「おまえ達に依頼したいのはある漁船の護衛なんだが……」 そう言うシド・ビスタークの声は明らかに沈んでいる。 何時もの彼の口調を知る者なら、精力的に仕事をこなし、時折熱い言葉を参加者に投げ掛ける姿が思い付くだろう。 そんな彼がこうも後ろ向きな発言をするとは…… そんな様子を数人が興味深そうに眺める中、彼の話は続く。「この漁船はこの時期ジャンクヘブンを訪れる魚を獲りに行く。だが、同じくその魚を狙う、つまり今回おまえ達に退治してもらう海魔が漁船と鉢合わせをするんだが……」 一瞬その口が大きくへの字に曲がる。海魔を思い出したのだろうか。「その敵は便座上、恐らく人魚だろうが……皆が思う人魚とは逆で」 ………逆?「上半身が魚で、下半身が壱番世界の人間の下半身になっている」 ……瞬間場が凍りついたのは気の所為じゃない!!「いや、正確に言うと人と同じ大きさの魚に人間の足が生えているんだが、それがかなりの数で漁船と遭遇する。だが、全員倒さなくても大丈夫だ。今回の人魚達にはリーダー格がいるからそいつを倒せば人魚達は逃げ出すだろう」 正直人魚イメージが崩れるからその名称は止めて欲しいのだが……彼もそう思っているのだろうか、がりがりと飾りごと頭を掻きながら、単語を必死に探している模様。「そのリーダーは海上で海草やサンゴの飾りをつけて、小船のような貝殻の上で踊っている。必ず人魚達の見える場所で踊っているからその人魚の群れ……そうだ! その魚群を退治してくれ!」 アニキ、遅いです…………「…………て、敵は基本、その数を生かして体当たり攻撃を仕かける。戦艦のように強くない漁船は魚群の体当たりを受け続けたら沈むだろう。そこは途中で救命ボートを借りるか、海上に浮いてもらうなどして漁船から離れて戦ってくれ」 周囲の程よく冷めた雰囲気を感じながらも、彼は手早く人数分のチケットを導きの書に翳して行き……「今回の敵は見た目以上に強敵だ。しかし俺はおまえ達が負けて帰るとは思わん」 僅かに輝く、真理数を刻まれたチケットを作り出して「むしろ楽しんで来い、但し命は落っことすな」 これから向かう旅人達へ差し出したのだった。
本日快晴、風も十分、ターコイズブルーの海とライトシアンの空が作ったブルーインブルーの地平線上を流れるように滑る漁船にとって、本日正に釣り日和 一方今回漁船の護衛として乗り込んだロストナンバー達、特に変化の少ない0番世界に滞在するツーリスト達にとっては原色かつ鮮やかな色彩は新鮮で、別世界に来た実感を一層引き立たせている。 「うっひゃぁ~~~~本当に海以外全然見えないな、これ」 初めての冒険にやや興奮した様子でレク・ラヴィーンが船縁から身を乗り出す。基本は2色だけの世界観ながら、頬に当たる潮風の感触や時折跳ねる小さな波の変化は、感性豊かな年頃と相まって想像以上に刺激的なのか 対して同じ年頃ながらこちらはマストの上に登って、アクロバティックさながらに2本の支柱を飛び回るのは玄兎。彼は海よりも今回の海魔に興味が強い為、あまり今回の海原には執着していない模様。その代わりに0番世界では見る事の無い帆布やマストをアスレチックジム代わりに飛び回り、時折甲高い喜声(?)を上げながらも楽しく船の移動を謳歌中。 「そういえば今回仕留めた人魚を持ち帰りてぇんだが、あんた達その人魚の食べ方で何か分かるこたぁあるか?」 水面に必要な数の救命ボートと自身の特殊能力で作った自分専用の足場になる海亀を模した飛行型のゴーレムを準備するダルマだが、ふと思い出したように今回の海魔の様子を船員に尋ねてみる。 「は!? 冗談だろう?」 瞬間『本気か?』と言いたげな渋い表情になりつつ解説する船員(32)。長かったのでざっくり省略すると今回の海魔はこの地域の船員達にとっては脅威的な存在であり、素早いスピードの上に集団で襲われれば大抵の漁船は沈没する事だってありえるそうだ。その脅威を知っているからこそ、今回の紹介を違和感無く快く受け入れてくれたのだ。 「しかし聞けば聞くほどどっかで見た覚えのあるアニメキャラやゲームキャラのような感じがするが……気持ち悪いな」 そんな海魔である人魚…… 「人魚じゃなく、魚人と言え」 了解しました。 『人魚』改め以下『魚人』の説明に李・飛龍が船員と同じく渋い表情になりながらデフォルトフォームの小竜と共に救命ボートに乗り込む。 現在彼らの乗っている漁船は停泊中。下に流れている海流を予測しながら張った網に今回狙う魚群がかかるまで、錨を下ろして待機中。しかしそれも数十分前からしており、世界司書の予言通りなら、このままでは漁船と近い距離で魚人達と戦闘を開始してしまう事になる。その為今回はダルマの飛行型ゴーレムに牽引してもらい、船員達から教えてもらった海流で魚人達を待ち合せる事になったのだ。 次に救命ボートに乗るレクも飛龍と同様今回の魚人の様子に少々恐い思いがあるようだが 「敵の奴も踊りが得意、か……。踊り子のオイラとしては、何だか負けられねぇな!」 元居た世界での踊り子として、彼女の兄と同じく武術を修める者としては、決して敵に対し遅れを取ってはいけないのだろう。その誇り故に気負いせず彼女が船へと乗り込む と、同時に甲高い叫び声がマストから響く。 「ヒャハハハハハッ!! 人魚オレちゃん初めて見た! 何アレ超イケてんじゃーん、しかもすげーいっぱいいるとかマジ最強だし!」 主は玄兎、待ち焦がれていた魚人の登場に、何時も以上の過剰表現で熱烈な声援をあげる。そんな魚人達は現在船首から見て時計で5時頃の位置、大体海流から真横の方向で訪れる予定の魚群を叩くのだろうか。 「ちょっと下準備失礼するぜ?」 玄兎の声にレクが戦う為の舞踊を舞い始め、飛龍が重心を落とし、神経を尖らせる為の型を演ずる。 そしてその隣の救命ボートが派手な水飛沫を上げて、上から跳んできた玄兎を受け止める。勿論彼の意気込みは言わずもがな。そんな皆の様子にダルマの表情が僅かににやつきながら、彼のゴーレムが動き始め…… 「さてと、パーティーと行こうじゃねぇか、手がとどかねぇ分は頼むぜ、ヴェパール」 そんな言葉を海下の未だ見えないゴーレムへ添えながら、ダルマはゴーレム達へ思念を一層強めた。 「うっわ……こりゃ想像してたのより、かなり……」 感想を言えば嫌悪と感嘆が半々、それを意外性が内包中 恐らく多くの人が想像する魚群は一塊になった『楕円型』だろう。 しかしこの魚人達の形は『扇型』。勿論支点側には例の情報に当てはまる貝や海藻で装飾されている魚人が見えるが、ホント見事なまでの『扇型』。 しかも時折タイミング良くジャンプやターンも決めてます!! 何か場所さえ違えばどっかのミュージカルやディナーショーで出せれる位の完成度だよ!!! そんな様子を半ば呆れながら思うレクだが…… 「おぉ、こいつは中々うまそうな連中だな」 「魚に、人間の足………足以外は、食えそうだな」 「食べるのかよ!? おい!!?」 全く別次元の2人の感想に思わずツッコミ。 まぁ、魚人単体の見た目はマグロやカツオ等の遠洋魚介類に似た黒く鱗の細かい肌の魚であり、人間と寸分違わぬ身長と生足を除けば食べれそうと言えば食べれそう…… 「……上半身はさることながら、足もちょっと食ってみてぇ、2,3匹持って帰りてぇとこだな」 「「!!!」」 しかしダルマだけは予想の斜め右上を想像している模様。脚の肉は少ないから煮込み料理にでも使うのか? 「ヒャーッハハハハハハハハハァッ☆オレちゃんのチェーンソーとコブシ(というかむしろ足)が呻るずぇー!」 そんな中感想を述べ合う3人に対し、玄兎だけは開始早々全速力でリーダーの踊り子へと一直線。 最初にその姿からは想像出来ない程に高く飛び跳ねて、一気に魚群へと距離を詰める。 「あの統率された動きにどこか見覚えがあるのだが……魚の表面はヌメヌメしている……今回はヌンチャクで行く」 ふと何か片隅に引っ掛かる物を感じつつも、リストバンドにしていたセブンチェンジャーを2本のヌンチャクに変化させ、じきに衝突する魚群へ向け飛龍は新たな構えをとり、続いてレクが己のトラベルギアの花嵐を構え、飛龍同様迎撃体制を採る。 「お、出てきた出て来た」 一方魚群が漁船に衝突しないよう、前の2人から離れた魚群をダルマが捉えた。瞬間、魚人達の周囲に巨大な渦潮が出来上がる。 それはダルマの使役するヴェパールの仕業。本来人が想像する空想上の人魚を模した全長2m程のゴーレムが、その身の用いて魚人でさえ動きを阻害される巨大な水流を作り上げているのだ。 しかし彼らは諦めない。その渦潮を抜け出し、先に有る彼らの目的である魚群を狙おうと、トビウオの様に水面を跳ねて脱出を図る。勿論それを逃すはずも無くダルマがトラベルギアによる斬撃を繰り出し、胴体を真っ二つにしようと試みる。 しかし全く魚人に傷が付かない。僅かに体を回転させるように逸らし、斬撃を表面で滑らせて受け流し、勢いを殺さず上げた左足をダルマの腹に決める。 想像以上の重い一蹴を、銜えた煙草を噛み締め、交差した腕で可能な限り止めるダルマ。思わず背後の2人を気に掛け振り向くと、10体近くの魚人達を抑えている姿が見える。 「ふぉあっちゃー!!」 掛け声と同時に飛龍のヌンチャクが魚人の黒い肌にめり込む。大量の魚群の行進による波によって滑る足場の中、腰を落とした片足付きに似た体勢をとり、確固たる歩型を形成する事によってボートを己の脚と一体化させた場を創り、迎撃の態勢を既に得ている。 対してレクは安定した足場で舞う跳躍を基礎とする故に、飛龍以上に足場を気にしながら魚群を迎え撃つ。 彼女は雑魚ではなく親玉を狙おうと、可能な限り己のトラベルギアの花嵐で魚人達を左右に薙ぎ払い、時には近付き過ぎた魚人には武術で鍛えた足技で腹を蹴り上げるが、 「こっ……これ以上その足をオイラに見せ付けるなぁ~っ!」 軽く涙目状態、というか思った以上に雑魚が払えません。 むしろ魚人達は薙ぎ払えば再び飛び上がって襲い掛かり、蹴り上げればその脚で逆に蹴り返し、2人が攻撃を加えれば加えるほど、彼らを倒そうと魚人達が迫る。 理由は彼らのリーダーによる音楽に縁る。巨大な貝殻を脚で太鼓のように叩き鳴らし、つるんとした口をせわしなく動かして音にも似た声を発しながら、その魚類独自の団扇のヒレで踊りを添えながら回り、波間を滑る。 それはレクの踊りの全体強化に似ているが、逃走の選択肢を封じている分、魚人達に迷いは無く、ロストナンバー達に身の引き締まった体で、鍛えぬかれた脚(時折すね毛付)を魅せ付けて突撃する。勿論精神的に来ると思うよ! そんな味方が想像以上の苦境に立っている頃既に玄兎、魚人の頭上へ着地。ほぼ反射的に残り全ての魚眼が彼へと集中する中、彼はリーダーへ『奔る』。 勿論統制の執れた魚群である。他の魚人達と同じくリーダーの叫び声に似た一声に反応して、玄兎へと飛びこんで行く。 しかしそれでも彼は止まらない。体当たりしてきた魚人の脚を掴んで投げ飛ばせば、ホットピンクのチェーンソーをバットに見立てて、無理やり弾き飛ばしたりして攻撃を弾き返す。本当はスイッチを付ければもっと行動が楽になりそうなのだが、その所はご愛嬌。 それは作戦無しの力任せ。だがそれは彼の脚力と腕力があるからこそ成せる業であり、味方も魚群も想像出来ない速さで詰め寄り、 「オレっちいーーっちばーーんっ♪」 何と誰よりも先にリーダーの乗る貝殻いかだに乗り込んだ! おぉ、と仲間が今回の依頼は早く終わるかもしれないと思った中、突然貝殻の船縁で急停止する玄兎。 「どうした! 何かあったのか!」 その様子に飛龍が呼びかけると、 「あー、でもぉ、派手派手魚のダンスとかマジウケんじゃーん?クロちゃんダンスショー超見たいんだけどぉー。」 …………へ? 「倒すのさぁ、ダンス見てからでよくねぇー?」 !!?!?!? 何とダンスのご指名が入りましたよ、リーダーさん!? 「って! そんな事言える場合か、おい」 思わず突っ込むレク、本当に正論。 「え~~~~。だーって、人魚のダンスでしかもレア物でしょ? でしょ?てかニョホッ?」 そんな正論を本気でダダをこねる玄兎……基の言葉が止まる。 リーダーが先程全く違う踊りを魅せたからだ!! まずはその場で1ターン、次に玄兎を乗せながらその場を8の字に綺麗に滑る。勿論見事な脚線美の脚と、団扇の様なヒレも無駄なくリズムを取りちゃんと彩り添えてます。 更にループしながら連続ジャンプ。何故か他の魚人達も全員跳んで、その不可解な行動に思わず最後尾のダルマも気付いて後ろを振り向く有様。 「む、今だ!」 更に大きくループするように大きく走った瞬間、飛龍の間合いにリーダーが入る。すかさずとび蹴りを繰り出す飛龍。 しかしリーダー至極自然な動作で仰け反る! その上を飛龍が飛ぶ!! 「な……! まさかその姿はイ……」 瞬間何かを感じた飛龍。 そして全てを語る前に見事に沈んだよ!!! でもちゃんと小竜が見守る中ちゃんと泳いで戻りました。 「ヒャハハハハハーーーチョーーー受ける~~~~♪♪♪」 そんな噂のダンスに思わず玄兎、大拍手。って、キミ本当に味方? と、そんな玄兎の拍手に答えるように何とリーダー投げキッス(泡製) パチンと彼の目の前でその泡は弾けて、 「あれれ~~?」 瞬間糸が切れた人形のように海に落ちる玄兎、どうやら今のが魅了攻撃のようです。 「おいおいおい……ヴェパールはそのまま続けてろ」 慌てて一部始終を見ていたダルマが救助に向かう。そしてその瞬間唯一攻撃可能だったのは………レクだ! 「う、うわわわわわわわ!!?」 瞬間恐ろしいスピードで寄るリーダー、そして二度目の投げキッス。 しかし投げキッスが弾ける瞬間、彼女の周囲にまるで空間の膜が在ったかのように、空間が大きく弾ける。思わぬカウンターにリーダーが貝殻から滑り、それまでひっきりなしに集まっていた魚人達の動きが止まる。 。o○(え、うそ。これって効いたのか?) 頭では先程掛けた精霊の舞踏による加護だと知っているも、思わぬラッキーパンチに彼女も驚いているようだ。 しかし喜んでいられない、先程の舞踏の加護は1回のみ。再びあの魅了を掛けられれば次は先程の玄兎のように自分も眠ってしまう可能性だってあるのだ。だからこそ…… 「目には目、踊りには踊りだっ!」 再び彼女は舞踊を舞う。今自分だけが満足に戦える状態だからこそ、怯えず今回の依頼を絶対に失敗させたくないからこそ、再び加護を纏う為に! そんな彼女に刺激されてか、魚人のリーダーも競うように舞を踊る。 レクが花嵐を掲げれば 己を飾る長い海藻を掲げ 彼女が軽やかに跳ねるなら 早く力強く足技を繰り出し 緩やかに桜色の腕を揺らすなら 銀色のヒレをキレ良く回して 流れる風の精霊を体現する姿に対し 波間を撥ねる海の精霊を体現する その姿は正に己の信ずる精霊を誇示する舞の応酬 正に踊り子達にとっては最も沽券に関わる舞であり それは『どんな事』よりも優先すべき舞であるのだ……!! 「なるほど、正に考えるのではなく感じる踊りだったな」 最後まで踊りきった2人の姿に思わず唸る飛龍と小竜。 因みに彼はリーダーの貝殻内に居る!!! 勿論リーダービビリます。 思わず周囲を見渡すが、しかし仲間はいつの間にか居ない。居るのはゴーレムに乗ったダルマと、ダルマによって救出されながらも未だ眠りの中の玄兎の姿だけ。 そして最も遠くに居るダルマが、言語は通じないがリーダーの疑問を端的に答える。 「まー確かに、踊りとしちゃ最高だが、『狩り』を忘れてまでやるもんじゃぁなかったな」 納得、同時に呆然。 そして次の瞬間、飛龍のヌンチャクがだらしなく開いたリーダーの頬に当たり、見事な曲線を描いて吹き飛んで行く。そしてその姿が消えるまで、今回の功労者であるレクは目で追って、完全に消えた後に緊張の糸が切れたのか、へたりとその場に座り込んだ。 「俺は、魚よりも肉のほうがすきなのだが、ブルーインブルーの魚は中々美味かったな」 漁船での出来事を振り返り、今回の料理への感想を述べる飛龍。此処はロストロレイルの車内、勿論ブルーインブルーからの帰り道である。 あの後殆どの魚群はリーダーが指揮を放棄した事により散り散りとなり、ヴェパールによって捕獲していた魚人達も全員で退治し、結果漁船には傷一つ付けずに終えれたのだ。 彼らが魚人達と退治している間、船員達も漁を行っており、彼らが戻ってきた頃には大量の青魚の下拵えに勤しんでいた。勿論、今回の結果に満足し、お礼として彼らの希望である海産物もちゃんと振舞ってもらったのだ。 「ヒャヒャ、でもやっぱりベストでジューシーだったのって人魚チャン達だよねー?」 「だ、ダメだっ!思い出すな……思い出しちゃダメだっ!」 30cm以上ある巨大な魚の尻尾を野良猫のように齧る玄兎の隣で、必死にとある事実を打ち消そうとするレク。 でも内容をバラすと実は今回戦った魚群達が一番美味しかったのだ、いや、ホント。 あの魚の味を知り尽くしている船員達でさえ驚く程に脂ののった美味しい味だった。 「ん~~まぁ、味はすこぶる美味しいが意外と手間がかかったなぁ」 因みに調理したのはダルマを含む男性陣。最初は飛龍が「これ、食えるか?」と船員に差し出したのだが、あの戦闘で全く剥げなかった硬さの鱗である。結局玄兎のチェーンソーを使った解体ショーを繰り広げて造ったのだ。 「でもメンドくさいって言いながら大量に貰ったんだな、おい」 レクがジト目で睨んだ視線の先には明らかに人間が数人詰まっていそうな大袋。因みに全てダルマの土産です。本当に何に使うんだろう、特に…… 「そういえばぁ、食べれなかったへんてこ魚の足の肉ってやっぱ色は赤なんかなぁー?うわマジグロじゃんそれぇ」 「~~~~だーかーらー言うなソレーーー!!」 玄兎の茶化しに本気で怒るレク。よっぽど見せられた足がトラウマだったのだろうか。 そんな少々騒がしい今回のメンバーを乗せ、ロストロレイルは0番世界へと戻る。 それぞれが始めてである今回の冒険に思いを馳せながら、次行く新たな冒険や出会いを思いながら、こっそりダルマのお土産の行き先も考えながら、彼らは帰っていったのだった。 【END】
このライターへメールを送る