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[21] 【長命参月】~相生の武~(青燐、紫雲霞月、黒藤虚月)
青燐(cbnt8921) 2011-11-28(月) 02:35
闕腋袍に袴。それは、壱番世界の服飾文化に詳しい者が見れば、平安時代の武官装束に似ている、と思ったかも知れない。
ただ、虚月は白、霞月は黒、顔をあらわにした青燐は薄い黄系統の色で統一してあるのが、異様といえた。
それに、いつもの青燐を知る者がいれば、その服の色に違和感を覚えたことだろう。
その三人は、審査員に一礼、そして、観客にも一礼。

三人が立つ足場の上に、何やらいろいろな図形やら文字やらが書かれた巻物が転がる。
自然に広がったこれこそ、罠師・霞月が仕掛けた、演武用の書画魔術罠。

審査員から向かって左に扇を携えた虚月、右に鞘に入った刀を差した霞月が立ち、五色(青緑・緋・黄・白・黒)の紐を付けた神楽鈴を持つ青燐は真ん中の奥際でに静かに座っている。
一歩、虚月が踏み出す。踏み出した先に書かれていた文字は「土」。
その言葉通り、虚月の足元に土塊が出現し、文字が消える。この土が、起点となる。
夢人と夜人の、戯れなる戦いの起点と。

虚月が一歩踏み出し扇で煽げば、土塊が細かい数多の砂のような金属に変化した。それは黄金の稲穂の如く、煌めいている。
その金属は一定の距離を保ちつつ扇の動きに合わせ、生き物のように動いていく。
それは罠「相生」「鉄砂舞」の効果であったが、知らなければ虚月が操っているように見えただろう。
虚月が、霞月に向かって扇を煽ぐ。同時に、金属も霞月へと向かっていく。
霞月は一歩踏み出し、「相生」「六花舞」と書かれた文字を踏みつつ抜刀。その金属たちの中心を薙ぎ、すぐに刀を鞘に収める。
すると、その金属は全て水と変わる。細かい水の粒が、今度は霞月の身体の動きに合わせて動く。
動いていくうちに、その水が二人の頭上2mのところへ集まり、雪片のようになっていく。
その途端、高い鈴の音がした。青燐の持つ神楽鈴だ。それを合図に、雪片がゆっくりと落ち、舞う。
また、虚月と霞月が互いの間を詰める。霞月が抜刀し一閃したかと思えば、虚月は扇を閉じてそれを受け止める。
互いに離れ、今度は扇を開いた虚月が、煽ぐのではなく一閃。鋭い軌道のそれは、だがしかし霞月の刀に阻まれ、金属特有の高い音がする。
不思議と、雪はやまない。

座ったままの青燐がそっと「相生」「花弁舞」の文字に触れ、鈴を鳴らす。
二人の周りを舞っていたいた雪片が、瞬く間に桜色をした花びらへと変わっていく。冬から、春へと変わったような。
それでも、二人の打ち合う速度は変わらない。
霞月が刀を振り下ろせば、虚月はそれを扇からの衝撃波で防ぐ。虚月が扇を一閃させれば、霞月は刀でそれを受け止める。
そんな二人の周りを、花弁は戯れに舞う。

ずっと中央の際に座していた青燐が、静かに立ち上がり、「相生」の文字を踏む。そして、高らかに鈴を鳴らす。
一定のリズムで鳴らす度に花弁が燃え上がり、細やかな火の花となって宙を舞う。
それは神に近き種族、調停者である天人が動き出した合図。
虚月と霞月は鈴の音に合わせ、打ち合う。その間に、何度も青燐にその扇のはためきが、刀の切っ先がかすめそうになるが、するりするりと抜けていく。
まるで、ここが線路だということを感じさせないかのような動き。

青燐は神楽鈴についた紐を巧みに操り、互いの得物の威力を削いでいく。
そして、黄色の紐が刀に巻き付き、緋色の紐が扇を閉じさせる。
リン、と鈴が鳴れば。火の花は灰になり、真っ白な巻物の上に降り積もり土へと戻る。
また青燐が鈴を鳴らせば、その土は最初から無かったかのように消える。それは、演武の終演。
紐が解かれ、虚月と霞月は互いの得物を収め、審査員たちに一礼。最後に、観客たちに一礼。
[50] 【審査結果】
事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:30
翡翠の姫・エメルタ
「あまりなじみのない装束ですね。遠い異国の美しい舞を見たようです」
評価:★★★★

蒼き雷鳴・ザクウ
「見応えがある。剣の技もなかなかのものだ」
評価:★★★

首狩り大将・オウガン
「見応えがある。あの白い女の胸はなかなかのものだ」
評価:★★★★

異端児・アドン
「いろんなものがあらわれては消えて……不思議だな……」
評価:★★★

総合評価:14点(20点満点)

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