仲間達と共に笑い仲間達と共に怒り仲間達と共に泣き仲間達と共に喜ぶそんな当たり前の日々が今日終わる明日、僕らは一人一人異なる道を進むもう二度と会えない別れかもしれないでも、想い出は仲間達と過ごした想い出は胸に刻まれ僕は、僕の道を歩いていけるありがとう、共に過ごした日々よさようなら=============!注意!パーティシナリオでは、プレイング内容によっては描写がごくわずかになるか、ノベルに登場できない場合があります。ご参加の方はあらかじめご了承のうえ、趣旨に沿ったプレイングをお願いします。=============
「……ごめんねぇ、こんなに早く居なくなるつもりじゃなかったけど……」 フランには事情を全て打ち明けた。 コタロさんにの頭の中に残っていたデウスと戦い、彼と共に生きることを決め、そしてデウスも受け入れることに決めたこと。 それが思いの他早い別れを招いてしまったことを。 「撫子ちゃんらしいよ……いつも……無茶ばっかして」 フランの目は過去に思いを馳せているのか遠い。 その無茶から二人の関係は始まった。 「結婚式には来てほしいよぉ……」 フランの唇が細かく震えているのは分かっていた。 でも、それには気づかない振りをして、努めて何時もの口調で最後の言葉を。 「サクラちゃんに教わってフランちゃんのウェディングドレス作ったから着てほしいぃ」 ドレスバックを受け取ったフランは何度も頷く。 其の度に彼女の頬を伝った涙がドレスバッグを濡らす。 (フランちゃん……) 自分がいなくなることを心の底から悲しんでくれる。そんな親友が居ることを嬉しく思う。 小さな可愛い親友。彼女を腕の中に抱き寄せ最後の言葉を囁く。 「……フランちゃん大好き、虎部さんと幸せに……今までありがとぉ~」 腕の中のフランは、何も隠すこと無く大声を上げて泣いていた。 ‡ 「もういいのか?」 「ティーロさんもありがとうですぅ☆ 結婚式、絶対来てくださいぃ☆」 「ああ、わかってる」 ‡ ‡ 「魔術でも相克っつうものがあって水と土はお互いを補完し合う存在で……」 クッソ真面目なスピーチ、故郷の教会で聞いた言葉を思い出しながら考えた言葉は喧騒の中に紛れてしまう。 しめやかとは程遠いカンダータ式の、コタロと撫子の結婚式、タンスの奥から引っ張りだした故郷の正装も浮いてしまっていた。 魔導師は肩を竦めると長々と考えていた文面をくしゃくしゃに投げ捨てて、友人の肩を叩く。 「まあ、なんだ。うまくやれよ」 そして、友人と一二言交わし、背中を見せ、ティーロは会場から静かに去る。 (あいつらとの別れはもう済んでいる、今更愁嘆場はねえ) 軽く手をあげ、返事は確認しない。 ‡ カンダータの駅。 宴席の中、乗車するのは魔導師ただ一人、見送りは―― 『いっちゃうの?』『みんなにさよならは?』 見送るのは半透明な可憐な乙女、風の精霊達。 「このまま居なくなるよ」 『そっかー』『それじゃあねー』 風の乙女達が笑い声を上げ、ティーロの髪を巻き上げる。 一陣の風が収まった時、魔導師を見送るものはもう誰一人居なかった。 「いいじゃねえか。なあ?」 この世界の主である指輪に言葉をかける――返事はない。 苦笑を浮かべる魔導師。 舷梯を乗り越え最後の言葉を想い浮かべた。 ――これで本当にお別れだ、あばよダチ公 ‡ ‡ 13号、帰ってきた。みんな喜んでる ルンは頭良くない、でもルンは知ってる みんな、今から、行ったり帰ったり たくさん、ここから居なくなる 居なくなる前に、挨拶 友達には、挨拶 行く行かない、みんなの自由 だから、ルンは挨拶、笑顔で挨拶、お別れの挨拶 「エ~ダムエダム、お前も行く? ヴォロス?」 「行くあてもありませぬしな、儂は0世界に留まります。しかし、なぜヴォロスとな?」 「……何となく? 似合うから?」 「似合うと……心に留めておきましょうかな」 「サキー、サキー! お前も番いと行く? 一緒は良いこと、めでたい!」 「ソアとは一緒にいることに決めた。ただ、まだどこに帰属するかは決めてない。ゆっくり選ぶつもりだ」 「そうか! 番の話も聞け。いい雄は雌に優しい。お前いいやつ、だから聞け」 「ああ、わかってる」 ルンは死人、死んで神さまの国に来た だから神さまの役に立つ、神様のために獲物を狩る 薄れて砕けて消えるまで、ルンはここの住人 だから、ルンは行かない だから、ルンは行く奴を、励ます、別れの挨拶 「めでたい! 頑張れ! 行ってこい!」 笑いながら、友達に最後の挨拶 ‡ ‡ 樹海に風がそよぐ。 肉が焼ける匂いはモノが燃え尽き、炭となっても暫く残った。 人をモノにして消滅させた痕跡は風に紛れる。 (これでやっと忍軍への義理を果たせた) 樹海の梢が揺れる。 餌の臭いに寄せられた獣――いやワームが蠢いている。 微かに残った滓も奴らの胃袋に収まるだろう。 互いにそれを期待してこの場で刃を交えた。 (私が死んでいたほうがお前らの餌は多かったかもな) 鮮血に染まっているにも関わらず、痛み一つ、反応一つ無い腕を見つめ、詮方無いことを想う。 (後遺症は已む得ない……残念だが) 煩い法ができた零世界では、傷を医師に見せる訳にもいくまい。 間違いようのない刀傷――誰が何をと問われて答えようもない。 闇医者が居るほどに裏社会も成熟していない―― ――しかし 死ぬ間際の炭化したモノから知らされた。 ヤマガ様はもうあの世界には存在しない。 守るべき人は既に儚い、処罰をされようとも戻らなければならない理由はもはやない。 たとえその道が開けていても。 「これでは抜け忍と同じだな……全て今更か」 自嘲の形に刻まれた唇。 置いてきたものは何もない世界への別れ。 ‡ ‡ 「わーい。たまやー、かぎやーなのです」 胡座をかいた脚の上座った天使が花火を見て歓声を上げている。 (わりいな、お前たち俺はちょっとばかし先に行かせてもらうぜ) 『本物』として名を知られた男。レオ・マケロイの脳裏に、『ココロ』を語りあった漢達の顔が浮かんでは消えた。 天使にデートに誘われるという晴天の霹靂。 膝の上の感触を確かめながらレオは問う。 「なあなんで今日は?」 「ゼロはリア充さん達の仲間入りして爆発したいのです。 だからいつも優しいレオさんに謎の矢がたったのです! これが最後だから想い出をくださいと言う奴なのです!」 ドカーンなのです! 声を上げながらレオの膝から飛び出すと、両手を広げてくるくると回るゼロ。 白くて小さな愛らしい天使。 果たして本物と天使の間に本当の理解なんてのは存在するのだろうか。 この言葉も小さな悪戯だろう、しかし―― ――……いいさ、勘違いし続けてやる 「いいかい、ゼロちゃん。リア充は別れ際に必ずすることがあるんだ。なんだか分かるかい?」 「うーんうーん、あーーー! ゼロはわかったのです。こうなのです!」 天使が背伸びして目を瞑る。口を尖らせているようすが初々しい。 抱き寄せることもなくほんの一瞬、ほんの一瞬だけレオは口吻た。 少しだけキョトンとするゼロは莞爾と笑い『わーいリア充なのですー』とまたくるくると踊る。 ――YES ロリコン NO タッチ レオ・マケロイは本物であることに別れを告げた。 ‡ ‡ いつものように自警団の見回りかと思っていた健が、それこそいつものようにマーラーカオを注文し、今日は温かい『ほうじ茶ラテ』はどうだろう、とハオが進めると、一瞬ためらった相手は、それをもらう、と席についた。 ぱふり、とマーラーカオに噛みつき、もぐもぐと口を動かしながら、ゆっくりと周囲を見回し、急に何か不思議なものでもあったように、手に掴んだマーラーカオをまじまじとみやって呟く。 「ハオのマーラーカオも食い納めか……」 「食い納め……?」 あ、と思わずハオが小さく声を上げてしまったのは、健のことばが何を意味しているのか気づいたためで。 報告書には目を通している。 ハオに『フォーチュン・カフェ』を取り戻してくれたのは、他ならぬ健なのだ、動きが気にならないわけがない。 それでもハオは健が食べ終わり、席を立つまでそれには触れなかった。 「元気でな」 「ちょっと待ってくれる?」 レジに立った健を待たせてハオは厨房に戻り、マーラーカオを詰め込んだ籠を持ってきて健に渡した。 「?」 「最後だから、しっかり食べて。フォーチュン・クッキーも入ってるから、また楽しんで。それからマーラーカオのレシピも入れた。ああ、それからフォーチュン・クッキーは」 「ハオ」 籠を受け取り、健は微笑み、きっぱりと遮る。 「もういい。サンキュ」 「っ」 これ以上ずるずるすると動けなくなる、そう眼で語る健にハオは俯いた。 「……無事を、祈る」 「ハオ」 「危険な仕事につくんだろう? だから」 ぐいと顔を上げ、俺の分まで幸運を贈る、と目を潤ませながら笑った。 ‡ 「兄さん、お出かけでやんすか? その格好、里帰りでやんしょ? お土産もお持ちで、流石、兄さん気遣いにあふれてやすな」 「ああ……そうだな里帰り、だ」 「お、大当たりでやんしたか。兄さんが居ないとなるとターミナルは寂しい限りでやんす」 (……寂しい限りか) 「なあ、自警団に興味はないか? こういうのは帰属者もやった方が良いと思うんだ」 「何やら唐突でやんすね。それじゃ、あっしも兄さんと同僚ってことで」 「いや、俺は戻らない。これでお別れだ、後のことはよろしくな」 ‡ ‡ 柔らかな風に揺られ、乳白色の花弁が空を舞い散る。 それは樹海の桜。 あの日、二人が見たものと良く似た風景。 あの時と同じように敷物の上に腰掛ける二人。 茶椀に注がれた抹茶の上に桜の花びらが揺れている。 「美味しいお茶。 あの時は、みんなでお茶を立てて……蟲玉露なんて酷いのもあったよね。 飲もうとしてたの冗談ですよね?」 「……飲んでみたかったかも……」 ぼそっと呟くガラに、ホワイトガーデンの顔は少しだけ引き攣った。 「ホワイトガーデンが居なかったら、あのまま原宿でタケノコになってたかも」 「竹藪なかったよ?」 「お揃い、大事にお部屋にしまってあるの」 「はい、私もです」 「ホワイトガーデンのサンタ姿可愛かったです」 「ガラさんこそ…………綺麗だったね」 「綺麗だったよねえ」 楽しい時間は去りゆく。 終わりの時は必ずやってくる。 ホワイトガーデンはガラに告げる。 「またね」と ガラもまたホワイトガーデンに告げる。 「……うん。また」と 樹海の桜が深緑へ変わる場所で二人は別れを告げる。 「これ、あげます。ガラなんかと何度も遊んでくれた、大事なお友達に」 ガラが手渡したのは、トレードマークのふかふかの帽子。 そして、絶対に手放すことのなかった空の旅行鞄。 ‡ 今日の事もまた綴られ、1ページへと。 「『いつか再び会う日まで』って書けば、きっとまた会えますよーう」 別れの言葉をそのまま書き記した。 ‡ ‡ 別れの際、プラットフォーム。 「貴方達はどうされるつもりですか」 初老の男の言葉。 紅い陣羽織を纏う若者は、傍らの銀髪の乙女に目配せした。 乙女は一歩だけ若者に近づき、若者は頷く。 旅団から図書館に下った一組の男女、蔦木景辰とリーベ・フィーアは友人の問に二人の道程を応える。 「俺らはターミナルに残る。当分の間はな」 機械の体と生身の人間――愛相する心を持ちながらも刻める時は違った。 ロストナンバーであり続けるという例外を除けば。 「そうか……これを受け取って欲しい、君等の新たな門出を祝う品だよ」 初老の男、イェンスの手から景辰の手に渡ったのは彼らの健康と幸せを祈る一対の根付。 「……僕は壱番世界に帰るつもりだ。 困ったことがあれば、何時でも来てくれ助力は惜しまない。今まで本当に有難う」 「景辰、リーベ、これ……」 精一杯背伸びをして綺麗な石と狼毛の房をつけた首飾りと画用紙をアルウィンが手渡す。 画用紙には一杯に描かれた二人が楽しそうに笑う似顔絵。 「遊んでくれてありがと。二人のこと忘れない。ずっと元気で仲良しでな」 故郷への道を見つけたアルウィンは、帰属の道を選んでいた。 小さな少女の初めての別れの時。 ――お別れしたくない、色々教わって遊びたい、でも困らせたくないから頑張る 「景辰の様に勇敢、リーベの様に優しい大人になる。二人の様に思いやりのある騎士に……なれる?」 膝をついたリーベがにこりと微笑み、アルウィンの頭を撫ぜる。 「ハイ。必ずなれマス。貴女がソレを望むのナラ、コレカラどんな人にもなれるはずデス」 「ハイ、アルウィンさん。お返しデス、イェンスさんもドウゾ」 リーベが手渡したホログラフィカード。 傾けるとその中で彼らの家族と二人の姿が輝いている。 アルウィンは大声を上げて泣いた。 リーベの抱きしめられながら、その腕の中で大声で泣いた。 「景辰君、最後に一つだけ聞かせてくれ」 別れを前に泣き叫ぶ娘を見守りながらイェンスは問う。 「僕は何か返せただろうか?」 危機を乗り越え、君達が共にいる事が嬉しい。 君達の様な人達こそ幸せにと思った。 二人は辛さを知り、頑張ったから。 失敗した僕でも手助けできると君達に救われたんだよ。 言葉に成らぬ万感が篭った初老の問に若者は応える。 「返せたかも何も、救われたのは俺らの方だろ? 胸張れよ、おまえは俺が知ってる中でも最高の男さ」 若者に比べ厚みの無くなった男の胸を軽く叩き、手の中にあった刀の笄と小柄を渡す。 「世話になった礼だ。泣き止んだらアルウィンにも渡してくれ」 「ああ、ありがとう。 ……さらばだ、君達に会えて、君達が共にいるこの時を見ることができて本当に嬉しい。本当に……」 最後の言葉は汽笛共に。 ‡ ‡ 壱番世界へ向かうロストレイル号。 世界を渡る其の瞬間まで青年はゼロ世界の姿を見続ける。 「出来る事、全部やったよな……お終い、だな」 四年の長きにわたって過ごした世界に今別れを告げた。
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