ロストナンバーたちは彼女の前にやって来た。 世界司書、ジジ・アングラードはのんびりと紅茶を飲み、くすくすと笑った。「皆さんいらっしゃいました? ふふ、緊張しないでくださいな」 彼女の竜の手はとても服装や他の容姿とは相反するようなごつごつとしている。 穏やかな表情で男性の人形の頭を撫で、「そうそう」と言葉を紡ぐ。「モフトピアでアニモフたちのファッションショーがあるらしいですよ」 アニモフたちのファッションショー? 頭の上に疑問符が浮かんだ。 ぬいぐるみのような彼らが服……? と難しそうな顔をする。 ジジはくすくすと笑って答えた。「ファッションショーと言っても、リボンを付けたり、ネクタイを付けたり、その程度ですけれど、面白いのでお手伝いしてくるのも宜しいんじゃないでしょうか」 アニモフたちを自分好みにコーディネートしちゃってください、とジジは微笑んだ。 必要になるアクセサリーや布でしたらあたしが用意しちゃいます、ですので思う存分遊んできて下さい。 ジジは自分も行きたいなぁ、という顔を全面に出しながらも、楽しそうにしている。「場所は甘いあまぁ~い、砂糖菓子で出来たステージになるわ。皆さんもこれを機に着飾ってアニモフたちとステージを歩いてみてはいかがかしら?」 それにたくさんのアニモフたちが見に来ているらしいですよ、と付け足すように言った。 最後にジジは導きの書を持ちながら、「危ないことはありませんから、楽しんできて下さいね」と手を振った。 場はモフトピア――。 会場にはたくさんのアニモフたちが集まっていた。 周りには金平糖のなる木々、そしてグミの実がなる植物。 会場はとても凝った作りの砂糖菓子。薔薇や百合の形を模している。 ステージ裏には精一杯おめかしをしているアニモフたち。しかし足りない。なんだかリボンやネクタイを付けるだけでは何かが足りない気がする。 1体のアニモフがこちらに気付いて、にっこりと微笑んだ。 飛び入り参加もOKだよ、と笑う。 彼らの可愛らしいファッションショーにはロストナンバーの創意工夫が必要である――!
◆ ◆ ◆ お洒落と言う物は人それぞれが違う物でございます。 自分が好きなお洒落。人が好きなお洒落。 それは違うのかもしれませんわね? でも案外、触れ合ってみると……、でも案外、見てみると……、それがお互いを理解し得る判断材料になるのではないでしょうか。 くすくすくす。 理解しあえる相手がいるということはとてもとても幸運なことでございます。 なればこそ、理解し合いたい。 あたしは皆様方の背中をほんの少し押したにすぎません。 後は皆様方の理解しようとする意志。 頑張ってくださりませ。 ロストメモリー、ジジ・アングラード。 ◆ ◆ ◆ 少し話を巻き戻そう。 ジジ・アングラードに見送られた彼らは、ロストレイルに乗り、モフトピアへの旅路を行く。 乗客者は三名。 三名とも様々なファッションをしている。 「……うふふ、モフトピア、モフトピア……♪」 桜の花の模様の着物で淑やかな姿を見せるのは月見里 咲夜。 モフトピアが大好きな彼女。可愛らしい純粋な女の子が大好きなふわふわ、もふもふ、ああ、早くモフトピアへ行きたい! 慎ましやかにと努めようとしているものの、モフトピアへ行ける、アニモフと触れ合える、と考えただけでよだれが出そうな気がする。出ないけれど。 嬉しさがそれら全てに打ち勝ってしまっているようだ。 咲夜の膝にはフォックスフォームのセクタン、ちとてんがちょこんと座っている。尻尾を弄りながらロストレイルの揺れを楽しむような仕草。 彼女の前に座っているのはガルバリュート・ブロンデリング・フォン・ウォーロード。 彼とモフトピアにいるアニモフを並べて想像してみよう……残念だ、想像が出来ない。ガルバリュートが自分でも考えてみた。わからない。 しかしこれからその姿を見ることが出来るだろう。 「ファッションショー、か……」 甲冑を好んで着用し、上半身半裸の彼にとっては無縁の話だったのかもしれないが、何事も挑戦することに意義があると言う物。 咲夜の隣に座り、たくさんの荷物を持っているのはローナ。 彼女の服装はレースがふんだんに使われ、ふんわりと可愛らしい黒のワンピースの上には、これまたレースがふんだんに使われた黒の上着を着用している。そして可愛らしい黒地に赤のレースがついたマフラー。 いわゆるゴスロリというものである。 ローナはそれらを好んでいた。 たくさんの荷物は今回アニモフたちにもロリータ、ゴスロリ、ゴスパン‥‥などなど様々なファッションを施すためのもの。 普段から壱番世界のファッション雑誌を購入し、我が道を行くファッションを好む彼女。 どのような出来か、自分でも楽しみで仕方がなかった。 三者三様。 思いも成りも違う三人だが、目指すモフトピアへの道は同じ。 モフトピア行き、ロストレイル――もう暫くで到着いたします。 ◆ ◆ ◆ モフトピアのターミナルを降りると、たくさんのアニモフたちがやって来た。 「うふふ、モフトピア……きゃ、キャーーーッ!! アニモフーー!!」 アニモフへ向けて大突進していく咲夜。彼女は今、とても、幸せな気分を味わっているのだろう。 「わ、わっ」 「お姉さん、落ち着いて落ち着いて」 急に抱きつかれた状態になったアニモフたちは慌てながらも、まんざらではない様子。 彼女に遅れて、ガルバリュートとローナもアニモフたちの輪に混ざる。 「ふっふふふ……あの子はリボンでしょうか、あの子は王子系かしら……あら、あの子は赤が似合いそう!」 だんだんローナもテンションが上がって来た。 もはや妄想をとどめることが出来ない。 彼女の頭の中はゴシック、ロリータ、パンク、ひらひら、ふりふり、レース、繊細な作りのファッション。 ああ! 早く早く! 私にそれを見せて下さい……!!! 「ふむ……モフトピアでどれだけ拙者の筋肉が通用するか……! これまた挑戦であるな」 可愛らしいぬいぐるみのようなアニモフたちを見て腕組みをし、ガルバリュートはにんまりと笑みを深めた。 「アニモフって筋肉あるんでしょうか」 「……! あ、ある! きっとある!」 ローナの素朴な疑問に、拳をぎゅっと握り締め断言する。 アニモフたちを見る……あいつは駄目だ、こいつも、うーん、どこかに……ん? 「む、いかがした? 拙者の筋肉に見惚れたか?」 ガルバリュートの筋肉を見て、きらきらと瞳を輝かせるアニモフたちが六匹。 「う、うん。お兄さん、かっこいい!」 「僕もお兄さんみたいに力強くなりたいな……!」 わらわらと彼の周りにあつまるくまのぬいぐるみのようなアニモフたち。頑張ってガルバリュートのように力こぶを作って見せるが、思うように出来ない。 しょんぼりとした顔を見せるアニモフに、ガルバリュートはモフトピアにも筋肉を探究する精神を持つ者がいたか……! と感慨にひたる。 出来なければそれをなす術を教えようではないか!! 「アニモフたち! 拙者たちを舞台まで案内してくれたまえ!!」 「うんっ!」 「三人ともついて来て♪」 三人はアニモフたちに案内されるがまま、ファッションショーの会場まで楽しげに歩いて行った。 ◆ ◆ ◆ 「これは……、これ、全部、砂糖で出来ているの……?」 「うん♪ そうだよ!」 咲夜の言葉に楽しそうにアニモフの一匹が答える。 金平糖のなる木々やグミの実がなる植物の奥を進み、広く大きなステージがそこにはあった。 事前に砂糖で出来ていると知っていたため、さほど驚きは……いや、逆だった。砂糖で出来ていると知らされていたため、逆に驚いてしまう。 思っていた以上に豪華なステージ。壱番世界でのトップモデルたちが歩くステージと変わりない――いや、それ以上に装飾が施されている。 砂糖で出来た造花がたくさん。 ステージライトがきらきらと光り、砂糖とは言っても色が付いている。赤青黄色みんな綺麗だな……は置いといて。ぬいぐるみのようなアニモフたちがこれを作ったのだろうか? それも想像しがたい。 「……貴方たちが作ったのですか?」 「ん、んー、僕は作ってないけど、僕が生まれた時にはもうここにあったよ」 「あたしが生まれた時にもあったね。でも少しずつちっちゃくなっていってるよ」 ローナの問いにアニモフたちは次々に「私が生まれた時もー」「わたしもわたしも」「あたいもそうだね」と口々に言う。 少しずつちっちゃくなっていっている? なんで? とローナは聞き返す。 「皆齧って食べちゃうの! だから少しずつちっちゃくなっていってるの」 近付いてよく見てみると、誰かの歯型や欠けている部分がある。少しずつ小さくなっている、昔はもっと大きかったのだ。どれだけの大きさだったのだろう。三人は口をあんぐり開けて、そのステージを見る。 すぐに咲夜は「はしたないわ!」と言って慌てて口を塞ぐ。 ステージの周りには観客と思えるアニモフが並べられた椅子に座っていた。かなりの数のアニモフたちがいる。 後ろには立ち見でぴょんぴょんと飛びながら開始をまだかまだかと待っているアニモフの姿も。 「三人とも、ステージ裏はこっちだよ♪」 アニモフたちが三人をステージ裏に案内する。 そこには出番を間近に控える緊張した面持ちのアニモフたち。 三人を迎えたアニモフたちはくまのぬいぐるみのアニモフが多かったが、こちらには猫や犬や兎、様々な種類のアニモフたちが今か今かと互いの衣装を確認し合っている。 「(ああ、可愛い、可愛い、可愛くて仕方がない!)」 咲夜の頭の中はアニモフの可愛らしい姿でいっぱいになった。 彼女は兎のアニモフをコーディネートするようだ。 持参したちりめんの布地でリボンを作る。兎の耳のところにゴムで止める。うん、可愛い! そして器用に花の形を模したコサージュを作り、胸のところにくっつける。ちりめんの鮮やかな色使いが可愛らしいアニモフに映えた。頭にバンダナを巻いて、それから小さな布袋を持たせる。 「ちとてん、ちとてん、こっちにいらっしゃい」 ぼんやりと金平糖のなる木を見ていたちとてんを手招きをして咲夜は兎のアニモフとお揃いのリボン、花の形のコサージュ、バンダナを付け、小さな布袋を持たせた。 二匹の姿を見て嬉しそうに微笑む。 「あ、そうそう……忘れてたわ……ね、貴方……」 「ん? 僕かい?」 咲夜は観客の方へ行こうとしているくまのアニモフに声をかけた。 「このファッションショーの様子を写真に移して欲しいの。このボタンを押してね……」 くまのアニモフは咲夜の説明を聞き、「うん、わかった!」と楽しそうに渡されたカメラを持って走って行った。ああ、その姿も可愛らしい!!! ガルバリュートはというと、筋肉に興味を示したくまのアニモフたちと特訓をしていた。 ファッションショーはどこへ……? と思う者たちもいたが、彼なりの筋肉への道である。 ランニング、腕立て伏せ。 アニモフたちは楽しそうに走り回ったり、腕立て伏せがうまく出来なくてぺたん、と地面についてしまったり。 その隣でガルバリュートは本気の特訓をしている。 腕立て伏せを「後1000かーい!!!」と声高々に言い、片手で腕立て伏せをしているではないか……!! その姿を見て、くまのアニモフたちは「僕たちも頑張ろう!」「お兄さんカッコイイ!」と言っている。 「ふむ……次はチームワークの美しさだな」 「はいっ!!!」 ぴしっと敬礼のポーズをするアニモフたち。もはやモフトピア騎士団長と団員のよう……にも、見えなくはない。 何やらポーズの練習や、集団での動きの練習をしているようだ。 彼はアニモフたちの自主性に任せ、好きな動きをさせる。 しかし、一匹、何故かどうしても上手くポーズが取れないアニモフがいた。 自分の気持ちではきっとカッコイイポーズをしているつもりでも、それが何だか滑稽に見えてしまう。 だが、その一匹を見捨てる彼ではなかった。 「ここは、こうだ!!」 ぴしーん。 彼の動きを見て、その一匹もぴしーん、と頑張ってポーズを取る。 頑張っている、しかし、ガルバリュートは首を横に振った。しょんぼりと悲しそうな顔をするアニモフ。 「……拙者と貴殿たちでは形が違いすぎる。ただ拙者の真似だけをすればいいというわけではないのだ」 そう、アニモフだからこそ、アニモフならではの筋肉の見せ方を、彼はそのアニモフに説いた。 「は、はいっ!!」 もはや関係は上官と兵士。 そんなファッションショーとはまったく関係のなさそうなことをしている彼とは対照的に、ローナは自分の思う通りにアニモフたちをデコレーションしていく。 「こちらローナ・ワン」 「はいこちらローナ・ツー」 「ローナ・スリー」 「ではではローナ・フォー」 彼女の髪の毛の先端から増殖した彼女。 容姿は同じだが、服装は違う。 「折角の舞台なのにコピーの名前が番号だと味気ないですからステージネームを考えないといけませんねー」 「では私はレダと」 とローナ・ツーが言った。 「私はハルナ」 「じゃあじゃあどうしましょうかねー、リアにしますー」 ローナ・スリー、ローナ・フォーもにこにこと微笑みながら答える。 全部ローナ本人だ。 しかし4人が別々の行動を取っている。ローナは兎のアニモフと、レダは猫のアニモフと、ハルナはペンギンのアニモフと、リアは犬のアニモフと一緒にステージを歩くようだ。 ローナが用意してきた大量の荷物をコピーの彼女たちは最初から知っていたかのようにアニモフたちに付けて行く――いや、知っていたのだ。皆ローナなのだから。 彼女たちはアニモフたちを自分色に染めて行く。 「皆さーん、準備、大丈夫ですか? そろそろ始まります」 スタッフをしているアニモフだろうか。両手を振って開始を知らせる。 ◆ ◆ ◆ 歓声が聞こえる。 3人とも緊張していた。いや、アニモフたちも緊張している。 誰もが緊張していた。 「よし、アニモフたちよ、筋肉美を見せてくるのだ!!」 「ガルバリュートさんは出ないの?」 「うむ、アニモフたちに任せる」 ガルバリュートは咲夜に言うとアニモフたちの背を押した。 「はいっ!!」 ぱたぱたぱたーと走り、ステージを歩く。ガルバリュートは幼稚園の学芸会をはらはらと見守るお父さんのような気分でアニモフたちを見送った。 ガルバリュートはそこら辺にいっぱいある砂糖で出来た花をくまのアニモフたちにくっつけた。ファッションショーと言うには他の2人には劣るかもしれないが、彼はパフォーマンスに賭けている。 くまのアニモフたちは教わった通りにまずは、ダブルバイセップス。むんっ。 次にポーズを取る。おおー、と歓声が起こる。 ラットスプレッドを取る四匹に脇の二匹がサイドチェストで魅せる。 ――その時。 ガルバリュートは我慢しきれなかったのだろうか、ステージに突進していった。 「く……惜しい、惜しい、もっとだああああーーー!!」 「え、ええー……さっき行かないって言ったのに」 咲夜とローナは苦笑しながらその姿を目で追った。 固まったくまのアニモフたちに突進――アニモフたちが彼に飛び付きそれぞれがポーズを取る。 「モフ爆弾っ!!!」 ぼふんっ!! くまのアニモフたちがひゅーん、と飛んでいった。 そして満足したのか、ダブルバイセップスで両腕の上腕二頭筋を強調して最後にニッと笑った。 「全然洒落には貢献できなかったが、満足!」 颯爽と戻って来た。 スタッフをしているアニモフ、咲夜、ローナがぱちぱちと手を叩く。 「じゃあ次はあたしがいくわね」 嬉しそうに咲夜は兎のアニモフとちとてんの二匹と手をつないでその道を進んだ。 ステージの一番端まで歩いて行く。 まずは自分がくるりと回って見せる。そして兎のアニモフとちとてんの二匹がくるりと回った。 「(まずい、二匹とも可愛すぎてどうしよう!!)」 もう駄目、抑えられない!! きゃー、と嬉しそうに二匹に抱きついた。うふふふ、と嬉しそうにしながら抱きついたままステージ裏へと去っていった。 暫く咲夜は、二匹を離そうとはしなかった。 兎のアニモフが「お、お姉さん……くる、くるし……」と呟くまでではあったが。 至福、と言う表情をしていた。 「では、私ですね♪」 兎のアニモフと並んでローナが歩く。 兎のアニモフには薄桃色の大きなリボンのカチューシャといたるところにリボンをつけて。 自身は膝丈の真っ赤な薔薇のワンピース。中にふんわりとさせるためのパニエを穿いている。 上着はフリルがいっぱいリボンがいっぱいのカーディガン。 ツインテールの髪の毛にリボンのついたカチューシャ。 イメージはアニモフとの双子。 ローナがステージの一番右端でポーズを取る。次はローナ・ツーのレダが歩く。 猫のアニモフは小さなシルクハットのようなものを被り、タキシード風の衣装。王子様のようなイメージである。 レダは薄桃色のブラウスに真っ赤な薔薇の模様の入ったジャンバースカートに黒のコルセットを付けた。 「テーマは王子と小悪魔姫なのです」 そしてレダはローナの隣、左端にてポーズを取る。 わああああ、と歓声。ぱちぱちぱち、と手を叩くアニモフたち。 ローナペアとレダペアはお互いくるりと回って見せ、クロスしてステージを戻っていく。 それと同時にローナ・スリーのハルナがペンギンのアニモフとステージに現れた。 ぺたぺたと歩きながらのペンギンのアニモフはフード付きの修道女風の黒いワンピース。白いリボンのタイがついている。 ハルナは黒いブラウス、黒いワンピース、黒いコルセットで黒で責めた。 ブラウスに付けられたリボンなどはピンクが刺し色となっている。 ミニのシルクハットを付け先ほどレダがいたステージの左端に止まる。 「最後のリアなのです」 リアとペアを組む犬のアニモフは皮のライダースジャケットを着用している。パンク系のようである。 一方リアも黒のライダースジャケット。中は黒と赤のTシャツ。下は黒のプリーツのミニスカート。更に網タイツとガーターベルト。 ハルナの隣、右端で止まってくるりと回り先ほどと同じようにクロスして戻っていった。 わああああ!!! 歓声は暫く止まなかった。 「お姉さんお兄さんたちありがとう! ファッションショーは無事大成功だよ」 嬉しそうにくまのアニモフが微笑んだ。 三人が三様の姿を見せたファッションショーは無事に終わった。 去り際にダブルバイセップスを見せるくまのアニモフたちやちりめん模様の飾りを付けた兎のアニモフやゴスロリ、ロリータ、パンクなアニモフたちが惜しそうに旅人たちの帰りに手を振った。 ◆ ◆ ◆ 「ジジさん、お土産です」 「あらあら? なんでしょう、わくわくどきどきハプニングかしら?」 くすくすと笑いながらジジ・アングラードに封筒を渡した咲夜。 素っ頓狂なことを言っているジジだが、その封筒を開けるとファッションショーの模様を移した写真。 「あらあらまあまあ! うふふ。可愛らしいお姿のアニモフたち、三人の個性的なお姿、あたし感動いたしましてよ」 にっこりと笑って次々と写真を見て行く。 それでは! とジジに手を振った咲夜を見送って、ジジはくすくすと笑い、呟いた。 「楽しかったようで、宜しゅうございます」 お し ま い
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