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[18] 【氷鱗】(グラバー、グレイズ・トッド)
グラバー(cdhz9123) 2011-11-27(日) 13:56
足場の上に二つの人影が上がる。
1つは何故か大きな人形を持ったグラバー。
もう一つの人影はいつも通り不機嫌そうな表情をしたグレイズ・トッドだ。

グラバーは人形を抱えてのっそり足場の真ん中に近づく。
「…コレ、敵。」
人形を立たせて置きながら、おそらく審査員に聞こえないであろう声量で言う。
そしてまたのっそり審査員席の方に近づき、ぎこちなく頭を下げる。
そんなグラバーに対してグレイズは足場の端に立ち、不機嫌そうに審査員を見るだけだ。
グラバーが頭を上げ、一瞬まっすぐ審査員の方を見る。
そしてそのまま能力【斥力】使用して、滑るように音もなく足場中央へ飛んで行く。

人形の前で一瞬止まり、グレイズの方を見る。
そして面倒臭そうに分かったとグレイズが頷くのを見て、何処となく満足げに頷き返す。
そして無言のまま人形へ右足で足払いをかける。
バランスを失ってぐらりと倒れかかる人形。
その足元へ、くるりと回りながら人形に背を向けるように両手をついてしゃがみこむ。
そして人形の腹を左足の裏で下から上へ後ろ蹴りで蹴り上げる。
蹴りは狙い通り人形の腹に入り、人形はギアの【斥力】で空へと吹き飛ばされていく。
グラバーも【斥力】を使い、人形の後を追って上空へふわりと飛んで行く。

「…ちっ、面倒臭ぇ。」
グラバーが人形を追って飛んで行くのを見て軽く舌打ちする。
短いため息の後、上空へ両手を伸ばして能力【氷魔法】を使用する。
最初は湿り気もなく澄んでいた空気が、足場の中央3mほど上空を中心にゆっくりと白く霞み始める。

人形を追って飛んだグラバーはというと。
足場の15m位上、人形の周りをクルクルと高速で飛びまわっている。
その動きに合わせて人形が見えない壁に叩きつけられているように跳ねまわっている所を見る限り、ギアか何かで攻撃を加えているのだろう。
一瞬、ちらりと下を見てグレイズの【氷魔法】が発動したのを確認すると、攻撃を止めて人形を【斥力】で空中へ固定させ、ゆっくりとグレイズの方へと降りていく。

グラバーが降りてくる。
それとほぼ同じタイミングで白く霞んでいた空気が、今度は澄んでいく。
見えてくるのはズラリと並んだ小指ほどの大きさの氷の針。
本来ならば、重力で落下するはずの氷の針はグラバーの能力【斥力】でふわふわと浮遊している。
「…良イ?」
足場の中央に降りてきたグラバーがグレイズにボソリと尋ねる。
「…ああ。」
グレイズは一言、手を氷の方へ伸ばしたままそう答える。

その言葉を聞いたグラバーは満足げに氷の針の合間を縫って【斥力】で空へ飛んで行く。
氷の針はグラバーの【引力】によって、グラバーの後を追うように高速で飛んで行く。
氷の針同士が時々当たるのかキンキンという甲高い音が聞こえる。

「ちっ、もう少しゆっくり飛べよ!」
グラバーがウネウネと何かの鱗のように動く氷の針を見せるようにぐるりと足場の上を飛び回る。
その間グレイズは氷の形状を維持するため、真剣な顔でグラバーと氷の針の動きに合わせて手を動かしている。

その言葉が聞こえなかったのか、グラバーはさらにスピードを上げ、一直線に人形へと向かっていく。
グラバーが人形の傍を通りすぎる瞬間、氷の針はバラバラとグラバーを離れる。
そして氷の針は人形を中心にした半径3m程度の球状に広がっていく。
氷の針のやや上でグラバーは急に止まって、空中で固定した人形を振り返る。
「…終ワリ。」
そう言いながらおもむろに右手を人形の方へ差し出す。
そしてゆっくり握りこぶしを作り、人形内部に【引力】を発生させる。
人形の表面が引力によってべこりと凹み、小さくなっていく。
引力によって氷の針が人形へ向かって先ほどよりも高速で飛んで行く。
氷同士がぶつかる音なのか時折ギンと言う音を立てながら、氷の針が次々に小さくなった人形に刺さっていく。
そして全ての氷が刺さり、人形が氷の中に閉じ込められる。
それを確認すると、グラバーが握っていた拳をゆっくりと開き人形内部に発生させていた【引力】を【斥力】に切り替える。
その瞬間、氷がバキンと音を立て人形ごと砕け始める。
砕けた氷は細かい粒となって、辺り一面にキラキラと光りながら降り注ぐ。
そして足場に当たった瞬間、カンという小さな音を一つ立てて溶け去っていく。

やがて最後の氷の粒がか弱い音を立てて、後に何も残さず消える。
それを見届けた後、グラバーは帽子の位置を修正する。
と言っても、【引力】で頭に固定しているのでズレているはずなど無いのだが。
そして、帽子の位置を修正した後、
「…見ル、アリガトウ(『見てくれてありがとう』)。」
とぎこちなく言い、グラバーは静かに頭を下げ足場を降りていった。
「…ふわぁあ。やっと終わったぜ。」
それを見たグレイズもあくびを一つ残してポケットに手を突っ込み、同じように足場を降りて行った。
[49] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:30
翡翠の姫・エメルタ
「氷を操る術とは初めて目にしました。ああいう技もあるのですね」
評価:★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「手練の戦士の実力は感じる。力を風格として見せてもらえるとより良かった」
評価:★★

首狩り大将・オウガン
「そうだな、もうちょっとこう、グワン!ときて、ズゴン!って感じだとよかったんじゃないか」」
評価:★★★

異端児・アドン
「実践的だな。戦場では出会いたくないって感じだ」
評価:★★★

総合評価:11点(20点満点)

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