オープニング

 そこは、おもちゃ達に守られた、子供の楽園。不思議の国。


 ジメジメとした暗い森の中に入ると、何故かそこに扉があって。
 それを開けると向こう側も森だった。
 番をしている兵隊さんが元気に、ぼくの名前を呼んだから、ちょっとびっくりしちゃった。
 でも緋穂お姉ちゃんの手をぎゅっと握ってたから大丈夫だった。
 森を通り抜けると青空色のレンガの道があって、虹色の雫がぽたぽた降ってきたよ。
 虹の雫が落ちたところから透明の猫さんが出てきて、びっくりしたなぁ。
 あ、あと、そこかしこにおもちゃさんがたくさんいて、動いていたんだ!
 街にはおもちゃ達がいて、ぼくと同じくらいの子とか大きいお兄ちゃんお姉ちゃんがいっぱいいたよ。
 お菓子とかいっぱいもらって、おもちゃもいっぱいあって、すごくすごく楽しそうに笑っていたんだ!
 ぼく、あんなに沢山のおもちゃを見たのも、あんなに沢山のお菓子を見たのも初めてで……羨ましくて。
 でもなぜか、緋穂お姉ちゃんは繋いだ僕の手をぎゅっと握りしめたんだ。指先が、ちょっと冷たかった。
 そのあとはお城に着いて、ぼくを引き取ってくれるっていうおじいさんとおばあさんに会ったよ。
 最初はちょっと緊張したけど、でも優しく話しかけてくれたから、街にいた子達が羨ましいって言ったら、
 今日からは僕もあの子達と同じように暮らすんだって言われた!
 凄い、凄い嬉しかったよ。

「ここでなら、もう辛い思いをすることはない。きみを叩いたり蹴ったりする者はいないから、安心するといい」

 おじいさんは、ぼくが痛い思いを沢山我慢してきたってこと知っていた。
 優しく笑って頭を撫でてくれたから、僕も嬉しくて笑ったんだ。
 寂しそうな、不安そうな顔をしていた緋穂お姉ちゃんに気がついていたけど……、
 だってもう、二度と会えないわけじゃないでしょ?


 *-*-*


 エーリヒ・チェルハはここに来る前の数カ月で習った拙い文字で、トラベラーズノートに今日の出来事を書き記す。疲れて眠ってしまうほうが早い日もあったけど、世界司書の紫上緋穂とのメールのやり取りは続けている。
「『今日はころんでローリーのつみきをこわしちゃったけど、だれにもおこられなかったよ。ローリーはへいたいさんがきれいなおようふくを沢山もってきたら泣きやんだんだ。ぼくはたたかれると思ってごめんなさいって何度もいったんだけど、へいたいさんはぼくはわるくないからあやまらなくていいって。ローリーも、あやまるぼくをふしぎそうに見ていたよ』……これでいいよね」
 文字を確かめ、送信する。程なくメールが着信したのでエーリヒはびっくりしてノートを開いた。緋穂からの返事はいつも寝ている間に届くので、朝それを読むのだ。

『急いで伝えたいことがあったから、先に送るね。わざとじゃないとしても悪いことをしたんだから、謝ったエーリヒは正しいよ、偉かったね。いくら悪くないと言われても、エーリヒだけは悪いことをしたら謝ることをやめないで』

「……?」
 ノートを見て首を傾げる。背中の妖精の翅をふぁさ、と揺らして。
「緋穂お姉ちゃんは、なんでこんなことを急いで送ってきたんだろう?」
 エーリヒは気がついていない。ローリーは『積み木が壊れた』という出来事に泣きはしたが、『エーリヒが壊した』ことはなんとも思っていないのだ。怒りを抱かぬこれは、子供にとってはおかしい状況だ。不可抗力とはいえ相手に損害を与えたのに謝らなくていいというのもおかしい。
 そういえば、この虹の妖精郷という子どもとおもちゃばかりの場所に引き取られてから、誰かが怒ったり怒られたりしているところを見たことがないな、とエーリヒは思った。だがそれがおかしいことだとは、5歳のエーリヒにはまだよく分からなくて。
 彼は両親からの酷い虐待で命を落としかけて覚醒した。全部、自分が悪いんだ――全く悪いことをした心当たりがなくても、彼はそう思っていた。ロストナンバーたちに保護されるまでは。
 だから、誰も怒ったり怒られたりしないのならば、その方がいい、そう思っている。子供ならではの視野の狭い考えだが、彼の場合視野を広げることも許されなかったのだから、それを責められまい。
「よくわからないけど……」
 一応心の奥に緋穂の言葉を仕舞いこんで、その日、彼は眠りについた。


 エーリヒが虹の妖精郷に引き取られてから10日ほど経ったある日。一人の少年が妖精郷に引き取られてきた。
 年の頃は11歳か12歳位で、赤髪が印象的だった。
「新しい仲間のグレンだ」
 彼を連れてきたおもちゃの衛兵にエーリヒが問えば、衛兵はそう言って彼に家の場所を教え、おいて行ってしまった。
「グレン、おにいちゃん……?」
 恐る恐る見上げたエーリヒを、グレンは不機嫌そうに一瞥しただけだった。
 びくっ……怯えたように肩を震わせたエーリヒの足元には、心配そうにおもちゃのバレリーナとウサギのぬいぐるみがよってきた。グレンはそれをも睨みつけ、エーリヒから離れていった。
 他の子供達は自分の遊びに夢中で、そんなやり取りを見ている子供はいなかった。


 数日後、事件は起こった。
「こんなものでごまかされるな!」
 火のついたように泣く少女を慰めるおもちゃ達。次から次へと少女を慰めるために持って来られるお菓子やおもちゃを投げたり蹴ったりしてダメにしているのは、あのグレンである。かれは数日の間も、妖精郷に馴染めないでいたようだった。おもちゃ達が彼の機嫌を取ろうとしていたのをエーリヒも何度か見たが、その試みはおもちゃ達が蹴散らされることで終わっていた。
「お前ら、気づかないのか!? このままここで、自分に都合の良い甘い世界にだけ浸っているなんて間違ってる! 自分達がおかしくなっているとは思わないのか!」
 グレンの声量と剣幕に泣き出してしまう子供が多く、おもちゃ達はてんてこ舞いだ。
「怒りや意思を削いで飼い殺しにされているだけなのがわからないのか!? ここにはもう、正気のやつはいないのか!?」
 小さな家を思い切り蹴って壁をぶち抜き、オロオロしながら止めようとするおもちゃ達を壊していく。
 甘い甘い、夢の世界を壊すもの――子供達にはグレンは脅威にしか見えなかった。
 エーリヒも勿論、恐怖を感じていた。だがそれは他の子たちのものとは違うように思えた。彼の恐怖はグレンの剣幕や行動が、自分を虐待するときの両親と重なって見えたから。他の子供達の恐怖は、夢の世界が壊れるから。
(グレンお兄ちゃんの言ってることは、ちょっと難しくて全部はわからないけど)
 でも、少しは分かる。自分が他の子供達とちょっと違うことも。
「ぼくも……」


「鎮まれ、グレン・オースティン!!」


 エーリヒが勇気を出して一歩グレンに向かって踏み出そうとした時、グレンの声にも負けぬ大声が響いた。黒い帽子をかぶったおもちゃの衛兵たちが、彼をサッと取り囲む。
「この騒ぎについて、リチャード様が事情を聞きたいと仰っておられる。ついてくるがいい」
「あのジジイに直接話ができるならちょうどいい。行ってやるよ」
 衛兵の言葉に不敵な笑みを浮かべるグレン。エーリヒには推し量ることができないが、恐らくこうなることを見越して騒動を起こしたのではないだろうか。
「もう、こわいひと、いなくなった?」
 ローリーが泣きながら告げると、おもちゃ達が「大丈夫、泣かないで」とたくさんの洋服とお菓子を出して。
「僕のお家、壊れちゃった……」
 ジョナスがさめざめと泣けば、おもちゃの大工がせっせと家を治す。
(何不自由なく暮らせるから安心するように――リチャードおじいちゃんはそう言ったけど、それってこういうことなのかな……)
 五歳のエーリヒには判別が難しい。でも、何かがおかしいような気がしていた。



 *-*-*


 城の一室でリチャードはグレンと面会していた。大きな椅子に座ったリチャードは不機嫌そうだ。
「街で騒ぎ立てたそうだな。何故子供達の幸せな生活を邪魔するようなことをする?」
「幸せな生活?」
 ぴくり、グレンが眉を動かした。
「甘すぎる砂糖水に浸からせて、腐るのを待っているだけだろ?」
「わしの偉大なる事業を馬鹿にするのか!?」
 どんっ……複雑な意匠の銀の杖を床に突いて、リチャードは立ち上がる。額には青筋が浮かび始めていた。
「悪いことをしたらしかる、謝らせる。危ないことをしたら痛い目にあうことを分からせる。そうやって子供は色々吸収して覚えていくんだろ? 俺の母さんは、そうやって当然のことをきちんと教えてくれた素晴らしい人だった。でもあんたは違う」
 グレンが言い募るごとに、リチャードはぶるぶると震えていく。
「ただ子供を甘やかしているだけだ!」

「いいかげんにしろっ!」

 バシッ!!
 杖がグレンを打った。リチャードは顔を真っ赤にして、目をぎょろりとさせている。逆鱗に触れてしまったことは明らかだ。
「あらあら……仕方のないこと」
 それはどちらを差した言葉だったのだろうか。
 大声でやり取りをしていて扉が開いたことには気が付かなかった。戸口に立っていたダイアナがゆっくりとした動作でグレンに歩み寄り、助け起こした。そして、控えていたおもちゃの衛兵に命ずる。
「この子を連れて行ってね。怪我の手当をしましょう」
 そして、今度はリチャードに寄り添って、激昂で固まった身体をほぐすように背中を撫でる。
「あなたも落ち着いてください。あの子はここに来て日が浅いですから、まだ馴染めないだけですわ」
 どす、と椅子に腰を落としたリチャードの手にはまだ力が入っている。それを抜くように、手を握りしめて。
「あなたの方針が間違っているわけではありませんよ」
 優しく、夫を心配するように、ダイアナは微笑んでみせた。


 *-*-*


「ねえ誰か、グレンお兄ちゃんしらない?」
「しらないっ!」
「あんな怖い人嫌い!」
 グレンが城に連れて行かれた日から数日。あの日から、グレンの姿を見た者は誰もいない。
 おもちゃ達に聞いても知らないのか要領を得ず、けれどもエーリヒはグレンのことが気になって気になって仕方がなくて彼の姿を探した。
(あの時ぼくも、って言えてたら、グレンおにいちゃんと仲良くなれたかな……)
 まずは子供達の住む街の中を探した。青い煉瓦の道は城へと続いている。お城付近まで行ったけれど、お城には入れてもらえなかった。お城から少し離れたところにある湖もにも、いなかった。
 だから妖精郷から出ていってしまったのかと思って森へ行ったけれど、そこにいる兵隊さんは誰も出ていったものはいないと言った。
(どこにいっちゃったんだろう……)
 とぼとぼとぼ、街へ戻ろうとしたエーリヒは、妖精郷の入り口を守る衛兵まだ聞きたいことがあったのを思い出して、踵を返した。
「グレンって子供、リチャード様の逆鱗に触れたらしい」
 そんな声が聞こえて、エーリヒは木陰で足を止めた。おしゃべり好きの道化師人形が、ずっと見張りをしている衛兵たちに噂話を持ってきたのだ。
「また、そんな子供が出たのか」
「もう、もどってこないだろうね~」
 かるーい口調の道化師が、こちらを見た気がした。エーリヒの姿は大きな木に隠れてしまっているはずなのに。ぎょろりとしたガラス玉の目が、まっすぐにエーリヒを捉える。

「!!」

 こわい、怖い、恐い……!!
 エーリヒは走って森を出た。急ぎ、自分に与えられた小さな家を目指す。
(リチャードおじいちゃんを怒らせると、恐いことになるんだ。きっと、僕が前にされていたみたいに、痛い目にあうんだ!)
 足がもつれ、煉瓦の上に勢い良く倒れこんだ。それを遠くから見ていた人形たちが慌てて駆け寄ってくる。
「たいへんたいへん」
「いたいのいたいのとんでけー」
 歌いながら踊り、あまぁいお菓子を出してエーリヒの機嫌を取る人形。
 でもエーリヒを満たしていたのは転んだことによる傷みではなく、気がついてしまったことへの恐怖で。
 おもちゃ達のもてなしを甘受できない自分は、ここでは異端だという思いで。
(ぼくもグレンお兄ちゃんとおなじだって知られたら、リチャードおじいちゃんに怒られちゃう……!)
 エーリヒはそれを必死に隠すべく、人形たちの手当を受けて、そしてお菓子を手にに笑ってみせた。以前両親の前でしていたのと同じ、相手を怒らせないよう相手の望むとおりに自分を押し込める技がでる。
 だがおもちゃ達から開放されるとすぐに駈け出し、自分の部屋へと入って扉を閉めた。


『ひすいお姉ちゃん、助けて! ぼくも、おこられて、グレンおにいちゃんとおなじになっちゃう!』


 詳しい状況は分からないが、必死さだけは伝わるメールが緋穂のトラベラーズノートに届いた。


 *-*-*


 その日ロストナンバー達が呼ばれたのは、いつも世界司書の紫上緋穂が使っているターミナルの一室ではなく、緋穂の司書室だった。
 その部屋にある似つかわしくない調度を品定めするよりも早く、ロストナンバー達はソファに座る人物に驚きの声を上げた。
「館長!?」
 そう、そこに座っていたのは館長のアリッサ・ベイブルックであった。これはもしや、重要な案件なのだろうか。
「みんな、来てくれてありがとう。今回はちょっと……真剣なお話」
 力なく笑った緋穂は、机の上で手を組んでロストナンバーたちを見つめる。
「以前、ヴォロスに飛ばされたロストナンバーの保護をお願いしたことがあるの。背中に蝶のような翅を生やした、妖精族の男の子」
 妖精族といっても、大きさは壱番世界の人間と変わらないよ、と付け加えて。
「ただ、その子、エーリヒは酷い虐待を受けていて、それが元で死に瀕して覚醒したの。だから壱番世界五歳児より少し小さいし、知らないこともいっぱいあった。傷もたくさんあったから、傷が癒えた後はとりあえず私の家に置いていたんだけど」
 暫くたって、事件の報告書を読んだリチャード翁――リチャード・ベイブルックから、エーリヒを虹の妖精郷で引き取りたいという申し出があったという。勿論緋穂は悩んだけれども、エーリヒの今後のためにもしっかりとした引き取り手は必要だと判断した。ファミリーからの申し出を一介の司書が拒否するだけの力も明確な理由もなかったとも言えるが。
「引渡しの時に私が連れて行ったんだけど……報告書では読んでたけど、なんだか色々と気になるところでね、ちょっと心配だったんだ。でも」
 エーリヒからは楽しく過ごしていると毎晩のように、覚えたての文字でメールが来るから安心していたのだ。しかし――。
「こんなメールが来たの。
 『ひすいお姉ちゃん、助けて! ぼくも、おこられて、グレンおにいちゃんとおなじになっちゃう!』って」
 読み上げた緋穂の言葉に、ロストナンバー達が固まる。そこで今まで黙っていたアリッサが口を開いた。
「私は緋穂から相談を受けたんだけど、様子を見てきたほうがいいと思ったの」
 悪戯を考えている時とは違う、真剣な表情だ。
「でも、虹の妖精郷には簡単に入れないって……」
「そこは大丈夫。なんとか手を回して、どうにか妖精郷を『見学』させてもらう許可は得たわ」
 リチャード達には『ロストナンバーが、リチャード翁の素晴らしい事業を是非見学したいと言っているので少しだけでも見せて欲しい』との口実で申し込んだという。
「5人だけ、短時間ならいいって」
「リチャード翁の事業って?」
「ああ、リチャード翁は元々篤志家でね、福祉に投資をしてきたの。だから今回は子供達を保護する孤児院業のことよ」
 アリッサの言葉に、ロストナンバー達は頷く。緋穂が続きを引きとった。
「表向きは見学って形を取りながら様子を探ってきて欲しいんだ。でも、リチャード翁の機嫌を損ねたらそこで見学を打ち切られちゃうかもしれないからそこは気を付けて」
 そう言ったあと緋穂は深く息を吸って、吐いて。

「もしもエーリヒの身が危険だと判断したら、その時どうするかはみんなに任せる」

 緋穂もアリッサも、真剣な瞳でロストナンバーたちに頷いてみせた。

品目シナリオ 管理番号2046
クリエイター天音みゆ(weys1093)
クリエイターコメントはじめまして、またはこんにちは。
天音みゆ(あまね・ー)と申します。
さて、今回はちょっと穏やかではない話となります。

リチャード翁とその妻ダイアナのチェンバー虹の妖精郷へ、リチャードの素晴らしい事業を是非見学したいという『名目』で赴いて頂きます。
数人で、そして短時間ではありますがそういう名目で許可が出ましたので、リチャードを怒らせれば即刻見学が打ち切られる事も考えられますのでご注意ください。

本当の目的は、エーリヒの送ってきたSOSについて調べることです。
何か良からぬ雰囲気を彼は感知したようですが、いかんせん5歳の世間知らずな子供ですので、なかなか具体的に説明することは難しく。
聡明な子ではありますので、きちんとした教育を施せば、また導いてやれば貴重な情報源となるでしょう。
エーリヒは子供達が沢山住んでいる街の小さな自分の家に閉じこもっています。おもちゃ達が心配してか不審に思ってか、彼を外に出そうと試みているようです。


アリッサも心配していますので、調査の結果エーリヒの身が危険だと判断した場合は、その後どうするかは皆さんにお任せします。


●妖精郷について
館長邸にある妖精の庭というジメジメとした庭を進んでいくと扉があり、その扉を開けるとまた森です。
そこにはおもちゃの兵隊が番人としており、許可された者しか中へ通しません。
リチャード達が住む城への道は青い煉瓦が敷かれた道で、道の周囲には幼くしてロストナンバーとなり引き取られた子供達が暮らしています。
他には城の近くに湖があるようです。

参考までに。
阿瀬 春WRの「【カリスの招待状】虹降る郷」で内部の様子が伺えます。
「【オープンガーデン】メモリアル・グリーン」の後半で、入口部分について触れています。


●注意
オープニングではPC情報とPL情報が混在しています。
PC情報は緋穂とアリッサが語った部分です。
他はPL情報になりますが、エーリヒに尋ねることが出来れば「エーリヒが知っていること」については聞くことができると考えて構いません。
彼が知らないことについては簡単にはPC情報にはできません。


●エーリヒについて
「花園に堕つ」にて保護されたロストナンバーです。
ノベルは未読でも問題ありません。
虐待されて育った5歳の少年で、背中に蝶の羽を生やした妖精族です。
大きさは壱番世界の人間と大してかわりません。
0世界に来てから治療を施され、痣などは薄くなりました。
ボロボロだった翅も、ほぼ綺麗になっています。
治療が終わった後は暫く緋穂の家にいて、トラベラーズノートの使い方や簡単な読み書きを教わりました。




絶対したい行動はなるべく、具体的にお書きくださると良いかと思います。
例えば、ただ「調べる」だけでなく、「どこ」を「どんなふうに」調べるのか書いてあったほうが、成功率が高いです。


心情があるとキャラクターの把握がしやすいので、字数に余裕がありましたらぜひお書き添え下さい。

難しい依頼ではありますが、皆様に楽しんでいただければ、と思います。
それでは、素敵な冒険を。

参加者
シーアールシー ゼロ(czzf6499)ツーリスト 女 8歳 まどろむこと
三ツ屋 緑郎(ctwx8735)コンダクター 男 14歳 中学生モデル・役者
ジューン(cbhx5705)ツーリスト その他 24歳 乳母
ナウラ(cfsd8718)ツーリスト その他 17歳 正義の味方
ジャック・ハート(cbzs7269)ツーリスト 男 24歳 ハートのジャック

ノベル

 妖精郷の様子は殆ど外に聞こえてくることはない。だからこそアリッサは常々内心では色々な意味で気にかけていたし、今回のエーリヒからのSOSにはただならぬものを感じて様子を見に行く手はずを整えてくれたのだ。
 一度中を訪れてみれば普通の感覚を持った者ならば緋穂のように漠然とした不安のような、嫌悪のようなものを抱くかもしれない。けれども簡単に入れる場所ではなく、そうそう出てくる者もいない場所、それが彼の場所。故に中でどんなふうに過ごして、何が行われているかという情報は、ほぼ聞こえてくることはない。だからこそ人々は想像を掻き立てられ、様々な憶測を噂として流すのだろう。


 *-*-*


「皆様覚えておいでですか?」
 薄暗く、ジメジメとした妖精の庭。湿気が纏わりつくようなその場に似つかわしくない扉の前で、五人のロストナンバー達は足を止めた。五人が五人、それぞれ妖精郷やリチャード夫妻に不信感のようなものを抱いている。つまり此処から先は敵地だ。最終確認をするかのようにジューンが口を開いた。
「エーリヒさんは5歳児です。エーリヒさんの意思を尊重する事はとても大事です。それでも。5歳児に全ての選択を任せるのは、ただのネグレクトです。リチャード夫妻の矢面に立つのは私達であるべきです」
「勿論、最初っからそのつもりだゼ」
 乳母としての矜持からだろうか、幼子を保護する者としての意見を述べる彼女に、ジューンと同じく今回のメンバーで最年長のジャック・ハートが頷いた。ジャックはエーリヒを連れて帰ると強く決意している。
「僕は上品で純粋な子供の演技で、ダイアナと行方不明の子供について探る方に集中してみるよ。エーリヒとの対話は任せるね」
 三ツ屋 緑郎は実体験に基づいた予想があった。以前自分が閉じ込められたのと同じ、ダイアナの創りだした『フェアリーサークル』に閉じ込められているのではないか。そうだとしたら、救出にはダイアナを探る必要がある。
「そちらはお任せいたします。私の姿では子供には到底見えませんから」
「なあ、入る前に1つだけ決めねェか?」
 静かに頷いたジューンの言葉が終わるのを待って、真剣な表情でジャックが再び口を開いた。
「俺ァ中に入ってジジィを怒らせねェ事ァ多分出来ねェ。だからヨ、少なくともエーリヒを見つけて話を聞くまで、俺らの『正論』ジジィにぶつけるのはナシにしようゼ。前も正論ぶつけてジジィに叩き出されてンだろ」
 以前リチャード夫妻にパーティの招待状を届けに来た者達の事だ。報告書にその時の様子は記されていた。正論をぶつけられたリチャードが激昂したという記録がある。
「エーリヒを助ける、中の奴らに聞きたい事を聞く。ある程度納得したらノートにジジィに会ってもOKって書き込む。ジジィの許可時間と俺らの納得度の兼ね合いになるが……どうせなら全員の『正論』ぶつけて叩き出されてェだろ」
「はい、私は言いたいことがあります」
「ゼロは妖精郷はなんだか嫌な感じがするですー。でも、最初はちゃんと演技をするのです」
 きっぱりと言ったジューン。少し眉根を寄せて隠し切れない不信感を顕にするシーアールシー ゼロ。
「私も大丈夫だ。ちなみにエーリヒと話した後はグレンを探す為に動くつもりだ」
「中に入ってしまえば、姿が見えなくともどこかにダイアナ・ベイフルックの透明な猫が居るはずです。私達の会話が筒抜けである事をお忘れなく」
「気を付けておく」
 夫妻の目を盗んで動く手段のあるナウラはジューンの言葉に頷いた。白い髪がふわりと揺れる。と、ニヤリ、笑ったのはジャックだった。
「エーリヒとの会話なら俺に任せておきな。範囲内なら精神感応に人数制限はねェ……全員で話せるゼ。俺は最初にエーリヒに会いに行く。来たい奴ァ来いヨ」
「さすがジャックさんなのです」
 さすがに透明の猫や玩具達も精神感応で話をしているのを傍受することは出来ぬだろう。ゼロがポンと手を叩いて笑んだ。


 *-*-*


『貴殿らが件の客人か。連絡を受けている。まずは青い煉瓦の道を進み、城へと行くがいい。見学の前にリチャード様に挨拶をしていけ』
 扉を開けるた先の森で待ち受けていた偉そうな玩具の衛兵に告げられた通り、五人は青い煉瓦の道をゆく。道の左右にはカラフルな玩具でできたような小さな家が沢山。そして『無邪気に』遊ぶ子供達とそれを『見守る』玩具達の姿が見える。子供達は誰も来訪者達に視線を向けようともしない。自分達に害を与える者、喜びを与える者でなければ興味が無いとでも言うように。子供達は無意識の内に自分の世界と他者との間に壁を築いているように見えた。
「わぁ、素敵なのですー。凄いのですー」
「こんな場所に住まわせてくれるおじいちゃまって凄いんだね!」
 きょろきょろとせわしなく視線を動かして、ゼロと緑郎は妖精郷に魅了された無邪気な子供の振りをする。時折足を止めて見入っては、ジューンやジャックに促されるところまで完璧だ。ナウラは無邪気にならぬまでも、感嘆したように辺りを眺めることを忘れはしない。
(エーリヒはどこにいるのだろう)
 そう考えながら街を見ているのはナウラだけではあるまい。どの子供も無邪気に好き勝手に遊んでいる中で、エーリヒがどれほど心細い思いをしているだろう、そう考えると足が逸る思いだ。
 教えられた通りの青煉瓦の道を反れずに歩いた一同がゆるやかな坂を登ると程なく道の果てに、尖塔を頂いた白亜の城が現れた。物語の中のようなそれは、この現実感のない世界にピッタリのようにも思える。
 まず第一の関門だ。最初の対面で失敗しては見学どころの話ではなくなる。五人は誰からともなく顔を見合わせて頷き合い、城の入口を守る玩具の衛兵に自分達が招かれし者であると告げた。
 通されたのは大広間であった。猫足の家具で整えられた室内には絵画や工芸品などの調度も充実していて、リチャードはその奥に置かれた大きな椅子に座って彼らを待ち受けている。まるで謁見の間で報告を待つ王のようだ。ダイアナは腰をかけていた質素な椅子から立ち上がり、一同を出迎える。
(王は王でも裸の王様だね)
 ちらっと入口から中を窺って、緑郎は心の中で笑った。
「どうぞお入りくださいませ」
 城の入り口で衛兵から取り次ぎを受けたのは見るからに上等なスーツにループタイの男性で、耳が長いのが目についた。執事のようにも見えるが、執事とはどこか違うようだ。
「リチャード様、ダイアナ様、この度は見学の許可をくださりありがとうございます」
 まず代表してジューンが礼を述べ、スカートの裾をつまんでお辞儀をした。年長の者が担うべき役割だが、こういうことはジャックよりはジューンの方が安心して任せられそうだとは他の三人の意見だった。
「リチャード様の偉業、丹念に見学させて頂ける機会、嬉しく思う……思います」
 なれぬ言葉使いに四苦八苦しつつも、ナウラも丁寧にお辞儀をした。それに合わせて他の三人も一応丁寧に頭を下げる。
「そんなに畏まらないで結構ですよ。見学の前にお茶でも入れさせましょうか」
「いや」
 ダイアナの言葉を遮ったのはジャックだ。怒らせない程度に言葉を選ぶ。まるで逸る心を抑えきれぬといった風を装って。
「広い妖精郷を見て回るには時間がいくらあっても足りねェと思う。出来ればすぐに見学させてもらいたい」
「ここに来る前に少し街を見たのです。ゼロはすごくすごくわくわくしたので、早く見たいのです!」
 ゼロはきらきらと瞳を輝かせ、興奮しているように見せる。くるくると意味もなく回ると、白い服の裾がふわりふわりと揺れた。
「僕もすごい感動したよっ! こんな街があったなんて、もっと早く知りたかった! こんなところを維持しているなんて、尊敬します!」
 プロ根性全開で緑郎もリチャードを褒め称えて。褒められて悪い気がしないのが人間――特にリチャードは自分の偉業を褒められているのだ、機嫌をよくしないはずはない。目尻を下げ、顎髭を触りながらリチャードは口を開く。
「うむ。儂の事業に興味を持っているという話だったな。サウルを案内につけよう。好きなだけ見て回るがいい」
(案内!?)
(案内と言う名の監視か?)
 サウルと呼ばれたのは先程のエルフのような男性で、彼はゆっくりと一礼をした。彼はツーリストなのだろう。妖精郷にリチャード夫妻に忠誠を誓うツーリストがいても不思議ではない。思うところはあるがここで案内を断っては逆に怪しまれる。今は受け入れるしかなかった。
「僕はもう少し色々とお話をしたいんだけど、ここに残ったらダメかなぁ?」
 うるうるうる、庇護欲を誘うように上目遣いで告げる緑郎。リチャードは相好を崩したが、ダイアナは笑みを浮かべる。そのダイアナの瞳の奥が笑っていないことに気がついた者はいなかった。
「じゃあここに座るがいい。儂が色々話をしてやろう。ああ、甘い菓子と紅茶も用意せねばな」
 玩具のメイドに用意を命じ、リチャードはソファを指す。緑郎は「やったー!」と無邪気に声を上げて、弾むようにそこに腰を掛けた。
「それでは私たちは見学をさせて頂きますね。御前失礼致します」
 ジューンが頭を下げるのを満足気に見て、リチャードは頷いた。サウルに示されて部屋を辞す四人に向い、ダイアナの後ろから透明な猫がするりと抜けだした。


 *-*-*


 サウルにつれられて四人が案内されたのは、青い煉瓦の両脇にある子供達の街。まるでお菓子の家のようなカラフルな小さな家が間隔を空けて建っているかと思えば、そこかしこに玩具やお菓子、人形や洋服、アクセサリなどが散乱していたりもする。小さな玩具達が、それらが子供の興味を惹かなくなったものであると慎重に判断して、少しずつ片付けているようだった。
「お片づけやお掃除も自分でしなくていいのですー」
「そうですね。ここは子供達が楽しく幸せに暮らす場所ですから」
 違和感や嫌悪感を隠すようにして言葉を紡いだゼロに、サウルが静かに告げる。
「街の中はをご自由に歩きまわってくださって結構です。なにかご質問や次の場所に向かわれたい時はお声掛け下さい。私はここにおりますので」
 ピッタリと密着して監視しないのはこちらが人数が多いからだろうか。それとも玩具や透明な猫など監視の目は足りているからだろうか――目印として大きな木の下に立っているつもりらしい彼に、多少疑心暗鬼にならざるをえない。
(ここはゼロの大好きなモフトピアに似ているのです――でも、不自然な模倣は気持ち悪いだけなのです)
 わぁっと声を上げて最初に街へと駆け込んだのはゼロだ。目に映るモノすべてが気に入った――そんな無邪気な少女を演じながら動く視線が捉えるのは玩具達。動いているものだけでなく動いていないものも目や耳のあるものは全て敵とみなして位置を確認する。
「兵隊さん、お姫様、バレリーナさん、皆はなんでここにいるのです?」
 しゃがみこんで尋ねると同時に頭の上を確認。真理数は0を示している。と言うことは彼らはロストメモリー?
「私達は子供達を守るためである!」
「子供達と仲良くするためよ」
「子供達を楽しませるためなの」
 玩具達はゼロの問いの裏の意味を読む程の知能は持ち合わせていないようで、自らの任務を誇らしげに思っているようだ。
「玩具さん達はもしかして元はロストナンバーだったのですか?」
「ロストナンバー?」
 訝しげな声を上げたのは兵隊。それをお姫様が遮ってやんわりと答える。
「おかしなことを聞く子ね。私達はダイアナ様にお力を授けてもらったのよ」
「さあ、一緒に遊びましょう?」
 お姫様がさらりと言ってのけたのはゼロが子供だからだろうか。バレリーナがゼロの服の裾を握って、きせかえ人形一式が広げられている所へと連れて行った。


 見る限り、子供達は他者への関心があまり無いように思えた。各々好きな場所で好きな事をしている。欲しいものは皆玩具達が出してくれて、お腹が空いたら好きな物を好きなだけ食べて。泣けばあの手この手で機嫌をとってもらえて。
(子供達は我慢も遠慮も知らない。手に負えなくなったらどうする? 怒る、許す、協力等の心が育たない。一人になった時、何も出来ない)
 生理的嫌悪感や怒りに似たものがナウラの心の中をかき混ぜていく。明らかに教育方針が間違っている。
(子供への思いは本心かも知れないが、逆らわない子ばかり育てるリチャード翁。早くに亡くした弟妹と何か関係が?)
 甘い甘い夢の世界で過ごさせてやりたい。それは大切に思えばこそなのかもしれない。けれども子供達に必要なものは、甘いお菓子だけではないはずだ。
 ああ、あっちでも泣いている子がいる。そして玩具のメイドが山ほどのお菓子を出して泣き止ませようとしている。
(夫人は仲裁と言う形で決定権を握っていると思う。しかし今のままでは夫の評判を傷つける、権威はいつまでも万能ではないと気づいている筈。どうしたいのか?)
 考えても答えは出ない。そんなナウラの前で、ジューンが一人の少女に声をかけた。しゃがみこんで視線をあわせ、優しく、威圧しないようにして。
「こんにちは。私はジューンといいます。少し聞きたい事があるのですが聞いてもいいですか?」
「私、今お絵かきで忙しいの!」
「それはごめんなさい。でもすぐに済みますからお願いします」
 取り付く島もない少女に頭を下げると、ピンク色の髪がふわりと揺れた。少女は顔を上げ、その髪に見入る。
「お姉ちやんの髪、綺麗ね。少しくれるならいいわ」
「!」
 少女の我儘にぴくっと反応したのはナウラ。近くで聞いていたジャックもピクリと眉を動かす。だがジューンは動揺した様子を見せなかった。
「それならお安いご用です」
 どこからか取り出した鋏で一房、躊躇いもなく髪を切って少女へと差し出す。自分が物であることを承知している彼女ならではの行動だ。普段ならば望まれたまま気軽に物を与えるのが教育に良くないと分かっている彼女だが、今回の場合は時間も限られているゆえ仕方がないと判断した。
「ここに一番最近来た子はどんな子ですか? あと、綺麗な羽を持った男の子がいると聞いたのですが、彼が来たのは何番目ですか?」
「最近来たのは……凄い怖い子よ。名前は覚えてないー。でも、気がついたらいなくなっちゃったから安心なの。綺麗な羽の子はエーリヒね。積み木が壊れた時近くにいたのよ。よくわからないけど謝ってたの。彼が来たのは恐い子の前よ」
「なあ、そのエーリヒが今どこにいるかわかるか?」
 ひょい、とジャックがジューンの横にしゃがみこむと、少女は怯えた表情を見せた後ぷいっとそっぽを向いた。
「お姉ちゃんの質問にしか答えないもんっ!」
「あー……」
「エーリヒさんの居場所を知っていますか?」
 頭をポリポリと掻いたジャックに代わり、ジューンが尋ねる。すると少女はエーリヒの家を教えてくれた。


 そこは他の家と同じような可愛い家で、子供が住む玩具の家といった雰囲気の小さなものだった。流石に全員で中に入るのは難しそうだ。
『ゼロは子供達に聞いたのです。読み書き算盤等の教育はされていないそうです。勉強なんてしなくていいと大きめの子供達は喜んでいました。ゼロはその点からも、夫妻は子供達に有害だと判断するのです』
 エーリヒの家に向かいがてらゼロと合流し、ジャックの精神感応を利用してそれぞれの心境を伝え合う。声に出せば玩具達や透明の猫が聞いていないとも限らない。ノートを出していればなにか不自然なやり取りをしているとバレかねない。だからこの方法はとても都合が良かった。
『よし、ついたゼ。エーリヒと繋ぐゾ』
 見た目では何も変わらない。精神感応がエーリヒと繋げられたのは、ジャックの言葉で明らかになった。
『エーリヒ……緋穂に言われて迎えに来たゼ。声は出すな。思うだけで俺達には伝わる。これなら他のヤツらに聞かれる心配はない。安心していい』
『……。……お兄ちゃんは、緋穂お姉ちゃんとお友達なの?』
『ああ、そんなもんだ』
 暫くの沈黙の後、幼い少年の探るような声がその場にいる四人の頭の中に届いた。怯えと疲労の色が混ざっているように聞こえるのは、彼がどれだけ不安に苛まれた時間を過ごしていたかを如実に伝えている。
『エーリヒさん……私はジューンと言います。妖精境の外から来ました。お話を聞かせてくれませんか』
『ゼロは緋穂さんのお友達なのですー』
『ナウラという。ノートに緋穂からの伝言を持ってきた』
 一同の優しい声にホッとしたような雰囲気が伝わる。しかしこの家の外に全員がずっと集まっていては不自然に思われる。
『今からお前の家の中に……全員で入ンのは厳しいナ。俺たちの数名が中に入るのと、玩具の届かねェ空中で話すのとどっちがいい? 安心しろ……お前を絶対緋穂ンとこへ連れ帰ってやる』
『……外からの人が僕の所にだけ入ってきたら、きっと兵隊さんに見つかっちゃう』
『わかった』
 エーリヒの言いたいことを察し、ジャックは他の三人に目配せをする。ナウラからノートを預かると家の中からエーリヒを引き寄せ、そして抱いたまま妖精郷の空へと瞬間移動した。高く高く上がれば玩具達には見つからないはずだ。これだけでもエーリヒの不安は軽減されるはずである。
 他の三人はそれぞれ散って見学をするふりをして、精神感応で話ができる状態にしてある。
『俺はジャックだ。これが緋穂からの伝言のあるノートだ。俺達が信用できたら何があったか教えて欲くれ。話さなくていい、何があったか思い浮かべろ』
 ゆっくりと、急かさずに、彼の話から話を引き出すようにうまく手伝って、そして何が起こったのか、なぜ自分が危ないと感じたのか尋ねていく。訥々と語るように思い出していくエーリヒの中から恐怖が感じられて、今すぐ抱きしめて安心させてやりたい衝動に駆られる。
『呼んでくれてありがとう、エーリヒ。間に合って本当に良かった。帰りましょう、緋穂の家へ』
 ジューンのその言葉で、それまで泣くまいと耐えてきたエーリヒの涙腺が決壊した。ポロポロと涙を流してしゃくりあげる彼の頭を、ジャックは優しく撫でる。
「偉かったな、坊主」


 *-*-*


 湖を見学したいです――そう告げたジューンとゼロをサウルは快く案内してくれた。ジャックはまだ街を見たいらしいので先に行ってくれていいと尤もらしい言い訳をつけたので、ジャックはエーリヒを保護してくれているはずだ。
「限られた時間で自分なりに妖精郷を丹念に見たい。一人で回ってもいいだろうか?」
 ナウラのこの申し出にもサウルは表情を崩さず、了承した。監視ならば透明の猫が行えば十分だということか?
「こちらが湖になります」
「霧が深いのですー」
 案内された湖にはゼロの言うとおり、濃い霧がかかっていた。霧のカーテンの向こうには島のようなものがあるが、霧が濃すぎてあまりよく見えない。うっすらぼんやりと見えるのは、石の遺跡のようなもの。壱番世界人ならば、ストーンヘンジのようだと思ったかもしれない。
「ご覧の通り、特にお客様が見て楽しまれるようなものは何も」
「あの島のようなものは、何なのです?」
「残念ながら、私にはお答えできません」
 含んだ言い方をするサウル。ゼロが彼の気を引いている間にジューンは生体反応サーチを行った。出来ればグレンも連れて帰りたい。だがグレンと思われる生体反応なかった。ジューンが軽く首を振ったのを横目で見て、ゼロはサウルの袖を引いた。
「ゼロは少しつかれたのですー。お城で休みたいのですー」
「ジャックさんと合流して、お城に戻りましょう」
 二人の言葉にかしこまりましたと告げて、サウルは先導するように道を歩き出した。
 湖の小島と遺跡のようなものは気になるが、今は調べられる時では無さそうだ。


 *-*-*


 一同が見学をしてエーリヒと接触を持っていた頃、緑郎はリチャード夫妻と話をしていた。上品で純粋な、庇護欲そそる子供のふりをして。
「おじいちゃまって本当に凄いんだね、僕尊敬します! ……あ、ごめんなさい。馴れ馴れしいよね、怒らないで」
 ぱっとソファから降り、リチャードの椅子の隣に跪いてその皺だらけの手を両手で握る。
「……おじいちゃまって呼びたくて……呼んでもいいですか?」
「まあ良いだろう」
 うるうると懇願する瞳を受けてリチャードは鷹揚に頷いた。まんざらでもなさそうである。
「やったぁ! おばあちゃまも、おばあちゃまって呼んでもいいですか?」
「ええ、構いませんよ」
 優しい物腰を崩さぬダイアナ。だがその瞳の奥が緑郎を見据えていることに、瞳を合わせた彼は気がついた。
(黒い魔女ババア……)
 無邪気な笑顔を振りまきつつも、心中では不信感しか抱いていない。
「あのね、僕、悪戯しておばあちゃまに妖精郷に閉じ込められた事があったんだ。あの時は本当にごめんなさい」
「いいのよ」
 過去の行いから緑郎がファミリーや図書館の内情に興味を持っているのは明らかだ。先だってもラビットホールを通り抜けてイギリスのベイブルック邸へ行こうとした事があった。この謝罪はその時のことを指している。
「お詫びの品はもういただいていますからね。そういう意味では貴方達に感謝をしないといけないかもしれませんね」
 あの時はアリッサが何とかお願いして緑郎達をフェアリーサークルから出してもらったという話だったが……詫びの品とは何のことだろうか。
「お詫びのし……」
「それよりも、なにか他に聞きたいことがあったのではなくて?」
 緑郎の言葉を遮ったダイアナの声には静かだが有無を言わせぬ雰囲気がある。緑郎の興味の矛先は件の出来事を知っているダイアナには一目瞭然だ。警戒されていてもおかしくはない。
「あ、うん。おじいちゃまのお気に入りの場所が知りたいなぁ」
 ねだるように告げれば、それ迄の話に関心が無さそうにしていたリチャードは表情を明るくして。そうかそうかと嬉々として口を開いた。
「儂としてはやはり、あの子供達の住まう街が一番気に入っておる。辛い思いも悲しい思いも痛い思いもしないですむようにと作った、子供の為の街じゃからな」
「あの街には動く玩具がたくさんいるよね。どうして玩具が動くの?」
「動くように作ったからですよ」
 口を挟んだのはダイアナだ。やはり玩具はダイアナの管轄のようである。
「いつからここにお城を作ったの?」
「ずっと昔に、静かに暮らせるようにですよ」
「ふーん……。おばあちゃまって」
 言葉を切って、緑郎は強い瞳でダイアナを射抜く。顔と声は、無邪気を装ったままで。
「壱番世界人なのに魔法使いみたいだね!」
「壱番世界にも魔法はあるのです。誰も気付かないだけで」
「ふぅん……?」
 静かにだが毅然と言い放ったダイアナの言葉に、演技をしている今の緑郎は深く突っ込むことは出来ない。無邪気に尋ねても適当にあしらわれるだけだろう。だが、その『魔法』を得るに至るまではなにかカラクリのようなものがあるように感じられた。


 *-*-*


 さらさらさら……こっそりと城へと戻ったナウラは誰にも見られないように砂に変化して、隙間を通って城内を移動していた。換気口や廊下の隅、物陰や天井裏を移動する砂を、さすがの透明猫も捉えてはいない。
(エーリヒとグレンは友達になれると思う。エーリヒの存在を彼に伝えたい)
 ナウラは天井裏を伝って不自然な空間や部屋を探していた。そういった場所に彼が囚われているのではないかと思ったのだ。だが特に気になる部屋といえば、こういった城にはお決まりの地下室ぐらいだ。ナウラは砂状態のまま、地下へと進む。
 地下室特有のジメジメした空気の中進めば、幾つかの部屋にいきあたった。甲冑や絵画や壺が収納されていたり、今は使われていない家具が仕舞われていたりと物置きとして使われているようだったが、最奥の一番大きな扉だけには鍵がかかっていた。だが鍵穴さえあれば、砂状態のナウラが侵入することに難はない。サラサラと侵入し、そこでナウラが見たものは――。
(銅像? 違う、石像か。それにしてはやけにリアルで……)
 一番近くにあった少年の石像に触れてみればひんやりと冷たく、鼻筋や目の窪み加減までリアルな石像だ。何かを叫んでいるところだろうか、開かれた口の中の歯まで一つ一つ再現してある。
(なんだか……気持ち悪いな)
 そう、ただの石像というにはリアルすぎて、生理的嫌悪感を覚えるほどだ。ナウラはぐるりと薄暗い室内を見回して、そしてあることに気がついた。
 暗闇に慣れた目に映ったのは、小さな石像ばかり。奥の方に大人と思しきものも数体見受けられるが、殆どが様々な年齢の子供の石像だった。そのどれもがリアルであり、殆どが泣いていたり怒っていたり――中には手足を拘束されているものもある。
「悪趣味……」
 ぽつり、無意識の内に呟いて。そして自分の中に浮かんだ一つの仮説に震え上がる。
 虹の妖精郷は閉じられた場所。ここに貰われてきた子供達がどうやって暮らしているのか、殆どの者達は知らない。知る術がない。元気に暮らしていると言われてしまえば、納得せざるを得ない。そこで疑いをかけるのは、リチャード夫妻に楯突くも同じだから。
「でも、グレンはいなくなった……」
 確認するように呟いて。一番出口に近い所にいた叫んでいるような少年の像を見る。
「まさか、これが全部――……」
 背筋がすうっと冷たくなる思いだった。知ってはいけないことを知ってしまった、それは嫌というほどわかった。この事を今回妖精郷内で口にしてはいけない、本能が告げている。
「グレン、だよな……連れて帰れなくてごめん」
 グレンを連れて帰るつもりでいた。彼とエーリヒが友達になればいいと思った。だが流石に今ここから石像の彼を連れ出すのは難しい。連れ出したとしても、石像からの戻し方がわからない。
 だから、今回は連れて帰ることを諦めるしかない。
 ナウラの大切な仕事は、リチャード夫妻――ダイアナに悟られずにこの事実をアリッサに伝えることだ。


 *-*-*


 緑郎は何か糸口になるものを得られぬかと、大広間でリチャード夫妻に相対していた。
「此処に来る途中で聞いたんだ。悪い子が居たんだって? 僕怖い、何処にいるのかな此処に来たらどうしよう」
「悪い子は少しばかりお仕置きしていい子になったんだよ。だから安心するがいい」
 怯える演技をする緑郎の言葉に、リチャードは大きな手で彼の頭を撫でる。その手から感じるのは子供に対する愛情。だが子供達を個別には認識していないという矛盾。
「なあ?」
「ええ。最初はここに慣れられなくて少し困ったことをする子もいますけど、少しお話をするとみんなわかってくれて、いい子になって街で暮らしていますよ」
 リチャードに話を振られて、ダイアナは柔らかな声色で返答する。リチャードはダイアナの言葉をすべて鵜呑みにするのだろうか、自分で確かめていないのはグレンのことで明らかである。
「そっかぁ。じゃあ僕またここに来たいな、おじいちゃまに逢いたいし、猫さんとも仲良くなりたい!」
 ダイアナの側の透明の猫に目をやる。先ほどの話が本当だとすれば、この猫は『魔法』の産物なのかもしれない。
(雲丸も場内に怪しい所は見つけられなかったか……っていうか猫にいつまで暑苦しく絡んでるんだ? 完全に無視されてるのに。……まあ、ということはやっぱり、フェアリーサークルに囚われているとしか……)

 コンコン。

 場内を隠密行動していたはずのセクタンと視界を共有していた緑郎が心の中でため息を付いた時、ノックの音が響いた。
「入れ」
 リチャードの許可を得て開かれた扉の向こうからサウルが顔を出したのを見て、緑郎はそろそろ時間だと悟る。そっとリチャードから離れ、入室してくる皆の元へと歩いた。扉を閉められる前にこっそり部屋に滑り込んだ雲丸をとりあえず抱いて。お仕置きは後でもいい。 
「……ナウラさん? 顔色が……」
「……後で話す」
 夫妻に聞こえぬように低く囁きあった緑郎とナウラ。ナウラが何か重大な情報を得たようだということは、彼女の顔色から皆察しているようだった。そんな彼女の表情を見られぬように、他の者が前に立っている。
「あら、その子は……」
 ダイアナがジューンの腕に抱かれているエーリヒに目を留めた。リチャードも美しい翅の彼のことは覚えているのだろうか、視線を移して片眉を上げる。
 エーリヒは怯えるようにぎゅっとジューンに抱きついて夫妻から視線をそらした。彼の耳には先程ジューンのかけてくれた言葉が響いている。


『エーリヒの事は必ず護ります。怖かったら何も話さなくていいわ。だから一緒に行きましょう、リチャード翁の所へ。緋穂の家へ帰るために』


 この言葉と一同の優しさが、今のエーリヒを支えている。支えがなければ恐怖の海へと落ちてしまうのだ。
「見学許可ありがとうございました。私はエーリヒを連れて帰ります」
「なに?」
 突然のジューンの言葉にリチャードが気色ばむ。
「貴方が救える人は確かに居たのでしょう。それでも。怖がる子供に貴方自身が手を差し伸べない。貴方の臣下にしかなれない場所に、この子は置いていけません。人の王は他者でなく、その方自身であるべきです。私がエーリヒを育てます」
「そんな我儘を許せるか! ここで引き取った以上、その子の保護者は儂だ!」
 ドンッ!
 杖を勢い良く床につく音に、エーリヒがビクリと怯える。ジューンはその背中を優しく撫でた。
 確かにリチャードは子供達のことを本当に大切に思っているのかもしれない。けれども聡明な人物ではないのだろう、方向性が間違っていることに気がついていないのだ。
「煩ェヨ! テメェは王じゃねェ、ただの女王配偶者だろうが。心得てねェのはテメェだけだろ」
「どういう意味だ! そこになおれ!」
 立ち上がったリチャードとジャックが激しい言い合いをしている。その剣幕は色々とエーリヒに思い出させるのだろう、怯える彼にゼロが小さなタブレット菓子を差し出した。
「お菓子でも食べていれば、怖い事は過ぎ去ってしまうのですー」
 にっこり笑うゼロの手から震える手で彼はタブレットを受け取り、そして目をきゅっと閉じて口に入れた。ジャック以外の四人が固唾を飲んでエーリヒの反応を見守る。
「うっ……ぐっ……」
「エーリヒさん、どうしました!?」
 彼が苦しみ始めたのを見て、ジューンが大声を上げた。エーリヒが苦しそうに吐瀉するのを見て、ゼロがオロオロと慌てる。室内の視線が全てエーリヒに集まった。
「ゼロ、お菓子を上げただけなのですー」
「急いで医務室に連れて行った方がいいんじゃないかな?」
 緑郎もナウラも心配そうに苦しむエーリヒを覗きこむ。彼の苦しみ方は演技ではない。
「よし、一気に医務室まで移動するぞ。いいな?」
「差し出がましいようですが、医術でしたら私に心得が……」
 それまで部屋の隅にいたサウルが声を上げたが、五人は混乱していてそんな言葉など聞こえない風を装って。
「こら、待て! 勝手に子供を連れ出すことは許さ――」


 シュンッ


 リチャードの言葉を皆まで聞かずジャックは能力を発動させ、仲間達とエーリヒと共に妖精郷から瞬間移動で脱出した。
 後には憤るリチャードが残されたが、ダイアナに諭されて落ち着くのはいつものこと。後は今回のことの責任の矛先だが――。


 ゼロの提案で事前にエーリヒ本人には伝えてあったが、苦しむ様子は見てて気持ちのいいものではない。ゼロがエーリヒに食べさせたのは、エーリヒの種族には毒になるミントのタブレットだった。夫妻を説得できない以上、強制的に連れ出すにはこうして横槍の入らぬ内に動くしかなかった。
 だが懸念はアリッサや緋穂や他の者に責任が及ぶ事で。だからゼロは責を追うことにした。ホワイトタワー収監も覚悟したが、夫妻からは特に責を問われるような事はなかった。子供一人連れだされた所でさほど不利益はないということか。


 夫妻は――ダイアナは知らない。ナウラが秘密を見つけてしまった事を。
 ナウラが見てきた物と推論は、一同だけでなくアリッサや緋穂にも衝撃を与えるに十分なものだった。

クリエイターコメントこの度はご参加ありがとうございました。
ノベルお届けします!

いかがだったでしょうか。
実はオープニング段階から字数的にいっぱいになるだろうなぁと予想はしていたのですが、
案の定、いろいろ削って詰め込んでもぎゅうぎゅうでした……。
あの情報もこの情報もと欲張った結果です……。
詰め込みすぎて読みにくいかもとビクビクしつつ……。
少しばかり? いや、そこそこ? 一部の妖精郷の内情とか、夫妻の力関係とがかいま見えたかもしれません。
蛇足になりそうなので余計なことは語りませんが、色々読み取っていただけるといいなぁと思っております。

エーリヒはあの後医務室で手当を受けて、元気になりました。ご安心ください。


>ジャック様
『正論』をぶつけるタイミングの提案やエーリヒと話をする時の対策等、とても良かったです。
エーリヒを連れて帰りたいという思いも、プレイングからとても感じ取ることが出来ました。
ラストの妖精郷からの脱出にも、特殊能力で一役買っていただきました。
 ●エーリヒより●
 ジャックおにいちゃん、さいしょこわいひとかとおもったけど、やさしかった。
 こんど、いっしょにあそんでくれるとうれしい、な。
 たすけてくれて、あたまなでてくれてありがとう!


>ゼロ様
調べたい部分の目の付け所が細かくて、さすが、と思いました。
聞き込みで判別できなかった部分は、緑郎さんのパートをお読みいただければ答えが予想できるようになっているかと思います。
エーリヒを連れ出すにあたって、リチャードが説得に応じるとも思えない以上、強引に連れ出すしか方法はありませんでした。
が、ただそうしては色々問題になります。
そこをきちんと考えて責任問題への対策も触れられていたので良かったです。
 ●エーリヒより●
 ゼロおねえちゃん、ぼくをたすけてくれてありがとう。
 ちょっとこわくてくるしかったけど、がんばったよ。
 すぐにげんきになれたから、きにしないでね。
 ちゃんとぼくわかってるよ、ぼくのためにひつようだったって。
 こんど、いっしょにあそんでくれるとうれしいな。


>緑郎様
プレイングの内容・目的から判断して、お一人だけ別行動とさせていただきました。
皆さんが見学している間にじっくりリチャードに取り入って、ダイアナとは心の中で火花を散らせていたのでは……と思いながら書いていました。
フェアリーサークルの一件でダイアナは緑郎さんがファミリーや図書館上層部に興味を持っているのを知っているので、その上で裏では警戒していたのでしょう。
黒い魔女の腹はさぐれましたか?
 ●エーリヒより●
 緑郎おにいちゃんとはあまりおはなしできなかったね。
 でも、ぼくをしんぱいしてくれたこえはきこえていたよ。
 こんど、もっとおはなしできるとうれしいな。


>ジューン様
ナニーならではの考え方やエーリヒへの温かい想い、受け取らせていただきました。
残念ながらグレンを連れて帰ることはできませんでしたが、エーリヒはまた暫く緋穂の家で暮らしますので、プレイングで書かれていたお気持ちが変わらなければお訪ねくださればと。
子供達への想い、ありがたく思いました。
エーリヒに優しくしてくださり、ありがとうございました。
 ●エーリヒより●
 ジューンおねえちゃん、たすけてくれてありがとう!
 おねえちゃんがやさしくだきしめてくれたから、こわくてもがまんできたよ。
 ぜったいたすけてくれるってしんじてたよ。
 また、ぎゅってしてね。


>ナウラ様
エーリヒを安心させる、そして話の聞き出し方が具体的に書かれていてよかったです。
その部分の描写が少なくなってしまって申し訳なかったのですが……。
そして調査・探索部分のプレイングは具体的でかつ細かく、素晴らしかったです。
ここがしっかりしていなければ、石像達を見つけることはできませんでした。
ナウラ様が発見した情報でアリッサがどう動くのかはわかりませんが……あれが妖精郷の黒い部分の一部なのは確かでしょう。
 ●エーリヒより●
 ナウラ……おねえちゃん? おにいちゃん?
 ひすいおねえちゃんからのメッセージとどけてくれてありがとう!
 ぼく、あんしんできたよ。
 なんか、げんきなかったけどだいじょうぶ?
 げんきになったら、いっしょにあそんでくれるとうれしいな。


重ねてになりますが、皆様ご参加ありがとうございました。


公開日時2012-07-30(月) 21:40

 

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