オープニング

「ご苦労だった。後はこちらに任せて、職務に戻りたまえ」
「……失礼します」
 敬礼と共に場を辞した、スーツ姿の女――我々が知る彼女の名は、『ビー』というコードネームしかない――は、無機質な色合いの廊下を早足で通り過ぎる。
(観葉植物じゃなくて、花の一つでも飾ればいいのに)
 まあ、彼等と趣味が合わないのは良い事だ。
 律義にお辞儀する受付嬢を無視して建物の外へ出ると、そっと横に並ぶ影があった。大きな身体でゆったりと歩調を合わせてくるのが何となくムカツく。
「どうだった?」
「いつも通りよ」
「つまり、捜査から外されたわけか」
 せせら笑うような表情の男――シャークを睨みつける。「おぉ恐っ」と、これまたいつも通りのやり取りだ。
 謎の集団と死闘を演じて、はや数週間。
 事情聴取の結果、何とかビー達の疑いは晴れたようだ。訓告の他、職務外での独断専行という事で少々減俸もあったが、事件の当事者なのだから仕方がない。捜査から外すのも、珍しく真っ当な判断だ。
 だが、彼女は引き下がるつもりはなかった。
(ただの犯罪じゃないのよ。もっとこう、常識を覆すような……)
 その脳裏には、凄腕の助っ人達の姿がある。よく覚えていないが、このまま放ってはおけない事がインヤンガイの闇の中で進んでいると、直感が警鐘を鳴らしていた。
「さて。そんなこんなでご機嫌斜めなお姫様に、忠誠心の高い騎士達からのプレゼントだ」
 目の前に差し出される一枚の写真。不鮮明なそれを、ただでさえ切れ長な目を凝らして見た瞬間、ビーの表情が変わった。
「この装備は……」
「100%間違いねぇ。俺達に喧嘩を売ってくれた連中だ。場所は『黎明インダストリー』の秘密工場」
 表向きは缶詰工場として運営されているが、鼠一匹逃さない勢いの警備体制を見ればバレバレだ。もっとも、大手の企業は少なからず、こういった新技術の研究施設を持っているのが常だが。
「モグラのおっさんが伝手(つて)を頼って探り当てたらしい。俺達にも情報源は明かせないような伝手だけどな」
 相変わらず顔の広い男だ。どこか憎めない髭面を思い浮かべると、ビーは「今度、ボトルでも差し入れてあげるか」と胸の中で呟いた。
「どうする? 罠の可能性も高いが」
 あちこちから恨みを買っている自分達なら、その方がずっと真実味がある。が。
「決まってるでしょ」
 ビーは舌なめずりすると、獣の笑みを浮かべるのだった。


●そして、0番世界にて

「カンダータの残党に関しまして、気になる動きを察知しました」
 ロストナンバー達を前に、司書のエリザベス・アーシュラは訥々と語った。
「彼等は麻薬である『夜叉露(やしゃろ)』の製造の他にも、インヤンガイの技術を取り入れた様々な兵器を開発していたようなのです。科学技術はインヤンガイよりも進んでいるようですから、秘密裏に受け入れてくれる企業にも困らなかったようですね」
 トレインウォーによる中枢の崩壊でそのほとんどは無力化されたようだが、地下に潜り反撃の時をうかがおうとする部隊があった。
「部隊丸ごと、警備会社として企業と契約する事で、法の目をかいくぐっていたようですね。施設には少数の研究者以外、カンダータの残党しかいないようですから、こちらにとってはかえって好都合かもしれません」
 ロストナンバー達に託された使命は、残党の掃討。その手段は捕縛が望ましいが、逃亡を許すよりは殺害もやむなし、といった容赦の無いもの。
「彼等の事情はいまだ不明瞭ですが、その手段が武力の行使である事は間違いないでしょう。その刃は既に一度、こちらに向けられています。くれぐれも油断されませぬよう」
 加えて、開発途中にあると思われる兵器が危険なものなら、破壊してくる事。
「そういえば――」
 一通りの説明を終えたところで、エリザベスが思い出したように付け足す。
「トレインウォーの最中に起きた現象が気になって注意深く探ってみたのですが、皆様の未来に異世界へ飛ばされるようなビジョンは見えませんでした。その辺りは御安心されて宜しいかと」
 それとも、残念でした――?
 彼女にしては珍しく、悪戯っぽい笑みがロストナンバー達に向けられた。

 暴力の応酬でしか道は拓けないのか――それは誰もが胸に抱いた葛藤。しかし時は待ってくれない。
 決断するしかないのだ、今。
 己の魂の囁きだけを頼りに。

品目シナリオ 管理番号673
クリエイター権造(wata9162)
クリエイターコメント 毎度お世話になっております。ライターの権造で御座います。

 カンダータ残党戦という事で、トレインウォー関連の拙作においては苦い思い出のある方がいらっしゃるかもしれませんが、自分もトラウマになりそうな記憶を乗り越えるべく頑張りたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。
 OPにて登場した男女に関してはお手数ですが、前述した拙作、

【死の影を追って】薫るは罪の真実

 を参照されて下さいませ。簡単に説明しますと、ロストナンバーとカンダータの戦いに巻き込まれた、現地の警察系組織の人間達です。どうやら、またもや運命が交錯しそうな様子? 行動予定としては、身分を偽って表から侵入するつもりのようです。
 ちなみに、ラットはまだ入院中につきお留守番です(笑)。モグラもバックアップに回るので、工場の敷地内にはいないでしょう。
 彼等と関わりを持つかは自由ですが、お互いの行動が影響し合うのは避けられないと思います。

 続いて、敵に関する補足情報。
 人数は30人程。敷地内の建物に寝泊まりし、交代制で警備に当たっています。実は指揮官周辺がトレインウォーの事を隠していて、工場内には電子系のプロテクトが張り巡らされている事もあり、士気は決して高くないです。末端の部隊の為、練度や装備も先に戦った最精鋭よりは劣るでしょう。
 もちろん、楽勝という相手でもないでしょうが。

 それでは、皆様の御参加を心よりお待ち致しております。


※プレイングの締め切りが若干早めに設定されております。提出忘れにお気を付け下さい。

参加者
ハクア・クロスフォード(cxxr7037)ツーリスト 男 23歳 古人の末裔
坂上 健(czzp3547)コンダクター 男 18歳 覚醒時:武器ヲタク高校生、現在:警察官
木乃咲 進(cmsm7059)ツーリスト 男 16歳 元学生
ジュリアン・H・コラルヴェント(cutn5843)ツーリスト 男 26歳 専属エージェント
レオンハルト=ウルリッヒ・ナーゲル(chym3478)ツーリスト 男 36歳 喪服の旅人
ギルバルド・ガイアグランデ・アーデルハイド(ccbw6323)ツーリスト 男 38歳 重戦士

ノベル

●それぞれの戦い

 ピピーッ
 笛を口にした警備員の案内に従い、一台の乗用車がゆっくりとゲートの前へと停止した。
「この先は、本社の許可の無い方は通行できません。許可証と身分証を御提示願えますか?」
 警戒心を隠そうともせず、どこか不慣れな様子で窓をのぞき込む警備員。と、その目の前に、紐の結ばれたIDカードが差し出される。
「これで良いかしら?」
 助手席から身を乗り出した女性は、目が合うとにっこりと微笑んできた。
 研究主任の娘、メイファ。差し入れの為、居住区画のみ通行を許可する――
「いつもは母が来るんですけど、今日はどうしても外せない用があるので、私が」
 許可証に貼り付けられた写真と見比べ、続けて警備員の視線は運転席へ。機先を制するように女性が口を開く。
「彼は荷物持ち兼ボディーガードよ」
 むっつりと押し黙った男は、これまた無言で首から下げたIDカードを示す。こちらも問題無し。
「有難う御座いました。ゲートを開きますので、徐行してお進み下さい。それから――」
「用の無い場所に立ち入らないように、でしょ? 家族にも隠し事だなんて、父も大変な仕事ね。承知しています」
「御協力、感謝します」
 もう一人の警備員に合図してゲートのバーを上げさせると、乗用車は低いエンジン音を轟かせながら、奥の建物群の陰へと消えていった。
「珍しいな、社外の人間なんて」
 相棒に尋ねられ、警備員は先程のやり取りを思い出す。
「主任の娘だってよ。――結構可愛かったよな」
「お前、女を見る度にそんな事言ってるぞ。溜まってるんじゃないか?」
「次の休み、遊びに行くかなぁ」
 いつもの如く繰り返される、他愛も無いやり取り。まどろみのような日常が続くと、二人は信じて疑っていなかった。
 一方、ゲートを抜けた車中では。
「大したもんだ。女優にでも転向したらどうだ?」
「無駄口叩いていないで、仕事するわよ」
 にやりと笑みを浮かべるシャークを、いつもの鋭い表情に戻ったビーがたしなめていた。無論、監視カメラや盗聴の危険が無い事を確認した上での会話だ。
「十分後にモグラがセキュリティを十五分間だけ解除するわ。その間に調べられるだけ調べないと」
「ほいほい」
 やがて駐車場が見えてきて、短いブレーキ音と共に二人の乗った車は停止した。シートベルトを外したところで、シャークが思い出したように口にする。
「にしても、美花(メイファ)て。どんだけ自意識過剰な偽名――」
 梅雨の曇天の下に、鈍い音が響いた。


 黎明インダストリー、第零工場。
 登記上は子会社の缶詰工場となっているが、その内側は精密機器を製造する最新鋭の設備だらけであった。
 塵一つ許されない通路は歩く人間も稀で、静かに時だけが刻まれてゆく。
 その天井裏、建物全体に張り巡らされた通気ダクトの中を密やかに進む影があった。
(思ったよりも人の目は少ないな)
 暗闇に溶け込むような色合いの蜘蛛と感覚を共有するレオンハルト=ウルリッヒ・ナーゲルは、眼下の様子を確かめながら独り思案する。これならば、潜入は容易か……?
 その時だ。すぐ目の前の角を曲がって、小さな光が現れた。注意深く見れば、それが彼の使役する魔物のような――それでいて鋼鉄の肌を持った存在だという事に気がつく。
 その口元に開いた空洞に、新たな光が宿る。
(くっ……!)
 嫌な予感がして、彼は下僕(しもべ)に退却を命じた。粘つく糸を吐き、狭いダクトの中で身をよじる蜘蛛。その肌を高速の物体がかすめていく。その正体を確かめるまでもなく、後を本人に託して、レオンハルトは意識のリンクを断絶した。
「――すまん、勘づかれたようだ」
 短く周りの者達に告げる中、彼等の耳に甲高い警報の音が鳴り響く。
「ふん、ならば正面突破あるのみであるな」
 不敵な笑みを浮かべたのはギルバルド・ガイアグランデ・アーデルハイド。長身の者が多い中、頭一つ分は背丈で劣るが、反対に横幅は倍くらいありそうな屈強の戦士である。
 彼は鈍色のプレートメイルを着込んだ身体でタワーシールドとウォーハンマーを両手に構えると、「わしに続けー!」と雄叫びを上げながら、敷地をぐるりと囲む塀へと突撃していった。
 止める間も無く見送ってしまい、ジュリアン・H・コラルヴェントは思わず頬を掻いた。
「……本気か?」
「本気らしい。――見ろ」
 ハクア・クロスフォードの示す先で、ギルバルドのウォーハンマーが唸りを上げ、コンクリート製の壁に巨大な穴を空けていた。当然相手が黙っているわけも無く、やがて激しい銃声がこちらにまで届き始める。
「なし崩し的だが、放っておくわけにもいくまい。援護に向かおう」
「僕は別口から侵入してみる」
 長い白髪を揺らしながら駆け出すハクアに、脇道へと足を向けるジュリアン。
 一方、この場に留まる者もいた。
「で、俺達はどうするんだ? 木乃咲。俺としては、戦場は選びたいんだけどな」
 坂上 健の問いに、木乃咲 進が取り出したのは。
「なら、もちっと内側から掻き乱してやるか」
 指の間に挟んだ『それ』に、もう一方の手に握った使い捨てライターで次々と火を点けていく。勢い良く宙に放れば、咲いた赤い花は虚空に開いた穴へと吸い込まれていった。

 白と灰色に支配された味気無い世界に、空間を超越して現れた深紅の彩りが華を添える。
 咲いた花びらは儚く散り、命の火花は燃え尽きて――
 断末魔の叫びの如き騒音と焔を撒き散らした。

「だぁっ、しんどっ」
 大きく息を吐いた進はふらつく身体に力を込め、倒れそうになるのをこらえた。突如として噴き出した脂汗が、乾いたコンクリートに点々と染みを作っていく。
「こいつは、下手すりゃお仕事終了の世界だぜ」
 外縁部に続き内部も大騒ぎになっている工場の敷地内を眺めながら、残された力を確かめる。うん、もう一働きくらいはイケるだろう。自分の調子が悪いのか、この世界との相性が悪いのか。それとも――
(あいつ等に関わろうとすると、ろくな目に遭わねぇのかな)
 懐かしいというにはあまりに近い過去に出会った顔を思い浮かべる。世界司書の話によれば、彼等もここを訪れている可能性が高いとの事。
「もっと細かい居場所が分からないと、あいつ等に俺達の存在を知らせるのは無理か」
「前に言ってた、別嬪さんとその騎士か? この辺りでお引き取り願いたいところだな」
 隣に並んだ健がそう漏らす。自分達とカンダータ。彼等がどちらに近づいても、世界のバランスを崩す事になってしまう。これ以上巻き込みたくはなかった。それが、彼等の意志に反するものだとしても。
 その為にも、カンダータ軍の残党は速やかに排除しなければ。
「期待してるぜ、お前のド派手な必殺技?」
「今のでほとんどネタ切れだっつーの!」
 言葉のキャッチボールと同じように、軽やかな足取りで駆けていく二人。
 最後に残されたレオンハルトは、閉じていた瞳をゆっくりと開く。
「仄暗き世界よ――」
 天から舞い降り始めた雫が、漆黒の羽を妖しく濡らす。
「聞け、黒き淑女の鎮魂歌を」
 ずずず、と彼の影から、ナニカがその巨体を現そうとしていた。


 ガガカカカンッ
 金属同士が激しくぶつかり、衝撃を物語る火花が虚空へと散る。
「ふん。神の力を借りて、作り上げた、このアダマンタイト鋼のタワーシールドに、そんななまっちょろい弾は絶対に効かんわ!」
 盾にすっぽりと隠れた状態でそう吐き捨てたギルバルドは、ぐっと地面を踏み締めると一気に加速した。歩幅の短さは、有り余る筋力を生かした、跳ねるような走りでフォローである。
「チェストォ!」
 渾身の一振りが、敵の隠れていた遮蔽ごと空間を薙ぎ払った。
 悲鳴と怒号が響く中、砂煙の向こうにはこちらを向いた銃口が。
「怯むな! 撃て、撃てぇ!」
「ぬぅ!」
 銃弾の雨に晒され、盾に身を隠すギルバルド。その後方には別の敵が回り込みつつあった。
(む、いかん!)
 頑強な鎧といえど、関節部分の隙間はあるし、視界や呼吸を確保する為の余裕も必要だ。当たり所が悪ければ彼とて無事では済まない。
 どうするべきか迷っている間に、彼の背中に照準を定めた兵士達は、一斉に引き鉄を引き絞る。
 死を宣告するはずの弾丸はしかし、突如として隆起した大地の壁によって阻まれていた。
「そこまでだ」
 兵士達の視線の先で、地面に手を着いたハクアがゆっくりと視線を上げた。その足下には、空気と触れて早くも赤錆びた色へと変じ始めた赤い魔法陣が。叩きつけるようにしていた右手を持ち上げれば、指先からポタポタと鮮血が滴り落ちる。
 しかし、彼は構わずに腕を振る。飛び散る血潮の残滓が何も無い空間に線を描き、やがて一つの文様を形成した。慌ててこちらに狙いを定めようとする敵兵達を見据え、心の中で念を送る。
(――風よ!)
 突如、淀んでいた大気が突風となって兵士達へと襲い掛かった。
「お前達の指揮官は真実を隠している。――カンダータ軍の司令部は、俺達との戦いによって既に崩壊しているぞ。捕虜も多数いる。お前達も抵抗をやめれば、身の安全は保証しよう」
 バランスを崩し地面を転がる兵士達に淡々と投降を呼び掛けるハクアだったが、それに応えたのは銃声だけだった。
「適当な事言いやがって! 殺せ、殺せぇ!」
 闘志と狂気のない交ぜになった殺気が空気を伝って肌を打つ。物陰へと移動しながら、ハクアは次の動きを考えていた。
(そう簡単には崩せないか)
 証拠となるような物品や情報があれば良かったのだが。あるいは、彼等は自分の見たい夢だけを見ているのかもしれない。人の心理は時に複雑に、時に脆く、混沌へと呑み込まれる。
(指揮官を押さえる必要があるかもな)
 無味乾燥とした彼の容姿の中で唯一の彩りとも思える翠玉の瞳が見つめる先に、建物の陰から陰へと走り抜ける二つの影があった。
「他にもいるぞ! 逃がすな、追え!」
「ヤベッ、気づかれた!」
 戦場を横目に舌打ちする進。すると、隣の健が足の向きを変えた。
「丁度良さげな建物もあったし、任せられた!」
「任せた覚えは無ぇけど、今から任せる!」
 わざと目立つように動きながら健が敵を引き連れている間に、進は手近な建物のドアを開けてその身を滑り込ませた。
「ふぅー」
 大きく息を吐き、肺一杯に新たな酸素を取り込むと、今までとは違った異質な臭いが進の脳を刺激した。
 まるで、新築の家や新車の中に初めて入った時のような気分だ。生活臭のしない、新しい資材の無機質な臭い――
 そこへ、ゆっくりと近づいてくる存在があった。
『ココは登録者以外進入禁止区域です。身分証を提示して下さい。繰り返します。ココはセキュリティに登録された方以外の進入は禁止されています。身分証を提示して下さい』
「警備ロボットかよ」
 相手の姿を確認して、進は頭を掻いた。さて、どうしたものか。力ずくで突破するのは簡単だろうが、自分の居場所を知らされるのはマズい。
 が、迷っている時間も与えてくれないようだ。
『身分証の提示が無い場合、不法侵入者とみなし排除が認められています。10、9……』
 カウントダウンと共に、車輪走行のロボットの内部で何やら物騒な音がした。一番近いのは――そう、銃の撃鉄を起こす音だ。
(仕方無ぇか)
 覚悟を決め、次の動きに備えて身構える進。
『5、ヨ――』
 カウントダウンの声が途切れた。
「ん?」
 見れば、先程まで明滅していた頭部の光も消えている。動力が落ちている……?
「ヒューズでも飛んだんかな……?」
 何はともあれ、助かった。コンコン、とロボットの頭を叩いて再度沈黙を確認すると、進は周囲の気配を探りつつ慎重に歩を進めた。
(これだけ静かだと、お互いにバレやすいよなぁ……)
 自分の足音がいやに耳に障る。ましてや敵地となれば、決して精神衛生上良い状況とは言えなかった。
(こりゃ、早いとこ切り上げて――ん?)
 敏感になった聴覚に捉えた気配。まだ距離があるが、早足でこちらに近づいてくる複数の存在がある。
(角を利用して不意打ち、かな)
 丁度目の前にT字路が見えた。壁に寄り添うようにして姿勢を低くし、じっと息を殺す。
(さあ、来やがれ!)


 その少し前。
 応接間らしき部屋に通されたビーとシャークは、突然始まった外の騒ぎに困惑の色を隠せないでいた。
「どういうこった?」
「私達以外のお客さんのようね。妙に憶えのある展開だわ」
 言いながら、部屋のドアを確認するビー。やはりロックが掛かっている。
 ここに詰めているらしい黎明インダストリーの開発主任がやって来たら、護衛の人間とまとめて確保していようと思っていたのだが。まさかこんな形で軟禁状態になってしまうとは。
「ぶち抜くか?」
「待って」
 シャークを制すると、ビーは腕時計を確認した。唇が小さく動く。
「3、2、1――」
 ガチャ
「「なっ――!?」」
 扉の向こうで驚愕の表情を浮かべる二人の警備員を、ビーとシャークは流れるような動きで黙らせた。殺してはいない。二人が手にしているのは電気の弾を吐き出す特殊な銃である。
 今まで沈黙を保っていた通信機から、馴染みの声が零れてくる。
『待たせたな。クラック完了だ。定刻通りに迎えに行くから、それまでに仕事を終わらせておいてくれよ』
「モグラ、外の様子は分かる?」
『勿論だ。鎧を着たおっさんがハンマー片手に大暴れしてる』
「は?」
 一瞬相手が何を言っているのか理解できず、ビーは素っ頓狂な声を返してしまった。
『他には銀髪の魔術師とか……うおっ! あの兄ちゃん、背中に黒い羽が生えてるぞ!? まるで堕天使だな』
 いや、そう盛り上がられても、ここからでは見えないのだが。
『この感じ、女王様も心当たりがあるんじゃないか? 前も連中絡みだったようだしな』
 笑いを含んだ声を聞く限り、どうやら彼も自分と同じ想像をしているらしい。
 そんな間にも状況は進行している。倒れた警備員はシャークが手早く後ろ手に拘束し、二人は銃を手にそろそろと通路を進み始めた。まるで病院のような室内は、セキュリティが無効化されている事もあってかとても静かだ。
『すまんな。システムのガードが堅くて、乗っ取るまでは無理だった。道案内は難しい』
「了解」
 答えたところで、唇に指を当てる。この先に誰かいる――
 目線だけで合図を交わすと、まずはシャークがT字路を突っ切るように駆けていった。彼に釣られた相手を、自分が一気に仕留める――!
「「あ!?」」
 シャーク、ビー、そして進の視線が交錯し、三人は全く同時に声を上げていた。
 同時に、放たれた電磁弾が進の肩を捉える。
「いてててて! ご挨拶だなぁオイ!」
 というか、気がついた上で撃つか? こっちは何とか踏みとどまったというのに。
「こうでもしないと、力関係から対等の立場で喋れないでしょ?」
 涼しい顔で言ってのけるビーの目の前で、進は全身を襲う痛みに顔をしかめながら立ち上がった。
「ったく……。よお、ビー。久々だな。尤も、あんたは俺の事を覚えていないか会いたくなかったかの二択だろうが」
「覚えてるわよ。こんなご時世に投げナイフなんかで銃撃戦に乱入する馬鹿は」
「バカって言う奴がバカなんだぞ!?」
 唾を飛ばして言い返しながらも、進は心の中で首を傾げる。
(普通なら空間転移の方が先に出てくるだろうに……そうか、チケットの影響か)
 その辺の記憶がぼけているのに、気がついているのか否か、そして自覚していたとして弱みを見せるような真似をするかは疑問なので、これ以上はツッコまないが。
「で、そっちの目的は?」
「前と同じく、兵士連中の身柄。それから――」
「どうもこの中で、危険な兵器が開発されているらしい。それに関する情報と、可能であれば破壊といったところか」
 新たな声に振り向けば、ジュリアンが静かな足取りでこっちに向かって来ていた。銃を構えようとする二人を「味方だ」と進が制する。
「セキュリティが切れたお陰で難無く入れた。大した手並みだな」
『そいつはどうも』
 ビーの手にした通信機から、さして嬉しくもなさそうに男の声がした。
『だが、制限時間付きだぞ。ご利用は計画的にって奴だな』
「こういう場合、警備を厳重にした所が狙い目じゃねぇか?」
「微かだが、力の流れも感じる。それを頼りに細かい位置を探っていこう」
 こうして、四人に増えた侵入者達は、それぞれの思惑を胸に奥へと進んでいくのだった。


(ここなら――って、俺の逃げ道も無いじゃないか)
 資材置き場らしい倉庫へと踏み込んだ健は、ふと思い至って背筋を寒くした。
 一対多数の戦いを制するには、相手に数の利を生かした包囲戦をさせない事――そう考えて有利な戦場を探していたのだが。
(ま、元々が陽動なんだから、逃げ切ったら意味が無いか)
 腹をくくり、肩に停まった相棒へと呼び掛ける。
「お前の存在が肝なんだ、しっかり頼むぞ」
 主の覚悟を知ってか知らずか、彼のセクタンであるポッポは「ホーゥ」と気の無い鳴き声を返すのみ。
 敵の気配が迫る。
(俺がここで10人足止めできりゃ、勝ったも同然、だろ)
 不敵な笑みを浮かべながら、健は羽織った白衣を翻した。
 その内側に縫い付けられたいくつもの内ポケット。小剣やワイヤー、工具が並ぶ中、彼が迷い無く手を伸ばしたのは。
(まずはご挨拶!)
 刹那、放り投げたボールのような塊から強烈な閃光が迸った。
(そして!)
 スタングレネードと同時に取り出していた煙幕手榴弾を敵中へと転がす。たちまち、蛸の墨のように吐き出された黒い煙が、悲鳴を上げる兵士達を呑み込んでいった。
 そこへ、一陣のつむじ風となった健が飛び込む。両手に握ったトンファーで、首筋を狙った一振り、二振り――最小の動きで意識を断たれた敵は、銃を構える余裕すら与えられなかった。
 煙幕の持続時間は決して長くない。ポッポと感覚を共有して確保した視界は普段の目線と違うので少々扱い辛いが、健は立て続けに敵を仕留めようと動く。
 そこへ、入口から吹いてきた突風が煙を払った。
 健は本能的に危険を悟り、姿勢を低くする。
「チィッ!?」
 連続的な銃声。腕に一発当たっただけで済んだのは幸運だったろう。
 見れば、漆黒の装甲車が一台、腹を見せるようにテールを流しながら台座の機銃でこちらを狙い澄ましている。
(車両まで回してきたか!)
 倉庫の入り口から取って返し、並べられたコンテナの一つに身を隠す健。そうすると、ようやく激しい銃撃はなりを潜めた。
(爆発物でもあるのか?)
 止血テープで腕を縛りながら考える。接近戦なら望むところだが、片手の状況でどこまでやれるか……
 続々と敵兵が倉庫へと進入してくる中、その後方で騒ぎが起こった。
「タイヤがやられている! 諦めろ!」
 憑かれたように機銃から離れようとしない兵士を、他の兵士が引きずり下ろしている。
 二人の目の前では、装甲車へとのしかかった巨大な蜘蛛が不気味な仕草で顎を打ち鳴らしていた。その口から放たれた糸がタイヤへと絡みつき、エンジン音が限界まで高まろうとも回る気配は無い。
「無事か?」
 目を見張る健の隣に、レオンハルトが降り立った。「あぁ、助かった」と笑みを浮かべる相手の様子を確かめ――
「どうした?」
「いや、何でもない」
 しかし、依然として健からは目を背けたままで、レオンハルトは言葉を続ける。
「援護する。片付けてしまおう」
「あ、あぁ……」
 腑に落ちない顔をしながらも健が背中を向けた事で、レオンハルトはようやく安堵の息をついた。
(徐々に衝動が大きくなってきているな)
 人知れず握り締めた手のひらには、びっしりと脂汗が。争いに満ちたこの世界では彼の内なる欲望を満たすのは容易だろうが、それが果たして良い事なのか。
 本能と理性の狭間で、彼は銃を手に取る。


●呪われし計画

 ドサッ
 ドアの前に立った歩哨を気絶させると、四人は無言で顔を見合わせた。
(呆気無さ過ぎて、逆に不安になるわね)
 まぁ、それも彼等の存在があってこそだろうが。
 ビーは改めて進とジュリアンの全身を眺めた。見た目は普通の青年達だが、内に秘めた力には計り知れないものがある。今だって、ジュリアンが手も使わずに近くの消火器を歩哨に向かってぶつけたからこそ、即座に鎮圧できるだけの隙を作れたのだ。自分には悪趣味なマジックにしか見えない。
 と、肩を叩かれて我に返る。シャークが示す先を見ると、進が「開けていいか?」とでも言いたげな表情でこちらを見ていた。
(今は行動の時ね)
 頷いてGOサインを出す。扉の向こうには何が待ち受けているのか。一同の緊張が高まる中――
 突然、何の前触れも無くドアが開かれた。
((!?))
 誰かが開けようとした様子は無い。とすると、内側から?
 一斉にドアの前から離れた四人の視界の隅を、鉛色をした物体がかすめていった。
(――蟹?)
 見たままの印象が進の頭の中で身近な存在に変換されるが、勿論そんなわけはない。蟹っぽい姿をした何かだろう。
「止まれ! 撃つぞ!!」
 シャークの制止も無視し、それは地面を滑るように移動すると、近くにあった窓ガラス代わりのマジックミラーを破って外へ飛び出していった。一拍遅れて、放たれた電磁弾が壁に弾け散る。
「何だったんだ、ありゃ……?」
「……目が合った」
 ポツリと漏らしたジュリアンの言葉に、全員の注目が集まる。無言で促され、彼は続けた。
「一瞬だけこっちを振り返ったんだ。その時に、目の代わりらしいカメラがこっちを見ていた」
 だからどうしたと言われればそれまでだが。相手の『目』から意思のようなものを感じたから気になったのかもしれない。
 とはいえ、逃がしてしまったものは仕方無い。あの足の速さでは、既にかなりの距離を引き離されているだろう。
 一行は改めて部屋の中へと踏み込む。
「動きが無いから嫌な予感はしていたけど……」
 ビーの声はどこか悔しげだ。
 機器類の並ぶ部屋の中は、血の海に覆われていた。倒れている多くは白衣をまとったインヤンガイの人間であり、カンダータの軍服を着た者がちらほらと混じっている。その中の一人、胸元や傍に転がった帽子にジャラジャラと付けられた勲章の数からも、その立場は自ずと知れた。
 その懐からは二種類の身分証が発見される。
 デヴィッド警備保障。代表取締役、デヴィッド・モーリス。
 そして、カンダータ軍デヴィッド小隊。隊長、デヴィッド・モーリス少尉。
「カンダータ? 聞いた事無ぇな」
「後で調べてみましょう」
 ビーとシャークが何やら言葉を交わしているが、進は放っておく事にした。どうせ調べても、インヤンガイでの行動以外の真実は出てこないのだから。
「さっきの奴に殺されたのか……?」
 それにしては、銃撃戦のような跡は無い。兵士達の手には銃が握られているというのに。どちらかと言えば、一方的な虐殺のように見える。
 並んだ機器を調べていたジュリアンが頭を振った。
「パソコンは無事だが、操作を受け付けないな」
『こっちからでも駄目だ。そのノードは中枢部分で、周辺とのネットワークを断ち切って<自閉モード>に入ってやがる』
 とモグラ。残された時間は決して多くない。すぐに諦め、他に手掛かりは無いかと調べる四人。
「おい、こいつ生きてるぞ!」
 進の声に、全員が部屋の一か所に集まった。
「……へ、へへ……死神のお迎えにしちゃ、随分と貧相なナリじゃねぇか……」
 その人物は、見た目からして他の者達と違っていた。浅黒い肌に、奇妙な文様の刺青。身を包む衣服はゆったりとした天然素材で、まるで童話に出てくる魔法使いのようだ。
「これを……」
 自らの血に濡れた手で紙の束を押しつけてくる。
「金に目がくらんで、このザマだ……天国なんざ真っ平御免だが……」
 瞳か完全に焦点を失い、零れる涙が頬を洗い流す。
「……最後に……少しくらい……いい事できたのかなぁ……」

 …………………………………………

 悼む言葉は無かった。冥福の祈りも無かった。
 あるには、死という事実のみ。




<code:N(ネメシス) ――序文――>
 神の与え給うた運命が戦いと死に彩られた苦難の道ならば、我々は希望の未来をつかみ取る為に反逆しよう。
 たとえ、その為に大罪を犯す事になろうとも。
 同胞達の屍と、滴り落ちる自らの血潮を踏み越えて。
 我々は運命に、世界に、神に復讐する。

○月 ×日
 特別な呪術を施す事で、念波の継続的な測定に成功。単一で強力な念波が測定し易いようだ。呪術師が言うには、殺意、苦痛に伴う生存欲求、食欲等がこれに当たるらしい。
 ログを分析し、デジタル化の公式を模索する。

△月 □○日
 ログのデジタル化に成功。限定された情報の為柔軟性は無いが、これでも高性能なAIとして商品になるという。続けて、リアルタイムでの変換を可能にするハード、及びプログラムの開発に着手。

×月 △■日
 どうやら、被験体には自我の確立が未発達な子供の方が向いているらしい。今後は子供を中心に集められるよう手配する。資金繰りが苦しい場合は、我々自らが調達してくるしかないだろう。

●△月 ▼日
 試作機の起動に成功。歴史的な一歩を刻んだと言って良いだろう。我々は魂のデジタル化に成功したのだから。皆で祝杯を挙げる。
 問題は、呪術を介しているからかファイルのコピーができない事と、オリジナルとなる生体が死亡してしまう点。だがこれで、生物としての肉体が死んでも器さえあれば存命が可能となった。
 今後は大量複製を可能とする呪術のデジタル化が課題となるが、特殊な技術なので長い期間を要するだろう。同時に、デジタル化された魂の情報がどのように劣化するのか、経緯を事細かに記録する必要がありそうだ。

 我々が神の作った肉体という檻から抜け出し、栄華を勝ち取る日は近いだろう。たとえこの命が尽きようとも、子に、孫に、心安らかなる日々が訪れる事を切に願わずにはいられない。




 文書はここで終わっている。
 あちこちから集めたデータを切り貼りして印刷したものなのか、不自然な位置に「開発の推移」らしき「被験体の様子」の画像が配されていた。
 パァンッ
「お、おい!」
 シャークの声に目を移せば、ビーがあちこちの死体に向けて実弾を撃ち込んでいた。
「行くわよ。まだ生きている被験体が残っていないか確認しないと」
 冷たい目で言い捨て、血溜まりを波立たせながら部屋を出ていくビー。その後を追いながら、ジュリアンはゴミ箱から見つけていた物を改めて見つめた。

 画用紙一杯にクレヨンで描かれた、真っ赤な太陽。

(僕には関係ない事だ)
 ざわつく心をそう説き伏せ、現実へと戻っていった。


●濡れた運命(さだめ)

 徐々に本降りとなる雨の中、ギルバルドの朗々とした声が響き渡る。
「おぉ、わが神よ、汝より、我の前にいるもののために、汝より癒しを授けてくれたまえ」
 その手のひらに宿るのは、柔らかい熱を持った光。
「キュアβ」
「おぉ、大したもんだ」
 怪我した腕の状態を確かめながら、健は感嘆の声を上げた。「全てはわが神の思し召しである」と語るギルバルドはどこか誇らしげだ。
 戦闘は終息を迎えつつあった。
 捕虜とする為にロストナンバー達は困難な戦いを強いられたが、自慢の装甲車を潰された時点で兵士達の士気は見るからに落ち込んでいた。
 勿論、中には果敢に、あるいは狡猾に抵抗する者もいたが。
 遠く、銃声が轟く。
「降伏を装って至近距離で銃を抜いてきた」
 戻ってきてそう告げたのはレオンハルト。返り血を浴びたのか、全身血まみれだ。手には雨によって急速に冷やされていく銃を提げている。
「どうやら、中の戦いも終わったようだな」
 ハクアの言葉通り、建物群の方からは進とジュリアン、ついでに見慣れない人影がこちらに向かって走ってきていた。
 と、そこへ、腹の底に響くようなエンジン音を轟かせながら、一台の装甲車が突っ込んできた。全員が咄嗟に得物を構えるが、運転席から顔を出した髭面の男――モグラは「待て、敵じゃない!」と大声で叫びながら速度を落とす。
「時間まであと一分!!」
「ここでお別れね」
 そう告げたビーは、腕の中の子供の身体を抱え直した。結局、発見できたのは「実験前」の三人のみ。泣き叫んで手に負えないので、今は鎮静剤を打って大人しくして貰っている。
「あの連中の身柄は任せる代わりに、子供達はこっちに貰うわよ」
「あぁ、問題無い」
 どちらにせよ、あの大人数をビー達だけで護送するのは無理のようだが――ジュリアンはそう思いながらも、短く答えただけだった。こちらにしても、まさかインヤンガイの子供をターミナルに連れていくわけにはいかないのだ。ここは彼等に任せるのが最善だろう。
「すぐに工場内のセキュリティが復活する。あの様子だと大半はぶっ壊れてるかもしれないが、黎明の本社からも私兵部隊がすっ飛んでくるだろう。できるだけ早く引き上げる事をお奨めするぜ」
「あぁ、サンキュ!」
 進が手を振って見送り、二人を収容した装甲車は来た時と同じ勢いで走り抜けていった。
「いいのか?」
「……わかんね」
 尋ねる健に、進は首を横に振った。
「この世界の人間が被害に遭っている以上、少なくとも半分は彼等の問題だからな」
 そう漏らすハクアの表情も複雑だ。
 あるいはもう、引き返せないところにまで来てしまっているのかもしれない。
 世界を渡る者達がもたらした「歪み」が今後、このインヤンガイにどのような影響となって現れるのか。
 知る者は誰もおらず、ただ冷たい雨だけがロストナンバー達へと降り注いだ。


(了)

クリエイターコメント 頑張っても締め切りギリギリでした(ぎゃふん)。ノベルのお届けとなります。

 ひとまず作戦は成功です。お疲れ様でした。具体的な数は挙げておりませんが、小隊長やその側近を除いて、ほとんどのカンダータ兵を捕虜にできています。
 結果的に強襲からの正面突破だったのでインヤンガイの研究者達に関してはああいう事になってしまいましたが、相当上手くやらないと難しかった部分だと思います。ロストナンバーですと、社会的に「いない」存在ですから裏工作も限られますし。
 他にも色々引っ張る展開になっておりますが、それはそれ、これはこれ。インヤンガイでの戦いを楽しんで――というのはちょっと違う気が。堪能? ……これも違う気がするけど、まぁいいか。とにかく、御満足頂ければ幸いです。

 それでは、再びお逢いする事を祈りまして、筆を置きたいと思います。あなたの旅路に、良き風の導きがあらん事を!
公開日時2010-07-02(金) 17:40

 

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