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<ノベル>
「成る程……ね」
扉を前にし、流鏑馬明日はそう呟くと、静かに腕を組んだ。
自分でも、何が『成る程』なのかは良く分からなかったが、気がついたら、その言葉が出ていた。それは、非日常を日常へと切り取るための言葉なのかもしれない。
表向き、彼女はいつもの冷静さを崩してはいない。しかし、逸る気落ちは、どこかにあった。
それは、見てしまったからだ。彼女たちの友情を。
重ねてしまったからだ。自分が救えなかった友の姿を。
彼女たちに、自分と同じ思いはさせたくなかった。
「かっこいい! かわいい! 素敵!」
そんな明日の思いをよそに、リゲイル・ジブリールは、ハチにまとわりつき、無邪気にはしゃいでいる。彼女は、一目でハチのことが気に入ったらしい。
「ラドン……は王道すぎるわよね。デストロイアっていうのも、名前負けしてる感じだし……決めた! ドラットにしよう! これからよろしくね、ドラット」
にっこりと微笑むリゲイルを、ハチは目を瞬かせて見つめると、「ヘエ?」と鳴きながら首を傾げる。
「話を聞いたときにも思ったけど、やっぱりハチは、梢君に危害を加えるつもりはないみたいだね。むしろ、彼女のことを心配しているように見える。……ハチ、梢君は、どの扉に入ったか、分かるかな?」
それを見ていた取島カラスが穏やかに声をかけると、ハチは扉へと再び駆け寄り、それぞれの扉の前に行っては鼻を鳴らし、爪で引っかく。
しばらくそうしていたが、ハチは元気がなさそうな様子で、戻ってくる。
「分からないのね。……でもドラット、落ち込まないで。梢ちゃんは、わたしたちがきっと助けてあげるから。ヒーローみたいにかっこよく!」
リゲイルが大げさな身振り手振りとともに笑顔で言うと、ハチは「ヘエ! ヘエ!」と嬉しそうに翼をパタパタと動かした。
その様子を横目で見ながら、ランドルフ・トラウトは、ひとり悩んでいた。迷彩服に身を包み、覚醒状態で、戦闘準備は万端なのだが、奇妙な文章の謎が解けない。
何故、皆そのことには触れないのだろうか。普通、この文章は、何を意味しているのだろうとか、どうやって解いたら良いのだろうとか、議論が交わされるものではないのだろうか。もしかしたら、自分以外の全員、既に謎を解いているのだろうか……そう思うと、脂汗が背中を伝う。
と。
「よぉ、皆さんお揃いで!」
「ぶっ」
唐突に、陽気な声とともに、何か巨大なものが、ドームへと飛び込んでくる。そしてそれは、ランドルフを直撃して止まった。ランドルフは、思わず前につんのめる。
「あ。悪ぃ」
「い、いえ」
「久しぶりだね、凌君。君も救出班?」
「まあな。――ちと、寝坊しちまって」
カラスが声をかけると、華夏都凌は、バツが悪そうに頭をかく。
「わぁ! かっこいい怪獣! この子、あなたのお友達?」
リゲイルが、興味津々といった様子で、凌に近づいてくる。
「ああ。風隼っていうんだ。相棒ってとこかな」
凌は、自らを背に乗せている、巨大な鳥の頭をぽんぽん、と叩いた。
「じゃあ、これでみんな揃ったのね。そろそろ、出発しましょう。もちろん、ドラットも一緒にね。――この文章を、ひらがなに変えて、一番左側だけ読むと、『せいかいはひだり』。だから、『左』!」
「とりあえず、安全を確かめる意味で、どれか適当なものを押してしまいましょう。当たれば良し、外れても私なら死にはしないでしょう。まずは『中』、と」
リゲイルと、ランドルフの言葉が重なる。
「え?」
「あれ?」
二人は、思わず顔を見合わせた。
そして、微かな機械音とともに、ランドルフの下に、突然、穴が開く。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「行くぞ! 風隼!」
落ちていくランドルフを追って、凌も風隼を駆り、穴へと続く。その際、一瞬だけ振り向くと、カラスに向かって右の親指を立てた。
その直後、何事もなかったかのように、穴が閉じる。
そして、残った三人の前の扉は、手前に向かって開いていた。
「大丈夫かな……? あっちは、正解の扉じゃないんだけど……」
リゲイルが心配そうに呟くと、明日は笑顔で頷いた。
「大丈夫よ、ドルフたちなら。……それに、正解といっても、バカ正直に正しい道に導いてくれるとは限らない」
「俺もそう思う。それに、梢君が、どのルートを通ったのかも分からないしね」
「そうね」
カラスも賛同すると、リゲイルも微笑み、頷いた。
実は、右と中央も気になり、覗こうと思っていたことは、口には出さない。
「……もちろん、二人とも、暗号は解けたと思うわ。あれもきっと作戦よ。さあ、行きましょう」
明日の声に導かれ、ハチを含む一同は、扉の奥へと進む。
こちらも、凌は暗号を解けたのかもしれないが、頭脳労働が苦手なランドルフは、きっと素で間違えたのだろう、ということは、口には出さなかった。
「いててて……」
ランドルフは、ぶつけた尻をさすりながら、ゆっくりと起き上がる。
周囲は暗い。そして、水の流れる音がした。
「大丈夫か?」
そこに、風隼に乗って、凌がゆっくりと降りて来る。
「はい。私は丈夫ですから」
「そうだな。いかにも頑丈そうだ」
思わず凌が吹き出すと、ランドルフも笑う。
二人が暗がりに目を凝らしていると、突然、周囲が明るくなった。闇に慣れた目には、やや眩しかったが、それほど強い明かりというわけでもない。小さな明かりが左右の壁に点り、点々と前方に向かって続いている。
「舟……?」
明かりのもとで見ると、ランドルフが今いる場所は、どうやら小船の上のようだった。下は、水路のようになっている。
そして、微かな音とともに、彼を乗せた舟は、ゆっくりと滑り出す。凌も、後に続いた。
ランドルフは、しばらく探るような仕草をしていたが、表情を引き締めると、凌に告げる。
「華夏都さん、気をつけてください。――血のにおいがします」
「また扉だわ」
リゲイルが、うんざりしたように言う。
「しかも、今度は三つか」
カラスは、そう言うと腕を組んだ。
三人が最初の扉をくぐると、しばらく通路が続いた後、また扉のある部屋に出た。そして、その扉を抜けると、さらに扉のある部屋に出た。
そうやって、いくつもの扉を通ってきたのだが、今までは、一本道だったので迷うことはなかった。しかし、今度は、扉が三つある。
「今回は、暗号らしきものもないしなぁ……」
カラスが、壁を観察しながら呟く。その横で、リゲイルは勝手に一番右のドアを開けてしまっていた。まさか簡単に開くとは思わなかったのだ。しかし、好奇心は疼いたので、そっと、中を窺ってみる。
「――この扉の下に、微かだけど、擦れた跡がある。これ、梢ちゃんが通った跡じゃないかしら」
「!?」
明日が口を開いたのと、リゲイルが声にならない悲鳴を上げたのは同時だった。先にカラスがリゲイルの異変に気づき、龍水剣を抜くと、彼女を庇うように前に出る。すると、扉から、触手のようなものが何本も伸びて来た。カラスは、一本を切り落とし、後方へと飛び退る。切り落とされ、力なく地面に落ちたのは、木の根だった。
「取島さん早く! こっち!」
リゲイルの声がかかるが、次々と襲ってくる木の根に対抗するのが精一杯で、そちらへと行く余裕がない。切ってはかわし、また切る。その勢いに、カラスは段々と圧されていく。
「あっちへ行って!」
リゲイルは思わず、カラスの荷物の中にあった懐中電灯を投げた。それは、光を怪獣に投げかけながら、くるくると回る。そこで、明日は構えていた銃を放つ。盛大な音を立て、懐中電灯が砕け散った。すると、一斉に、根がそちらへと向かう。その隙を逃さず、カラスはリゲイルたちとともに、一番左のドアへ逃げ込み、思い切り閉めた。その後ろで、バリバリと、何か嫌な音がする。
「危なかった……」
ほっと胸をなでおろすリゲイルに、明日は厳しい表情を作る。
「リゲイルちゃん。遊びじゃないんだから、勝手な行動は謹んで頂戴」
「ごめんなさい」
「……まあ、皆無事だったんだから、良しということで」
うな垂れるリゲイルの頭をぽんぽんと叩くと、カラスはため息をついた。
「結局、迷うことになってたのかな」
血のにおいが、どんどんと濃くなってくる。
「あと、どのくらいだ?」
風隼の背から、凌が聞いた。この水路のような場所は、天井が高いため、巨大な鳥でも悠々と飛べる。
「もうすぐです。あの角を――気をつけて! 何か来る!」
ランドルフの声とともに、前方から、黒い塊のようなものが迫ってきた。
それは、蝙蝠の大群だった。一斉に凌と風隼を襲う。
「くそっ! うずろうしい!」
凌は思わず広島弁で毒づきながら、ハンティングナイフを振り回す。それは、的確に蝙蝠を落としていたが、いかんせん、数が多すぎる。そして蝙蝠たちは、風隼の身体にも、次々と張り付いていく。パニック状態に陥った風隼は、蝙蝠たちを振り払おうと暴れた。殺傷能力が低いとしても、このままでは、危ない。
「華夏都さん! 耳をふさいでください!」
「なんて?」
ランドルフの声も、蝙蝠のキーキーという甲高い声が邪魔をして、上手く聞き取れない。
「耳をふさいでください!」
「――分かった!」
ランドルフの意図するところは良く分からなかったが、凌は風隼から落ちないように身体をしっかり固定し、言われたとおり、耳をふさぐ。
そして、ランドルフの咆吼が、辺りに響き渡った。蝙蝠たちは、ショック状態となり、次々に落ちていく。同じく、風隼もパニックに陥りそうになったが、凌が何とかなだめた。
「サンキュ。助かった」
「いえいえ」
凌が礼を言うと、ランドルフは笑顔で応える。
「――けど、向こうに気づかれちゃったみたいですね」
扉の先は、文字通り、迷路だった。
「ここ、さっきも通ったわよね」
「印がついてるから、通ったね」
「じゃあ、またマークね!」
明日とカラスの言葉を受け、リゲイルは、壁にマジックで二つ目の×印をつける。実を言うと、巨大迷路が少し楽しかったりするのだが、流石にそういうことは口には出せなかった。
明日は、扉の時と同じく、梢の通った痕跡を探したのだが、迷路の滑らかな床には、それらしきものは見つからない。焦りと不安が、徐々に暗い影を拡げる。
梢は、果たして無事なのだろうか。もしかしたら……その思いが襲ってくるたびに、慌てて振り払う。
(沙羅、美月、待っててね。必ず、助け出すから。約束、絶対守るから)
その一方でカラスは、ずっと違和感を拭えないでいた。
暗号文。
三つの扉。
ひとつしかない扉。
迷路。
さっきからする、良い香り。
この迷路に入ってからずっと、バラのような良い香りが漂っている。そのせいで、ハチも梢のにおいを追えない。
上を見上げる。天井がきちんと作られていて、上から抜け出すことも不可能だ。
何かが、ひっかかる。
「……そうだ」
「どうしたの?」
声を上げたカラスに、明日が聞く。
カラスは、小さく頷いてから、答えた。
「さっきから思ってたんだ。中途半端だと思わないか? 妙にきっちり作りこんであるかと思えば、放置されているような場所もある」
「確かに……」
「テーマパークだわ!」
二人の言葉を聞き、リゲイルの記憶が瞬く。
「ダイノランドは、テーマパークでしょ? わたし、前に、工事途中のテーマパークを見たことがあるの。もしかしたら、ここは、作りかけなんじゃないかしら?」
「ということは……」
明日の言葉を、カラスが受け継ぐ。
「完成しているところだけをたどれば、目的地に着くかもしれない」
二人の前に現れたのは、ぬらぬらと光る青色の鱗を持った蛇のような怪獣と、巨大化したドブネズミのような怪獣だった。両方とも、傷ついている。血のにおいは、二体の怪獣が、争った結果のようだ。
しかし、両者の敵意は、いまやこちらに向いている。
「ヘビは鱗が硬そうだ。俺はネズミをやる!」
凌はランドルフの返事を待たず、風隼を駆り、急降下した。
「風隼! まずは目を狙え!」
風隼は高い声で鳴くと、巨大ネズミの目を、鋭い嘴で抉った。耳障りな悲鳴が、水路にこだまする。そして、凌はそのままネズミの頭に飛び降りると、ハンティングナイフを根元まで突き刺した。肉の裂ける感触が、手に伝わる。ネズミは、痛みのあまり暴れまわると、太い尻尾で凌を叩き落そうとする。凌は跳躍し、それを避けたが、バランスを崩し、落下した。そこに風隼が舞い戻り、凌は空中で一回転して着地する。
一方ランドルフは、足場の悪い舟から降りて、蛇と対峙していた。水路は結構な深さがあったが、彼の巨体であれば、何とかバランスを保つことができる。しかし、蛇の動きは思ったより速い。
しばらく、蛇が襲い掛かり、それをランドルフが跳躍したり、水中に潜ってかわす、という攻防が続いた。
そして、先に痺れを切らしたのは、蛇の方だった。鋭い牙をむき出しにし、ランドルフに襲い掛かってくる。
しかし、ランドルフはその時を待っていた。上顎と下顎を大きな手でがっしりと掴み、そのまま、力を入れていく。べりべりと、肉の裂ける音がして、蛇の顔に亀裂が入っていく。ランドルフは、そのまま蛇をネズミの方へと向かって投げた。裂けた顎は、そのままネズミへと喰らいつく。二体の怪獣は、激しい水音と壁への衝撃音を上げながら、のた打ち回る。
「京! 喰え!」
凌の声とともに、黒と白の体色のバッキーが、あくびをするかのように口を開ける。すると、二体の怪獣は、まるで幻だったかのように吸い込まれた。
「何とかなりましたね」
ランドルフが笑顔で言うと、凌も笑顔で応える。
「ああ。――にしても、すっげーバカ力だな、あんた」
「私は、これだけが取り柄なんで……あ。あれ、出口じゃないですか?」
そう言って指差した方向に、光が見えた。
凌とランドルフが、いくつかの扉を抜け、出た場所は、まるで高級ホテルのエントランスホールのようになっていた。豪奢な絨毯が敷き詰められ、壁にも細工が凝らしてある。
「華夏都さん! トラウトさん! 無事だったのね。良かった!」
二人の姿を見て、リゲイルが嬉しそうに言う。他の二人も、ほっとしたような表情をしていた。
「ドルフ。この扉を開けて欲しいの。鍵は掛かってないと思うんだけど、あたしたちには重すぎて……」
そう言った明日たちの目の前には、精緻な金細工が施された、大きな扉があった。ランドルフは頷くと、扉の前に行き、力を込める。
やがて、向こう側に、ゆっくりと扉は開いた。
「すごーい! トラウトさん、力持ち!」
リゲイルはそれを見て喜んでから、開いた扉の向こうへ行こうとする。
「駄目ですよ。何があるか分かりませんから、私が先に行きます」
彼女をそう宥め、ランドルフは先に扉をくぐった。
「うわっ!」
急に彼が驚いたような声を上げたので、一同は、慌てて後ろから覗き込む。
「空……?」
リゲイルが思わず呟く。
彼女の言ったように、下には、雲が流れている。遥か下方には、海や、島が見えた。
「映像だ。良く出来ている」
カラスがしゃがみ、下に手を置く。そこは、硬質の素材で出来ていて、そこに、空から地上を見た映像が映し出されているようだった。中央には、大理石で出来た道があり、それは奥へと続いている。
「すげぇ。空の上を歩いてるみたいだな」
凌が感嘆の声を上げる。他の皆も、頷く。
「ヘエヘエ、ヘエヘエ!」
突然、それを押しのけるようにして、ハチが奥へと走っていく。
「ドラット、待って! 走ったら危ないわ!」
そう言いながら、リゲイルも後を追う。他の四人も、それに続いた。
その先には、美しい庭園があった。
生えている植物は、この島の地上にあるような原始植物のようだが、自然のままではなく、計算されたように整えられている。天井はドーム状になっていて、そこにも、空が映し出されていた。
「ヘエ! ヘエ!」
「ハチ! ――流鏑馬さん!」
そこには、地面に座り、花輪を編んでいる、冴木梢の姿があった。
「ハチにここに連れて来られたあと、凶暴な怪獣に遭ってしまって、逃げるうちに、あの扉が三つある場所に出て、訳も分からずボタンを押したら、閉じ込められて……そうしたら、おじいさんに会って、ここに連れてこられたんです。『きっと助けが来るから大丈夫。ここで待ってなさい』って」
「おじいさんって、どんな人だった? どこに行ったの?」
明日が尋ねる。彼女は、もしかしたら梢以外の人間もいるのではないかと思っていたのだ。
「白髪頭で、白衣を着てました。でも、いつの間にかいなくなっちゃって……いくら探しても見つからなかったから、あたしの勘違いだったのかなって。あたし、結構妄想癖があるから」
皆、そういう問題でもないように思ったのだが、誰も何も言わなかった。
ちなみに、全員が、梢から花輪を受け取っている。待っている間、暇だったので作ったらしい。
(エデン……か)
凌は、皆から離れ、指先でくるくると花輪を弄びながら、庭園の一角にある、小さな銀のプレートを見ていた。
「何を見てるんですか?」
そこに、ランドルフがやってくる。
凌が視線で促すと、ランドルフもプレートに目を遣った。
「『親愛なるアダムに、このエデンを捧ぐ』……どういう意味でしょう?」
「さぁ、ね。……神は気まぐれってことじゃねぇの?」
「はぁ……」
「ひとつ聞きたかったんだけどさ」
「はい」
カラスの言葉に、梢が首を傾げる。
「ハチって名前、もしかしたら、うっかりする人から取ったの?」
すると、途端に梢の瞳が輝き始める。
「はい、そうなんです! あたし、よき理解者に巡り合えて幸せです!」
「いや、そこまで言わなくても……」
梢があまりに感激するので、カラスは少し戸惑ってしまう。
「ねぇ、うっかりする人って誰のこと?」
リゲイルが明日に尋ねる。
「まぁ、いるのよ、そういう人が。……説明すると白けるから、しないけど」
「ええ〜っ!」
その時。
突然、周囲が真っ暗になった。
皆が何事かと身構えているうちに、再び、光が戻ってくる。
そして。
「ハチ……」
梢が、声を震わせた。
そこには、彫像のように立ちすくむ、ハチの姿があった。
動力部が、止まったのだ。
それは、どちらの班も、指令を全うしたことを意味する。
しかし、梢の気持ちを思うと、誰も、素直に喜べなかった。
「ごめんなさい。あたしのせいで、変な雰囲気になっちゃって……あたしなら、大丈夫です! だって、もともとあたしのわがままのせいだし、皆さんに沢山ご迷……惑を、おかけして、しまって、本、当に……」
梢は、意思に反して、どんどん溢れ出る涙を服の袖で拭いながら言葉を続ける。
「梢。泣きたい時は、我慢しなくていいんだよ?」
明日が、そっと梢の肩に手をかけると、彼女は、幼い子供のように泣きじゃくった。
その後、ダイノランドは一般に開放され、『ハチの像』は、人気スポットのひとつとなった。
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クリエイターコメント | この度は、ご参加いただき、ありがとうございました。 お待たせ致しました。『【怪獣島の冒険】三つの扉』をお届けします。 少しでも、楽しんでいただければ幸いです。 毎回、このコメントで、何か書こうと思うのですが、結局、何を書いて良いやら分からなくなり、素っ気無い感じになってしまっています(汗)。 それでは、またご縁がありましたら、どうぞ宜しくお願い致します(今回もこれだけですみません……)。 ありがとうございました! |
公開日時 | 2007-07-09(月) 23:00 |
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