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【3st.晴天Popstyle】 (ファーヴニール)
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| ファーヴニール(ctpu9437) 2011-12-02(金) 23:27 |
プラットフォームの一角から、鮮やかな赤と白のドレスを纏い、髪を結い上げた姿が見える。 靴音を鳴らし、パチパチと何かが弾ける音を鳴らし、ふわりとスカートを揺らして、音が止まる。 代わりにどかんと置かれたラジカセからメロディーが溢れ出す。
『ショーゥ! タァーイム!』
艶やかな女性の声。掲げた紫の銃身から撃ち放たれた弾丸は電撃で弾け、空を埋め尽くさんばかりの紙吹雪と変わる。 同時に流れるポップな明るいリズムに合わせ、銃剣エンヴィアイをくるくると回して歩き出す。 軽やかに跳ねるピアノ。鳴り響くクラリネット。
つま先をピンと立ててかかとを鳴らし、立ち上げた髪は子犬の尻尾のように揺れる。 リズムと共に振り回される銃剣は、小雨の中子供が振り回すように、しかし確実に目の前の敵を撃つように踊る。
「はっ!」 腰を深く落とし、広げた両足で身を支え、真正面へ刃を突く。 切先はそのまま大気を抜け、モフトピアの大空を写しこみながら小刻みに剣撃を成す。 踊るステップに笑顔をのせて翻したスカートをそのままに、大上段から真一文字に振り下ろす。 「はぁっ! ……っととと!」 決めた気合の声。そこに並んだ慌ての色。 切先は足元へ刺さり、そのまま手を離してしまった。 バランスを崩して二、三歩よろめき、彼女の眼前には足場の代わりに広がる青空。 メロディーが止まる。 「ほあっ!?」
「……なんてねっ!」 声が男性のものへと変わる。 逆さま宙吊り。スカートを両手で押さえながら、そこから伸びた銀色の尻尾が彼女を支えている。
メロディーが、激しいギターとシャウトへ変わる! 思いっきり反動をつけて飛び上がり、赤白のドレスは中空へ舞う。 その下から出てきたのはジャケット姿の青年。目元のメイクを拭うと、その顔はいつぞやの画廊に飾られたそのままの笑顔。 大きくシンバルが叩かれる。
「さぁて、皆様行きますよっ! 瞬き禁止の鮮烈連舞だぁっ!」
右腕を突き出し、竜の腕へ変換。大きく振りかぶって体を捻る。 捩じ上げられ真上へ伸びた腕はそのものが別の生き物であるかのように爪を開き、カチカチと火花を散らす。 「次!」 背中側に伸びた左腕も竜腕へと変化。同時に元の腕へ戻る右腕。 繰り返される移動、転身、攻撃行動の中で、両手両足が次々と切り替わる。 入れ替わり立ち替わり、蹴りを出したと思えばその足は竜。爪を振り下ろすかと思えば拳。 ドラムが打ち鳴り、段々と激しくなる。 真正面へ突き出された両腕は双方ともに竜腕。爪同士を握りあわせ身を回転。審査員へ背を向け、両腕を思い切り広げ大の字の体制。 バチィンッ! 火花が散ったと同時に、背中と腰元へ描かれる翼と尾。
「ラストステージは、お空の上でキメますか!」
ラジカセから流れるボリュームが高まり、綺麗な女性の声が流れる。 突き刺さった銃剣エンヴィアイを引き抜き、足場から飛び出す。 真っ逆さまへ落ちる。瞬間、激しく光を反射し風を受け止める銀色の翼。 急上昇は真っ直ぐに、線路の隙間を縫って空の彼方。 尻尾を時折線路に絡め、縦横無尽のその中を飛び交いながら剣を振る。 雲へ花火が起きる弾丸を撃ち込み、その度ぽんっ! と音を立たせる。 散らばる雲の間を円を描くように抜け、審査員たちの遥か上空で指をパチンと鳴らす。 瞬間、紫の電撃が雲を覆うように大きく薄く、しかし鮮やかな輝きを広げて踊り狂う。
ラジカセのメロディーはクライマックス。
にっ、と笑顔を見せる。 巨大な電撃の幕へ急速突撃。一瞬雷の弾ける音を響かせ、紫電を纏ったエンヴィアイを竜腕で握り振り下ろす! 「せぁあッ!」 轟雷の一閃が大空を分かち、その剣を真横へケレン味たっぷりに構えて決めポーズ。 メロディーが止まる。
「えー、13番、ファーヴニール。これにてカーテンコール! ありがとうございました!」 最後はきちんとお辞儀をした。 |
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【審査結果】
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| 事務局(maaa0001) 2011-12-04(日) 00:35 |
翡翠の姫・エメルタ 「呪術師の男が女の格好をすることはありますが、演武に取り入れるとは面白いですね」 評価:★★★
蒼き雷鳴・ザクウ 「荒っぽい動きだが腕は確かと見た」 評価:★★★
首狩り大将・オウガン 「男…………だと? 騙したな!!」 評価:★
異端児・アドン 「見ていて楽しめる演技だと思ったな。かっこいいし」 評価:★★★★
総合評価:11点(20点満点)
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