★ 【Love is Beautiful Energy!】つめたい手、やさしい手 ★
クリエイター犬井ハク(wrht8172)
管理番号102-6648 オファー日2009-02-11(水) 02:14
オファーPC 理月(cazh7597) ムービースター 男 32歳 傭兵
ゲストPC1 ブラックウッド(cyef3714) ムービースター 男 50歳 吸血鬼の長老格
<ノベル>

 二月十四日。
 何の変哲もない……とは、言い切れない午後一時。

 ガツッ。
 金属の腕に殴り飛ばされて、理月(あかつき)は息を詰めたまま吹っ飛び、地面を転がった。
「って、ェ……」
 対策課で受けた、ヴィランズ退治の依頼だ。
 近未来SF映画から実体化した殺人機械人形を、被害が出る前に破壊すると言う内容だった。
 金銭を欲してというよりは、銀幕市を愛するがゆえに、傷つく人間や哀しむ人間が出ないようにという理由でその依頼を受けた理月だが、戦いは思ったより長引き、また難航していた。
「キカイとか……よく、判んねぇんだよなぁ……」
 電気も機械も存在しない、中近世的な時代背景を持つ世界から実体化した理月には、機械人形、つまりアンドロイドやロボットなどと呼ばれる連中に関する知識などなきに均しいのだ。
 彼の相棒『白竜王』は、鉄をも断つ大業物だが、闇雲に振り回して刃を毀れさせては仕方がない。
 ブゥン、と、目を赤々と輝かせた機械人形が、理月の血にぬめる手を掲げる。
 戦いが始まって二時間弱、エネルギーがなくなったのか、初期の頃に連発していた熱線はしばらく前に止んでいたし、手裏剣やチャクラムを思わせる刃物系の飛び道具も、理月に打ち落とされて品切れになっていたが、機械人形が無傷に均しく、理月のダメージは蓄積されつつある、といういただけない現状に変わりはなかった。
「……長引いたら、不利、か……」
 熱線で灼かれ、手裏剣状の刃物であちこちを切り裂かれた挙げ句、とんでもない膂力を誇る機械人形本体に何度も打ち据えられて、普通の人間ならば立ち上がれなくなっているようなダメージを受けつつ、理月の戦意はまだ失われていないし、立ち上がる力も残っている。
「あんたが、判り合える心を持ってりゃよかった、けど」
 ぶぅん。
 機械人形が、鋼鉄の脚に力を込めるのが判った。
「――……仕方ねぇ」
 来る。
 そう思った次の瞬間には、静かな、無機質な殺意が眼前に迫っていた。
 ナイフのような質感を持った手が、理月の首を叩き落すべく、疾風のような速度で薙ぎ払われ――……る、前に。
「【雪霞(セッカ)】」
 理月は身を屈めながら敢えて機械人形に向かって踏み込み、右手の掌から、天人の友人が贈ってくれた不思議な短剣を出現させると、その刃を、機械人形の胸の中央でぴかぴかと光っている赤い石に、深々と埋めた。
 それと同時に、身体を倒しながら斜め前に向かって素早く前転し、機械人形の手を回避する。
 避け切れなかった手に右太腿を抉られ、骨が砕けるのを妙に冷静に感じつつ、出血も相俟って立ち上がれずにいる理月の、白銀の視線の先で、機械人形は動きを止めていた。
 ばちばち、と、何かが弾ける音がして、稲妻のような黄色い光が人形の周囲で瞬く。
 ばちん、ぼぅん!
 一際大きな音がして、機械人形の上半身が弾け飛んだ。
 一拍置いて、すぐに、“狂った科学者に人類の抹殺をプログラミングされた”憐れな殺人機械人形は、プレミアフィルムへと転じた。
 カラリ、と転がるそれに虚しさを覚えつつ、理月は溜め息をつく。
「俺は、この世界に来られてよかった、って思ってるけど……」
 ゆっくりと這いずっていき、取り残された【雪霞】を自分の『中』へ戻しながら理月は呟いた。
「……あんたは、どうだったのかな」
 今更何を言っても届くまいと思うが、それでも、やはり、判り合えないことは、寂しい。
「やれやれ……」
 再度溜め息し、ずれてくしゃくしゃになってしまった青いマフラーを巻き直して――幸い、血はつかずに済んだようだ――理月は空を見上げた。
「今日はバレンタインだってのに、色気のねぇ日になっちまったなぁ」
 今日は、大切な人に贈り物をする日だ。
 少なくとも、理月はそう認識している。
 去年の今日は、賑やかなデパートで右往左往しながら大切な人たちのためにプレゼントを選んでいた。あれでもこれでもないと悩み、焦って汗までかいたが、それは楽しい汗だった。
 しかし今の汗は、疲労と痛みから噴き出した虚しい汗だ、などと思い、自分が立ち上がれないことを鑑みて、地面にへたり込んだままで、どうやって帰ろうかなぁと理月が算段していると、
「……何も、こんな日にまで、我が身を削らずともよいだろうに」
 脳髄を痺れさせるような、微苦笑を含んだ美声が、唐突に背後からかかり、理月は飛び上がるほど驚くと同時に、救われたような気分にもなって、
「ブラックウッドさん!」
 満面の、友人の誰もが三十路には見えないと呆れる無邪気な笑顔とともに振り向いていた。
「こんにちは、理月君。また、ずいぶんと無茶をしたようだね?」
 案の定、そこには、魔性の美壮年との呼び声も名高いブラックウッドが、品のいい、上質なスーツに身を包み、佇んでいる。
 彼の左手の中指に、インペリアル・トパーズと呼ばれる太陽のような石のはまった指輪を見い出し、少しくすぐったい気分になりながら、理月は首を横に振った。
「ん、や、だってさ。……放っておけねぇだろ」
 自分という存在もまた、大切にされてしかるべきなのだということを、理月は、ブラックウッドや、たくさんの友人たちから教えてもらったが、それでも、自分が大切であるように、他の人たちも大切だと思うから、その大切な人たちが傷つかずに済むように、出来ることをしなくてはと思うのだ。
「……君らしいね」
 理月の言葉にブラックウッドは微笑み、やおら、立ち上がれずにいるのを見て取ってか、理月を両腕で抱き上げた。
「ちょ、ブラックウッドさん……!?」
 いわゆる、姫抱っこという奴だ。
 細身ではあるが、筋肉の関係で見かけによらず重い理月を、軽々と抱き上げてしまうブラックウッドはすごい。確かに。
 しかし、
「ちょ、すんげー恥ずかしいってこれ! 歩ける歩ける、自分で歩けるから、も、ホント降ろしてくれ、恥ずかし過ぎる……!」
 生まれてこの方、そんな抱き上げられ方をしたことのない理月には、試練以外のなにものでもない。
 ひんやりとした、理月にとっては無上に心地のよい手の感触が、薄い武装を通して伝わってきて、何とも言えない気分になり、顔に血が集まり過ぎて破裂しそうだ、と理月は思った。
 黒味の強い褐色の肌なので、傍目には判りにくいが、耳の先から首まで赤くなっている。
「……この傷と出血で、歩くつもりでいるのかい? きっと日が暮れてしまうよ?」
 理月は、こんな羞恥プレイのお世話になるくらいなら這って帰った方がいい、と思ってじたばたともがいたが、ブラックウッドはやんわりとした……しかし断固として逃がさないといった手つきで理月を抱いたまま、歩き出した。
「君に渡したいものと、ご馳走したいものがあって、ずっと待っていたのに……なかなか来てくれないものだから、君の愛が薄れてしまったのかと、少し恨めしく思っていたところだったのだよ」
 悪戯っぽい口調で、詰るように言われ、理月は言葉を失う。
「あ、愛って、言われても……」
 まだ、感情内に、好き・嫌い・大好き……といった程度の幼い判断基準しか持たない理月には、愛という言葉は重厚に過ぎ、難解に過ぎる。
 往生際悪くもぞもぞと身動きしながら、ぼそりとこぼすと、ブラックウッドがくすくすと笑った。
「まったく……」
「え」
「君は、戦うべき時に戦うことには慣れているのに、身を任せるべき時に身を任せることにはいつまでも不慣れなのだね」
 もちろん、君のそんなところも可愛いとは思うけれど。
 穏やかな微笑とともに、唇がそんな言葉を紡ぐ。
 甘えてもいいのだと、そのくらいのことは自分にとって何でもないのだと、回りくどい婉曲な表現で深い友愛を示してくれるブラックウッドの意図に気づき、理月は今度こそ、頭の血管が切れて失神するのではないかと思った。
 何でこの人は、こんなに、優しくて強いんだろう、と思うと、それだけでたまらない気分になる。
 性別も、種族や出身や年齢や役割の違いも、この瞬間には何もかもが関係なく、理月は思わず、衝動的に、ブラックウッドの首筋に齧り付くようにして、彼の頭を抱きかかえ、青白く冷たい彼のこめかみに、頬に、小鳥が果実を啄ばむようなキスをしていた。
「……おや」
 少し驚いたのか、立ち止まったブラックウッドが、我に返ってまた赤面している理月を見つめる。
「珍しいね、理月君がそんなに、積極的なのは」
「え、あ、いや……あの、その」
 しどろもどろな理月に、ブラックウッドは金の双眸を細め、
「では、お返しに」
 触れるだけの、軽い、優しいキスを、理月の唇に落としたのだった。

 ――実はそれが、結構な人通りのある往来での出来事で、偶然彼らを目にした通行人が驚いて立ち止まっていたり、偶然行き逢う幸運に恵まれた事情通の乙女たちが目を輝かせていたりしたのだが、理月はそれどころではなくて気づかなかったし、ブラックウッドは気づいていても気にしなかった。
 後日、人伝にこの話を聴いた黒木家使用人の少女は、呆れ果てた同僚の少女が思わず後頭部にチョップをお見舞いしたくらいの勢いで、現場にいられなかった自分を悔やみ、同時にそのシーンを脳内で補完して萌えたと言う。

 * * * * *

 自宅へ連れ帰った理月は、あちこちを骨折していたし、かなり出血もしていたが、それは彼にとってあまり大した問題ではないようで、簡単な手当てをしてもらった理月は今、金髪のメイド嬢が出してくれた色とりどりのボンボン・ショコラを前にご機嫌な様子を見せていた。
 紅茶のカップを片手に、次はコレで、その次はこっちで……と食べる順番を楽しそうに算段している様は、とてもではないが三十路を幾つか過ぎているようには見えないし、下手をすると二十代であることすら疑わしく思える。
「理月君は本当に甘いものが好きなのだね」
 愛しい可愛い傭兵氏のために、手ずから茶を淹れながらブラックウッドが言うと、彼の使い魔や、同居の吸血鬼のへたいまや、使い魔の友人でも理月の友人でもある仔狸のかたちをしたプラリネに目尻を下げていた理月は、幸せそうに笑って頷いた。
「だって、なんか……幸せな気分になるだろ。うきうきするっていうか。あと、気持ちがやわらかくなるしさ。俺、世界を平和にしようと思ったら、まず、世界中に、『楽園』みたいなスイーツの店を作るべきだと思う」
「ああ、なるほど、そうだね」
 世界中に『楽園』が出来たら、きっと凄まじい数の被害者が出るだろうが、そこには思い至っていないらしい理月は、本気と思しき真顔だったので、ブラックウッドも特に指摘はせず、頷くに留める。
 それからブラックウッドは、美しい包装のなされた小さな箱を取り出して、チョコレートに夢中な理月の前に置いた。
「……?」
 もの問いたげに見上げてくる銀眼へ、開けてご覧と促して、ブラックウッドは理月の隣に座った。
「あ、バレンタインの」
 それに思い至ったらしい理月が、じゃあ俺も、と言って、色鮮やかな紙袋をブラックウッドの目の前へ置いた。黒木邸へ戻る途中で、対策課に預けてあったのを受け取ってきたものだ。
「じゃあ、開けさせてもらおうかな。ありがとう、ブラックウッドさん」
 何だろう? と首をかしげながら、理月が丁寧な手つきで包装を解いていくのを、ブラックウッドは微笑ましく見守る。理月の贈り物は、彼の反応を見てからだ。
「……うわ、すげぇ」
 驚きの声とともに、箱の中から理月が取り出したのは、銀細工師と時計職人の技術の粋を集めた、銀の懐中時計だった。
 もちろん、特注品である。
 銀のチェーンは繊細なツタを模してあり、その銀は、理月の黒褐色の肌にひどくよく映えていた。
 風に揺れるデルフィニウムの花と雲間にけぶる月、という細かい彫刻の施された蓋は、熟練の職人芸ならではの繊細さを感じさせるが、同時に実用を兼ねた丈夫さを併せ持つ。
 つくりを丈夫にするように発注したのは、いつも自ら戦いの場に飛び込んでいく理月が、戦場で身につけていても壊れないように、という配慮で、同じく、どこにいても身につけられるようにというその思いの中には、離れていても同じ『時間』を共有できるように、という願いも込められている。
 また、デルフィニウムの花言葉は、『清明』『高貴』そして――『あなたは幸福を振り撒く』。
 理月が自分にもたらしてくれたものに感謝を込めての、ブラックウッドのチョイスである。もちろん理月は、デルフィニウムの花言葉などは知らないだろうが。
「えーと……これ、あの、」
 とても高価なものだということは判るのだろう、困ったような視線を寄越す理月に、ブラックウッドはいつも通りの笑みを向けた。
「金銭などというもので贖える何かが、君を少しでも幸せにすれば、私は嬉しいよ」
「……う、うん……」
 銀の蓋を開けて、中の文字盤を見つめながら、理月が小さく頷く。
 目元が上気しているのは、喜んでくれているからだろうか。
 そう思ったら、また、愛しさが募る。
「……ありがとう、ブラックウッドさん」
「何、礼には及ばないよ。君だって、私に、こうして君の気持ちを贈ってくれているじゃないか」
「あ、う、うん。……気に入ってもらえるといいんだけど」
 どこか不安げな理月に微笑みを向けたあと、ブラックウッドは紙袋から箱を取り出し、シンプルな包装を解いて蓋を開けた。
「……おや」
 出てきたのは、白銀のボディの携帯電話に、充電器、それから銀のワイヤーで装飾されたストラップだった。
 ストラップに使われているのは、クォーツの中に眩しい金の針が入った石と、清廉な銀の針が入った石で、直径三cmほどのダイヤ型のそれらふたつに、銀のワイヤーが、月の光を思わせるやわらかなラインで絡みつき、石を彩り、また金針の石と銀針の石をつないでいるのだった。
「ええと、あの」
 ブラックウッドはもちろん、現代に生きる吸血鬼なので、携帯電話の何たるかも知っているし、使い方も理解している。
 あまり必要性を感じていないので、今まで持ったことはなかったのだが、――そして隣に座っている青年は、こういった現代的なものとは無縁だと思っていたのだが……などと思いつつ理月を見遣ると、彼は、懐から、同じストラップがついた、赤枠にメタリック・ブラックの携帯電話を取り出してみせた。
「俺、理晨にこれ持たされたんだけど。……ケイタイデンワってすごく苦手で、かかってくるだけで飛び上がるんだけどさ、こないだ理晨に、メールってのの送り方習って、それで……その、ブラックウッドさんとやってみてぇなぁって思って……ええと、あの、」
 もごもごと尻すぼみになる語尾に、ブラックウッドは密やかに笑った。
 そして、理月から送られた銀色の携帯電話を手に取り、電源を入れて、電話帳にすでに理月の名前があることを確認したのち――理月にこんな芸当が出来るとは思えないので、恐らくこれを操作したのは、理月とまったく同じ顔をした俳優氏だろう――、メール画面を起動させ、手早く文字を打ち込む。
 送信ボタンを押すと、送信完了の文字が画面に躍るのとほぼ同時に理月の携帯電話がブルルッと震え、理月が文字通り飛び上がった。この辺りはいつ見ても小動物だと思うブラックウッドである。
「び、びっくりした……って、あれ?」
 画面にブラックウッドの名前を見つけてか、理月が首を傾げ、メールの文面を確認して絶句する。
 ブラックウッドが送ったのは、
『君と他愛ない日々の喜びをやり取りできる幸いに感謝を』
 という一文のみだったが、そこに込められたブラックウッドの思いを、理月は読み取ることが出来ただろうか。――頬を上気させて頷く様子を見れば、伝わっていると取るべきだろう。
「う、うん……でも俺、実はまだあんまりよく判ってな……」
「おやおや、そうなのかい? では、一緒に練習しようか」
「あ、マジで? うん、じゃあ、そうしてぇな。あと、このストラップっていうの、俺が作ったんだぜ。刀冴さんたちに材料集めてもらって、作り方教えてもらったんだ」
「ああ、そうだと思ったよ。何というか……君の気配のようなものが感じられたから」
「……そんなものまで判っちまうブラックウッドさんてすげぇな。ええと、この、ルチルクォーツっていうのは、洞察力とか直観力、霊力を高めてくれて、物事の真実を見分ける力を与えてくれるんだってさ。透明度の高い、針がしっかり入った奴がいいって聞いたから、我がまま言って捜してもらったんだ。そんで、それを、ワイヤーってので巻いて、飾り付けて、金具を取り付けたんだけど、楽しかった」
「そうか……それは、嬉しいね。……大切にするよ」
 ブラックウッドが、銀の針が入ったルチルクオーツを指先で捉え、それに口付けながら言うと、理月はぐっと詰まってから、ちょっと照れ臭そうに、しかしとても嬉しそうに、小さく頷いた。
 ブラックウッドも、目元を和ませて微笑む。
 理月は銀時計の蓋の、細工の部分をそっと撫でて、
「……俺も、大事にする。いつでも、ブラックウッドさんが、傍にいてくれるって、思う」
 繊細なチェーンを握り締め、そのチェーンを握った自分の拳に、軽く口づけた。
 幸せそうな理月の様子に、ブラックウッドもまた満ち足りた気持ちを味わっていた。
 自分とともにいる理月が、屈託のない笑顔を見せてくれることに、そして数奇な運命の一端に彼と出会い、こうして心を通わせていることに、運命の采配と奇跡、不思議を感じ、言葉なく感謝もするのだ。
「さて、では理月君」
「ん、どした、ブラックウッドさん」
「今日は泊まってゆくのだろう?」
「あ、うん、ブラックウッドさんに、ほかにお客がなくて、あんたが嫌じゃねぇなら」
「この状態の君を帰すほど不実ではないよ、私は」
「……うん、ありがとう。ええと、それで?」
「ならば、積もる話は夜に、『寝所』でじっくりするとして」
「ぅぐっ」
「――今はひとまず、ティータイムを楽しもうじゃないか」
 言って、にっこりと微笑むと、理月は、チョコレートを咽喉に詰めてむせていたが、すぐに苦笑して、頷いた。
「……うん」
 ブラックウッドは満足げに頷き、再度、家主自ら茶を供すべく、席を立つのだった。

 ――夢の終わりを互いに自覚し、別れを想像しながらも、今は、互いに思いが通うことを幸いと思い、そして、最後の瞬間まで、こんな風に幸せであればいい、と、祈るふたりである。

クリエイターコメントオファー、どうもありがとうございました。
バレンタインとチョコレートと愛情にまつわるプラノベをお届けいたします。

おふたりの馴れ初めから今まで、ずっと追いかけさせていただいていますので、穏やかな愛情の中にあるおふたりを拝見していると、何とも言えず嬉しい、誇らしい気持ちになります。

おふたりが、この銀幕市で、最後の最後まで幸せであられるよう、記録者もまた祈ってやみません。


それでは、素敵なオファー、どうもありがとうございました。
またの機会がありましたら、よろしくお願い致します。
公開日時2009-02-15(日) 22:10
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