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彩音茶房『エル・エウレカ』
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| アリッサ・ベイフルック(cczt6339) 2012-11-25(日) 13:06 |
人狼公リオードルが立ち寄ったのは『エル・エウレカ』。
ターミナルの片隅にひっそりとあるその店は、庭園とも森ともつかぬ不思議な風景の中で、お茶や甘味を楽しめる場所として知られている。
突然の人狼公の訪問にも、この店の空気だけは泰然として変わりがないようだ。 リオードルはどっかりと席につく。
「この店でいちばん美味いものは何だ? 知っているやつがいたら教えてくれ。それから……ここへくれば素晴らしい音楽が聴けると言っていたな。俺はこう見えて楽の類は嫌いじゃない。聴かせてもらおうではないか」
あいにく、店員でもないわりにいつもいる神楽・プリギエーラの姿が、今はないようだ。かの人物がいれば、所望どおりどんな音楽でも奏でられたろうが……。探して連れてくるか、来るのを待ってもよいが、それまで誰かが楽器の演奏か歌を人狼公に聴かせるべきかもしれない。
●ルール このスレッドは、リオードルが『エル・エウレカ』を訪れた一幕を扱います。 ともにこの場を訪れた、あるいはたまたま居合わせたものとして、ご参加下さい。
エル・エウレカについてはソロシナリオ『彩音茶房『エル・エウレカ』』などを参考にして下さい。
リオードルのもとめに応じて、演奏などを行いたい人は標題に【演奏】や【歌唱】などと書いて発言し、どのようなパフォーマンスを披露するのか、書き込んでみて下さい。リオードルから感想が聞けるかもしれません。居合わせたみなさんで合奏してみてもいいかもしれませんね。
【雑談】として、関係なく、会話していただいてもOKですが、リオードルはここでは音楽を聴きたいようです。
なお、幸い、今日はゲールハルト・ブルグヴィンケル(cfep5066)の姿はないようです。
※この掲示板の各スレッドは、リオードルが順番に巡っていったターミナル各所の名所での出来事を扱います。時系列やその矛盾は気にせず、ご参加下さい。30日いっぱいをめどに運営します。 |
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【演奏】
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| ツリスガラ(ccyu3668) 2012-11-25(日) 22:34 |
音楽を所望と聞いたが、本当だろうか。 ……私でよければ、一曲奏でたい。 此処の楽師ほどの腕は無いが、私の経験からいうと、そちらの暇くらいは潰せるだろう。
曲は……そうだな、この間リクエストされた曲なのだが、これからの季節に丁度いい曲だそうだ。 壱番世界由来の……、クリスマスキャロルというものの一種らしい。 確か題はジングルベルといったか。
(そう言うと静かに一礼し、サキソフォンを構える)
(やがて流れだした音は楽しげでありながらどこか寂しさを感じさせるものだった)
(淡々と、しかし真摯に演奏を続けている)
(最後の音を吹き終わるとはじめと同じく一礼)
……どうだろう、暇は潰せただろうか。 そうであれば幸いだが。 |
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【歌唱】
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| 東野 楽園(cwbw1545) 2012-11-25(日) 23:07 |
「歌をご所望?」
まず目につくのは美しさの中に不吉さを沈めた漆黒のドレス。 ドレスに沿って流れる髪はそれ自体が異国の夜空のように艶めいて、閉じた虚構に生きる少女の存在感を引き立てる。
チェシャ猫を髣髴とさせる酷薄な笑みを含み、人狼公と相対する。
小首を傾げる動作につられ黒髪がさらりと揺れる。 ドレスの裾をつまみエレンガントに黙礼ひとつ、少女ー東野楽園が口を開く。
「なら、こういうのはどうかしら?」
数呼吸の静寂の後、胸郭を震わせ放たれたのはどこまでも高く高く伸びるソプラノ。
今にも砕け散りそうに張り詰め、脆さ危うさを孕んで天へと羽ばたく硝子質の声。 澄んだ歌の抑揚と鉱石の瞬きが共鳴し、小銀河のハーモニーを生み出す。
心もち顎を仰のけ、翼の如く両手を広げ、自らの歌声がもたらす空気の慄きを全身で享受し言ノ葉を紡ぐ。
胸郭で空気と撹拌され醸された音は、詩と結びつくことによって言霊を籠められ歌として孵化し、呪詛のように祝福のように輝かしく昇天していく。
硝子のように硬質な透明さと極上のシルクの如くしなやかな柔らかさ、本来背反する要素が黄金律で融け合った不思議な歌声が殷々と響き渡る。
最後の一音が深沈と波紋を描いて広がり、長く余韻を残して消滅する。
「……お気に召して頂けたかしら」
楽園はくすりと笑う。
「題名?……『In Paradisum』。レクイエムよ。私の名前と掛けてみたの。此処はエルサレムじゃないけれど歓迎するわ、人狼公」 |
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おや、いらっしゃい。
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| 神楽・プリギエーラ(cazf7810) 2012-11-26(月) 22:10 |
少し出ているうちに客が来たな。 人狼公といったか……まあ、ゆっくりしていってくれ。 この店で一番うまいもの? そこら辺の常連に訊いてもらったほうが いいんじゃないか。残念ながら私は「何でもうまい」と感じるクチだ。
さておき、ツリスガラと楽園、ふたりの奏で手、歌い手に感謝する。 音楽とはやはり、ヒトを生かすに足る熱だな。 こうして、人のものを聴くと、もっともっとと欲張りたくなる。 (こうべをめぐらせて、誰かを探し) ああ、そうだ、あれをやってくれないか? ――そう、きみだよ。 あの時、聴かせてくれたあれだ。なに、どれだって? だから――……
【神楽の音函】 (※音楽系パフォーマンスのロールをやってみたいけど難しい、もしくは他のところに 力を入れたいからここで濃いネタを考えるのは無理、もしくはせっかくだから オリジナルの歌詞を見てみたい、というかたがたへ。 以下のテンプレートに必要事項を記入して放流していただくと、歌になって 出てきます(※レスのかたちでSSSが描写されます)。それをもとに、 歌った・演奏した・舞ったなどのロールをしていただくことも可能です)
(テンプレート 【PCさんを表現する三つの言葉】例:『花、夢、愛』『贖罪、旅路、大樹』など 【PCさんの歌や音楽の腕前】例:プロ、とても上手、うまくはないけど 一生懸命歌う・演奏する、など 【PCさんの演奏スタイル】例:歌、ヴァイオリン、舞踊、朗読など)
(レスはゆっくりめですが、よろしければご利用くださいませ) |
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彩音茶房『エル・エウレカ』1
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| アリッサ・ベイフルック(cczt6339) 2012-11-26(月) 22:27 |
うむ。なかなか良い。なかなか良いぞ。
>(ツリスガラさん) あまり見かけない楽器だな。だが美しい。武器のようだ。 良い音だし、音に恐れがない。良いものを聴かせてもらった。
>(東野 楽園さん) 歌に自信があるようだな。……実際、良い声だった。 名前と、か。では名を聞こうか? しかし何故、葬送の歌を歌う?
……さア、ほかに誰かいないか。
(神楽・プリギエーラを見遣って)この店のものか? 良い歌い手・奏で手がいたらもっと連れてきてくれ。ここなら期待できそうだ。
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【神楽の音函】
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| 永光 瑞貴(cesa1307) 2012-11-26(月) 23:08 |
一曲舞うから伴奏頼むぞ!
【永光瑞貴を表現する三つの言葉】 光、元気、自由
【名が瑞貴の歌や音楽の腕前】 プロ並。(国の式典で披露できるレベル)
【PCさんの演奏スタイル】 舞踊と短い詩
格好:FS「 自由な風のように舞い、盛る炎のように踊る」の衣装。 |
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【雑談】
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| 東野 楽園(cwbw1545) 2012-11-26(月) 23:13 |
>人狼公 自己紹介がまだだったわね。私は東野楽園……エデンと呼んで頂戴。 お気を悪くされたかしら?(悪戯っぽく笑んで) レクイエムは葬送曲じゃなくて鎮魂歌……喪われた魂を悼む弔いの曲よ。 今回の戦争で多くの尊い命が失われた。それは図書館も旅団も同じ事…… その餞の意味もこめて、ね。 貴方だって仲間の死に無関心ではいられないでしょう? ……戦争以前の事だけど、銀猫伯爵とは個人的にも親しくさせてもらっていたの。 彼が死んで哀しいわ。
>神楽 お邪魔してるわね。 初めて来たけど良い店ね、ここは。気持ちが安らぐ……
せっかくだし、次は聴き手に回ろうかしら (隅の席にお行儀よく腰掛ける |
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【神楽の音函】
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| 揚羽公主(czpd7611) 2012-11-26(月) 23:22 |
この御仁の前で舞えばいいのかえ? 面白い…… わらわの舞に酔わして進ぜようぞ。
【揚羽公主を表現する三つの言葉】 蝶、妖艶、美姫
【歌や音楽の腕前】 とても上手い。 幼少の頃より教養として嗜んでいるのは勿論の事、本人も好きで極めた。
【演奏スタイル】 舞踊・詩吟 |
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【神楽の音函】
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| 蓮見沢 理比古(cuup5491) 2012-11-27(火) 07:30 |
リオードルさんこんにちは! 自分がお勧めしたお店に誰かが来てくれるのは嬉しいな。
料理のお勧めは、実は何でもなんだけど、それじゃリオードルさんも 選びにくいだろうから……えーと、「季節の果物のスイーツプレート」を お勧めしておこうかな。食事なら、旬の魚を使ったシンプルな焼き物とか、 野菜がたっぷり入った温かいサラダなんか最高だけど、リオードルさんは 人狼公っていうくらいだから今流行の肉食系なのかな……?
あ、音楽もやってるんだ。俺も歌っていい? 上手な人ばかりだからちょっと気後れするけど、賑やかしってことで。 歌とか音楽って、心に沢山のさざ波をくれるよね。あれが好きなんだ。
【PCを表現する三つの言葉】深い森、光、静かな喜び 【PCの音楽の腕前】取り立てて巧くはないけれど、幼少期より稽古事として 習練を重ねているため様にはなっている。また、普段の柔らかい 語り口や声とは違う、ハリと腰のある独特の歌声で歌う。 【PCの演奏スタイル】歌、琵琶
(宜しくお願いします!) |
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【神楽の音函】
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| オルグ・ラルヴァローグ(cuxr9072) 2012-11-27(火) 16:10 |
ん? ああ、俺か。
へぇ、《人狼公》と言やぁ旅団の代表じゃねぇか、お目にかかれて光栄だぜ。 っと……んじゃ、一曲どうだい?(にかっと笑いながらヴァイオリンを構える)
【オルグを表現する三つの言葉】 冒険、真実、炎
【オルグの歌や音楽の腕前】 アマチュアの中では上手いレベル、力強い旋律。
【オルグの演奏スタイル】 ヴァイオリン |
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【神楽の音函】
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| 華月(cade5246) 2012-11-27(火) 16:28 |
こ、こ、ここここここんにちは? (挙動不審に入店)
……こ、ここで舞いをしてくれれば助かるって、あの、その、い、言われて。 わ、私は華月というの……。
【華月を表現する三つの言葉】 月光、花、儚い
【歌や音楽の腕前】 プロ
【演奏スタイル】 舞踊 |
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【神楽の音函】
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| ほのか(cetr4711) 2012-11-27(火) 21:08 |
(小袖に緋の袴、直垂を羽織り手に蝙蝠扇、と言ういでたちで、演目が途切れた幕間にひっそりと現れる)
畏れながら……。(膝をつき、深々とこうべを垂れる) ……お耳汚しお目汚しとは存じますが、寸間の無聊の慰みにでもなりますれば……。
【ほのかを表現する三つの言葉】 謙抑、陰極、幽玄
【歌や音楽の腕前】 その道の名手の歌を聴いて育ち、倣った素人。 技巧と言う意味では卓越した玄人に及ばない。 ただし歌の解釈に優れ、そこに込められた感情に「入り込んだ」表現が特出している。 舞の手解きは受けられなかった為、身振りは添え物程度。 静かで、ゆらゆらと浮遊感のある動き。
【演奏スタイル】 今様の歌唱 (既存のものでも、「それっぽいもの」でも結構です) |
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【神楽の音函】
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| 音成 梓(camd1904) 2012-11-27(火) 21:15 |
こんにちは、リオードルさん! 演奏会の最中、かな? じゃあ、俺も一曲参加させてもらおっと! ヴァイオリンも持ってきてるし! (真っ黒なデフォルトセクタンに)レガートも応援しててくれよなー。 【音成梓を表現する三つの言葉】 希望、青空、歓待 【歌や音楽の腕前】 音大声楽科出身かつ一定の人気のあるインディーズバンドのボーカリスト。 音域が広く、歌唱力は非常に高い。柔らかく爽やかな声質だが力強い歌唱もできる。 ヴァイオリンは小さい頃からやっているレベルの高いアマチュア。 レガートはリズムにあわせて手拍子ができる。←(?) 【演奏スタイル】 歌とヴァイオリン(+セクタンのちっちゃい手拍子) |
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【神楽の音函】
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| テューレンス・フェルヴァルト(crse5647) 2012-11-28(水) 00:39 |
リオードルさん、来て、くれたんだね。 勧めた、場所に、来てくれて、うれしいよ。
このお店、とても、いい雰囲気、でしょう?
そうだ、折角、だから、テューラも、演奏を、披露、するよ。 是非、聞いてみて、欲しいな。
【テューレンスを表現する三つの言葉】 穏やか 旅 幻想的
【テューレンスの歌や音楽の腕前】 凄く上手い。恐らくプロに匹敵するレベル。 昔から音楽を好み親しんできただけはある、と言った感じ。 テューレンスが見た事無い楽器でもしばらく触っていればすぐに慣れて演奏できる。 演奏だけでは無く歌もかなり上手い
【テューレンスの演奏スタイル】 トラベルギアの横笛を使用 曲の展開によって音色も変える
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【演奏】
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| ベヘル・ボッラ(cfsr2890) 2012-11-28(水) 01:55 |
「ふむ。他にと呼ばわるなら、ぼくも一曲進呈しようかな。 といっても、ぼくの音楽はそう一般的ではないようなのだけれど」 人狼公の言葉を受け、隅の席から薄藍の外套に身を隠す小柄な人影がするりと立ち上がった。 抑揚の少ない中性的な声と共に、いびつなシルエットを持つ外套が揺らぐ。 「そうだね。例えばぼくの音楽は、こんなものを使うんだ」 進み出るその薄藍の影から幾つもの銀色の球体が零れ落ちる。 泡沫にも似た球体は“彼女”の周囲にふわりと浮かび上がり、散開し、色彩豊かな店の景色を映して奔放に飛び回りだした。 数は、優に七つを越えている。 「さて。この泡にはぼくの自作も混じっているんだが、その話はいらないか。 ひとまず、泡ひとつが一音を奏でられるとしよう」 外套の切れ目から覗く、不自然に白い首をことりと傾げて零された言葉に応じ、“彼女”の傍らを舞っていた泡のひとつが空中で留まり高く澄んだ音を発した。 電子的な響きを含む長く伸びる音。ソレに被せるようにまた別の泡が空中で動きを止め、一段低い音を伸ばす。 次々と動きを止める泡は増え、音が増え、店内は多重の和音に包まれていく。ひとつとして途切れる音はなく、やがてすべての泡が空中で留まった。 揺らぐことさえなくただ真っ直ぐに伸びる音が、融け合い、飽和し、 ぴたりと全ての音が消えた。じんと耳を圧する静寂。 「――こんな感じだ。さて、それでは“音楽”を奏でようか。次は一音だけじゃないよ」
“彼女”の云う音楽はどこか静かに始まった。 すいとひとつの泡が空中を滑り出し、ひそやかに流れる低音がベースを作る。 すぐさま近似の音が随伴し、旋律に深みを与えていく。 雨だれのようにぽつりぽつりと高音が弾み、突然すべての音が一段上へと跳ねた。 泡は奔放に加速する。低く這う音の重なりで深淵を描き、高く揺れる旋律で果てを示す。 ソレは嵐に似ていた。自然の物ではなく、人が詩や絵画に紡ぐような、感情的で、主観的な嵐だ。 不規則に揺れる泡が、くるくると螺旋を描いて上る泡が、加速を重ね、店内に音楽を鳴り響かせる。 全ては単なる合成音。電気信号の紡ぐ偽の声音。 しかし、それらは何よりも自由に、暴力的な迄に闊達に、“彼女”の世界を描き出す。 泡は揺れる。嵐は吹き荒ぶ。不意に荒々しい風雨の中心で空は晴れ、高く高い澄んだ空をのぞかせる。多重音が絡み合いそこへと滑り込んでいく。 いつの間にかどこかに穏やかさが灯り、やがて泡が一音一音“彼女”の影へと還って消えていく。
「お気に召して頂けたなら、幸いだ」
平坦な声とは裏腹の、どこか飄々とした物言いが、多彩な独演の終わりを結んだ。 |
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【演奏】
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| イルファーン(ccvn5011) 2012-11-28(水) 09:35 |
「ようこそ人狼公。歓迎するよ」
霊峰の初雪を冠したような純白の髪、鳩の血色の目、雪花石膏の肌。 華奢で優美な体躯を中東風のゆったりした民族衣装に包み、しなやかな蓮歩に粛とした気品を従えて、異端の精霊がエル・エウレカにやってくる。 浮世離れした存在感と絶世の美貌とが結晶したツーリストの青年ーイルファーンは、優雅な物腰で挨拶するや、懐から葦笛をとりだす。
「このよき日を祝し僕も一曲披露しよう」
笛を横に寝かせ、軽く息を吸い込み唇をあてる。 身に纏う布が衣擦れの音を伴い静かに流れ、幾重にも襞を作る。
はじまりの一音。 狂おしく甲高く伸びる音を追いかけるように次の音が生まれ次から次へ連鎖していく。絡まり合い渦を巻き、異国情緒あふれる旋律を紡ぐ。
長い睫毛が縁取る目を伏せ、自らも音に浸るようにして笛を操る。 白魚のような指が笛の上で踊る。 孔を押さえ塞ぎ傾け曲を奏でる。 優しく柔らかく、愛撫するように唇を触れさせるごと、吐息が管を通り泡沫(うたかた)の音が生まれゆく。
その演奏は機織りに似ていた。 そして祈りにも似ていた。
機を織るようにして垂直に伸びる高音の縦糸と低音の横糸を掛け合わせ縒り合わせ、「目」で見るのではない、「耳」で視る蜃気楼を編み上げていく。 その音は地上を潤しいずれ天に還る雫のようにそれぞれが融け合い干渉し、柔らかく膨らみ広がっていく。
聴くものの感傷をいやおうなく搔きたて哀愁誘うその曲には、砂漠を流離う流浪の民の望郷の念が籠められているかのようで、酷く胸に突き刺さる。
物狂おしく哀しい調べが鉱石きらめく空間を充たしていく。
俯き加減に笛吹くイルファーン、頭や肩の動きに合わせラピスラズリを嵌め込んだ銀細工がしゃらしゃら鳴る。 それらは装身具というより神託を授かる儀に供される祭具の印象が強く、イルファーンを縛める枷のようでもあって、エスニックな吹奏に高く清冽に澄んだ銀鈴の風雅を添える。
最後の一音が長く余韻をひいて大気に溶ける。 ゆっくりと唇を離し、改めて口を開く。
「……僕の故郷に伝わるキャラバンの曲だ。これはナイといって、葦でできた笛なんだよ。壱番世界にもよく似た伝統楽器があるそうだけどね」
にこやかに小首を傾げ、手に持った笛を掲げてみせる。
「僕の故郷は灼熱の太陽と渇いた砂とが司る大陸だった。君の世界はどんな処だったんだい、人狼公」 |
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【神楽の音函】
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| ロナルド・バロウズ(cnby9678) 2012-11-28(水) 15:01 |
ゲールハルトさん居ないんだって?お邪魔するよー。 あー俺はあの人嫌いじゃないよ。暑苦しくて堅苦しいけど、いい奴だよね。 じゃあ何で居ない時に来るかって…例のビームがあるじゃない。 俺がアレを何度食らって枕を涙で濡らしたと思うの。 飲みに誘いたいけどそれがおっかなくて今に至る…。
あ、ナラゴニアの偉い人来てるんだ。 …ゲールハルトさんが居ないなんてツイてるね!心に傷を負わなくて済んだね! 俺も歓迎しちゃうよー。折角だから聞いてってちょーだい。 さあ俺の可愛い【かずのこ】ちゃん、お客さんだよ。歌おうか。 (一礼してバイオリンを構える)
【ロナルドを表現する三つの言葉】 『決意、風、祈り』
【ロナルドの歌や音楽の腕前】 プロ 誠意を持って技術や表現力を惜しみなく披露する。 リラックスし、自身も楽しんで演奏。
【ロナルドの演奏スタイル】 バイオリン |
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【神楽の音函】永光瑞貴、揚羽公主、蓮見沢理比古、オルグ・ラルヴァローグ
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| 神楽・プリギエーラ(cazf7810) 2012-11-28(水) 18:02 |
一輪の清い花のように佇む永光 瑞貴のために、彼を彩る音楽が奏でられる。 ただでさえ性別を間違えてしまいそうな美貌の持ち主であるのに、今の瑞貴が身に着けている衣装は、風や炎を髣髴とさせる、静謐でありながら艶やかで美しい、身体のラインをあらわにするたぐいの、非常に露出度の高いものなのだ。 そこにはいやらしさはなく、瑞貴の持つ、少年期特有のしなやかさと相俟って、四肢のすみずみまで満ちる、瑞々しいエネルギーを感じさせるのみだが、ほとんどのものは彼を美姫と表現するだろう。 音楽に合わせ、瑞貴が舞い始める。裾や髪飾りは、ヴェールのように風と空気を孕み、蝶や小鳥のような優雅さで彼の舞を彩った。 「何ていう曲だっけ、これ」 「“若葉光”」 簡潔な答えとともに、弦に弓が当てられる。 深く透き通る音色が溢れ出し、『エル・エウレカ』を満たす。同時に、瑞貴は軽やかな足取りで床を蹴った。流麗なサンダルが床を踏みしめるたび、軽快な音が響く。指の先、髪の毛の先にまで意識を行き渡らせ、腕を空に掲げてはくるりとまわる。まわるたび、飾りがふわりと舞う。 闊達な、軽快な、緑のイメージが脳裏をよぎる。 それは、朝日に光る雫と、その雫を受けて開き輝くあおいあおい葉だ。自由な風と光を受けてしなやかに伸びゆく、清く純粋な新芽だ。 ――そう、まるで、瑞貴自身のような。 やがて花を咲かせ果実をみのらせる、香り立つがごとき未来の喜びを感じさせながら舞を収束させ、 「どうかな。俺は、楽しかったけど」 瑞貴は、はにかむように笑った。
揚羽公主は、人狼公への優雅な一礼ののち、ゆったりとした動きで手を空へ掲げた。それに合わせて、神楽が楽器を構える。 すぐに、ゆるうり、と旋律が流れ出す。 「曲名は?」 リオードルの問いに、 「“艶蝶”」 端的に応えて、神楽は揚羽公主を音で彩る。 裾の長い、優美な衣装をみやびやかにたわませ、布地の動きさえ計算し――それは計算というより経験によって完璧に動作を律しているというべきか――、指の一本一本にまで意識を集中させて、それでいて力みはまるで感じさせず舞う揚羽公主は、まさに蝶と呼ぶのが相応しかった。 長く美しい、濡れたような黒髪がさらりと揺れ、豪奢な髪飾りが鈴に似た音を小さくこぼす。美しい弧を描く唇は、泰然たる笑みを浮かべている。
桃源の園には生きた花 嬋娟たる 翅をあそばせ 花の香と光をまとい 蜜から蜜へと渡り舞う
若々しく艶やかな美声が、細身に似合わぬ声量で詩をうたいあげる。 それはまさしく、年中、花の絶えない神秘の花園で、色鮮やかな花から花へと舞い飛ぶ艶やかな――妖しくも美しい、儚くも華やかな、色とりどりの胡蝶たちのごとき舞だった。 「さて……妾の舞、いかがかのう?」 始まりと同じく優雅に、悠然と舞いを収め、揚羽公主は微笑むのだった。
蓮見沢 理比古は、『エル・エウレカ』に置きっぱなしになっている琵琶を携えていた。 「ここだと、気兼ねなく演奏できるから、つい」 しなやかな指先で弦の調子を確かめてから、理比古は撥を当てる。 「何という曲を聴かせてくれる?」 「あ、ええと、“Heaven in a Sweet Small Water-Lily”、かな」 雨だれのように朴訥な音がほろりほろりとこぼれていく。 そこに、神楽のパラディーゾが音を重ねた。 琵琶の、独特の艶を持った音に、滔々と流れるようなパラディーゾの音色が重なって、不思議な反響を伴いながら『エル・エウレカ』を包み込む。 どことなく、寂しげな旋律だ。 そのくせ、奇妙に、光と喜びを感じさせもする。
I was born in the Darkness. I had no Light,no Hope,no Pleasure. But I know,I can obtain that. They say everytime,“Heaven in a Sweet Small Water-Lily”.
普段の、やわらかく穏やかな声とは少し違う、ハリと腰のある声で歌が紡がれる。それはとてつもない孤独を含んでいたが、同時に、強い希望と祈りを感じさせもする。 楽園など、どこにでもある。 タイトルを意訳すれば、そうとも受け取れる。 それは、理比古の生きかたそのものとも言えるのかもしれなかった。
オルグ・ラルヴァローグが選んだのは、以前、『エル・エウレカ』で弾いたあの曲だ。 オルグの相棒の故郷である霧深き森を思い奏でた、深々と静謐で、それでいてどこか温かく懐かしく慕わしい旋律は、何度弾いても胸に小さな炎がともる。ヴァイオリンを奏でている間、オルグは、まるで自分が楽器と一体化したかのような、不思議な充足感に包まれていた。 彼は誇りある剣士だが、それと同じくらい音楽を愛している。それもまた自分の真実だと感じている。 彼の紡ぐ旋律に、神楽がパラディーゾの音色と言葉を重ねる。
霧深きかの森に、赤と黄の陽光がよぎる。 光は森を温め、木々に伸びをさせる。 それは、やさしい約束。森と太陽との。
霧深きかの森に、黒と紫の夜が降りる。 夜は森を眠らせ、木々を安らがせる。 それは、穏やかな約束。森と夜との。
オルグの故郷の、古い旧い言葉で歌われるそれは、郷愁と、ふるさとへの静かな愛着とを彼に自覚させる。 ヴァイオリンの伸びやかな音色が重なって、やがて収束してゆく。 「いい曲だ。だが、曲名は?」 「ん……そういやそうだ」 これはオルグの作曲した――ただし、恥ずかしいので自分でつくったなどとおおっぴらに言ってまわるつもりはない――ものなのだ。作曲だけして、タイトルをつけるのを忘れていた。 「……そうだな、どうしようか」 楽器をおさめ、オルグは首を傾げた。
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【神楽の音函】華月、ほのか、音成梓
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| 神楽・プリギエーラ(cazf7810) 2012-11-28(水) 19:02 |
華月はおどおどしつつ『エル・エウレカ』へ足を運んだ。 なにせ人前で舞踊を披露するなど、集団行動が苦手で目立つことが苦手、そして男性が苦手という華月にとっては試練に均しい。しかし、「舞を披露してもらえると助かる」などと言われれば、人の好い彼女に断れるはずもないのだった。 「ええと、あの、じゃあ、“月光花”という舞を、あの、させて、い、いただきます……」 最後のほうは消え入りそうな声になった。 しかし、神楽がパラディーゾに弓を当て、ゆるやかな曲調の音楽を奏で始めると、その顔からはおどおどしたものが消え去り、繊細に整った面には凛とした空気が満ちる。 静かな音楽だった。 青白い月の光が照らす花園。 夜にもかかわらず、そこでは花が満開で、夜にしか飛ばない金と銀の蝶が、ゆったりと翅を遊ばせている。水の香にも似た清冽な芳香が辺りに漂い、蝶たちはまるで酔いしれるかのように、ふわふわと幽玄に舞い飛ぶのだ。 ゆるり、と、袖をたわませて腕が伸ばされる。 伸ばされた腕は翅のような優雅さで宙を撫で、花の香を――もしくは、別の、何か大切なものを――抱くように戻される。流れるような滑らかさで、一分の隙もなく舞い続ける華月の眼差しは静かだが、ときおり、かすかな痛みが混じった。それが、誰を思ってのことなのかは判らない。 「あの、ええと、その、す、すみません……すすす、少しでも、お楽しみ、いただけましたら……ッ」 音楽が収束し、静けさが戻ってくるとその痛みは鳴りを潜める。 あとは、羞恥に赤くなり、今にも物陰に隠れてしまいそうな少女が残るのみだ。
曲の切れ間に、ほのかはひっそりと姿を現した。 彼女が膝をつき、深々と頭を下げると、 「お耳汚しかとは存じますが、わずかなりとも無聊の慰めになりますれば……」 リオードルは鷹揚に頷き、興味を示す。 「その出で立ちは独特でいい。……さて、お前は何を聴かせてくれる?」 「はい……今様の歌唱をご覧にいれたく存じます」 今様とは、当時の意味で「今どきの流行歌」といったものである。壱番世界では、梁塵秘抄などが知られている。ほのかの故郷でも、同様の歌謡が親しまれ、愛されてきているのである。 神楽が、ことさらゆっくりとした音楽を奏で始めると、ほのかはゆっくりと息を吸った。
秋風に 紅葉舞い結う空文様 赤や黄色の 艶錦 晴れし夜長に見上げれば 月の光もあわれかな
ほつりほつりと言葉がこぼれる。もの静かな、しかしたくさんの感情を感じさせる歌が紡がれる。 歌の作者が、これをつくったときに何を感じていたのか。どんな感情、思いがこの歌に込められているのか。ほのかは、それを感じ取り、入り込み、表現するすべに長けているのだ。 それゆえ、卓越した技量というわけではないのに、彼女のうたう今様は、ひどく胸をつくのだった。
音成 梓は音符のように真っ黒なセクタン、レガートを伴ってやってきた。 腕にはヴァイオリンを抱えている。 「ちわっす! せっかくだから俺も参加させてもらおうかな!」 朗らかに言って、慣れた手つきでヴァイオリンを調弦し、構える。 弓が弦に当てられ、軽快なリズムで音楽が始まる。弾むように闊達な、活き活きとしたメロディがあふれだす。肩の上で、レガートが拍手をしながらくるくると踊っている。 「何という曲だ?」 「“Days”っていうんだ。バンドで歌ってるやつ」 神楽が続きを引き取って、同じ旋律を奏で始めると、梓は深く息を吸った。
ふくれてたってくじけてたって、 へこたれてたって仕方ない。 世界はいつだって大歓迎、開かれていて、 道はいつだって真っ直ぐに伸びている。 歩け、歩けば地球が回る。 回れ、回れば明日が来る。 No Day,But Today. 日々なんてものはない、ここには今日しかない。 だから歩こう、地球を回しに。 だから回そう、明日を迎えに。
爽やかでやわらかい、しかし非常に声域の広い、遠くまで通る声で、明るい歌が紡がれる。それは、歌詞にはなくとも、どこまでも続く、広い広い青空を感じさせた。梓という青年のイメージに沿っているからかもしれない。 「やっぱ、音楽っていいよな。元気が出るもんな」 朗らかにうたいあげて、梓は明るい笑みを浮かべた。 レガートが、ぱちぱちと拍手を続けている。
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【雑談】
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| ムジカ・アンジェロ(cfbd6806) 2012-11-28(水) 19:14 |
(音函の共演を目を細めて見護り、聞き入った後) ――ああ、いいな。素晴らしい、ほんとうに! 無限の世界には無限の音楽が存在する。それを実感させられるようだ。 (たくさんの音楽に触れられ、無邪気にはしゃいでいる)
人狼公、だったか。素敵な催しを開いてくれて有難う。おれからも感謝を。 これだけ素晴らしい共演を聴かせてもらったんだ、おれも何か奏でなければ失礼かな。 (とんとん、と指先が堪え切れずにリズムを取っていた)
しかし、困った。今は楽器を持ち合わせていないんだが……。 ただ唄だけを献上するというのも味気ない。 おれは声楽家でもなければ詩人でもなく、音楽家(ミュージシャン)だから――。
>神楽 ――と。(店内を見渡し、ふと神楽さんに目を止めた) 神楽、その楽器(パラディーゾ)、借りても構わないか? |
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【神楽の音函】テューレンス・フェルヴァルト、ロナルド・バロウズ
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| 神楽・プリギエーラ(cazf7810) 2012-11-28(水) 21:51 |
テューレンス・フェルヴァルトは、横笛のかたちをしたトラベルギア【渡り鳥】をそっと構えた。『エル・エウレカ』に来たからには、音楽を演奏せずにはいられない。それはもう、ほとんど、テューレンスの日常のようなものだ。 「何という曲を?」 問いに、かすかに笑って、神楽へ目くばせする。 小さな頷きが返った。 「“うずまき森と螺旋鳥の踊り”、と、いうんだ」 応えるのと同時に音楽が始まる。 【渡り鳥】が小鳥の足音のような軽やかな音色を奏でれば、パラディーゾは深い森を風がくるくると渦巻いて吹きすぎてゆくような低音を重ねる。パラディーゾが軽快に小鳥のさえずりを紡げば、【渡り鳥】は森の木々が枝葉を伸ばしてゆくかのごときゆったりとした音色を重ねた。 【渡り鳥】が青々とした葉を叩く雨だれの音を奏でる。パラディーゾは、小さな小さな川となった雨水が、巨木の根元を流れてゆくさまを表現した。宝石めいて透き通る石、紅くて甘い果実、色鮮やかな獣たち、光は森の奥、雲母のように降り積もる。 穏やかで幻想的な光景と、それらを見つめながら行き過ぎてゆく旅人。 この音楽を聴いて浮かんだイメージを描いてほしい、と絵描きに頼めば、きっと美しくも不思議な絵になるだろう。 歌詞がなくとも、そこには、音として発せられることのない『言葉』があった。 その『言葉』を感じられるからこそ、ヒトは太古の昔より、音楽に魅せられ、音楽とともに生きてきたのかもしれない。
「いやー、よかったね、命拾いしたよねナラゴニアの偉い人!」 ゲールハルト不在を狙ってやってきただけに、ロナルド・バロウズのテンションは高い。実際のところ、人間的には嫌いじゃないしむしろ呑みに誘いたいのに例のビームが怖くていつも躊躇する、そんな複雑なヲトコ心。 とはいえ、ひとまず人狼公の求めるまま、彼もまた音楽を披露する。 「さあ、可愛い【かずのこ】ちゃん、出番だよ」 「何を聴かせてくれる?」 「“Vent”」 特別な動作などなにもない。 ヴァイオリンを構え、弦に弓を当て、動かす。 それだけのことなのに、次の瞬間、花が咲くように、風が吹き込むように、光があふれるように、水が流れ込むように、すさまじいばかりの『音』が店内に満ちた。 それは明らかに風だった。 そよ風、突風、台風、大風、嵐、凪。 繊細で透き通ったハーモニクスがやさしいそよ風を奏でる。弾むようなピッツィカートは嵐の夜に降る雨のようだ。凪の穏やかさを、情感あふれるボウイングが表現し、そこにあるあまたの光景を描き出す。 ギフテッドの名にふさわしい、同時になみなみならぬ努力のあとの垣間見える腕前だ。彼の奏でる音楽は力強く、楽しげで、情熱的なまでのエネルギーがある。 そこに含まれる、決意や祈りに似た何かを感じ取っているものは、いただろうか。
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……ふむ
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| 神楽・プリギエーラ(cazf7810) 2012-11-28(水) 21:59 |
(パラディーゾから弓を離し、ひとつ息を吐いた) ずいぶんたくさん弾かせてもらったな。 そして、ずいぶんたくさん聴かせてもらった。
ツリスガラ、楽園、瑞貴、揚羽、アヤ、オルグ、華月、ほのか、梓、テューラ、 ベヘル、イルファーン、ロナルド、たくさんの音をありがとう。 音楽というのは、世界を超えて通じ合うことのできる、偉大な存在だな。
さて……人狼公といったか、気に入りの音楽は見つかったか? もうひとり、ミューズに愛された男が何か聴かせてくれるそうだから、 それも楽しむといい。
>ムジカ もちろん、喜んで。 たぐいまれな音楽家に奏でられることは、すべての楽器にとって喜びだ。 きみの聴かせてくれる『世界』を楽しみにしている。 (パラディーゾと弓を、無造作に手渡しつつ)
(ご参加ご利用ありがとうございました!) (時間の関係上、さらっと流す程度のSSSにしかならずすみません。 また、これは歌がないほうがいいと判断したものは、あえて歌詞をつけて おりませんのであしからず) (ともあれ、とても楽しく書かせていただきました。またの機会が ありましたら、ぜひ) |
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彩音茶房『エル・エウレカ』2
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| アリッサ・ベイフルック(cczt6339) 2012-11-28(水) 22:36 |
>楽園 いや、そうではない。悲しい歌をなぜ歌うのかと思っただけだ。 たしかに戦で失われた命はあろう。だが少なくとも、望んで戦いに赴いたものは、たとえ散っても戦士の園で安らぐのだと俺は思っている。
銀猫伯爵の知己とは驚いたな。そういえば、彼奴が一時、図書館のものたちを匿っていたと聞いたが……。 俺はかのものとはそりが合わなかったがな。
>(蓮見沢さん) そうか、では、そのお薦めのものをもらおうか。 いかにも肉は好物だが、俺はなんでも食うぞ。
>(ベヘルさん) む……。 不思議なわざだな。まるで見たこともない楽器、耳になじみのない音だ。 作曲家の編む旋律とはなにか違う。音そのものが生き物のような…… なぜかは知らぬが、冬の星空を見ているような気分になった。 珍しいものを聞いた、礼を言う。
>(イルファーンさん) うむ、良い演奏だ。 これはさきほどとは逆に、どこかなじみのある音楽に思える。
……俺がかつていた場所は混沌に浮かぶ大小の大地で、無数の王国がせめぎあっていた場所だ。その中には砂漠の地もあり、砂漠の民もいた。だから懐かしく思ったのかもしれぬ。俺の領土は森と岩山ばかりであったが……。
>(神楽・プリギエーラ) うむ。ここに集ったものたちは、みな、優れた演者ばかりだ。 ナラゴニアにもむろん、芸事に秀でたものはいるにはいるが、畢竟、武が尊ばれるところだからな……などと俺が言うのも可笑しな話か。
気に入った。
(店員に手を叩いて)ここにいるものたちに酒と食べ物を望むだけやってくれ。
>(ムジカさん) みゅうじしゃんとは何だ。まあよい、聴かせてもらおう。 |
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【雑談】
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| 蓮見沢 理比古(cuup5491) 2012-11-29(木) 07:39 |
(琵琶をいつもの場所に片付けながら) うん、楽しかった。 音楽って、すごくたくさんの感情があって、いいよね。 演奏する人の心が映り込むからかな?
>リオードルさん (演奏を終えたあと一礼) お耳汚しでした。でも楽しかった。 そういえば、リオードルさんは自分で演奏とかはしないの?
あ、何でも行けちゃう派なんだ、お仲間さんだね。何でも食べられた方が 便利だしね。じゃあリオードルさんにこれお裾分けしよう(鞄から チョコレートを取り出してリオードルさんの前に置く)。 お気に入りのショコラティエの最新作なんだ。シャンパーニュっていう 葡萄酒で風味をつけたクリームが入ってるんだよ。お近づきの印に一つ。
>神楽 伴奏ありがとう、やっぱり神楽はすごいな。 俺、神楽の音楽がとても好きだよ。 (ミニノベルありがとうございました!)
>ムジカさん わあ、パラディーゾで演奏するんだ。 ムジカさんが演奏したら、どんな音がするんだろうね。楽しみだな。
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【雑談】
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| ベヘル・ボッラ(cfsr2890) 2012-11-29(木) 17:52 |
(席に座りなおして鑑賞する姿勢をとっている) ふふ。良い音だ。 こんなに生演奏を聴いた経験はないんだけど、うん、おもしろい。
>ムジカ やあ、きみ。0世界で会うとはめずらしいね。 きみも演奏するのか。そういえば、きみの生演奏も本格的に聴いたことはなかった気がする。たのしみだ。
>人狼公 ぼくの世界は多様化しすぎているから、故郷でさえ一般的な音楽……ではないな。楽器というよりは機械だね。 そういう、きみの故郷の音楽はどんなものなのかな。 冬の星空、か。ぼくの方はソレにあまりなじみがないのだけど、どういうものかは知ってる。 嬉しい褒め言葉だ。ありがとう。
……おお。おごりとは気前が良いな。 |
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【雑談】
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| ムジカ・アンジェロ(cfbd6806) 2012-11-30(金) 06:58 |
>神楽 ああ、ありがとう。 楽器は奏で手の魂だ、大切に弾かせてもらうよ。
……それにしても、『ミューズに愛された』だなんて随分と大仰な紹介をしてくれる。 ひどいプレッシャーだ。恨むぞ、神楽(くすくすと笑いつつ)。
>人狼公 なに、単におれの世界で『音楽家』を示す言葉だ。 音楽家と呼ばれるのは堅苦しいから、こう名乗っているだけさ。
では、御言葉に甘えて。あなたの耳を楽しませる事ができればいいのだけれど。
>理比古 やあ。あんたの琵琶、とてもいい音色だったよ。 おれは邦楽にはなじみが薄いんだけど、ただそれだけで終わらないというのが面白いね。
(パラディーゾを大切そうに抱きかかえ)ああ、楽器の中でも弦は得意でな。 聴いてくれるのなら幸いだ。
>ベヘル 久しぶり。そっちこそ、中々見かけないじゃないか。 そうだったか? 唄ならいつも歌っているけれど。
……おれはやっぱりあんたの造る音が好きだよ。荒々しいのに、美しい。 おれには創り出せない世界だ。純粋に羨ましいと思う。
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【演奏】
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| ムジカ・アンジェロ(cfbd6806) 2012-11-30(金) 07:00 |
巫子から借り受けた楽器『パラディーゾ』を組んだ足の上に乗せる。指板に回した左手が弦の強度を確かめる。二胡ともバイオリンともつかない弦楽器を興味深く見究め、三本の弦の持つ音域をそれぞれ確かめた後で、“音楽の天使”はゆったりと微笑んだ。 初めて手にする楽器だ。 だが、不安や不慣れは何一つない。 それが楽器であれば奏でられぬものなど無いと、天性のトゥルバドールはそう自負している。 初めの一音を待ち侘びる観衆を見渡して、無垢なほどに穏やかな笑みを浮かべる。 今、この日、この場所には音楽だけが充ち溢れている。 それは何よりも、彼にとっての幸福だった。
張り詰められた弦同士が擦れ合い音をたてる。低くから始まった音はなめらかに滑った左手の動きを受け、繊細な震えを伴って高くへと変じる。内側から溢れる感傷を、喜びを、衝動を、指先が音に変える。 しなやかに手首が翻る。全く力を入れているようには見えないのに、右手が握る弓はぶれる事もなく自在に弦の上を滑る。 肌理細やかな音は深く艶やかな響きを湛えていて、聴き入る者に色彩を幻視させた。光を孕んで、ゆったりと色を変えていく青。 そして、開かれた唇から微かな音が溢れ出す。 ひどく独特で意識に残る、印象的な響きを持った声が紡がれる。肺から吐き出した息をそのまま音に変えたかのような掠れや繊細さを残しているのに、聴き取り難さはまるでない。深く伸びやかで、豊かな音域を伴うその声は、サキソフォンの奏でる音色のようでもあった。
(私はひとり、はじまりの海に生まれ落ちた)
呼吸は音に変わり、音は声に変わり、声は言葉をかたちづくった。 弦の音色に溶け込むように、それは生まれる。 光に包まれ、澄んだ清水に抱かれて、空気と振動とが融和して、唄声は命に代わる。
(充ちる光が瞼を灼いて)
(目映い青が瞳を裂いた)
水泡が水面を目指して浮かび上がっていくように、言葉が紡がれる。それは人狼公の耳に、異世界の人間の耳に、直接的な言葉ではなく抽象的なイメージとして捉えられたかもしれない。どこか曖昧で、想像の余地を残した、視覚的な世界が音色と唄によって紡ぎ出されていく。 生まれたばかりの命が瞼を開き、溢れる光を虞れながらも振り仰いだ先には、幾重にも果てない青が広がる。 海底から見上げる水面は“彼”にとって、世界の全てだった。降り注ぐ薄絹の光、何処までも澄み渡り、何処までも青が続く水中。他に息衝くものもない青の中で一人きり、優雅に、自由に、奔放に振る舞う。途絶える事のない滑らかな弦の音色が海の青を表せば、いのちそのものを体現する唄声がその上を自在に泳ぎ回る。穏やかな拍の中でふたつの旋律は伸び伸びと駆け、ひとつに融け合う。
(届かない光が私を誘(いざな)う)
(無邪気に舞って、途切れ、徒に私を照らし出す)
それでも、“彼”は水面に焦がれた。 青に充ちる光の行方を知りたくて、原始の海の果てを知りたくて、絶え間なく泳ぎ廻っても、答えは何処にもない。低く長く紡がれる弦の音色は優しく、そして慈悲深く彼の唄声を包み込む。
(嘲笑う声。私を駆り立てる)
(『求めよ』)
(『未だ見ぬ場所へ』)
未知への好奇心のままに、弓を繰る右手が不意に力強く動いた。低くから高くへ、焦燥と衝動に彩られて駆け上がる音階。光の射す方へ浮上していくヴィジョン。それに併せて鋭さ、剣呑さを増す声。卑小な身をもがかせて、“彼”は海面の向こうを目指す。 そして遂に、唄声は水面を破った。
(『決して、顧みることなかれ』)
静寂が場を包み、弦の音色さえも、ふつりと途切れる。
弓を脇に置き、縦に構えていたパラディーゾを斜めに抱きかかえ、しなやかな指先が弦を弾(はじ)く。滑らかだった音色は響きをそのままに、切れのある乾いた音に変わった。零れる数多の音が解放感に笑いさんざめく。鮮やかに手首を返し、右手だけではなく、左の指先も同じように弦を叩き、弾く。 爪弾く、と呼ぶにも軽やかな所作で、三本の弦の上で幾つもの音が生まれ、はじけた。合間に楽器の胴を軽く敲けば、ささやかなパーカッションと共にたくさんの形にならない音たちが響き合い零れ落ちる。 同じ楽器、同じ音色、しかし弾き方を変えるだけでその世界は鮮やかに色を変える。深い海の青が、闊達な空の蒼に塗り替えられる。最も細い弦を弾けば、凛冽な風が吹き抜ける。 初めて見る世界は、あまりにも美しすぎた。
(胸を充たす風は冷たく、私は少しだけ息を詰める)
(瞳を充たす青は果てなく、私は少しだけ躊躇った)
唇から零れる言葉も調べに合わせ、躍り出すような軽さと快活さ、そして少しの未練を謳い上げる。広げた翼が風を孕むように。いのちは躍動する。肺から流れ出る声が力強い帆に変わる。
(大地、呼吸、太陽、深緑、銀河、その全てが鮮烈に、私の胸を震わせる)
海面を、陸上を、森を、静謐な世界を駆け抜けて、彼は真っ直ぐに翼をはばたかせる。
(遠く、遠く、最果ての向こう側から絶え間なく星は降り)
(空が呼応する、夜が燃える、それでも私は溺れながら往くのだろう)
軽快だった旋律が、少しずつその拍を緩めていく。 さながら空高くを駆けていた鳥がゆっくりと高度を落としていくように。
(星は墜ちる。森は惑う。それでも、私は彼方の岸へ還り着く)
しずかな喜びを秘めて、自由に空を舞っていた唄声は翼を畳む。 しずかな情景を綴じ込めて、緩やかに終息へ向かう弦の音色の上で、最後の言葉を囁いた。
(――最果ての場所へ) |
[94] |
【雑談】
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| 東野 楽園(cwbw1545) 2012-11-30(金) 16:06 |
>人狼公 (なぜ哀しい歌を唄うのか訊かれて) 太陽より月を愛でる人がいるように楽しい歌より哀しい歌を好む鳥もいる。それだけよ。 哀しみの中にも安らぎと甘さがある。それにひたることによって癒される事も、あるのよ…… (何かを思い出すように目を細めて胸に抱いた毒姫をなでる) ……なんてね。 ふふ、ごめんなさい。楽しい歌はあまり知らないの。
貴方が言ってるのはヴァルハラの事? そうね……戦場で死んだ戦士の魂は女神に導かれて宮殿に向かう。 でも、一般市民はどうかしら。巻き込まれただけの女子供にとっては、ただの悲劇かもしれなくてよ……
私も色々な音楽が聴けて楽しかったわ。 |
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彩音茶房『エル・エウレカ』3
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| アリッサ・ベイフルック(cczt6339) 2012-12-01(土) 12:02 |
>(蓮見沢さん) いただこう。(チョコレートを口に放り込んだ) ふむ。これは美味いな。
……楽器は子どもの頃にピアノとヴァイオリンを多少は習ったが人に聞かせられるようなものではない。狩りや運動のほうに夢中だったから上達しなかったしな。
>(ベヘルさん) 故郷にいた頃の話であれば、城に音楽家を住まわせてもいた。どんなと言ってもなかなか言葉で伝えるのは難しいが……あのもの(イルファーンと)あのもの(テューレンスを指した)の音楽が少し近いように思える。
>楽園 言っていることはわかる。そのとおりだな。 失われる無辜の魂を慰めるために、おまえのような歌い手が世界には必要なのかも知れぬな……。
(そして、ムジカの演奏が始まり、リオードルはじっと耳を傾ける――)
(曲がおわると、一泊の静寂。人々が打たれたように静まるなか、人狼公が先んじてゆっくりと手を叩いた。それが口火となって、万雷の拍手がエル・エウレカを満たす)
見事だ。実に良いものを聴いた。
いつもここで演るのか? 乞われればナラゴニアへも来るか?
……もうずっと昔――俺がまだ生まれた世界にいた頃のことを思い出した。旅の楽師が城を訪れた。俺は気に入って、もう次へ旅立つと言う楽師を無理やりひきとめ、城で演奏させた。だが途端に、楽師の音色は死んでしまった。思うに、あれは鳥かごの中にいては美しくさえずらない鳥だったのだ。自由に飛んでいてはじめて優れた歌を歌った。
俺はまだ若く、聞き分けのない仔狼だったから、ずいぶん酷いことを――具体的には言わないほうがいいだろうが――してしまった。……そのときのことをなぜだか思い出したのだ……。
さて、ずいぶん、長居してしまったな。
素晴らしい時間をすごした。ここいる皆に礼を言うぞ。
(ご参加ありがとうございました! 以後、返信は行われませんが、掲示板終了まで書き込みは可能です)
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【雑談】
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| ムジカ・アンジェロ(cfbd6806) 2012-12-02(日) 18:37 |
>神楽 楽器、返すよ。“Paradiso”の名に違わぬ、心地良い音色だった。 触れ、聴き、そして奏でる事ができて嬉しかった。ありがとう。
>人狼公 (拍手に肩を竦め、満更でもなさそうに微笑んだ) 嬉しい言葉をありがとう。あなたのお気に召したようで光栄だ。
ん? おれはここに遊びに来ているだけさ。どこで演奏しているということもない。 だが、呼んでくれるのならどこへでも。 ナラゴニアだろうと、異世界だろうと、おれの音楽を求めてくれるのなら行くよ。
……吟遊詩人はおれたちの世界では「バード」とも呼ぶ。 語源は違うようだが、「鳥」と同じ言葉だ。その旅の楽師も真実“鳥”だったんだろう。 彼の思いは判らないでもない。おれもおそらく、彼と同じたぐいの鳥だろうから。
――あなたは此処に集った多様な音楽の在り方、その全てを否定せず評価した。 ただそれだけのことが、おれは嬉しい。こちらこそ、このような場を設けてくれた事に感謝する。 |
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音楽はいいね。
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| 蓮見沢 理比古(cuup5491) 2012-12-02(日) 22:25 |
心が、綺麗にも優しくも悲しくも苦しくもなって。 無音の世界も嫌いじゃないけどさ、音楽があるだけで風景に色がつくよね。
>ムジカさん (目一杯拍手しつつ) すごいな……音楽には世界が入ってるんだね。 ムジカさんの音楽は、沢山の風景が入り乱れる不思議な水晶みたいだ。 ……こんな詩的な表現、柄でもないって言われるかもしれないけど。 そんな人に琵琶と歌を誉めてもらえるなんて、嬉しいな。 家が古いもんだから、こういう稽古事は一通りやらされたんだ。 あんまり上手くならなかったけど、音楽自体は好きだから、その体験も 悪くはなかったよね。 ムジカさんの音楽、また聴かせてほしいな。神楽との二重奏とか、すごそう。
>リオードルさん 良かった。お口に合ったら何より。
ああ、子供の頃って、お稽古事にはあんまり興味ないもんね。 続けるうちに上達してきて、楽しくなってくるんだろうけど。 (ムジカさんとの会話を聞いて) そうか、だからリオードルさんは音楽が好きなんだね。 小鳥を籠に押し込めて歌わせるより、窓辺に止まった鳥の囀りを聴く方が 美しく聞こえるっていうことなのかな、それは。
ひとまず、とても素敵な時間をありがとう。 ムジカさんも言ってたけど、リオードルさんが俺たち皆の音楽を楽しんでくれて とても嬉しかった。また、機会があれば、こんな時間を設けてほしいな。 その時は、もう少し練習して上達していくから。
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