★ 謎のキノコ騒動 ★
イラスト/キャラクター:モロクっち 背景:桃月りな




『銀幕ジャーナル』の七瀬 灯里です。「謎のキノコ騒動」のこと、知っていますか? あの大事件について、振り返ってみますね。まず、事の発端は、カフェスキャンダルから始まりました……。






<キノコ・スパゲティー事件>

 異変の兆候が、いつも劇的であるとは限らない。
 あとから振り返ってもそれは、見逃してしまいそうなほどにささやかな、偶然の積み重ねであったりする。

 その朝、すちゃらか特撮時代劇出身のムービースター、珊瑚姫が、市役所脇のごく目立たない場所にキノコの群生を見つけたのも偶然であれば、彼女がアルバイト先のカフェ『スキャンダル』への出勤途中であったのも、やはり偶然だった。
 珊瑚がさっそくそのキノコを採取し、手持ちの正絹ちりめん風呂敷に包めるだけ包み、意気揚々と店に持ち込んだことも、だ。


「お早うですえ、梨奈〜! 大収穫ですぞー」
「おはようございます、珊瑚姫。どうしたんですか、このキノコ。こんなにたくさん」
 風呂敷包みからこぼれ落ちそうな大量のキノコに、開店準備中の梨奈は、テーブルを拭く手を止める。
「市役所の脇に生えていましたのじゃ」
 にこにこしながら事の次第を話す珊瑚に、ふと首を傾げた。
「そんな場所に……? 今までキノコなんて、見かけたことなかったですけど」
「気づかなかっただけではありませぬか? 建物の影になっておりましたゆえ」
「そう……かしら? ……ふうん、このキノコ、毒とかはなさそうですね。食材にして大丈夫でしょうか?」
 ひとつ手に取って、しみじみと眺めてみる。
 傘部分が茶色で柄の白い、いわゆる「シイタケ型」のキノコである。ただ、シイタケよりは傘が山形になっており、柄はエリンギのように太い。
 ころんと丸く、どこか愛嬌のあるその形は、「キノコ」と言われて人がまず連想する典型的なものだ。
 毒々しい色をしていない毒キノコも多く存在するのだが、安心感のある外見は梨奈の警戒心を緩めた。
「その辺はばっちりですえ。市役所のぱそこんを借りて調べたところ、学名あがりくす・ぷらぜい・むりる、和名『姫マツタケ』らしいことが判明しましてのぅ」
 珊瑚が太鼓判を押す。キノコを採ったついでに、にわか勉強してきたのである。
「アガリクスって、ガンや生活習慣病に有効って言われているあれですか? すごいですね!」
 すっかり信じてしまった梨奈は、目を輝かせた。
 よくよく考えれば、とある研究所内にて苦節10年、やっと人工栽培に成功したという姫マツタケがそこら辺に生えているはずもなく、詳細に検分すれば、そのキノコが微妙に発光していることにも気づいたはずなのだが……。
「そうじゃろう? せっかくのごーじゃす食材ゆえ、これを使って新しいメニューを作ってみてはどうかと思いましての」
「それはいいアイデアです! 仕入代もかかりませんし、お店も助かります」
「医食同源めにゅーは受けますえ。むぅびぃすたぁのお歴々にも、大人なむぅびぃふぁんの皆様にも、これすてろーるや血糖値が気になる方々は多かろうし、ばらんす良い食効は、幼子や若者にも宜しかろうし」
「そうですね。さっそく作ってみましょう」
 ――そして。
 ふたりは、そのあやしいキノコを厨房に運び込んだのである。

 ほどなくして、カフェ『スキャンダル』秋の新メニュー「特製キノコスパゲッティ」が誕生した。

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ところが、この「特製キノコスパゲッティ」を食べた人たちは、急に踊りだしたり、目の前の人に一目惚れをしてしまったり、とおかしなことになってしまって、カフェで大騒動が起こったんです。あげくに、源内さんはキノコに寄生されちゃうし……。詳しくは以下の記録をご覧下さい。


記録『キノコ・スパゲティー事件』(過去ログ)
カフェスキャンダルで起こった事件の記録です。現在は閲覧のみできます。






<茂霧山探索部隊>

マルパス・ダライェル
やあ、諸君。よく集まってくれた。私はマルパス・ダライェルだ。
先日、このカフェスキャンダルで、奇妙なキノコによると思われる事件が起こったことは周知のことと思う。知らないものは、先日の記録を参照してくれ。

このキノコについて、調べてみたところ、地球上に普通に存在する菌類ではないことが判明した。また、バッキーがこれを食したことから、ムービーハザードによるキノコであると推察される。

そんな折り、リオネが予知をしたのだ。

……山の中にいるよ。霧の中に包まれて、今はじっとしてる。でもどんどん育ってる。そのうち、山を降りてくるかも……

彼女が視たのは、銀幕市の北に広がる杵間連山中の、「茂霧山(もぎりやま)」であるらしい。その山中のどこかに、今回の事件の元凶となる存在が眠っているらしいのだ。しかも、それは放置しておくと成長を遂げ、動き出すという。

それがどんなに危険な存在かはわからないが、むろん、捨て置くわけにもいかない。わたしは『茂霧山探索部隊』を組織し、山狩りを行なおうと思う。そこできみたちの力を借りたいのだ。すこしでも協力してくれる気持ちのあるものは、手を貸してほしい。

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事件の原因はあやしいキノコ、そしてその元凶が茂霧山にあるということがわかって、マルパスさんが探索部隊を組織することになりました。山では、たくさんのひとたちが探索に参加してくれたみたいですね。詳細な記録が下記にありますから確認してみて下さい。でもこの結果、大変なことが……。


記録『茂霧山探索部隊』(過去ログ)
事件の元凶を探し出すという使命をおびて、部隊が編成されました。現在は閲覧のみできます。








キノコ騒動の大本は、地獄から逃げ出したキノコの突然変異だったそうです。「テオナナカトル」と名付けられたキノコ怪獣と激しい戦闘が行なわれたほか、市内では、他にもキノコによるさまざまな事件が起こりました。


関連シナリオ『Delicious Panic!?』
事件の元凶は地獄から逃亡した菌類でしたが、以前にも、地獄から茸が逃げ出す事件が起こっていました。

特別シナリオ『【謎のキノコ騒動】テオナナカトル降臨』
地獄菌類の変異体は「テオナナカトル」と名付けられ、熾烈な迎撃戦が行なわれました。

その他の事件の記録を探す
その他の事件については、『雑誌社』でキーワード【謎のキノコ騒動】で確認できます。




以上が「謎のキノコ騒動」の顛末です。テオナナカトルが倒されたことで、この謎キノコはすべて枯れてしまったようですけど、もう、キノコは勘弁。みなさんも、あやしいキノコをみかけたら充分、注意してくださいね!





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