クリエイター阿瀬 春(wxft9376)
管理番号1147-23372 オファー日2013-04-18(木) 21:30

オファーPC アルウィン・ランズウィック(ccnt8867)ツーリスト 女 5歳 騎士(自称)
ゲストPC1 業塵(ctna3382) ツーリスト 男 38歳 物の怪

<ノベル>

 業塵が居ない。
「ゴー!」
 お台所の、業塵がどこからか調達してきたコンペイトやカリントやダイフクなんかを仕舞っている戸棚の前にも、
「ウー!」
 同居人の書斎の、難しいご本や色んな図鑑が並ぶ本棚の脇にも、
「ジー!」
 時々手下の蟲たちと何時間も黙って向き合ったり、変な匂いのする瓶に入った飲み物をサカズキという小さいお碗に酌んで飲んでいたりする業塵のお部屋にも、
「ンー!」
 もしかしてと戻って覗いてみたアルウィンのお部屋のアルウィン用の虫図鑑の前にも。
 おトイレのドアをどんどこどんどん叩いてみても、返事はない。
「ゴウジン! どこだー?!」
 どんぐり色の髪からぴょこんと出た狼の三角耳をぴんと立てて、動きやすいズボンからぴょんと出た尻尾をぱたぱた振って、アルウィン・ランズウィックは家中を走り回る。子分の業塵を探す。
「ゴー! ウー!」
 お家巡回三周め、業塵の名前を声の限りに呼ぶこと七回め、
「ジー……あ!」
 ふと思いついた。そう言えば家の外はまだ探していない。もしかするとまた庭で蟻の行列を眺めているのかもしれない。
「ゴー!」
 八回めの業塵の名前を呼びながら、アルウィンは玄関へと駆けて行く。
「ゴウジン!」
 玄関を出て、家の周りをぐるっと回って裏の庭に出ると、思った通り、業塵は庭に居た。
 アルウィンの方に烏帽子と藍色の直垂の痩せた背中を見せて、庭木の一本の下、何だかぼんやり立っている。周りに二三匹居るアルウィンの半分くらいの大きさの蟻さんは、業塵の手下だ。業塵は黒露衆と呼んでいた。
「みーっけ!」
 アルウィンは灰色の大きな眼を笑みでいっぱいにする。今日は何して遊ぼう。かくれんぼか騎士とドラゴンごっこか一騎駆けごっこか。
「うちとりもちー!」
 討ち取ったりー、と叫んだつもりで、業塵の背中目掛けて突撃する。黒露衆が触覚をひょいと動かし、脇に退く。アルウィンは業塵の骨張った腰にがっしりしがみつく。
 いつもなら冴えない顔を振り向かせ、細い腕を伸ばして受け止めてくれるのに、今日は違った。何の反応もなく、そのまま地面にうつ伏せにばったり倒れてしまった。新しい遊びだろうか。
 キャッキャ笑って業塵の背中に馬乗りになるアルウィンの傍で、黒露衆がおろおろしている。業塵はぴくりとも動かない。
「……ゴウジン?」
 いつもより更に薄い反応に、アルウィンは心配になる。
「どしたゴウジン! アルウィン、まだなんにもしてないぞ?」
 直垂の後ろ襟を掴んでも、がくがく揺れる烏帽子の下の耳たぶを掴んでみても、業塵は枯れ枝のような細くて冷たい指の先ひとつ動かさない。お腹が痛いようなしょんぼりした顔はいつものことだけれど、今日はいつもよりももっとしょんぼりぐったりしているようにも見える。
「ゴウジン?」
 業塵の耳たぶを掴んだまま、どうしたものかと考え込んでいると、とんとんと背中を叩かれた。黒露衆の一匹がつやつやした節足で手招きする。
「お嬢、此方へ」
 頑丈そうな顎をかちかち動かして、業塵の上からアルウィンを退かせる。別の黒露衆が大福餅や桜餅が山と乗った盆をどこからか持って来て、伏して動かない業塵の前に置く。もう一匹別の黒露衆が緑色した一升瓶をその横に捧げる。
「お嬢、今日のところはご勘弁くださいやし」
 黒露衆が次々と現れてはお菓子やお酒を置いていく。業塵の周りはあっという間にお供え物でいっぱいになる。
「どかしたのか?」
「いえ、その……」
 言葉を濁し、目玉をきょろきょろさせる黒露衆に、アルウィンはぐいと顔を近づける。
「アルウィン、隊長だ。ゴウジン、子分だ。子分困ってるなら、隊長助ける、とうせんべい!」
 アルウィンの強い主張に、黒露衆は気圧されたように触覚をふるふる震わせる。当然、でやすね、と小さく突っ込んでから、
「特別な酒が切れたせいでさあ」
 お供え物に埋れる業塵を振り返る。ぴょこんと動く蟻さんの眼につられて、アルウィンも業塵を見遣る。
「でもお嬢は心配せずとも」
「どこにあるんだ、それ!」
 黒露衆の言葉を遮って、アルウィンは勢い込んで声を上げる。業塵の周りをうろうろしていた黒露衆が揃って触覚を跳ね上げる。
「教えろ、コクトウ!」
 黒露衆でやす、と蟻さんは表情の分からない顔の作りなりに困惑した顔をする。けれど黙っていてはこの先ずっとこの小さな隊長に付き纏われるに決まっている。
「旧雨声藩藩邸でごぜえやす」
「……すあまとはんぺい?」
 何だか甘くてふわふわしてそうなお家の名前だなとアルウィンは思った。
「へえ。そこで月イチ、特別な酒を手に入れ……」
 そのお酒を飲めば業塵は元気になる。
「ッて、お嬢!」
 黒露衆の言葉の半ばでアルウィンは素早く駆け出す。窓から自分の部屋に飛び込んで、騎士の兜と自分用の槍を引っ掴む。兜を被りながら窓から飛び出す。
「何処へお出かけですかい!」
「すあまとはんぺい!」
「ちょッ、お待ちくだせえ!」
 アルウィンに口を滑らせた黒露衆も、業塵の傍でうろうろしていた黒露衆も、みんなまとめてアルウィンにわらわらと集る。
「お待ちくだせえお嬢! せめて、せめてお供させてくだせえ!」
「アルウィン、ひとりで行ける! ゴウジンのかんぴょ、頼む!」


 後生ですから道案内だけでも、と縋りつく黒露衆一匹を連れて、アルウィンは元気いっぱい0世界を駆ける。画廊街も駅前商店街も、子供と動物しか通れない秘密の抜け道も通り過ぎて、やってきたのは大きな大きなお屋敷。
 どこまでも続いていきそうな白壁に黒瓦を乗せた高塀に沿って歩く。武家屋敷と言うんでさあ、と黒露衆が教えてくれた。
「ぶきや?」
「へえ、武器もあるやもしれやせんねえ」
 黒い触覚をちょいちょいと動かし、黒露衆は足を止める。怪獣の口のように大きく開いた門戸の前で、アルウィンはこども兜をぎゅっと深く被り直す。
「やっぱりあっしも一緒に」
「コクトウは回れくるくるー!」
 黒露衆を無理やり回れ右させて、アルウィンは旧雨声藩藩邸に向けて、
「たのもー!」
 力強く突撃する。
 木と鉄の門を潜った途端、ふうっ、と世界が薄暗くなった気がした。思わず鈍る足をシッカリしろと足踏みして、ついでに砂利の上で何度か飛び跳ねる。じゃりじゃりじゃり、妙に静かなお邸の前庭に砂利の音が異様に大きく響き渡る。
 門を潜るまでは黒露衆がやいのやいの言う声が聞こえていたのに、今はもう何も聞こえない。
 前庭に一本きり植えられた満開の藤の木が、風もないのにふらふら揺れる。見回す限り人の姿は見えないけれど、格子戸が開いたまんまの広い玄関口や前庭に面した濡れ縁のある回廊の辺りから、ととととッ、と見えない誰かが走り回る軽い足音が聞こえる。
 アルウィンはぱちぱちと瞬きする。自分用の小さな槍をきゅっと両手で握り締める。槍に結わえた房飾りにほっぺたを撫でられて思わずヒャッと声をあげる。
「帰れ」
 不意に誰かに声を掛けられた。ひゃん、ともう一度声を上げてから、アルウィンは慌ててぐるりを見回す。薄紫の藤の木の下、アルウィンと同じ年くらいの子供がいる。
 肩で切り揃えた黒髪、業塵が着ているのと少しだけ似た形の服。
 アルウィンはお腹にぐっと力を込める。ここはバシッと格好良く問いかけなくては。
「な、なにやつはしっ」
 何奴、と聞いたつもりで、お子様槍を構える。着物纏った謎の童は黒露衆の眼と少しだけ似た黒眼がちな眼を無表情に瞬かせた。
「帰れ」
「おとこわりだ!」
 アルウィンは力強く拒否する。童は首をこくりと傾げ、アルウィンの強情な灰色の眼と引き結んだ唇を暫く見詰める。首の傾げ方がちょっと業塵と似てるなとアルウィンはちらりと思う。
「玄関から入りて後、廊下を真直ぐ進め。閉まっている障子と襖は全て開け」
 童は口を開くなりすらすらと話し始めた。なんだか大事な話なのだろうと思い、真剣な顔で頷き始めたものの、
「最奥の襖の前に……」
 途中から頭の容量が足りなくなった。
「暫し待て、書きつける」
 口を半開きにして眠たそうな顔をするアルウィンを見て、案外世話好きな童は袂から筆と紙を取り出し、さらさらと何事かを書き付け始めた。
「なんだそれ」
 はッ、と気付いて、アルウィンは藤の木の下に駆け寄る。
「酒の調達の方法だ」
 お邸の見取り図とこなすべき手順を丁寧に描きながら、童はぶっきらぼうに答える。
「お酒ちょとつに来たの、なんで知ってる」
「酒の調達に来たのであろう」
 アルウィンに不思議そうに問われて、童はほんの少し慌てた。見取り図と手順を描き終えた紙をアルウィンに押し付ける。
「良いか、呼ばれても答えるな、振り返るな」
 怖い顔できつく念を押す。
「これも持って行け。必要だ」
 袂から和紙に包んだ蒲公英と菫を取り出し、アルウィンの手に握らせてくれる。小さな蕾がぴょんと揺れた。
「ありあと、……あれ?」
 アルウィンが礼を言うか言わないかの間に、不思議な童は藤の花の内に溶けるように消える。童が消えた辺りの空中に手を伸ばしてみる。触れるものは何にもない。
「よし!」
 童のことも気になるけれど、今は先に業塵のためのお酒を手に入れなくては!
 花を片手、槍と地図をもう片手に握り締めて、アルウィンは大きなお家の玄関口に回る。童が書いてくれた地図には、玄関から入って真直ぐ進めと矢印が描かれている。
「こんちや!」
 しんと静まり返った玄関口で、元気よくご挨拶。格子戸の玄関を潜る。磨きこまれた木の廊下を靴で踏んではいけない気がして、だだっ広い三和土で靴を脱ぐ。一段高くなった廊下に足を踏みいれた瞬間、
 ごうっ、と廊下の奥から突風が押し寄せた。がたがたがた、廊下の片側にある閉ざされた障子が吹き飛びそうな音を立てて揺れる。うわはははッ、お邸中に野太い男の笑い声が響き渡る。
 立ち尽くすアルウィンの兜からはみ出た髪と三角耳をぐしゃぐしゃにかき回して、風は玄関から外に出て行く。笑い声は聞こえたのと同じくらい唐突に聞こえなくなる。
 しばらく固まってから、アルウィンは水から上がった犬のように耳のから尻尾の先まで身体を震わせた。
「こ、怖くなんかないぞ!」
 槍をぎゅっと握り締めて、花は潰さないようにそっと持って、廊下を歩き始める。開け放たれたままの玄関からお陽さまの光が入ってきているはずなのに、どうしてここはこんなに薄暗いのだろう。
 障子の前で立ち止まる。童が書いてくれた地図を広げて確かめる。
『これより先のしょうじとふすま、すべてひらいてゆけ』
 しょうじとふすま、と言うのがアルウィンにはよく分からなかったけれど、たぶんこの紙と木で出来た両開きの扉のことを言うのだろうと理解する。
 なんだか生温い障子の枠に手を掛け、思い切って開いた途端、
「わッ!」
 背後から大声で脅かされた。
「わあっ?!」
 飛び上がってびっくりして、畳の上に顔からびたんと転がる。背後で誰かがくすくす笑う。小さな足音がととととッ、と遠ざかる。
 新しい草の匂いがする畳にぶつけた鼻とおでこを擦りながら起き上がる。振り返りかけて慌てて止める。
「答えるな、振り返るな」
 童に言われた言葉をお呪いのように呟いて、どきどきする胸を押さえて深呼吸。大丈夫だいじょうぶ。
 御守のように握り締めた槍と和紙に包まれた花を確かめ、部屋の奥にある襖へと向かう。白黒の竹林が描かれた襖に手を触れて、アルウィンは狼の三角耳をぴくりと立ち上げた。
 どすん、どすん。何か重たい足音が後ろの障子の廊下から聞こえてくる。足音と一緒に床がびりびりと震える。どすんどすん、どすどすどす。足音は段々速くなってあっと言う間にアルウィンの背後に、どすり。
 兜の上に何かが乗っかる。潰されそうになるくらい重たい何かに、アルウィンは尻尾も耳も逆立てる。
「うわあ! わー!」
 手にした槍を天井に向けて振り回す。それでも頭の上の何かは離れない。ぐうっと重さが増す。兜からはみ出た髪の毛がぐいぐいと引っ張られる。後ろにひっくり返りそうになるのを踏ん張って堪えて、手を伸ばして襖を掴む。襖を開いた途端、後ろにいた悪戯ものは居なくなった。
 無理やり振り返らせられずに済んだ。アルウィンは身体中から息を吐き出す。
 次の部屋には床の間があった。ふくふくしたにこにこ顔のおじちゃんの絵と丸い鏡が飾られている。
「ええっと、」
 はッと我に返り、アルウィンは地図を確かめる。ええと、壁に掛けられた布袋さんの掛け軸を外して、くるくる丸めて、
「何するんだよぅ」
 聞こえてきた不満気な声は聞こえない振りをする。足元をぞろぞろ何かが這いずっていく感覚も知らない振り見ない振り。振り返って喚き散らしたいけど堪えなくちゃ。首筋にヒンヤリ冷たい掌が触っても、
「ひゃん!」
 小さな悲鳴を上げるだけで我慢がまん。鏡に映った自分の顔が泣き出しそうな顔をしているけれど、けれど、……
「泣き虫毛虫、挟んで捨てよー」
 首に触れたままの冷たい手がふたつに増えた。ふざけて首を絞めようとするかのように僅かに力が籠もる。
 やめろ、と叫びそうになって慌てて唇を噛む。歯を食いしばる。泣きたいのを堪える。
(アルウィン、隊長だ! 隊長なんだ!)
 子分の業塵が困っている。隊長の自分が何とかしてやらなくては。
 業塵に一緒に遊んでほしい。元気になってほしい。
 でも、……でも、怖いよう。
 アルウィンは頭を抱える。槍と花と地図と掛け軸を抱えて、団子虫の格好でうずくまる。うずくまって、
「うわあぁあっ!」
 力いっぱい、吠える。全身をバネにして勢いよく立ち上がる。
 そこにはびっくりした顔の童が居た。こちらに手を伸ばした格好で固まっている。アルウィンを見詰め、
「進めるか」
 心配げな顔で問う。アルウィンは大きく頷く。泣きたい気持ちは追い払い済みだ。
「道は分かるか」
 短い言葉を重ねて聞いてくる様子がやっぱりちょっと業塵に似てるな、と思いながら、アルウィンは地図を広げる。後は廊下を渡った先の箱庭の水盤に掛け軸を沈めて、その隣の部屋の前の柱に掛けられた花瓶に花を入れれば手順はおしまい。大丈夫、出来る。
「一緒、来るか?」
 聞きながら顔を上げた時には、童の姿は無かった。
 ほんのちょっとだけがっかりしながら、アルウィンは地図に書かれた通りにお邸を進む。
 最後の部屋の障子の前の柱の花瓶に背伸びして花を入れて、――入れた瞬間、陽が差しているのに仄暗かった廊下にふわりと明るさが広がった。
 障子を開けると、畳の部屋の真中には文机一脚。
「あった!」
 机の上に一升瓶を見つけて、アルウィンは顔いっぱいで笑う。文机の前にスキップで駆け寄る。地図をズボンのポケットに畳んで仕舞って、透明なお酒が中でゆらゆら揺れる一升瓶を槍と一緒に両腕でよいしょと抱える。少し重たいけれど、業塵の喜ぶ様子を思えばこんなものなんてことない。
 アルウィンはご機嫌で行きと同じ廊下を辿って帰る。行きはあんなに怖かった廊下にも部屋にも、今は明るい光が満ちている。アルウィンを振り返らせようとした見えない何かの気配はもうしない。
 玉砂利と石灯篭と水盤の置かれた箱庭をちらりと覗く。水盤に滑り込ませたはずの掛け軸は溶けたようになくなっている。
(ふしぎなお家)
 不思議なお家だからこそ、業塵のための『特別なお酒』が用意出来るのかな。
 そんなことを考えながら、消えてなくなった布袋さんの掛け軸が飾られていた部屋を横切る。床の間には、今は鏡だけがある。さっき鏡に映っていたアルウィンは泣き出しそうだったけれど、今のアルウィンは元気いっぱいのにこにこ顔だ。
「あれ?」
 鏡の中でアルウィンが眉間に皺を寄せる。
 鏡の中にはアルウィンとアルウィンの背後が映っている。でも、アルウィンだけじゃない。お家の庭で倒れているはずで、ここには居ないはずの業塵が映っている。
 いつも通りのなんだかしょんぼりしたような顔の業塵のその後ろに、たくさんの怖い顔した女の人。皆が皆、手に手に包丁を持っている、刀や槍や薙刀や短刀を持っている。怖くて悲しい顔で業塵に今にも切りかかろうと一斉に刃を振り上げる。
「ゴウジン!」
 アルウィンは迷わなかった。業塵を助けるため、後ろを振り向いた。



 ゆらゆら、ゆらり。
 水に当たって光が揺れている。
 アルウィンは眼を瞬かせる。揺れているのは業塵が小脇に抱えた一升瓶の酒だ。酒と一緒にアルウィンも揺れているのは、アルウィンが業塵の背中に負われているからだ。
「ゴウジン」
 寝惚け眼で子分を呼ぶ。業塵は小さく頷いた。お家に帰る道だ、とアルウィンはぼんやり思う。
 何故一人で行った、とかなんとか業塵が小さく問うてきたけれど、そんなことよりも、
「ゴウジン、だいじょぶか」
 業塵の身体の具合の方が心配だ。業塵はこくりと頷く。アルウィンの身体を揺すり上げる。
 一升瓶と一緒にアルウィンの槍も業塵が抱えてくれているのを見つけて、アルウィンはなんだか安心する。
 ゆらゆら、一升瓶の中で光とお酒が踊る。うつらうつら、アルウィンは業塵の背中にもたれる。手を伸ばして業塵の耳たぶを掴んでみる。
 夢の中に戻っていく途中で、業塵が『次は一緒に来るか』と問うた気がしたけれど。
 そんなの、答えは決まっている。



クリエイターコメント お待たせいたしました。
 プライベートノベルのお届けにあがりました。
 お久しぶりです、アルウィンさん、業塵さん。
 ちびっこ隊長がもうとてもかわいらしくて。

 おはなし、聞かせてくださいましてありがとうございました。
 またいつか、お会い出来ましたら嬉しいです。
公開日時2013-05-04(土) 13:50

 

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