オープニング

 カチ、カチ、カチ……

 どこかで歯車の音がする。機械が規則正しく動く音だ。
 あるいは、それは『世界』そのものが立てる音だったかもしれないが。

 バイキング船――ノエル叢雲の甲板から、三日月灰人は0世界の惨状を見下ろしていた。
 ナラゴニアから伸びた根がチェス盤の大地に突き刺さっている。
 ターミナルの市街地はあちこちから煙があがり、いまだ空にはナレンシフとワーム群が飛び交っていた。
 ターミナルを襲撃した第一陣はおおむね撃退されたようだ。次は図書館勢が反撃を開始するだろう。おそらくはロストレイルを用いた、ナラゴニアに対するトレインウォー。

 灰人の意識は奇妙に静謐だった。
 苛烈な憤怒はまだ渦を巻いているのに、どこか他人事のような自分もいる。
 全身を満たす不思議な全能感。今の自分に不可能があるように思えなかった。

「さて」
 園丁の組織をむりやり移植され、ノエル叢雲の制御装置となっているコケに灰人は話しかける。ほかに聞いてくれるものはいないからだ。
「どうしましょうか。クランチたちに代わって、私がターミナルを滅ぼしましょうか」
 チャイ=ブレをも殺し、世界図書館を完全に壊滅させる。
 戦いは旅団の勝利に終わる。
 世界樹は予定通り壱番世界を吸収するだろう。
 灰人はドクタークランチに代わり、世界樹旅団における特別な地位が約束されるに違いない。

「それとも……『世界樹』を滅しますか」
 もとよりあれに従う義理などなかった。
 世界樹を倒せば旅団は瓦解する。図書館はどうするだろう。灰人に感謝するのか? なんという皮肉だ。

「あるいは」
 第3の道は、このまま眼下の阿鼻叫喚をよそに0世界を離脱することだ。ノエル叢雲ならそれも可能。
 そして灰人はチャイ=ブレにも世界樹にも支配されない自由な存在としてディラックの空に漕ぎ出すことになる。
 どこか適当な世界を制圧して君臨してもいいし、そのまま虚無の中を旅し続けてもいい。

 カチ、カチ、カチ……

 どこかで歯車の音がする。機械が規則正しく動く音だ。
 あるいは、それは『世界』そのものが立てる音だったかもしれないが。

 歯車の音に耳を傾けながら、灰人は選びとる。
 なんたる数奇な運命。
 混沌の中から、新たなるものがうまれいずる、まさしくそれは聖誕(ノエル)の瞬間であった。

ご案内

図書館での戦闘で死亡するほどのダメージを受けたはずの灰人さんですが、理由はわかりませんが生存しています。コケさんを通じてノエル叢雲を支配下に置き、自身の中に圧倒的なパワーが内在しているのを感じます。

灰人さんは、これからどうしたいか、何を目指し、何を願うのか、お気持ちをお聞かせ下さい。手段については考慮の必要はありません。ほとんどの願いはかなえられます。

コケさんは、自由に動くことが難しいのでできることは限られます。心情や、助けがきた場合の行動などを中心にしたプレイングをお願いします。

!注意!
こちらは下記のみなさんが遭遇したパーソナルイベントです。フリーシナリオとして行われます。

●パーソナルイベントとは?
シナリオやイベント掲示板内で、「特定の条件にかなった場合」、そのキャラクターおよび周辺に発生することがある特別な状況です。パーソナルイベント下での行動が、新たな展開のきっかけになるかもしれません。もちろん、誰にも知られることなく、ひっそりと日常や他の冒険に埋もれてゆくことも……。
※このパーソナルイベントの参加者
・三日月 灰人(cata9804)
・森間野・ロイ・コケ(cryt6100)
※このパーソナルイベントの発生条件
シナリオ『【進撃のナラゴニア】強襲! ノエル叢雲』の結果による

このイベントはフリーシナリオとして行います。このOPは上記参加者の方のみ、参加可能です。

このパーソナルイベントは、イベント『マキシマム・トレインウォー』と連動しています。みなさんのプレイング内容は同イベントに反映されますので、このパーソナルイベントの結果は、同イベントのノベル公開をもってお知らせします。(状況によっては別のパーソナルイベントが発生しますので、合わせてご承知置き下さい。)

なお、期限までにプレイングがなかった場合、「自分の生命を守ることを優先的に、状況に応じてできる限りの行動をした」ものとします。

→フリーシナリオとは?
フリーシナリオはイベント時などに募集される特別なシナリオです。無料で参加できますが、登場できるかどうかはプレイングの内容次第です。

■参加方法
プレイングの受付は終了しました。

結果

→→→結果ノベルはこちら

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螺旋特急ロストレイル

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