ぷるぷるぷるぷる、うようようようよ。ターミナル中にセクタンが溢れている。いつかのセクタン大発生を思い出して身構えるロストナンバーもいたが、今日は様子が違っていた。
赤と緑。リボンにリース。クラシックなアソートボックス、オーガンジーの巾着袋……。小さな体でプレゼントを抱えたセクタン達があちらこちらを行き来している。
「はー、忙し忙し」
ぱたぱたとコザクラインコが飛んで来た。白い袋を嘴にくわえ、御丁寧にミニサイズのサンタ帽までかぶっている。
「プレゼントの配達ですねん」
何をしているのかと問うと、コザクラインコ――世界司書ホーチからはそんな言葉が返ってきた。
「プレゼント交換の話、知ってまっか? ほんまならセクタンが運ぶ筈でしてんけど……ぎょうさんプレゼントが集まってもうて、人手が足りん言われましてなぁ」
大人が抱えて運ぶほどの箱を神輿のように担いだデフォルトセクタン達が通り過ぎて行く。とてとてとした足取りは非常に危なっかしい。案の定、隊列の先頭のセクタンがこてんと転倒し、ドミノのようにばたばたと全員が倒れていった。
「……とまぁ、さっきからこの調子なんですわ」
短い手足をばたつかせるセクタン達を助け起こしながらホーチは溜息をついた。
「この分ですと配達が終わるかどうか分かりまへん。みぃんな楽しみにしてまっさかい、早く届けたいんでっけど。もし良かったらちぃと手伝ってもらえまへんか?」
放っておけば、大量に駆り出されたセクタンがまだ配管に詰まらないとも限らない。この多忙な夜にセクタンが詰まろうものなら、世界図書館の事務方はメリークリスマスならぬメリークルシミマスな一夜を過ごすことになる。
「プレゼント配りの後はメッセージカードを回収しますー。ま、贈り主へのお礼の手紙でんな。よろしかったら一緒にいかがでっか?」
カードは希望があれば相手方に配達するが、そうでない物は世界図書館ホールの特設コーナーに掲示するという。プレゼントのお礼とはいえ面識のない相手にいきなりメッセージを送ることを躊躇う向きもあるだろう。
「プレゼント交換に出す予定の品があったらここで受け付けまっせ。お気軽にお申し付けくらはい。ほな~」
ギチチチッと鳴き、インコはよたよたと飛び立った。プレゼントの重さもあるだろうが、コザクラインコはそもそも機敏に飛べる鳥ではない。
ターミナルに夜が来る。ちらちらと降り出す雪の中、カラフルなセクタン達がプレゼントを配って歩く。
ある者は窓辺に身を乗り出し、ある者は建物の外に出て、皆がプレゼントを待っている。
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!注意!
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