱番世界の少女漫画はひと捻りもふた捻りもした波瀾万丈のストーリーに錯綜した男女関係が展開されるケースが多々あるので、あまり参考にならなかったりもする、とも言っていた。 とすると、サンプルの台詞の抽出を間違えた、ということになる。 コタロはさっと蒼ざめた。 頬を紅潮させた撫子とは好対照である。 蒼と紅。こんな局面で何という符丁であろうか。ぜんっぜんうれしくない。 「ええと……、失礼なことを言ったのなら……、すまない」 おずおずと失態を詫びようとするコタロに、 「ち、違うんですぅー!」 撫子は勢いよく、首をぶんぶん横に振る。 「………うれしかった……ん、ですぅ……」 「そう……、なのか?」 「……はい。恋人距離というのが、ありましてぇ」 顔を上げ、撫子は席を立つ。慌ててコタロも立ち上がった。慌て過ぎて、椅子ががったーんと後ろに倒れる。 「相手とほぼ接触する距離で一日過ごすと申しますかぁ……」 そして撫子は――コタロに手を差し伸べる。 「コタロさん、利き手じゃない手、出してくださいぃ」 その仕草に、コタロは胸を突かれた。 ――サクラコ。 昔の話だ。 その『彼女』との訓練試合で、コタロ少年はいつも負かされる側だった。 尻餅をついたコタロに、面映そうに差し伸べられた手を取って立ち上がっては、「次は負けない」と、何度うそぶいたことだろう。 あれは、百五十二回目の敗北のときだった。 いつものように差し出された手を、コタロは拒んだ。 それは彼女の手が、まぎれもなく、しなやかな女の手であることに気づいたからで―― おそらくあのとき、コタロは、誰かと手を繋ぐことに、特別な意味を見いだしたのだ。 ――サクラコ。 しかしもう、コタロは心の中で、その名を呼ぶことはないだろう。 撫子の手を、強く握りしめる。 繋いだ手からは、ゆるやかに温かさが伝わってきた。 「今日は、手を繋いだまま過ごしたいんですぅ……。それだけでいいんです……」 それさえ叶えてくれるのなら、撫子はコタロがどんな場所を希望してもかまわないという。 それがたとえコロッセオであろうと、喜んでついて行くという。 コタロはかぶりを振る。 「いや、コロッセオには……、行かない」 コタロは、それだけはきっぱりと言った。 「……そうですかぁ? でも」 「撫子は……、気を遣って、俺が行きやすいところを選びがち……なのだろうとは思う。だが、こういう場合、それは違う」 「違い……、ますかぁ?」 撫子の瞳に不安がよぎった。 「あ、いや、そういうことではなくて、その」 狼狽しつつ否定する。 「これは、デ、デートなのだろう?」 「は、はいぃ」 撫子は、これ以上ないくらいに真っ赤になった。 「このままお出かけして、お買い物して、お夕飯とか食べて、おうちに帰ったら……、それだけで立派にデートですぅ……」 「あーもう熱っっついわねぇ。いつまでもこんなところにいないで、アンタたちもう出て行きなさいお勘定はいらないから!」 じりじりしながら成り行きを見守っていたうさぎの女店主は、ふわふわした両手でぽふっぽふっとふたりの背を押しやるのだった。 DETE-LEVEL2★ウインドウショッピングと映画鑑賞 クリスマス仕様ということで、この時期のターミナルは「雪」と「夜」の設定がなされているらしい。 飲食店や雑貨屋などは宝石の花束めいたイルミネーションを競って施し、街は華やかだ。 店舗が軒を連ねるエリアを、手を繋いだふたりはそぞろ歩く。 桜の花びらのような雪が降っている。 かつて、ターミナルの外周の壁あたりに、カーサ&カフェバル『アガピス・ピアティカ』は存在した。 「そういえば、アガピス・ピアティカ閉店しちゃったんですよねぇ……」 街路沿いにはいくつもの店舗が新しく店開きをしている。帰属するものもいれば、新たに住人となるものもおり、旅人は常に流動している。 未だ面識も交流もないロストナンバーは多いけれど、何かのきっかけで知己となることもあるだろう。撫子にとってのレイラがそうであったように。 撫子はふっと遠くを見る。 壁のむこう、天空の果て、さらにその先、ロストレイルが駆けめぐる世界群を。 レイラ・マープルが帰属した、群青の海の世界を。 「あそこの雑貨、すっごく可愛くて使い勝手良くて……」 愛しげに、撫子はつぶやく。 「残念だったけど、レイラさん、きっと、ブルーインブルーで頑張ってらっしゃいますからぁ」 そうか、とだけ、コタロは言葉を添える。 「何か、……ほしいものがあれば」 新しい店舗群のなかで、もし撫子が気に入った雑貨があればすぐに購入するつもりで、コタロは問う。 「……うーん。今はそんなに」 撫子はかぶりを振った。 コタロは不意に気づく。 (そうか……) 彼女が望むものを、ただ与えるのでは意味がない。 彼女が求めるものを、自分で思案する必要があるのだと。 「……あ、あのっ、デート中すみません。あっあっあの」 見知らぬ店主から声を掛けられ、ふたりは足を止めた。 見れば、煌めくような金髪に水色のドレスが似合う美しい少女だ。しかし、どうももの馴れないらしく、たいへんにおどおどしている。 「アリス、っていいます。わ、わたし、最近ここに来たばかりで」 看板には『ざ・あるてぃめっと・うえぽん』とある。店名を見ただけでは、何を商っているのやらさっぱりわからない。 「武器屋も花屋もやってますっ。今後ともご贔屓にどぞっ」 こ、これ、お近づきのしるしですっ、彼女さんにぜひっ。そう言ってコタロが渡されたのは、「ヤマトナデシコ」をあしらった小さな花束だ。 「ナデシコの花言葉は、無邪気・純粋な愛・いつも愛して・思慕・貞節などですが、才能・大胆・快活なども含まれてますっ。彼女さんにぴったりだと思いますっ」 押し付けられた花束を、コタロはそのまま、撫子に渡すことになった。 そして。 どこをどう巡ったものか、ふたりは画廊街の外れにいた。 ひっそりと佇む小さな映画館――“シネマ・ヴェリテ”を前に、どちらからともなく口を開く。 「コタロさん、あのぅ……、映画を見ませんかぁ? 確かここ、知る人ぞ知る名画を上映してる映画館だって」 「撫子……、実は俺は、映画というものを見たことがなく……。一度、見てみたいと思っていて……」 思いがけぬ来客に助手は興奮し、倉庫整理中の映写技師のもとに駆けつける。 「――……さん! カップルです! カップルですよカップルのお客さまです。大事なことなので三回言いました」 「……ああ、それで?」 「恋愛映画を上映しましょう。パーソナルな赤青黒金白銀虹とは無関係に、世間に広く膾炙(かいしゃ)し、かつ評価が高い、劇的なラブロマンスがいいと思います」 「成る程。では上映内容の選択は灯里君にまかせるとしよう」 「はい……!」 かくして、シネマ・ヴェリテPREMIUM「ふたりのためのロードショウ」が開催された。 映写技師助手、七瀬灯里が選んだのは、名作中の名作『風と共に去りぬ』である。 しかしながら、撫子たんは正直ドキドキし過ぎて映画の内容はさっぱり頭に残らなかったし、コタロさんはコタロさんで、不明な点を小声で尋ねて解説を聞くなどやらかしたんで、いっそう撫子たんの心臓をアルティメット状態にしたのでした。 ホラ、暗闇で顔を近付けることになるじゃないですか。 DETE-LEVEL3★ロマンチックディナーと、ロマンチックじゃないディナー さて、夕食をどうしよう。 映画館を出て、画廊街を進んだふたりは、やがて『クリスタル・パレス』の前にさしかかる。 「あ、でも、クリパレ、閉まってますよねぇ……?」 看板ギャルソンと店長が、今、彼らの故郷での激変に見舞われていることを、撫子は知っている。 照明も落とされているし、営業時の飾り付けもなされていない。だから、そのまま通り過ぎようとしたのだが。 「……いや」 小さな貼り紙があることに、コタロは気がついた。 。:*:★。:*:★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★:*:。★:*:。 お客様各位 限定クリスマスディナーのご案内 聖夜の祝祭前のひととき、如何お過ごしでしょうか? 当カフェでも、日頃、お世話になっている皆様をご招待し、 夕食会を催させていただく予定だったのですが。 生憎、店長と看板ギャルソンが席を外しており、 皆様には非礼となりましたこと、お詫び申し上げます。 このような状況ではございますが、 前々から店長が考案しておりましたディナーメニューを ご賞味いただければさいわいです。 但し、諸般の事情により、先着二名様限定とさせていただきます。 店員一同、おふたりのご来店をお待ちしております。 クリスタル・パレス店長代理:ジークフリート・バンデューラ 。:*:★。:*:★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★:*:。★:*:。 「いらっしゃいませ、『クリスタル・パレス』にようこそ。……あれ? 撫子ちゃんじゃないか、彼氏同伴かい? 仲良さそうで妬けるね」 「やっだあジークさんたらぁ☆ そんなことありますけどぉー☆」 ジークフリートをばっしーん☆ と叩いたのはもちろん照れたからだが、何せ撫子たんは腕力に秀でたお嬢さんであるからして。 「……ごふっ」 「呑気に倒れないでくださいねジーク店長代理。しあわせなカップルさんの前なんですから」 足元をふらつかせたジークを、ハツネ・サリヴァンが横合いから支え、ふたりに向かってにっこりした。 「……、あ、その……」 どう振る舞っていいのかわからず、コタロは咳払いをして店内を見回し、ふと気づく。 「……そうか。とうに復旧したのだな……」 有翼のギャルソンが出迎えてくれるようなしゃれたカフェになど、コタロはまったくもって縁がない。だが、思えばこの店は、ナラゴニア進撃の折り、ナレンシフが墜落した場所だった。 硝子の破片、砕けた鉢植えのかけら、飛び散った土。店内の惨状をまだ覚えている。 あのとき撫子は、ひとり戦場から離脱し、避難所となったここへ、重傷のフランを背負って運び込んだのだ。 ――思えば、不思議な縁だ。 そう考えてようやく、コタロは落ち着いた。 心づくしのディナーはどれも逸品揃いで、それはそれは美味しそうに平らげる撫子の表情も、コタロをくつろがせた。 (……そうだ) デザートが運ばれる前に、コタロはジークに耳打ちをする。 ジークは頷いて、コタロをお手洗いへ案内するふりをしながら、裏口の扉を開いた。 (右の路地を抜けて三件先に、若い女性に評判のアクセサリーショップがあるよ。撫子ちゃんの場つなぎはしておくから急いで!) (……恩に着る) ★:*:。★:*:。 「コタロさん、お腹の調子、悪いんですかぁ?」 撫子がそう聞いたのは、クリスタル・パレスを出て、いつものおでん屋の席についてからだ。 ディナーも悪くはないが、やはりこの店がしっくりくる。 「……いや?」 「さっき、なかなか戻ってこないから心配しちゃいましたぁ」 「……あ? ああ、緊張しているのかも知れない。だが、体調は悪くない」 撫子に内緒でプレゼントを買いに走っていたのだとは……、まだ言えない。 「クリパレのお食事、美味しかったですねぇ☆ でも、まだまだ食べられますよぉ、おでんは別腹ですぅ☆」 DETE-LEVELMAX★告白 家に帰る道すがら、ひときわ大きなモミの木の下で、撫子は立ち止まる。 「これ、レイラさんに教わって、シュシュの糸で作ったマフラーなんですぅ。持ってって貰えますぅ?」 コタロの首を、ふわりと、暖かでやわらかなものが包み込む。 「ごめんなさい」 「……、え? あ?」 いきなり謝られてコタロはたじろいだ。もしかしたら自分は、撫子に見切りをつけられたのでは……? 「私、この前、コタロさんを気絶させてでも治療しなきゃならなかったのに……。コタロさんはちゃんと私を庇ってくれたのに」 「……。ああ、そっちか。……よかった」 ほう、と、コタロは全身の力を抜く。 「必ず、カンダータでコタロさんに追いつきますぅ。並んで立てるようになりますからぁ……。もう少し待ってて下さいね」 「いや、俺のほうこそ」 ――君に、伝えたいことがある。 それは、今までずっと甘えていたことだ。けれど判っていたはずなのだ。 言葉にしなければ、何も伝わらないのだと。 「俺は……、弱い人間だ。ひとりで戦おうとすると、いつもミスをする。だから、それに負けないぐらい強くなりたかったけれど……、違ったらしい」 「コタロさんは、弱くなんかないですぅ」 「いや、俺は弱い。だから、一緒に戦ってくれるひとが必要だ」 「……一緒に?」 「それは戦場じゃなくて、日常でも変わらない。隣に居てくれるひとが必要だ」 「コタロさん」 撫子の瞳に、涙が盛り上がる。 「撫子、いつもありがとう。もしも、君が俺の我儘を許してくれるなら――隣に居てくれないか」 ――君と並んで、生きていきたい。 「う……、うれしいですぅ」 いつになく明瞭な声音でそう伝えたのはよかったが、涙を拭う撫子におろおろする。 「……ああっと、それはそれとして、これ……」 コタロは慌てて、隠れて購入したプレゼントを渡した。 「わ……!」 リボンが掛けられた包み紙から出て来たのは、蒼いシュシュだった。 ★:*:。★:*:。 さっそく撫子は身につけてみる。ポニーテールにした長い髪に、そのシュシュはよく似合った。 「大事にしますね☆ でもコタロさん、どうしてこれを?」 撫子が無邪気に聞いたのは、およそコタロが選びそうにないものだと思ったのだろう。 「……い、いや、その……」 コタロがシュシュを選んだ理由は、難しく言えば、教科書的な思考を排し己の思考を優先したゆえである。 教科書的に考えると、アクセサリー類などは動きの邪魔になる。 戦場云々での行動もそうだが、彼女は基本的に活発な人間だ。 また、アクセサリー類が日常生活で有用かと言われるとなんとも微妙ではある。 ……早い話が。 ショップで商品を見比べながら、彼女の笑顔と長い髪を思い浮かべたとき、蒼いシュシュが目についた。 単純に「似合いそうだ」と思った。 そういうことなのだ。 (……しかし) 撫子がシュシュをつけた姿を見て、はたと思う。 (この色は、自分の) 蒼。 蒼で、彼女の髪を縛る。 彼女を、縛る。 自分の人生に。 そういうことに、そのぅ……、なるのでは? 「……コタロさん? どうしちゃったんですかぁ?」 耳まで真っ赤になったコタロに、撫子は首を傾げる。 だが、さすがにこればかりは、絶対に口にしない。 ――Fin.
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