オープニング

「このままだと『AMATERASU』という世界は滅びる。そういうことね?」
 アリッサの問いに、世界司書・クサナギはこくこくと頷く。

 『誘国創記・AMATERASU』――。
 壱番世界に奇妙に酷似した国土において、コンピュータに管理された都市に人々が暮らす一方、その体制からの解放を目指すレジスタンスたちがいる世界。
 ロストナンバーたちは、両陣営と微妙なバランスを保って接しつつこの世界の探索を進めてきた。
 その結果、明らかになったのは、この世界が実はさし迫る滅びの縁にあるということだった。管理都市群のある国土の「外側」には、すでに何もない。かつて、この世界の消滅が始まったとき、12人の人間が人柱となることで現在の国土は滅びを免れた。そうしてわずかにだけ残された土地が、今までロストナンバーが出入りしていたこの世界のすべてであった。

「AMATERASUの住人はほとんどがこのことを知らないで暮らしてるんだ」
「情報を統制することで世界の安定を保っているのね。でも……」
「人身御供になった12人の命がもうすぐ尽きる。そうなったら」
 AMATERASUは消滅してしまう。
 その非情な事実に、アリッサも表情を曇らせる。

「そう聞くと、助けてあげたくなるけど……そう簡単な問題じゃないわ。『朱い月に見守られて』が滅んだのは世界樹旅団の介入が影響していたけど、今回は、もともとこの世界の摂理として消滅に向かっているのよね? なら、それを止める権利は、私たちにはないのかもしれない。ベストなのは、AMATERASUの人々自身によって運命が回避されることだけど」
「でも、みんなもうすぐ世界が滅びることを知りもしないんだぜ?」
「今回の事件で、真実を知った人もいるのでしょう」
「うん。それを公表しようって人と、隠したままにしたい人とで意見が分かれてるっていうか……」
 クサナギとアリッサはしばし呻吟するよりない。
 影響を考えれば、事実だから明らかにすればよい、というような簡単な問題ではないのだ。

 そして――
 これはAMATERASUという世界に固有の問題とは限らない。同じような事態が他の世界で起こりうるかもしれない。チャイ=ブレによる吸収が予言されている壱番世界にだってあてはまるとも言える。その意味で、今回、AMATERASUにどのような対応をとるかは、今後、滅びが予見された世界に対してどう対処していくかということの、モデルケースにもなりうるだろう。

「とにかく事情はわかりました。みんなの意見を聞いてみましょう?」


ご案内

『誘国創記・AMATERASU』。この世界が今、消滅しようとしていることがわかりました。AMATERASUの大多数の人々はこの事実を知りません。そして現在、この事実を公表すべきと考える人々と、公表すべきでないと考える人々との間が対立しているという状態です。この状況に対して、世界図書館はどのような立場で臨むべきか、意見が募られることになりました。

考えられる選択肢として、以下の3つがあります。

【1】事実を公表する
世界が滅びようとしていることを世界の人々に公表します。結果、暴動やパニックが起こることが予測されますので、それらの鎮圧に力を貸すことになるでしょう。広く情報が公開されることで、住人の中には世界を救おうと立ち上がる人々いるはずです。かれらを支援することで、滅びを回避する手段が見つかるかもしれません。逆に、混乱が広がり、公表したことでかえって事態が悪化する可能性も大いにあります。

【2】事実を公表しない
少なくとも今すぐには事実を公表しません。現在も消滅の危機を回避すべく行動している人々がいます。新たな人柱を、生身の人間ではなくバイオロイドによって代用するという計画です。この計画が成功するよう支援する方針で動くことになります。ただし人々に真実を知る権利があると、あくまで事実の公表を推す人々もいるため、この動きは止める必要があります。

【3】様子を見る
即断を避け、図書館からの積極的な干渉は控えたうえで、状況の推移を見守ります。そのうえで、大きな状況変化や新たな情報、画期的な方策の発見があれば対応を検討します。臨機応変な対応が可能ですが、今のAMATERASUにおいて拙速を尊ばないことは致命的な結果を招くだけかもしれません。

■参考情報


■参加方法
(プレイング受付は終了しました)

結果発表

たくさんのご意見ありがとうございました。
みなさんのご意見を集計した結果は、次のようなものになりました。

【1】事実を公表する25
【2】事実を公表しない23
【3】様子を見る17


今後、「事実を公表する」という方針で、シナリオが運営されます。

ページトップへ

螺旋特急ロストレイル

ユーザーログイン