オープニング

 太鼓の音が樹海に響く。
 鳥たちがぎゃあぎゃあと鳴きながら飛び立ってゆく。
 木陰の動物たちもどこか落ち着かない。
「森が慄いている」
 ドラグレットのまじない師たちが厳かに告げるなか、戦士たるドラグレットたちは武器を携え、その時に備えた。
「勇敢なる戦士たち」
 樹海の奥深く、ひっそりと隠れるように存在していたドラグレット族の集落は、その日、熱く沸き立っていた。
 《翡翠の姫》エメルタが、戦士へと呼びかける。
「悪しき魂が、森を侵すのを許してはなりません。この地はわれわれの聖地にして、この大地そのものの源につながる場所なのですから。……客人エドマンドの友人たちが、このたびの戦に力を貸してくれます。かつて、エドマンドがそう約束してくれたとおりに」
 ドラグレットたちの瞳が、ロストナンバーたちに向けられた。
 館長の足取りを追って、前人未到の樹海を旅してきたヴォロス特命派遣隊、そしてその援軍要請にともない、急ぎターミナルから駆けつけたもの。かれらは今、ヴォロスの古き種族ドラグレットとともに、かれらの領域へ侵略を企てる軍と、斬り結ぼうとしているのだ。
 太古の時代、ヴォロスを支配したとされるドラゴンの末裔、それがドラグレットだ。かれらはワイバーンなる小型の飛竜を駆り、空を征く勇猛な戦士だった。樹海を開拓し、おのれの領土拡張を目指す人間の国、ザムド公国は、竜刻使いの一団の結び、魔力で空に浮く船を手に入れた。その力をもってすれば、ドラグレットをも退けられると考えているようだ。
 なるほど、いかにワイバーンに騎乗し、空中戦も挑めるとはいえ、ドラグレットの原始的な武器だけでは心許なかっただろう。だが今は、ロストナンバーたちがいる。
 戦いは、ドラグレット精鋭による小隊が、飛空船を襲撃するという形で行われる。
 ロストナンバーも小班に分かれ、ドラグレットの部隊に加わることになる。
 戦意を高揚させる打楽器のリズム。燃え盛るかがり火。
 やがて、見張りのドラグレットが、空の彼方にその影をみとめた。
 ザムド公国の飛空船が、再び侵攻を挑んできたのだ。
「よし、いくぞ!」
 荒々しい雄叫びとともに、竜の末裔は、愛騎とともに空へ。
 これこそのちに、ヴォロス辺境の歴史書にひそやかに記された「ドラグレット戦争」の始まりであった。


 風が熱を孕んでいる。
 そう感じるのは、戦場に向かう高揚感の為か、それとも、この身を背に乗せて飛翔する飛竜の持つ体熱の為か。
 耳元で唸る風の音よりも鋭く、声が響く。
「護らねばならぬ!」
 声を追えば、部隊の先頭で空を翔る、一際大きな飛竜に辿り着く。その背には、『蒼き雷鳴』のふたつ名を持つドラグレット、ザクウと、ザクウの操る飛竜の背に乗ることを選んだロストナンバーの仲間が見える。
 飛竜を操るドラグレット達が、鬨の声にも似た気合で応じる。
 まだ遠い、目標とする飛空船の巨大な姿を捉える。航行の速度は遅い。外装が幾許か傷付いているのが見えるが、航行に支障をきたしているわけではなさそうだ。内側から補強が為されているのかもしれない。
 戦場へと翔けながら、ザクウより受けた説明が脳裏を過ぎる。

「彼の船を聖地たるこの地に墜としてはならぬ。そうなっては甚大な被害が及ぶ」
 部隊の仲間とその飛竜たちを背に、ザクウは全身に力を籠める。竜の眼が静かに燃え上がる。
「船の航路を変える」
 構造すら詳らかではないが、と続ける。 
「空飛ぶ船の内部に侵入し、――おそらく、それすらも困難だろうが」
 迂闊に近づけば、巨大な火炎の弾や銃眼からの矢で狙い撃たれる。今回は、前回以上の戦力が用意されているはずだ。空翔る魔獣は、飛竜だけではない。空中での接近戦も、警戒せねばならない。
「だが、我々には仲間が居る。彼らが陽動を引き受けてくれる」
 頼りにしていい、とザクウは強い笑みを浮かべる。集落のあちこちで戦の準備に追われる、他部隊の仲間へと視線を巡らせる。
「侵入の後、船を操る者を捜し出す。船内は広い。操舵室に至るまで、多くの敵や竜刻使いと戦うこととなろう。激戦は必至」
 竜刻使いとは?、とロストナンバーの一人が問う。
「竜刻の持つ強大な力を引き出し操る魔術師たちだ。様々の魔法をよく使う。飛空船を操縦しているのも彼らの内の一人だろう。我々が捜し出さねばならぬのは、その操縦者たる竜刻使い」
 捜し出し、どうにかして船の航路を変えさせねばならない。
「樹海の外へ。巨大な船が墜ちたとて被害の少ない、平原か海原へ。そこに至るまでは決して船を墜としてはならぬ」
 異国の技術であり、建設に多額の資金を必要とする飛空船を地に沈めてしまえば、ザムド公国に次の手は無い。

「頼むぞ、エドマンドの友人たち!」
 ザクウが声を上げる。飛竜たちが羽ばたく。高度を上げる。
 戦場は、近い。


!注意!
イベントシナリオ群『ドラグレット戦争』は、同じ時系列の出来事を扱っています。同一のキャラクターによる『ドラグレット戦争』シナリオへの複数参加はご遠慮下さい。
また、「ブルーインブルー特命派遣隊」に参加中のキャラクターはこのシナリオには参加できません。
※「ヴォロス特命派遣隊」に参加していなくても、参加は可能です。

品目シナリオ 管理番号966
クリエイター阿瀬 春(wxft9376)
クリエイターコメント 広大なヴォロスの空での戦闘です。
 今晩は、阿瀬春です。激しい戦闘ものです。わーっと熱い方向で行きましょう。

 空中戦や船内での戦闘です。怪我をする可能性があります。状況の転がり方によっては、ザクウや、飛竜を操るドラグレットが戦闘不能になってしまうかもしれません。
 どうか準備も心構えも怠りなく、お願いいたします。

 ご参加、お待ちしております。

参加者
ミトサア・フラーケン(cnhv5357)ツーリスト 女 24歳 サイボーグ戦士
リエ・フー(cfrd1035)コンダクター 男 13歳 弓張月の用心棒
ヴィヴァーシュ・ソレイユ(cndy5127)ツーリスト 男 27歳 精霊術師
一ノ瀬 夏也(cssy5275)コンダクター 女 25歳 フリーカメラマン

ノベル

 飛竜の手綱を握るドラグレットの戦士、ザクウが何事か喚く。身体が、腰を下ろした飛竜ごと大きく傾ぐ。飛竜の鞍と胴とを繋いだ紐が軋む。胴に食い込む。ふわり、身体が浮き上がる感覚。血が逆流する。視界が反転する。
 眼下に広がる空に大地に、放り出されそうになる。飛竜の翼が間近で翻る。傾いだ視界一面に、炎奔る空。飛空船から撃ち出された火炎弾か。
「ッ!」
 息を呑む一ノ瀬夏也の身体を、涼風が押し上げる。飛竜の背から落ちそうな身体を押し留める。
 動きを助ける風は、この戦場を共にする仲間のひとり、ヴィヴァーシュ・ソレイユの力だ。
 飛竜が咆哮を上げる。空を舞う木の葉のように宙返りし、急降下しかけた体勢を持ち直させる。
 眼下を奔る炎弾の流れが風に切り裂かれ、消える。炎の下、遥かな空の下には、濃緑の樹海が大地を覆う。所々に岩肌も露な平原や草原が横たわる。
 樹海と平原の彼方に、夏也は空よりも蒼く煌くものをその目に捉える。
(海)
 方向を確かめる。飛空船から放たれる矢をかわすため、激しく上下する飛竜の背に居ながら、飛空船との距離を冷静に目算する。その目に、戦場の空へと放った自らのオウルフォーム・セクタンの見ている景色が二重写しのように映る。
 首から提げたカメラの望遠レンズを覗き込む。セクタンの視界と自らの眼を使い、侵入経路を探る。甲板らしき場所から、鳥の頭と翼と、獅子の身体を持った生き物が次々に飛び立つ。その背には、人。黒い甲冑を着込んだ騎士らしい者、動きやすいローブをまとった者、革鎧を着込んだ者。正式な騎士とそうでない者がいるのかしら、と夏也は眼を細める。例えば、傭兵のような。
 巨大な船からは、その他の場所からも敵の空中部隊が空へと駆けて行く。
(その割りにこちらに向かってくる敵が少ないのは、陽動部隊のお蔭ね)
 不意に、飛空船の周囲を護るグリフォン部隊だけでなく、旅人たちを運ぶドラグレット達にも動揺が走った。
 平原に巨大な影が立ち上がっている。深紅の七つ眼を炯々と輝かせる漆黒の竜。
 樹海からは竜の大きさに勝るとも劣らない、巨大な、――女の子。それも誰がどう見ても、とびきりの美少女。
「何だあれは?!」
 目を丸めるザクウの耳に、弾けるような笑い声が届いた。怪訝な目を肩越しに向けられ、夏也はごめんなさい、と詫びる。それでも堪えきれない笑みを茶色の眼に零す。柔らかな茶色の髪が笑みと共に揺れる。
「大丈夫、きっとあれも私たちの仲間よ」
 空にも、大地にも。敵の数は多く、苦戦を強いられている部隊もあるだろうが、――
「行きましょう」
 これを、とザクウの耳に通信機を押し込む。驚いた顔をするザクウに、夏也は便利よ、と片目を瞑って見せた。
 飛空船の横腹に備え付けられた砲から、轟音と共に炎が吐き出される。全てを燃やす熱と破壊力を持った火炎弾が襲い掛かる。
 けれど、それよりも更に強い炎が空を翔るロストナンバーのひとりから放たれる。火炎弾が呑み込まれ、圧倒される。押し返され、炎と共に飛空船の外壁を焦がす。雪崩寄せる黒煙と熱波を、ヴィヴァーシュの操る透明な風が弾き飛ばす。
 風に干渉しながら、ヴィヴァーシュは周囲に緑色の眼を巡らせる。白皮の眼帯に右半面を覆われ、見える左眼だけでは遠近が取り難い。接近戦で対処出来る武器は持たない。それでも、世界に満ちる精霊の助けを得れば、戦える。
 飛空船の銃眼から、無数の矢が放たれる。飛竜も騎乗する者も撃ち落そうとする矢の群を、方向性を持った怒涛の風が払いのける。弾き飛ばす。
「大したもんだ」
 ヴィヴァーシュを乗せた飛竜を操るドラグレットが肩越しに振り返る。
「……飛竜に傷は負わせません」
 淡々とした表情と静かな声で、ヴィヴァーシュは頷く。心強い、とドラグレットの戦士は笑う。
 飛竜の翼が風の力を得る。高く、飛空船を目指して舞い上がる。風が炎を退け、流れ来る矢を弾き飛ばす。
「楊貴妃(ヤンクイヒ)」
 リエ・フーに命じられ、痩せた肩にしがみついた仔狐の姿のセクタンがその身に纏う炎を弾にして放つ。流れ矢を焼き落とす。風に暴れる黒髪の下、リエは金の眼を獰猛な笑みに歪める。飛空船の周囲を陽動組が飛び交う。激しい戦闘や派手な陽動攻撃に気を取られ、船に近付こうとしているこちらに気付き、攻撃を仕掛けて来る敵は少ない。
 その少ない何体かのグリフォン達も、リエの楊貴妃が放つ炎弾やヴィヴァーシュの風に惑わされ、ザクウの操る飛竜の鉤爪に翼を破られる。
 続けざまに襲い来るグリフォン達は、ヴィヴァーシュの操る光弾に視力を焼かれ、動きを止める。ミトサア・フラーケンの左手に装着されたトラベルギア、金属の輝きを持つ手袋から鋭く液体が狙いすまされ放たれる。グリフォンの鷲の翼が溶ける。悲鳴を上げてグリフォンが落ちていく。
 何も無い空、グリフォンの真下に、太極図の印が刻み込まれる。円の中に陰と陽、二つ力が絡み合う太極図の結界がその内側にグリフォンを閉じ込める。同時に真空の刃が鷲の翼や獅子の体躯を切り刻む。朱の血が空に散る。
『別働隊からノートに連絡が入ったわ』
 空を墜ちていくグリフォン達の姿を眼鏡越しの茶色の瞳で見下ろすミトサアの耳に、夏也の声が届く。空に立つ直前、手渡された通信機だ。
『状況や情報から見て――』
 夏也の言葉を受け、部隊の飛竜の背にそれぞれ乗る旅人達とザクウの眼が飛空船の一点に向く。
「弾幕も薄いよね」
 あどけない少女の容姿持つミトサアの小さな身体は、けれど今は雄々しい戦闘服に包まれている。首元を飾る紅いマフラーに口元を埋める。眼鏡の奥の茶色の瞳には、並々ならぬ決意の光が潜む。
『ボクが飛び移るよ。外壁を溶かして侵入する』
 気をつけて続いて、と通信機で皆に伝える。
『はしっこいのがとりえなもんでね』
 通信機越しにリエが笑う。
『あなたも気をつけてね』
 夏也が心配げな声で囁く。
『……援護します』
 ヴィヴァーシュが冷静な声と共、勇気づけるような柔らかな風を届ける。飛翔を助ける風に、ミトサアの乗る飛竜の巨躯に力が籠もる。鞍の下、頑丈な鱗に覆われた筋肉が躍動する。翼膜が風を叩く。ぐ、と身体が空へと持ち上げられる。樹海の樹々が小さく遠くなる。風が身体の周りを巡る。
 視界全てが巨大な飛空船に奪われる。
 攻撃の隙間や敵の僅かな死角を縫い、船に最接近する。その彼らの傍を、飛竜の何倍もの大きさの黒竜が寄り添う。神々しいほどに巨大な黒竜の翼や身体に隠され、船に近付く彼らの姿は敵の眼に届かない。
「後は任せるぞ」
 低く、黒竜が放った言葉を小さな背に受け、ミトサアは飛竜の背から跳ぶ。高い跳躍は、その機械の身体が持つ僅かな飛行能力により、飛翔となる。
 樹で出来た外壁と鉄で出来た外枠に、片腕一本で取り付く。船の周りに巻き付く風が茶色の短髪を激しく乱すが、それは一瞬。ヴィヴァーシュの力だろう、風がその身体を支える。
 足元は無い。遥かに空が広がる。それでも、ミトサアの眼には冷徹な光しかない。
 左手の金属製のような手袋から放たれる溶解液で外壁の樹も鉄も関係なく、溶かす。どろり、と腐るように溶け落ちた外壁の向こう、
「う、おおぉあッ!」
 その場に居合わせた敵が狼狽した表情のまま、抜刀する――

 飛竜の背から飛空船へと、リエが身を躍らせる。
 木製の床に身軽く降り立つ。次に侵入してくるドラグレットの戦士のために素早く身を引き、
「っ、と」
 僅かの間、眼を見開く。
「……ふぅん」
 少年には似合わない、皮肉げな笑みが形の良い唇に浮かぶ。
 リエに続いて船内に飛び移ったドラグレットの戦士達が息を呑む。夏也が乱れかけた呼吸を整えながらも、この光景も眼にしておかなければと震える瞼を押し開く。ヴィヴァーシュは一瞬、眼を伏せる。
 戦争なのだ、と。やむをえない場合もある、と。ヴィヴァーシュの心に様々の思いが渦巻く。
(……私は)
 床に物言わず転がる幾つもの死体を、無感情に見える緑の眼に映す。
(甘いのかもしれませんが)
 何処かに続く狭い通路には、全身を黒く焼かれて倒れる何体かの敵兵の死体。死体からは脂じみた黒煙が吐き出される。人と、金属の鎧が焼ける臭いが通路に充ちる。臭気と黒煙が、壁に空いた穴の外へと吸い出されていく。
 壁の外では、主の命令を待つために飛竜達が空へと散らばっていく。ドラグレット達が呼べば、飛竜達はすぐに戻ってくるのだろう。
 通路の奥から、異変を察した敵兵達の足音がする。通路の角から現れた彼らは、焼死体と通路のそこここを焼く炎に、怒号とも悲鳴とも付かない声を上げた。
「ボクはこのまま進むよ」
 敵兵と向き合い、仲間に背を向けたまま、ミトサアは静かに言う。左手の金属手袋の先から、敵兵を焼いた炎の煙がまだ薄く零れている。
(一番守りの堅いところが司令塔、)
 唯立ち尽くしているように見えて隙の無いミトサアの様子に、革鎧やローブを纏った敵兵達が戸惑ったように動きを鈍らせる。
(操縦者の竜刻使いもそこに居る筈)
 敵兵を冷たく見据え、ミトサアは船内部に考えを巡らせる。
「分担した方が早そうだしね」
 連絡はノートかこれで、と耳に付けた通信機を示す。そうして、煙を吐く床を蹴る。一人が武器を構えたのを合図に、通路を殺到する敵兵の最中へとその小さな身体を飛び込ませる。その姿が刹那、消えたように見えたのは気のせいか。
「そっちは任せたぜ」
 リエは景気づけだとばかりに通路のあちこちに向け、楊貴妃に炎を撒かせた。炎と煙が狭い通路に充満する。敵兵達から混乱した声が上がる。
 飛空船の大抵は木製で出来ている。多少の防火策は為されているが、それでも、燃えるものは燃える。
 リエの起こした混乱に乗じ、夏也は発煙筒を取り出す。火を点け、放る。敵兵の視界の妨げにもなるだろう。
「夏也サン、いいもん持ってるな」
 からかうようにリエは言い、
「じゃあな」
 短く言い置き、足元近い通気口らしき配管の金網を蹴り飛ばす。
「待って、」
「うるせえ」
 出来るだけ仲間で行動を、と引きとめようとする夏也を、リエは猛獣じみた眼でちらりと見やる。黄金色の強い視線だけを残し、破った金網の穴へと細い身体を滑り込ませる。
「セクタン同士で互いの場所は分かるだろ」
 リエの後を追い、仔狐型セクタンの楊貴妃が通気口へと毛皮の身体を押し込ませる。
『これもあるしな』
 夏也の耳に、通信機越しのリエの声が届く。
 届いて、それきり途切れる。こちらの声は届いているのだろうが、返事をする気はないらしい。
 代わって、ミトサアが向かったのとは反対の通路から、多くの騒がしい足音が響いてくる。
「仕方あるまい」
 我らは此方に向かおう、とザクウが武器を構える。ドラグレットの戦士達がそれぞれの獲物を手に、敵を迎え撃つ為の陣形を取る。
「援護します」
 ヴィヴァーシュが部隊の後方に位置する。笛のような音たてて、鋭い風が銀色の髪を跳ね上げる。
「頼む」
 ザクウが竜の眼を細めて精悍に笑った。
 通路の奥で、黒甲冑の騎士達が背丈ほどの盾を構える。盾の向こうで弓が番えられる。放て、の声と同時、
「させません」
 ヴィヴァーシュが風を操る。巨人の振るう槌のような風が通路を奔る。風の奔流に圧され、放たれた矢が床に叩き落される。
 ヴィヴァーシュの風に盾を激しく撃たれ、騎士達の身体が平衡を崩す。その瞬間を狙い、夏也はトラベルギアのレンズを取り付けたカメラのシャッターを切る。フラッシュが放たれると同時、騎士達の動きが止まる。
「そんなに長くは止めてられないわよ!」
「――続け!」
 カメラを構える夏也に驚愕の視線を向けながらも、ザクウ達が機を逃さず騎士達の中へ突撃する。ドラグレットの戦士が持つ手斧が騎士の甲冑を叩き斬る。筋骨逞しい身体が騎士達を撥ね飛ばす。夏也のトラベルギアによる拘束が解けても、剣が槍が、騎士達の動きを奪っていく。ヴィヴァーシュの風が騎士の突き出す槍穂の先を切り飛ばす。
 夏也はセクタンのホロホロを自分達とは別方向に飛ばさせる。自らとホロホロと、ふたつの眼で広い船内を探る。小さな梟は、この忙しい乱戦の最中では、そうそう敵に見咎められることもあるまい。
 唐突に、先を行くドラグレット達の足が止まる。停滞を嫌ったドラグレットの一人が、咆哮をあげて通路の奥へと突進する。
「待――」
 ザクウの制止の声は、通路中に響いた悲鳴に掻き消される。
 不可視の力で切り刻まれ、血塗れになったドラグレットが床に転がる。
「貴様」
 ザクウの視線の先には、ローブを纏った小柄な人間が一人きり。通路の真ん中に立ち塞がっている。この先へは進ませない、そう広げるその手には、琥珀の石のようなものが握られている。傷付いて呻くドラグレットを見下ろし、底冷えのする笑みを浮かべる。
「……竜刻使いですか」
「そうだ」
 追いついたヴィヴァーシュの言葉にザクウは苦く頷く。
 通路の天井に掛けられた角灯の光が揺れる。竜刻使いの影が別の生き物じみて揺れる。別のドラグレットが唸り、手斧の刃を向けようとする。ザクウがそれを押し留める。
「動かずに」
 ヴィヴァーシュの落ち着いた声が凛と響く。
 壁のように立ち尽くすドラグレット達の脇を、緩やかな風が駆けた。竜刻使いのローブの裾を揺らす。竜刻使いは身を硬くする。手の竜刻に向け何事か呪文を呟こうとした、その瞬間。
 風が牙を剥く。竜刻使いの手一点に向け、質量さえ持ったかのような風が重い一撃を加える。拳で撲たれたかのような痛みに、竜刻使いの手から琥珀色の竜刻が零れ落ちる。
 竜刻使いが竜刻を取るよりも速く。ザクウの剣の刃が竜刻を切り飛ばした。竜刻使いが身を斬られたかのような悲鳴をあげる。その場にうずくまる。
 留めを刺そうとするドラグレットの戦士に、
「捨て置け」
 ザクウは短く吐き捨てる。
 夏也が傷付いて倒れたドラグレットの傍に駆け寄る。
「応急処置しか出来ないけれど」
 手持ちの道具を使い、傷口に消毒液をぶちまける。手早く包帯を巻き付ける。
「すまん」
「動けるかしら?」
 満身創痍の身体で、ドラグレットの戦士は力強く頷く。自らの獲物を杖代わりに立ち上がる。
 心配げに見る夏也の眼が、それを捉えた。
 力の源でもある竜刻を奪われ、降参の体をとる竜刻使いのその手に、蒼く毒の色に染まる短剣。先を急ごうとするザクウの足向け、その刃が動く。
 危ない、と夏也がシャッターを切るよりも速く。
 飛空船全体が大きく揺れた。船の周りの気流が乱れたのか、まるで神の手に船体が掴まれ、揺さぶられたかのように傾く。床が不規則に揺らぐ。バランスを崩した竜刻使いが、通路の壁に叩き付けられる。隠していた短剣が掌の中から落ちる。
「……ッ!」
 夏也が踏み込む。手にしたスタンガンをローブに包まれた身体へと捩じ込む。がくん、と竜刻使いは震える。動かなくなる。
「不思議な武器を多く持っているな」
 ザクウが眼を丸くする。これもそうだが、と自らの耳に装着された通信機を指差す。何か言っている、と。
 夏也は慌てて自らの通信機に耳を集中させる。
「ミトサアさん?」
 呼べば、応えが返って来る。敵を捕らえ、操舵室の場所を吐かせたのだと言う。
『今向かってるから皆も、――』
 とん、と軽い足音が背後から聞こえた。
「……合流、出来たね」
 振り返れば、あどけない笑顔を浮かべたミトサアが立っている。頬には血を拭った痕が生々しく残る。
「怪我を」
 駆け寄る夏也に首を横に振ってみせる。
「ボクの血じゃないよ」
 意識を失った竜刻使いの脇を過ぎ、戦闘服に包まれた腕を通路の先へと伸ばす。この先、と言葉少なに言って、足早に歩み出す。
「誘導するよ」
 ぱたぱた、と小さな翼の音が近付く。夏也が見仰げば、その頭上をホロホロがくるりと旋回している。
「ホロホロ、お疲れさま」
 夏也の肩に留まり、ホロホロは気の抜けるような声で鳴いた。
「そうね、あちこちで火が燃えてたわね」
 ホロホロの眼を通して見ていた船内の様子を思い浮かべ、夏也は呟く。あの炎は、リエが船内に混乱を起こすために撒いたものだろうか。
 船内の何処からか、大勢の怒号じみた声が響いてくる。外か、内か。
(今居るのはおそらく船の中層部)
 ヴィヴァーシュは今まで通って来た通路を脳内で辿る。
(このまま進めば、至るのは船首近い部分、でしょうか)
 窓も無い樹の壁に囲まれた通路を進む。人の声は遠い。怒涛のように襲い来た敵兵は、今は絶えている。
 通路を突き当たる。左右に広がる通路の右を示して、ミトサアは足を止めた。その先の通路に人の気配がないことを確かめる。奥に、両開きの扉が一枚。目指す操舵室はあの扉の向こうだ。
 先に進もうとして、やめる。天井を仰ぐ。
「よう」
 天井の隅を這う通気口の隙間から、ひょこん、とリエのものらしき手だけが下ろされた。ついでに楊貴妃の尻尾が覗く。
「遅かったな」
 いつのまに、とザクウが息を吐き出す。
「潜入は任せとけ、十八番」
 抑えた含み笑いはほんの僅かの間。
「待ってる間に操舵室の様子見て来たぜ」
 操舵室に居るのは騎士三人に竜刻使いが三人。
「舵使ってるのは竜刻使いの一人」
 見たことねえ変わった舵だけどな、と続ける。愚連隊やってた頃に金持ちの車かっぱらったようにはいかねえけど、
「ま、どうにかなるさ」
 皮肉な笑み交じりの啖呵を切る。
「奇襲かけるぜ」
 短く告げ、ふと思いついたように夏也を呼ぶ。通気口の隙間から掌がひらひら踊る。
「あれ使おうぜ」
 悪戯に誘うように言われ、夏也はちょっと首を傾げる。
「……これかしら?」
 手持ちの荷物の中から、発煙筒を取り出す。
「それ。突っ込む前に全部バラ撒いとけ」
 言うなり、掌が通気口に引っ込む。子狐の尻尾が引っ込む。音もほとんど立てず、素早く通気口を移動しているらしい。
「……分かったわよ」
 命令口調に夏也は小さく溜息を吐く。意図は測りかねたが、夏也は手持ちの発煙筒全てに点火した。通路のそこここに煙を吐く筒を置きながら、扉の前まで素早く移動する。
「ボクはここに残るよ」
 扉の前、今にも突入しようと言う間際、ミトサアが皆に背を向けた。操舵室とは反対の通路の奥を睨みつける。
 ――大勢の敵兵の足音が近付いて来ている。
「引きつけておくね」
「付き合おう」
 ザクウともう一人のドラグレットがその場に残ることを選ぶ。ありがと、とミトサアは茶色の眼を細め、笑んだ。肩越しに仲間を振り返る。
「行って。船の進路を変えて来てね」
 夏也とヴィヴァーシュが小さく頷く。
「無事で」
「此処を、お願いします」
 夏也が床にまとめて置いた何本もの発煙筒から夥しい煙が噴き出し、周囲に渦巻く。
「行きましょうか」
 ヴィヴァーシュと夏也が扉を勢い良く開ける。突入組のドラグレットの戦士達が雄叫び上げて、操舵室に飛び込む。
 ――その瞬間に彼らが見たのは、床に浮かび上がる巨大な太極図。
 操舵室の入り口近く、通風口の真下に立つリエが凶暴に嗤う。楊貴妃が炎弾を四方に打ち出す。太極図の結界に閉じ込められた黒甲冑の騎士が、竜刻使いが、為す術もなく不可視の真空の風に全身を切り裂かれる。太極図の結界内の床が、真空の風の鋭い爪で削られる。
 操舵室が、軋む。

 閉ざされた扉を背に護り、ミトサアの眉間に力が籠もる。
 通路の向こう、壁際に身を隠すようにして人影が覗く。甲冑の擦れる音がする。弓に矢が番えられる音がする。
「ボクができるのは戦う事」
 小さな掌を拳にする。 
「この機械の体で皆の為に闘う!」
 決意を唇に上らせる。
 その小さな身体に潜む機械の仕掛けを、自己暗示のキーワードによって呼び覚ます。
 ザクウ達の眼には、ミトサアが視界から消えたように見えた。消えて、次の瞬間には、離れた通路の先に立っている。その足元には、その身の甲冑ごと身を砕かれ、倒れ伏した敵兵。
 感嘆の声を上げるより先、ザクウは別の通路から迫る敵に気付いた。武器を構え、仲間の戦士と共、駆ける。
 ミトサアは強い。ザクウも、ドラグレットの戦士も弱くはない。けれど、敵の数が多い。数に任せ、通路を槍と盾で塞ぐように進軍してくる。矢が放たれる。竜刻使いの電撃が通路を紫に照らし出す。氷の竜が壁を走る。
 床に伏した敵兵を担ぎ上げ、魔法からの盾とする。  
「あきらめないから」
 壮絶な断末魔を上げる敵兵を自らやドラグレットの戦士たちの盾としたまま、ミトサアは低く呟く。
 仲間が進路を変えるまでボク達が敵を食い止める。ミトサアの内にあるのはその想いだけ。その為には何だってする。確実に敵兵を潰していく。残虐とも取れる戦法も取れる。敵兵の戦意を削ぎ、戦力を損なわせなければ。
 敵の血飛沫を全身に浴びている。身体を濡らすのは自らの血なのか、敵の血なのか、分からなくなる。機械の身体に血は流れているのか、そんな考えが頭を過ぎる。
 突き掛けた膝に手を置き、渾身の力で立ち上がる。雷に灼かれ、凍りつき、力尽きた敵兵の死体を床に捨てる。吼える。
「まだ戦える!」

 壁や床が派手に切り刻まれた操舵室に、灰色のローブを纏った竜刻使いが一人、立ち尽くしている。その竜刻使いの脇に、樹の台座に据えつけられた瑠璃色の石の形持つ巨大な竜刻がある。飛竜ほどもあるあの竜刻が、この飛空船の動力であり、舵だ。
 竜刻使いは船首部分に大きく広がる硝子の窓を背にして、動かない。
 交戦の気配を見せない竜刻使いの様子に、ヴィヴァーシュが歩み寄る。この様子ならば、と思う。無理やりに舵を奪うことはせずに済むかもしれない。
「降伏すれば、此方は貴方を害しません」
 ヴィヴァーシュの言葉に逡巡する竜刻使いを見据え、リエは唇に笑みを刻んだ。その笑みは誰の眼に留まることなく、すぐに消える。
「気付かねーか、異臭と煙」
 竜刻使いの視線を、扉の向こうへと導く。扉の外では、夏也が仕掛けて来た発煙筒が、煙を撒き散らしている。
 リエの顔に、いつもの皮肉な笑みはない。代わりにあるのは、演技とも思えぬ真剣な表情。
「てめェは人身御供、特大の人間魚雷。ボロ船と心中する気なら止めねえが――」
 あちこちに傷の走る操舵室を見回し、最後に竜刻使いの顔を間近に覗き込み、畳み掛ける。
「生き延びる算段練った方が利口だぜ」
 脅すように言っておいてから、強い口調を僅かに和らげる。
「俺らの仕事は時間稼ぎ。てめえも犬死にはやだろ? 故郷の妻子に会いてえよな? 国に忠誠使って殉死なんざ阿呆らしい」
 強気な少女とも見紛う美貌で、慰めるような声で、リエは竜刻使いの心をくすぐる。
「……どうすればいい」
 ザムド公国に忠誠を誓っている訳でもない、雇われの竜刻使いは掠れた声で小さく頷いた。リエは会心の笑みを浮かべる。
「進路変更を。海に棄ててやろうぜ、こんな船」
 そうすれば森に落ちるより生き延びる可能性は高い、その言葉を聞くなり、竜刻使いは舵である竜刻へと両の掌と額を押し当てた。祈りに似た仕種で、竜刻に潜む強大な力を操りにかかる。
 船がゆっくりと進路を変える。樹海の深奥を指していた船首が、青空の果ての海を目指して翻る。
 操舵室内に安堵の空気が溢れる。それでも皆、油断なく流れていく風景を見詰める。
 海が、近くなる。
 扉が開いた。
「進路が変わったようだな」
「こっちも派手に暴れたね」
 互いに支え合って、ミトサアとザクウが立っている。
「無事ね」
 夏也の言葉に、ミトサアは笑った。
 進路変更の為に竜刻の力を操っていた竜刻使いが、不意に顔を上げる。床を蹴り、駆ける。ローブの首に掛けていた小さな竜刻を握り、何事か呟く。
 透明な力が操舵室内を巡る。部屋の前面を覆う厚い硝子が、内側から噴き飛んだ。砕け散った硝子が空に散る。内部に風と共に入り込み、暴れる。
「待て!」
 硝子の破片に身を切られながら、ザクウが手を伸ばすが、竜刻使いには届かない。
 砕けた窓の縁に立つ。その顔にあるのは、残酷な笑み。
「お前達は、死ね」
 低い呪いの言葉を吐き出した体が、その手に持つ竜刻の放つ淡い光に包まれる。地面に沈むことなく、空へと駆ける。逃げていく。
 リエが鋭く舌打ちする。 
「少し早いが脱出する!」
 ザクウが仲間に言い渡した。空に向け、聞き慣れない声を上げる。空の何処かで待機している飛竜達を呼ぶ。
 脱出の準備に追われる仲間を、ミトサアは見詰める。
「これを」
 取り出したハーモニカを、共に戦ったドラグレットの一人に投げ渡す。
「預かってて」
 それきり、前を見据える。
「船が確実に落ちる事を見届けてから脱出するよ」
 小さな背中は、譲らない意志に固まって動かない。
「絶対に返すからね」
 夏也が強く言う。ザクウに腕を引かれ、割れた窓の傍に走る。
 ザクウの呼んだ飛竜達が飛空船に翼を合わせるように飛んでいる。それでも、飛空船の縁から飛竜の背までは人の背丈よりも遠い。
 窓枠から身を乗り出して、リエがおもしれえ、と笑う。
「落ちたら死ぬな」
 跳ぶのか、と問われ、ザクウは迷いなく頷いた。夏也の身体を軽々と抱え上げる。
「え、ちょっと……?!」
「補助します」
 銀の髪を風に乱し、ヴィヴァーシュが緑の眼に力を籠める。
「怖いければ眼を閉じよ」
「怖いけどね」
 ザクウに抱え上げられたまま、夏也は深呼吸する。
「眼は閉じないわよ」
 ザクウは僅かに笑った。数歩の助走で、空へと飛び込む。
 夏也は見た。遥か下に広がる海を、身体を掴んで暴れる風を、空の只中に踊る自らの身体と、飛ぶことは出来ずとも、空へと嬉しげに広がるザクウの翼を。
 数瞬の後、飛竜の背へと身体が下ろされる。夏也は長い息を吐き出す。鼓動が速い。
「こんな体験、ヴォロスならでは、よね……」
 リエが、ヴィヴァーシュが、飛空船の外へと脱出する。他のドラグレットの戦士達と同様、危なげなく飛竜の背に飛び移る。
 船内に残るミトサアを見遣りながら、仲間達が飛空船から遠ざかる。
 ボクが死んだら誰か泣いてくれるかな、ふと思う。そう思った途端、寂しい微笑が眼に滲んだ。
「ボク、守れたよね、ちゃんと……」
 呟き見据える窓の外、海面が迫る。

 風が轟音を上げる。傾く飛空船に群を成し、突進する。浅い海に落ちようとする船体を支え、風の波に乗せる。船底に風を集める。少しでも飛距離を伸ばすため、海の出来るだけ深い位置に落とすため、――船内に残る人間に少しでも生き延びる可能性を与えるため。
 自らの行使する風の精霊の働きをヴィヴァーシュは眼で追う。緑色の眼が痛いほど真摯に飛空船を見詰める。
 海に不時着しようとする飛空船の窓のあちこちから、人影がばらばらと船外へ、海へと飛び込んでいく。飛空船に乗り込んでいたザムド公国の騎士や傭兵、竜刻使い達だ。
 巨大な飛空船をも呑み込んで、水の柱が上がる。遠雷にも似て、音が爆ぜる。柱が何万何億もの水珠と散る。陽の光を浴びて、数え切れない虹が空中に咲く。
 飛空船が黒煙を上げる。その黒煙を潮風が払いのける。
「――居たわ!」
 カメラの望遠レンズを覗き込んでいた夏也が明るい声を上げた。ザクウが飛竜の首をそちらへと巡らせる。
 海風渡る空、水柱の上がる空へと飛び出す人影がある。小柄な身体を飾る紅いマフラーが、翼のように空に翻った。


クリエイターコメント お疲れさまでした。
 飛空船は無事、樹海の外に沈みました。任務は達成です。

 筆の未熟さのため、描写できませんでしたプレイングがありますこと、お詫び申し上げます。それでも、少しでも楽しんで頂けましたら幸いです。
 ご参加、ありがとうございました。
公開日時2010-11-15(月) 22:00

 

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