イラスト/キャラクター:晏嬰亮

オープニング

『ロストナンバーの諸君に告ぐ。壱番世界において、<ディラックの落とし子>の存在が確認された。すでに侵食が開始していると考えられることから、世界図書館は当該対象の殲滅を決定し、現時刻をもってトレインウォーの発動を宣言する。詳細は追って連絡するので、有志のものは待機されたい。繰り返す。壱番世界において――』

 その放送は、不吉に響いた。
「トレインウォー……って?」
 飛田アリオは、近くにいたブラン――彼にとっての先輩ロストナンバーである兎獣人のツーリストに訊ねた。
「なんかヤバイことがあるらしいってこと」
 兎男は肩をすくめて言った。  所定の時間に、図書館ホールに大勢のロストナンバーたちが集まってくる。
 世界計の前に、アリッサとその執事、そして世界司書たちが立った。
「みんな集まってくれてありがとう。連絡したとおり、壱番世界に<ディラックの落とし子>が侵入していることがわかったの。世界図書館はこの排除を決定しました。今回はリベルが担当になるから、彼女から説明してもらうわ。お願い」
 アリッサにかわり、黒い肌をした女性司書が進み出る。
 かるく礼をすると、彼女は話し始めた。

「私が担当司書のリベル・セヴァンです。以後、よろしく。さて、さっそくですが、殲滅対象は大型のワーム型落とし子と考えられます」
「ワーム型ぁ?」
 誰かが声をあげた。
「たしかそいつぁ、世界の内側には入れないって話じゃなかったか?」
「そのとおり」
 リベルは頷いた。
「通常、世界群の自律作用――『世界の籠』によって、実体を持つワーム型が世界内に侵入することはありません。その意味で、今回の事案は例外的なものだと言っていいでしょう。すでに対象は壱番世界の侵食を始めていると考えられるので、すみやかな排除がのぞまれます。敵の位置はおおむね判明しています」
 空中に映像が浮かび上がった。
 それはアリオには見慣れた世界地図、あるいは衛星写真に見えた。
 それが音もなくズームアップしていき、日本列島が拡大されていく。
「え……。うそだろ……」
「ここです。壱番世界内の、日本列島と呼ばれる諸島部の北端――『北海道』と呼ばれる地域です」
「北海道!?」
 アリオをはじめ、その地名を知っているものたちの間にどよめきが起こる。
「さいわい、現地人の居住区域ではありません」
 光点が、北海道のちょうど中央にあたる位置に明滅していた。
「ここは大雪山系と呼ばれる山岳地域です。ここまで絞り込むことができましたが、さらに正確な位置は現地において索敵を行ってみなくてはなりません。今から1時間後、ターミナル時間でヒトマル・ヒトゴーにロストレイル1号にて現地へ出発します。なにか質問は?」
「なんてこった」
 ごくり、とアリオは喉を鳴らした。

ご案内

ターミナルで、新しい旅人たちを歓迎するお茶会が開かれていたとき、世界計がディラックの落とし子の反応をとらえました。それはすでに壱番世界の内部に侵入していたのです。

壱番世界を侵食するディラックの落とし子を討伐するための作戦「トレインウォー」が発動しました。ロストレイルの1台が戦力として投入され、作戦を展開します。

このイベントは全体で2つのフェイズに分かれています。

第1フェイズ イベント掲示板:現地において索敵・情報収集を行います
第2フェイズ フリーシナリオ:敵を殲滅するための作戦行動を行います

※このイベントはフリーイベントです。どなたでも無料で参加できます。部分参加・途中参加もOK! お友達と誘い合わせての参加も歓迎です。あなたの行動が物語を創っていくPBWの醍醐味を体験してみましょう。お気軽にご参加下さい!

■参考情報
→ディラックの落とし子について(旅の手引き)

■「トレインウォー」とは?
世界図書館が、世界群の秩序に大きく影響を与えると判断した事案に対して発動する特別な作戦、それがトレインウォーです。トレインウォーにおいては、通常は移動手段としてのみ用いられる世界間鉄道ロストレイルが戦力として投入されます。また、世界司書が指揮官として現地に派遣されます。「トレインウォー:北海道遠征」の担当司書はリベル・セヴァンです。

第1フェイズ

第1フェイズは、イベント掲示板として運営されました。

→掲示板「ロストレイル1号」(過去ログ)

→結果ノベル「吹雪の中の探索」

第2フェイズ

第2フェイズはフリーシナリオとして行われました。

→結果ノベル「ジャバウォック討伐戦」

→掲示板「ロストレイル1号:戦闘態勢」(過去ログ)

→フリーシナリオとは?
フリーシナリオはイベント時などに募集される特別なシナリオです。無料で参加できますが、プレイングは200字までとなり、登場できるかどうかはプレイングの内容次第です。
※『銀幕★輪舞曲』で「集合ノベル」と呼称していたものと同じ形式です。

■作戦概要
吹雪の中を敢行した探索行動の結果、ディラックの落とし子『ジャバウォック』を発見しました。以下が現在状況と、リベル・セヴァンの新たな予言によって判明した情報です。

ジャバウォックは、大雪山系の山々の山頂に、「世界の摂理を歪める杭」である、鏡面の直方体『ミラーヘンジ』を打ち込み、周辺の侵食をはじめていました。それにより、この地域に生息していた野生動物が、変異していることが確認されています。また、ミラーヘンジはジャバウォックにエネルギーを供給する役割も持っています。

現在、ロストレイル1号はすべての探索人員を回収したうえで、戦闘態勢に移行しました。ジャバウォックとの交戦を試みますが、ジャバウォックは遠距離攻撃に対しては堅牢な防御能力『ミラーシールド』を展開して身を守れることがわかりました。そのため、ロストレイルでごく近距離まで接近し、ロストナンバーの戦闘要員による直接攻撃を行うのが有効策です。ロストレイルはどこにでも停車場や線路を創造できるため、高空であっても、乗車しているロストナンバーが戦うことが可能です。

ただし、ミラーヘンジからのエネルギー供給を断たなければジャバウォックの撃破が難しいため、ミラーヘンジを破壊する活動も並行して行うことになります。



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螺旋特急ロストレイル

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