緑の世界樹の下。 白い衣服を身につけた美しい青年「原初の園丁」シルウァヌス・ラーラージュとその周りに園丁たちが立っていた。その一段下にドクタークランチ、ゴースト。更にその背後には元図書館側のロストナンバーたちも控えていた。今回の任務について必ず参加義務があると命じられていたのだ。 部品が存在する以上、ロストナンバーたちに拒否権はない。 集合がかけられ、世界樹の前に通される前にこれみよがしにスイッチを弄ぶゴーストが語った。「今更、念を押すことはないと思うがお前たちの命は俺らが持ってる。……ってことになってるんだよなァ、けど、いいことを教えてやると、ナラゴニアでこっちにきたやつらは爆弾を埋め込んでなかった……なぁんてどうする?」 その場にいたロストナンバーたちはぎょっとした。「ただし、裏切り防止のためにある細工をした。さあて、その細工はなぁんだ。ただ爆発して死ぬだけじゃツマラナイ。裏切りがわかった地点で狂戦士になって死ぬまで周りの奴らを殺しまわったり、毒がまわって苦しみもだえたり、ああ、たとえば裏切った本人じゃなくて、別のやつが死んじまうとか。っても、これはたとえばの話だぜ? ふふ。本当はどうなるか試してみるのもいいかもな。……こんなことをいうのは、そういう可能性のある任務だってことだって察しがいいならわかってると思うが……裏切り行為がばれないと思わないことだ。お前らの部品には監視機能がついているから一発だぜ? うっけけけ」 ゴーストは不吉な種をロストナンバーたちの心に撒いた。「では、我々は世界図書館に全面戦争を仕掛ける。それについてお前たちの役割はわかっているな」 静寂のなかにシルヴァヌスの声が朗々と響き、恐ろしい作戦を告げる。「うっけけ、お任せあれ! じゃあ、オレサマ、ゴーストはアリッサの首を狙いましょう。混乱のなかならわりとあっさりと殺せるでしょう。リーダーを討てば負けを認めるしかないだろうし。ついでにクランチの作った爆弾を街のなかに仕掛ければ面白いでしょうし」「では、私はそれらの用意とともに図書館への攻撃」「クランチ君。君はもうひっこんでいてくれてかまわない」 クランチの発言を遮った者がいた。――シルウァヌスの脇には不遜な表情の園丁であった。年老いた樹の皮のようなしわの重なった体であったが頭頂に生えている花だけは真新しい。そして淀んだ眼光は鋭かった。「私はブルバキ・モルダヴィア、お前たちには図書館を破壊していただく。くくっ、私が作ったノエル叢雲によって……!」「私がエレガントな侵略の手本を見せて進ぜよう」 †――ノエル叢雲とは、 失敗に終わったドクタークランチの叢雲の思想を受け継いだ戦闘艦である。 バイキング船の形を模している。 艦種を特定するなら壱番世界のバイキング船同じく強襲揚陸艦と言うことになる。 このノエル叢雲、壱番世界で著名な赤い空飛ぶチャリオットにちなんで名をつけている。侵略に適した名称に思えたからだ。 そして、ブルバキはどっしりと艦長席に腰を下ろしてた。 その手にはいくつものスイッチを弄んでいる。「ククク、あの下賤も失敗続きでようやく立場をわきまえるようになったか」 そして、居並ぶ旅団の戦士達をねまわすように視線を送った。「さて、諸君らには奮起していただこう。このスイッチのことはあまり気にしなくてよい。くく、このような下らない玩具に頼るから彼は失敗続きなのだ。私が君達に与える命令は簡単だ……」「……図書館を破壊しろ。ここにいる君達は破壊が好きで、得意だ。命令も手綱もいらない。そうだろ……くく」 多くの旅団の戦士を乗せて、強襲揚陸艦はディラックの空に進宙した。 † その頃、図書館の講堂にはロストナンバーたちが集まっていた。 魔神メンタピによるヴォロスについての講義が行われいてたからである。「……族の神話ではこのようにして、古代の竜たちは次々と長い眠りについたとされている。この物語は我々がこのたびヴォロスで見てきたものと相違ない」 ミミシロがあくびをしている。 エミリエも退屈そうに導きの書をめくっている。 と、その時である。エミリエが導きの書を振って立ち上がり、叫んだ。「大変よ!」 遠くからなにかが当たる音がし、講堂が揺れた。 うとうとしていたミミシロがびくっとする。 そして、なにかに気付いたか魔神メンタピは宙を見つめ、竜刻石をかざした。「砲撃か……。侵略者が来たようだな。問題ない、図書館に傷をつけることはできないだろう……。ぬっ!」 しかし、続く轟音と共に強固な講堂の壁が粉砕された。 もうもうと木の葉を含んだ粉塵が巻き上がる。そして、恐るべき事に木の葉が触れた机や椅子、そして床や壁は爆発し、消えた。 煙が晴れたときには、壁からはバイキング船の船首が突き出ており、さらに甲板にずらりと並んだ兵が見える。 そして、メンタピは船の下敷きになって脚だけがのぞいていた。講堂を覆う結界が静かに消滅。ロストナンバーの一人が驚愕に震える。「バカな! 図書館の壁が破壊されただと!」 バイキング船からは装いも武装もてんでバラバラの兵士たちがなだれるようにおりてきた。戦闘力の無いロストナンバー達が逃げ惑う。そして、最後に、しわがれた樹が船の甲板上に現れた。「なんの不思議がある。このノエル叢雲の船体には世界樹そのもの使われている」 チャイ=ブレを直接破壊できるだけの威容。それは真正のオセベルクであった。 言葉を発したのは樹のように見えたが、そうではない頭に大輪の花を咲かせた老人は――園丁「クランチが作ったまがい物とは異なる。世界樹の偉大さを思い知るがよい」 このバイキング船、園丁が直接操るからこそ可能となったものだ。 逃げようとしてエミリエは兵の一人に捕らえられた。 エミリエは最初じたばたしていたが、状況を理解するにつれ勢いは小さくなり、やがておとなしくなる。「司書を一人確保。エミリエだね。重要な地位にあるよ。人質として有効だね」 † そう、エミリエの名を知っている旅団の戦士――ヘータ。 もとは世界図書館の一員であった。 エミリエは触手によってヘータのマントの中に引きずり込まれた。 次々と船から降りてくる戦士達に見知った顔がまざっている。ヌマブチは抜け目ない表情で数発射撃をし、それから隊列に加わった。 そして純白の羽、アマリリス・リーゼンブルグ。「悪いが、これから図書館を蹂躙する。君たちは降伏すれば悪いようにはしない」 それを聞き、勇気を振り絞ってミミシロが飛びかかった。 しかしそれはむなしい試みであった。園丁の脇に立つ三日月灰人が告げる。「ブルバキさま。この司書には人質としての価値はありません」 園丁の堅い大木のような腕に殴られ、小さなミミシロはゴミのように飛んでいき、黒板に当たって動かなくなった。 外からは断続的な砲撃音が聞こえる。======!注意!イベントシナリオ群『進撃のナラゴニア』について、以下のように参加のルールを定めさせていただきます。(0)パーソナルイベント『虹の妖精郷へ潜入せよ:第2ターン』および企画シナリオ『ナレンシフ強奪計画ファイナル~温泉ゼリーの下見仕立て観光風味~』にご参加の方は、参加できません。(1)抽選エントリーは、1キャラクターにつき、すべての通常シナリオ・パーティシナリオの中からいずれか1つのみ、エントリーできます。(2)通常シナリオへの参加は1キャラクターにつき1本のみで、通常シナリオに参加する方は、パーティシナリオには参加できません。(3)パーティシナリオには複数本参加していただいて構いません(抽選エントリーできるのは1つだけです。抽選後の空席は自由に参加できます。通常シナリオに参加した人は参加できません)。※誤ってご参加された場合、参加が取り消されることがあります。======
エミリエの目の前で盤石であったはずの図書館が崩壊していく。 堅牢だったはずの壁は崩落し、この世のものでは無い建材を顕わにしていた。それがいっそう中身のない紙で作った模型をたたき壊すがごとくであって気が遠くなりそうになった。 バイキング船から見下ろすと講堂で慌てふためく図書館員たちはちいさく、頼りない。 中には竜人Σ・F・Φ・フレームグライドのように即座に臨戦態勢をとった者もいるが少数派だ。竜人の火炎弾がこちらに延びてきたが、船のまわりをうっすら取りかこむ木の葉に遮られて、空中で無害な煙玉となりさがった。 エミリエは反射的に煙から逃れようと身をよじったが、まとわりつくヘータの触手のおかげで身動きができない。 エミリエは普段からロストナンバーの冒険報告を聞き、トレインウォーにも従軍したことがある。しかし、それでもここまで自分の身に恐怖が迫ったことはなかった。 この状況は楽しくない。 服の内側にも遠慮無く侵入してくるヘータの触手が気持ち悪いし、天使のようだったアマリリスはとても怖い顔をしている。そのアマリリスはヌマブチとなにやら目配せを送り合っていた。 するとヌマブチは船体を心配げになで回すようにしてマストを横切り、そして、見たこともない旅団の戦士達と一緒に船から下りていった。 灰人は頭に花を生やした老木に話しかけている。ブルバキと呼ばれていたはずだ。『園丁』という言葉が聞こえる。まさかあの老木が世界樹の園丁だというのか。 ――エミリエたち司書と対になる存在。司書からもセクタンが生えてくるようになるのかしら ヘータの独り言が聞こえた。 「世界図書館を壊すんだよね。……壊すと情報が無くなっちゃうから、その前に世界図書館を知らないといけないね。スキャナーを壊す場所に置いて記録してから壊せば後で知れるから大丈夫かな」 ――ホンキだ。この人。 破壊されてしまう前にできるだけ図書館を記録しておきたいようだ。 ヘータは内にエミリエを抱えたまま船から飛び出した。エミリエが衝撃で死なないように少女を触手で覆ってある。空気が吸える程度に顔が出してあったが、エミリエが吸えたのは煙ばかりであった。胸を押さえつけられ咳き込むこともできず、意識がもうろうとしてくる。デリカシーにかけるマントだ。 † 「諦めて降伏なさい。そうすれば捕虜としての安全は保障します」 灰人が降伏勧告をしている。 それが受け入れられる段階ではまだないことは元図書館員の誰もが思うところであった。 アマリリスは、それを灰人の中のなにかを正当化するための行為なのだろうと推測した。その通り、灰人は図書館からの返答を待たずに、バイキング船の大砲を操作して呵責無い攻撃を加えている。 その灰人の視線がときおりアマリリスに向けられるのを感じる。図書館に対しての未練があるの思われているのだろう。 それ自体は理解できるが、どういうわけか彼が園丁に一定の信頼をうけている様子が気にくわない。 アマリリスは船の縁から飛び立ち、分身した。お得意の幻術である。幾人ものアマリリスが一斉に剣を抜いた。 図書館にいた頃から使っていた定石だ。手の内は読まれているだろう。 「やりづらいな」 おそらく、バルタザールも幻術のたぐいを使ってくるだろう。混乱が予想される。彼女はそのほうが自分の都合によいかもしれないと前向きに考えることにした。 飛びあがり、ギアの鈴を鳴らして加速する。疾風と共に講堂を翔け抜けようとすると、あまたの幻影の中の一体がかき消えていた。 好敵と見たか、ガルバリュートにやられたのだ。 この筋肉だるま、見かけによらず高速戦闘が得意である。アマリリスに併走する形で翔んでいる。 体勢を整える間に、さらに幻影が数を減する。 「アマリリス殿か……拙者も言えた義理ではないが、将軍という立場にありながら二君三君に仕える辱め、釈明していただこう!」 「容赦しない」 バイキング船からの砲撃で壁が倒れ落ち、講堂は隣の会議室とつながった。 つづく砲弾はガルバリュートに直撃した。 追撃を加えるべく、アマリリスはもうもうと立ちこめる煙を幻影で取り囲んで突入したが、黒影と共に一角が崩される。 飛び出したガルバリュートを追うアマリリス。白翼が広がる。 崩れかかった壁をためらわず粉砕して会議室に姿を消した巨体を追って飛び込んだところを、横殴りの衝撃が細身の翼人を襲った。 「真の攻撃を幻影に頼ろうとしない心意気は天晴れ」 アマリリスは背後に激痛を感じた。羽を強靱な腕に掴まれている。橈骨が握力と衝撃により粉砕されていた。当面は飛べまい。 「ちっ」 しかも自由な両腕で剣を振り下ろすにも懐に入り込まれた形だ。根元に近すぎる刃では肉の壁を貫けない。 「鋼の肉体と鉄の身体、そして騎士道! 常にそれだけを信じ戦い抜いてきた。それらが破れる時が拙者の敗れる時! それまではより多くのものをこの身で護り続ける」 ガルバリュートは翼人の返答を待たずに鎧のバーニアをふかした。速さ×鋭さ×重さ=強さ。暴力的な加速と共に講堂へと変態軌道を描き、バイキング船にタッチダウン。 「戦いに集中できぬか! そんなに部品とやらが気になるのか、見下げたものだ。拙者は共に戦う仲間と、後に続く者を信じている。我々は断じて力による従属などには負けぬ!」 † ずいぶん広くなった講堂では、旅団兵の同士討ちが散見され、侵攻に躊躇が見られるようになっていた。 吸血鬼であるところのバルタザールの仕業だ。タロットのマジックカードにこめた魔術の『恋人』、それに魔眼をも併用している。 もとより煙立ちこめる戦場ではあるが、バルタザールの降ろした闇の帳に隠れて非戦闘員が待避していっていった。 中には非戦闘員にまぎれて図書館に潜入しようとする旅団兵もいた。 その一人の頭上に忽然と口があらわれた。口は大きく開けると兵に覆い被さった。そして、口が閉じると哀れな男の姿は消えていた。 瀬尾光子の使役している悪魔の仕業だ。 「……参るね、参る参る、世界司書が減っちゃあ、仕事の手続きにかかる時間がそのぶん増えるってことじゃあないか……」 『と、いいますか、受付所すらなくなっては仕事どころではないかと……』 瀬尾と問答しているのはゴスロリ人形にとりついた小悪魔だ。負傷者の治療を命じてある。 『光子様はもしや……』 「あたしの縄張りに土足で踏み込んでる連中がいるんだ、ほっとくわけにはいかんだろ?」 『……こころなしか、張り切っているように見えますね』 「そりゃ当然さ……やっぱ加工品よか生のナレッジキューブの方が魔術効率が圧倒的にいいからね、今日は大暴れさせてもらうよ」 0世界ではナレッジキューブを捧げて悪魔を好きなだけ召喚できる。 『ホワイトタワーでは暴れきれなかったからですか?』 「さ~あ、さっさときなぁ!モロク! ヴィネア! 派手に行くよ!」 言い放つと、空中からきれいに舐められた骨が降ってきた。先程喰われた旅団兵のなれの果てだ。それから口が、そして続いて満たされぬアモン人の王モロクの全身が顕現した。その脇には黒馬に騎乗した獅子ヴィネアもいる。 講堂の正面、黒板よりではΣ・F・Φ・フレームグライドが注目を浴びていた。 「旅団め、ついに来たか!!」 長身の偉丈夫が斬撃を繰り出すたびに血しぶきが舞い上がり、炎にあぶられて粉と消える。 「ならば、徹底死守してくれる!!」 差し込まれる槍を手で掴みねじり折る。大剣を振り切った脇を突撃してくる兵の剣は手刀で流し、返しに膝蹴りをたたき込んだ。 「堂々と土足で入りおって」 着地と同時に、次の旋風を巻き起こし大剣を振り下ろす。 「ならば、葬るのみ!!」 近寄りがたいと銃撃が浴びせられるも、弾丸は竜麟にはじかれた。 「俺に、鉄砲弾はきかねぇ!!」 手に負えないと判断されたか、雑兵は引き、バイキング船からの砲撃が向けられた。 それに対してフレームグライドは縦横無尽に疾走し、雑兵達の群れの中に潜り込んで、砲撃を牽制した。 ならばと旅団兵達がどうにかフレームグライドを包囲殲滅に転じようとしたところで、瀬尾の悪魔が割って入ってきた。 † 園丁が砲撃を命じるたびに図書館の建物にあらたな穴が穿たれていく。 戦況を見渡すバイキング船の上では次なる一手が考えられていた。図書館の非戦闘員はほぼ待避を完了したものと思われた。足手まといを気にする必要が無くなった瀬尾、フレームグライド、ガルバリュートの三人が旅団のまとまりに欠ける兵を駆逐していっている。 こうなってしまうと不用意な砲撃は味方を巻き込んでしまう。お互いに雑多の寄せ集めだけに数の優位に効果を持たせにくい。個々人の戦闘力が物を言う局面だ。 森間野コケが逃げずにスコップを振り回していることには驚かされた。ヌマブチの姿ははっきりと確認できないが、瓦礫の陰から散発的には火線が走らせているのは彼だろう。重傷を負ったアマリリスは戦線に復帰できていない。 「我が戦士どもも不甲斐ない」 園丁は毒付くが、灰人はヘータの姿は見えないことに気付いていた。ミネルヴァの眼にも映らない。人質を抱えたまま逐電されては困る。 「図書館は身内に甘い。そこで考えました。私は卑劣な臆病者ですからね」 灰人は、戦場の片隅に放置されているものに気付いた。旅団で得た能力で転移し、それを拾う。 「エミリエさんと比べたら人質としての価値は劣りますが……。」 ぐったりとしている司書、ミミシロだ。可愛らしいミミが煤けて黒くなっていた。近くの兵に彼をマストにくくりつけるよう命じ。そして、嬉々と大声を張り上げた。 「さあ、どうします? 叢雲を破壊したら巻き添えになりますよ」 「許さない!」 その呼びかけにコケが反応したのを見て牧師はほくそ笑んだ。コケのような弱くも可愛らしい愛玩動物(植物)は人質としての価値が高い。 それが、無謀にも向こうから飛び込んでくるのだ。 コケは森間野・ロイ・コケとなってからいくつもの修羅場をくぐってきていることを灰人はまだ知らない。 † その頃、ヘータはバルタザールに捕捉されていた。 ヘータは図書館の奥へと進みながらスキャナを設置していっていた。一般のロストナンバーが立ち入りを制限されている区画もエミリエの権限によって入り込めている。 そんなヘータがちょこまかと部屋と部屋を渡り歩く中、数名の旅団兵が立ち入り禁止の廊下を闊歩していた。霧が小刻みに揺れる廊下にまとわりついている。 そして、ヘータは部屋から出てきたところで呼び止められた。 「ブルバキ様がお呼びだ。その司書を渡してもらおう。人質を呼び戻したいとのことだ」 「や、やめてよ。エミリエは人質としての価値なんかないよ。ほんとなんだから!」 「エミリエ、ここの探索に必要なんだね。講堂にはもう情報が無いよ」 「クランチ様の部品を爆発させられてもいいのか!?」 「ワタシを爆破したら人質のエミリエも死ぬよ」 「さっきのナシ。エミリエみんな守ってくれるわ! エミリエ偉いんだよ!」 それに対して兵達は一瞬戸惑いを見せたと思いきや、糸が切れたように一斉に倒れ込んだ。 廊下に漂う霧が凝集し中世貴族風の人の形となった。 吸血鬼バルタザールだ。彼は陰にまぎれ旅団兵を咬んで隷属化していたのだ。 「こういう人間向けの手は通じぬか。ヘータ、図書館に戻る気は無いか? エミリエを返してもらおう」 「ワタシは世界樹旅団と世界図書館の両方にいたいんだけど、それは悪いことらしいからね。世界樹旅団の方が知らないモノやヒトが多いし、世界図書館に戻りたくないんだ」 「そう言う君が図書館で情報とやらを集めているのは矛盾ではないのか」 「世界図書館にいては、ココまでこれなかったからね」 不死者は眉をひそめ、ギアであるレイピアを抜きはなった。 「戦うのはワタシにもエミリエにも世界図書館にも悪いと思うけど、やるの?」 「狂った機械め」 「ちょっちょっと! やめてよ。助けてー!! 誰か助けてー!!」 全身を触手で拘束されたエミリエは、唯一自由の利く顔で精一杯の抗議をした。そして、もう一つできることに気付いた。 「ヘータ! 離しなさい! 離さないとこのままここでおしっこするわ!! それでもいいの!」 「ワタシ、エミリエのその情報はもっていないよ」 「うそ! うそ!! ギャー変態! 変態! 変態!」 バルタザールは若干あきれ顔でレイピアを掲げ、間合いを詰める。 そして、一足一刀の間合いに迫ったところでヘータのマントが動いた。バサバサとはためきレイピアを絡め取るように伸びた。 バルタザールはすっと剣を立ててやり過ごし、返しにえぐるような一撃を見舞う。 触手を一本斬り飛ばすが、却って間合いが縮んだことによりマントがバルタザールの全身を覆って巻き付いた。 と、バルタザールは霧に転じするりと抜ける。 そして、間合いを取って肉体に戻ると「女教皇」の魔術を叩きつけた。彼の知りうる神秘と英知をヘータに注ぎ込む。 情報の洪水にヘータはオーバーロードを起こし我を忘れた。 レイピアをひらめかせ、ずぶりとエミリエを抜き出してもヘータはそのままであった。バルタザールは転移のマジックカードでエミリエをクリスタルパレスに転送する。 バルタザールに刺されたクランチの部品が爆発し、ヘータは触手の半分を失った。それでも微動だにしなかった。サーチャーは神秘と英知を分析するのに忙しいのだ。 † ガルバリュートは自身を戦いの相手として求める声に敏感だ。二人は半分崩れた廊下で再会した。壁に開いた穴、吹き飛ばされた扉越しにバイキング船が見える。 「ヌマブチ殿、聞けば魔法を操れる様になったと聞く。お祝い申し上げる」 「それがしがこの『左腕』に宿したのはつまらない力であります」 「ついにこの日が来てしまったな。時に対空兵器の起動にキューブが必要なので持ち合わせがあれば貸していただきたいのだが……」 「あいにくとそれがしの手持ちは世界樹の実ばかりなのです」 拒絶をうけ、ガルバリュートは遮蔽物から見え隠れする船を指し示して、会話を続けた。船周辺はフレームグライドのブレスト、瀬尾の悪魔達が派手に暴れており、戦況を把握しづらい。 「拙者は忙しい。あの戦艦を落とさなくてはいけないのでな。あまり時間は取れぬが積もる話があるなら……お相手いたそう!」 ヌマブチは『左手』に銃を掲げて突撃した。呼応するようにガルバリュートも加速する。 「再び酒を飲みたかった」 それをヌマブチはさけようとした。体勢を崩したか『左腕』を大きく広げてしまっている。 なにかを悟ったかガルバリュートは進路をそのままに突き進んだ。 † クランチのもたらした新たな能力は持ち主を苛む。一秒後の未来を視たアマリリスは絶叫した。 「ヌマブチ! やめろ!」 † 二人の戦士が交錯する一瞬の前にヌマブチは左腕の部品の力を発動した。 ――左手で触れた場所に、任意のタイミング、任意の威力で爆発を引き起こす能力 バイキング船から降りるとき、マストを、船体を触れてまわった。 そして、裏切りが発覚する前に左腕は、ガルバリュートが巨大な砲弾となって吹き飛ばす。 炎上するバイキング船を視界の隅に置きながらヌマブチは倒れた。クランチの部品を宿した左腕ともおさらば。これでクランチも園丁も自分を捕捉することはできないはずだ。 思う存分に技を披露した巨漢が近くに戻ってきた。ヌマブチは残った右手を開いて抵抗の意志がないことを示した。肉がにやりと笑う。バイキング船からの火の粉がちくちくと痛い。 † 爆風は葉に守られた船上を一掃した。 灰人は吹き飛ばされ甲板を滑って船縁に全身を打ち付ける。 「これは……ヌマブチ……、やはり裏切りましたか」 灰人が船の中央を見やると、園丁が静かに燃えていた。爆風で頭に咲く花も半分ほど散ってしまっている。園丁はスイッチを取り出し押す。そして園丁は用の済んだスイッチを投げ捨てた。 そして、はっとなってマストを見上げた。 帆に火がついて燃え始めている。衝撃から立ち直った旅団兵が消火を叫んでいる。灰人自身もあの爆発で、よく生き残れたものだ。 「つくづく主は私の苦痛を長引かせたいようです」 そして、立ち上がろうと腕を伸ばしたところで灰人はぬるりとした感触に手を触れた。 「これは……。ミミシロさん、貴方が私の盾になってくださったのですね」 ヌマブチが触れたマスト、ちょうどそこにこの小さな人質がくくりつけられていたのだ。爆発に押された小さな司書は、縄によって首と引きちぎられ、胴からは圧力に耐えられなくて飛び出した内蔵が焼かれていた。 不平等な運命に見舞われた死体から逃れるように、灰人は立ち上がった。 † 「ミミシロを殺ったな」 コケは旅団との戦いでずいぶん変わった。少なくともこのように殺意をむき出しにして戦える程度には修羅場をくぐっていた。 人質を救えなかった慙愧を憎しみにくべるのはたやすい。 船に近づくと砲撃よりも木の葉が手強い。 葉が床に触れるたびに爆発が起こり穴が穿たれる。 瀬尾は炎の壁を立ててまわった。実体の無い葉の爆発に巻き込まれても揺らぐだけだ。 「旅行にはマナーってもんがあるんだよ、守れない奴には痛い目みてもらわないとねぇ」 そして、壁で戦場が分断されて旅団兵と距離が開くと、今度は至近距離からの砲撃が襲う。予知能力を働かせながら、壁で視界を遮って躱した。 戦線を突破したフレームグライドが血路を開く。 「俺を囲もうなど、甘い!!」 精霊力で熱を帯びさせた大剣でなぎ払い、空間を空けた。 そして、人間を偽装する変身を半解除。竜翼をぴんと伸ばし、大きく空気を吸い込んだ。竜腔で圧縮点火。 「世界樹か。燃えろ!!」 火のブレスを一直線に、バイキング船に向かって解き放った。 どろどろとした火炎が突き進む。 それは、バイキング船の周囲を漂う葉を灼いた。 薄くなったところに瀬尾が召喚した石筍が次々とドリルのように打ち込まれる。ついに細い道が開けた。 そのかりそめの道を疾走、小さなコケが地を滑り、蔦を船殻に引っかけ、ついにノエル叢雲に突入した。 コケの蔦も焦げていくが、かまわない。 「フェイの火はもっと熱い。コケはたたかえる」 コケを追う旅団兵は数歩で苦悶の表情を浮かべる。 混戦の中、コケは大気に毒素を捲いていた。痺れ毒の花粉、息苦しくなる毒、目がかすむ毒、腹で暴れる毒。それぞれが致命的なものでは無いが、攻撃を受けているとは気付きづらいものばかり。 途中から旅団兵が動きに精彩を欠いていたのはこのためだ。 スコップを構え、甲板を走り園丁に迫る。 阻止しようとした兵は、忍び寄っていた蔓に足下をとられて転倒した。 まっすぐにコケは駆けあがり、スコップを振り回して老木につっこんだ。園丁のまとう法衣が揺れる。 しかし、石壁を殴ったような衝撃にコケはスコップを取り落としてしまった。 コケが若草とすれば、園丁ブルバキは古木である。千年の年輪を積み重ねた巨大で堅牢であった。 間髪を入れず堅い両碗が迫り、コケの頭と肩を押さえつける。あまりの力に視界がにじんだ。 そして信じられないほど軽々とコケを引き寄せた。うっかりコケの肩をありえない方向に曲げてしまうくらいである。 近しくなった園丁の顔はコケの身長ほどもあるように巨大に見えた。それは本能的な恐怖のなせる技である。 涙は自然のものであったが、それでも戦い続けられる程度にはコケは強くなっていた。弱々しい動きで、園丁の顔に手を伸ばし、触れたところで致死毒を発生させた。 神経毒、それから出血毒……。だが効いている様子はない。 「可憐な花だ」 この老木、見た目のままの植物。であるならば対動物の毒は効かない。少し躊躇して対植物毒を分泌しようとする。通常、自分の作り出す毒はコケには効かないのだが、除草液ばかりは自家中毒を起こす。 それでもと、自身の手を痺れさせながら、隠し持っていたナイフに塗った。 「ナラゴニアは物言わぬ草木ばかりでつまらぬ。そなたは新たな苗を為すのだ」 そうしわがれた声を吐くと、古木はぐったりしたコケをつるし上げたまま、強引に顔を寄せる。ひび割れ節くれ立った嫌悪感にコケは顔を背けようとするが、万力のような手に頭を掴まれ避けられない。頭蓋が軋む。 侵入する異物に、コケが咳き込み。涙がつたう。 ……フェイ その様子に園丁は不健康な笑みを浮かべ、コケの歪んだ肩を掴んでいた手を離し、腹に重たい一撃をたたき込んだ。体組織が破裂し、べしゃべしゃと服が吸収しきれない体液がしたたり落ちた。 ――断じて看過するわけには行かぬ。 その時である。 園丁にぶつかる影があり、衝撃でコケは振り落とされた。 うっすら幻影の衣をまとった影が園丁に組み付いている。光の加減で羽翼が見え隠れする。そして、園丁の太い樫のような胴を剣が貫通していた。 アマリリスは傷を治癒してずっと機会をうかがっていた。そして、未来が視える彼女は、コケの危機に我慢できず突撃した。幻影に隠された腕が、園丁のゆったりした衣に差し込まれる。 剣が貫通していても園丁ブルバキに出血はない。アマリリスが決死の集中力でスイッチを抜き取り下がろうとする。 「愚かな……」 この時、アマリリスはコケを連れて行こうと意識を逸らしてしまった。 スイッチを握る手が園丁に掴まれる。圧倒的な揚力は、翼人の空洞の骨を握りつぶす。油汗がしたたり落ちる。 ――まだだ。部品が爆発する未来は視えない。 「かまうな! 私は大丈夫だ! コケ! 殺れ!」 コケは隠し持っていたナイフを腰に溜めて、ふらつく脚で突撃した。鈍い手応えと共に胴に突き刺さり除草液が園丁の衣を汚す。 ここに来て、初めて園丁が苦痛の表情を浮かべた。 だが、スイッチは園丁の手の中にある。スイッチを破壊しても部品は爆発する。アマリリスの手ごと、老木は全力で禍々しいスイッチを握りこんだ。 ――自分の死は視えないものか アマリリスは覚悟を決めた。 ばきっと小さくも嫌な音が響く。 一秒二秒と空白の時間が過ぎ去った。 気がつけば園丁の真後ろに黒の牧師――三日月灰人が立っていた。 「ブルバキさん、ドクタークランチが貴方を信用するとでも思っていたのですか?」 アマリリスははっとする。 「私はダミーを怖れていたわけか、ははは」 園丁を蹴り、ささっていた剣を抜く、そして、上段の一撃を園丁の首にたたき込む。 「ぐえっ」 そして、灰人がギアからレーザーを放ち園丁の頭の花を刈り取った。 よろめき、支えようとして、園丁の脚が折れた。 ついに毒が回ってきたようだ。細胞壁が破壊されていく。組織が枯死しもろく崩れだした。 倒れた園丁は起き上がろうとするも、腕にひびが入る。 「これはっ、なんだ!」 そして、アマリリスの剣がくさびとなった首が落ちた。 灰人はロザリオの鎖を握りこんでいる。アマリリスはほっとして居住まいを正した 「ありがとうございます。アマリリスさん。貴方の勇気のおかげで園丁が倒せました」 「君は本当にあちら側についたのかと思っていたのだが、申し訳ない」 「ええ、私は旅団に服従しているわけではありませんよ」 そして、ロザリオを握る手を開くと……そこには小さな機械があった。 「だからといって、図書館に絶望したのは間違いないと思うのですが……」 アマリリスの首がちいさく爆発した。破片が飛びちり、彼女の頭部は驚愕の表情を浮かべたまま、皮一枚で背中にぶら下がった。 その勢いのままコケの上に倒れ込む。 コケは血に濡れ、アマリリスの長い髪がコケの蔦に絡みついた。 「あっあっあーーあー!!」 コケは状況についていけず絶叫するだけで精一杯であった。その喉に、園丁の頭に咲いていた花が茎が差し込まれる。 「ラザロ(屍者の意)、立ち上がりなさい」 灰人が命令すると、コケは自身の意志に反して勢いよく立ち上がった。喉に刺さった花のおかげで顎が明後日の方向を向いて閉じることができない。 「ノエル叢雲。進みなさい」 揚陸のために停止していたバイキング船が再浮上する。 接ぎ木の技術である。死んだ園丁の一部をコケに接ぐことによって、灰人はバイキング船を支配できるようになっていた。 「あっあっあーーあー!!」 コケはかすれた絶叫だけは自分の意志で出せた。涙は止められない。 † ゆっくりと壁を破壊しながら進むバイキング船。廊下を踏みつぶし、書架を倒壊させる。 地上の掃討はあらかた終了し、瀬尾とフレームグライドが船に攻撃対象を切り替えた。 園丁が倒れたことにより船を守っていた世界樹の葉はすっかり数を減じ、時折、二人の攻撃がもれて、帆に穴をあけたりしていた。 瀬尾は錫杖で木の葉をたたき落とし、はしたなくスカートをひるがえしての炎の嵐を起こした。 「おうおう、あんまりやって天井に穴が開いちまったよ」 『あとで怒られませんかね』 ガルバリュートは果敢にも船体に体当たりして、その筋肉で船を止めようとしていた。 灰人は船上から姿を現し、地上で闘いを続けるロストナンバーに誰何した。 「キャンディポットはどうなりました? 彼女は無事ですか? 捕虜との交換でしたらこれで撤退しないでもありません」 「なめてんのか貴様ぁ! 死ね、裏切り者!」 フレームグライドはギアの腕輪を起動し、怒りの超新星バーストを放った。光と熱の奔流は射線上の木の葉は蒸発させ、コンダクターに過ぎない灰人を容赦なく貫いた。 血反吐を吐いてうずくまる牧師に瀬尾が応じる。 「なにを言っているんだい。キャンディポットを始末したのはあんたらでしょ。そこのアマリリスと一緒で爆弾で吹っ飛んださ。あたしはあんたの差し金だと思っていたんだけどね」 灰人は大仰に身をよじると残りわずかな命を消費し、コケの首根っこをつかんで転移した。 取り残されたバイキング船は四方八方に砲撃を行いながら突き進む。 「ぎゃおぉおおおおおおおお!!!」 フレームグライドが吼える。 全ての変身を解除、全長15mの赤竜に戻ってブレスを吐いた。ここにきて、帆は完全に消し飛んだ。 すると軽く浮き上がったバイキング船はがくんと船首を下げ、砕氷船のように船首が講堂の床に打ち付けられる。さしものガルバリュートもこれを支えようとはしなかった。木と石がぶつかり合う異音がした。 「なんの」 再度鳴動し、浮き上がり、落下。 ついに講堂は床が割れバイキング船は破片と共に沈降していった。傾いた床から傷ついた旅団兵達が滑り落ち闇へと消えていった。 † 世界図書館中央閲覧室 この大部屋には世界計と言う摩訶不思議な装置が安置されている。 階層世界のバランスを計測する機械であり、竜星の戦いでも使われた。真鍮のからくり仕掛はこの騒動の中でも静かに動いている。 灰人はその脇に出現した。 「キャンディポットを娘のように思っていました。彼女が死んだなら、せめて彼女の願いを継いで世界を滅ぼしましょう」 ロザリオを掲げ、レーザを放つ。が、世界計に触れるかになやのところで光は雲散霧消した。所詮は図書館から与えられたトラベルギア。図書館を害することはできない。 「主よ。なぜこうまでして私を愚弄するのです!」 満身創痍の灰人はコケに覆い被さるようにもたれかかり、やがて力尽きると滑り落ちるように冷たい床に転がった。 遠くにあった戦いの喧噪が、近づいてくる。 天井を割り、バイキング船が降下してくる。無数の構造物が落下し、本と言う本が雪崩を起こして崩れる。世界図書館の破滅の光景である。 赤竜フレームグライドはマストにしっぽを巻き付け、船の勢いをどうにか止めようとしていた。 「ヴオォォオォォオォォー!」 甲板にブレスを斉射するが世界樹から作られた船の表面を軽く焦がすのみである。本が紙が舞い上がり火がつく。 「世界樹はナナカマド製なのかい。もっと燃えやすいものだと思っていたよ」 瀬尾のモロクとヴィネアも船縁に張り付いている。 そして、バイキング船は総重量そのまま、世界計に押加した。 圧倒的な重量と世界樹の力により、ギアの前では無傷だった世界計は圧壊した。七色の光がほとばしり、真鍮の部品が消し飛び、ガラスが砕ける。ぜんまいとバネがはじけ飛んだ。割れた部品達の断面からは世界の煌めきがこぼれ、粉砕されたガラスは虹色に輝いた。流れ溢れる宝石たちは互いにぶつかりこすれあい天上の響きと共に彼方へとを飛び散っていった。 ここまで追ってきたツーリスト達はヴォロスとインヤンガイとモフトピアと壱番世界と……自らの故郷幻視した。 ――連合軍の仲間が! クソッ! ――ハウレス! 街はまだあたしのことを覚えているって言うのか ――我が姫様! ――ふふ、懐かしい我が城よ
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