朱昏の地理を簡単に表現するなら「反転させた日本列島」です。人種や文化、気候や思想もまた、壱番世界の日本に酷似しています。
大陸の中央に流れる大河が大陸の東西を完全に分断しており、東西での交流は一切ありません。そのため朱昏は東西で文明レベルに差がありますが、その一方で文化は似通っており、かつては大河を越えた交流があったのではと推測されています。

東西を分かつ大河には主たる龍王が宿っています。かれは太古の昔、各地で争いを繰り返す朱昏を憂い、自らの身を大河と変えて東西を分断させました。
人々は龍王を畏れ、大河や海を侵す事は禁忌としています。大河の両岸(東は東昇宮、西は鎮西宮)に何名かの巫女が住まい、彼女達のみが龍王と会話をする事が出来るのです。

朱昏に満ちるエネルギーは、朱色の液体となって世界を循環し続けています。或る場所では朱い雨として降り注ぎ、或る場所では朱い霧として立ち込め、或る場所では大地に浸み込み朱い花を咲かせる、故に「朱(アケ)」とだけ呼ばれます。
人や獣が朱の力を取り込んだ場合は鬼妖に変わり、器物が朱に晒された場合は意志を得て付喪神へと変わります。朱はその他、様々な現象を引き起こします。
朱は生物の感情により強く影響され、聖にも邪にも変わり得る性質を持ちます。各地で神と崇められる者もまた、朱のエネルギーを根源に持っているのでしょう。

【東国】
壱番世界の明治時代を思わせる、文明の発展した華やかな国です。『真都(シント)』と呼ばれる都を持ちます。
大陸全土に「朱霧(アケギリ)」と呼ばれる濃霧が立ちこめ、これをエネルギーとした機関が発達しています。霧は人体に悪影響を及ぼすため、人々は霧の薄い地域に点々と街を作り、暮らしています。
神の血族たる天帝を象徴とした皇国が、東大陸を統治しています。軍部は民の生活を厳しく監視する傍ら、朱霧により発生する妖などの討伐を行う特殊部隊も設置し、脅威から民を護っています。

【西国】
壱番世界の江戸時代を彷彿とさせる、町人文化の活発な賑やかな国です。霧が掛からないので、東国に比べ、文明の発展は著しく遅れています。『花京(カキョウ)』と呼ばれる都を持ちます。
大陸の各地に「朱野(アケノ)」と呼ばれる花が群生しています。朱い花を咲かせて野辺を染めるこの花は、西国の象徴ともなっています。
西国は平西将軍によって統治されていますが、地域ごとに藩と藩主を置いて自治を任せています。朱野を摘み、薬を煎じて特殊な医療に用いたり、符に変えて特殊な現象を引き起こす術師が多く存在し、士農工商を問わず重宝されています。

【北西】
西国側では大陸は北へ伸びています。深い木々と朱い氷に覆われた険しい北方山地には「神夷(カムイ)」と呼ばれる民族が暮らしていて、霊峰に棲まう神々を崇めながら独自の文化を築き上げています。
平西将軍は西方統一を図っているので、度々、征夷軍が神夷に侵略しては諍いを起こしているようです。

【南東】
東国の南には、海に囲まれた理想郷の伝説が語り継がれているようです。ですが、朱昏の住人は海を渡る手段を持たないので、それを詳しく知る者はいません。

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