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[115] 【儀式室】
ディラドゥア・クレイモア(czch7434) 2011-07-12(火) 10:09
【儀式室】と書かれた看板の示すゲートをくぐると、空気はまるで一変する。

そこは、大型のコンサートホールほどはあるだろうという大広間。
長方の立方体で構成されたその空間は全て黒曜石で作られており、
磨き抜かれた壁や天井はまさしく魔術行使のための空間と呼ぶにふさわしいそれだ。

天井を見ればセフィロトの樹を模した大型の魔方陣が目に映る。
壁を見ればびっしりと事細かに刻まれた魔術回路の溝も走り、
溝をふと観察すればその細かな溝に魔力が走るたびに光を発しては消えていく。

そして、壁に時として浮かんでは消える死者の顔(デスマスク)。
それは、このチェンバーの歪みの表れであろう。
悪魔のものであったり、時としてヒトとして区別すらつかぬ顔のそれ。
それは、このチェンバーが暴走した時の哀れなる犠牲者の物であるとの噂がある。
そんなチェンバーに住む主も酔狂といえば酔狂になるのかもしれない。

また、ここにあてがわれたゴーレムも祭儀用に作られた特殊な存在であり、
魔力加工と詠唱の補助を行う機能を与えられている。

床もそれは例外ではない。びっしりとドット打ちされたように事細かな溝が打たれ、
床全面が時の主の意思にしたがって魔道を形成するように作られたその床は、
今か今かと使用者と主の帰還を待っている。

主はここで、神代の武具を生み出したり、魔道具を生み出して来るべき戦いに備えるのだ。
それは、全て勝利と栄光のために。

----------------------------------------------------------------------
特殊雑談スレッドです。魔法は用法用量を守って正しくお使い下さい。
魔道具製造など、色々な使い方ができるでしょう。お任せします。
[120] 不気味ってレベルじゃねーぞ!

ツィーダ(cpmc4617) 2011-07-14(木) 08:10
その領域に入った瞬間、HUD(ツィーダの視点からしか見えない各種画面)が警告をあげる。
>注意:現在アクセス中のエリアはウイルス汚染されています。
>注意:汚染率は5%ですので支障はありませんが、注意してください
壁を見る。HUDが壁に時として浮かんでは消える死者の顔をロックオンし、それをウイルスとして認定する。
>ウイルス:UNKNOWN
>当該ウイルスに関する類似データ無し
>ウイルスデータベースのアップデートを実行してください
「…まさかあの不気味なのをウイルスと間違えたのかな?」
変に怨念っぽいものをウイルスとして誤認識したのだろうか。
正直不気味すぎて出来れば早く退出したいなー、と思っている。
[121] 不気味でごめんねなゴーレムたち。
ディラドゥア・クレイモア(czch7434) 2011-07-14(木) 08:46
(周辺を行き来するゴーレム達は、儀式の準備と世話役を務める。
 ゴソゴソとパソコンのパーツを運んできたり、
 一方では清掃を行って鏡面クラスまで磨き上げる者。今回の準備を進めているようだ。
 そんな中、司祭服を着た2体のゴーレムが幸せの青い鳥に近づいてくる。
 一体の手には、祭儀用のアクセサリー類が入った浅い箱が持たれている。
 そして、もう一体のゴーレムが椅子を持ってきた。)

ツィーダ様、デヨロシイデショウカ。
今回ノ儀式ノ準備ヲ仰セツカッテオリマス。

サシアタリマシテハ、コチラノアクセサリーを付け椅子ニカケテオマチクダサイ。
儀式ヲ行ウニ当タリマシテノ安全対策トナルモノニナリマス。

チナミニ、少々不気味デハアリマスガ魔力トノ兼ネ合イノ都合トナリマス。
部屋自体ハ危害ヲ加エマセンノデゴ安心下サイ。

(箱の中には皮の首輪と足輪が入っている。
 相応に魔力のあるもののようで、反応が少し、あるだろうか。
 記憶を操作する上での安全対策の魔力だ。)
[123] よう、首輪付き

ツィーダ(cpmc4617) 2011-07-15(金) 08:10
「…なるほどなー。敢えて飼ってる…そーいうものか」
ターゲットしたデスマスクを『誤認識として報告』。ウイルスアラートも停止する。

「…しかし、首輪か」
鳥に首輪など似合わないだろう。どちらかというと犬向けな気がする。
「まあいいか。」
足輪を装着し、続いて首輪も装着する。
これで鎖なんてついてたら飼い犬ならぬ飼い鳥だ。
[130] 運命(さだめ)をねじ伏せる魔術。
アイコン正面
ディラドゥア・クレイモア(czch7434) 2011-07-19(火) 12:28
(しばらく時間が立った頃だろうか。
 せわしない革のブーツが床を叩き、近づく音が聞こえる。
 そのうち幾つかはゴーレムのそれであり、その内の一つは主のものだ。

 幾つかのゴーレムとの言い合いが、耳に届くのだろうか。)

「無茶デスヨ……成功率50%以下ノ記憶復活術、カツクリティカルアクシデント率50%とは……。
 失率下ゲルタメトハイエ死ニニ行クヨウナモノカト……。」

やかまし! 御託言うくらいなら運命変転の儀式準備くらいしとけっての!
クリティカルアクシデント50%位ならねじ伏せる!
スケープ・ゴートの準備しとけ!

(ガタガタうるさいのも無理は無い。
 かなりの失率の高さで前例がない。ゴーレム達の憂慮もうなずける。
 そんな、むりくりに近い儀式の成功率を上げるための準備が、着々と進んでいた。
 儀式室に入る姿は、魔術師の導師服であり、正しく正装とも言うべき服装のそれだ。)

いやぁ、騒がしくてごめんね。
トリさんお待たせ~。じゃ、準備始めるね。

――『多重高速詠唱』(マルチパラレル・ファストキャスト)
――『死者の躰』(リッチ・フォーム)
――『電子化』(サイバー・フォーム)
――『無機融合』(マテリアル・グロス)
――『呪刻:魔術融合』(スペルカーヴド:スペルグロス)


(肉体を溶かして骨のみの躰となった上に機械を次々と取り込んでいく。
 その上で電子化によって電子の精霊となり、極限までデータと実体の境界線の上に近づけた。
 そして。電子機器においてはほぼすべてを取り込んで血肉とした上で、儀式の成功率を高める重エンハンスを施す。
 それは、もはや自らの体の形を留めない異型の姿だった。
 呼び習わすならば一つ。それはサイバーデーモンと呼ぶのが正しい呼び方にも思える。)

……少し、慣れないかな。
でも、これでほぼOK。魔法との親和性は不安なところだけど……。
ま、やってみますか……。

じゃ、データ類の転送をお願いしていいかな?

(そんなことを言う主。まずは概念に慣れなければならない。
 危険を少しでも減らし、成功率を高めるためだ。)
[133] Knowledge.network-baseを転送しています…

ツィーダ(cpmc4617) 2011-07-20(水) 00:06
ブーツの音と、いくつかの言い合い。
成功率50%以下、クリティカルアクシデント発生率50%。
「記憶領域(メモリレイヤ)に論理的な損傷でも起こるかな…」
物理的な損傷だと修復は面倒だが、論理的な損傷なら修復は比較的楽だ。
そもそも物理的な記憶の置き場所ってどこなのだろうかという突っ込みはなしだ。
「やぁ、割と早かったね。」
目の前の魔術師が異形と化していく。
途中から(電子化(サイバーフォーム)した辺りだ)ツィーダの基本システムがディラドゥアをアバターとして認識。
「…うーん、なんとも言いがたい姿だよねえ。こんなんと遭遇したらまずビビっちゃうかも。
 とりあえず、データ渡すね。
 それを渡したら、記憶のバックアップも転送しとくから、うっかり論理的な損傷とかやらかしたらバックアップから修復(リストア)お願いねー。」
記憶の中の意味記憶領域から、あらかじめ検索しておいた概念データを転送し始める。
それが終わったら、意味記憶・エピソード記憶の2つのバックアップの転送だ。
[138] 受信完了。 儀式展開準備開始。
アイコン正面
ディラドゥア・クレイモア(czch7434) 2011-07-23(土) 12:24
(データの転送を受けて脳の中にデータを取り込んでいく。
 概念に慣れているかいないかは儀式の成功率を劇的に変動させるのだ。
 少しでも成功率は上げなければならない。そう、思うから。
 意味記憶、エピソード記憶のバックアップ受け取りと、様々なデータの確保、確認を行う。
 容量がギリギリだ。かなりのデータ量を扱っていることになるのだから、当然とも言える。)

OK、了解。

……よし、概念類に関しては知識が入った。
こっちも儀式の準備に入るね。
部屋の真ん中へ進んで。 魔方陣を展開するから。

(そう、青い鳥に向けて主は言う。
 この部屋全てが魔方陣となっている部屋だ。中央が一番魔力を集積するのに都合がいい。)

……om、om、om、om……。

(儀式用のマントラを唱え、魔力を少しでも高める。
 かなり難しい魔法になる。魔力の量は増やさねばならないから。)
[139] プロテクト解除、ソフトウェアシャットダウン。

ツィーダ(cpmc4617) 2011-07-25(月) 07:57
部屋の中央へと進む。
記憶を保護するプロテクトのアクセス権限一覧にディラドゥアを加える。
与える権限はフルアクセス。記憶領域の読み書きを可能にした。
「…」
魔力がチャージされ、異質な空気が満たされていくにつれHUDのパラメータが狂っていく。
HUDと常駐プログラムを停止させ、自身を動かす最小限のソフトウェアのみを残し、挙動を出来るだけ安定させる。
こちらも出来る範囲でのことはやった。後は、任せるだけだ。
[140] 死亡確率:50% 成功率:5割以下 コインの裏と表。賭けに勝つのは誰だ?
アイコン正面
ディラドゥア・クレイモア(czch7434) 2011-07-26(火) 08:09
(魔力の高ぶりが空間を振動させる。時間を歪ませるほどの魔力の波が、空間を満たす。
 その波動を感じたゴーレムたちが、部屋の四隅に立ち、体制を整えた。
 儀式の始まりだ。記憶の奥底から失われたものを再び引き出す。
 それは、電子生物のロストメモリーだ。)

――Golem. 唱歌補助、『記憶の歌』(サウンド・オブ・メモリーズ)。
詠唱調律。術式展開開始。

(ゴーレムの歌が響く。記憶を揺り戻すための魔術唱歌。
 それは、賛美歌の如き美しき音色。失われたもの全てを取り戻すための強力なる魔法。
 その魔力が無機の肉体を拒絶する、強烈な苦痛と精神侵食の中で。
 主は、不可能を可能に変える魔術をひたすらに繰り続ける。
 此処から先はもはや運命が賽を振る。自らは好機の側に立ち、
 一瞬の隙を突いてこれに勝利することだけを狙うのみだ。)

――『来たれ』
 
(そして、その賛美歌の歌の響く中で、一際強い主の声が空間に響いた刹那、
 部屋の床を目一杯に使った大きさを持った六芒の魔方陣が展開する。
 肉体と精神を梳る程の魔力に満ちた白き光が空間を満たし、
 調律すらも難しいほどの魔力の濁流が一身に主に降りかかった。

 痛みは肉体を蝕み、苦痛は精神を縛る。
 絶望的なまでの電気系統の適応の低さ。ショートを起こさないのが奇跡なほどだ。
 生身の頃と全く概念が異なる。魔法がほとんど言うことを効かない。
 普通なら絶望できるほどの高難易度。先行き全く不明な程の漆黒。
 その漆黒の闇の中を、光源なしで高速で抜けねばならない。
 足元を踏み外せば剣山。ただでは済まない。
 そんな、絶望的なまでの状況下に今主は居るのだ。魔力の糸はひたすらに硬い。
 いつもならシルクのそれであるのに、まるで特殊鋼の太いワイヤーのそれに似ている。

 そんな絶望的な状況の中、魔力の糸を自らの手綱として主は今、
 肉体を拒む魔法の荒馬を乗りこなそうとしている。
 まかり間違えば、主の側が吹き飛ぶ。そんな、死のロシアンルーレット。
 絶望的な状況の中で主は。ここで死ねない、死ぬわけにも行かないと、
 己の精神力全てを振り絞っての魔法形成を行う。死に場所は、自分で決めるのだと。)

――『儀式詠唱』(セレモニアル・キャスト)
――『生贄の羊:ゴーレム』(スケープ・ゴート:ゴーレム)
――『記憶復活術』(リターニアル・メモリアエ)

(同族の記憶概念を揺り起こす呪文と安全策。
 2つの魔術を織り込んで、幸福の青い鳥の記憶領域へと潜行する。
 様々な電子の濁流を身に受けて、自らの概念記憶を駆使しながら、データの海の奥底へ。
 その生物への根源へと、干渉を図っていくのだった。)
[142] 整理整頓されている記憶

ツィーダ(cpmc4617) 2011-07-27(水) 08:18
与えた権限により、記憶を防御するセキュリティプログラムは動作せず、客人を迎えるかのように順路(アクセスルート)を確立。
順路を通り、記憶領域へとアクセス。
目の前に可視化された記憶領域が展開される。
ヒトでは有り得ないほど不自然なまでに日付順で整理整頓された映像の記憶群。
「よく使う記憶を一番上に持っていく」ヒトと比較して、根本的に記憶の仕組みが違うのだろうか?
展開された日付順に辿っていくと、ある時点から明度が落ち、「ERROR」と赤い文字が記された映像がぽつぽつと目立つ。
どの映像にも、破損箇所のようなものは見当たらない。
[144] 不可解な点。
アイコン正面
ディラドゥア・クレイモア(czch7434) 2011-07-30(土) 09:52
(魔術過程を的確に履行し、記憶の中へと潜行していく。
 魔力が走るたびに軋む体を抑えこむのにはやはり慣れと熟練が必要になりそうだ。
 相手が確立してくれた順路を正しくたどっては記憶を確認し、
 手動でのデフラグメンテーションを行っていく。
 人ではまずあり得ないほどの整頓度。やはり、概念が違うと全てが違う。
 そんな違いの実感と共に、精査を行っていけば……)

……これは……。

(ある日付を境に記憶の欠落が激しくなっていく。
 その理由を探るべく、境目となる記憶領域に干渉する。)

……何故……。
いや、もしかして……。

(思わず漏れる呟き。
 この状態では記憶喪失の理由がつかめない。破損ではない。
 理由をつかむべく、主は二種類の同時並行の確認プロセスを起動する。
 2つの見方を変えてのアプローチを試みるのだ。
 一つは記憶の境目となる部分を着点としての記憶の精査。記憶喪失の理由の詮索だ。
 そしてもう一つの魔術的アプローチ。接続者との大本のつながりを確認するやり方だ。

 中身は簡単なことだ。まずは生まれに関する基礎情報を調べ上げる。
 元々の接続者の生年月日と現在の日数を照らし合わせれば主の年齢が。
 登録時の情報さえつかめれば基礎情報が割れる。
 この2つが存在すればこれを鍵として個人の記憶が割れる。
 そう。年齢と基礎情報が割れればアカシック・レコードを通じての記憶精査が可能になるのだ。
 まずは、そのベースとなるべき情報を、抜きにかかる事にしよう。)

――魔術干渉開始。
――基礎情報開示請求(ベースデータ・オープン)
――年齢・生年月日・住所・氏名請求。

――『並行詠唱』(パラレル・キャスト)
――『記憶潜行』(メモリー・ダイブ)

(データの海の中、魔術の荒波を主は繰っていく。
 鋼鉄より硬い魔術の糸。撃ちぬかれれば即死もありえるほどの高濃度の魔力の中で。)
[145] 不可解な点はさらに増える
ツィーダ(cpmc4617) 2011-07-30(土) 11:02
記憶の精査。境目となる部分は、ディアスポラ現象。
バグデータに触れて覚醒し、その時にバグデータでダメージを受け、記憶を喪失するに至ったようだ。
記憶には何のダメージもないのに記憶を喪失。果たしてどこにダメージを受けたのか。
さらに詳しく精査すると、エラー表示の出ている記憶には細かい字で一文が流れている。
>ERROR Kernel.sys Line 3 : A related definition cannot be read. 
> : This memory is invalidated for the program protection. 
(関連された定義が読み出せません。
 プログラム保護のためこの記憶を無効にします。)


干渉開始。
プロテクトを無視する特権を与えているため、強引に介入することなく基礎情報は割り出される。
>Name:Tweeder
>Make Date:2006/07/21
>Admin:Kotori Hayasaka
名前と年齢は特定できた。
ただ、異常なまでに若いのと、干渉して割り出した名前が彼が名乗る名と同じ、そして生年月日ではなく、作成日と表示されるいう不可解な点が出てきた。
そして、アカシックレコードで記憶を精査…する、が。
人類の魂の活動による情報が蓄積される記録の概念であるはずのアカシックレコードに、彼が持つ記憶はない。
アカシックレコードに記憶がないというのは…どういうことだろうか?
[147] 点と点。繋ぐ線は禁断の扉。
アイコン正面
ディラドゥア・クレイモア(czch7434) 2011-07-31(日) 01:35
(記憶の精査と接点の確認を行う。ディアスポラ現象の影響はやはり大きい様子だ。
 記憶喪失の原因はバグデータ。関連定義の喪失もここにあるらしい。
 超高濃度の情報のやり取り。その情報の濁流の中で根源となる情報を探る。
 そして、平行して調べていくのはアカシック・レコードだ。
 しかし、主はこの2つの情報精査によって戦慄を覚えることとなる――。)

……え……そんな……何故……。

(脳が真っ白になる。まずありえない。普通に考えたならばあり得ぬ現象。
 そして、不可解な情報の点。『作成日』と概念の喪失。
 焦る。有るはずのものが無い。
 瞬時に疑った疑惑は2つ。一つは個人情報が偽であるという線。
 偽名で登録を行い、個人情報も偽の物で通したという可能性。
 そして……。もう一つは『本体自体が死んでいる』可能性だ。

 ここからさらに平行し、更に情報を精査する。
 まず、アカシック・レコードより調べるべき情報は「Admin:Kotori Hayasaka」の物。
 おそらく、これが本体であることが推測される。
 「早坂 小鳥」。彼の情報が引っかかればビンゴ。
 もし、仮に引っかからなくてもこの文字列を含む記憶を引き出せばいい。

 次に、精査すべきはアカシック・レコードと対となる存在概念の捜索。
 『ダーク・レコード・ウェブ』と呼ばれる対概念内の捜索である。

 無機界――『ダーク・レコード・ウェブ』。暗き無機物の黒洞々たる概念の海。
 『アカシック・レコード』が生者・有機物の記憶概念となるならば。
 それは死者・無機物の概念となる物。
 廃棄され、打ち捨てられた者たちの記憶のすべてだ。
 全ての物は長く扱われれば次元を浮上し、意識を持つ。
 この時、この無機物は生者となり、アカシック・レコードに加えられる。

 この無機から有機への転換。これを「付喪神」とヒトは呼んできた。
 この対概念に至る前の存在であるかどうかをまずは知る必要があるのだ。
 そしてもう一つ。この無機界には面白い性質がある。
 そう。アカシック・レコードでの打ち棄てられた記憶のすべてが網羅されるのだ。
 この世界は通常の「検索」では引っかからない物が網羅される。
 アカシック・レコードで引き出せれば生者、ここで引き出せれば死者となる概念だ。

 正直、生きていて欲しいと願う。しかし、もし本体が死者であり、
 彼そのものが一種の付喪神だったとするならば。
 それはあまりにつらい現実であり、あまりに無情にして酷薄なる真実だろう。
 故に。今はただひたすらに生存を願わずには居られない。
 それは、死を繰り返し続け、その苦しみを知るがゆえの空虚なる願いだった。
 魔術を展開するべく、言葉が転がる。)

――『多重並列高速詠唱』(マルチパラレル・ファストキャスト)
――『魂魄記録接続』(アカシック・レコード・アクセス)
――『無基死録接続』(ダーク・レコード・ウェブ・アクセス)


(たとえ、それが触れてはならぬ禁断の扉だとしても。
 主はただ真実を求める。本体もそれを望んでいる。
 故に。禁忌の扉を共に開こう。この先に、禁断の真実が含まれていたとしても。)
[148] 欠けた定義の、あるいは残酷な真実のパズルピースは見つかった。

ツィーダ(cpmc4617) 2011-08-02(火) 08:09
普遍的無意識の海から、早坂小鳥の概念をサーチ。
残念ながら、早坂小鳥の概念は存在していないようだ。
代わりに、文字列で引っかかった記憶。
最も新しい記憶では、早坂ことりという名の病弱な少女は2年前にこの世を去ったようだ。
難病を患い、いつも病室に持ち込んだノートパソコンでシムネットに繋いでいたらしい。

そして、暗き海から、ことりの概念をサルベージ。
システムにより封じられた記憶。知らぬ方がいいこともある真実、あるいは禁断の扉を開き、その記憶を読み取る。

その概念の中で一際強い残留思念。
『わたしは、ただ死を待つだけの籠の鳥。
 何も残せないままここで朽ち果てるのなら、もう1人のわたしを作り、鳥かごから放とう。
 わたしには出来なかった人生を、もう1人のわたしに楽しんでほしい。
 世界には私の知らないことがいっぱいある。それを、もう1人のわたしに知ってほしい。』

概念の中をさらに精査する。
どこかの電脳空間の古い記憶。儚げな少女と、幸せの青い鳥の記憶。
『はじめまして。わたしは早坂ことり。』
『ことり…』

『ねえ、ことり。ことりっていつもお外出ないよね?』
『出たくても出られないのよ』


『…あの子は予想以上のスピードで成長している。
 近いうちに人間と同じ知性を手にするだろう。
 そして、自身の正体を忘れて自分を人間だと思い込む。それは、不幸なことしか生み出さないだろう。
 だから、それを防ぐためにソースコードに核となる定義を1つ、付け加えよう。』


『わたしはAIである』、と。
[149] パズルピースを当てはめる。そこにあるのは、魔術師の流儀。
アイコン正面
ディラドゥア・クレイモア(czch7434) 2011-08-02(火) 08:41
(深き概念の海は時として告げざるべき真実を孕む。
 主も主だ。今まで、様々な相手と邂逅し、触れ合い、そして害なすものを屠ってきた。
 しかし、此度の様な相手は正直初めてと言わざるを得まい。
 禁断の扉の先は戦慄の事実。悲しき記憶と封ぜられるべき存在概念。
 この記憶を綺麗にデフラグメンテーションし、
 冷酷なる事実を有るべきピースとして戻せば全て後は完了する。
 しかし、それをそのまま出すのは正直、料理人としてもまずいものだ。
 素材があまりにも酷薄過ぎた。人格形成にも大きな障害を来たしかねない。
 故に。主は事実の糸を紡ぎ、その記憶を柔らかなものに変えていこう。
 思い出は、時として美しすぎて。故に、酷薄だ。)

――そう、か。そう、だったんだね。
……じゃ、元のあるべき形に、帰ろうか。
自由に大空を飛ぶ、幸せの青い鳥で、共にあろう。

――『高速詠唱』(ファスト・キャスト)
――『記憶装飾術』(アクセサル・メモリアエ)

(今までの記憶概念より引き出した情報と、精査された朧気な情報。
 そして、弾かれた情報の幾つかをつなぎあわせ、主は一つのタペストリを織り込む。
 彼女との出会いから別れ、そしてAIとしての独立に至るまでの流れを。
 主は、そっと記憶の奥へと押し入れたのだ。

 せめて、この美しすぎる思い出にふさわしい夢を。
 朧気な記憶からより鮮明に徐々に移り変わるような、遅効性の記憶として。
 そして、原形質の記憶は本人の記憶の海にボトル入りの手紙として、
 来たるべき時が来たならば、それが流れ着くように。
 そっと、主は装飾を施して記憶の海へと放流する。
 それは、主が施してやれる僅かながらの優しさだった。

 そして、全ての術式を行い、魔術の門が閉じる。
 記憶の海からの帰還。しかし、もう肉体はギリギリだ。
 いつ、朽ち果ててもおかしくはない程に、錆が浮き始まっていた。
 魔術影響による劣化の影響が激しいのだ。
 しかし、まだ終了術式は残っている。帰るまで、まだ終えられない。)

――全魔術工程終了。これより術式の終了を開始する。
――現行の肉体に置いては術式終了後放棄。
――原形質の肉体と置換する。

――Golem。二名は術式終了手続開始。
――残る二名は肉体の再構成術式入れ。

――『儀式詠唱』(セレモニアル・キャスト)
――『肉体再誕』(ボディ・リヴァース)
――『終了魔術』(エンド・スペル)


(魔術の残骸をかき集め、壁面にある死者の顔を打ち砕き、
 これを魔術の材料として肉体の再構成を開始する。
 そして、全ての魔術が終わるその時。立っているものは。

 もはや錆だらけの肉体となった自分と、新たな肉体。
 そして、すべての記憶が有るべき形で戻った幸せの青い鳥だ。)
[151] 電気鳥はヒトの夢を見るか?

ツィーダ(cpmc4617) 2011-08-04(木) 08:13
>システム再起動
大規模な記憶領域への追加データを受け、それを受け入れるためにAIの基本システムが再起動を実行。
記憶領域を精査し、矛盾のある記憶を無効化する。
その記憶領域に新しく追加された記憶。
今は凍結されているが、時が経つにつれ、少しづつ氷が解けていくだろう。

『はじめまして。わたしは早坂ことり。』
『ことり…』

始まりの記憶が再起動中のツィーダの中で読み込まれる。
人でいう夢にあたるのだろう。

>システム起動
「…おはよう」
再起動が終わり、幸せの青い鳥は目覚める。
「なんかさ、懐かしい夢、見てたかも」
[153] Yes. モノは全てヒトとの夢をみるものだから。
アイコン正面
ディラドゥア・クレイモア(czch7434) 2011-08-07(日) 04:25
(魔術の終了を自らの力を持って履行し、全ての魔術が掻き消えたその時。
 幸福なる目覚めを果たした幸せの青い鳥を見て、主はふっと笑う。
 体はすでに朽ちかけている。よく持ったものだ。
 電子機器との相性の悪さがよく出ていたというのに。吹き飛ぶ一歩手前。
 自分の幸運に感謝せずにはいられない。そんな中で。)

……ナツカシイ……ユメ、カ……。
……イイユメ、ミレタカナ……?

(ギシギシとサビで動かぬ顎を動かして。そんなことを、主は言う。
 芯まで錆びた体だ。これ以上動くことは叶うまい。
 そんな思慮を、浮かべていた。
 早めに、肉体を移し変えたほうが良さそうだ、と。)
[154] 人造鳥(アーティフィシャル・バード)の根幹定義(プリセットカーネル)

ツィーダ(cpmc4617) 2011-08-13(土) 01:36
「そうだね、いい夢、だったかな。」
再起動中に読み込まれた記憶の欠片を思い起こし。
「もっとその先を見てみたくはあるけど、そう焦るもんでもない、かな」
それに、直感ともいうべきものが告げている。
氷に包まれた記憶の奥には見ない方がいいものがある、と。
だが、失った記憶を取り戻すと決めた以上引き返すことなど出来ない。
彼、あるいは彼女は興味を根幹部分(カーネル)に強く定義されたからこそ、優しい偽りよりも、残酷な事実を選ぶのだ。
「…ところでさ。すっごくサビが酷いんだけど…そんなボディで大丈夫か?」
[158] 魔術師(マジシャン)なりのやり方(プレゼンテーション)。
アイコン正面
ディラドゥア・クレイモア(czch7434) 2011-08-22(月) 09:47
(錆だらけの体。すでにもう動くことは叶わない。
 相手の声だけが耳に届いては聞こえている。
 心配するのももっともだ。よくわかる。
 しかし、その心配をしなくてもいいように、主はすでに手を打っていた。
 肉で出来た新たな体。魔術を念じるだけで後はいいのだから。)

――『念動詠唱』(サイ・キャスト)
――『肉体置換』(ボディ・チェンジ)

(錆だらけの体を魔術で脱ぎ捨て、新たな肉体へと己の魂を転移する。
 その刹那、錆だらけの元の肉体は崩れ落ち、ただの鉄塊へと還るのだ。
 全く、よく持ったものだと思う。

 肉体が無事移ったのを確認するように、軽く手を握っては離し。
 少し重くすら感じる肉体の感覚に、ほっと胸を撫で下ろす。)

一番いい肉体を頼む。ってね♪
大丈夫。手は打ってあったからさ。

記憶はのちのちゆっくり戻るよ。焦る必要なんか一つもない。
あとは真実を知った後、固定概念を君が破れるかどうか、さ。

――全術式終了。幸運を祈るよ。トリさん。

(そう、主は笑顔で術式の終了を告げて、去る。
 遠くない未来、残酷な別れが待っていたとしても――。
 その先に、進まんがために。)

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