イラスト/キャラクター:どろり

あまたの世界群より生まれるロストナンバーは、すべてが世界図書館のもとに集ったわけではありませんでした。

中には、チャイ=ブレとは別の、しかし同質の存在である「世界樹」のもとに集まったものたちもいたのです。かれらは世界樹の意志のもとに「世界樹旅団」をつくりあげ、ディラックの空を旅してきました。

「世界樹」は、巨大な樹木のような姿をした超越存在(イグシスト)で、自身を支える小さな大地とともにディラックの空を放浪し続けています。チャイ=ブレとは異なり、世界を恒常的に支配してはおらず、そのかわり、発見した世界の中で適切なものがあれば一時的に根をおろします。しかし、世界樹が根付いた世界はほどなくすべての情報を吸いつくされて滅びてしまうため、世界樹は次なる安住の地を求めて漂い続けているのです。

世界樹はチャイ=ブレ同様、ロストナンバーに存在の保証を与える見返りに自身の助けとなるよう働かせています。このロストナンバー集団が「世界樹旅団」です。かれらは世界樹とともに、永遠にディラックの空を旅し続けていましたが、世界図書館と接触したことで、両者の間に戦いが起こることになりました。

チャイ=ブレの意志により、あくまで世界群には秩序をよしとする世界図書館と、次々に世界を滅ぼしていく旅団とは相容れない存在だったからです。戦いは、0世界における両者の直接的な激突の果てに、チャイ=ブレと世界樹がともに休眠するという結果に終わりました。

■彷徨える森と庭園の都市・ナラゴニア
イラスト/ピエール 世界樹を支える浮遊する大地は「彷徨える森と庭園の都市・ナラゴニア」と呼ばれており、世界樹のもとに集ったロストナンバーたちが暮らしている都市でもありました。ナラゴニアは常にディラックの空を移動して場所を変えており、最後には、都市ごと0世界に侵入して戦いを仕掛けてきました。

戦いの結果、世界樹が沈黙し、ナラゴニアはそのまま0世界の一部になってしまいました。現在、かつての住民たちもそのままナラゴニア上で暮らしています。

■世界園丁
世界園丁は、世界樹に仕える司祭です。世界樹の組織を肉体に移植することで世界樹とつながりを持った、ナラゴニアの指導者層でした。かれらは遠く離れた場所の出来事を認識する千里眼の能力を持ち、それによって旅団のツーリストを指揮していたのです。

中でも、原初の園丁・シルウァヌス=ラーラージュは、外見は青年ですが、実際は1000年以上も前にはじめて園丁となり、旅団を率いてきたといいます。シルウァヌスは戦いのなかで、図書館のロストナンバーに討ち取られました。

すべての世界園丁は世界樹の休眠とともに体内の世界樹の組織が暴走し、樹木になってしまいました。一人も生き残っているものはいません。

■今後のナラゴニア
現在、組織としての世界樹旅団は壊滅しました。かれらが世界群侵略のために用いていた「ワームを制御する技術」「生物をファージ化させる『アーカイヴの針』」「通信機『ウッドパッド』」「移動手段となる空飛ぶ円盤『放浪船(ナレンシフ)』」は、いずれも世界樹の沈黙とともに機能を失いました。

世界図書館はかれらに「難民パス」を発行することで消失の運命を食い止め、0世界に住み続けることを認めました。希望するものは世界図書館の旅客登録もできるようになり、ナラゴニアの街はかれらの代表者による「ナラゴニア暫定政権」により自治が行われています。

今後、旧旅団と世界図書館の融和が、少しずつ進められる予定です。

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螺旋特急ロストレイル

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