オープニング

 ぷるぷるぷるぷる、うようようようよ。ターミナル中にセクタンが溢れている。いつかのセクタン大発生を思い出して身構えるロストナンバーもいたが、今日は様子が違っていた。
 赤と緑。リボンにリース。クラシックなアソートボックス、オーガンジーの巾着袋……。小さな体でプレゼントを抱えたセクタン達があちらこちらを行き来している。
「はー、忙し忙し」
 ぱたぱたとコザクラインコが飛んで来た。白い袋を嘴にくわえ、御丁寧にミニサイズのサンタ帽までかぶっている。
「プレゼントの配達ですねん」
 何をしているのかと問うと、コザクラインコ――世界司書ホーチからはそんな言葉が返ってきた。
「プレゼント交換の話、知ってまっか? ほんまならセクタンが運ぶ筈でしてんけど……ぎょうさんプレゼントが集まってもうて、人手が足りん言われましてなぁ」
 大人が抱えて運ぶほどの箱を神輿のように担いだデフォルトセクタン達が通り過ぎて行く。とてとてとした足取りは非常に危なっかしい。案の定、隊列の先頭のセクタンがこてんと転倒し、ドミノのようにばたばたと全員が倒れていった。
「……とまぁ、さっきからこの調子なんですわ」
 短い手足をばたつかせるセクタン達を助け起こしながらホーチは溜息をついた。
「この分ですと配達が終わるかどうか分かりまへん。みぃんな楽しみにしてまっさかい、早く届けたいんでっけど。もし良かったらちぃと手伝ってもらえまへんか?」
 放っておけば、大量に駆り出されたセクタンがまだ配管に詰まらないとも限らない。この多忙な夜にセクタンが詰まろうものなら、世界図書館の事務方はメリークリスマスならぬメリークルシミマスな一夜を過ごすことになる。
「プレゼント配りの後はメッセージカードを回収しますー。ま、贈り主へのお礼の手紙でんな。よろしかったら一緒にいかがでっか?」
 カードは希望があれば相手方に配達するが、そうでない物は世界図書館ホールの特設コーナーに掲示するという。プレゼントのお礼とはいえ面識のない相手にいきなりメッセージを送ることを躊躇う向きもあるだろう。
「プレゼント交換に出す予定の品があったらここで受け付けまっせ。お気軽にお申し付けくらはい。ほな~」
 ギチチチッと鳴き、インコはよたよたと飛び立った。プレゼントの重さもあるだろうが、コザクラインコはそもそも機敏に飛べる鳥ではない。

 ターミナルに夜が来る。ちらちらと降り出す雪の中、カラフルなセクタン達がプレゼントを配って歩く。
 ある者は窓辺に身を乗り出し、ある者は建物の外に出て、皆がプレゼントを待っている。


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!注意!
パーティシナリオでは、プレイング内容によっては描写がごくわずかになるか、ノベルに登場できない場合があります。ご参加の方はあらかじめご了承のうえ、趣旨に沿ったプレイングをお願いします。
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品目パーティシナリオ 管理番号1104
クリエイター宮本ぽち(wysf1295)
クリエイターコメント※プレゼント交換イベントとの整合は気にしない方向で参りましょう。
プレゼント交換とリンクしたプレイングも歓迎ですし、そうでないプレイングも歓迎です。

パーティーシナリオのご案内です。
サンタさんが腱鞘炎にならないように、みんなでプレゼント配りを手伝いましょう。

以下のうちからひとつかふたつを選んでプレイングをかけて下さい。
行動が複数にまたがった場合、どちらかひとつをメインにすることをお勧めいたします。

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【1】プレゼント交換に参加する
何を贈るか・何を受け取ったか、お書き下さい。
良かったら、プレゼントに込めた気持ちやプレゼントを受け取った時の反応などもお聞かせ下さいね。

【2】配達を手伝う
サンタさんになってプレゼントやメッセージカードを配達しましょう。
能力や手作業で配達を手伝うのも良いですし、セクタン部隊を指揮して能率的に配達させるのもアリです。

【3】プレゼントの贈り主にメッセージカードを送る
貰ったプレゼント・お相手のお名前・お相手へのメッセージを書いて下さい。
この選択肢では、カードはお相手に直接配達されるものとして描写されます。

【4】プレゼントの贈り主にメッセージカードを書き、図書館ホールに掲示する
貰ったプレゼントとお相手へのメッセージ、必要ならお相手のお名前を書いて下さい。
この選択肢では、カードはお相手へは配達されず、図書館に掲示されます。お相手が図書館ホールを見てあなたからのメッセージに気付くことがあるかも知れないし、ないかも知れません。

【5】その他
上記四つに当てはまらない行動はこちらです。
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プレイング日数はいつもより短めです。ご注意ください。
それでは、聖夜の配達に出かけましょう。

参加者
サシャ・エルガシャ(chsz4170)ロストメモリー 女 20歳 メイド/仕立て屋
スイート・ピー(cmmv3920)ロストメモリー 女 15歳 少女娼婦
相沢 優(ctcn6216)コンダクター 男 17歳 大学生
坂上 健(czzp3547)コンダクター 男 18歳 覚醒時:武器ヲタク高校生、現在:警察官
ファーヴニール(ctpu9437)ツーリスト 男 21歳 大学生/竜/戦士
ボルツォーニ・アウグスト(cmmn7693)ツーリスト 男 37歳 不死の君主
山本 檸於(cfwt9682)コンダクター 男 21歳 会社員
アインス(cdzt7854)ツーリスト 男 19歳 皇子
ツヴァイ(cytv1041)ツーリスト 男 19歳 皇子
スタンリー・ドレイトン(cdym2271)コンダクター 男 52歳 実業家
ルーク(ceyt9597)ツーリスト 男 19歳 キックボクサー
虎部 隆(cuxx6990)コンダクター 男 17歳 学生
ヘルウェンディ・ブルックリン(cxsh5984)コンダクター 女 15歳 家出娘/自警団
エレニア・アンデルセン(chmr3870)ツーリスト 女 22歳 伝言師(メッセンジャー)
シーアールシー ゼロ(czzf6499)ツーリスト 女 8歳 まどろむこと
キリル・ディクローズ(crhc3278)ツーリスト 男 12歳 手紙屋
コレット・ネロ(cput4934)コンダクター 女 16歳 学生
グラバー(cdhz9123)ツーリスト その他 24歳 恒星間配達人
ハギノ(cvby1615)ツーリスト 男 17歳 忍者
エドガー・ウォレス(cuxp2379)コンダクター 男 39歳 医師
ヌマブチ(cwem1401)ツーリスト 男 32歳 軍人
オルグ・ラルヴァローグ(cuxr9072)ツーリスト 男 20歳 冒険者
トリシマ カラス(crvy6478)コンダクター 男 31歳 専属画家
ハクア・クロスフォード(cxxr7037)ツーリスト 男 23歳 古人の末裔
カナン(cvfm6499)ツーリスト 男 10歳 ユニコーン
アルジャーノ(ceyv7517)ツーリスト その他 100歳 フリーター
ロディ・オブライエン(czvh5923)ツーリスト 男 26歳 守護天使
ロジオン・アガンべギャン(cyzz6000)ツーリスト 男 29歳 配達人
ディーナ・ティモネン(cnuc9362)ツーリスト 女 23歳 逃亡者(犯罪者)/殺人鬼
リーミン(cawm6497)ツーリスト 男 11歳 高所清掃
ハーデ・ビラール(cfpn7524)ツーリスト 女 19歳 強攻偵察兵
レオンハルト=ウルリッヒ・ナーゲル(chym3478)ツーリスト 男 36歳 喪服の旅人
カルム・ライズン(caer5532)ツーリスト 男 10歳 魔道機器技術士見習い
日和坂 綾(crvw8100)コンダクター 女 17歳 燃える炎の赤ジャージ大学生
湊晨 侘助(cfnm6212)ツーリスト 男 28歳 付喪神
雪峰 時光(cwef6370)ツーリスト 男 21歳 サムライ
ワード・フェアグリッド(cfew3333)ツーリスト 男 21歳 従者
ベルゼ・フェアグリッド(csrp5664)ツーリスト 男 21歳 従者
三日月 灰人(cata9804)コンダクター 男 27歳 牧師/廃人
ドナ・ルシェ(cfzc7489)ツーリスト 女 10歳 郵便配達手伝い
蓮見沢 理比古(cuup5491)コンダクター 男 35歳 第二十六代蓮見沢家当主
芦野 智久(cpaa6553)コンダクター 男 27歳 研究者
オペラ=E・レアード(cdup5616)ツーリスト 女 24歳 影狩り、付喪神
深山 馨(cfhh2316)コンダクター 男 41歳 サックス奏者/ジャズバー店主
虚空(cudz6872)コンダクター 男 35歳 忍べていないシノビ、蓮見沢家のオカン
ティリクティア(curp9866)ツーリスト 女 10歳 巫女姫
村山 静夫(csrr3904)ツーリスト 男 36歳 ギャング
石川 五右衛門(cstb7717)ツーリスト 男 39歳 海賊
佐井藤 直(cetc3321)コンダクター 男 26歳 会社員
ロウ ユエ(cfmp6626)ツーリスト 男 23歳 レジスタンス

ノベル

 ヌマブチは戦場に臨む指揮官の如き峻烈さで周囲を睥睨した。
「大きな荷物は全員で担ごうとするな。一人……いや、一体か? まあいい、一人は担がず、箱の上から周囲を確認し足となる者達へ指示と合図を出せ。足を担う者達はその合図に従って動け、足元はよく確認するように」
 きびきびと部隊を回りながら指示を下していく。真剣に。大真面目に。何だかとても生き生きしているが、相手はセクタンである。
「そらよっと」
 村山静夫はセクタン達にサンタ帽をかぶせて回っていた。
「プレゼント配るんならこれが無きゃな。……俺がかぶったら、クリスマスの雰囲気が台無しだろ……」
 何せ静夫はワシ怪人である。
「乗りな。目的地に着いたら出番だぜ。頑張っているところを見せてやりな」
 セクタンを抱え、優しきオジロワシは上空へと飛び立って行った。
 残されたセクタン達の中で銀糸の髪が凛と揺れる。
「人生は一期一会で、今起きていることが全て等しく運命なのです」
 銀の瞳がゆっくりと開かれる。今、シーアールシー ゼロが目覚めようとしている。
「すなわちゼロが出会う全てのセクタンは、是れ皆ゼロの運命のセクタンなのです!」
「あ、ごめん」
 ぼよーん。アカカンガルーのルークが蹴飛ばしたセクタンがゼロの後頭部にヒットした。
「こうしてぶつかったのも何かのめぐり合わせなのです。セク五郎さん、セクリーナさん」
 名前で呼びかけながら迫るゼロ、ぷるぷると後ずさるセクタン。ゼロにセクタンの個体判別はできないのだが、細かいことはどうでもいい。
「お手伝いするのです、セクタウロスさん。大きい物はゼロが運ぶのです」
「大きいの、おれも運ぶよ」
 ぴょんこぴょんこ、プレゼントを抱えて跳躍するルークにセクタン達がぷるぷると震える。今しがたカンガルーの脚力を見せ付けられたばかりだ。
「あ、セクタン、邪魔……やっぱり」
 ぼよーん。またしてもルークの脚に蹴飛ばされ、プレゼントを担ぐセクタン部隊がばらばらと崩壊した。
「ごめん。おれは、おれのペースで運ぶから」
 セクタン達を助け起こし、ぴょんこぴょんこと去っていく。だらだらと隊列を組み直すセクタンたちの姿にヌマブチの眼(まなこ)がぎらりと光った。
「コラそこ! きびきび動け!」
「ご、ごめん」
 ヌマブチの叱咤――よく通る声である――でトリシマカラスは我に返った。言えない。セクタン達の姿に和んで手が止まっていたなどとは。
「ちゃいまっせトリシマはん。ヌマブチはんはセクタンたちに言ったんでっせ」
 ぱたぱたとやって来た世界司書ホーチがカラスの頭上でホバリングした。
「そうだったのか。びっくりしたよ」
「セクタンの気持ちも分かるんでっけどなー。ま、お互い頑張りまひょ」
「ありがとう」
 よたよたと飛んで行くインコを見送り、動物好きのカラスはまた表情を緩めた。
「やっぱりプレゼントを配るからにはサンタの格好をしないとな」
 カラスは既にオーソドックスなサンタクロースの衣装を着込んでいた。白髪のカツラと白髭を装備すれば一丁上がりだ。サンタ帽をかぶせられたオウルフォームのセクタン・ポゥも配達へと飛び立って行く。
 カラスに限らず、サンタクロース姿のロストナンバーはあちらこちらに散見された。相沢優もその一人である。デフォルトフォームのセクタン・タイムもお揃いのサンタ姿だった。
「これでよし、と」
 プレゼントの山をエリアごとに仕分けすれば準備完了だ。セクタンには小さい包みを選んで配っていく。
「コレ、オレ、運ブ」
 大きい物や遠くに運ぶ荷物はグラバーが積極的に受け取っていた。セクタンに混じり、マイペースに配達を続けている。
「後は……うーん、効率良く運べる方法はないかなあ」
「そうだね。今のままでは時間がかかりすぎる」
 優の独り言にエドガー・ウォレスが応じた。手作業で配達を続ける傍ら、作業の効率化を思案し続けていたのだ。
「これにプレゼントを乗せて使ったらどうだろう」
 エドガーが用意したのは小さな橇だった。クリスマス仕様だろうか、ヒイラギの葉やベルのデコレーションが賑やかに揺れている。胴に曳き紐を渡してやると、セクタン達はよちよちと行進を始めた。
「可愛いなー。電車ごっこみたいですね」
「はは、そうだね」
「残りはこちらで運びましょうカ?」
 大きな橇を曳いた大型スノーモービル――に擬態したアルジャーノが滑り込んできた。
「セクタン達にも一緒に乗ってもらいまショウ。またどこかに詰まったら大変ですしネ」
「お願いできますか? ……あれ、名にだかいい匂い」
 アルジャーノはほのかな桜の香りを纏っていた。芳香の正体はモービルにぶら下がる和柄の小さな巾着袋である。
「初めて貰ったクリスマスプレゼントなんデス」
 いたく気に入っているのだとアルジャーノは付け加えた。
「あ、壺中天で活躍したヌマプチサーン」
「某はヌマブチであります」
「失礼しましタ、ヌマブチサン。良かったら同乗してもらえませんカ? ナビをして頂けると助かるのですガ」
「某で良ければ」
 セクタン部隊と鬼軍曹を乗せて出発するスノーモービルを見送り、スイート・ピーが溜息をついた。
「いいなぁ、速ーい」
 サンタガール姿のスイートも橇に乗って配達を手伝っていた。ただし橇を引いているのはセクタンの大群なので、何と言うか、のろい。
「サンタさんのお手伝い? はーい、スイートやるやる!」
 と目を輝かせて立候補したところまでは良かったのだが、所詮はセクタンである。トナカイのようにはいかなかった。
「もしかして、自分で引いた方が早いんじゃない?」
 別のサンタガールが現れた。ティリクティアである。
(壱番世界って面白い風習があるのね。この格好も風習だって聞いたから倣ったけど……)
 ティリクティアはスイートの格好に内心で首を傾げた。クラシックなサンタ姿のティリクティアに対し、スイートはミニ丈のサンタ服に純白のニーソックスという“サンタクロース”からはかけ離れたいでたちだ。
「個人差ってことかしらね」
「え?」
「あ、ううん。それより私にも手伝わせて、一緒に頑張りましょう」
「ありがとー!」
 二人のサンタガールは仲良く橇を引き始めた。壱番世界のクリスマスソングを口ずさむティリクティアに合わせ、スイートも見よう見まねで歌う。金平糖のような合唱が響く。周囲は微笑ましい雰囲気に包まれたが、それも長くは続かなかった。
「メリークリスマス。出荷担当はどこかね」
 葉巻をくゆらせ、激渋サンタが現れた。その名はスタンリー・ドレイトン――社会の裏も表も知り尽くした大富豪である。尋常ならざる迫力のサンタさんに担当者は震え上がった。
「あ……と、こちらです」
「心得た」
 誰かに薦められたのか、それとも自分の意思なのか。スタンリーがサンタ姿になった真意は誰にも分からない。似合っているのかどうかすらも分からない。配達そのものは真面目に行っていたが、大股で歩き回る姿はサンタというより舞台を闊歩する大物俳優のようだ。
 ボルツォーニ・アウグストもある意味で場違いだった。
(次はここか)
 不死者の特性は建物への極秘潜入に向いていた。自らを黒い霧に変え、音もなく配達先に侵入する。それが済めばまた霧となって次の目的地へと向かう。
「サンタっぽくない……」
「特殊部隊のヒト?」
 周囲のひそひそ声も意に介さず、ひたすら配達にいそしむ。クリスマスという楽しいイベントの雰囲気を全く醸し出すことなく、ただ黙々と。建造物侵入のミッションを淡々とこなすSWAT隊員か何かのように。
「おっと、失礼」
 人型を取ったボルツォーニにスタンリーの肩がぶつかった。ボルツォーニは目礼を返してその場を後にしようとしたが、
「待ちたまえ。黙って立ち去ることはないだろう」
 スタンリーの手が伸びてきて肩を掴まれた。
 ぶつかり合う視線。張り詰める空気。一触即発かと思われたその瞬間、口火を切ったのはスタンリーだった。
「――メリークリスマス」
 臓腑を揺する圧倒的な低音。深くゆったりとした微笑。アメリカ人であるスタンリーは機嫌が良かった、何せクリスマスなのだから。
「……ああ」
 ボルツォーニは無表情に応じて踵を返した。そして振り返らずに去った。次のミッション(配達)をこなすために。

「なにあれこわい」
 緊迫した一幕を目撃したハギノは率直な感想を述べた。
「にしても、すっげー量のプレゼント……。そいじゃ僕もお手伝いしましょうかねー。ほいっと」
 ドロンという効果音付きで、分身の術。黒子めいた装束の分身達が現れた。
「わ~、凄い、凄い!」
 日和坂綾が目を輝かせる。無口な分身たちは綾に一礼し、黙々と配達に出発した。
「次は、それっと」
 ドロンと、変化の術。現れたのは美少女、それもミニスカサンタ姿だった。
「べ、別にお姉さんのために化けたわけじゃないんだからねっ」
 性格設定はツンデレらしい。
「凄ーい! でも、う~、ナンか……負けそう……」
 綾もまたミニスカサンタに扮している。ハギノはからりと笑い、美少年サンタへと変化した。もちろん下は半ズボンである。
「べ、別にお姉さんのために化けたわけじゃないんだからなっ」
「あくまでツンデレなんだ?」
「喜ぶと思って。あと趣味」
「えぇ~!?」
 真顔のハギノに、綾は顔をくしゃくしゃにして笑った。
(よく考えたら受験生なんだよねぇ、私? これって現実逃避……?)
 と思っていたら、別の受験生と行き会った。
「あ、ユウ~! ナニナニ、配達のお手伝い?」
「綾。相変わらず元気だなー」
 優だった。
「ユウも受験生じゃん? ダイジョブなの? 私は大絶賛逃避中だけど」
「はは、逃避って」
「だってうちの学校バイト禁止だから、お正月の年賀状バイトすらしたことなかったんだもん。こ~ゆ~配達してみたかったの! ……そういや隆は? 募集の時に見かけたのに」
「会話中に悪いが、次の荷物は?」
 ロジオン・アガンベギャンがやって来た。
「あ、ロジオンさん。良かったらこれお願いします」
「分かった」
 サンタのように愛想良く夢を運ぶとまではいかないが、トレインウォーで一緒だった優がいるせいだろうか、表情は平素より柔らかい。メッセンジャーとして働いていたロジオンにとって配達はお手の物だった。
 野生動物のような身のこなしで建物から建物へと飛び移るロジオンだったが、キリル・ディクローズの姿をみとめてふと足を止めた。
(猫? ……犬?)
 キリルの尾はロジオンを誘惑するようにゆらゆらと揺れている。まるで猫である。しかし頭部は狼のそれだ。
(犬? 猫? どっちだ?)
 ロジオンは無類の猫好きだった。
「今日のぼく、ぼくは、サンタクロース。みんなの元へ、プレゼント、届ける、届けるよ」
 ロジオンの視線に気付かず、キリルはキリッとした風情で背筋を伸ばした。だぶついたサンタ服――サイズが大きいようだ――とのギャップがアンバランスだが、それも愛嬌である。
「ったく……またガキのお守りかよ」
 キリルに続いて蝙蝠サンタが現れた。ベルゼ・フェアグリッドだ。不機嫌な顔の横でサンタ帽のポンポンが揺れている。
「ええと、白い袋、白い袋にプレゼントを詰めて、行くんだっけ」
「あー、そうなんじゃねえの。んで、俺は何すりゃいいんだサンタさんよォ?」
「プレゼント、たくさん、たくさん。ぼくだけじゃ、大変、大変。ベルゼ、ベルゼ、手伝って、ついてきて、プレゼント配り」
「……だよな、サンタだし」
 がくりと肩を落としたベルゼだが、すぐに気を取り直して顔を上げた。
「こうなったらちゃっちゃと終わらすぜ! 仕事だお前ら!」
 召喚された使い魔たちが配達へと散っていく。
「わあ」
 幻想的ですらある光景にカルム・ライズンが歓声を上げた。白い竜を擬人化したような姿のカルムだが、半ズボンスタイルのサンタ服で目を輝かせる様子は竜というより少年である。
「ぼくもお手伝いするね!」
 小柄なカルムの姿があっという間に2メートルを超える竜へと変貌した。
 サンタ帽を愛用のゴーグルで押さえ、風と共に飛び立つ。プレゼントの袋を背中に括り付けてもらい、両腕にもいっぱいの包みを抱えて。サンタ姿の竜の姿を見つけた子供たちが地上からちぎれんばかりに手を振っている。尾を振って応え、カルムはくすぐったそうに笑った。
「えへへ、サンタさんってこんな感じでお仕事してるんだね! みんな、喜んでくれるかなぁ」
 今のカルムにはプレゼントの重ささえも心地良い。
「めりぃーくりすまぁーす♪」
 別の竜が軽やかにカルムに並んだ。否、竜ではない。自らの体の一部を竜の翼と尾に変えたファーヴニールだ。やたら上機嫌で笑顔をプレゼントを振りまく彼にカルムは再び顔を輝かせた。
「わあ、こんにちは。お姉さん、綺麗だねー!」
「ふふっ、ありがと。よろしくね」
 サンタ姿で絶賛女装中のファーヴニールは魅惑的にウインクしてみせた。
 並走する二人の眼下で、ザ・平凡こと山本檸於が目を揺らす。
「これは……俺も何かやったほうがいいのか……?」
 使い魔を召喚することも、翼で飛び回ることもできない。できないのだが、良くも悪くも日本人である檸於は雰囲気に流されたというか、空気を読んだのだった。
「竜の後に普通に配達したんじゃつまらないし……新鮮味を出さないと」
 決意と共にトラベルギアを掲げ、深呼吸する。
「発進。レオカイザー!」
 羞恥をこらえて叫ぶ。しかし何も起こらない。セクタンのぷる太が肩の上でぷるぷると震えている。
「……発進んんん! レオカイザァァァァァァーッ!」
 やけくその絶叫が機神レオカイザー(全長約50cm)に命を吹き込んだ。双眸をカッと光らせ、プレゼントを抱えて空高く飛び上がる!
「すげえ、すげえ!」
「いいなー! あのプレゼント、誰に行くの?」
 檸於はあっという間にちびっ子たちの人気者と化した。
「え? いや、あれはプレゼントじゃなくて俺のトラベルギアだから」
「えー嘘ー?」
「あんなギアあるわけねーじゃん!」
「そんなこと言わないで……そんな目で見ないで!」
 檸於は顔を覆ってその場から逃走した。泣いてなどいない。目から汗が出ただけだ。セクタンのぷる太はといえば、相も変わらず肩の上でぷるぷると震えている。
「……はあ」
 賑やかな光景の外側で小さな溜息をこぼす者がある。ドナ・ルシェだ。先ほどからずっと、街路樹の下でぼんやりと膝を抱えているのだった。
 背を預けた幹も仰ぎ見る枝葉も故郷の木には遠く及ばない。父母と別れ、ロストナンバーとなって迎える二度目の年末。月日は流れているのに自分は立ち止まっているようにすら思える。
 目の前をセクタンたちが通り過ぎていく。箱を抱えてよちよちと歩く者。小さな橇にプレゼントを乗せて運ぶ者。
「……何なのかなあ、あたし」
 セクタンですら頑張って働いているのに、自分はそれを見ているだけなのか。
「よし!」
 サンタ帽をきゅっとかぶり、ドナは背中の翼を羽ばたかせながら出荷所へと向かった。
 入れ違いにディーナ・ティモネンが配達へと出かけていく。
(そっか……交換なんだもん。どの人に届くのか、分からないよね)
 持参したクリスマスカードを溜息と共にしまい込む。ディーナのカードはプレゼント交換に供されることはなかった。
『メリー・クリスマス! 貴方にとって良い年が訪れますように』。書き付けたのはひどくありふれたメッセージ。誰に届いても特別な意味など伝わりはしない。
 他にどう書けばいいのか分からなかった。会いたいのは一人だけなのに。
「はあ……」
 冷えた手に息を吹きかける。刹那、誰かと手を繋いだような温もりが宿る。しかしそれもじきに消えるだろう。
(もしも手を繋げたら……だって、キミなら)
 生きていていいよと、笑って言ってくれるような気がしたのだ。
 不意に熱いものがせり上がり、慌てて手の甲で目をこする。
「……配達、頑張ろ」
 ディーナは深呼吸して作業へと戻って行った。
「……はあ」
 坂上健も溜息をついた。
「分かってるよ、ポッポ。……踏み込まないって決めたんだ」
 気遣わしげに頬を寄せてくるセクタンをひと撫でし、腕まくりする。
 遠くから姿を見かけただけでも心が痛む。しかし好きなだけでは踏み込んではいけないことも分かっている。
「っし。警官志望がストーカーになったら大笑いだぞ、っと」
 ぴしゃっと己の頬を叩き、作り笑いをひとつ。笑っていればそのうち本物の笑顔になる筈だ。出荷所を訪れた健は積極的に荷物を受け取って回った。
「おーい健くん、こっちもお願い」
「へいへい、行ってくるよ。どの地区?」
「随分元気いいね?」
「だって、プレゼントを待ってる人には笑顔で届けたいじゃないか」
 プレゼントとセクタンを抱え、健は颯爽と走り出した。
 ハーデ・ビラールも風のように、しかし寡黙に配達に従事していた。
(闘わない私に生きる価値などない。だが……手伝える仕事がある。私はまだ無価値ではない)
 呪文のように内心で繰り返しながら、エリアごとに仕分けされたプレゼントをやみくもに大袋に詰め込んでいく。まるで何かを探しているかのように。
 瞬間移動を駆使すれば配達などわけもない。一軒一軒訪ね歩いてプレゼントを渡し、それが済めばまた瞬間移動。その繰り返しだ。出荷所に戻れば沢山の仕事が待っている。これは“強攻偵察兵の任務”ではないが、今の自分がなすべき事には変わりないと信じている。
(望まれる仕事がある、私はその仕事をすることが出来る。まだ、生きていていい筈だ)
 ひたすら作業にいそしむ。白刃の上で爪先立ちを続けているかのような無表情で。

「募金という名の慈悲を! さもないと(私が)年を越せないのですよ!」
 牧師服の上にクリスマスカラーのストラを羽織った三日月灰人も自分の仕事をこなしていた。請け負った贈物の配達と聖書の訪問販売、布教活動である。しかし実態はほとんど泣き落としに近い。
「ボキン?」
 灰人に捕まったのは蝙蝠獣人の姿をしたワード・フェアグリッドだ。純白の翼をすぼませ、困ったように首を傾げている。
「ゴメン、何モ、持っテ、なイ」
「では、こちらを受け取って下さい。魂の糧に」
「ありがとウ……」
 差し出された聖書をおっかなびっくり受け取るワードのしぐさに灰人はわずかに目を細めた。
「一年の締め括りも間近ですし、悔い改めたい仕儀があるならお聞きしますが」
「悔イ」
 ワードの瞳がわずかに震えた。
「……寂しイ、思いヲ、させタ。悲しイ、思いヲ、させタ」
 パートナー、絆、そんな単語ですら生ぬるい。自らの半身、対と呼ぶべき妖精獣の存在がワードの頭を占めている。
 たどたどしい言葉に丁寧に肯き、灰人は静かに十字を切った。
「貴方にも神のご加護を」
「カミ?」
 ワードはくしゃりと顔を歪めた。
「ゴメン。神、分からなイ」

 人気(ひとけ)のない一角に不穏な爆音が響き渡る。
「コレ古くね?」
 犯人は虎部隆だった。
「なーに、動きさえすればあっという間に……ってアレ? ちっくしょー、動かねーのかよ!?」
 隆が悪戦苦闘していた頃、ターミナルのあちこちでは穏やかな歓声が上がり始めていた。
「あっ、はーい!」
 コツコツと窓がノックされ、そわそわと部屋の中を歩き回っていたサシャ・エルガシャは元気良く返事をした。
「こんばんは!」
 窓から顔を覗かせたのは半翼人・ドナだった。
「おとどけものでーす! えっと……あれ、あれれ?」
 住所を確認したドナの顔がかあっと紅潮した。
「ご、ごめんなさい、間違えました!」
「いいえ。頑張ってね」
 飛び去るドナを好意的な苦笑で見送った時、今度は玄関がノックされた。今度こそサシャ宛のプレゼントだ。開封するや否や、サシャの顔いっぱいに喜色と驚愕が広がった。
「うそっ!?」
 中身はシックなストール。贈り主はリリイ・ハムレット――サシャの憧れの女性だ。
「判子、ココ、押ス、欲シイ」
 配達人はグラバーだった。つい認印を求めてしまうのは元の職業の影響か。
「すごい、すごい! 早速羽織ってみようっと!」
「判子、押ス、欲シイ。……違ウ、判子、必要、ナイ、シタ、ゴメン」
「ワンピースどこだったかなぁ? ああ、ワタシもリリイさんみたいなレディになりたいなぁ……」
 ぼそぼそと紡がれるグラバーの言葉は今のサシャには届かない。一張羅のワンピースにストールを合わせ、玄関先でしばしのファッションショーが繰り広げられる。
「あっ、ごめんなさい」
 ようやく我に返ったサシャはグラバーの存在を思い出して赤面した。
「ありがとうねサンタさん、最高のクリスマスプレゼントだよ。これ、お礼。体の中からあったまってね!」
 心からの感謝と共に差し出したのは菓子の小包と紅茶入りの魔法瓶だった。
「……感謝、スル」
 グラバーはわずかな戸惑いとともに受け取った。もっとも、目深にかぶった麦わら帽子と鼻から下を覆うマフラーで表情は窺えなかったが。
「では、頼むよ」
「必ず届ける」
 深山馨からプレゼントの箱を預かり、オペラ=E・レアードは真っ直ぐに肯いた。夜闇の色合いで包装されたそれを大事そうに胸に抱き、純白の翼を開いて飛び立つ。
(誰に届くか判らないプレゼントとは面白いね。それにしても……彼女のことだ、仕事に夢中になるあまり自分のプレゼントを出し忘れないと良いのだが)
 遠ざかるオペラの姿を見送り、馨は静かに微笑んだ。配達の手伝いにいそしむオペラがはしゃいでいることに馨だけが気付いている。
 そこへセクシーサンタガールがやって来た。
「ハーイ、深山馨さん。お届け物よん」
 振り返った馨の眉間にわずかに皺が寄る。サンタガールの外見はせいぜい十二歳程度といったところか。しかし、猫のような大粒の瞳と悪戯な笑みが馨の目についた。
「じろじろ見ないでよ。べ、別に貴方のために化けたわけじゃないわよっ」
「………………。なぜ私のことが分かったのかね?」
「そらもー、超有能な忍者ですから?」
 ドロンと、ツンデレサンタガールはハギノの姿へと戻った。
 馨に届いたプレゼントは赤毛の監察医からの『精密ミニチュア人体模型』だった。
「ふむ……よくできている」
 内臓を全てばらし、馨は静かに感嘆した。筋肉や内臓までもが緻密に作り込まれている。はしゃぐ子供のような眼で黙々と組み直し始めた時、
「あ、セクタン、邪魔……」
 ぼよーん。
 ルークに蹴飛ばされ、プレゼントを抱えたセクタンが模型の上に落ちてきた。飛散するミニチュアの内臓、顔面から着地するセクタン。それでもプレゼントだけは死守する辺り、セクタンの体にも五分の魂といったところか。
「申し訳ない」
 顔面をすりむいたセクタン・ビリケンさんを抱き上げ、エドガーが馨に平謝りする。
 そんな一幕を遠目に、オルグ・ラルヴァローグはゆらゆらと尻尾を揺らした。
「へえ、もう届き始めてるのか。俺のプレゼントはさて、誰の所に行くかねぇ?」 
 オルグが贈ったのは『火竜の爪飾り』。初めて竜と戦った時の記念のようなものだし、やはり行方が気になる。
「まっ、どいつに届いても持ってて損はねぇだろ!」
「お兄ちゃん。やっと見つけた」
 サンタクロースに仮装したコレット・ネロが雪の中を駆けて来た。
「メリークリスマス、お兄ちゃん」
 配達の傍ら、コレットは親しい皆への手作りプレゼントを持ってきたのだった。オルグへは白い毛糸の帽子。もちろん耳出し穴付きである。
「ありがとな。へへっ、実はお前にもプレゼント用意したんだぜ!」
 オルグからコレットへはもう一つの『火竜の爪飾り』。プレゼント交換会に出した物と似ているが、爪の部分にコレットの名を刻んだ特別仕様の品である。
 微笑んで礼を言うコレットの姿をみとめ、雪峰時光が小さく息を吸った。
(これで間違いない筈でござるよ。ターミナルの『女性が欲しいプレゼント』一位がアクセサリーでござったからな!)
 時光からは琥珀の石が付いたローズゴールドの指輪を。コレットがもっと素敵な女性になれるようにと選んだのだが、
「メリークリスマス。トラベラーズノートに使ってね」
「へっ? か、かたじけのうござる!」
 先に和柄のノートカバーを差し出されてしまった。しどろもどろになって頭を下げ、慌てて指輪を渡す。
 アインスとツヴァイの双子もコレットの元へとやって来た。
「ようコレット。そのサンタの格好可愛いな! 人形みてーだ……」
「やめんか愚弟」
 コレットを抱き締めようとしたツヴァイにアインスの鉄拳が飛んだ。
「済まんなコレット。寒かっただろう、これを飲んでいくといい。配達もいいが風邪を引かぬようにな」
 ホットチョコレートを差し出し、コレットの髪を飾る粉雪をそっと払い落とす。コレットはにっこり微笑んでプレゼントを差し出した。
「月長石のペアイヤリングよ。二人がもっと仲良くなれますようにって」
 双子は顔を見合わせた。だが、コレットの笑顔の前では言い返す術を持たない。
「ともかくありがとうな! これ、俺たちから」
 ごほんと咳払いをし、ツヴァイがメッセージカードを渡した。更に、アインスからコレットへ暖かいコートが贈られる。また配達へと出て行くコレットを気遣ってのことだった。
「メリークリスマス、コレット。キミに聖夜の祝福を」
「メリークリスマス。お前に幸福がありますように」
 アインスがコレットの髪にそっとキスし、ツヴァイもコレットの手を取った。
「やー、相変わらずだねコレットちゃん」
 相変わらず女装中のファーヴニールが舞い降りた。ファーヴニールからコレットへ、細い鎖で編まれた手作りのブレスレット。銀装飾の小さな花が可憐に揺れている。コレットからファーヴニールへは、名前入りの紺のリボン。
「髪を結ぶ時に使ってね」
「ん。いつもありがとう」
 と一言だけ告げて飛び立とうとしたファーヴニールをコレットが「待って」と呼び止めた。
「虎部さんにも渡したい物があるんだけど、居場所知らない?」
「そういえば見かけないね。さて、どこで何をしているのやら」
 この時、隆がくしゃみをしたかどうかは定かではない。
 一方、別の区画では。
「!?」
 虚空が仲間の仕掛けたトラップに足を取られ、
「ハッ、かかったな虚空!」
 石川五右衛門が得たりとばかりに高笑いし、
「大人げないですよ! ここは年長者が譲るべきでしょう!」
 佐井藤直が笑顔でいじめっ子ぶりを発揮し、
「楽しそうだなお前ら」
 芦野智久だけが冷めた風情で傍観するという騒々しい一幕が繰り広げられていた。
 彼らの中心で笑っているのはもちろん蓮見沢理比古だ。誰が最初に理比古とプレゼントのやり取りをするかでいざこざを起こしていたのだが、
「メリークリスマス、アヤ。ハイあーん」
 ちゃっかり隙を突いた智久が理比古の口に手作りチョコを落とし、あっさり落着となった。
「ありがとう。美味しい」
 笑み崩れる理比古の前でその他三人は複雑な表情を作る。先を越された。だが、理比古が笑っていてくれればそれでいい。
「何だ。お前らの分も用意してあるが同じように渡して欲しいのか? 済まんがこれはアヤ専用だ」
「相変わらずだなお前……」
「冗談だ、馬鹿め」
 全員に同じ物を配って回る智久だが、
「……ハズレ入りでその内一つは薬入りだがな」
 という呟きに全員の動きがぴたりと止まった。智久は狡猾な笑みを浮かべた。
「冗談だ、馬鹿め」
「真顔で冗談言うんじゃねエよ。じゃあ次は俺な。……材料が余ったからついでに全員分作っただけだ」
 ツンデレ気味の五右衛門から家族へ、天然石を編み込んだ革製の手作りブレスレット。
「そんなこと言って、実はだいぶ前から用意してたんじゃないんですか?」
「黙れ!」
 天敵の直の言い草に五右衛門は感情をむき出しにした。
「これは俺から」
 直から尊敬する先輩・理比古へ、手製の服一式。内容は可愛い色のシャツにニット、チェック柄のボトムスである。計ったわけでもないのにジャストサイズな辺り、ただならぬ感情が窺える。
「結局、俺は最後か……まあいいけど」
 虚空から直を含めた皆へ、防刃防弾特殊繊維を編み込んだ手製のマフラー。
「ありがとう、みんな」
 皆のプレゼントを満面の笑みで受け取り、今度は理比古が皆に品を渡した。智久にはマフラーと手袋を。五右衛門にはブランド物のライターを。直にはネクタイと鞄を。
「いつも元気や笑顔をくれてありがとう、皆がここにいてくれるお陰で、俺は生きていられるよ」
 傷の多い人生の中、笑っていられるのは彼らがいてくれるからだ。理比古は彼らに生かされている。
「アヤ――」
「そうだ、虚空にも」
 口を開きかけた虚空を理比古が笑顔で制した。
「メリークリスマス。これ着けて美味しいごはん作ってね」
 プレゼントはピンクのエプロン、それも超が付くほどふんだんにフリルをあしらった一品だった。この後、理比古のために用意した特大のクリスマスケーキをフリフリエプロン姿でかいがいしく切り分ける虚空(35)の姿が目撃されることになる。
(……まあ、アヤが笑ってりゃ何でもいいや)
 ご主人さま命のシノビが心で血涙を流していたかどうかは定かではない。
 蓮見沢一家の笑顔を静かに見送り、エレニア・アンデルセンも配達へと出立した。荷物の配達はメッセンジャーの仕事ではないが、伝言付きでいくつか託されたことがある。気持ちを運ぶという意味では伝言師と配達人は似ているかも知れない。
 受取人が喜んでくれればエレニアも同等に嬉しかった。「サンタさん」もそんな気持ちなのだろうか。
「ねえ、配達の人?」
 ヘルウェンディ・ブルックリンがエレニアに声をかけた。
「プレゼント預けてもいい?」
『もちろん』
「………………?」
 ウサギのパペットを通して喋るエレニアにヘルは首を傾げたが、野暮な詮索はしなかった。
「これお願い、チョーカーとリストバンド。高かったのよ? 落としたら承知しないから」
 やたら高飛車なヘルにエレクはおどけて『かしこまりました』と応じた。
『あれ、そちらの品は?』
「え? あっ」
 ヘルは耳たぶを真っ赤に染め、手にした紙袋を慌てて背に隠した。
「べ、別に間に合わなくて土壇場で変更したわけじゃないんだからね! ……い、意外と難しいのよ。どうしたらママみたいに上手くできるのかしら」
 しょげ返るヘルにエレニアが好意的な微苦笑を浮かべる。
「まあいいわ。ちょっと来て」
『何だい?』
「サンタさんへプレゼントよ。メリークリスマス」
 紙袋の中身――編みかけのマフラーをエレクの首に巻き、頬にキスをひとつ。エレクは照れたように顔を覆い、エレニアはにっこり笑った。
『ありがとう。メリークリスマス!』
 
 ターミナルに雪が舞う。
「メリークリスマス」
 ジンジャークッキーや飴を添え、カラスが笑顔でプレゼントを配る。照れは気合いでカバーだ。
「メリークリスマス!」
 ティリクティアとスイートのサンタガールコンビがクリスマスソングと一緒にプレゼントを手渡し、
「メリークリスマス、セクタン便でっす」
 健もまた笑顔でプレゼントとセクタンを差し出した。
「見ろよタイム、海難除けのお守りだって! 後でお礼のメッセージを送らなきゃな」
 配達を続ける優はサーペントの鱗を受け取った。優の手作りクッキーとクリスマスティーは誰が貰ってくれたのだろう。
「………………」
 オペラは届いたプレゼントに無言で顔を埋めた。『くったりわんこぬいぐるみ(1m)』である。無表情を崩さないオペラだが、もふもふの感触をいたく気に入ったらしい。
 レオンハルト=ウルリッヒ・ナーゲルの元へは濃い青の毛並みのぬいぐるみが届いた。南極探検隊の服を着た、凛々しい顔つきのテディベアである。
 よれよれの字で書かれたメッセージカードも付されていた。
『ヴラックウィドウへ ビりケソ』
 レオンハルトは自らが使役する魔にベアを渡した。ブラックウィドウはぬいぐるみとカードを怪訝そうに見比べている。エドガーのセクタンが百貨店ハローズで見つけた品だと知るのはカードを読んでからのことだ。
 胸にプレゼントを抱いたカナンは幾度か深呼吸を繰り返した。
「め、メリークリスマス、ロディ兄さん……い、いつもお話ししてくれてありがとう」
「ああ、メリークリスマス」
 兄と呼ばれたロディ・オブライエンは静かに微笑んでカナンを迎えた。
 カナンからロディへは折り紙で作ったきらきらの星を。ロディからカナンへは七色の宝石――ガーネット、シトリン、ピンクトルマリン、アメジスト、アイオライト、ブルートパーズ、ペリドット――をはめ込んだネックレス型のアミュレットを。
「こ、こんな綺麗な物」
「受け取ってくれ。……カナンが贈ってくれた物がとても嬉しいからな」
「……ありがとう」
 カナンはくすぐったそうに肯き、ロディの手を取って次の場所へと向かった。
「こ、コレット姉さん、メリークリスマス。い、いつもお話ししてくれてありがとう」
「カナンさん。ロディさんも」
 コレットは木漏れ日のように微笑んだ。カナンからコレットへは折り紙の星を。コレットからカナンへは白い毛糸の手袋を。
 贈り物を無事に交換し、カナンはもう一度深呼吸する。
「あのね、お願いがあるんだ。……今度から、姉さんと兄さんの事、ママとパパって呼ばせて」
 コレットとロディが顔を見合わせる気配が伝わった。
「二人共、僕の両親に似てる。二人がいてくれたら、僕は多分寂しくない……から」
 目一杯の気持ちを消え入りそうな声で絞り出す。審判を待つ子羊のように小さな体を震わせながら。
 やがて頭の上に大きな手が降りてきた。
「無論、断る理由はない」
 続いて、大らかな腕がカナンを抱擁する。飴と煙草が入り混じった不思議な香気にくるまれ、カナンは父母を纏めて抱き締めた。
「べ、別に……泣いてなんかいないんだからねっ……」
「ふふ。来年も一緒にいようね」
 それがコレットの返事だった。
「みんな幸せそうやねぇ」
 湊晨侘助は静かな賑わいを眺めながらゆるゆると微笑んだ。
「わぇのは誰に届いたんやろか。喜んでくれたらええなぁ……」
 そこへセクタンたちがやってくる。侘助への贈り物はクリスマスカードだった。
「わぁ嬉しいなぁ。どんなメッセージや、ろ――!?」
 端正な面(おもて)が一瞬にして凍りつく。
 お札模様の一億円の会員権――を一万円で買わないかという甘い誘い文句が書き連ねられている。要するにダイレクトメールだった。
「な、何やのん。わぇのわくわくした気持ちを返してや! 会うたら絶対プレゼントを貰い直したる……!」
「ん? どこからか血を吐くような雄叫びが。それはそうと、綺麗な音色に良い匂いです」
 侘助が雪に向かって咆哮していた頃、リーミンは匂い袋に顔を押し付けてスハスハと浅い呼吸を繰り返していた。面をかぶった鬼の子から届いた『小さな鈴がついた匂い袋』だ。リーミン自身も百貨店ハローズのテディベアを贈った。リベルに届いたらしく、返礼のメッセージを受け取ったところである。
「どういう内容だったか、って? 僕のベアを大切にしてくれるって、ぬいぐるみとか他にも持ってるって書いてありました」
 顔を真っ赤に火照らせ、高鳴る胸を押さえながらスハスハと呼吸を繰り返す。
「ぬいぐるみ好きなリベルさん……そんな彼女、いいと思います全力で」
「!? おい、子供が倒れたぞ!」
 過呼吸で気を失ったリーミンはあっという間に医務室へと運ばれた。
「だ、大丈夫かなぁ? ……え? 今度はナニ?」
 リーミンを見送った綾は目をぱちくりさせ、次の瞬間顔をくしゃくしゃにした。
 遠雷のようなエンジン音を轟かせ、古い型――アンティークと呼んで差し支えないほどの――普通自動二輪が走って来るではないか。
「Merry Xmas & a Happy new year!」
 操縦者はもちろん隆だ。牽引する橇からプレゼントを落としながら風のように駆け抜ける。顔が排気ガスまみれで真っ黒に染まっているところを見ると、起動に相当苦労したのだろうか。
「隆~、サイコー!」
「サンキュー綾っちぃ!」
 気取ったサムズアップが返ってきて、綾はまた笑い転げた。あまりにキザだ。だが、今日という日にそれを言うのは野暮である。
「メリークリスマス! サンタさんたちにもプレゼントだよ!」
 スイートの声を合図にオウルフォームのセクタン達が一斉に飛び立った。
 ターミナルに雪が降る。雪と一緒に、飴が降る。カラフルなキャンディと真っ白なパウダースノーのコントラストに、誰もが一瞬、時を忘れた。
「みんな頑張ったもんね。いい子いい子」
「ゼロも渡したい物があるのです」
 スイートがセクタン達を労いながら飴を渡しているところへゼロがやって来た。
「セクタンの皆さんにプレゼントなのです」
 彼女が持ち込んだのは大量の蛸壺だった。

「メリークリスマス」
 という声でハクア・クロスフォードは玄関を開けた。そして小さく目を見開いた。軒先にプレゼントの箱ばかりが鎮座している。視線を巡らせるも、配達人の姿は見当たらない。
 正体は静夫だった。
(サンタが顔を見せたら興が醒めちまわぁ)
 プレゼントを手に顔を引っ込めたハクアの姿を確認し、次の配達先へと飛び立っていく。
「ほう」
 包みを開封したハクアの表情がわずかに和んだ。クリスマスツリーにトナカイ、ベル、サンタ……。可愛らしい形のクッキーが沢山詰まっている。早速自前の紅茶を用意して楽しむことにした。
(俺の贈り物は誰に届いただろうか)
 ターミナルで見つけた、幸運のコイン。とあるロストナンバーが友の無事を願って作ったのが始まりだというそれをハクアは贈った。受け取った者にささやかなりとも幸が訪れるようにと。
 だが、真っ先にコインを渡したい相手は此処にはいない。
「……雪か」
 気を取り直すように呟いて窓を開ける。白い髪に絡みつく紅茶の湯気は指で触れるとすぐにほどけた。降り注ぐ雪も、また。掌中にしたような気がしても瞬く間に消えていく。
 それでも雪は降り続く。しんしんと、絶え間なく。
「ん?」
 薄い雪化粧の中、白い影が動いた気がした。
 じっと目を凝らしても、白い闇に溶けてしまいそうなそれを識別することはできなかった。

 早速の礼状をしたためた者も多く、セクタンと配達人たちはもうひと働きすることとなった。
「俺はいいわ。言えるなら相手の顔見て話したいしな」
 カードを受け取りにきたセクタン達にひらひらと手を振り、隆はその場を後にした。コレットからは『来年もよろしくね』というメッセージと共に茶色いフェルトの小銭入れを貰ったし、プレゼント交換では別の相手からも受け取った。感謝の言葉は自らの手で渡したい。
「ああ、回収か、ご苦労様」
 ちょうど出かけるところだったロウ ユエはドナに礼状を託した。宛先には流れるような達筆で竜人の槍術士の名がしたためられている。
「これが届いてな」
 ユエは首に巻いたマフラーを示してみせた。茶色の生地をメインに焦げ茶と白の毛糸でアクセントを付けたそれは手編みの品だそうだ。両端で揺れる白いポンポンが温かい。
「じゃ、確かにお預かりします」
「よろしく頼む。君は一日中配達を?」
「はい」
「感心なことだ。翼があれば捗りそうだな」
「ありがとうございます!」
 ドナはにっこり微笑んで応じた。
(そっか。能力を活かせるし、配達人として働くのも良さそう)
 一方、配達を終えた檸於は「はぁ」と肩を落としていた。ちびっ子たちの笑い声(良くも悪くも)が今も耳に残っている。その上自分へのプレゼントは届かない。気勢も下がろうというものだ。
「ちょっと疲れたよなぷる太……あれ? ぷる太?」
 肩の上で震えていたセクタン・ぷる太の姿がいつの間にか見当たらなくなっていた。セクタンにすら見放された気がして更に落ち込む檸於である。
 だが、チャイ=ブレは檸於を見捨てなかった。
「……ぷる太?」
 箱と封筒を抱え、ぷる太がよたよたと歩いてくる。また配達かと思った矢先、
「へ? これ、俺宛の?」
 不覚にも目頭が熱くなった。いつもぷるぷるしているだけのぷる太がプレゼントを運んで来てくれようとは。
「お礼のカードも一緒か。こんな喜んで貰えるとこっちも嬉しいよな。な? ぷる太。……聞いてるか?」
 ぷる太はぷるぷるしている。
 ふかふかの毛布を受け取ったティリクティアも礼状を書きつけて配達人に託した。
 
『こんにちは、初めまして!
 ふふ、素敵なプレゼントどうも有難う! この毛布大切に使うわ。
 どこかで会った時は、仲良くしてね。
 メリークリスマス、タイム!』

「これは困ったね」
 図書館に掲示された礼状を前にエドガーが苦笑した。差出人はレオンハルトのブラックウィドウだ。ビリケンさん宛らしいことは辛うじて分かるのだが、見たことのない文字で書かれているため内容は判読できない。
 そこへタイミング良くレオンハルトがやって来た。セクタンサイズの蜘蛛の姿を取ったブラックウィドウにビリケンさんが駆け寄るが、ブラックウィドウはつんとそっぽを向くばかりだ。
「レオン。このカード、何て書いてあるか分かるかい?」
 エドガーに促され、レオンハルトは無言でカードに視線を移した。

『こんな毛玉の塊をどうしろっていうのよ!? まあ仕方ないから貰っておいてあげるわ。別にあなたの為じゃないんだから!』

「贈り物を喜んで受け取ったと言っている」
 レオンハルトは眉ひとつ動かさずにそう告げた。
 コレットも双子の皇子からもらったカードを開封した。そして首を傾げた。『百貨店ハローズ一階のブティックへ!』とだけ記されている。
(お店、まだ開いてるかしら)
 皇子たちの依頼を受けた店員がコレットに真紅のドレスを手渡すのはもう少し後になるだろう。

 雪の中を行く灰人はふと足を止めた。
 視線の先には、連れ立って帰途に就くベルゼとキリルの姿。灰人は暗闇の色をしたベルゼの姿を注視した。体色は違えど、先ほど聖書を渡した白い蝙蝠獣人にそっくりではないか。
「もし、そこの貴方」
「あぁ?」
「神のご加護を。貴方と、貴方の隣人に幸あれ」
 静かに十字を切った灰人はぽかんとするベルゼの視線を受けながら立ち去った。 
 配達作業は完了し、セクタン達はゼロが渡した蛸壺に納まった。ターミナルは再び静寂に浸されつつある。ちらちらと降る雪の中、取り残されたツリーがちかちかと瞬き続けていた。
(いつか……三人で――)
 温かさの象徴を仰ぎ見た途端、鼻の奥がつんと痛んだ。降る雪に電飾の煌きが滲む。膿んだような頭痛を抱え、灰人は静かに祈りを捧げた。
「……何だ、今の」
 灰人の姿を見送ったベルゼは首を傾げた。
「ベルゼ、手伝ってくれて、ありがと、ありがと。これ、これ、渡す」
「ん、どーしたキリル」
「ベルゼ宛にプレゼント、万年筆。ワードから、だよ」
「……何だって?」
 ベルゼの顔色がさっと変わる。
「おい。ワードはどこだ、どこにいる!?」
 キリルの胸倉を乱暴に掴み、ベルゼは咳込むように問い詰めた。

 ターミナルに雪が降る。漆黒の闇が白いほの明かりに満たされていく。
 静まり返った駅前広場で、ワードは雪に溶け込むようにして佇んでいた。
(プレゼント、気に入っテ、くれル、かナ? 彼、本を書き始めたっテ、聞いたかラ)
 自分の居場所を書いた紙をプレゼントに添えてキリルに託した。聖夜の再会。そんなありふれた舞台設定すらも気にならない。会いたくて、会いたくて。ずっと見ていたのに、傍に行けなかったのだから。
 やがて懐かしい羽音――そう、懐かしいのだ、あれほど聞き慣れていた筈なのに――が静寂を震わせた。
「ワー……ド」
 現れたのは漆黒のベルゼ。
「……久しぶリ、だネ、ベルゼ」
 純白のワードは真っ直ぐに彼と向き合った。
「僕からノ、プレゼント。気に入っテ、くれタ?」
 いらえはない。ベルゼの顔がみるみるうちにくしゃくしゃになっていく。水をかけられたオブラートのように。溺れかけている者のような浅く速い呼吸を繰り返しながら。
「――何だそりゃ」
 やがてベルゼは掠れた声を絞り出した。
「真っ先に言うことがそれかよ。ワード……ワード、ワード――」
「ゴメン」
 縋りつくように伸ばされたベルゼの指先を包み込み、ワードは口元を引き結んだ。
「今まデ、寂しい思イ、させテ、ゴメン」
 雪のような純白にくるまれ、暗闇の色をした翼が震えた。
 ターミナルに雪が降る。クリスマスが終わり、次の季節が始まる。

(了)

クリエイターコメントありがとうございました。ノベルをお届けいたします。
ツンデレ万歳。

衣装指定なしのPCさんまでサンタコスにしてしまったこと、お許し下さい。
特に某武闘派女子高生さんはミニスカサンタアイコンの印象が強すぎて…(笑)

時期外れとなってしまいましたが、クリスマスを思い出すよすがにしていただければ幸いです。
公開日時2011-01-18(火) 21:40

 

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