クリエイター橘真斗(wzad3355)
管理番号1153-9320 オファー日2011-02-18(金) 21:44

オファーPC 幽太郎・AHI/MD-01P(ccrp7008)ツーリスト その他 1歳 偵察ロボット試作機
ゲストPC1 レク・ラヴィーン(cyav1560) ツーリスト 女 14歳 部族の踊り子
ゲストPC2 ベルゼ・フェアグリッド(csrp5664) ツーリスト 男 21歳 従者
ゲストPC3 小竹 卓也(cnbs6660) コンダクター 男 20歳 コンダクターだったようでした

<ノベル>

~六畳一間大戦~
「……ということで、合体技を作ろうと思うんデスヨ」
 幽太郎・AHI/MD-01Pは2m近い大きな体を小さなちゃぶ台に寄せてバリバリと菓子を頬張る。
 機械の体をしているが、人間くさかった。
「壷中天クエストの奴か~。オイラも面白そうだからやってみたいな。すっげぇの作ろうぜ。超かっこいーやつ!」
 大量の菓子をこれでもかとちゃぶ台の上に広げながらレク・ラヴィーンも幽太郎の話にうんうんと頷く。
「壺中天クエスト以来ですねー。幽太郎さんやレクさん……さらにはベルゼさんとも一緒にやれるなら最高ー死んでもいい」
 大学生でライトノベル作家志望であった小竹・卓也は一緒にちゃぶ台を囲む面々を眺めて幸せに浸っていた。
「キシシシッ、死んでしまったら私達との合体技はできなくなりますよ」
 ベルゼ・フェアグリッドが特徴的な笑いと共に卓也に突っ込みをいれる。
「だって、これこそ自分の求めていたファンタジーだから! 夢にまで見た異世界にいるっていい気持ちなんですよー」
 卓也がいうのもさもありなん。
 人間の姿をしているのは卓也だけであり、幽太郎は竜型のロボット、レクは小柄な竜人、ベルゼにいたっては蝙蝠男である。
 ライトノベルの世界を体現した存在と、六畳一間のちゃぶ台を囲んで話をするなど想像できるはずがない。
 その上、卓也はケモナーという獣人が好きなのでまさに死福……いや、至福のひと時だ。
「前よりもお互いを知っていることですし、いろいろと特技を組み合わせて更なる必殺技を編み出す機会ナノデス」
 ゴッキュンと喉を膨らませて租借した幽太郎は短い指を立てて残り3人の方を見る。
「特技‥‥オイラの特技はこれだぜ!」
 レクが軽々と宙返りして着地する。
 天井すれすれを通ってきたレクはドヤ顔を見せた。
「甘いですね。敵を倒す技を開発するのですから、これくらいのことをしていただかないと」
 ベルゼが狭い部屋であることなどお構いなしに風の衝撃波を放ってちゃぶ台とお菓子を粉々に粉砕してみせる。
「ちょ、ちょっと危ないー」
 自分の方に被害がでないよう卓也は棒を回転させて盾の様にして、衝撃波を打ち消していく。
 六畳一間の会議室がめちゃくちゃになるなか、幽太郎は光学迷彩で部屋の隅で半分泣きながら嵐が過ぎ去るのを待っていた。
 
~一番いいのを頼む~
 強いのを頼むと無限のコロッセオのインストラクターに頼んだ。
 それは幽太郎がしたことなので、文句は無い。
 しかし、目の前にいるのは腐り落ちる表皮から異様な匂いを漂わせているゾンビドラゴン『暴霊龍・ケイオスグラード』だった。
「くさっ、くさいデスヨ、これっ!?」
「オイラ、殴るなんかいやだぜ……汚れそう」
「あれは‥‥報告書にあった、ケイオスグラード! 合体技で倒されていたすごい奴ですよ! リアルだなー」
「キシシッ、無駄話もいいですが向こうはやる気満々ですよ。手早く散開して攻撃を仕掛けてみましょう」
 驚いたりあきれたりする3人を尻目にベルゼは一人羽ばたいて空を飛び、上空からの銃撃を開始する。
 トラベルギア【ヴォイドブラスター】が魔力散弾を上空からばらまいてケイオスグラードの巨体を包み込んだ。
『グギャルォォォォォ!』
 地震が起きたかと思えるほどに大きな咆哮が周囲に響き、地面が揺れた。
 足元を取られている3人に向かってケイオスグラードの体から触手が伸びて3人に襲いかかってくる。
「キモッ!」
「あれにつかまりたくないなっ!」
 幽太郎は光学迷彩を使って姿を隠し、レクが六畳間で見せた身軽さで飛び跳ねては触手の攻撃をスレスレで交わした。
 ケイオスグラードの全身から伸びる触手は別の生き物のように動いて、逃げるレクを執拗に狙ってその本数の大半を向かわせる。
「何だよ、オイラばっかり狙って来ちゃってさ!」
 指をぱちんと鳴らしてトラベルギアの【花嵐】を握るとレーザーの刃を出してレクは自分を追いかけてくる磯巾着のような触手の群れを片っ端から切り落とした。
 地面に足がつくと、再び飛び上がっては回転して斬るなど、剣舞を見せる。
「キシシッ、これは美味しいところを持っていかれましたね」
 空を飛ぶベルゼはレクの舞を見つつも、自らもヴォイドブラスターの銃身を軽く額に当てて銃弾の変更を行った。
 次に放たれたのは炸裂する爆裂弾を速射。
 腐敗したケイオスグラードの表皮が何発も叩き込まれた魔力弾に砕かれて肉を散らした。
「ベルゼさーん、派手に飛び散らせんでの。くさくてしょうがないん……じゃい!」
「お詫びは後でしますから、今日のところは負けてください」
 レクが触手をひきつけているいる間に間合いを詰めて戦っていた卓也が上空に向かってぼやく。
 トラベルギアである2mの棒を半分に分けて、左手を逆手で盾のようにし、右手を順手で剣のように振るって叩いた。
 スポーツチャンバラ経験者である卓也にとって棒は普通の刀剣なんかよりも使い慣れている得物である。
 だが、手ごたえが無い、腐っている体は普通の衝撃ではめり込むだけで、ダメージを与えているような印象は微塵もなかった。
 鼻が曲がるような腐敗臭の中で戦うのも精神的に苦痛になる。
 巨大な尻尾と首を振り回してケイオスグラードは卓也を振り払おうとするが、卓也は逆手の棒で身を守りつつ下がった。
「これは手ごわい。まともな攻撃じゃ歯が立たない」
「検索完了。過去の戦闘データと照合して弱点もわかりマシタヨ」
 光学迷彩をといてスゥーッと姿を現した幽太郎はドヤ顔で両手を腰に当てて胸を張る。
「隠れていたのはそのためだったのか、ありがとな! じゃあ、早いところ弱点を教えろよ! さすがのオイラも疲れてくるぜ!」
 足元にウネウネっと動く触手のきれっぱしを作っていたレクが幽太郎の傍によりに怒りあらわにして叫んだ。
「モ、モチロンデスヨ。コアが心臓部にアリマスカラ、そこを突くしかアリマセン!」
「ぶっつけ本番の一発勝負……じゃけんども、燃える展開! 今じゃ! 絆を力に!」
 卓也も幽太郎のところまで下がって皆を鼓舞する。
「行きましょう、私達であれば出来るはずです」
 空から低空に降りたたったベルゼも余裕の笑みを浮かべて後押しをした。
「よっしゃ! まかせろ!」
 皆の心がここでひとつになる……。
 
 
~必殺 ファンタジックⅣ!~
 レクが『精霊の舞踏』を踊り、吼えたけるケイオスグラードの動きを止める。
 大地の精霊は穢れとなるものを許してはおかないのだ。
「ここはすみませんが、幽太郎さん。一発コアまで切断お願いしますよっ!」
 棒をバットのように振るって卓也が幽太郎を背中から叩いてケイオスグラードに向かって飛ばす。
「は? えっ、な、なんデストォォォォ!」
 涙をダバダバと流しながら幽太郎が龍の怪物にすっ飛んでいった。
 グングンと視界に広がるケイオスグラードのコアをえぐるべく、幽太郎は涙をぬぐってトラベルギア【プラズマトーチ】を取り出す。
「えええい、ままヨー!」
 高温・高密度のプラズマガスをジェット状に噴射させ、視覚センサーを対閃光防御モードに切り替える。
 青白い閃光となったプラズマガスがカッターのようにケイオスグラードの肉を焦がして切っていった。
「さぁ、この衝撃波を受けなさい!」
 深く肉がえぐられたところへ、さらにベルゼが衝撃波を叩き込んで傷口を広げてコアまでの隙間を作っていく。
「ボクを巻き込まないデー!」
 翼を広げて幽太郎が飛び去ると、どす黒く汚れた球体が露になった。
 その間に二本に棒を分裂させ、クロスして足場にした卓也が構えると踊りを終えたレクが駆け出して飛び上がって棒に乗る。
「レクさん、締めをどうぞ!」
「おうよ! オイラに任せな!」
 卓也がバレーのトスをするようにレクをケイオスグラードに向かって飛ばす。
 上空で身を翻してレクは花蘭の刃を伸ばし、コアをにらんだ。
「これで、終わりだぁぁぁぁっ!」
 袈裟に斬り下ろしてコアを切断するとケイオスグラードの姿が消滅する。
「見まシタカ、これが必殺『ファンタジックⅣ』なのデスヨ」
 消滅を確認した幽太郎が三度目のドヤ顔で決めた。
「いつの間にそんな名前を決めていたんですか……悪くないセンスではありますが」
 ベルゼが隣で飛びつつ独特の笑みを浮かべる。
 4人の心を合わせた合体技が誕生した瞬間だった。

クリエイターコメント発注ありがとうございました。
ギリギリで申し訳ありませんが、その分気合をいれて書かせていただきました。
合体技はロマンですよね!

幽太郎さんは全体的に美味しいところをいただくポジションとなってしまいましたがいかがでしたでしょうか?
皆さんの魅力を少しでも表現できていたのなら幸いです。

それでは次なる運命が交錯するときまで、ごきげんよう。
公開日時2011-04-21(木) 21:40

 

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