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<ノベル>
CLOSED SIDE★執務室にて
銀幕ベイサイドホテルが主催した、豪華客船をチャーターしての銀幕湾チョコレートクルーズは大盛況であったらしい。
講習会で皆さんがお作りになったチョコレート菓子が、お手紙に添えてやりとりされたら素敵ですね、と、教会に挨拶に来た本田総料理長は童顔をほころばせる。
そう仰るご自分はどうなのですかとユダが聞いたところ、総料理長の顔は一転、さっと青ざめた。
なんでも、SAYURIから、フランスの人気パティシエにオーダーしたらしきシャンパンの香りあふれる生チョコを、カトレア一輪とともに贈られてしまったそうなのである。同じものは支配人あてにも届いており、義理チョコなのはわかっているが、いったい自分たちはSAYURIさまにどのような3倍返しをしたらよいのかと戦々恐々であるそうな。
「そういえば私も同じ生チョコをいただきました。ご好意なのですから、ありがたく受け取るだけでよろしいのでは? それより流星さん、日曜日の朝はお暇でしょうか……?」
せっかくなので日曜のミサに勧誘したところ「す、すみません! その時間は愛犬の散歩が……!」と、逃げられてしまった。総料理長、鉄壁のガードである。
告白とは縁もゆかりもない流星が辞するのと入れ替わりに、教会宛の郵便物が届いた。
たくさんの、封書だ。
どの封書も二重になっており、何の変哲もない茶封筒をペーパーナイフで開ければ、まだ糊付けされていない色とりどりの封筒が、折りたたまれた便箋とともに現れる。
バレンタインデーに想いを込めた銀幕市民からの、丹念にしたためられた手紙である。
封筒の宛名は、それぞれの想いびとの名が記されていた。
ユダの役目は、全ての手紙に目を通したうえで、それが真摯な告白であると判断できたなら、改めて封をし、宛名の人物に届けることであった。
★ ★ ★
執務室のテーブルに並べられた封筒をひとつ、ユダは手にする。
「それではまず、クラスメイトPさんのお手紙を拝見しましょう」
ひー、そんなトップバッターなんてやめてくださいーー! と、銀幕市のどこかで本人が絶叫している気がしたが、かまわず便箋を広げる。
「《来てすぐ知り合って、最初ヒロイン似で憧れたけどすぐ幻想は崩……》おや、ここで消し線が入ってますね」
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 来てすぐ知り合って、最初ヒロイン似で憧れたけどすぐ幻想は崩…………
*(この辺何行か消されている)
*
* 今の関係が心地良いから、言わない気だったけど。
* 最後の機会かもしれないし……。
* 一般に言う恋……なのか、解らないけど。
* 顔を見ると嬉しくなって。ずっと自然に傍にいたい、と思うから。
* きっと多分、……好きです。色々ありがとう。えに……
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
うああああ、やめて許して神父様、焼却希望〜〜〜〜!!!!
やはりどこからか聞こえてくる切実な訴えが通じたか、ユダは微笑んで便箋を閉じる。
「誠実な内容ですね。ご本人にお渡しすることにしましょう。さて、次は……三月薺さんのお手紙を」
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* ――君。お元気ですか? 今日はお手紙を出してみました。
* いつも、美味しくご飯を食べてくれて本当にありがとう。
* あの時出会わなければ、今の私は無かったかもしれません。
* いつもフォローしてくれてありがとう。
* ――君は、小さいけどとっても大きな人に見える時があります。
* ……これからもよろしくね。
* これからも元気で皆が頑張れるように、美味しいご飯頑張って作るからね。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
「こちらの闇魔導師さんには、私も大変お世話になりました。後ほど三月家を訪ねさせていただきましょう」
次に手にしたのは、手紙というより「文」と表現したほうがふさわしい体裁のものであった。
したためたのは――旋風の清左。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 何度かお世話になりやした。
* 穴の探索の時にゃ無事を祈って下さった御礼を申し上げやす。
* 太夫の笑顔を思い出して気合が入った事は数え切れねぇ。
*
* あっしぁ……否、大して会ってもいねぇのに何言ってんだかな。
*
* ご迷惑になっちゃいけねぇ、忘れておくんなせぇ。
* 千鳥や雲雀、太夫には幸せんなってもらいてぇと思いやす。
* この町に居る間もその後もご多幸を願いやす。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
太夫にお届けしましょう、と呟き、ユダは文を畳む。
次に手にしたのは、「差出人は教えないでください」と添え書きのある清楚な封筒だ。
同封されている小さな箱には、少々形のいびつなチョコレートが入っている。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 先日は有難う御座いました。
* 悔しい事に、私にとっては掛け替えの無い日になってしまいました。
*
* 明日に全てが消えようとも――貴方に出会えて本当に良かった。
* ご迷惑を承知で、こうして筆を認めました。
* この手紙が貴方の心を乱すようであれば、どうか破り捨て、忘れて下さい。
*
* 貴方を慕ってしまった見る目の無い女より
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
ティモネの「ツン」を押さえた素直な告白に、神父は頷いた。
「わかりました。お手紙とチョコレート、お名前は伏せて、賞金稼ぎさんへお渡しさせていただきます」
次々に、手紙は開かれていく。
マナミ・フォイエルバッハから、赤毛のヴァンパイアハンターへ。
メグミ・フォイエルバッハから、金茶の巻き毛のDP警官へ。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* あの衝撃は忘れられないと思う。
* 一生に一度しかない私の運命のベルが鳴り響いたあの瞬間。
* これは夢にも思わなかった事だわ。
*
* あなたにその気はないのかもしれない。
* それはまだ出逢ったばかりだから、だと思うの。
* 私も秘密を抱えている。
*
* これから、少しずつ知り合って、
* そして、お互いが運命の人になれたらと思うわ。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 子供の頃からずっとあなたが好きです。
* 研究に打ち込んでいる博士も素敵だけど、体だけは大事にして下さい。
*
* もし寝込んだりしたら、襲いにいっちゃうから。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
メグミにとって彼は、愛するひとであると同時に、恩人でもあるのだろう。
交際を申し込むのではなく、気持ちだけ、伝えたいのだ。
次なるは、キスイから痩身のミュージックジャンキーへ、捻りの効いたメッセージ。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 良い機会なので、お伝えしておきます。
* そろそろ選びなさい、――。
* 貴女が口にした望みが叶うのは私が在る間だけです。
*
* 私は世に二つとないくねり歪んだ貴女の心が気に入っていますし、
* 虚ろを抱え彷徨う貴女がとても好きですよ。
*
* このまま狂ったように踊り続けて欲しいものです。
* 私の心の中だけで永遠に踊らせても良いですけどね。
*
* では、ご来店心よりお待ちしています。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
そして。
*――――…―――――………――…―
*
* いつか必ず想いを伝えます。
*
*―――…―――――………――…――
たった一行。
鴣取虹から、カフェ「ハピネス」のパティシエへの告白である。
おそらくこの一言だけで、十分に想いは伝わることだろう。
なおも手紙は語る。
万華鏡のように、さまざまな感情のきらめきを振りこぼして。
流紗から、母のように慕っている女優へは――
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 家族にしてくれて、ありがとう。
* おれが、本当にあなたの子供だったなら、ずっと一緒に居られるのに。
*
* ……せめて、夢が醒める瞬間までは、おれのお母さんで居てください。
*
* 大好きです。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
夢見る胡蝶にとって、おそらくこれが初めての手紙だったのだろう。
心をこめ、がんばって書いたらしい筆致だった。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 貴方と出会えて良かった。
* 誰かを好きになる、ましてや愛するということ、
* その意味さえ知らなかった時を思えば、僕は変われたと思います。
* 貴方が居てくれたおかげです。
* そう言えば、そんな事はないと貴方は苦笑するのでしょうね。
* 僕にとっての貴方がそうであるように、貴方にとって僕もそうであると、
* 少しくらいは自惚れても良いでしょうか?
*
* 僕は今、とても幸せです。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 敬愛する兄へ。
*
* どうかお幸せに。
* 兄さんが幸せになれば、私は救われます。
*
* 私は歪です。だから、真直ぐな兄さんに憧れます。
* 私の請い願うものは正しいのだと、間違っていないのだと示してください。
*
* 兄さんの笑顔は私にとっての救いです。
* だから、いつまでも笑顔で居てください。
* その為ならば、私は何も惜しみません。
*
* 最期に一言、
*
* 兄さんが褒めてくれれば、それがきっと一番の幸せです。
*
*
* 愚弟より。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
それぞれ、アルから金髪のヴァンパイアハンターへ、そして、ルイス・キリングから始祖となった吸血鬼「兄」への手紙だ。
真摯な内容である。届けるのはやぶさかではない。
……が、彼らは一緒に住んでいるので、ル イ ス だ け が 誰からも貰えないのが一目瞭然になるのではと、神父はそっと十字を切る。
次の手紙は………。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* あの日の痛みを忘れぬ為に書き綴ります。
* 喪った日は今も鮮明に覚えています。
* あの衝撃も、悲しみも、癒えずに燻っていて、夢に見る時もあります。
* しかし、それと同時に、共に過ごした優しい時間も
* また翳る事なく私の中に息づいています。
*
* 優しい笑顔、愛しい光。
*
* 声が聞けない、触れられない事が寂しいと感じますが、
* 私は貴方達を忘れない為に、遺す為に生きようと思います。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
理髪店「Happy」の店長からの手紙は、匿名にしてください、とのことだった。
これは亡き亡き妻と娘、そして父へ宛てたもの。
届けようがないので、とも。
神父は深く頷いて、祈りを捧げた。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* ――へ。
*
* 今年もきみからのチョコは届くんだろうか。
*
* 結婚中も、別れてからも毎年くれているね。
* 事務所の送付リストに入っているだけだってわかってるけど……、
* 今は素直にありがたいと思えるようになった。
* でもメールのひとつもしなくてごめん。
*
* あ、年賀状もありがとう。
* 読むはずないけど、せめてここでお礼を言うよ。
* 身体に気をつけて、仕事がんばって。じゃ。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
槌谷悟郎からの、別れた妻宛の手紙。
これを彼女の事務所に届けたら驚かれるだろうか。
お節介をするまでもなく、カレー屋店主のもとには、もうチョコが届いているかも知れないが。
★ ★ ★
「……おや。これは」
6通の手紙を前に、神父は驚きの声を上げる。
3組が、お互いからお互いへの宛先となっていたのだった。
★ルースフィアン・スノウィスから、レイエン・クーリドゥへ。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 何度も言葉にしてきたけれど、それでも、僕の気持ちの全ては伝えきれていないと思う。
* 貴方に出逢い、「生きる事、愛し愛される事の慶び」を知り、
* 何よりも僕を赦してくれた事への感謝は尽きない。
* 貴方に出逢えた事を心の底から幸いだと思う。
*
* そして、これからも、ただ貴方を愛しています。
*
* ルースフィアン・スノウィス
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
★レイエン・クーリドゥから、ルースフィアン・スノウィスへ。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 親愛なるルースフィアン・スノウィス
*
* 君に尋ねても良いだろうか
* この街に来られた事、この街で君に出会えた事
*
* 私はとても幸運だと思う。
* この世界で巡り会えた君を、愛しても良いだろうか。
* 私は幸せ過ぎて時々とても不安になる
*
* 君を愛しても良いだろうか
* 君を抱き締めても良いだろうか
* 君の傍らで、共に生きても良いだろうか
*
* 愛している
* ルース、私の何より愛しい伴侶
*
* 愛している。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
★藍玉から、津田俊介へ。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 白い砂の道を越えた先の、あなたへ。
* ただ、あなたの奏でる音色にもう一度出逢いたい。
* 揺蕩う海原に、この風に、私の歌声を乗せるわ。あなたに届くように。
*
* もし、夢の終わりが近いなら、
* あなたがプレリュードを奏でていてください。
* わたしは、その音色を頼りに、還るから。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
★津田俊介から、藍玉へ。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 手紙ってそんなに書かないから、あんま得意じゃないんだ。
* だから、その、解りにくかったらごめん。
*
* 俺は藍玉が好きなんだ、と思う。
* 今まで広く浅い知り合いしか作らないようにしてからさ、
* これが好きなのかどうなのか解らない。
* だから、解るまで藍玉と一緒にいたい。
* 会いたいし、話したいし、顔が見たいし、声が聞きたい。
*
* 俺と付き合ってもらえませんか?
* 返事は今度会う時に聞かせて欲しい。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
★ジョン・ドウから、臥龍岡翼姫へ。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
* 何書けばいいか、解らないけど……ええと、いつも構ってくれてありがとう。
* それと、鈍くさくてごめん。
* これからもよろしくお願いします
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
★臥龍岡翼姫から、ジョン・ドウへ。
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
*
* Daer John Doe;I Love you
*
*―――…―………―…―――…―………―…――――…――…――――…―
先日のクルーズで作ったガトーショコラが添えられた翼姫の手紙には、差出人は書いていない。
ただ、ジョン・ドウはおそらく、筆跡で気づくだろう。
それが手作りだとは気づかずに、首を傾げながら口にするさまが目に浮かぶ。
「このかたがたには、お手紙を届ける際に、私からも贈りものをさせていただきましょう」
やがて、執務室に甘い香りが満ちる。
ラベンダーのドライフラワー500本を銀のリボンで束ねた、大きな花束が6つ、用意されたのだ。
古来よりラベンダーは、恋人たちの愛情の証として、贈りものに使われてきた。
――告白のゆくえは、それこそ、神のみぞ知る、ではあるけれど。
OPEN SIDE★中庭にて
中庭に設けられた掲示板前では、子猫たちが大騒ぎをしていた。
「んにゃー、にゃあぁおー!(訳:やったー! リカちゃんが『やだ、恥ずかしいッ』とか言ってうだうだ迷ってたのをかっさらってきたわ!)」
「にゃあう!(訳:世話が焼けるわね、リカちゃんたら乙女なんだから)」
「んにゃっ(訳:早く貼っちゃいましょ〜。乗り込まれて破かれたりするかもだけど)」
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剛政へ
いつもありがとう。
貴方のおかげでわたし本当に幸せになれた。
わたし、毎日貴方においしいお料理食べさせてあげたい。
リカ・ヴォリンスカヤ
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
「んにゃ〜?(訳:でも、剛政ちゃん、ここ見るかなあ?)」
「にゃう!(訳:いいからいいから。貼るわよどんどん!)」
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For 愛しの日黄泉
去年のXmas、プレゼント交換で俺の贈った『金のベル』が
まさかアンタに届くとは!
聖夜の奇跡に運命を感じたゼ。
さて運任せってのは性に合わないが、ここはひとつゲームといこう。
もしアンタがこのメッセージに気付いたら、
あの時のベルを鳴らしちゃくれないか?
アンタに呼ばれりゃ喜んで地の果てからだって駆けつけよう。
そうして2人星空の下、甘い夜を過ごそうじゃないか。
From ルドルフ
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「にやぁお〜(訳:ルドルフちゃんかっこいい〜)」
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
来栖香介へ
早 く 新 譜 出 ま す よ ー に !
死んでも来栖ファンだからなぁーーーー!!!!
by樋口智一
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「んにゃ〜(訳:おっきい字〜)」
「にゃおう(訳:智一ちゃん、絵馬と勘違いしてない?)」
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
ディズへ
いつか、妾の住む城で、演奏させてやるからのう。
国中に、いや、世界中にその音楽を知らせてやりたいと思う。
桜夜
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「んにゃー(訳:すてきねー)」
「にゃん〜(訳:気持ちわかる〜。あたしもディズちゃんのトランペット、好きだよ〜)」
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
チェスター・シェフィールドへ
お前とゲーセンに会えてよかった!
色々楽しいこと、教えてくれてありがとな!
でも、ホラーとかはヤメロ!
ケトより
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
「にゃあおー(訳:ケトちゃんとチェスターちゃん、仲良しなんだねー)」
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
|十。
○ヽ
|十。
○ヽ
十 、
○ヽ
┫
十○ヽ
|
十
⊃
|⊃ヽ
Ш
十
○
ノ
十
十
L
。。
゚○ ルウ(註:サイン部分はまぁが代筆)
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
「んにゃ、にゃん?(訳:ねねね、ルウくんのこれ、なんて書いてあるの?)」
「にゃあん〜(訳:ん〜、『ぱぱおねーちゃんすき』じゃないかしら〜?)」
「んなぁ〜(訳:一生懸命書いたのね。かわいー)」
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
真知子巻きの記録者ちゃんへ
この間の対策課密着レポートではお疲れ様!
初めての取材、記者体験、すっごい新鮮でした。
オレ的にもフィギュア資料ばっちしで。ホントにありがと、愛してるーv
オレ写真撮ってただけだったけど、
少しでもお役に立ててれば嬉しいでっす。
その後風邪の具合はどーお?
治ったら今度一緒に打ち上げいこーね。
記録者ちゃんが元気になるの待ってるよんv
by臨時ジャーナル記者 ウィズ
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
「うにゃあ?(訳:ねー、これ、もう記録者ちゃん見た?)」
「にゃっ、んにゃん(訳:見た見た。『んまー、ウィズくんたら! 私たち両想いね! 今行くわ受け取って頂戴、ウィズくんと私の長編ラブストーリー400字詰め原稿用紙換算365枚分データ入り★マーク3つ付きUSBメモリを!』とか言ってすっとんでった)」
「それはいけませんね。そんな妄想小説を読まされては、ウィズさんの精神衛生上よろしくありません。止めてまいります」
「にゃあぁ〜?(訳:いつの間にそこに? ユダちゃんすばやーい)」
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
海賊団の連中へ
叶えるべき夢を得たこと、
共に目指す仲間が在ること、
帰るべき場所が在ること……
めぐり逢えた全てに、尽きせぬ感謝を。
夢を手にする日まで、
俺達の船に、常に海神の加護のあらんことを――
ルークレイル・ブラック
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
ルークレイルの手紙には、何度も書いては、消した跡があった。
凝視したり、紙を手にして陽に透かしてみたものは、気づいただろう。
照れくささのあまりに消された、「ありがとう」の言葉が。
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
ギャリック海賊団の野郎ドモ!
俺
達、
ギ ャ リ ッ ク
海 賊 団 だ ぜ ! !
ヤシャ・ラズワード
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
そして、その隣に貼られているヤシャの手紙を見たとたん、涙腺をゆるませて、泣き笑いになるもの多いことだろう。
乱暴にでかでかと書かれたヤシャの文字は、ところどころ間違っていて、開いてるスペースにはラクガキがあるけれど……。
だからこそ。
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
美原のぞみちゃんへ
あなたは今、どんな夢を見ていますか?
いつかあなたの目が覚めたら、沢山沢山、話したいことがあります。
そして友達になってくれると嬉しいな。早く目を覚ましてね。
みんな、ずっと、あなたの声が聞いてみたいから。
怖い夢、寂しい夢を見ていたら、お父さんやお母さんのほかに、
わたし達のことも、思い出してね。
側に居るから。
リゲイル・ジブリール
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
リゲイルは、手紙にチョコクッキーを添えていた。
少しだけ焦げているが、クルーズの講習会で頑張って作ったものだ。
子猫たちは掲示板前にバスケットを置き、クッキーを入れて、ラベンダーのドライフラワーを数本、添える。
★ ★ ★
「んにゃ(訳:あ、みぃ。バスケットもういっこ、持ってきて)」
「にゃん(訳:いいよ。……あ、太助ちゃんのクッキー、入れるのね)」
「うにゃ〜(訳:わあ、たくさんある。これで準備万端ね)」
そして子猫たちは四方に散る。
ひとりでも多くの市民に、この告白を伝えるために。
「「「にゃう〜! んにゃー! (訳:銀幕市の皆さん〜! 教会にいらして! 素敵告白がてんこ盛りよー!」」」
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
何を隠す事があるだろう
俺は叫ぶ!!
銀 幕 市 で 今 まで出会えた皆
あ い し て る ぞ ーーーーーーーー!!!
というわけで、ココロアタリのあるひとは俺んとこまで。
愛を込めまくったチョコクッキーを贈呈中だ!
早くしないとなくなるぞー♪
by太助
★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………―
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クリエイターコメント | ★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………― そんなこんなで、本日、銀幕市はバレンタインデーです。 皆様が、しあわせでありますように。
by 無名の記録者 ★━━━━―――…―………―…―――…―………―……―………― |
公開日時 | 2009-02-14(土) 19:30 |
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