オープニング

「……今、何時か………撫子?」
 視界が暗く判然とせず、反射的に想い人の名が言葉をついた。
 ねっとりと全身を包むようなけだるさ、思うように動かない体は、勧められるままに酒の摂取をしすぎたせいだろか。

 音も立てずに一人の男が近づいてくる――己と同じぐらいの上背で其の顔は――
 その顔はコタロの酔をすべて吹き飛ばし、驚愕させるに十分であった。
 顔の半分が己の映し身、そして残りの半分はデウスを型どる死の仮面。
「起きたか……多分に力が失われたようだな。人一人喰らうのにこのザマとはな」
 その口から発せられた音声はコタロのものと完全に等しく、コタロともデウスとも違う雄弁さで語る。
 驚愕の声が音にならない、それは感情だけが理由ではない。
 己の体が半分黒ずみ輪郭だけとなっていることに気づいたのだ。
「……どうした驚いたのか? 貴様らの言葉を操れてもおかしくはあるまい。……ん、違うか己の体に驚いたか。
 それはな、俺が貴様の精神を侵食しているのだ。その黒が貴様の全身を覆った時、貴様は俺に喰われる。抗っても無駄だ――この精神世界において貴様が俺と戦う手段はない。
 くく、動くことすらままなるまい」
 コタロにあるまじき雄弁さは微かな違和感を生み出すが、デウスの言葉は事実。動かせるのは色づいたままの半身のみ。
(……撫子……俺は)
「ふむ……愛情か絶望のよいスパイスだな。
 いいだろう、この姿でその女を嬲れば大層、絶望するであろうな。我が贄に相応しい」

 デウスの面が削れ、デウスの顔がコタロに少し近づく。
 それと同時にコタロの体を覆う黒い染みはさらにコタロを侵食した。

 残された時間は極わずか――


ご案内

デウスは、最後の仕掛けを残していました。
Breeder of dystopiaにおいてコタロさんの中に潜伏していたデウスの一部が、コタロさんを乗っ取り再起を図ろうとしています。
力の大半を失いながらもデウスは極めて強力な存在であり、デウスに侵食される体は徐々に自由を失っていきます。
コタロさんに残された時間はわずかです。コタロさんが応えるべき最良の選択を行ってください。

※なお、このパーソナルイベントが時系列的にどこに位置するかはあえてこのOPでは規定されていません。プレイングや、運営中のほかのカンダータのシナリオ、企画シナリオのオファーなどの状況も含め、調整されて適切に処理されます。

!注意!
こちらは下記のみなさんが遭遇したパーソナルイベントです。

●パーソナルイベントとは?
シナリオやイベント掲示板内で、「特定の条件にかなった場合」、そのキャラクターおよび周辺に発生することがある特別な状況です。パーソナルイベント下での行動が、新たな展開のきっかけになるかもしれません。もちろん、誰にも知られることなく、ひっそりと日常や他の冒険に埋もれてゆくことも……。
※このパーソナルイベントの参加者
・コタロ・ムラタナ(cxvf2951)
※このパーソナルイベントの発生条件
シナリオ『Breeder of dystopia』においてデウスに接触し、『Gotzen-Dammerung』においてデウスを討ち取った。

■選択肢
次にとりうる行動は以下のいずれかになります。

【1】デウスもろとも自爆する
符術で自分を焼殺します。この選択は失敗することがありません。
この選択を行った場合、コタロさんは死亡します。望むならばカンダータに帰属した上で死亡します。
また、このパーソナルイベントは公開されます。

【2】諦める
デウスの支配を受け入れます。この選択は失敗することがありません。
この選択を行った場合、コタロさんは行方不明になります。
また、このパーソナルイベントは公開されません。

【3】その他
事態の解決に繋がる何らかの判断を下します。奇跡的な確率で成功するかも知れません。
この選択は失敗する可能性があります。失敗した場合【2】を選んだものとして扱います。
成功した場合に限り、このパーソナルイベントは公開されます。

なお、期限までに参加者のプレイングがなかった場合、【2】を選択したものとして扱います。


■参加方法
プレイング受付は終了しました。

結果

→→→結果として次のパーソナルイベントが発生しました!


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螺旋特急ロストレイル

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