イラスト/Zio

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『ファミリー』って知ってる? 簡単に言うとアリッサの親戚。もとは壱番世界の人たちなんだけど、大昔に、0世界を発見して、チャイ=ブレと契約して世界図書館を創った人たちだよ。今のターミナルがあるのはこの人たちのおかげなんだけど……、なんだか秘密も多いみたい。『ファミリー』のこと、わかっている範囲で、こっそりまとめておくね。

『ファミリー』の秘密と謎

■『ファミリー』とは

『ファミリー』とは世界図書館を創設した一族の俗称です。かれらは世界図書館の運営をあずかる理事会を構成していますが、ほとんど表舞台にあらわれることはありません。

『ファミリー』に属しているのは、館長アリッサの親族であるベイフルック家と前館長エドマンドの親族であるエルトダウン家の人間で、世界図書館創設時にロストナンバーとなった人々です。

イングランドのジェントリ(郷紳=地方豪族のこと)であったベイフルック家とエルダウン家。このふたつの家系は、古くから婚姻を繰り返し複雑な関係をもってきました。ベイフルック家は、広大な地所を領有していましたが、零落した血族であり、オカルトに傾倒した退廃的な人々とみなされていました。一方、エルトダウン家は商売に成功し、富を蓄えつつありました。

1850年代のある日、ベイフルック家の女婿であった建築家ヘンリーと、その親友・エドマンドが、ベイフルック家の地所に存在していた《ラビットホール》から0世界にたどりついてしまったことがすべての始まりだとされています。

■ベイフルック家の人々



リチャード・ベイフルック
『ファミリー』の長老。チェンバー『虹の妖精郷』で、身寄りのないロストナンバーの子どもたちを養っていました。長老として他の『ファミリー』たちからも敬意を払われていましたが、生来の愚昧さゆえに、妻ダイアナに完全に操られており、その結果、彼女の手で命を落とすことになりました。
ダイアナ・ベイフルック
リチャードの妻。ともに『虹の妖精郷』を支配し、その中枢『アヴァロンの墓所』の墓守でもありました。魔術に詳しく、チャイ=ブレとの契約にも通じた、一族の巫女的な存在であった彼女は、彼女にしかわからない目的のために、さまざまな暗躍をしてきたらしいことが暴かれはじめています。
ヴァネッサ・ベイフルック
アリッサの大叔母にあたる女性です。チェンバー『エメラルド・キャッスル』に暮らしています。あらゆる娯楽に飽きている彼女の唯一の楽しみは宝石のコレクション。アリッサを通じて、異世界に存在する宝石の蒐集をロストナンバーたちに命じています。
エヴァ・ベイフルック(レディ・カリス)
アリッサの叔母にあたる女性です。《聖杯の女卿》の称号をもち、ターミナルの『赤の城』を拠点に、長らく、世界図書館を実質支配してきました。現在はアリッサの後見人として、彼女をサポートする役割を担っています。
ヘンリー・ベイフルック
旧姓ラッチェンス。ベイフルック家に婿入りし、妻ジェーン(エヴァの姉)との間にアリッサをもうけました。長らく行方不明でしたが、壱番世界のベイフルック邸の秘密の地下室で、仮死状態で発見され、今も眠り続けています。
アリッサ・ベイフルック
『ファミリー』の最年少で、ゆえに、長い間、『ファミリー』間の確執や事情からは蚊帳の外に置かれていました。前館長エドマンドが追放された結果、二代目館長となり、世界図書館の運営のために奔走しています。

■エルトダウン家の人々



エイドリアン・エルトダウン
ベイフルック家の傍系からエルトダウン家に婿入りした人物で、現在はエルトダウン家の最年長。初代館長エドマンドの伯父でロバートの父。チェンバー『ネモの湖畔』に、妻とともにひっそりと暮らしています。作曲家であり、ピアノの名手。ロストナンバーたちに異世界の「音」の蒐集を命じたこともあります。
マリー・セヴェール
エイドリアンの現在の妻。後妻であり、ロバートの母ではありません。また、正式な婚姻をしていないため、エルトダウン姓でもありません。チェンバー『ネモの湖畔』に、夫とともにひっそりと暮らしており、その姿を見たものはほとんどいません。
ロバート・エルトダウン(ロード・ペンタクル)
エイドリアンの息子で、前館長エドマンドの従兄弟。壱番世界を拠点にして、長年、名前と立場を変えて政財界にかかわり、《金貨の王》の称号が示すとおり、莫大な富を蓄えてきました。現在はイギリス資本のエネルギー企業の経営者として、壱番世界では知られています。
ベンジャミン・エルトダウン
エイドリアンの息子で、ロバートの弟。インヤンガイに帰属したためロストナンバーではなくなり、今は兄よりも加齢して壮年の男性になっています。インヤンガイでホテル「螺旋飯店」を経営しています。ロストナンバーではないため、『ファミリー』としての権限は失っています。
エドマンド・エルトダウン
世界図書館の初代館長だった男性です。長らく行方不明でしたが、その目的はチャイ=ブレへの反抗であったとして、理事会を追放され、現在は「ロストレイル0号」によって、永久に戻ることのできない旅路を「パーマネントトラベラー」として旅し続けています。
鉄仮面の囚人
ホワイトタワーに収監されていた謎の貴人――仮面で顔を隠されたこの人物も、エルトダウン家の一員であると噂されていますが、真相は明らかではありません。ナラゴニア襲来の戦いに巻き込まれて命を落としました。

■『ファミリー』をめぐる動き1~薔薇に託された秘密~

あるとき、4人のロストナンバーが、アーカイヴ遺跡に忍び込み、《ラビットホール》を抜けて、ひそかにイギリスのベイフルック邸に忍び込もうとしました。この試みは、ダイアナが《ラビットホール》に仕掛けていた罠である『フェアリーサークル』の魔術に4人が囚われるという結果になります。

アリッサは、ダイアナと交渉をして、『赤の城』で眠りについていたヘンリーの身柄を妖精郷に引き渡すことを条件に4人を解放し、これをきっかけに、ベイフルック邸をロストナンバーたちに公開します。

そして、ベイフルック邸の秘密の花園で、アリッサは、『ファミリー』にわだかまる闇の解明を、ロストナンバーたちに願うのでした。

■『ファミリー』をめぐる動き2~妖精郷の闇、アーカイヴの惨劇~

リチャード夫妻のチェンバー『虹の妖精郷』では、幼くして覚醒してしまったロストナンバーの子どもたちが暮らしています。ヴォロスで保護された少年エーリヒも、リチャードの申し出で妖精郷で暮らすことになりました。しかし、あるとき、エーリヒからきたメールの内容に不審を抱いた司書・紫上 緋穂は、ロストナンバーたちを、妖精郷へと向かわせます。

そこでかれらは、妖精郷ではリチャードの機嫌を少しでも損ねた子どもたちは、ひそかに石にされてしまっているという恐ろしい事実でした。

事態を重く見たアリッサは、妖精郷への潜入部隊を送り込みますが、時を同じくして世界樹旅団のターミナル襲撃が起こります。混乱の中、ダイアナはリチャードを連れて、アーカイヴ遺跡深層へと向かいました。

ダイアナたちを追ったロストナンバー、そして、別途、レディ・カリスとともに遺跡に向かったいたロストナンバーたちは、チャイ=ブレの背のうえで、ダイアナがリチャードを殺害する場面を目撃します。

ダイアナはチャイ=ブレを目覚めさせると、姿を消すのでした。

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螺旋特急ロストレイル

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