★ 桜花繚乱〜さくらの森のいざない〜 ★
イラスト/キャラクター:meg


<オープニング>


  深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染に咲け (古今集:上野峯雄)


 それは、銀幕市を震撼させた、あの事件が起きた次の日のことだった。
 前日、市の中心部のほうでは、唐突に雨が降り、やむなど、不安定な気候をみせ、また、気温は奇妙に肌寒かったのだが――いや、単に、ひとの気持ちがそう思わせていただけだったのかもしれないが……その日は、嘘のように、春めいた気候だった。

「なんとまあ」
 梓御前――いや、人の姿をとっている以上、玉乃梓と呼ぶべきか、『迷泉楼』の女あるじは、もとよりきれ長の目をさらに細めて、あたりを見回す。
 桜だ。
 昨日まで、そんな気配もなかったことは、この深い森すべてをたなごころのように熟知している彼女には断言できる。
 それがどうだ、今は、見渡す限りの満開ではないか。
 どの枝も、見事に咲き誇り、『神獣の森』の一角は薄紅色の霞がかかったようだ。
「いったいこれはどういう風の吹き廻しやら」
 はらはらと散ってくる花びらを受けとめながら、梓はしばし、その光景に見入っていた。
『人だ……』
 そう囁いたのは、誰であったか。
 梓は、森の暗がりに、幾多の、獣めいた異形の影がうごめくのを見る。森に棲まう神獣たちであろう。
『人とは不思議なものよ。なんの力も持たぬはずが……<森>を斯様に動かすとは……』
「人……?」
『そうだ、梓御前。おまえは感じなかったか。昨日のことだ。人の町をふるわせた、あの昂り――嘆きをこめた声なき声を』
「そういえば」
 女将は視線をさまよわせた。
 昨日は、市街地のほうで、事件があったようだ。
「……ではその、人間たちの感情の力が森に桜を咲かせたと――?」
『人間もまたこの大地の一部だ。<森>は生き物に必要なものを与える……』
 それだけ言い残し、神獣たちの気配は森のさらに奥深くへと退いていった。
 梓は、そっと桜の幹にふれる。
「それが森の意思ならば――。……わたくしは今いちど、この森へかれらを招きましょう」



<ご案内>

『神獣の森』に突如として咲き乱れた桜――。女将・玉乃梓は、銀幕市民たちを、温泉郷へと誘うのでした。

このイベントでは期間限定でイベント掲示板が運営されます。掲示板にはどなたでも参加できますので、お気軽にご参加ください。掲示板は4月13日終日中まで運営されます。

■イベント掲示板:温泉旅館『迷泉楼』
不思議な温泉宿『迷泉楼』では、山の幸を用いた料理と楽しい宴会、そして温泉がみなさんの訪れを待っています。

■イベント掲示板:桜咲く『神獣の森』
桜をもとめて、森の奥へ踏み行ってみませんか。満開の花の下で、静かにもの思うひとときを過ごすのもよいかもしれません。


<イラストコンテンツ企画のおしらせ>

イベント期間中、一定期間内のみオファーが可能な、イベントピンナップがリリースされます。仕様はほぼ通常のピンナップと同様ですが、イラストレーターの窓口ごとに、特定のシチュエーションにそったオファーのみが可能です。

また、このピンナップはオファー料金が1500円〜と、すこしおトクになっています。この機会にぜひ、桜の森と温泉での思い出を、イラストにしてみましょう。

「桜花繚乱〜さくらの森のいざない〜」のイベントピンナップは「4月5日〜20日」の間のみ、オファーを受け付けしています。

★ お花見ピンナップのオファーはこちらから! ★
(オファー受付は4月5日〜20日まで)

※オファー受付終了しました。
ご参加ありがとうございました!

→イベントピンナップの商品概要はこちら!(必ず事前にご確認下さい)





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