イラスト/背景:ミズタニ キャラクター:衣谷了一

長手道 もがも

あ、あれ……何これ!? 空が暗くなってきたよ!?

……えーっ、10月の間はターミナルにも『夜』をつくることにしたって?
それって何の実験?

もしかして、壱番世界がハロウィンシーズンだから……とか?
ううん、オレたちコンダクターはいいけど、ロストメモリーのみんなは驚くだろうね。

オープニング

「壱番世界はハロウィンの時期よね」
 それは壱番世界の暦で10月のある日、午後のお茶の時間に、アリッサが言った。
「そうですね。ジャック・オ・ランタンでも用意させますか」
 紅茶のお代わりを注ぎながら、執事のウィリアムが応える。
「んー、でも、ターミナルだと今いちハロウィンって気分にならないわ」
「そうですか?」
「だってこの青空じゃ。ハロウィンって夜の行事っていうイメージだし。どこかにおあつらえ向きのチェンバーでもあればいいんだけど」
「お嬢様。先日のビーチのようなことは、どうかお慎みを」
「しーっ! 内緒よ、内緒!」
 アリッサはくちびるの前でひとさし指を立てた。
「あ――、でも待って。チェンバーじゃなくても、ターミナルに夜をつくることだってできるわよね」
「それは……原理的には可能ですが、0世界の秩序を乱すことになります。ターミナル全体となりますと、ナレッジキューブも相当要すると思われますし」
「でも、ウィリアム。私、前から思ってたんだけど、ターミナルに暮らす人の中には、夜しかない世界から来た人だってきっといるでしょう? 昼しかないって不公平じゃないかしら。ねえ、試しに、ちょっとの間でもいいから、『ターミナルにも夜がくる』ようにしてみない?」
「……」
 ウィリアムの表情は変わらない。だが賛成していないことは明らかだった。
 しかしその一方で、アリッサが言い出したら聞かないことも、彼はよく承知している。
 それから数日後――。
 世界図書館内ではかなり議論が紛糾し、実施にあたって各方面の調整は困難を極め、一部の事務方職員は瀕死になったというが、ともあれ、正式に、ターミナルの住人にその告知が下った。
『10月下旬の一定期間、試験的に「夜」を行ないます。「夜」の間、空が暗くなりますので、外出の際は十分にお気をつけ下さい』

アリッサの発案により、ターミナルにも『夜』が訪れることになりました。住人たちは珍しい「夜のターミナル」を楽しみました。突然の「夜」に不測の事態が起こったりもしたようですが、おおむね、住人には好評で受け入れられたようです。

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シナリオタイトル担当ライター
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