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<ノベル>
1.きのこの本体は地中です
当日、会場に真っ先にやってきたのは新倉アオイだった。
「おはようございまーす」
「おはよう、見るからにやる気満々ね」
スポーティな服装に触れた草間と話していると、横から聞こえてきたのは主催者の声。
「そうじゃな、楽しんでもらえると儂も嬉しいぞ」
「うわ、きのこが喋った」
長老の声に驚きつつ、はたと気付く。これってチャンス?
「移動したいんだよね」
そう言いつつ長老の柄をつかんで引き抜こうとした。が、抜けない。
「何これ固っ、つか抜けないし。どうなってんの」
「そりゃ依頼にしようか迷ったくらいだもの」
「私達も動かせませんでしたからね」
言われてみれば確かに。ルールでも1つだけ浮いていたし。
きのこと言われると普通は地面に出ている部分と思いがちだが、本体は地中の菌糸体である。今回動かさないと行けないのはむしろこっちだったりする。
そんなわけで。
「おりゃぁぁぁっ」
長老を見るやいなや突撃して引っこ抜こうとした二階堂美樹は滑り込みながら長老の柄を掴み、そのまま長老を軸に回転した。
「ちょ、美樹さん大丈夫?」
「大丈夫かいカワイ子ちゃん」
「こらトナカイ、どさくさに紛れてナンパすなっ」
そしてアオイと後からやってきたルドルフに心配されたり。
長老を動かしたのは香玖耶・アリシエートだ。彼女もまた鞭で絡め取って動かそうとしたが、抜けないと解ると大地の精霊を呼び出して地中の菌糸体ごと無事動かした。
2.地味に結構大変です
「それでは競技を始めます」
参加者が少ないこともあり通りがかりのノルン・グラスの参加希望を受け付け、集まったのは8人。
「1人足りないんじゃないかしら?」
「ルークレイル様ですね」
その名前を聞いて半数以上がすぐに事態を察した。また迷子だと。
「ま、始めちゃいましょ」
「そうですね」
そんな司会2人をよそに。
「ようし、負けないんだからね」
「お互い頑張ろうな」
アオイやノルンが白組同士声をかけ合ったり。
「わはははは、気合い入れていくぜ」
既に酔っているギャリックが陽気に紅組メンバーに声をかけたり。紅白それぞれ、やる気は十分に高まっていた。
トップバッターはジュテーム・ローズだ。体操服にブルマという格好が色んな意味で目立っている。そして足元のスタートライン前には7本のきのこ。
「「って、近っ」」
ついでに小さい。てっきり走り回ると思っていた数人が拍子抜けした。
「それではスタートっ」
高梨の合図にジュテームはきのこを叩き始めた。と同時に長老が気まぐれに唇状のものを落とした。
「先輩、これは?」
「魚の唇、1Pのアイテムね」
解説をよそにジュテームは楽しげに叩いているが中腰で殴り続けているので傍から見れば結構辛そうだ。ついでに体勢がアレだったりもする。
結果、53秒でクリア。地面に生えた小さい物を叩き続けるのは実は結構ハードである。
「出た、鹿の地団駄」
「トナカイだっ」
競技はどんどん進んでいく。ルドルフが気まぐれで笑顔の仮面(10P)を出しながらその体形を活かして見事10本クリアしたり。
「ええい、うりゃぁ」
アオイは地面に座って両手のハンマーを連打したり。
「海賊の底力を見せてやる」
ギャリックは酔っぱらいつつもサーベルとピストルを巧みに扱い見事に20本クリアした。さすがはキャプテン・ギャリックである。
「よっ、てめえも頑張れよ」
ウィズはギャリックの手荒い応援を受けながらラインの少し後ろに立った。
彼の武器は手製のガトリングガン。一見有利そうに見えるが普通のガトリングガンは反動の強さと攻撃開始までの時間に難がある。
「頑張れよー」
敵チームながら同じギャリック海賊団のノルンの声援も受けつつ、スタートの合図と共にガトリングガンの引き金を引く。ぴったり15発の弾丸が吸い込まれるように1つのきのこに殺到する。
「ウィズ様やりますね」
連射速度を犠牲に攻撃開始速度を縮めたのが功を奏し無駄弾も出さずにぴったり1分で15本をクリアした。手先と頭の器用さの勝利である。
ここまでの獲得ポイント、紅142VS白20。とはいえ紅はあと1人、白はまだ3人残っている。
3.気まぐれすぎです
今回、運不運が最も分かれたのが美樹と香玖耶だった。
美樹は20本+気まぐれ使用だったのだが、出されたのがなんと強力な防御魔法。
「何よこれ、近づけないじゃない」
絶対防御領域を展開されて文字通り手も足も出ない状況が35秒も続き、高速ハリセンアタックや手足フル使用のじたばた攻撃で頑張ったものの大半をユウジに食べさせることに。
「く、悔しいっ」
そう言いながら自分もきのこに歯を立てたが、口の中いっぱいに毒の胞子が広がるハメに。長老に治療して貰えたが、冒頭の移動失敗も含め踏んだり蹴ったりとはまさにこのことである。本人の名誉のため、ハリセン横薙ぎで8本クリアと健闘した事を付け加えておく。
一方の香玖耶。こちらも20本+気まぐれ使用だったが、からんと音を立てて長老が落としたのはクレイモア。
「こ、これは」
草間が思わず声を上げたのも無理はない。なんとこれ、250Pのアイテムなのだ。鞭による複数攻撃できのこも全滅させ、結局香玖耶は長老の移動も含め、1人で紅組のポイントの8割弱を稼ぎ出した。
(秋祭りの願掛け分使い果たしていないわよね)
あまりの引きの良さに、逆に不安になった香玖耶だった。紅組最終得点、428P。
ルークレイルは、結局自分の番が始まってから会場に現れた。辿り着くなり長老が迎えに行かせた魔物がワープで逃げ、薬瓶を投げつけられ全身に白い薬を浴びるハメに。魔物からの怪我はこれで治っていた。
「ルークレイル選手、残り40秒です」
実況に舌打ちし、その場から二挺拳銃をきのこに連射。何だかんだでしっかり20本クリアした。ちなみにルークレイルへの気まぐれは30分間武器へ水属性付与だった。
白組最後はノルンである。ルークレイルの皮肉混じりの声援を受けトンカチで7本のきのこを叩く。もはや余裕の紅組、一縷の望みを託した白組の声援を受けつつ、あくまでのんびりと。
そう、ノルンは面白そうだから参加しただけで別に勝負にこだわっていなかった。結果、5本目を9回叩いた時点で終了。ルークレイルが稼いだ得点がそっくりそのまま失われてしまう結果となった。白組最終得点、29P。
「紅組428ポイント、白組29ポイント。よってこの勝負、紅組の勝ち!」
草間の気合いの入った叫びに紅組は歓声を上げた。彼女もまた紅組だ。
「それではワープ出しますよー」
白組の高梨が声をかける。運動会はまだまだ続くのだ。長老の出したワープに次々と人が吸い込まれてゆく。この調子で、次こそはと紅白それぞれに思いを抱きながら、皆何処か楽しげな顔で次の競技に足を向けるのだった。
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クリエイターコメント | 〜得点内訳(敬称略)〜
紅組 428P クリア数72 ジュテーム・ローズ 8P きのこ宣言数7 7P 気まぐれ:魚の唇(1P) ルドルフ 29P きのこ宣言数10 19P 気まぐれ:笑顔の仮面(10P) ギャリック 31P きのこ宣言数20 31P ウィズ 24P きのこ宣言数15 24P 香玖耶・アリシエート 336P きのこ宣言数20 36P 気まぐれ:クレイモア(250P) 長老移動ボーナス50P
白組 29P クリア数39 新倉アオイ 20P きのこ宣言数7 20P 二階堂美樹 9P きのこ宣言数20 バッキー12 9P 気まぐれ:絶対防御領域(35秒) ルークレイル・ブラック 31P きのこ宣言数20 31P 気まぐれ:水属性付与(武器対象30分) ノルン・グラス -31P きのこ宣言数7 クリア数4+9Hit 5P きのこ残し減点36P
ということできのこ叩きは紅組の勝利となりました。 この結果、紅組には30点が加算されました。 紅組の皆様、おめでとうございます。 そしてご参加下さった皆様ありがとうございました。 参加人数少ないですが(パティシナの最低記録更新してしまってます) これってパティシナだよねと突っ込まないでいただけると幸いです。 ええ、私が説明下手なのが悪いんです、私の馬鹿ー。 もしまたパティシナやることがあれば もっと気軽に参加出来るようにするつもりです。 出来るのかと問いつめられると苦しいですが……。 忙しい時期に頭悩ませるパティシナでもうほんとごめんなさいやりたかったんですでも後悔はしていない。いえ反省はしています。
得点と気まぐれの結果ですが、OPコメントでも書いたように 皆様のIDを順に加算してそれぞれの基準値を出しました。 得点の方はプレイングからクリア本数を判定して 基準値に加算して計算しています。 なので別にひいきとかしたわけではありません。 私も結果出た時には吹きましたし。 調整しようか悩んだのですが、あえてそのままにしてみました。 でも純粋にクリア本数でも勝負結果は同じでしたけどね。 短めで経過描写が中心になってしまいましたが、 楽しんでいただければ幸いです。
それでは、また次回をお楽しみにということで。 運動会はまだまだ続きますのでそちらもどうぞお楽しみ下さいませ。 |
公開日時 | 2008-10-18(土) 07:40 |
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