★ 怪獣島の冒険 ★
イラスト/キャラクター:久保しほ 背景:入江ささ


<浜辺でバーベキュー大会>

ロイ・スパークランド
やあ、みんな。突然だけど、バーベキューをしよう!
理由は特にない。
やっぱり、元気を出すためには肉を食べないとね、肉を!
そんなわけで、みんなで楽しもうじゃないか。

★ ★ ★

こうして唐突にはじまったバーベキュー大会。ロイ監督の呼びかけで、星砂海岸にたくさんの人が集まり、楽しいバーベキューが行われました。

浜辺でバーベキュー大会(過去ログ)
(期間限定で運営されたイベント掲示板の記録です)

その最中、波打ち際で奇妙なものが発見されました。それは……


「ふー、食べた食べた」
 膨れた腹をなでつつ、ロイ・スパークランドは、砂浜を歩いていた。
 たらふくビールを飲んで、火照ったほほに海からの風が心地いい。
 海は、夏の訪れを予感させる色だ。
 ――と、ふいにロイは足を止めた。
「……何だ、これ」
 波打ち際に、ただよう白いもの。
 波に運ばれてきて、浜辺に打ち上げられたといった風情の、それは――
「卵……?」
 わずかに楕円に近い、白く艶やかな球体は、一見して何かの卵のようだった。ただそのサイズたるや……50センチほどもあるだろうか。ダチョウの卵でもこんなに大きくはない。
「どこかのスタジオから小道具でも流れてきたのかな……。おーい、みんな、来てごらんよ、面白いものがある」
 ロイは大声で皆を呼ばわった。

★ ★ ★

「たまご? 海から流れ着くだなんて……。ウミガメの卵……にしては、大きすぎるものね。まさか、ネッシー……ではなく……さしずめ、銀幕市だからギッシー?だったら、興味があるわね……」
 居合わせた流鏑馬 明日(cdyx1046)が、そんなことを言いながら、じっと卵を見つめた。  と、そこへ、騒ぎに気づいたリオネが近付いてきた。
「なにかあったのー? わ、卵だ! 大きいねー。何の卵かな? 何か生まれる? 温めたら孵るかな? やってみる〜」
 卵をよいしょ、と抱きかかえるリオネ。
 面々は謎の卵に首を傾げた。ああでもないこうでもないと言い合っているうちに――

 ピキ……

 ちいさな音を立てて、卵にひびが入った。
「おお!?」
 ギャラリーのあいだにどよめきが起こる。
 見る間にカラを破って、それが顔を見せた。
「わー、生まれたー! 生まれたよー!」
「Oh, my god! なんてこった、本当に孵るなんて。しかし、これは……」
 こんなに早く生まれたことからして、べつだん、本当にリオネがあたためたから生まれたというわけではないのだろう。孵化寸前のところを流れてきたのか、他の要因があったのかはわからないが、とにかく、中から出てきたものは……

「こりゃギッシーで正解だ」

 ロイが言ったとおり、ミニサイズの首長竜のような生き物だった。
「かーわいいー」
「これは大発見だよ!――と、言いたいところだけど……」
 恐竜の生き残り、銀幕市で発見!
 と、いうより、ムービースターと考えるほうが自然だ。
「すごい拾いものだなあ。……市役所に届けたほうがいいだろうか」
「うん。しちょーさんにお願いして飼ってもいいか聞いてみるー」
「いや、そういう意味じゃなくて……」
「わーい、わーい」。

★ ★ ★

 謎の卵から生まれたのは小さな怪獣……!?  リオネは上機嫌でしたが、やがて、これは新たな大事件の予兆であったことが、あきらかになったのです。







<怪獣島の冒険>

「ねーねー、この子、飼ってもいいー?」
 リオネの腕の中で、ミニ怪獣がじたばた暴れている。
「……」
 どう応えたものか、柊市長は迷った。しかし、結局、飼うことになるのだろう。飼わないとしたら、この正体不明の生物を他にどうすればいいというのか。
「……で、彼はやはり、映画の中からやってきたということなんですね?」
「それはそうなのですが、もうすこし事情は複雑でして」
 報告にあらわれた植村は言った。
「今度の元凶は『ダイノランド・アドベンチャー』なる冒険映画のようです。恐竜のような怪獣たちが暮らす火山島が登場します。このミニ怪獣もそこからやってきたようです。……つまり、その、銀幕市の沖合いに、その島が……」
「え」

 どういうわけか、バーベキューのときは島影ひとつなかった水平線の向こうに、今はそのシルエットを見ることができる。目をこらせば、かすかにたなびく噴煙のようなものも。
 件の映画において、近未来、とある企業が天才科学者と協力してつくりあげた希代のテーマパーク、それが「怪獣島ダイノランド」だ。そこは大自然の絶景と、ありえない怪獣たちの驚異をまのあたりにできる、まさに史上最大のサファリパーク。映画のストーリーは、コンピュータの故障によって、本来、島を訪れたビジターには危害を加えない設定になっている怪獣たちが暴れ出してしまい、主人公たちが島から決死の脱出を試みるというものだったのだが――。

「この島が、徐々に海岸に向かって動いていることが判明した」
 マルパスの言葉に、市役所に集まったものたちのあいだにどよめきが起こった。
「このままでは遠からず島が陸地に衝突することになり、どのような被害が出るか予想もつかない。そこで、島を停止させる必要があるのだ。映画の設定では、人工島であるダイノランドの内部には『動力部』があるということになっているため、そこを探し出せば島の進行を止められるだろう。だが映画ではその情景が描かれていないので、どこにあるのかはわからない。そこで、複数の探索部隊を組織し、手分けして島内を探索してもらうこととなった」
 ダイノランド島は気象コンピュータによって環境が制御され、島内は熱帯の気候である。そしてそこには遺伝子操作で誕生した多種多様な怪獣たちが生息しているという。
「なお、動力部の内部には何があるかもわからないので、まずはその入口を発見したら一度帰還してほしい。内部に進入する作戦についてその後に行う。……それでは今から、それぞれのチームが探索する各ポイントについて、現在わかっている情報を伝えよう。充分、注意のうえ、探索にあたってくれたまえ」


バーベキュー会場に流れ着いたタマゴから生まれた怪獣は、ムービーハザード『怪獣島ダイノランド』からもたらされたもののようです。

銀幕市岸に接近しつつある怪獣島を止めるため、探検隊が派遣されました。

探検の記録は、『雑誌社』でキーワード【怪獣島の冒険】で検索できます。
雑誌社の記録を探す


探検隊により、動力部への入口が発見されました。
関連シナリオ『【怪獣島の冒険】拝啓、怪獣様』

次いで、動力部に潜入して島の活動を止める一方、島に取り残された少女・冴木梢救出のための部隊が派遣され、使命を果たしました。
特別シナリオ『【怪獣島の冒険】意思の夢ダイノランド』
関連シナリオ『【怪獣島の冒険】三つの扉』

結果、ダイノランドは進行を停止し、怪獣たちも多くは大人しくなったようです。現在、島は銀幕市の新たな観光名所となり、銀幕港から定期便が出ています。まだときおり、事件が起こることもあるようですが……。





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