オープニング

 幅広顔のバーマン一門は長毛と、顔の中心の黒から首にかけての白に至るまでのグラデーションが美しいことを誇りにしている。特に、純血の徴のブルーの瞳は神秘的すらある。
 猫貴族の中の貴族、大公クップサーミのもと、広大なナードゥ地方を支配下に置く一族の権勢は揺るぎないものである。その州都チェンナイにあるギンディ工房。

「お引き取りください! 公子様に怒られます!」
 しっぽを何倍にも膨らまし毛を逆立てるメカニック達(とその擬神)を押しのけて俺は工房の中にずかずかと入っていく。なにせ、弟の新型アヴァターラが完成したというのだ、見に来ないわけにはいかない。
「ボーズ様と言えども。これ以上は、なにとぞ、なにとぞ」
 うるさいな。殺ーーっと一喝して引き下がらせる。こいつらは悪い奴じゃないんだが融通が利かない。
 工房の奥に進むとそれはあった。巨大な人型、アヴァターラ・チャンドラーGP03ヴィタルカ。チャンドラーシリーズの伝統様式でもある4枚の羽の形状をしたスラスターが従来機より一回り大きい。羽先端部に載架したロケットモータを自在に回動させることによってチャンドラーシリーズはアヴァターラの中でも卓越した機動性を誇る。主兵装は45mmアンチマテリアルライフルと30mmチェーンガン。シールドは持たない。一撃離脱が戦闘教義だ。
 相棒のネルソンに抱きかかえられて、保護シートがかけたままのコックピットに潜り込む。
「ダメですよ! 今回はロックがかけてありますからね!」
 外から声が聞こえてくるが気にしない。黒いパネルに俺の赤い瞳が映り込む。忌々しい。『スバーシュリー』そうコンソールにささやくと簡単にロックが解け、問題なくパネルに灯がともった。あいつは相変わらずシスコンだな。

 アヴァターラは貴族の乗騎だ。全長10mを超える巨人は犬族からも猫族からも畏怖されている。これは伝説の時代に猫族が神を従えていた証だ。コックピットで丸くなると俗世の憂いが浄化され清涼な気分になる。カスタマイズ戦闘ロジックのインストール。こうして、ネルソンとヴィタルカとの思考リンクが形成する。ネルソンからの画像イメージが流入し、照準システムとシームレスに連動する。軌道上の遠距離射撃には僚機のサポートによる照準補正が不可欠だ。
 ネルソンを肩につかませたまま工房の出口に向かって歩かせると、相棒と立場が入れ替わった感覚がする。この瞬間はいつも笑いを誘う。いや、ほくそ笑ましいのはネルソンの正体を誰も知らないことかな。実のところ相棒は擬神ではない。犬族のサイボーグだ。その本名は俺も知らない。猫族の支配域の最奥部に犬が足を踏み入れているという事実。くふふふ、自然とヒゲが持ち上がる。
「スバス・ボーズ、出るぞ」

 街を飛び出し、慣性飛行に移行すると、突然、ゴールデンミストの毛並みを飾り気無くまとった猫がディスプレイにアップされた。
「お兄様! お兄様!」
 こいつのくりくりしたブルーの瞳はいつ見ても美しい。
「心配するな。ちょいと狩りに行ってくるだけだ」
「お兄様! 今がどういう時だかわかってらっしゃるんですか! 戦争になります!」
「だったら、なおさら俺が死なないように気を遣うんだな」

 弟のアヴァターラ・チャンドラーGP01がすぐに追いついてきた。どうやら今日は離してくれないらしい。仕方あるまい。

「遅れず着いて来いよ!」

†  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †

 先の正体不明の核爆発は犬猫両陣営に緊張をもたらした。図書館はこれに対して、状態を融和させるべく両陣に使節団を送ることになった。
 猫側にはコルカタ市のアメショ一門の頭領に、犬側には聖田中市の田中皇大神宮に。

 ここにいるB隊は担当ロストナンバーは犬陣営を担当してもらうことになった。
 任務は犬族主要都市田中市へ赴き、田中皇大神宮の最高神官、東京ポチ夫と会談を行ってください。

 担当司書の宇治喜撰がプロジェクタに任務概要を映し出す。

:order_4_lostnumbers
-> 田中市に辿り着いて、会談を成功させてください。
:import 導きの書
-> リニアが襲撃を受けます。
:warning
-> 宇宙空間
-> 弾道軌道上
-> 軌道速度5000km/h
:message 図書館
-> 必要な者は宇宙服を着用のこと
:submission
-> 襲撃者の情報を収集してください
:remarks
-> 軌道隊の協力あり

 問題は、導きの書の予言で、ロストレイル号の到着するフォンブラウン市から田中市に向かうリニアが襲撃を受けることになっていることだ。この事は余計な火種になりかねないので犬族に秘匿している。ただ、犬族の要請でリニアは犬族の軌道隊が防衛につくことになっている。しかし戦力が十分である保証はない。推進機構を有さない軌道上のリニアはただの的だ。
 ロストレイル号の到着するフォンブラウン市から、会談の行われる田中市まで30分程度の飛行時間。5000km/hで飛行するリニアは、田中市のマスドライバーで電磁減速できないとスクラップになってしまう。会敵は5分程度と予想されるが、その間リニアを死守する必要がある。軌道隊はリニアに搭載される多足戦車2輛と歩兵10名程度からなる。必要に応じて装備を融通するなどしてロストナンバーが援護することが望ましい。

†  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †

―― 田中市のとある医療施設

 鈴木市だと設備が足りないって、こっちに来たけど、田中市にいると緊張するね。なんか偉い人がいっぱいやってくるし、ぼくよくわからないわ。かたきをとってやるとか言われてもピンとこないし。なんかシュリニヴァーサに会いたくなってきちゃったなぁ。
 あー、神様達が今度こっちに来るんだって、楽しみだね。こないだも、ぼくを助けてくれたらしいんだけど、よく覚えていないや。えへへ、ぼくのこと助けてくれたんだよね。
 軌道防衛はレトリーバーの宇都宮ごん太の隊だと聞いて少し安心だ。ぼくがまだお母さまのおなかの中にいた頃、お母さまを守って猫のアヴァターラを撃墜したことがあるんだ。

お母さま……

 お母さま…………

ぼくさみしいよ



注:本シナリオは「老猫の教皇【二月上弦】」と同じ時系列の出来事を扱っています。同一のキャラクターによる複数参加はご遠慮下さい

品目シナリオ 管理番号806
クリエイター高幡信(wasw7476)
クリエイターコメントと言うわけで、みなさんこんにちわ。
そろそろ見習いを卒業したいWRの高幡信(たかはた・しん)です。

全国の田中さんごめんなさい。

「朱い月に見守られて」はガチSFな世界です。
近未来な技術レベルですので摩訶不思議テクノロジーは存在しません。
ついに念願?のモビルスーツ登場です。パイロットやるならコンダクターもツーリストも対等ですね!
プレイングは戦闘パートと会談パート、どちらに重点を置いても、全部ほっぽり出して犬猫をもふもふするだけでも結構です。

それでは、世界観のおさらいです。
「朱い月に見守られて」では犬族と猫族が地下都市に住んでいます。巨大ダンジョンに数万の犬猫が住んでいます。住民の家は、ダンジョンの部屋だと思ってください。商店部屋も工場大部屋も農場大部屋もあります。そして、犬猫の間の統一政府が存在しないので政情不安定です。
犬族は獣人です。二本足で歩きます。
猫族は、見た目は普通の猫ですがしゃべることができます。
疑神は猫族の使役するアンドロイドで、壱番世界の人間によく似ています。
 この世界では都市と都市の間はマスドライバーで打ち出されるリニアで行き来します。地上が真空だからできることですね。乗ってみたいものです。

 さて、今回ですが、猫族のアヴァターラはモビルスーツです。技術レベル的にボトムズとかフルメタに出てくるような代物でビーム兵器は持っていないと考えてください。
 犬族の多足戦車は、6足のホバーユニットがついたハリネズミのように武装した戦車です。弾幕を張りますし、宇宙空間でもそれなりに動けます。定員は3~4人で、STGのボスキャラのようなはちゃめちゃ戦車だと考えていただければ結構です。操縦してみたい人は名乗り出てくださいね。犬に喜ばれると思います。
 それとリニアには動力銃座が取り付けられています。そのほか銃器は手に入りますので、宇宙遊泳してもかまりません。そのほかにも色々できると思いますのでアイデアがあればどうぞ。
 今回は前回に輪をかけて危険臭が漂っていますが、別に相手を倒す必要はありません。5分しのぐのがミッション成功条件です。まぁ、所詮は犬猫のやることです。いい加減なものだと思ってください。

【継続登場のNPC】
・シュリニヴァーサ(猫・スノーシュー)♂
変人の学者、遺跡と朱い月の関係について研究している。
疑神はニュートン

・岐阜さつき(犬・茶柴)♀
おっちょこちょいの神学者
遺跡と朱い月の関係について研究している。前回で被爆して入院中。

・ランガナーヤキ(猫・サイベリアン)♀
闇商人。ランガナーヤキ機関の女ボス。
疑神はチャーチルとサッチャー

・岐阜みかん(犬・茶柴)♀
さつきの母。偉い
核テロで死亡

【前回までのあらすじ】
 セカンドディアスポラで飛ばされた桐島怜生を救出するべく、博昭・クレイオー・細谷、セルヒ・フィルテイラー、小竹 卓也、藤枝 竜がこの世界を訪れた。
 犬猫が共存するフォン・ブラウン市の遺跡にロストレイル号が到着し、犬族はロストナンバー達を見て「神様が降臨した」と大騒ぎ、猫族はそれを冷ややかに見ていると言った状態。ところが困ったことに、猫族がロストナンバーをこづき回してしまったのです。
 猫と犬が分かれていることを気にした細谷が統一政府樹立を促し、世界が動き始める。

 しかし、この世界にも闇はある。会談にフォン・ブラウン市に訪れようとした岐阜みかんが核テロに巻き込まれて暗殺されてしまった。その娘、岐阜さつきは駆けつけたハーデ・ビラール、ボルツォーニ・アウグスト、小竹 卓也、イフリート・ムラサメに救われたものの…… 続く、

参加者
ジャック・ハート(cbzs7269)ツーリスト 男 24歳 ハートのジャック
細谷 博昭(cyea4989)ツーリスト 男 65歳 政治家
日奈香美 有栖(ccea2734)ツーリスト その他 14歳 神族にして由緒ある家柄の姫令嬢
ファーヴニール(ctpu9437)ツーリスト 男 21歳 大学生/竜/戦士

ノベル

 フォンブラウン市の遺跡からリニアの駅まではさながら大名行列のようであった。
 犬族猫族それぞれに対する表敬訪問団を含んだ一行は、人混みでごった返すフォンブラウン市中央広場で別れた。野次馬が野次馬を呼び、犬族への親善に向かうB隊は前に進むだけでも大変であった。やはり、犬族の方が熱烈に歓迎しているムードである。
「こうも規律も節操もないとは、犬族の恥ずかしいところをお見せして申し訳ありません」
 ロストナンバー達を乗せた『御輿』と共に歩んでいるのは軌道隊隊長の宇都宮ごん太である。ごん太は実直なレトリーバー一門の男で、犬の中ではひときわ大きい。必死で動き出しそうになるしっぽを抑えている。
 そして、ロストナンバーはと言えば、
 可憐な美少女、日奈香美 有栖はとびっきり豪奢なドレスに身を包み満面の笑みを浮かべて、集まる犬たちに手を振っていた。近づけば臭いで「男の娘」だとわかるかも知れないが、このごった煮の中ではその心配はなさそうである。
 ごろつき然としたESP能力者ジャック・ハートもここでは人気者だ。ミュータントは獣人に親近感を持つのだろうか、彼は『御輿』から降りて、群衆を掻き分け歩いている。次から次へと群がって来る犬の肩を叩き、笑いかけ、頭をなで大忙しだ。
 龍人のファーヴニールは『御輿』の中に頭を突っ込んだままだ。『御輿』は犬族の軌道兵器である。戦車に相当する兵器であるが、地上では6本の脚で歩き、またバーニアもついているので飛行もできる。その上で多種多様の武装が施されているものだ。犬族がなぜに猫族のように巨大人型兵器を有さないかと言えば、それは、犬族が疑神を使わないのと同様、神に敬意を払い人型に特別な思い入れがあるからに他ならない。ともかく、ファーヴニールは初めて見る技術に釘付けで、車内の犬たちを質問攻めにしている。
 そして、『御輿』に腰掛ける嵩張った潜水服と言った風情の人影は、戦う政治家こと博昭・クレイオー・細谷である。興味津々の犬の中には走り寄って指一本触れてみたり、大胆なものの中にはぱしぱしと叩いてみたりするものもいるが微動だにせず泰然としている。彼はロストレイル号に乗り込んだときからずっとこの奇妙なよそおいで、一言も口をきいていない。

 やがて、リニア駅に辿り着くと、今日のために飾り立てられた機体が一行を待ちわびていた。ふかふかの毛長じゅうたんが敷き詰められ、クッションもたくさん置いてある。
 そして、内装よりも重要なのが、リニア後方のカーゴユニットである。カーゴユニットには護衛として、ここまで一行と共にしてきた多足戦車こと御輿『神田祭』が2輛積載され、その他、歩兵も10名あわせて乗り込む。
 襲撃があるという予言は犬族には知らされていない。宇都宮ごん太はレトリーバーらしく、ばっちりお供しますと胸を誇らしげに反らせている。

 有栖とジャックは群衆に手を振りながらのりこんだ。ファーヴニールは御輿に乗ったままである。そして最後に細谷が重々しそうに搭乗した。
 そして、適当な理由をつけて、ジャック、ファーヴニールは宇宙服に着替えた。有栖は宇宙服は小型化している少女型巨大ロボとセットの宇宙服を着用。持参の宇宙服はフリルがついて可愛らしい。謎の潜水服を着込んでいる細谷はそのままである。

 静かにホームドアが閉じられ、気密が確保された。トンネル内は既に真空である。
 フォンブラウン市大使をはじめ大勢に、見送られて、リニアは唐突に加速を開始した。膨大なローレンツ力が働き6Gにも及ぶ加速は瞬く間に機体を第一宇宙速度である7500km/hに加速する。
 発射管から抜けると宇宙であった。

†  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †

 猫たちのアヴァターラ・チャンドラーGP03ヴィタルカはチャンドラーGP01と共に漆黒の空間を滑るように飛んでいた。慣性飛行にうつりエンジンを切るとコックピットは静寂に包まれる。ここは裏側、朱い月から隠れた世界の影、遙か下方の地面は地図にはインプットされているが、吸い込まれるのような黒の中なにも見えない。星すら見えないからかろうじてそちらが下だとわかる。
 やがて歪曲した地平線の向こうから、朱い月が昇ってくる。目標が近い。
 ヴィタルカのスバス・ボーズはかわいい弟に呼びかけた。
「タルヴィン。後15分で接触する。狙いはリニアだ」
 都市間を無防備に飛行するリニアは狙われやすい。たまには武装していることもあるが、犬族の戦車は軌道上ではチャンドラーシリーズの敵ではない。とは言え、単に戯れで撃墜しても得るものがないので、荷の奪取や、人質の確保など様々な海賊行為の対象となる。
「この航路だとフォンブラウン市からのリニアだけど本当に大丈夫なの? 猫も乗っていたりしないかな。それに犬族が神様とか騒いでいるから……」
「そのまさかだよ。犬コロの神様とやらを捕まえられたら愉快なことになると思わないか?」
「ええー! お兄様! めちゃめちゃ反撃されますよ! ヴィタルカは無敵じゃないんですよ!」
「ああ、そういうことだ。おまえもちゃんと本気の戦闘プログラムに書き換えろ」
 画面のなかでタルヴィンはゴールデンミストの毛並みを揺らしながら端末を必死に操作し始めた。音声認識に命令を与える声が笛のようだ。本当に素直でかわいい。ボーズは狭いコックピットの中で弟の画像を、ぺろりとなめた。
 猫族は、その直感力と卓越した空間把握能力により優秀なパイロットたり得る。しかし、いかんせん操縦桿を握るのは猫の手、精密な操作は苦手である。かといって犬族のように脳にチップを埋め込んで思考操作できるようにすればいいのだが、それは猫の矜恃が許さない。そこで、あらかじめ作成したプログラムを使って細かい動きを制御している。

†  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †

 軌道上のリニアの中は無重力である。
 窓は大きく、朱い月のひかりがやわらかく入り込んでいる。ほんのり朱に染まった船内ではジャックと有栖はふわふわ漂いながら、ごん太を質問攻めにしていた。
「ごん太さん。あの上の朱い天体はなんなのですか? 不思議な模様ですね」
「あれは、月、でごさいます。我々はかつては神々とあの月に住んでいたと言われています」
「おいよォ。なんか下に街みたいなのが見えるんだがありゃ、なんだァ」
「あれは、廃棄された都市でございます。かつての都市は地上にありました。ドームで覆われていたのですが、今ではほとんどあのようにドームが破壊されています」
「そいつァ、イケてねーな」

 その頃、ファーヴニールと言えば、御輿『神田祭』の中で、操縦方法を習っていた。狭いコックピットの中で2人の犬と龍人はお互いにふれあう距離で盛り上がっている。
「はい、このようにして射撃手、操舵手、索敵手の3人で操縦するのが基本です。3人とこの神田祭は軍用神の声でリンクされていますので、ボタンやコントローラは補助的なものです」
「困ったな。俺でもうまく受信できないかな」
 ファーヴニールの右腕には工学回路のように見える紋様があり、そこから「魔法のような何か」の力が発顕している。これは電気信号とは的相性が良く、先程から電気回路へ針の穴を通すような電気信号を与え、神田祭に信号が送れないか色々試していた。
「なんかうまく行きそうですね」
「おっ、照準が動いた。すげーすげー」
 索敵手が気を利かせて、射撃席に座るファーヴニールにゲームのようなシミュレーションコンソールを表示する。カウントダウンが画面に表示され、演習が始まった。なんとかミッションをこなし、ボス登場と言ったところで、船内に緊急を告げる声が響いた。

「高速で接近する飛翔体があります! 大変です! 猫の化身(アヴァターラ)と思われます! 通信です!」
 スピーカーが切り替わり猫にしては低い声が流れる。
『神様こんにちわ。ようこそこの世界へ、今日はみなさまに我が一族の毛繕いをする資格を与えてやろうと思って来た。良かったらそこの犬コロどもをおいて来てくれないかね。ああ、犬は邪魔だから再生肥料になってもらおう』

船内に緊張が走り「三味線野郎」とふてぶてしい猫の振る舞いをなじる声が上がる。しかし、おいでなすったか、といった感じでジャックは楽しそうである。
「ヨロシクなァ、相棒どもォ…… ヒャヒャヒャ」

「機影確認。月詠(チャンドラー)型と思われます。二機います」
 天井の大型モニターにデータベースに記録されている機影が投影された。
「――これは……人型機動兵器かっ!」
 ファーヴニールは羨ましそうにため息をつき、犬たちにはどよめきがはしる。チャンドラーは強力なアヴァターラだ。手持ちの御輿『神田祭』の2輛にはあまりに荷が重い。ごん太が悲壮な表情でロストナンバー達に頭を下げ、重々しく現状を告げる。自らの命に代えても田中市に送り届けると。

 ジャックは有栖の肩を抱いて、その様子をせせら笑いを浮かべながら眺めていた。
「お嬢ちゃん、確かメカ使ったなァ? 外装でイイから俺様も乗せろヨ? なぁんせ今は俺サマ半径50mしか届かなくてなァ? 剣戟距離に持ち込んでくれりゃ、相手の骨までむしゃぶり尽くしてやるぜィ? ジャック・ザ・バンデット、こォのうざったい愛の持ち主がなァ」
「あなたに言われなくても戦いますわ。お好きになさってください」
「同行する仲間の能力くらい、報告書で調べッだろォ。武器使い損なって負けるなンざ、真っ平御免だってェの」
 そして、座ったままの潜水服細谷の頭をコンコンと叩いて、船外にテレポートした。
「政治は政治屋に任せるワ ……だから戦争は戦争屋に任せておけヨ?」

 宇宙に出ると、有栖は小型化した専用機体を原寸化させた。
 そのシャープながらも優美な機体は、戦闘機を思わせる形状をしていた。銀色の外装に、空色のストライプが要所要所にあしらってあり、華麗である。その一方でスラスターは控えめで、翼も青の骨格を基準に銀の膜が張られていた。近寄ってみれば銀の膜には精巧なレース模様が編み込まれているのがわかる。コックピットハッチを開けると有栖は、有栖にあわせてぴったりのサイズのシートに体を滑り込ませた。深呼吸してスイッチを入れると、やさしくコンソールに灯がともり、機体の開発者であるメイドの愛情が感じられた。
 有栖が落ち着いたのを確認して、ジャックはそのコックピット背後から飛び出しているアンテナに掴まった。
「ゴティック・ヴィクトリカ、出撃します、ロストナンバーとして武力介入しますっ!」

 御輿の中のファーヴニールも騒ぎを聞いていた。
「やっぱり来たね。みんな俺についてきてくれる? 有栖達を援護するよ」
「ごん太隊長は?!」
「大丈夫、俺に任せてね。ごん太さんにはリニアから指揮を執ってもらうよ」
 動揺する犬たちを鎮めると、ファーヴニールはカーゴユニットのハッチを開けさせ、2輛の御輿は器用に12本の脚を動かしてリニアの外面に陣取った。
 そして、多足戦車の半分ほどの大きさもある鋼板が次々とリニアの周囲に展開される。これは機動盾と言え、10人の歩兵隊がかついでいる。
 ファーヴニールは全力で、御輿に搭載されている兵器をチェックし、犬たちに作戦を与えて続ける。
「みんな無理しないでくれ、俺たちは簡単には死なない。有栖が暴れている間、俺たちは牽制の射撃を続けるよ。主砲はこれだね。いけるいける」
 回線を媒介した一体感と神が味方だという力強さが場の悲壮感を和らげていった。

「お恥ずかしいですがお願いします。神様方」
 船内に残されたごん太は追加された未知数のプレーヤーに期待しつつも、厳しい表情で布陣を眺めていた。



 先に戦端を切ったのはチャンドラーGP01のタルヴィンだった。
 上空10kmでも、たったの200kmしかない地平線のさらに向こうからの攻撃だ。
 巨大ロボット仕様の対物ライフルは特殊精製された火薬で弾丸を撃ち出す。弾頭は36000km/hにおよび、これは5000km/hで飛翔する軌道上のリニアにとっては大いに脅威となる速度だ。地平線すなわち大地で発射の閃光を隠し、重力により曲がる超高速弾はわずか25秒で目標に到達する。宇宙では小さく黒い点にすぎない弾頭は視認不能。
「ありがとうエリザベス。これで落ちてくれよ」
 疑神の観測手による照準補助を用いたこの攻撃は猫族の十八番だ。

 迫り来る弾丸はゴティック・ヴィクトリカをかすめリニアに襲いかかる。
「セクターC5!」
 射線に決死で割り込んだ歩兵が担いだ盾ごとはじき飛ばされた。高速弾は鋼鉄の盾と擬似液化させながら混ざり合い突き抜け、ばらばらになりつつ貫通した侵徹体が火花を散らしながらファーヴニールの御輿に降り注いだ。
 ファーヴニールは反射的に弾の飛んできた方角に御輿の主砲を発射するが、現状では気休めにしかならないだろう。

 ヴィクトリカのレーダー上で二つの影が地平線から昇ってくる。200km先では点と言うにすら小さい。それでもゴティック・ヴィクトリカはこの世界ではオーバーテクノロジーだ。その望遠カメラは2機のアヴァタールがはっきりと捉えられていた。敵機はリニアと相対速度を合わせるために減速をかけているようだ。放出されるプロペラントのスペクトルが観測される。
「化身……でしたっけ? 見えましたわ。片方はさっき見せてもらった奴にそっくりよ。でももう一機は違う。似たような形をしているけど翼なのかしら、四本つきだしているのが一回り大きいわ」
 リニアの船内から未確認の新型の可能性があると通信が入る。
「新型ならヴィクトリカもよ。貰ったばかりのこれ、、どこまで私に扱えるかわからないけど、、!」
 スロットルを一気に開くとジャックをしがみつかせたまま、敵機めがけて勢いよく加速していった。


 その動きは2機のアヴァタールに瞬時に伝わり、タルヴィンのチャンドラーGP01が反応した。
 タルヴィンは対物ライフルを構え、牽制の弾を3発発射して、ヴィクトリカと交錯する軌道を取った。
 GP01の接近を察知した有栖は、ヴィクトリカを人型形態に移行させる。カシャンカシャンと小気味よい振動がフレームを伝いコックピットに響く。翼の銀幕が収納され、むき出しとなったスラスターが旋回性能を優先した配置に置き換わる。折りたたまれた四肢が展開され人型を取った。肩の格納部から流れるように飛び出した空色のエプロンドレスはセラミック繊維を編み込んだもので実体弾を絡め取り、そのコーティングはレーザーを反射する。エナジーブロンドの髪をなびかせ、まるで童話のアリスのような少女型形態であった。機械的ながらも可憐なゴシックドールのようなフェイスがゴーグルとフェイスマスクで覆い隠されて格闘戦態勢に入った。
「おわァッ、潰される! これロボットなのかよォ。 ぐわァ、エンジンふかすな! 俺がいる! 俺がいる!」
 外装にはりついた超能力者は慌ててテレポートし、カチューシャに掴まった。
 圧倒的な戦闘力を誇りそうであるが、惜しむらくはパイロットの練度が追いついていない。手始めに左手からハンドビームを発射し、それから、右腕片腕で構えたビームライフルをぶっぱなした。

「ふぎゃーー!!」
 GP01のタルヴィンにとっては衝撃だった。この世界ではビーム兵器は実用化されていない。肉眼にまぶしいほどの荷電粒子の奔流など机上の空論と思われている。しかし、エリザベスからの観測情報はけっしてその閃光が目くらましや威嚇兵器ではないことを示していた。
「おちつけタルヴィン、未知の兵器だが狙いは雑だ。おまえなら大丈夫。俺はリニアを狙う」
 心細いが、兄に良いところを見せるにはここで踏ん張るしかない。毛の逆立ちが納まりそうにもないが、タルヴィンは対高機動アヴァターラ用の戦闘プログラムを呼び出すと勇気を出して向き直った。


「敵は疾いしな。さっとと余分な重量は落としておくか」
 一方のGP03ヴィタルカは、先行しリニアへと進路を取っていた。ボーズは舌なめずりすると4本搭載されている対艦ミサイルを全弾発射し、空荷になったハンガーを廃棄した。
「くくく、犬族の神とやら、俺に天罰を下して見せよ」

 誘導兵器の高速接近を知らせる警報がリニア内に響き渡る。
 御輿のファーヴニールは対処に忙しい。腕の回路を伝って膨大な量の兵器情報が脳になだれ込んでくる。
「なにか無いのか? ってなにがあるのかわからないよ!」
 機体を隠蔽するイメージが浮かび、その直感に従い、管制電脳に起動信号を送った。と、御輿の後部に備え付けられたポッドから六尺玉が射出される。
―― たまやー!
 炎色反応にちなんだ赤緑紫青の色とりどりの閃光がリニアの周囲に広がり、と同時に金属粉がまき散らされた。目標を見失ったミサイルが軌道を逸れる。
「死なないための最大限……やらせてもらうっ!」
 次にシールドのイメージを送り込んだ。直ちにファーヴニールの脇の二人の犬が「長篠ー!」と唱和すると、戦車上部に3本の奇環砲が立ち上がり、万に及ぶ弾丸を瞬く間に消費。扇を仰ぐように弾幕面を形成した。蜘蛛の巣に捕らわれるように迷走するミサイルは次々と撃ち落とされ、その破片がさみだれのように通り過ぎていった。
 ファーヴニールはいつしか犬たちと一緒に吠えていた。
「はぁ、はぁ、……」
 汗をぬぐいながら、次の一手を考える。このイメージは間違いない。対空ミサイルだ。戦車からの発射信号予告が入ると、正面の盾が移動して射線を開ける。神の声リンクで一体化した犬族ならではの集団戦術である。

 御輿の前腕のカバーがガバッと開くと円筒状の誘導兵器がずらりと並んでいた。左右に4本ずつ。
 その先端に人影が!
 まさかまさかまさか、そのまさか!
 潜水服状の甲冑が前後に分離し生身の人間が宙にさらけだされる。小さくうなずき敵を見上げる。
「わたくしの耐宇宙訓練はこれにて完了でございます」
 その甲冑は内部が真空、放射線に満たされた逆宇宙服であったのだ。
 博昭・クレイオー・細谷を乗せた8本のミサイルが発射され、互いに複雑な軌道を描いてアヴァタールに向かっていった。

 その、まだ100km彼方。
「ばっ 化け物……」
 プラズマ化した重金属の奔流をプロペラントを盛大に消費して回避。チャンドラーGP01のタルヴィンは極度の緊張状態に置かれていた。かすめただけで破壊される恐怖。疑神のエリザベスはとっくに重粒子の粉末に回路を焼かれ機能停止している。火線を観測すると同時にオートで回避プログラムが作動するために、コックピットに激しいGがかかる。自分で作成したアルゴリズムとは言え、断続的に揺らされとうに方向感覚が失われていた。ただ視界の隅に浮かぶ表示が、推進剤の残量が刻々と失われていくありさまを冷酷に突きつけてくる。
「もっと近づけよォ。この下手クソがっ! 50mって言っただろ!」
 機動力、火力、装甲どの要素をとっても機体性能は格段に上の少女ロボはなかなか勝負をつけられないでいた。パイロットの有栖が素人だからだ。機体自体の『意思』である程度フォローしているもリンクしきれず苦戦。既に何発も被弾しコックピットからは空気が漏れている。
「きゃ!?来た、、!」
 弾切れか、チャンドラーライフルを肩に担ぎ直して剣を抜きはなった。この剣は、セラミック繊維配合合金に超鋼相を化学蒸着したもので、犬族の御輿の装甲を斬るためのものである。
 必殺のブレードが迫り、ビームライフルしか手に持っていない有栖はとっさにライフルを盾にしようとした。その身を守ろうとする意思にヴィクトリカが反応し結索フィールドが展開され、ライフルはソードビームライフルとなった。
 つばぜり合いと共にセラミック繊維が削り取られ火花を散らす。
「ヒャッハー!!」
 2機のロボットが動きを止めた好期、ジャックはテレポートしチャンドラーGP01にとりついた。
「電子機器満載の獲物を逃がすワケねェだろう…… 貰うゼ、この機体」
 機体から弾き飛ばされないよう念動力と運動エネルギー操作を行いながら首筋に近付き、擬神を念動力で強制的に弾き飛ばし、そこから擬神とアヴァターラを繋ぐ回線に雷撃を送り込んだ。
 GP01の操作は恐慌をきたさんとする猫の手から離れ、猫自身もジャックの精神感応で自由を奪われた。
「おっと、死なれては困るんでね。クップサーミの? お前が生きて犬族と交渉することに意味があんだからヨ」


 ライフルでミサイルを次々と撃ち落とす離れ業を演じ、ボーズが一息をついたところである。
「ミサイルの軌道パターンは解析済みなんだな。犬族の攻撃は単調で困る。 ……なっ!」
 と、そのチャンドラーGP03ヴィタルカのライフルの上に超然と降り立った人影が!
 言うまでもなく細谷である。
 ヴィタルカのプログラムにライフルにとりついた人間を振り払うなどというプログラムはない。代替えコードを呼び出すまもなく、細谷は刀『大和』でGP03のコックピットハッチを空間ごと切り離した。
「ごめんください」
「これは驚いた。超常の能力を持っているとは聞いていたが、ここまでとは」
「その割に冷静でございますね」
 猫は部下のサイボーグ犬にも反抗しないように指示を出し、続けた。
「今回はいくつかのケースを想定したのだが、これもシナリオの範囲内です。ええ、危険を冒した甲斐がありました。 ……おや、弟が負けたようだね。彼に犬の街をみせてやってはくれませんか。おぼっちゃんだから世間知らずに犬を蔑むところがある」
「謹んで引き受けさせていただきます」

†  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †

 リニアに連行されたタルヴィンは、かご型の予圧ユニットの中でまさに借りてきた猫状態であった。ふーふー唸りながらも、ちょっとかごが揺れる度にびくっと体を震わせ、狭いかごの奥の方、奥の方に引きこもろうとしていた。
「ボーズの弟だ…… 丁寧に扱えヨ? 詰問も不可だ。今後の全てがこッから始まるんだからヨ」
 乱暴な口調ながらもジャックはそんな猫をいたわっているようで、かごの横にドカッと腰掛けると興奮さめやらぬ犬たちが不用意に近づかないように配慮した。

 御輿と歩兵、それからロストナンバー達を収容し、リニアは到着に向けての微妙な姿勢制御を行う。
 そして、リニアは聖田中市に到着した。

 駅での出迎えは、フォンブラウン市での混乱とは対照的で、ひどく整然で、言いようによっては堅苦しいものであった。
 最高神官こと東京ポチ夫は、白柴一門らしい薄い茶色の毛並みで唐草模様の入った衣冠正しい格好であらわれ。楽団がなにやら演歌調な楽曲を演奏する中、大勢の神官を連れ立っていた。
 一行は再び御輿に担がれ、田中皇大神宮の中庭に設けられた会談の場へと向かった。

 ロストナンバー側は細谷が仕切り、会談の要件は手短に進行した。
 すなわち、世界図書館がこの世界の融和に協力すると言うこと、そして近い将来予測されるディラックの侵攻に対して一致団結すること等々である。その上で、統一政府を作るとしてどのような形態が望ましいか、誰が主導権を握るかなどが議論された。
「さつきの母暗殺や今回の襲撃を元に統一政府が出来ると不都合な者達がおります。彼らが相当な武力を所持していると思われるところであります」
 襲撃には捕虜を得たことによりクップサーミ一門が主犯であることが判明していることもあり、東京ポチ夫をはじめ、犬族達は、核爆発事件も猫族のしわざに違いないと言い合っていた。そして、それらについてはアメショ一門を訪問しているA隊からの連絡がトラベラーズノートにあらわれた。『雑種同盟』なる組織が暗躍しているとのことだ。ならば、犯人グループのなかに犬族も混ざっている可能性がある。

 やがて宴会が始まるとファーヴニールは「戦闘で疲れた」と言い残して田中皇大神宮の会場をこっそり抜け出して庭園に出た。警備の歩哨を適当に捕まえてもふもふしようかと思ったのだが、どうもフォンブラウン市の犬と異なり、誘っても任務優先の緊張気味でなかなか応じてはくれない。やがて、ファーヴニールは諦めて芝生にごろんと転がった。

 ジャックと有栖は会場に残って宴の中心にいる。場を離れないのはすっかりおびえきってしまったタルヴィンのそばを離れないようにと言うのもある。やがて、酒もまわりはじめるとジャックは犬族に絡んでみたり、有栖は持参したお茶を振る舞うなどした。そうこうするうちにタルヴィンは一口二口食事に手をつけると疲労が限界に来たのか丸くなって眠ってしまった。ジャックがそっと風呂敷を猫にかけてあげる。

 宴もたけなわになった頃、細谷は軌道隊の宇都宮ごん太を伴って、岐阜さつきの病院に赴いた。
 傷病の赤柴は培養槽のなかでぷかぷか浮いていた。毛の多くが抜けてしまって見る影もない。まだ皮膚の再生が追いつかないようだ。医師の判断によってはこのままサイボーグ化した方がよいのではないのかとのことである。
「ご母堂様の突然のご逝去に、謹んで哀悼の意を表します」
 さつきは目を開け傷が開かないように小さくうなずいた。それに対して細谷が静かに言葉を続ける。
「何者かに『いない方が都合が良い』と思われた。それ故に暗殺されたのでございます。統一政府の樹立を提案した私も、ご母堂様の暗殺にはけして無関係ではございません。
 今、ここで屈すれば、武力による恫喝に白旗を上げる事になる。それは武力による支配に繋がるでしょう。あなたは犬族と猫族が確執を超えて手を取り合う事を望みますか? その為には、多くの犠牲を払う事になるやもしれません」
 少し考え込み、やがて先程よりやや大きくうなずこうとし、どこか痛むのか顔をしかめた。口から泡が立ち上る。そして、コンソールに神の声を経由してさつきの意思が表示された。
『シュリニヴァーサに会いたい』

 翌日には一行はフォンブラウン市に戻っていた。犬族の主導でロストレイル号の恒久プラットホームの建設が始まっていた。その場には猫商人の姿も見える。ロストナンバー達は集まる犬猫と戯れながらそれぞれに裁縫を約束するなどしていた。
 ロストレイル号の出発を待ちながら細谷は、猫族と犬族との確執の根源はどこにあるのだろうかと考えていた。見送りに来た猫の考古学者シュリニヴァーサに訊ねる。
「もともと犬たちはあなた方によく似た者達を神として従っていました。その神は我々猫族の言うことも良く聞くので、無礼であると犬たちは考えていたようです。ところで細谷さん、私は…… オスです」

†  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †  †

どこかの宙域

「ボーズ様、助かりましたね」
「情報の通りだ。彼らは  ……やさしいな」
「ええ、彼らは、神ではありませんが我々の希望を叶えてくださるでしょう」
「は、ははは…… 久しぶりにお前にブラッシングして貰いたくなったぞ」
 こうして二匹の猫と犬は、静かな惑星の陰に消えていった。

クリエイターコメント 毎度驚天動地のプレイングで展開が読めません。トミノワールドにイマガワワールドが混ざって変なことになりました。はい。
 これで良かったんでしょうか。プレイングにそう書いてあるから自分にはどうしようもありません(笑

 この先どうなってしまうのでしょうかね。

それでは、
公開日時2010-09-02(木) 18:30

 

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