これら<真理>を、それぞれの世界群に暮らす人々は知りません。しかし、もし知ってしまったら、そのものは<真理>に覚醒した<覚醒者>になってしまいます。覚醒は、単に知識として知っただけではだめで、なんらかの事由により、魂において<真理>を悟った場合に起こるとされています。

覚醒者は<真眼>と呼ばれる超感覚を有するようになります。<真眼>により、覚醒者はすべての生命のうえに、それが帰属する世界の階層数を読み取ることができるようになります。階層数は<真理数>という、世界の始まりより存在していた数字によって記述されます。ただし、覚醒者自身は、自分の上に階層数を見ることができません。覚醒することによって、その生命は階層世界への帰属を失ってしまうからです。ゆえに、覚醒者たちのことを別名<ロストナンバー>と呼ぶのです。

ロストナンバーだけが、世界を越えて別の世界に旅することができます。しかし、ロストナンバーとして覚醒することは、同時に過酷な運命を背負うことでもあるのです。

■ディアスポラ現象
真理に覚醒した瞬間、そのものは自分が生まれた世界から放逐されてしまいます。そして見も知らぬ別の世界へと転移してしまうのです。これをディアスポラ現象と呼びます。覚醒したものは自身の帰属階層数を失っていますから、結果として自分の出身世界の階層数がわからなくなってしまいます。つまりロストナンバーは自分の世界から放り出され、そこへ戻る手がかりを失ってしまうのです。

■消失の運命
さらに、ロストナンバーには過酷な運命が待ち受けています。放逐後、もといた世界からは「その人が世界に存在したという記憶」が少しずつ失われていきます。たとえ家族や恋人であっても、ある日突然姿を消した人物の記憶を、年月が経つうちに忘れていき、やがて完全に忘却してしまいます。その世界に住む人の誰もが、消えた人の記憶を失ったとき、世界は「その人の存在抜きで再構築」され、あたかも最初から存在しなかったかのようにすべてが修正されます。それと同時に、異世界に放逐されたロストナンバー自身も消えてしまいます。帰属を失ったとしても、あるものの存在を支えているのは「それが記憶されていること」だからです。消失の運命が進むスピードはまちまちで、早くて数年、遅ければ数十年と言われています。

■ロストナンバーの特性
ロストナンバーは、すべての世界群のいずれにも帰属していないため、その摂理から離れた存在です。それは時間の流れからも離脱することを意味しており、ロストナンバーはロストナンバーになった瞬間から、その加齢・成長・老化を止めます(不死になることはありません)。またロストナンバーはロストナンバーでいる間は子孫を残すことができません。

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螺旋特急ロストレイル

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