「知っているかい、エレニア・アンデルセン? ヴォロスには、《小鳥の楽園》があるんだって」 薔薇の咲くターミナルのカフェテラスで、イルファーンは向かいに座る彼女へ、極上の透き通るような微笑みを浮かべた。「そこではね、とても美しい小鳥の歌が聴けるらしい」 その言葉に、エレニアは数回瞬きを繰り返し、それから、彼女の操るパペットのエレクが代わりに口を開く。『へえ、はじめて聞いたよ。それってどんなところ?』 興味津々といった体で、パペットはぐいっと身を乗り出し、問いかける。「僕の聞いた話によると――」 かつて、ファミリーのエイドリアン・エルトダウンから、アリッサを経由してある依頼が出された。 その内容は、ヴォロスの地へ向かい、楽園に棲まう小鳥が奏でる《幻影の歌》を蒐集することにあったという。 辺境の地にあるという《楽園》へは、《嘆きの森》や《追悼の泉》、そして《決別の谷》という、おとぎ話のような行程を経なければ辿り着くことはできない。 けっして困難ではないけれど、けっして容易でもない道程。 けれど、そうして辿り着いた先には、みずみずしく神々しい植物に覆われた遺跡が存在し、訪れたモノを惹きつけ、放さないのだとも聞いた。 まるでエメラルドグリーンの海底。 現地では、小鳥たちの楽園は《向こう側》とも呼ばれているらしい。 そして、そこに辿り着いたモノだけが、この世ならざる旋律に出会うことができるのだと――「この話を耳にした時、僕は、エレニア・アンデルセン、君を想いだしていた。小鳥たちに囲まれた君が隣にいる光景を思い描いていたんだよ」 真っ直ぐに、正直に、イルファーンは告げる。 彼女とともに楽園に棲まう小鳥たちの元へ行きたい、彼女と訪れた時、小鳥たちはどんなさえずりを聞かせてくれるのだろう…という、そんな純然たる想いに占められていたのだと、惜しげもなく、自身の胸のうちを明かし。 だから、と彼は続けた。「だから、エレニア・アンデルセン、一緒に行ってみないかい?」 穏やかな慈しみに満ちた声とともに、イルファーンはエレニアに誘いの手を差し伸べる。 彼の手首で、シャラン…と銀細工の腕輪が涼やかな澄んだ音色を響かせ、耳に心地よかった。 エレニアは眩しげにそっと目を細めてイルファーンを見、そうして、はにかみながら彼の手に自分のそれを重ねる。『ありがとう! ボクも行ってみたいし、エレニアも行きたいってさ!』 ウサギの耳が、楽しげに揺れて跳ねて踊った。=========!注意!企画シナリオは、便宜上、参加枠数が「999」になっていますが、実際には特定の参加予定者のために運営されています。この企画シナリオは下記のキャラクターが参加予定です。他の方のご参加はご遠慮下さい。万一、参加予定でない方のご参加があった場合は、参加がキャンセル(チケットは返却されます)になる場合があります。<参加予定者>イルファーン(ccvn5011)エレニア・アンデルセン(chmr3870)=========
「楽園に辿り着くには、試練の道を辿る……それはとても暗示的だと思わないかい?」 小鳥たちが棲まうという楽園を、この地域の人々は《向こう側》と呼ぶ。 それでいて、木々が生い茂る《嘆きの森》へと足を踏み入れる者たちを、彼らはけっして引き留めず、忌避するでもなく、ただ静かに見送るのだ。 まるでそうすることがある種の餞であるかのように、あるいはいたわりであるかのように。 そして、この、しっとりとした霧が木々の合間をわずかに這ってゆく緑の道は、幻想へと導くように、蛇行しながら静かに訪問者をその腕の中に招き入れる。 それがあたかも、 『思ったよりもずっと、ここには光が入ってくるんだね』 エレニアの操るウサギは、興味深そうに周りを大きく見回し、ふむ…とばかりに腕を組む。 『嘆きの森っていうくらいだから、もっと怖いところだって思ったけど』 その台詞が、ふと途切れた。 「エレニア・アンデルセン?」 「……」 彼女の足も止まる。 彼女はそのまま、ウサギと共に、緑の合間を遠い目をして見つめていた。 「エレニア・アンデルセン、何が見えているんだい?」 「……あ『……なんでもないよ。なんか見えた気がしたんだけど、よくわからなくってさ』 ふと過ぎるのは、過去の滅ぼされた国のこと――たった一晩ですべてが塵芥に還ってしまった命ある者たちのことだった。 彼らの怯え引きつり凍り付いた最期のカオが、いっそう鮮烈に蘇る。 * 嘆きの森が、喪失の記憶を引き寄せる。 * 霧の漂う緑の道を抜け、大きく視界が開けた場所――それが《追悼の泉》と呼ばれる第2の道程だった。 鏡のように透き通り、鏡のようにありとあらゆるものを反射し、覗き込めばそこに自分は映るけれど水底から自分を見上げてくるモノは何もない、どこまでも澄んだ場所だ。 「泉が覗き込むモノの心を映すために、ここには何も棲んでいないのかもしれない……棲まうモノがいれば、ソレは時に己の心で相手を弾くかもしれないし、あるいは、覗き込むモノの想いを受け止めざるを得なくなるかもしれないのだし」 『なんだか、キレイすぎて眩しいね』 ウサギのエレクを抱いたまま、エレニアは泉の縁に膝をつき、おそるおそる泉の中へと手を差し入れる。 水面に弾かれてしまうのではないかと思ったが、泉は指先を拒絶しなかった。漣がごくわずかに起こりはしたが、それもすぐに凪いで静謐さを取り戻す。 冷たい水に、やがて自分の体温が馴染んでいくのを感じていたのだろう彼女は、そっと深呼吸し、 『キレイで眩しいけど、でもきっと、それだけじゃないってボク思うよ』 そして、イルファーンを見上げた。 『すべてを受け止め映すキレイで眩しい心――でもさ、そこにだって想いは生まれたりするんじゃないかな? 覗き込む方だってさ、そのキレイな心に生まれている想いによりそいたいって、考えることもあると思う』 懸命に紡がれるのは、彼女の心。 彼女の想い。 愛してやまない、無垢なる魂の、真摯な輝き。 イルファーンは彼女の元に跪き、彼女へ、告げる。 「聞いてくれるかい、エレニア・アンデルセン? 僕の過ち、僕の罪を……」 彼女はこぼれるような大きな瞳で真っ直ぐにこちらを見つめ、そして静かに頷いた。 泉には、イルファーンの幻視する《失われた者たち》が、蜃気楼のように揺らぎ立ち上り、その告白を見守っていた―― この身が想うのは、命ある者へのはてしない愛。 愛しく儚い者たちの生命に触れ、心に触れ、営みに触れて、自身もまたその場所で彼らと共にありたいと願い、祈り、護り続けると決めた。 ヒトは愛おしい。 人ひとりの命は束の間の瞬きでしかないかもしれない、けれど営みによって彼らの時間は彼らの思いでもって《永遠》と等しい時間と命とを繋ぎ紡いでゆく。 愛おしい。 愛おしい。 おはようと笑いかけ、こんにちはと手を振って、美味しいモノが手に入ったからと分かち合い、うちの子が世話になったといって酒を振る舞い、家畜を育てる一方で農業に精を出し、砂漠に向かう旅人をもてなす。 オアシスに集った人々の笑顔は、太陽よりなお輝き眩しかった。 なのに―― 「僕のせいなんだ。僕が心を寄せてしまったから、僕が望んでしまったから、僕がそこに居たから、罪のない彼らは“灰”になってしまった……」 紅玉の瞳をもつ、自分の片割れ。 自身の対として生まれた彼が撒き散らしたモノを、あの《厄災》を、言葉で表すことなど到底できない。 何故自分だけを見ないのだと問い、視線を逸らさせる一切の存在を許さないと言い、ソレらには己の罪深さを思い知らせてやらねばならないと、嗤った。 護ると決めたモノが、踏みつぶされていく。 悲鳴と怒号と絶望が渦を巻き、炎となって、取り返しのつかない灰へと変えられていく光景に、身に余る圧倒的な質量の後悔と痛みと苦しみが押し寄せてきた。 「僕は、彼らを護れなかった」 一切が失われていく痛み、掌からこぼれ落ちてしまった命の重みを確かめるように、イルファーンは己の両の掌へ視線を落とす。 「誰かを想ってはいけない、心を惹かれてはいけない、長く留まってはいけない、特別を作ってはいけない……そう言い聞かせて、僕は流転と贖罪の日々を過ごしてきたんだ」 誰かを救いたいと望み、誰かの心を癒やしたいと望み、なのになにひとつ誰ひとり救えないままに、時には歯止めのきかない殺意と悪意によって全身を襤褸雑巾のように刺し貫かれながら、旅を続けた。 自分がそうしたいから、片割れから逃れながらも、出会った者たちへ愛と手を差し伸べ続けた。 「……もし、死が許されるなら今すぐ己の命を絶ちたいと、願って叶うなら今すぐに消滅してしまいたいと、そう思いながら、いた……」 精霊に死の概念はない。 けれど、もしも許されるなら己で己の命を絶ってしまいたいと願った。 「こんな話をするのは、エレニア・アンデルセン、かつての主人であり契約者であった魔術師を除いては、君が初めてだよ」 そして、 「……どうしても、隠したままではいられなかった。大切な恋人に偽りのままの自分を見せ続けることはできなかった。僕を軽蔑してくれても構わない。でも、」 言葉は、そこで途切れた。 ふと、手が重ねられたから。 エレニアのやわらかな指先が、そっと、誰ひとり何ひとつすくい上げられず“からっぽ”になってしまったイルファーンの掌に置かれたからだ。 「傍にいます」 たった一言、けれどそこにどれほどの想いが込められているのか、言われなくても、触れあった指先から、熱とともに確かに伝わる。 「ありがとう、エレニア・アンデルセン」 追憶とともに陰っていたイルファーンに、笑みの光が差し込む。 * 追悼は死者へ向ける想い、けれど死者に囚われてしまえば、その先にあるものは―― * 泉からあふれ出し咲き乱れる花々に導かれるまま、ふたりは《決別の谷》を、ともに手を繋ぎ、歩く。 新緑色の木々で溢れた渓谷には、見るモノを引きつける深い《蒼》の清流がうねるようにして存在し、誘惑の色を放っていた。 『あの《蒼》ってさ、なんだかスゴイチカラを感じるね!』 長く見つめていたら、吸い込まれてしまいそうになる。 海とはまた違う、不可思議な引力だった。 呟くエレニアに、イルファーンはそっと微笑む。 「壱番世界の日本という国では、汚れを川で清めて流すことから、諍いやわだかまりも“水に流す”と言っていると聞いたんだ」 彼は語る。 耳に心地よい、やさしい声で、 「決別とは、そういう、前に進むためのモノでもあるのかもしれないね」 『……前に、進むための……か』 握った手のぬくもりは、確かにふたりが繋がっていると自分に教えてくれる。 かつて、そう、かつて神託の都メイムで見た『夢』がふと浮かんだ。 たくさんの人々に声を掛けてもらいながら、パペットのエレクがいないばかりに逃げ出してしまった自分。 そんな自分を見つめていたエレク。 ウサギの彼は言った。 彼自身の言葉で、『自分の声で喋らないのに、誰かが好きになってくれると思っているのか』と、正面から、逃げ続けてきた問いを投げかけてきた。 ムリだろう、と自分は思った。 喋られないのではない、喋ろうとしない自分、恐れるあまりに偽りの声で喋り続ける臆病な自分を、本当の意味で好きになってくれるヒトなんて現れない、と思った。 自分の声に魅了され、熱に浮かされ狂気を孕みながら愛を囁き、声が消えることで自分から離れてしまった、あの青年の記憶が、エレニアの心を更にきつく雁字搦めに縛り上げていたから。 強く叩きつける冷たい雨の中で胸に突き刺さったあの言葉が、閉ざされた扉の音が、いつまでも棘として残り続けていたから。 でも、それでも、いつか誰かを心から愛し、誰かに心から愛される日が訪れたら、そんな人と出会えたら、その時は―― 自分の声で、自分の意思で、伝えたいと願った。 奇跡なんて起きないと思いながらも奇跡を望み、声に縛られていながら声を捨てられない、そんな矛盾する自分の狭間で、あの夢は告げたのだ。 『君を、待ってる』 まばゆい光の中で反響する声、あれは―― 「どうしたんだい、エレニア・アンデルセン?」 川を見つめ続け、沈黙した自分に、彼は問いかける。 一瞬、エレクを構え、それからその手を下ろすと、エレニアは決意に満ちた想いを込めて、イルファーンに、自分の声で告げた。 「……流してしまおうって、思ったんです……」 臆病だった自分、臆病にさせていた記憶の棘を、蒼く透き通った流れに乗せて、少しずつでも手放していこうと、決めた。 * 決別するのは、過去か、想い出か、自分か、未来か、他者か、可能性か、さて一体どれなのだろう? * 花々によって導かれた先に広がる《向こう側》の景色に、エレニアは思わず足を止め、息を呑んだ。 新緑色の鮮やかな木々が互いの枝を絡ませあい、大きなアーチを描き出し、まるでエメラルドの鳥籠の中に佇んでいるかのようだった。 緑の中に横たわる崩れた石の階段や折れた柱は、ステンドグラスさながらの木漏れ日を受けて白く輝き、神殿が持つ神秘さと厳かさを漂わせている。 鼻先をくすぐる甘やかな香りは、きっとどこかで咲く花のモノだろう。 けれどなによりも胸を打つのは、無数の小鳥たちの存在だ。 紅や翡翠、蒼、瑠璃、珊瑚、月長石といった鮮やかな色彩を放って舞い上がる小鳥たちの、その圧倒的な羽ばたきと囀りに、息を呑む。 ここが、《楽園》。 ここが、《向こう側》の世界。 手を差し伸べれば、吸い寄せられるように数羽がエレニアの指先に止まった。 愛らしい瞳が自分を見つめる。 小鳥たちに誘われるようにして歩き出せば、ふたりを取り巻く小鳥は一層数を増す。 「ステキだね」 彼の穏やかな声が、囀りのなかで愛おしく響く。 「ひとつ、お願いがあるんだ、エレニア・アンデルセン……」 けれど、イルファーンがその先を続けることはなかった。 その台詞に続きは必要なくなっていた。 楽園の小鳥たちは、人の想いによって、奏でる旋律を変えるのだという。 エレニアは両手を広げ、思い描き、身を委ねていた。 胸のうちからあふれ出すのは、穏やかで暖かな愛情。 叶うはずがないと言いながらも願っていた《愛する人》の傍らにいられる幸せを、この当たり前でありながら当たり前ではない奇跡を、エレニアは感謝する。 イルファーンといることで、自分の心は透き通っていく。 幼い頃から少しずつ穿たれていった心の傷が癒やされて、突き刺さっていた棘が溶けて消えていく。 代わりに満たされていくのは、優しさと愛しさだった。 こんなにもこんなにもこんなにも、自分は幸せ。 だから、こんなにもこんなにもこんなにも自分を幸せにしてくれるイルファーンのために、強くなりたい、とも思う。 直視できないほどに眩しくキレイな彼の心に、《追悼の泉》で聞かせてくれたあの話が《傷》となって刻まれているのを知ってしまった今だからこそ一層、彼のために何かがしたいと思う。 癒やしたいと思うのはおこがましいかもしれない。 けれど――伝えたい。 いまはまだ、ぜんぶを自分の《声》で伝えることはできないかもしれないけれど、この幸せを、伝えたい。 その想いに呼応するかのように、彼女の肩や腕、頭に止まっていた小鳥たちをもふわりと羽ばたき、そうしてそれまでの、愛らしいけれどバラバラでしかなかった囀りが変わる。 エレニアとイルファーンを取り巻いて、小鳥は旋律を紡ぎ出す。 ソレは、魂を包み込む、あたたかな光。 好きな人を魅了してしまうかもしれない、愛しい人を声に縛り付けてしまうかもしれない、その恐怖はまだ残ってはいるけれど、それでも、自分の声で、伝えたい。 透き通って高く深く響く美しい音色に、エレニアは自身の声を重ねて、イルファーンのためだけに、彼に捧げるためだけに、歌い始める。 「エレニア・アンデルセン……」 イルファーンが聞きたいと願っていた彼女の歌声が、旋律の輪が、エメラルドグリーンの遺跡に広がっていく。 彼女の声が彼女の望む望まないにかかわらず聴くモノを魅了してしまうように、精霊という存在が人を惑わすことを、イルファーンは痛いほどよく理解している。 だから彼女が、《愛している》という想いを、真実であるのか、それとも《声》がそうさせた偽りの感情であるのか、迷い、恐れ、怯えるのも、分かってしまう。 でも、だからこそ、伝えたい。 君を愛している、と。 自分が惹かれたのは、その歌声ではなく、人生に誠実であろうとする、不器用だけれど懸命に生きようとしている、一途なその想いと姿勢なのだから。 君を、ありのままの君を、君がそのうちに抱く心ごと、すべてを愛おしいと思っている、ソレを伝えたい。 想いを受けて、小鳥のさえずりが、また変化する。 イルファーンも寄り添うように歌い、旋律は二層となって、けれど互いに絡み合いながら、さらなる美しい調べとなっていく。 ふたりでひとつの、紡がれ行く音色。 ふたりはそこに、純白の光の花びらが降り注ぐのを幻視する。 祝福の花だ。 誰もが手を叩き、おめでとうと口々に笑顔で告げる、そんな歓喜の色彩と音色が広がっていく。 気づけば周りには、礼服をまとったオーケストラが各々に楽器を持ち、歌声に合わせて幸福を讃える音楽を奏でていた。 ソレが幻であるのだと、ふたりは知っている。 けれど、その幻はあまりにも優しく、楽しげだった。 「踊ろう、エレニア・アンデルセン」 「……はい!」 手に手を取って、くるくると。 子供のように心からはしゃいで。 「君に逢えて良かった」 すべての縁に、すべての運命に、すべての時間に、イルファーンは感謝する。 どれかひとつが欠けても自分は彼女と出会うことはなかっただろうと、こんなにも強く彼女ひとりを愛おしく感じることもなかったかもしれないと、そう思えた。 「君は僕の希望だ。君こそが僕の求めていた存在なんだ」 彼の心に、小鳥たちは透き通った愛を奏でる。 「イルファーンさん……私は、貴方が私にそうしてくれたように、……傍にいます。ずっと、ずっと……!」 ふたりは歌いながら、踊り、踊りながら歌い、小鳥たちとともにいつまでもいつまでもこの幸せな時間が続くようにと祈った。 花が舞う。 小鳥が舞う。 遺跡を流れる小川の水を跳ね上げて、キラキラと水飛沫も空を舞う。 そうしてふたりの心もともに、舞い上がる。 * やがて夕暮れの訪れとともに、幸福の余韻に浸りながら、ふたりは互いの手を取り小鳥たちの楽園をあとにする。 帰りの道、エレニアが《追悼の泉》で誰かが落としたらしい子猫のぬいぐるみを見つけ、イルファーンがその持ち主を探そうとしたことで思わぬ事件に巻き込まれることとなるのだが。 それはまた別のお話。 END
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