イラスト/キャラクター:晏嬰亮

オープニング

みなさん、こんにちは。世界司書のリベル・セヴァンです。

先日、『ホワイトタワー』に収監されているカンダータ軍の指揮官、ジェイル・ダンクス少佐と、アリッサ館長代理との会談が行われました。

この会談において、さまざまな情報が判明しましたが、それについては報告書をご参照いただくとして……、会談の最後に、ダンクス少佐から世界図書館に申し入れが行われたのです。それは以下のような内容でした。

「世界図書館に対し、われわれは次のことを要求する。
 すみやかに全員を解放し、カンダータまで送り届けられたい。
 この要求が受け入れられるならば、カンダータ軍インヤンガイ駐留部隊は次のことを約束する。
 一つ、『世界間移動列車・スレッドライナー』を放棄すること。
 一つ、カンダータ軍司令本部と、世界図書館の対話の場を用意すること。
 一つ、エドマンド・エルトダウンがカンダータに残した品物をすべて引き渡すこと。
 以上である」


会談でのダンクス少佐の発言に嘘がないことは確かめられています。

したがって、かれらがスレッドライナーなる装甲列車を放棄すれば、少なくとも「当面は、カンダータは異世界に侵入できない」ことになります。ただしかれらが野望を捨てないのであれば、いつかは再び移動手段を得て作戦行動を再開する可能性はあります。

もっとも、それも含めて、かれらの上層部と対話ができるなら、場合によっては、今後、カンダータをわれわれの冒険旅行の行き先として、なんらかの交流が持てるかもしれず、それは館長についてのさらなる情報に加えて、私たちにもメリットがないとは言えません。

会談の内容を踏まえて世界図書館で協議を行い、次に私たちがとりうる選択肢は、以下の5つのいずれかであろうということになりました。


【1】捕虜を解放する
ダンクス少佐の提案通り、ロストレイルでカンダータへ赴き、捕虜を解放します。少佐はカンダータ軍と世界図書館との対話の場を用意すると申し出ていますが、本当に実現できるかどうかはわかりません。

【2】捕虜は残したまま使節団を派遣する
捕虜は解放しないか、または一部のみを連れて、カンダータへ対話を目的とした使節団を派遣します。ダンクス少佐はこれを是としておらず、また相手方が歓迎してくれない可能性もあるでしょう。

【3】隠密に諜報部隊を送り込む
相手方に知られることなく、カンダータの内情を探るための部隊を派遣します。隠密行動が必要なため少数精鋭のチームを編成しますが、非常に危険な任務となります。

【4】カンダータに侵攻し、威力を見せつける
先手を打って攻撃をしかけることで、その後、継戦しないとしても、カンダータを威嚇することができます。強気な姿勢が外交上の優位につながることもありますので、一考の余地はあるでしょう。

【5】対外的には何もしない
こちらからの働きかけは行いません。捕虜はターミナルに留置します。かれらと交流を試みることはできるでしょう。もちろんカンダータ軍の暗躍への警戒は行います。


この件について、みなさんのご意見をお聞きしたいと思います。

ご案内

消えた館長を追ううち、インヤンガイで遭遇した謎の軍隊。ディラックの空での熾烈な空中戦のすえ、捕虜とした軍人たちは知られざる異世界『永久戦場・カンダータ』からやってきたものたちでした。

その指揮官・ダンクス少佐との会談において、先方から提案がありました。この提案にどう応えるか、次にとるべき行動について、世界図書館は広くロストナンバーから意見を募ることとなりました。

■参考情報
→ダンクス少佐との会談~ホワイトタワーのお茶会~
→トレインウォー:謎の軍隊大追跡

結果発表

たくさんのご意見ありがとうございました。
みなさんのご意見を集計した結果は、次のようなものになりました。

【1】捕虜を解放する57
【2】捕虜は残したまま使節団を派遣する37
【3】隠密に諜報部隊を送り込む26
【4】カンダータに侵攻し、威力を見せつける5
【5】対外的には何もしない10


捕虜の解放自体には応じる考えの人が大勢を占めましたが、「少佐の言葉に嘘がなくても、カンダータ本国が信用できるかどうかわからない」とする意見がかなりの数に上りました。また「引渡したあと、本国が捕虜をどのように扱うか(たとえば処刑するなど)」は確認したり、意見を言ったほうがいいとの声も多かったです。

そのうえで、全面的に解放するという選択については、「少佐を信じてみたい」「捕虜を抱え続けてもこちらの負担になるだけ」「カンダータ本国は捕虜を切り捨てられる戦力と考えているので、これを返してもさして先方の利益にならず、逆にこちらがおさえ続ける意味も少ない」といった理由が挙げられました。

反対に、解放を一部にとどめる理由としては、「捕虜の身分が心配」「段階的に解放することで相手の出方を見たい」など、カンダータ本国の姿勢が不明な中で慎重になりたいというものがほとんどでした。

関連する意見や提案として、「『マキーナ』なるカンダータ世界の脅威と戦う援助を申し出る」など、先方が世界図書館と友好的な関係を結びたいと考えさせるような交渉をしてはどうかというもの、カンダータに世界図書館の大使館を設置して外交を続けてはどうかというものもありました。逆に、捕虜を解放してしまったあと、もうカンダータにはかかわらないという意見もあったことを付け加えておきます。

諜報部隊を送り込むという案については、とにかくカンダータの情報をもっと集めるべき、という意見に集約され、「捕虜を解放するとしても、並行して諜報活動を行ったほうがよい」という声もありました。

カンダータに侵攻すべきという案は、「すでにカンダータとは敵対している状態にあると考えてもよい」「かれらは邪悪な勢力なので」「この問題にすみやかに決着がつけられる」といった理由で賛成がありました。

何もせずに静観するという選択については、「情報が少ないので、いったん相手の出方を待ったほうがよい」という意見が多く、全体を通してカンダータについてもっと知りたいと考えている人が多いようです。

……以上の意見を総合して、

少佐の提案を受け入れることを前提に、捕虜を連れてロストレイルでカンダータを訪問することに決定しました。

この訪問では、カンダータについての情報を得ることに重点を置きたいと思います。また、「少佐の提案を受け入れる場合でも、カンダータから奇襲を受ける可能性を考慮すべき」という意見があったことなども踏まえ、この訪問団は少数の選抜隊などではなく有志のロストナンバー多数によって行いたいと思います。

つきましては、準備が整い次第、訪問団の参加者を募り、出発したいと思います。近日中にご連絡しますので、その節はよろしくお願いいたします。


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螺旋特急ロストレイル

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