/スレッド省略表示

«前へ 次へ»

12件みつかりました。1〜12件目を表示中

[17] 【怪盗ロワキャッツ】
安心しろ。一思いに殺しはしないさ……クックックッ。
アインス(cdzt7854) 2010-11-15(月) 16:17
城の裏口へと回り込むと、見張りが数人立っていた。
パートナーと息を合わせ、鮮やかな連携で持ち見張り達に手刀を食らわせる。彼らは悲鳴一つ上げる事無くその場にくず折れた。

見張り達を茂みに隠した後、裏口から侵入を開始する。
豪奢な扉を開き、中を覗き込むと、そこはどうやらキッチンに繋がる廊下のようだった。料理の香ばしい匂いとかすかな喧騒が伝わってくる。

廊下の左右にはいくつかの扉がある。
さて――宝はどこにあるのだろう



【ルール】
・1ターンにつき、【探索】【盗む】【警戒】のコマンドから5つ選び(重複可)、アインス宛にメールを送ってください。
 パートナーとのコマンドによって、その回の結果が決まります。

ex)
メールにて、コマンドである
『1、【探索】
 2、【盗む】
 3、【盗む】
 4、【探索】
 5、【盗む】』
を選び、送信したとする。

次にパートナーのコマンドが
『1、【盗む】
 2、【探索】
 3、【警戒】
 4、【探索】
 5、【盗む】』
であった場合、この二つのコマンド同士の組み合わせによって、結果が変化する。


【探索】+【探索】→宝が無造作に置かれてあったのを発見「宝+1」
【探索】+【盗む】→無事に宝を発見「宝+1」
【探索】+【警戒】→宝は見つからなかった
【盗む】+【盗む】→目立ち過ぎて見張りに追われ、宝を奪い返される「宝-1」
【盗む】+【警戒】→見張りを出し抜き宝をゲット「宝+2」
【警戒】+【警戒】→警戒し過ぎて失敗。宝は見つからず


なので、上記の例では
 1、【探索】+【盗む】→宝+1
 2、【盗む】+【探索】→宝+1
 3、【盗む】+【警戒】→宝+2
 4、【探索】+【探索】→宝+1
 5、【盗む】+【盗む】→宝-1
となるので、得られた宝は4つとなる。
ある程度宝を盗み出すと、城の主人がやって来て戦闘となる。

なお、メールでやり取りするという都合上、パートナーは「メールが届いた順」に決定する。
アインスは「一番最後」にメールを送ってきた者、もしくは「パートナーのいない者」(PL様の都合でメールが送れなかったPCさんがいた場合、等)のパートナーとなる。
また、コマンドに関して相談するのは『可』とする。
このスレッドでは雑談やコマンドの相談等を行ってくれ。
コマンドはここで公表されるため、不正は起こらん。安心して宝を盗みに行ってくれ。
[358] 【第一ターン】
ほう、それはいい事を聞いた……。
アインス(cdzt7854) 2010-11-21(日) 01:51
さて、宝の盗み出し方法は上記の通りだとして、一回目の作戦の行動締め切りは22日24時だ。
よろしく頼む。

ちなみに、衣装の指定や行動の詳細がある場合はここで掲示していってくれ。ノベルに反映する。
[374] どうしようかしらねえ

黒城 渇妃(crep5906) 2010-11-21(日) 12:12
うふふ、それじゃあ早速お城の中に侵入するとしましょうか…♪
衣装はもちろん黒のレオタードよっ!!


ところでコマンドに関して相談するのはOKってことなんだけどぉ、他の皆は何か考えとかは有るのかしらぁ?

とりあえず、私が送るコマンドを提示しておくからぁ、合わせとかあれば言ってね♪

1、【盗む】
2、【盗む】
3、【警戒】
4、【警戒】
5、【警戒】

これで今日の夜11時位に送信しようかと思っているわぁ。
[446] 送っちゃったわぁ

黒城 渇妃(crep5906) 2010-11-22(月) 17:35
上のレス通りに昨夜送っちゃったけど、大丈夫かしらぁ?
いい結果が出るといいんだけど♪皆、よろしく♪
[474] ギリギリの時間になってしまったな
うむ
シュマイト・ハーケズヤ(cute5512) 2010-11-22(月) 22:47
諸君、初に目にかかる。
このたび【怪盗ロワキャッツ】 に参加させてもらった
シュマイトと申す。さっそくながらコマンドを公開する。

1、【警戒】
2、【探索】
3、【探索】
4、【探索】
5、【盗む】

組み合わせを見たかぎりでは【探索】が
一番確実なようだったので【探索】メインとした。

>アインス
参加させてもらった。よろしく頼む。
募集掲示板のコメントには少し照れてしまったよ。
服装は普段通り(イラストのまま)としよう。
レオタードはさすがに恥ずかしいのでな……。

>渇妃
以前インヤンガイで、キミと似た雰囲気の男に会ったよ。
旱と言ったかな。
(「青に寄せて」事件)

>モック
君の体の組成は興味深いな。分解してみたくなる。
いや、冗談だ。
[475] あっぶねぇ! とりあえずボクも送ってきた
モック・Q・エレイヴ(cbet3036) 2010-11-22(月) 22:56
アインス殿の妄想を壊しちゃったお詫びに、ちょっとだけボクも女の子になってあげようじゃないか!
ってわけでちょっくらバラバラするよ〜。
……正直動きにくいから、作戦開始したらまた元に戻るけど。

ーーブロック組み替え中ーー

えーっと、送ったコマンドは警探盗探盗、ね。一応、誰と組んでもいいようにしてみたつもり。
十分くらい前に送ったから、シュマイトさんとどっちが先か微妙なところかな。
ほんとは全部探索が一番手堅いけど、全然冒険しないんじゃつまんないもんね。

あ、そうそう、今日は私、特製トラップ使ってみようと思うの☆
金槌持って来たから、これで私のブロック割れば、簡易マキビシにならないかな?……なーんて。

>シュマイトちゃん
えっ! そういう冗談はやめてよぅ……
冗談は私の専売特許なんだからねっ!

……そろそろ女子やるの疲れてきた……
[512] 第一ターン 結果1
アインス(cdzt7854) 2010-11-23(火) 05:17
 裏口からひょいと城内を覗いた黒城 渇妃は、その黒い瞳を突き刺すばかりの光量に、やや目を眇めた。
「どうなのさ、渇妃さん?」
「……大丈夫みたい、見張りらしい人はいないみたいよぉ」
 背後からかかったモック・Q・エレイヴの問いかけに、渇妃はゆるく首を振って応えた。モックの口の端からやや細い息が吐き出される。
「よーし、それならさっさと行って宝盗み出してやろうよー!」
 立方体の集合体とも言えるモックの姿は、某怪盗を意識したらしい渇妃のハイレグと同等以上に目立っていた。恐らく周囲に悪徳貴族に雇われた者が一人でもいれば、問答無用に騒がれていたに違いない。その点は彼らはかなり幸運だったと言えるだろう。
「そうねぇ、早くお宝ゲットしに行かないと♪」
 モックの言葉に応じる渇妃も、ハイレグに包まれた肢体を悩ましげに捻りながら振り返る。
 かくして二人は城内へと踏み出すのだが――
 この時点から、渇妃とモックは幸運の女神に微笑まれていたのかもしれない。


「それじゃあ渇妃さん、まずはボクが警戒しながら先導するから、後から付いてきてくれる?」
「分かったわぁ」
 城内へと足を踏み入れた二人は、まず二階を目指すことにした。先導し警戒に当たるのはモック、庇われるように背後を歩くのは渇妃だ。
 裏口から入り、とりあえず左手の扉を開き、細い廊下を歩く。壁の向こうからはパーティの賑やかな歓声が聞こえてきて、モックの喉がごくりと鳴った。
(もしここで物音でも立てれば、すぐに見つかるかもしれないね)
 壁一枚隔てたところにあるのは、大勢の人間が集まるパーティ会場。それを考えると、自然とモックが踏み出す足も緊張を孕んだものになる。
 程なくして廊下の突き当たりに辿り着いた二人は、そこにあった豪奢な飾りの付いた扉の取っ手に手をかける。モックがこっそりと扉の向こう側を覗くが、そこにあったのは二階への階段――ではなく、薄暗い、恐らくは地下への階段だった。
「的外れだよ」
 モックが舌打ちするのを聞きつけ、渇妃がひょっこりと背後から顔を出した。
「あらぁ、二階への階段じゃなくて地下への階段を見つけちゃったのねぇ」
 でも、と彼女は笑った。
「地下にもお宝があるかもしれないしぃ、ちょっと行ってみるのも悪くないわよ♪」
「……そうかもね」
 当てが外れた事にがっかりしながらも、モックは渇妃の言葉に頷いた。それでもするりと滑るように扉の向こう側へと移動すると、周囲に見張りの気配が無いことを確認、手を振って渇妃を呼び寄せる。
「んじゃ……行くか」
 再びモックが先に立って階段を降り始める。夜も更け、地下に向かう階段がまとう空気はやや肌寒い。渇妃は鳥肌の立つ二の腕に、思わず両手を這わせた。
(……ハイレグを着てきたのは間違いだったかしら)
 そんなことを彼女が考えた時、階段を下りきったらしいモックが振り返る。
「扉だよ」
「あら」
 渇妃が顔を上げると、確かに階段の下には鉄製の扉が鎮座していた。渇妃は首を傾げたあと、顎をしゃくった。
「ほら、モック君。早く開けなさいよ」
「鍵がかかってるんだよなー……」
 渇妃の言葉に、モックは眉根を寄せて返事する。周囲を見回すが、もちろん鍵らしきものはどこにも見当たらない。
 彼は少々悩んだ末、自身のトラベルギアを取り出した。光るキューブであるそれは、普段は敵に向けてぶつけて攻撃するものである。
「あんまりやりたくなかったけどー……」
 モックはそれを、思い切り鉄の扉の鍵穴に向けて叩き込んだ。
 周囲に響き渡る不協和音。
 鉄とトラベルギアが奏で出したそれは、モックが思っていたよりも地下の階段に響き渡り、肝を冷やした。咄嗟に渇妃が周囲を見回し、その音を聞きつけて見張りがやって来ないか警戒に当たる。
 ――――ぃぃぃ……ん。
 最後の余韻を残し、音が消え去った後でも、二人はその場で警戒を続けていた。ようやく息を吐いたのは、それから更に数十秒が経過してからだった。
「ふう」
 モックは天井を見上げて溜息を吐き出す。
「誰も来ないみたいね。さっさと行きましょ♪」
 渇妃の言葉の通り、モックのトラベルギアがぶつかった鍵穴は見事に破壊され、鍵としての役割を果たさなくなっていた。モックは頷き、扉の取っ手に手をかける。
 耳に不快な軋む音がして、鉄製の扉がゆっくりと開かれていく。
 そして、モックと渇妃がその先に見たのは、小さな小部屋だった。
「ここは……?」
 モックの背後から足を踏み出し、一足先に小部屋に入り込んだ渇妃(背後からモックが「危ないですよ!」と声をかけてくるが、無視)は、小部屋の奥にいくつかの小箱が置かれているのを目に留めた。
「危ないですってー、渇妃さん……」
「モック君。あれ――」
 ぶつぶつ言いながら彼女の後を追ってきたモックに、渇妃はそれを指差した。途端、モックは硬直しその小箱を凝視する。
「あ、あれ、もしかして――」
「……ビンゴかしらぁ?」
 モックの言いたいことを先回りし、渇妃はにやりと笑う。そのまま小箱の元まで駆け寄り、その端にあった、細かな細工のされている赤い小箱を手に取った。
 渇妃が無造作にその箱を開ける。モックが誰か来ないかと警戒に当たる中、初めての『お宝』が渇妃の前に現れた。
「まあ……綺麗だこと」
 うっとりとそれを眺める渇妃の声音は、まるで綿菓子のように甘かった。
 彼女が手にした箱から現れたのは、美しい新緑色の宝石――大粒のエメラルドだった。天井から差し込む薄い光に照らされ、ほのかに輝いている。
 しばらくそれを眺めて陶酔していた渇妃だったが、背後で警戒に当たっているモックに急かされ、隣の箱にも手をかけた。
 そこから出てきたのは、ハニー・イエローの宝石、キャッツアイ。宝石が立て続けに見つかったことから、この場所はどうやら宝石の保管場所であるらしい。
 更に隣の小箱に手をかけた渇妃だったが、しかしその箱には鍵がかかっていることに気付いた。彼女がいくら力を込めても、ぎしぎしと箱が軋むだけで開きはしない。
「渇妃さん、ボクと代わって」
 見かねたモックが代わりに名乗り出る。渇妃は仕方なく頷き、エメラルドとキャッツアイを懐に入れた後、警戒を行うために部屋の入り口へと移動した。
 交代したモックは、しばらく箱を眺めていたが、やがて自身を構成する立方体の配置を変更し、小箱の鍵穴に差し入れられる形への手を変化させた。
「さっきの扉と違って、小箱の方が鍵穴が大きいからな……」
 一人ごちつつ、細く長くなった手を小箱の鍵穴へと差し込み、上下させた。
 しばしののち、軽やかな音が聞こえてきて、彼は小箱の鍵が開いたことを認識した。
「よっしっ!」
 軽くガッツポーズ。勢い込んで小箱を開けると、そこから出てきたのは透明の宝石、ダイヤモンドだ。宝石の中でももっとも価値が高いとされるそれに、モックは満足げに笑って懐の中に押し込んだ。
 同じ要領で、残りの四つの小箱も開いていく。
 美しく輝く球体、ゴールドパール。
 漆黒の石、トルマリン。
 『純愛』の石言葉を持つルビー。
 そして、多色性という変わった特徴を持つ宝石、タンザナイト。
 合計七つの宝石を手に入れたモックと渇妃は、その成果に満足し笑い合った。あとは、これを持ってシュマイトとアインスと合流するだけだ。
「早く行きましょ」
「そうだねー」
 ホクホク顔で部屋を出る二人。と、不意に渇妃は振り返り、手にした紙になにやら書き付けると、冷たい壁にそれを貼り付けた。
 その紙には、滑らかな文字でこう書かれている。

『怪盗ロワキャッツ参上』と。



渇妃&モックペア 結果

1、【盗む】+【警戒】=宝+2
2、【盗む】+【探索】=宝+1
3、【警戒】+【盗む】=宝+2
4、【警戒】+【探索】=宝なし
5、【警戒】+【盗む】=宝+2

 小計 宝7
[513] 第一ターン 結果2
アインス(cdzt7854) 2010-11-23(火) 05:25
 渇妃とモックが幸運の女神に微笑まれていたのであれば、この二人は恐らくそっぽを向かれていたに違いない。
 シュマイト・ハーズケヤは、常の淡々とした表情ではなく、どこか疲れたようなそれで、背後を歩くアインスをちらりと見上げた。
 城内、二階。
 渇妃とモックと裏口で別れた二人は、彼らとは反対側の右手の扉を開け、進んで行った。パーティ会場に隣接された細い廊下を、何の問題も無く進み、突き当りの扉を開けたところで二階への階段へと行き着いた。
 灰色の鉄で作られたその細い階段は、恐らくは非常階段として使われるものなのであろう。城に呼び集められた賓客たちが使用するにはみすぼらしく、寒々しい。
 しかし、城へ宝を盗みにやって来た二人にとっては、そのさまは全くもって歓迎すべきものであった。軋みを上げる段差を登り、ゆっくりと二階へと登っていく。
 階段を上り終え、そこにあった分厚い鉄の扉を開けると、そこは赤い絨毯が敷かれ、美しい紋様で彩られた扉と、丁寧に清掃された空間だった。
「人気がないな」
 シュマイトがそんなことをぼそりと口にすると、背後に立っていたアインスも頷いた。
「恐らくは皆、パーティに出払っているのだろう」
 そして、彼はシュマイトを見下ろし、こんなことを言ったのだった。
「今がチャンスのようだぞ、レディ」
 彼の言葉は真実であり、そして的確だったのだろう――と、シュマイトは思う。
 だから、二階に上ってきてから数十分が経過している今も、宝が一つたりとも見つかっていないのは、恐らく自分達の運が悪いからに違いあるまい、とも。
 実際、彼らは運が悪かった。
 決して何かミスを犯してしまったとか、見張りに見つかってしまったとか、そんな理由ではない。ただ単に、片っ端から開けていく扉の先に、宝と呼べるものが一つも無かっただけの話である。
 例えば、『立派な扉だから』と開けてみた扉の先に、あったものは大量の洗濯物と洗剤だけであったとか、例えば『この扉には鍵がかかっているから、中にあるものは恐らく貴重なものに違いない』と期待して鍵を破壊し入ってみれば、そこにあったのは城主である悪徳貴族が綴った日記の置かれた本棚であったとか、ネックレスであるとか指輪であるとか、宝らしきものは一向に見つからないのだ。
 後者の日記などは、持ち出し自警団にでも提出していれば、城主である悪徳貴族を告発する材料となったのかもしれない。しかし、今回シュマイトたちが求めているのは宝である。決して悪徳貴族を告発するために、ここに侵入してきたわけではないのだ。
 背後を歩くアインスも、城に入ったばかりの頃はシュマイトに向かって『麗しきレディ』だの『キミの美しい足を汚さないように気をつけてくれ』だの、どうでもいい台詞を口から吐き出していたが、こうも立て続けに空振りが続くと、彼も疲れてきたらしい。先程から一言も喋らず、ただシュマイトの背後を守るように淡々と歩いているのみだ。
 シュマイトも元から饒舌な性質ではない。結果として、二人はただただ無言で宝を求め、歩き回るばかりとなっていた。
(……しかし、あまり時間をかけすぎると、見張りに見つかる可能性も高くなるな)
 歩き回って疲れた足を労りつつ、シュマイトはそんな思考を登らせる。
(あと十分ほど歩き回って何も見つからなければ、一度戻って渇妃とモックと合流するのも有りかもしれない)
「――止まれ」
 思考に沈んでいたシュマイトの腕が、不意にアインスによって捕えられた。
 振り向き、どうした、と声をかけようとしたシュマイトだったが、アインスが睨みつける視線の先を辿り、その身体を硬直させる。

「……これ、とってもいい香りなんですよ」
「まあ、奥様。私の香水も……」

 二人が身を隠す壁の先、角を曲がった向こうには――
 半刻ぶりに見た、人の姿があった。
「パーティに呼ばれた貴婦人達か」
 アインスの呟きに、シュマイトも頷いた。
 話しこんでいる二人の貴婦人のうち、片方は水色のドレス、もう片方は白のドレスを纏い、おのおの手に何か小さい瓶のようなものを持ちながら喋っている。
 息を潜める二人の向こうで、貴婦人達は話を続けている。

「聞いて頂けます? この香水は特別製のシトラスパフューム、市場価格で金貨千枚もするらしいですの。ここの城主様からのプレゼントですのよ……」
「あら、あたくしだって、城主様からこの香水を頂いたのよ。これはオリエンタルパフュームと言って、とても貴重な材料から精製された……」

 城主から受け取った貴重な品、ということを耳にし、シュマイトとアインスは顔を見合わせ、頷いた。
 ターゲットは絞った。あとは、どうやって彼女達の手からあれを盗み出すかだが――
 と、ここでタイミング良く貴婦人達が動いた。

「とりあえず、今はパーティに戻りませんこと? この香水は、そこの荷物預かり所に置いていけばいいわ」
「そうね、香水の話はまた後で」

 香水自慢に飽きたのか、はたまた早くパーティに戻り食事をしたかったのか。それは定かではないが、貴婦人達は揃って傍らの部屋へと入り込むと、しばしののち、香水を手にしていない状態で、部屋から出てきた。
 彼女達がそのまま部屋から離れていくのを確認し、シュマイトとアインスは行動を開始する。
 足音を立てないよう、美しく彩られた赤い絨毯の上を踏みしめ歩き、貴婦人達が立ち寄っていった『荷物預かり所』の部屋に近づく。
 そこは分厚い両開きの扉によって塞がれていたが、どうやら貴婦人達が鍵を閉め忘れていったのようだ。シュマイトが軽く扉を押すと、それはあっさり開いて二人を出迎えた。
「私たちにも運が向いてきたようだな」
 シュマイトはにやりと笑う。だが、預かり所の中に入り込むと、その笑みはたちまちしぼんでしまった。
「……多いな」
 背後から顔を出したアインスも、うんざりした声を漏らす。
 そう、そこにあった荷物はざっと数えただけでも数十はあり、もちろん貴婦人達がどの荷物の中に香水をしまっていったかなどは分からない。つまり、二人はこれからこれらの荷物の中を探り、目的の香水を探し出さなくてはならないのだ。
「……こうしていても仕方がない。アインスは向こうの方から頼む」
「了解した、レディ」
 そうして探し始めた二人だったが、今日はどうしても運の向いていない日だったらしく、捜索は困難を極めた。天井から差し込んでいる光もほんのわずかで、室内が薄暗かったことも捜索に影響しているのかもしれなかったが。
 最初に香水を見つけたのは、アインスだった。
「……あった」
「何!?」
 アインスが溜息を吐き出しつつ、一つの鞄から香水の瓶を取り出して見せた。色からしてオリエンタルパフュームであろう、きらきらと輝く液体に、アインスは見惚れて息を吐く。
「くそっ、私も早く見つけないと……」
 対抗意識を燃やしたシュマイトも、勢いを増して鞄の中を漁り始めた。そんな彼女を見たアインスが、ふっと唇を歪めた時、その声は聞こえてきた。

「ちょっと忘れ物しちゃったわ、少し待っていてくださる……」
「まあ、貴方ってばドジねえ――」

 声からして先ほどの貴婦人達だ。どうやら忘れ物をして、この部屋まで戻ってきたらしい。
 アインスは焦り、すぐさま立ち上がってシュマイトの元へと駆ける。彼女は手にした鞄から、何やら取り出そうともがいていた。
「行くぞ、人が来た」
 そう言ってアインスが腕を引っ張るが、シュマイトは首を振る。
「ちょっと待って欲しい。恐らくこの鞄に入っているのが、もう一つの香水らしいが……な、中の金具に引っかかって、取れないんだ」
「諦めろ。行くぞ」
 急かすアインス。宝よりも、見張りたちに見つからず、無事に帰還することの方が大切だ。
「ちょっと待ってくれ、この金具をこうして……あっ」
 ようやく金具が外れたらしいシュマイトだったが、しかし災難なことに、それまで引っ張っていた香水は力のベクトルが逆方向へとかかり、彼女の手をすっぽ抜けてしまったのだ。
 そのまま香水は宙を舞い、キャッチしようと手を伸ばしたシュマイトとアインスの手をすり抜け、床に落ちてしまった。
 ガシャン、とガラスが割れる音と共に、周囲に上品な匂いが広がる。
「くそっ……」
「行くぞ」
 舌打ちするシュマイトに、アインスが声をかける。もうこの香水は諦めるしかない。


 かくして二人は、貴婦人達が部屋に入ってくる前に脱出することは出来たが、しかし手に入ったのは香水が一つだけだった。
 しばらくの後には、荷物を荒らされたことに気付いた貴婦人達が、城の傭兵たちを呼び寄せるだろう。
 この場所の探索は、これ以上は不可能だ。




シュマイト&アインスペア
1、【警戒】+【警戒】=宝なし
2、【探索】+【探索】=宝+1
3、【探索】+【盗む】=宝+1
4、【探索】+【警戒】=宝なし
5、【盗む】+【盗む】=宝-1

 小計 宝1

※アインスのコマンドはランダムです。


 今ターン結果 宝合計 8



 次(最終)ターン締め切りは25日24時です。
 また、次(最終)ターンで宝が第一ターンと合計して18集まると、城主達が現れて戦闘となります。
 城主達と戦闘し、勝利すると宝+10(描写+3000文字)のボーナスが手に入ります。
 アインスのコマンドはランダムで決定されるため、戦闘へと至るには運も左右されるかと思いますが、どうぞ挑戦ください。
 また、次回コマンド送信時には、城主達と戦闘になった場合の行動を書いて頂ければ幸いです。
[660] 大漁GET!

モック・Q・エレイヴ(cbet3036) 2010-11-25(木) 21:38
うっし、まあボクの手にかかれば、今回も楽勝だろ!
探盗探盗盗でいくよー。
最早この天才怪盗モックンに、警戒する必要なんて全然ないね!

どうせ見つかっちゃってもホラ、UMAとか幽霊とかならまだしも、所詮一般人でしょ? 恐るるに足らず!
とりあえず色々イタズラしかけて遊んでみるよ。うん。みんなの方が強そうだし。
……この世界の一般人ってどんな人達なんだろ。
[740] あらいやだ

黒城 渇妃(crep5906) 2010-11-26(金) 22:14
昨日出し忘れちゃったわあ…。渇妃一生の不覚。

>モック坊や
あなたは無事に出発したみたいねえ、良かった良かった。
それにしても第一回目は大成功だったわね!今回も一緒出来なくて残念だったわぁ…。

>シュマイトお嬢ちゃん
あらあ、旱と会ったの?うふふ、ふつつかな弟だけど、今後また会うことがあったらよろしくね。
けど、口説かれないように注意するのよぉ?あのコはあなたみたいな可愛い子が大好きなんだから!
[777] 第二ターン 結果
アインス(cdzt7854) 2010-11-27(土) 00:35
 シュマイトは急いで一階に下り、アインスと別れてモックと合流した。アインスより彼の方が怪盗のペアとして優秀だろうと思ったからであったが、これはなかなか賢い選択であったことが後に分かる。
 ちなみにモックは先ほどの宝を全て渇妃に渡し、彼女を先に逃がしていた。シュマイトと合流し、再度彼が宝を盗みに行こうと考えたのは、モック自身が宝の魅力に取り付かれていたからに違いない。
「次もお宝大量GETだぜ!!」
 なんてことを呟きつつ、一階裏口前のホールで周囲を見回す。
 左と右の扉は、既に二組が制覇した。左手にある扉の方は地下の宝物庫へと続いており、そこにあったお宝は全て彼らの懐の中だ。一方右手にある扉の先には二階へと続く階段が伸びているが、シュマイトとアインスのペアがミスをしてしまったため、しばらくはそちらへ行かない方が良いと思われる。
 残された扉は正面にあるそれなのだが――
「見てみろ、モック」
 モックと同様、探索に回っていたシュマイトが、こっそりと近付いた扉の向こうを覗き込んだまま、モックを呼び寄せた。彼女の青い瞳に宿る意思に引き寄せられるようにモックが近付けば、シュマイトはにやりと笑って正面扉の向こうを指差してみせた。
「見ろ、この先はキッチンだが……今は誰もいない。みな給仕に出ているのか、それともパーティに出した食器の片付けに出払っているのか――もしくは食事を全て作り終えたので休憩中なのか、その理由は分からないがな」
 確かに、モックもシュマイトの肩ごしに扉の先を覗き見れば、そこには静けさに満ちたキッチンが見て取れた。
 巨大な鍋は既にシンクに移動されて洗い途中、皿も綺麗に磨かれ詰まれている。シュマイトが言ったとおり人は誰もおらず、どちらかと言えば『既に料理も出し終え片付けも終え、料理人たちは撤収済』な雰囲気に見えた。
 モックが唇の端から軽く安堵の息を吐き出すと、まるでそれに背中を押されたようにして、シュマイトが一歩足を踏み出した。
 物音一つしないキッチンを、彼女はひたすら真っ直ぐに進んでいく。その先に見えるのは、いずこかへと続く両開きの扉だ。
 モックも慌ててその後を追い、水が滴りつるつる滑るキッチンの床に足を取られつつも、シュマイトを追い越し――そして、その両開きの扉の取っ手に手をかける。
 自分を追い抜かしていったモックにいぶかしげな視線を送るシュマイトに、モックは首を振って、取っ手を押し開ける。
「俺が先に行くよ。シュマイトは後ろにいてくれ」
「何故だ。宝を見つけるのであれば、私も探索能力に自信は――」
「宝じゃない。いや、宝もあるけどさ……この先に傭兵とか警備員とか、敵がいるかもしれないだろ。女の子が先に行ったら危ないじゃないか」
 シュマイトにとって、モックの台詞は不意を突かれたものだったに違いない。元々大きな瞳を更に見開き大きくする彼女に、モックは笑いかけ、そのまま扉を押し開けた。
 最初に目に付いたのは巨大な壁だった。恐らく二メートルくらいはあるに違いないそれは、モックの目の前から左右に四メートルほど伸びている。壁の向こうには広大な空間が有るらしく、開放感のようなものが二人の肌を刺激してきた。
「ここは、何の部屋だ」
 モックの背後からやって来たシュマイトは、恐る恐る壁の向こうを覗き見ようと、敷かれている柔らかな赤い絨毯を踏みしめ歩き出した。モックが「シュマイト、危ないよ!」と声をかけるが完全無視だ。
 壁の端まで行き、その向こうを覗き見たシュマイトは、一瞬息を止めた。
 豪奢なシャンデリア、広々とした空間、そして着飾る貴婦人と紳士達。部屋の片隅には白いクロスが敷かれたテーブルが据え置かれ、その上には様々な食事が置かれている。――既にパーティも終盤に差し掛かっているため、そこにあった食事もほとんどが底を付いていたが。
「ここはパーティ会場か」
 シュマイトがぼそりと呟いた言葉に、慌ててやって来たモックが反応する。彼も同様に壁の向こう側へと視線を走らせれば、そこには談笑する貴婦人達の姿があった。
「でも、もうパーティも終わりみたいだな」
 そう、食事の量や、帰る貴婦人達がそこここに見られる様子など鑑みても、そろそろパーティもお開きと言うところなのだろう。モックが肩をすくめつつ周囲を見渡せば、二人のいる壁のすぐ脇に、やや高い舞台のようなものが見えた。
 モックとシュマイトは少しだけ身体を乗り出し、そちらの方を見やる。そこには何人かの貴婦人と紳士、そして一際でっぷりと太り、ごてごてと様々な装飾品で飾り立てている豚――否、貴族が一人いた。
 その豚、いや貴族は、恐らくこのパーティのホストなのだろう。近付いてくる貴婦人や紳士と握手をし、今日パーティに来た礼を口にしているようだ。
「あいつがここの城主か」
 モックが呟くのに、シュマイトは頷いて同意する。それから彼女は舞台の左右へと視線を走らせ、モックの肩をぽんと叩いた。
「見ろ、あそこ」
 シュマイトが指差した先を視線で辿ったモックは、舞台袖に翡翠やら金箔やらでごてごてと飾り立てられた箱が、両脇に三つずつ、合計六つ置かれているのが目に入った。周囲には警備員が数名、まるで箱を護衛するかのよう(実際に護衛しているのは城主の方だろうが)に立っている。
「宝だ」
「宝か」
 二人は顔を見合わせてにやりと笑う。奪うには少々困難な場所にあるが、これくらいのことで諦める二人ではない。
 パーティは、まだ終わりそうになかった。

「城主さま~」
 城主は黄色い声で呼ばれ、そのでっぷりした腹をさすりながら振り向いた。
 背後にいたのは、見たこともない美しい貴婦人。飴色のドレスに身を包み、こちらに近付いてくる。
 その美しさに鼻の下が伸びつつも、こんな女性招待したかな、と頭の隅で考える。その貴婦人――否、変化したモックは、舞台に上がり、周囲にいた貴婦人やら紳士やらを押しのけ、城主に擦り寄った。
「城主さま~、今日は楽しいパーティをありがとうございました! モク子、本当に感激しちゃった!」
「う、うむ」
 美女に擦り寄られて嬉しくないはずがない。城主は鼻の下を伸ばしたまま、貴婦人に変化したモックに頷き、それから胸を張ってみせる。もはやこの相手が招待した女性か否かは、彼の中ではどうでもいいことに分類されてしまったらしい。
「楽しんで貰えたなら何よりだ。何せ食事から装飾まで、全て国で一番高価なものを取り寄せたのだからな」
「わあ、さすが城主さま!」
 貴婦人(モック)は手を叩いて城主を褒めちぎる。陶酔した表情になる城主は、しかしモックが「でも」と続けたのを聞いて目を眇めた。
「でも、それってー……全部人身売買や麻薬で儲けたお金で買ったんですよねえ?」
 その言葉が発せられたのと同時。
 広間は唐突に暗くなった。
 次いで耳をつんざくような破砕音。暗闇に染まったパーティ会場は、パニック状態と化した。
「な、何が起こった!? 一体……!?」
「わ、分かりません! どうかお待ちを、シャンデリアの明かりを復旧――ぐあっ!!」
 大きな破砕音に腰が抜けた城主は、地面を這い蹲りながら、近くにいるであろう護衛に声をかけた。しかしその相手も会話の途中でうめき声を上げ、それきり黙りこんでしまった。城主がそちらに近付くと、暗闇の中、倒れ伏している護衛の身体を発見した。
 途端、城主の喉に恐怖が絡みついた。恐らくは賊だ。早く逃げなければならない。何なら護衛たちを盾にしてでも、自分だけは――いや、自分と宝だけは――
「なーに逃げようとしてんだよ、オッサン」
 不意に傍らから声が上がった。と同時に、暗闇ばかりだったパーティ会場に、一箇所だけ明かりが灯る。
 舞台の前、既に変化を解き元の姿へと戻ったモックと、トラベルギアでシャンデリアを打ち砕き広間を暗闇に染めたシュマイトが、六つの箱を持ちながら、舞台上で這い蹲る城主を見上げていた。
「きっ、貴様らっ……!?」
「動かないで欲しい。動いたらこの拳銃で打ち抜く」
 シュマイトがトラベルギアを城主に向けつつ言い放つ。思わずぐっと声を詰まらせる城主。
 だが、二人の手には自分の大切な宝が持たれているのだ。そして彼らがこの騒ぎを引き起こしたのであれば、あの宝は恐らく持ち去られてしまうだろう。
 他人に見せびらかすために、舞台に宝を置いておいたのが仇になったのかもしれない。城主は焦った声を出した。
「お、おい! 警備員! 何をしている、宝を守れ! それからワシも守れ!」
「し、しかし、奴は拳銃を持っています」
 シュマイトが周囲にトラベルギアを向ければ、そこここから躊躇した声が返ってくる。しかし城主はそんなことはお構いなしだ。
「か、構わん! 貴様らの命などどうだって良いだろう! それより宝を奪い返せ!」
「……キミは救えないな」
 シュマイトは再度トラベルギアを城主へと向ける。周囲に緊迫した空気が流れる中――
 彼女は引き鉄を引いた。

「たっだいまー!」
「待たせた」
 宝の入った小箱を持ち、裏口から外に出てきたモックとシュマイトを、渇妃とアインスは出迎えた。
「遅かったな」
「大丈夫だったぁ? 怪我しなかったぁ?」
「大丈夫大丈夫! あ、ほら、渇妃。また宝盗んできたぜ!」
 モックは渇妃に小箱の中を見せびらかす。中にはダイヤのネックレスやら希少種の剥製やら何やらが詰め込まれていた。
「シュマイトは大丈夫だったのか」
「ああ、大丈夫だ。城主に少々お灸も据えてきたし、満足している」
 アインスに声をかけられ、にやりと笑うシュマイト。城主に向けて打った彼女の弾丸は、城主の頭すれすれを掠めて飛んでいった。衝撃で気を失う城主を笑いながら、二人は広間を抜け出てきたのだ。

 多くの宝を盗まれ、悪事を暴かれ、あまつさえ自分の部下に愛想を尽かされた城主の今後は、果たして長くはないだろう。
 この夜、パーティに集った人々は、『怪盗ロワキャッツ』に対し、畏怖と敬意の念を抱いたに違いない。




モック&シュマイトペア
1、【探索】+【探索】=宝+1
2、【盗む】+【警戒】=宝+2
3、【探索】+【盗む】=宝+1
4、【盗む】+【探索】=宝+1
5、【盗む】+【探索】=宝+1

小計 宝6
合計 宝14


 Mission Complete!!
[794] 結果
安心しろ。一思いに殺しはしないさ……クックックッ。
アインス(cdzt7854) 2010-11-27(土) 02:31
遅くなってすまなかったな。これにてミッションは達成、完了だ。
活躍して頂いた三名には深く感謝する。


(※この度は怪盗お疲れ様でした!!
宝が規定数まで届かなかった為、城主と戦闘にはなりませんでしたが、こんな形でミッションコンプリートとさせて頂きます。
本当に有難うございました!)

«前へ 次へ»

12件みつかりました。1〜12件目を表示中

 

ページトップへ

螺旋特急ロストレイル

ユーザーログイン