★ 【エコロジー宣言!?】四幻家の場合 ★
クリエイター小田切沙穂(wusr2349)
管理番号899-7659 オファー日2009-05-20(水) 00:00
オファーPC 四幻 ヒジリ(cwbv5085) ムービースター その他 18歳 土の剣の守護者
ゲストPC1 四幻 カザネ(cmhs6662) ムービースター その他 18歳 風の剣の守護者
ゲストPC2 四幻 アズマ(ccdz3105) ムービースター その他 18歳 雷の剣の守護者
ゲストPC3 四幻 ヒサメ(cswn2601) ムービースター その他 18歳 氷の剣の守護者
<ノベル>

 その日、四幻家には、まったりとした空気が流れていた。
 休日を楽しんでいるのは、和風ファンタジー映画のシリーズから実体化した、それぞれに大地・風・雷・氷の属性を持つ特殊能力を有した美形兄弟。
 長男・ヒジリは長い手足をソファの上でゆったりと休めていた。
 読みかけの推理小説を顔の上に伏せ、転寝を楽しんでいる最中らしい。
 今日は、バイト先であるウナギ屋さんが休業日なので、家でひたすらのんびり、ゆっくり。日ごろの疲れを取り返すかのように。
 テレビの前で真剣な表情なのは、長女・カザネ。彼女も今日は仕事先の喫茶店を休ませてもらい、ひたすらのんびり。休ませてもらっている理由は、どうやら常連客が彼女に目をつけて、店へ通い詰めて口説きまくるのがうざったくなったらしい。
 で、家でのんびりの今日は、テレビで二時間もののサスペンスドラマに熱中。
「ダメっ、その断崖に行っちゃダメだって! ああもう、なんでサスペンスドラマの主人公って、自分から危険を冒しちゃうお馬鹿さんなの!?」
 妖艶なる風が二つ名のカザネ、悪党に翻弄されるヒロインにいらついている。
 というのもカザネにとって男は振り回すものであって、男に振り回されるなんぞ理解の外だからだ。
「あら、あの男は真犯人じゃありませんわ? あのもっともらしい弁護士が実は真犯人じゃありません?」
 涼しい風が吹き込むように、冷静なコメントを述べたのはヒサメ。四幻家のいわば末っ子にあたる彼女だが、氷の剣の守護者という立場からなのか、沈着冷静という言葉がよく似合う。
「お、もうこんな時間か。休日は時間がたつのが早いな」
 長兄ヒジリが終盤にさしかかったドラマをちらりと見て呟く。
 テレビ画面では犯人が断崖絶壁の上でお約束の罪の告白を初めていた。
「そろそろ、タイムセールの時間ですわね」
 推理が的中して弁護士が犯人だったというオチを確認し、ドラマから興味が薄れたらしいヒサメが皆を見渡した。
「今日こそ電子レンジが手に入るのね」
 カザネが紫の瞳を期待にきらめかせる。
 本日、彼らの居住地近くの商店街で、出血大サービスと称するタイムセールが行われる。
 そこで、前々からの懸念事項だった、電子レンジを購入する予定なのだった。
「今日の買出し係はアズマよね。頼んだわよ、アズマ」
 カザネがびしっと指令を出すと、先ほどから兄弟の会話をどこ吹く風と、髪をバンダナでまとめ、エプロンを着込み窓ガラスをフキフキしてまわっていた三男・アズマがにっこり応えた。
「まかせてよ。広告掲載料金以下に値切って来るからね」
 このアズマ、エキゾチックな美形ながらなぜだか主婦属性もちで、近所の主婦からいつのまにかセール情報や節約情報を仕入れてくる。
 最近では井戸端会議にも馴染んでるとの噂である。ネギのはみ出したエコバック片手にぶら下げて、エコな掃除術なんかを披露したりしてるらしい。
 ちなみに四幻家では、家事は当番制となっており、今日はアズマが買出し兼炊事担当。
 おそらく完璧なおかんっぷりを発揮すると思われ。

 
 ーーー電子レンジ。
 その家電製品は、四幻家にとって悩みの種であった。
 本来、四幻家には、電子レンジなど必要ない。
 今日ここにはいない、現在旅行中の某姉妹の特殊能力があれば、電子レンジなど足元にも及ばぬほどの解凍・加熱・発酵が可能なのである。
 だが最近になって、その某姉妹を家電製品がわりに使うのはどうか、という同情の声が兄弟から上がりつつあった。
「なんだか、あの子に毎回冷凍モノの解凍頼むのも悪いわよね」
「そうですわね、先日、炎の力を強くしすぎて天ぷらにするはずだった冷凍エビを蒸し焼きにしてしまった時の彼女の落ち込みようったら……」
「責任感強いからな、あいつは」
「凍りすぎたアイスクリームを程よくやわらかくして、って頼んだ時、すっごく疲れてたよね。微妙な加熱って肩が凝るんだって言ってた」
 某姉妹の苦労が忍ばれるというものである。
 そんな時、アズマがご近所さんから耳寄りな情報を仕入れて来た。今日の休日夕方からの、商店街のポイント五倍セール。
 夕方以降に買い物をすれば、商店街が発行しているお得意様ポイントカードにたっぷりポイントが加算される。ポイントはまとまった単位ごとに金券として商店街の買い物で使えるのだ。
 まずは絶対必要な食料品を購入し、ポイントをゲット。そのポイントを持って商店街の家電ショップに行き、電子レンジ購入に使えばかなり安く手に入るというわけ。
 
 
 その情報がきっかけとなり、この機会に電子レンジを買おうじゃないかと水が流れるようなスムーズさで、意見がまとまったのだった。
 カザネが深く頷く。
「そうよ、それに電子レンジがあれば、かぶら蒸しや大根の射込み煮や、凝った料理が手軽に作れるわ。……ヒジリが」
 おいっ、全部俺に作らせる気かよとヒジリが突っ込むも、カザネは華麗にスルー。
「そろそろ4時だね。買い物に行ってくる。ついてきて、ヒサメ」
 アズマがエプロンを脱いできちんとたたみ、宣言した。ヒサメは頷いて立ち上がり、出かける支度。なぜ買い物に同行するのかはヒサメには自明の理である。
 真の氷の剣を体内に宿すヒサメには、触れた物を一瞬にして凍らせる能力があるのだ。
 いわば歩く冷凍庫。
 今日の商店街セールでは、冷凍食品や肉類がお買い得なのである。が、この歩く冷凍庫、いかんせん姫キャラである。
「帰りにはお駄賃としてアイスを食べさせて頂きます」
 ヒサメは高らかに宣言した。
 誰も逆らえない。下手に彼女に逆らえば、せっかくの食料品大量ゲット計画が台無しである。
「トリプルで、チョコミント、バニラ、ラムレーズンですわ」
 嬉しそうにヒサメは盛り上がっている。ちなみにこの姫君、商店街で洗面器大のカキ氷を3分内で食べつくし、無料券をゲットした伝説の持ち主である。
 ヒサメとアズマ、エコバッグ片手に出かけてゆく。
「エコバッグの特大、持って行こう」
 大中小とりそろえてエコバッグから、大きいのを選んでアズマがいそいそと買い物支度。
「うちって、エコロジー最先端かもね。電力使わずに冷凍とか解凍とか出来るし」
 兄弟に見送られつつ、自画自賛するアズマ。
「アズマの雷で、自家発電できますしね」
「おまけに節約にもなるし、一石二鳥だよね」
 と、それぞれに半径15メートル内の女性をメロンメロンにしちまいそうな笑顔と半径15メートル内の男子高校生が気絶しちまいそうな氷の華のごとき笑顔を見交わし、商店街を歩いていく。
 そんな二人を見送るヒジリとカザネ、まったりと時を過ごしつつ。
 ソファに置いてあった、アズマの読みかけの雑誌……ご近所の主婦仲間から譲られたとおぼしい、レシピ満載の主婦雑誌である……を、カザネはぱらぱらめくっている。
「まあ、電子レンジがあれば、プリンが最速10分で出来ちゃうんですってよ。メインディッシュからデザートまで作れるなんて意外と優れものなのね」
 ほら見てー♪ レンジ購入したら作ってね♪と言外のプレッシャーを込めて、カザネは雑誌をヒジリに向ける。
「……自分で作るという発想はないのか?」
 バイト先の『うな政』で、調理の腕がめっきり上がり、いずれ暖簾わけしてやるからなと親方に言われてるヒジリ。炊事当番に当たった時は、お兄ちゃん頑張っちゃうぞオーラ全開で、兄弟たちの喜ぶ顔がみたくて、仕事で学んだ料理のツボをさらに研鑽したくてがんばってしまう。
 そして手料理を兄弟たちに褒められ感謝されるのは嬉しいんだが、やっぱり家に居るときは出来るだけ仕事から離れてリフレッシュしたいと思うわけで。
 おもむろにヒジリは提案する。
「カザネ、お前の『双風』って、魚類さばくのにもってこいだと思うんだが、一回試してみたらどうだ? ミナトたちがカニを無事持ち帰った時にでも、さ」
 カザネは美しいうなじを傾けてなにやら考えていたが、一言。
「カニ専用フォークって用意しとくべきよね。アズマたちに電話しなきゃ」 
 カザネさん聞いてねーな。
「だから、カニの殻を『双風』で斜めにカットしたら、専用フォークなくても中身が出しやすく……」
「……しっ」
 カザネがふいに、唇に指をあて、「黙って」のジェスチャーをした。
 カザネの能力は風、ゆえに彼女は風を操り、センサーのごとく張り巡らし、自らの周囲に生ずる異変を感知することができる。
 『風糸鳴』……「空気」による感知ゆえに、いかなる技者も対抗しうるすべなしと言われる、恐るべき技。
 『妖艶なる風』は、兄の耳に唇を寄せて、囁いた。
「侵入者がいるみたい」
 これからパーティが始まるの、と言わぬばかりにその声は楽しげに弾んでいた。

 その頃、アズマとヒサメは、冷凍食品や生鮮食品を大量ゲットし、
 いざ、家電量販店に向かうはずだったのだが……
 スーパーで食料品購入分のポイントを記録してもらおうとしたところ、レジでハプニング。
 アズマの帯電モード(体中に電気を帯びている状態)によりポイントカードの電磁的記録が読み取り不可になってしまったのだ。やむなくいったん帰宅し、他の兄弟のポイントカードとレシートを持って来なくてはならない。
「今後帯電モードになるときは、電磁的記録への影響も考えて下さらなければ……」
 やんわりとヒサメに注意され、さすがの家事マイスター・アズマも少々凹んでいる模様である。
 というわけで、アズマとヒサメは予定を変更し、予定時間よりも早く帰宅することに……


 お話変わって、今まさに四幻家に侵入したばかりの不審者、名は幸田太一(29)。
 数ヶ月前にリストラで失職、元引越し業者だったせいか不法侵入&空き巣に目覚めてしまい、前科二犯となったばかり。
 しかし、小心者なせいもあって、大きな罪は犯せない。今日この四幻家に侵入したのだって、喫茶店でバイト中のカザネを一度みかけ、なんとなく心惹かれ、どうせたいした実入りがないなら、あーゆう綺麗な人が口をつけて飲んだカップでもついでにかっぱらってやっか、的な変態入った自暴自棄が動機だった。
 ぎし、ぎし、と廊下を軋ませ、侵入者は話し声のする居間のドアの前に立っていた。
 カザネとヒジリはわざと侵入者に気づかぬ風を装い、普通に会話していた。
「カニって電子レンジで焼きガニに出来るのかしら?」
「殻のままだったら、無理だな。だからだな、双風で脚の部分をそぎ切りにして……」 
 ぎくりとした幸田、ドアの隙間から中をうかがう。
 見れば、背は高いがすらりと細身で色白、育ちのよさげな、おそらくケンカなんてしたこともなさそうな優男(ヒジリ)と、以前から目をつけていた喫茶店の色っぽいおねえさん(カザネ)が、油断しきった様子でお茶してるだけ。
 カザネがソファの上ですんなりした脚を組んでいて、そのナマ脚が目に焼きついた幸田は頭に血が上り、とっさの犯行に及んだ。
 −−−それすなわち、居直り強盗。
「うぅぅぅ動くなあぁぁぁっっ!」
 ドアからとてつもなくどんくさい動きで室内に飛び込むと、玄関をこじあけるのに使ったドライバーを振り回ーーーそうとしたんだが、
 どっすん!
 居直り強盗はあえなく、床にぽっかり開いた丸い穴に落ち込んだ。
「わっ、なっ、何ィィィ!?」
 決して痛くはないが、落下のショックで幸田は必死にもがく。
 なぜ痛くないかといえば、親切にも柔らかな藁がしきつめてあり、素朴なヨーロッパあたりの農家のベッドみたいな感触でふんわりと幸田の身体を受け止めてくれたからだ。
 ヨーロレイホーという牧歌が聞こえてきそうなトラップである。
「お、トラップ成功か。ヒサメがさぞ喜ぶだろうなあ」
 幸田の頭上から、のんきなヒジリの声。
 どうやらこの穴、ヒサメが仕掛けた防犯トラップであるらしい。
 侵入者がある地点に踏み込んだ時、ヒジリの特殊能力「重力操作」により、床が抜けて落とし穴に発動するというもの。
「そうかしら。重力操作の加減が甘いって怒るんじゃない? どうやら強盗さんみたいだし、もっと乱暴に落として差し上げても良かったみたいよ」
 と、なんとなくものうげにカザネ。
 自分の突然の乱入(と本人が思ってるだけだが)や、武器や、脅しにも一向に動じていない様子のカザネとヒジリを見て、さらに幸田はヒートアップ。
 ふざけやがって。
 どうにかして、生意気なこいつらに俺の怖さを思い知らせてやるぜ!
 俺は怒ったら怖いのだ。マジやったる。
 幸田は必死に手を伸ばし、落とし穴の縁にしがみつき、よじのぼる。
 おぉ強盗さん元気だね逃げられるもんなら逃げてごらんなさいと言いたげな、なまあったかい目線に見守られているのにも気づかずに、幸田は改めて、
「おまえらっ! 変な真似しやがると刺すぞ!!」
 ドスをきかせた声で脅しつけ、ついでにドアの外から、「ただいまー」という声とともに新たに現れた、すらりと華奢な、見るからにフォークより重いものを持ち上げたことなんてなさそうな、美形の紳士淑女に幸田は目をつけた。
 だっ、と幸田はそのうちの一人、北欧の姫君を思わせる銀髪の美女に駆け寄り、ドライバーを白いのどもとに突きつけた。
「ち、ちちち、近寄るなっ! か、金を出せぃ! 変なまねをしたらこいつの命は(略)」
 強盗の定番セリフだが、身内が人質に取られたこういうシチュエーションでは、普通の人間は多少なりともあわてるはず。
 だが、四幻家の面々は違った。
「あら、まずいわね」
 柳眉をひそめるカザネ。だが、ヒサメを心配しているのではなく、あーあよりにもよってヒサメを人質に取るなんて、なんて運が悪いのこの強盗さん。短いお付き合いだったけど、さよなら強盗さん、と既に強盗さんを追悼するモード。
 唯一それらしい反応をしている……額を押さえて「あちゃー」と嘆息しているのはヒジリ、だが彼も、
(「なぜ、一番人質に取ってはいけない人を……」)
 強盗さんのあまりの不運に目を覆っているだけだったり。
 アズマにいたっては、もはや結末は見えたとばかりに、買いもの袋からスイカを取り出し、水道の水で冷やし始めた。
 そして、ヒサメがゆっくりと、乱暴に腕をつかんでいる強盗さんを振り返った。
 世にも美しい、傾城の美女とはかくやと思えるほどのあでやかさな表情で。
 傾城の美女は言った。
「あらあらあら……手が荒い殿方ですわ」
 古今東西、姫君を怒らせた輩はろくな末路を辿っていない。
 まさに幸田もそれであった。
 次の瞬間……

 びゅぅぅぅぅぅうう
 がしっがしっがしっ
 キーン! ドガッ! ドガッ! ビシッ、ガッシャアアン!
 
 
 何か硬くて冷たいものが壁や、何かやわらかいものに激しくぶつかる物音、ものすごい吹雪の音。
 時折そこに、ひいぃっ命ばかりはお助け、二度としませんからぁっ、っひゃああおかあさあああんっ、いだだだっ、うわああああん、ゆるひてえええ! 等といった情けない幸田の悲鳴と、ヒサメ、強盗さんも十分わかったみたいだかから、もう氷槍と氷菱はいいだろ? という、妹をなだめるようなヒジリの声と、ちょっとそろそろやめようよ、片付け大変なんだよ、ヒサメも手伝ってよね、というちょっぴりご立腹なアズマの声が混じる。
 カザネはといえば、内部での紛争など知らぬげに、優雅に庭で日傘を差し、お茶を飲んでいたそうな。
 ものすごい物音と悲鳴に、近所の主婦が顔を出し、
「どうかなさったの? 皆さん大丈夫?」
 と心配したが、カザネはにっこり。
「ちょっと、ボランティアで教育的指導をしているんですの」
 と答えた。


 で、その後幸田がどうなったかというと。
 四幻家の近所に住む、主婦達が噂しているそうな。
『ちょっと、奥さんお聞きになった? あのムービースターの凄い美形兄弟、ええ、二丁目の』
『ああ、『九重橋書店』にお勤めになってるお嬢さんのいらっしゃるお宅?』
『ええそのお宅ですわ。あちら、なんですか人生相談のお仕事をおうちで始めたそうよ』
『まあ、人生相談?』
『オーラの色も判断していただけるんですって』
『前世の因縁なんかも透視しちゃうんですってよ』
『一度行ってみようかしら』
 違うんである。
 ヒサメにボッコボコにされた幸田は泣きながら更生を誓い、哀れに思ったヒジリが就職先を世話してやった。
 『うな政』で店主に可愛がられ、いずれはのれんわけをと望まれているヒジリゆえ、漁業関係に顔が利いたらしく、幸田は今、魚市場で仲買人見習いとして再出発している。
 で、だいぶ後になってから、幸田のヤツめは気づいた。
 俺、なんか凄い人達に世話になったんだ? つか俺、『始原の都』シリーズ兄弟に気に入られた? で、生き直しのきっかけもらったわけ? 凄くね? 俺、凄くね?
 得意になってあっちゃこっちゃ……自分に都合の悪い部分は適当にぼやかして……吹聴しまくった。
 神秘的な四幻兄弟のイメージもあいまって、噂はあらぬ推測を呼び、さらにあらぬ方向へ広がり、おかげで「結婚できない理由を霊視してください」とか、オーラがどうのといった勘違いな人々が、四幻家を訪れたそうな。
 噂の根源を風の力で探り、幸田にたどり着いたカザネがヒサメに何を告げたか、そしてヒサメがどう幸田をシメたかは定かではない。今度こそ幸田が再起不能とならぬよう、祈るばかりである。
 
 という具合に、商店街のセール以来、とっても忙しかった四幻家。
「あれ? 何か、家電買うって言ってなかったっけ?」
 何かを収納するはずだった棚の一角をみつめアズマが呟いた。
 かくて、四幻家に電子レンジが納まることはそれ以降なく……
 旅行から帰った某姉妹は、相変わらず電子レンジ役を務めているそうである。
「これって、我が家流のエコロジー&節約術だよね!」
 と、アズマは言い放ったそうだが(もはや骨の髄まで主婦)、某姉妹がそれにどう答えたかは、不明である。

 

クリエイターコメント だって、いじっちゃダメって言われなかったから! ……取り乱して失礼しました。強盗さんをも調教しまくるヒサメ姫が、素敵です。女王様ではなくて、あくまで「姫」ってイメージです。むしろ姫のが怖かったりして;
 大変お待たせし、申し訳ありませんでした。

公開日時2009-07-17(金) 20:10
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