ナラゴニアの端にある白永城の客間。 城の主人と、唐突にやってきた客人は紅茶に舌鼓を打ちながら、雑談に花を咲かせていた。「……リオードル、大丈夫かしら」 ため息をついたのは城の主人である白百合の異名を持つ、今は限りなく黒に近い赤で全身を包み込んだ黒薔薇のカミーラだ。 ベールで顔を隠しているが、僅かにのぞく口元が憂いを帯びている。「ま、いろいろとあるんだろうよ。しっかし、城に隠居していても、やっぱりあんたは耳が早いねぇ~、それで、あたしがここに来た理由もわかってるんじゃないのかい?」 にやりと客人――ノラが笑った。 ふくよかな見た目と穏やかな話し方をする、『放浪商会』のノラ・エベッセ。ナラゴニアで商いをする者たちをまとめている。「今年も、そろそろ去年やったクリスマスの時期だろう? せっかくだしねぇ、辛気臭さをかっ飛ばすにはちょうどいいだろう? 最近、ターミナルにある壱番世界の資料でいろいろと勉強してねぇ~」「よろしいのではないかしら? ナラゴニアで商人たちが活気づき、街を飾れば最近の殺伐している気分も和らぐでしょう」 問題は、その相談をされる理由が黒薔薇のカミーラには検討つかない。「リオードルやユリエスには伝えたのですか?」「いやぁ、それがさぁ~最近ぴりぴりしてるじゃないか、その二人はさぁ~。だからね、男どもは勝手にしてればいいのさ。報せても、今の二人が参加するとは思えないしねぇ。触らぬ神にたたりなし、あたしらはあたしらで勝手に楽しめばいいさ」「リオードルとユリエスの二人は今はクリスマスのイベントどころではないでしょうね。まったく……ん、しかし、楽しむのがあたしらって」「去年みたく、お城を解放してほしいんだよ。どうだい? ターミナルとの交流だよ」「……そうね、彼らには多くの恩があります。城を解放して、少しでも楽しんでくださるのなら安いものでしょう。私からのささやかなクリスマス・プレゼントとして、ホールと庭を提供して構わないわ」 ただし、と黒薔薇のカミーラは付け加えた。「庭とホール以上、侵入することはかたく禁じます。私の住まいを荒らされるのは困ります」「そこらへんは、よーくいっとくよ。いやぁ、助かるよぉ~。そうそう、クリスマスイベントのなかには落ち込んる男を元気づけるなら、これだねぇ」「リボン?」 それも赤いリボン。それがテーブルに置かれたのにカミーラは小首を傾げた。「これを頭につけて、「プレゼントは私よ、元気だして」ってやればいいんじゃないかねぇ。壱番世界のクリスマスの男女の正しいありかたらしいよ」「ノラ、いっぺん死んできなさい」 うるさい客人を追い払った城の主人は深いため息をついたあと、ふと残ったリボンを見つめて、手にとった。 そしておもむろにそれを短い髪の毛につけたあと「わ、私がぷれぜ――」「カミーラさま、ホールと庭を解放すると聞きましたので予定をきき……うわぁ」 不運にもドアを開けてしまった執事の白鶫が硬直した。 重い、重すぎる沈黙次の瞬間どがしゃんと城が半壊するような音が轟いた。★ ☆ ★「てなわけで、今年もナラゴニアはクリスマスをするよ~!」 ノラはわざわざ、ターミナルに宣伝にやってきた。 楽しむ人間は多いほうがいいし、出来ればこれでナラゴニアとターミナルの交流が深まれば、という狙いがあるようだ。 今年も街ではいくつかの屋台、バザーが開かれ、そこでは食べ物やマジックアイテムなどが販売される。 また街路樹にはナラゴニアにいる住人たちがそれぞれ飾りを――去年学習したが、どうもまだまだ経験が浅いため、へんてこなドクロやら可愛らしいリボンやらとおどろおどろしいのか可愛いが混ざった摩訶不思議で中途半端な飾りぷりである。 しかし、最近の殺伐さを払拭するような賑やかさがあり、このイベントをナラゴニアの者たちは心から楽しもうとしているのが伺える。「白永城のホールが解放されてねぇ~、去年と同じくダンスパーティーがあるよ~。今年だけは庭も解放されてねぇ、そりゃあ見事なぁ白百合の広がる庭だよ。主人がいうには、一輪だけならもって帰ることも許してくれるそうだ。百合のなかに石がはいっていてね、そいつが庭にきた客たちへのプレゼントだそうだよ」 けどね、とノラは注意をした。「ホールと庭以外はいっちゃだめよ? 城の主人であるカミーラは自分の住まいをあらされたくないっていうからね。いいかい? 節度を守って、楽しみな!」 ナラゴニアでは二回目のクリスマス。 こうして、何度も何度も楽しいイベントを重ねていければいい。 そうだ、今日はナラゴニアで大いに楽しもう。=============!注意!パーティシナリオでは、プレイング内容によっては描写がごくわずかになるか、ノベルに登場できない場合があります。ご参加の方はあらかじめご了承のうえ、趣旨に沿ったプレイングをお願いします。=============
「全く、進歩がないんだから」 太陽に愛された蒲公英のような金色の髪に瞳を持つティリクティアは赤髪に青い制服の藤枝 竜――自分の身長の倍もある大きな玉を一生懸命にころころと転がしている――非常に微妙でなんとなく残念に飾られた街の樹々を見上げていた。 「やっぱり、これは私たちの出番ですね!」 「そうよ! 去年、がんばって木を飾ってあげたのに、今年がこんなさえないなんて!」 ティリクティアは去年、あれだけみんなでみっちりと樹を飾ってクリスマスの楽しさを教えてあげたのに、それが今年は活かされていないではないか! まだまだクリスマス新米であるナラゴニアの人々の飾り付けにぷんすこしていた。 「ですよね! よーし、楽しさを教え込みましょう!」 めらっ。 握りこぶしを作る竜の瞳に炎が燃える。真のクリスマスとはなんたるかを教えるという使命に竜は燃えに燃えていた。 「ちょ、ちょっと、竜ったら、本当に燃えてるわよ!」 「え、わわっ! え、えへへ」 ティリクティアの指摘に竜は慌てて体をぽんぽんと叩いてめらめらの炎を消して、えへへっと舌を出して笑う。 「よーし、まずは目の前の樹からですね」 「そうよ、可愛いものは可愛い! 怖いものは怖いもので統一しなくっちゃ! そのあとはノラを探しましょう」 「はい! さー、そこにいるナラゴニアのみなさん! 私たちが真のクリスマスを教えますよー!」 ティリクティアと竜は仲良く手をとって樹の飾りに困っているナラゴニアの人々に突撃した。 ずらりと並ぶ屋台。 ナラゴニアに交流目的でバザーをした虎部隆、相沢優、ソア・ヒタネ、ミルカ・アハティアラ、七代・ヨソギたちは本日完全なお客様として訪れた。 ヨソギは自分がお客様という立場に慣れなくて自慢の鉄の尻尾をひらひらと振って喜んでいた。 「あの、いいんですかぁ? 本当に」 「うん。今日は俺のおごりだからさ、好きなもの買って!」 優がにこりと笑う。 いつも隆にたかったり、カフェではおごってもらったりしているので今日くらい……バザーのメンバーで行こうという話になったので優は「以前のお礼もかねて」と奢る宣言した。せっかくのクリスマスということで大盤振る舞いだ。 さすがに隆だけに奢るというのもなんだし、改めて日頃の感謝を示すなんてきちんとやるには照れくささもある。 「おっ今日は珍しく優が奢ってくれるのか! 買い放題だぜ!」 にやにやと笑う隆――日頃の感謝だし、まぁ。うん。 「よし昼は一番高いレストランに行こうぜ」 かんしゃ、かんしゃだよな、おれ(優の心に迷いが生まれた 友情ってなんだっけ? 「隆、俺の財布の状態も見ていってるよな、それ」 「え? お前のものは俺のもの、俺のものは俺のものだよな?」 「……たかしー」 「あはは、なんだよ、怖い顔すんなよ、優! そういや、ここって、白薔薇だっけ、すげー怖い人がいるって話だよな?」 「それって白百合さんのことじゃ?」 「そうだっけ? しっかし、わりと平和だなぁー」 隆は優の肩を抱いて屋台を見回した。人々は終始穏やかな顔でクリスマスを心から楽しんでいる。 リオードルとユリウスが引き起こした諍いのせいでもっと殺伐としているかと危惧して、前のバザーのときとつい比べていた。 幸いナラゴニアの街はここ一年、小さな事件はあっても比較的穏やかに、安定していたのでみんなの生活もだいぶ落ちつきを取り戻していた。今回のような小さな諍い程度で普通に暮らす者たちに影響を与えることもなかった。 以前の交流からナラゴニアのことを気にしていた隆としては一安心、というところだ。 そして、その傍らでは女の子たちは純粋に楽しんでいた。 「まじっくあいてむですか? 不思議な力が宿った物ですか……すごいです!」 「この香水をつけたら同性にもてもてなんですか? わぁ、おもしろい!」 緑瞳を大きく瞬かせて不思議がるソアと面白そうと興味をもつミルカ。 二人はナラゴニアのバザーをきっかに仲良くなっていた。 というのも二人には人の笑顔が大好き、という共通点があった。 サンタのミルカと野菜作りのソア。それぞれ自分の出来ることで周りに笑顔を与えている。彼女たちは自分にはない方法で笑顔を与える相手に感心し、尊敬の念を抱き、年齢も近いことから今では大の親友になっていた。 「ソアちゃん、せっかくですし、二人でお揃いのものを買いませんか?」 「お揃いですか?」 「可愛いお揃いとかいいですよね! あ、これとか」 ミルカがアクセサリー店の台に並ぶ赤色の花と緑色の花のシルバーアクセサリーを手に取る。 キーホルダーで先に留め金がついているのでこれならよく動く二人が身に着けても邪魔にならないし、なくさなくて済みそうだ。 「わたしたちの色ですね、これにしましょう」 「はい! パスとかにつけたら落ちませんよね? 素敵ですね!」 二人はにこりと笑いあった。 「おーい、飲み物あるぞー。やっぱりメロンソーダだよな! あ、五人分よろしく!」 「あ、このドーナツみたいなのもいいですね。優さん!」 「はいはい」 隆、ミルカから呼ばれて優は懐から財布を出して、ふと屋台に並ぶへんな箱や風船ぽいもの――「あなたの声を封じます」とか「どこまでも飛んでいける風船」という説明兼名前を見て動きを止めた。 どう考えもおかしいが、そのおかしさに優の目が輝く。 実はこっそりへんなマジックアイテム集めるのが大好きな優である。ターミナルで借りている部屋はアイテムに埋もれてしまいそうになっている。 タイムがつんつんと優の頬をつついて止めるが、ゼリーみたいにぷにぷにでマシュマロみたいにふわふわのタイムを両手で包んで優は真剣に向き合った。 「部屋はきちんと掃除して、タイムの寝るところだけは絶対に守るから、な」 「お、優、見ろよ、これ、変身飴だってさ、おお、こっちは本音をしゃべれる花だって」 隆の誘惑の声に優の目がきらんと輝いて、そちらを見る。タイムは諦めてこっそりとため息をついた。 甘い果汁ジュースをソアとミルカは飲みながらせっかくなのでお揃いのアクセサリーをパスにつけて見せ合いっこする。 ソアは赤色、ミルカは緑色、互いのイメージの色を交換したのだ。 「そうだ、アクセサリーで、お守りとかあるでしょうか? 戦いに赴く人を守るようなもの……男の人ってどういうのが好きなんでしょうか?」 はにかんでもじもじするソアにミルカが眼をぱちぱちさせる。 「あの、隆さん、ヨソギさん、優さん、お守りで、男の人が好きなのってなんでしようか」 「へ? ああ、ソア、お前とうとう」 「好きな人ができたんだ」 「へ、え、あ!」 ぼんと真っ赤になってソアは俯いた。 「これなんでどうでしょうか?」 ヨソギがにこにこと笑って差しだしたのはブレスネット。丈夫な皮の紐に銀で作られた二枚の羽。 一枚は帰るべき場所に置いておき、もう一枚は自分で持っている。そうすれば必ず帰るべき場所に帰れる――というお守りだ。 「一枚はソアちゃんがもっていたら、そのひと、絶対にソアちゃんのところに帰ってきますね」 「え、え、え」 「よーし、これ一つください」 ソアがあわあわしている隙に優が店主に声をかけた。 袋にいれられたお守りをソアは両手で大切そうに抱えて嬉しげに笑う。それが後日、誰の手につけられるかはソアのちっちゃな秘密だ。 「ボクもこれ、ほしいです!」 ヨソギが眼をつけたのはナラゴニアの鉱石だ。ターミナルにも珍しいものは多いが、やはりナラゴニアにはナラゴニアで面白いものがある。 石は重いが、いっぱいほしい。がしっと両手を握りしめてヨソギは隆をきらきらと見つめる。 「隆さぁん、もってください」 「なぬ! 俺かよ」 「だって、ソアさんとミルカさんは女性ですから!」 「俺は男の荷物持ちなんてしねーよ。それに俺だって荷物と荷物と荷物がなぁ」 「あははは、ヨソギ、ほどほどにしてくれよ? あと隆」 「ん」 ぱーぁん★ 優の素敵な拳が隆の下腹部にメガヒット。 「~~っ」 「ほどほどにな?」ヨゾキのときとは違う、低い声である。 「……は、はい。って、あっ、フランへの土産も買わねぇと! お、いいかんじのネックレスあるなぁ」 そそと優から距離をとりつつ、女性向きの可愛らしい清楚な青石のついたネックレスに隆は眼を向けた。 「それは自分で買えよ」 「わかってるって、これくださいって、お、あれノラじゃねえ? 挨拶していくか……あれ、あそこにいるのって、竜たちか?」 ノラの周りにティリクティアと大玉を転がした竜が、楽しそうになにか話しているのに隆はきょとんと眼を瞬かせた。 白い百合が揺れる、どこまでもどこまでも、まるで果てなく続く海のよう。けれどここは大地で、目の前に広がるのは花の海。どこかへと波に浚われることも、溺れることもないのに不安になるのだ。 この白い海は自分の内側にある目に見えない未来への不安、恐怖、そんなものを搔き立てる。 メルヒオールは死の魔女と静かに庭を散策していた。 去年はダンスをして、今年はここにきた。 いくつもの言葉と、何度とない視線を絡ませた二人はここに辿りついたのに、どこかよそよそしい距離があった。 メルヒオールは怯えた子どものように、未来という海の端に佇んでいる。どうなる、どうしたい、俺は? こいつは。 「今日は先生の為に素敵なプレゼントを用意してきたのですわ」 「ん?」 薄い膜のような沈黙が破れたのにメルヒオールは魔女を見る。彼女は骨の手で器用に自分の髪の毛を赤いリボンで結ぶ。 「プレゼントは私なのですわー! なんちゃってー! ケラケラケラ」 なんとなく某カミーラと同じようなことをしているが、決してこれは真似ではない、壱番世界の一般的な知識★ 女性が男性にして喜んでもらえるっていう高貴なる贈り物。決してネタではない。ネタではない! 「……」 先ほどとは違う沈黙が流れる。 俺になんてつっこんでほしいんだ、こいつ。 メルヒオールの視線に死の魔女はうっと詰まった顔をしてあー、こぼんと咳払いした。 「ここのお庭は広過ぎて、思わず迷子になってしまいそうですわ。だから先生、その、私の手をとっていて欲しいのですわ。私が、決して、進むべき道を誤らないように」 差し出された手を、メルヒオールは迷い迷って握りしめる。冷たい、力をこめたら砕けてしまいそうだ。 迷っている。 ここは未来という海の果て。 メルヒオールは死の魔女を見つめる。 こいつも同じだ。 迷い、迷って、まだ見ぬ未来に怯えて。けれど手を伸ばしてくれた。それが彼女の答え、その手をとったのが自分の、いまの答え。未来はわからない、けれどいまならばわかる。 「ほら」 手折った百合をメルヒオールが差しだすのに死の魔女はきょとんとした顔で受け取り、それを見つめる。 「まぁ、このなかには素敵な石がありましたわ!」 百合から零れ落ちたのはローズクォーツ。自己愛の石。自分を愛し、他を心から愛するという意味を持つ石。 マスカダイン・F・ 羽空は一人で庭にいた。 白百合ことカミーラに会えないかと期待したが彼女はどこにもいなかった。使用人たちに声をかけても、よく躾けられた彼らは無駄口は叩かず、主人はいない、としか答えてくれないので諦めるしかなかった。 けど、どこで見てるんじゃないのかな。 本当は外に出たいんじゃないのかな。 言葉は届かなかったが白い百合の海のなかで、甘い香りを肺いっぱいに吸い込んで、そっと一輪摘む。 そこから零れ落ちた石をマスカダインは見つめた。 アイオライト。 深い海のような色をした、人生の羅針盤の意味を持つ、夢や希望へと進むための石。 ユーウォンは屋台で買い物に精を出した結果、背中の羽で空を飛べないくらいの大荷物を両手に抱えていた。 「むぅ、買いすぎたかなぁ。えーい、使っちゃえばいいよね?」 バザーで買い占めたクラッカーを目についたきれいな樹に飾り付けておく。ちょうどヨソギが通ると、ぱーんとクラッカーが鳴り、花が散った。 「わわ、びっくりしたぁ、けど、きれいだなぁ」 「本当ですね」 「いっぱい花が散ってます!」 ソアにミルカが降ってきたいくつもの小さな花を見上げる。 いたずら成功! ユーウォンは樹の影に隠れてほくそえむ。バザーでいっぱい買い占めた悪戯のアイテムを全部試しちゃうつもりだ。 「よーし、特別に、これも!」 ユーウォンはばさばさと羽を鳴らして空へと飛び、目の前にあるなかで一番樹のてっぺんにいくと星をつける。 金色に輝く星。 それがカッ! と輝いたのに通りにいた人々が視線を向けたとき どーん! どーん、どーん! 「えへへ! やりましたー」 「そうね!」 竜とティリクティアはノラに許可をとるとターミナルから持ってきた巨大花火を打ち明けたのだ。 きらきらと輝く一瞬の美しさに、ユーウォンの飾った星から白い――雪が零れ落ちる。 「わぁ!」 ソアが声をあげ 「雪です!」 「本当!」 ヨソギとミルカが眼を輝かせる。 「おー、すげー! よーし、俺らもちょっと悪戯道具試さないか? なぁ優」 「すごいな。よし、この雪が降る星をもっと使っちゃう?」 「いいねぇ、旦那! おーい、ユーウォン、手伝ってくれよ!」 「いいよー!」 大きな樹のてっぺんにいたユーウォンが尻尾をふって優たちに近づいていく。それに雪のサプライズににこにこしているティリクティアと竜も近づいてきた。 「素敵ね! そうだわ、世界樹も飾れないかしら?」 「いいですよね! あそこの上に星を飾りましょう!」 きらきらと一瞬では消えていく雪の悪戯に竜が機嫌よく歌い、ティリクティアも澄んだ歌声を響かせる。 楽しいクリスマスソングを聞いた屋台の者たちが笑顔でホットワインやココアを振舞う。 さらにノラが用意してくれた大きなクリスマスケーキを切り分けて、全員でおいしく食べた。 今年も素敵なクリスマスをありがとう。
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