オープニング


「『トレインウォー』への参加、お疲れさまでした」
 リベル・セヴァンが、旅人たちに向かって言った。
「みなさんの協力を得て、無事、ディラックの落とし子の撃破に成功しました。ですが――」
 彼女の指が、導きの書のページをめくる。
「ディラックの落とし子は、侵入した世界内の存在に影響を与え、変質させていきます。私たちが到着する以前に、すでに同地の野生動物たちが落とし子の影響で変異してしまっていました。大半は『トレインウォー』の過程で駆逐されましたが、いくつかの群れがまだ同地に健在のようです」
 すなわち、もともと大雪山系に生息していた北海道の野生動物――ヒグマやキタキツネ、エゾシカといった生き物たちが、ディラックの落とし子の影響で変異し、まったく別の、本来は壱番世界に存在するはずのない怪物になってしまったらしい。
 変異した生物をもとに戻す方法はない。これらを放置しておけば、現地住民に被害が出ることも予測される。残念だが、すべて駆逐するしかないのだと司書は告げた。
「私たち世界司書が、それぞれの居所を特定する作業を行いました。数名ずつのチームに分かれて、対処を行います。『北海道遠征』の残務処理となりますが……、今しばらくおつきあい下さい。どうぞよろしくお願いします」



「ここの皆さんに担当していただくのは、怪物化した熊三頭です」
 それぞれ冬眠に入っていたところに影響を受け怪物化し、主に三頭で行動しているのだという。
 内二頭はオス、一頭はメス。
 オスは腕力に優れ爪の鋭く伸びたものと、巨体に似合わぬ素早さとキリのように尖った牙を持つものが居る。
 メスはスピードも攻撃力もオス二頭の中間といったところだが、どうやら腹に居た子供と共に影響を受けたらしく、腹部には小さな……しかし鋭い牙を持つ口が三つ付いていた。
「メスの攻撃方法は両腕で敵を羽交い絞めにし、腹部の三口で噛み付くといったものと通常の打撃、そして自らの口での噛み付きです」
 リベルは続ける。
「場所は枯れ木と雪に囲まれた所で、木に葉もなければ地面に草も生えていませんので、遮蔽物はほとんどありません」
 隠れて何かをする、というのには向いていない場所だが、逆に敵を発見しやすいという利点もあるだろう。
「ただし積もっているのは柔らかい雪なので、足場は良いものとは言えないでしょう。また、途中から雪が降ってくる可能性もあるため、そうなると視界も悪くなります」
 熊はというと視覚よりも感覚を頼りに動いているのか、その辺りの影響は受けないそうだ。
 くれぐれもご注意を、とリベルは何かを宣告するように言った。

「ああ、それと」
 ふと思い出したかのように言う。
「残務処理のお詫びといっては何ですが、観光の許可が出ています」
 行き先は……とリベルは資料を目で追う。
「函館市にある展望台ですね。向かうのは夜になると思いますが、美しい夜景が有名なところなのでこっちの方が良いでしょう」
 そこへ向かう途中、何か食べ物や温かい飲み物を買っていっても良いかもしれませんね。
 リベルは成功を願いながら、そう付け加えた。

管理番号 b04
担当ライター 真冬たい
ライターコメント
初めまして、ロストレイルよりお世話になることとなりました真冬たい(まふゆ ‐ )と申します。

今回は熊三頭との戦闘+展望台での夜景を見る、という形になりますが、戦闘がメインになります。
熊は三頭一緒に行動しており、一頭見つければ残りも近くに必ず居ます。
戦闘時は三頭同時に一人のロストナンバーを攻撃してくる、という状況になることもあるため、作戦を組む際はお気をつけください。
ちなみに熊の外見を多めに残していますが知性は低く、以前と同じ生態(好物や弱点等)もしておりませんので、ご注意を。

それでは皆様のご参加をお待ちしております。

参加者一覧
リュカオン・リカントロープ(cuca6115)
オルグ・ラルヴァローグ(cuxr9072)
サユリ(czwz4403)
雪深 終(cdwh7983)
ナタりー・斉藤(cfeb4920)
コレット・ネロ(cput4934)

ノベル


 獣達は暖かくなるのを待ち始めたばかりだった。
 秋の実りを沢山体に蓄えて、寒くても子を産み育てられるように。

 しかしその獣達はなぜか寒い寒い外に居て、その身を変化させつつある。
 ディラックの落とし子の影響を受けた、異質な体へと――。


 積雪の上へと降り立った一行。
 前に立って自己紹介を始めたのはサユリだった。
「初めまして、サユリと申します。寒さに強い方がいるのは心強いわね」
 気温は低く、何も防寒対策をしてこなかったら素早い行動は出来なかっただろう。
 オルグ・ラルヴァローグは靴底にスパイクを取り付け、サユリと雪深 終は雪靴にかんじきを装着している。かんじきはもちろん雪を上を歩くための輪かんじきだ。
 終からかんじきを受け取りつつ、ナタりー・斉藤は吹きすさぶ冷風にぶるりと身を震わせた。
「うう、寒いのキラーイッ」
 彼女も厚手の靴下にファーの付いたジャケット、その下にセーターを着込んでいたが、さすがに寒さが堪えるらしい。
「雪が本格的に降り出す前に見つけなきゃ……」
 コレット・ネロが白い息を吐きながら辺りを見回す。
「とりあえずこの近辺を見て回ろうか」
 そのリュカオン・リカントロープの発言により、準備を整えた一行は変異した熊達を探しに枯れ木の間を進み始めたのだった。

 熊は三頭一緒に行動している。
 ならばこちらもあまり離れない方が良いのではないか、というサユリの提案により、六人は離れても互いの姿が目視出来る距離までと決め、それぞれ考えて熊を探し始めた。
 オルグの後ろをついて行くのはコレットだ。
「後ろについて来るのはいいが、いきなり尻尾掴んだりするのは止してくれよ?」
「じゃあ、了解取ったら触ってもいい?」
 そう悪意の無い顔で聞かれ、オルグは唸りながら頭を掻く。
「と、とにかく尻尾は依頼が終わってからにしてくれ」
 はいっ、と良い返事をするコレット。
 ちなみに二人は先日のトレインウォーで知り合った仲だ。車内でも思わぬ再会に双方驚いたところである。
 オルグは自らの嗅覚を活かし、辺りに熊のにおいがしないか探る。空気が冷たいため鼻が少々痛いが、きちんとにおいの判別は出来そうだ。
 コレットも一緒に探しながら、たまにオルグから離れて調査を行った。
「ここも確認終わりっと」
 目印にと枯れ木に赤いリボンを結んでゆく。
「……早くした方がいいみたい、かな」
 翳る視界にふと空を見上げると、そこには空を覆う真っ黒な雲が浮いていた。

 狼の姿へと変身したリュカオンは、彼の隷種である冥牙を連れて嗅覚を頼りに熊を探す。
 この三つ目を持つ狼の姿をした冥牙は名をノーナクリスといい、元は彼の妻であった。
 しかし今は思考も獣のそれで、リュカオンを強い冥牙と認識し従っている存在である。
 においを拾いながら時折顔を上げ、仲間との距離を確認する。見た限り良い感じに距離を保ちつつバラけているようだ。
 その時ざくざくざくっ、という音が耳に入った。
 ……音の主は、先ほどまで寒がっていたのが嘘のように雪を踏み鳴らし走り回るナタりーだった。
「もう大丈夫なの?」
「うん、動いてたら温まってきたっ!」
 隣を歩き彼女のことを心配していた子供好きのサユリだったが、杞憂で済んだようだ。
「それじゃあ……鞠」
 サユリはオウルフォームになったセクタンを呼び寄せ、その瞳で高い位置から周囲を見渡す。
 葉のほとんど付いていない木が沢山見える。寒々しい光景だった。
「あっ、動物はにおいに敏感っておじいちゃんが言ってたから、風上には行かないようにしよ?」
「それもそうだわ、ここはどうかしら?」
 ナタりーの言葉にサユリは風向きを確かめる。
 自分達が来た方向、そして向かう方向から考えると、とりあえずここは風下らしい。
「大丈夫そうね、でも……」
 風の吹く方向はいつ変わるか分からないものだ。
 急いだ方が良いだろう――サユリとナタりーも離れすぎないよう注意をしつつ、着実に前へと進んでいった。

 その頃、終も同じく風向きを気にかけていた。
 自分は雪混じりの風ならば対処出来るが、全員が同じように対処することは難しいだろう。なるべく不安要素は無くしておきたい。
 風は今のところ行動出来なくなる程酷いものではないようだ。
 それを確認した終は、風向きを調べてから熊捜索を再開する。
「雪……。降ってきたか」
 ふわりと視界を横切り、肩に乗ったそれを指で掬い取って呟く。
 ちらほらとしか見えなかったそれは次第に増えていき、静かに静かに地面へと積もっていった。
 柔らかな大きい雪だ。積もっても長持ちはしないだろうが、今は何より視界を遮るため困る。
「……!」
 風を操って雪を払いつつ視線を巡らせる終の耳に届いたのは、何者かが低く唸る声。
 しかも一つではない。
 声を主を探そうと目を走らせた瞬間、オルグの仲間を呼び寄せる咆哮が辺りの空気を揺らした。


 咆哮のした方角、その上空にはトラベルギアで描き出した翼を背に付けて飛ぶコレットの姿があった。
「先頭にメスの熊が居るわ。オスの熊二頭は左右に分かれていて、右が三メートル先……左が五メートルくらい先!」
 空から確認出来る情報を皆に伝えてゆく。
 声が届くか心配な位置に居る仲間には、羽ペンでメガホンを描いてそれを使用した。
「一番近いのはメスか!」
 オルグはトラベルギアの片方、月輪を牽制のために振るう。
 魔力を込められた月輪からは光の刃が迸り、メスの熊目掛けて一直線に走っていった。
 突然現れ放たれたそれに驚き、熊は思わず動きを止める。こちらを敵と認識はしているようだが、得体の知れぬ力を使う奴らだと警戒しているようだ。
 その間にバラけていた仲間全員が合流する。
「考える時間をあまり与えない方が良いな。……皆」
 終が振り返り、仲間達の顔を一瞥した。
「俺が気を逸らせるから、その間に行動してくれ」
「よし、わかった」
「わかりました」
 攻撃の準備をする皆を確認し、終は雪の混じった風を操って熊に近い位置にある木の枝を折る。
 枝といっても大小様々で、それらはボスッ、バスッ、という音をさせながら雪の上に落ちた。
 その方向にも何か居ると思ったのだろうか、熊がにおいを嗅ぎ取ろうと顔をそちらへ向ける。
「ガアァッ!!」
 そこへ狼姿のリュカオンが飛び掛った。
 右側に居たオスの熊の足に噛み付くと、肉を引き裂くように頭を左右へと振る。
 熊は悲鳴のような声をあげ、血走った目でリュカオンを見ると鋭い爪を振りかざした。
「痛いのには慣れちゃいないようだな!」
 近寄ったオルグが日輪でその爪を止める。固い――が、押し戻されることはない。
 それでも尚攻勢を緩めない熊は、もう片方の爪をリュカオン目掛けて突き出す。
 爪はリュカオンの脳天を貫いた……かのように見えた。
「お、驚かせるな!」
「先に言っておくべきだったかな?」
 己の体を霧散化し、人間の体で再度現れたリュカオンはオルグにそうおどけてみせる。
 虚をつかれたような顔をしていた熊だったが、その攻撃の矛先をオルグへと変更してきた。
「諦めが悪いね」
「俺らで諦めさせてやろうぜ!」
 オルグが双剣で爪を薙ぎ払い、眉間に向かって剣を突き出すのと同時に、リュカオンがトラベルギアであるリードを鞭のようにしならせ、熊の胴体をしたたかに打ち付ける。
 回避の判断が遅れた熊は、その眉間に深々と剣を突き立てられ白目を剥いた。

 トラベルギアのフルートを片手に持ったナタりーは、その小さな体を活かして気付かれないようにメスの熊へと近づく。
 どうしても身を隠せそうな凸凹が無い時は自力で作った。雪は柔らかく、多少の地形の変化なら自分で出来る。
「つめたーい……っ」
 手は冷えてしまったが。
 ある程度の距離まで近づくとナタりーはスゥっと息を吸い込み、眠れ、動きを止めなさい、という思いを込めてフルートを奏でる。
 メスの熊はその音に反応を示し、とろんとした表情になると動きを止めた。――しかし。
「ナタりーさん、まだよ!」
 上空からコレットの声が飛ぶ。
 見れば腹の三口が今にも吠え出しそうな勢いで動いていた。発声器官は付いていないのか実際に声は出ていないが、恐ろしい光景である。
「あの口の元はお腹の中の赤ちゃん……だから音がちゃんと届いてないんだ!」
「ナタりーさんっ!」
 三口が母体の体を動かしているかのように、メスの熊が走り出す。
 ナタりーと熊との間に割って入ったサユリは指輪から出した光の鞭を一閃させた。
 それはメスの熊の足に当たり、雪を撒き散らせながらうつ伏せに倒れこんだ。
「可哀想に……。お腹の子供まであんな怪物にされて……」
 変異した動物はもう元には戻らない。
 それが腹の中に居た子供でも、だ。
「……」
 サユリは呼吸を整えると、なるべく痛くないように……と光の鞭を振り下ろした。


 残るは一頭。キリのように尖った牙を持つオスの熊だ。
「素早いとは聞いてたが……これはキツいなッ」
 熊の大振りな攻撃を受けながらオルグが苦しげな声を出す。
 確かに大振りな攻撃が多いのだが、その後に隙を見せる間も無く素早く次の行動へと移ってくるのだ。
 オルグも途中から攻勢に回られ、今は守りに徹するしか対応出来ない。
「なんとか動きを止められれば……ぬっ!?」
「オルグさんっ!」
 逆に隙を突かれそうになり、血を見ることを覚悟したオルグの前へコレットが躍り出る。
 コレットは攻撃を受け吹き飛ばされたが、慌てて駆け寄ってきたオルグのことを逆に心配した。セクタンの護りのおかげである。
「今日はヒヤヒヤさせる奴が多いぜ……!」
「だ、大丈夫ー?」
 駆け寄ってきたナタりーにコレットが頷く。
「しかし……そろそろ吹雪のようになってきたね」
 リュカオンが熊の一撃を受け止め、目に入りそうになる雪に苦々しい表情をする。怪我など気にせず攻勢に回ることが出来るが、視界が悪いのは色々と面倒だ。
 一方の熊はというと多少動きは鈍っているが、そもそも繰り出す攻撃も本能に近いのか雪など気にしていない。
「でも命中率は確実に下がっているわね……」
「疲れてきたんだろう。……こっちも、だがっ!」
 サユリにそう返したオルグが気合を入れて牙を弾き返し、剣を一閃させるが舞ったのは毛だけだった。
 と、その瞬間吹雪く方向が突然変わった。
「自然は扱いにくいね」
「まったくだっ」
「これはあの熊にも味わってもらわないとな」
 終が周囲の雪と風を操り、それらをそのまま熊へと叩きつける。
 それと同時に熊が鳴き声をあげた。足が凍てついて使い物にならなくなったらしい。
 しめたと終、オルグ、サユリ、リュカオンらが飛び出し、それぞれの武器を振り下ろす。
 それが当たる直前にナタりーのフルートから音楽が流れ、興奮状態にあった熊を沈めた。

 ――ズズゥン!!

 地響きをさせ、熊は突っ伏すように倒れた。
 ロストナンバー達は誰にともなく呟く。
「終わった……」



 展望台のある場所まで移動すると雪も無く、所々に黒い雲が見えるだけだった。
 夜景の暗い部分と比べると、空の方が夜でも青いことがよく分かる。
 白や黄、橙、緑といった光は孤立したり列になったりしながら奥に見える山々まで続いていた。

「気にすることはないさ」
 リュカオンは熊の牙や爪により負った傷を手で覆い隠し、視線をこちらへ投げ掛ける冥牙――妻を撫でる。
「それよりデートを楽しもう。ほら、あの動いている光は船か何かかな?」
 緩やかな風を受けながら指をさすと、冥牙もその先を追って見る。
 たまに見たこともないような鉄の塊が点滅しながら空を横切り、それに対しても目を丸くした。
「……寒くない?」
 声をかけてから寄り添い夜景に視線を戻す。
 こうしてリュカオン達は他愛もない話をしながら、二人のひと時を過ごしたのだった。

 黒いフードを目深に被り、オルグは夜景を眺めていた。
 と、顔の真横に突然温かなものが現れた。
「差し入れよ」
「おお、ありがとよ」
 コレットからココアを受け取り、一口飲んでからふうと息をつく。
 その隣で何やらもじもじとしているコレット。
「どうした?」
「あの、ね……これからオルグさんのこと、お兄ちゃんって呼んでもいい?」
 思わずココアを噴き出しかけるオルグ。
「お、お兄ちゃんだって?ははっ、お前ってヤツはホントに物好き者だな?」
「そ、その、オルグさんみたいな人がお兄ちゃんだったら、きっと幸せだったと思うから……」
 オルグはコレットの頭をわしゃわしゃと撫でる。
「いいぜ、そう呼びたいなら。お前のお兄ちゃんがこんな狼男でも構わないなら、だがな」
 ぱあっと嬉しそうな表情をするコレット。
 そうしてありがとうと言うより先に体が動いて、いつの間にか抱きついていた。

 サユリは屋台で色々と買ってから展望台へと上る。
 やっと着いた展望台からは噂通り夜景を一望出来た。
「ふふ……私のいた時代とはずいぶん変わっているのね」
 サユリは壱番世界の出身だが、ロストメモリーとなったのは大正時代である。
 その頃と比べるとここはまるで異世界のようだったが……サユリにとっては、やはり故郷だった。
「ああ……綺麗」
 手すりにもたれ掛り、思わず呟いて目を細めた。
 この美しい光景の中に、沢山の生き物が暮らしている。
 どうか、この世界が壊れてしまいませんように……。
 そう心の中で祈り、サユリはコートの前をぎゅっと握った。

 展望台は高い位置にあるため気温が低い。
 そんな中、下で買っておいたアイスを口に運ぶ男が一人。
 終だ。彼は雪女半妖のため、寒さなど気に掛けることではないらしい。
「壱番世界は夜も明るいな、祭りでもしているのかと思った……」
「街中に居るともっと明るいんだよ」
 そう返したのはナタりー。旅人の外套の効果があるため怪しまれることはないだろうが、夜に子供だけでここへ来たら補導されちゃうかも……と不安がっていたところ、丁度終の姿が見えたので一緒に連れてってとお願いしたのだ。
 ちなみに無理と言われたら大人しくホテルで携帯ゲームをやるつもりだった。
 旅行先なのに携帯ゲームに夢中になる小学生の図、にならなくて良かったと胸を撫で下ろす。
「それは眩しそうだ。……」
 終は夜景をじっと見つめる。
 山から見る人里の灯り。
 それは相変わらず遠いが、今は仲間が居る。一人ではない。そう思うとなんだか感慨深かった。


 夜景は見る人によっては冷たく映る。
 しかしロストナンバー達の瞳に映ったそれは――とても、温かい光を放っていた。

クリエイターコメント ご参加ありがとうございました!
三頭も居るため熊を倒すのに字数がかかってしまいましたが、無事に全て倒せて何よりです。
激しい戦闘の後、夜景で皆様が癒されていれば……と思います。

この度は素敵なご縁をありがとうございました。これからもよい旅を!

ページトップへ

螺旋特急ロストレイル

ユーザーログイン