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使用方法など |
2008-11-09(日) 00:10
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事務局 |
<オープニング>
神獣の森を、刀槍で武装した物々しい一団が行軍している。 掲げる御旗には九色を配した文様が描かれており、銀幕ジャーナルを隅から隅まで読み尽くしている者には、その軍隊が神裂空瀬(かむさき うつせ)率いる九神(くしん)軍だと知れたろう。 本来、彼らは市役所のトイレからつながる別世界に住まう者たちだ。それがなぜ神獣の森などに現れたのか。 答えはほどなく総大将の口から明かされた。 「このあたりで確かなのだな?」 睨んだ敵を気死させんばかりの鋭さで、あたりに眼光を飛ばす。 「はい、そのはずです」 彼女の有能な片腕である弦深矢(げん しんや)もまた、同様に殺気だった面持ちで答えた。 「ならば――」 空瀬が腰の妖刀『風喰い』を抜く。刃紋が鮮やかに陽光を照り返した。 「一本たりとて採りのがすでないぞ!」 兵士たちから雄叫びがあがった。彼らが口々に叫んでいるのは、とある菌類の名だ。
――マツタケ。
九神城に朗報がもたらされたのは、銀幕市の暦で十一月十日早朝のことだった。 「銀幕市山中に、マツタケありとのこと!」 限定スイーツを求め銀幕市のとあるケーキ屋に夜が明ける前から並んでいた深矢のこの報告に、将軍一同、色めき立った。 マツタケといえば、彼らの世界でも秋の味覚の王様である。ところが、今回銀幕市に実体化した戦場にはマツタケの群生地が含まれていなかったのだ。 「そうか、今年はマツタケが食えぬのか」 そうこぼして、抜け殻のようになっていた飛懐千淕(ひかい ちりく)が、口角から泡を飛ばしながら、即座の出兵を主張した。 もちろん反対する者など一人も居ない。居るはずもない。 そうして、同日昼前にはマツタケ狩り特別軍が編成され、昼過ぎには市役所のトイレから神獣の森へと長い軍列ができた。 マツタケが存在するとの第一報より派兵まで、異例の早さであった。
「しかし、先ほど街の者たちに聞いたのだが、今年はマツタケが不作だそうではないか。八色(やいろ)の森、と言ったか。よくぞこの場所を見つけたものだな」 空瀬が、手柄を立てた深矢を褒めそやす。 「いえ、実はけーき屋に並んでいる際、さる御方から教えていただいたのです」 「さる御方?」 空瀬が眉をひそめると、深矢は「着物の似合う美しい御方でした」と夢見心地で答えた。 「たしか、お名前を梓殿と。この近くで温泉宿を営んでおられるとか」 「温泉宿? 近くに温泉があるのか」 このとき、その温泉では、マツタケを手に入れるべくもうひとつの戦い(?)が繰り広げられていることを空瀬たちは知らない。
「マツタケ御飯、土瓶蒸し、いやいや、その場で焼いて食うのも捨てがたい――おい! 炭と醤油は持ってきてるんだろうな!」 楽樹杷准(らぎ はじゅん)が手の甲で涎を拭きつつ、部下に怒鳴った。 その様子を見て、副将である嶺裏夜鞍(れいり やくら)がそっとため息をつく。その耳に悲鳴が飛び込み、あわてて手をさしのべた。 彼女は杷准にぶつかった男性の身体を、両腕で支える格好になった。 「無礼者めっ! なにをする!」 尻餅をついた杷准が刀の柄に手をかける。 おそらくマツタケ料理を妄想していた杷准の、前方不注意が原因と思われる事故だ。夜鞍は男性をかばうように前に出た。 「将軍、早く行かねばマツタケが……」 夜鞍の言葉に「むぅ」とうなった杷准は、ほんの一瞬考えてからすぐさまマツタケを選択した。 「皆の者、先を急ぐぞ! 六白将軍や七赤将軍に後れをとるな!」 すでにマツタケのことしか頭になくなった杷准と、その部下たちが足早に進軍する。 「大丈夫でしたか?」 夜鞍が声をかけると、その男性は「ありがと――」と言いかけて……顔を青ざめさせた。 彼の目線を追うと、衝突の際にリュックからこぼれたのであろう、たくさんの本が地面のうえに散らばっていた。 夜鞍がそれを拾おうとすると、男性が「またか」とうなだれながら呟いた。 不思議に思う夜鞍の横顔を光が照らし出す。本が輝いている。 「え?」 見る間に、夜鞍の姿が変化した。やぼったい服装に、麦わら帽子、頭からは髪の毛に混じって藁がぴょんぴょん突き出ている。 「これはいったい?!」 「ふむ、『オズの魔法使い』の案山子か。すまないね」 男性の名は、村上。 その能力は、本の実体化。 こうして、マツタケの群生地である八色の森は、童話キャラのあふれるメルヘンな世界へと早変わりしてしまった。
<ご案内> このイベントは、童話キャラへと変化したPC様に九神軍とマツタケ争奪戦をしていただくというものです。以下のルールを熟読のうえ、ご参加ください。
★掲示板への書き込みかた及びルール
■おおよそ1日を1ターンとしてゲームは進んでいきます。
■1ターン目は参加表明のみとなります。参加された方は、参加順にランダムに「童話の登場人物」の役が割り当てられます。何になるかはわかりませんので、1ターン目の結果をお楽しみに! ただし、今回はマツタケ狩りが目的ですので、童話の登場人物になったからといって【銀幕市童話劇場シリーズ】のように童話のストーリーに沿って行動する必要はありません。
■2ターン目以降の途中参加も可能です。初参加のターンは「参加表明」のみを行ってください。そのターンの結果として配役をおしらせしますので、その次のターンからマツタケ狩りに参加できます。
■2ターン目以降は、九神軍とのマツタケ争奪合戦がはじまります。 そのターンにマツタケを探しに行くことができる『場所』を数字とともにお知らせしますので、どの『場所』でマツタケを探すのか標題に数字を明記してください。 本文には意気込み等何を記入されてもかまいません。
■書き込みは1ターンにつき1PC様1つまでですが、標題に【0】を入れた書き込みは雑談とみなし、いくつでも受け付けます。お好きなようにご歓談ください。
■ターンごとに一定のルールに従って判定が行われ、獲得できたマツタケの本数が発表されます。判定にはいろいろな要素が関係してきます。どうすれば有利になるか、推理してみましょう。 割り当てられた童話の登場人物には、それぞれ決められた『戦闘力』があります。また、空瀬率いる九神軍もマツタケを狙っています。九神軍と出くわしてしまった場合、『戦闘力』(本人のではなく配役の)が役に立つかもしれません。
■最終的にすべてのターンが終了した時点で、もっとも多くマツタケを獲得したPC様にはなんらかの素敵な出来事が起る――かもしれません。
※このイベントはシナリオ「アヤカシの城」より過去の出来事とします。
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